JP5034482B2 - 音場再生装置 - Google Patents
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Description
ある方向に音源が存在するときに、人は、そのことを、左右の耳に入る音のレベル差、遅延差、周波数特性差により知覚することができる。バーチャル・サラウンドは、この人の両耳聴の特性を応用したもので、サラウンドチャンネルの信号が受聴者の後方の仮想スピーカから再生されたように音像を定位させる後方定位付加手段と、受聴者の前方に配置された2個の実スピーカからの音が、それぞれの側の耳にのみ到達するように制御するクロストーク・キャンセル処理手段を備え、仮想スピーカ位置から再生され受聴者の左右の耳に到達する信号と同じ信号が、受聴者の前方に配置された実スピーカから再生された信号により、受聴者の左右の耳に発生するようにするものである。
なお、クロストーク・キャンセル処理については、非特許文献1に詳しい。
そこで、本発明は、スイートスポットをワイドスポット化することにより、中央を外れたときの定位感の劣化が抑えられ、複数人でバーチャル・サラウンドが視聴できる音場再生装置を提供することを目的としている。
また、前記フロントレフトスピーカから前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の左耳までの伝達関数及び前記フロントライトスピーカから前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の右耳までの伝達関数が角度が30°の位置の頭部伝達関数であり、前記フロントレフトスピーカから前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の右耳までの伝達関数及び前記フロントライトスピーカから前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の左耳までの伝達関数が角度が45°の位置の頭部伝達関数であるものとされている。
この図において、11はデコーダ部、12はポストプロセッシング部、13はコントローラ、14はメモリ、15はユーザーインターフェース部、16はD/A変換器、17は電子ボリューム、18はパワーアンプ、19は受聴者の左前方に設置されるフロントレフト(FL)スピーカ、20は受聴者100の右前方に設置されるフロントライト(FR)スピーカである。ここで、前記デコーダ部11及びポストプロセッシング部12は、DSP(Digital Signal Processor)により実現されている。
また、21はサラウンドレフト(LS)チャンネルの信号の仮想音源位置を示す仮想スピーカ(VL)、22はサラウンドライト(RS)チャンネルの仮想音源位置を示す仮想スピーカ(VR)であり、仮想スピーカVL21は受聴者100の左後方に、仮想スピーカVR22は受聴者100の右後方に、それぞれ位置するように設定されている。
本発明では、実際に設置されたFLスピーカ19及びFRスピーカ20から再生される音により、あたかも受聴者100の左後方の仮想スピーカVL21と右後方の仮想スピーカVR22からサラウンドチャンネルの音が再生されているように聞こえるように制御される。
前記リア定位付加処理は、LSリア定位付加部31とRSリア定位付加部32において、前記リア側の2チャンネルの信号(LS、RS)が、受聴者の左右後方の位置21と22にそれぞれ位置していると人が知覚するための情報を与えるための処理であり、LSチャンネルの信号とRSチャンネルの信号に、レベル差、遅延差及び周波数特性差を付けて、出力する処理である。
また、クロストーク・キャンセル処理は、前記LSリア定位付加部31及びRSリア定位付加部32から出力された信号に対し、それらの信号が、前記FLスピーカ19及びFRスピーカ20から出力されたときに、それぞれのスピーカからの出力が受聴者100のそれぞれのスピーカ側の耳に到達するように、スピーカのクロストークを排除するための処理である。このクロストーク・キャンセル処理は、左チャンネル(Lch)ダイレクト補正部34、Lchクロストーク補正部35、右チャンネル(Rch)クロストーク補正部36、Rchダイレクト補正部37、前記Lchダイレクト補正部34の出力と前記Rchクロストーク補正部36の出力とを加算する加算器38、前記Rchダイレクト補正部37の出力と前記Lchクロストーク補正部35の出力とを加算する加算器39を有するクロストーク・キャンセル処理部33において実行される。
この左出力信号と右出力信号は、D/Aコンバータ16でアナログ信号に変換され、電子ボリューム17及びパワーアンプ18を介して、対応するFLスピーカ19又はFRスピーカ20から再生される。
これにより、受聴者100は、左右のサラウンドチャンネルの信号が、あたかも仮想スピーカVL21及びVR22から再生されているように聞こえることとなる。
前記コントローラ13は、この音場再生装置全体の制御を行うものであり、ユーザーインターフェース部15から入力されるユーザーの指示に基づいて、前記各部における処理を制御する。
また、メモリ14は制御に用いる各種データやプログラムを記憶するものであり、前記ポストプロセッシング部12による定位付加処理及びクロストーク・キャンセル処理に用いられるFIRフィルタの係数データもメモリ14に記憶されている。
図2の(a)に示すように、FLスピーカ19から受聴者100の左耳101までの伝達関数をHLD(ω)、受聴者100の右耳102までの伝達関数をHLC(ω)、FRスピーカ20から受聴者100の左耳101までの伝達関数をHRC(ω)、受聴者100の右耳までの伝達関数をHRD(ω)とする。また、受聴者100の左後方に設定されるLSチャンネルの仮想スピーカVL21から受聴者100の左耳101までの伝達関数をHRLD(ω)、右耳102までの伝達関数をHRLC(ω)、受聴者100の右後方に設定されるRSチャンネルの仮想スピーカVR22から受聴者100の左耳101までの伝達関数をHRRC(ω)、右耳102までの伝達関数をHRRD(ω)とする。
前記仮想スピーカVL21でサラウンドレフト(LS)チャンネルの音が再生され、前記仮想スピーカVR22でサラウンドライト(RS)チャンネルの音が再生されたときに、受聴者100の左耳101に生じる音Lと右耳102に生じる音Rは、次の式(1)で表される。
各FIRフィルタ51〜54は、それぞれの伝搬経路のインパルス応答を係数とするFIRフィルタであって、FIRフィルタ51はLSチャンネルの信号と前記仮想スピーカVL21から受聴者100の左耳101までの伝達関数HRLD(ω)のインパルス応答との畳み込み演算を行い、FIRフィルタ52はLSチャンネルの信号と仮想スピーカVL21から受聴者100の右耳102までの伝達関数HRLC(ω)のインパルス応答との畳み込み演算を行い、FIRフィルタ53はRSチャンネルの信号と仮想スピーカVR22から受聴者100の左耳101までの伝達関数HRRC(ω)のインパルス応答の畳み込み演算を行い、FIRフィルタ54はRSチャンネルの信号と仮想スピーカVR22から受聴者の右耳102までの伝達関数HRRD(ω)のインパルス応答との畳み込み演算を行うものである。そして、加算器55により前記FIRフィルタ51と53の出力を加算して、仮想スピーカVL21及びVR22から受聴者100の左耳101に到達する音(L)を得、加算器56により前記FIRフィルタ52と54の出力を加算して、受聴者100の右耳102に仮想スピーカVL21及びVR22から到達する音(R)を得る。
図示するように、クロストーク・キャンセル処理部33は、Lchダイレクト補正部34、Lchクロストーク補正部35、Rchクロストーク補正部36、Rchダイレクト補正部37、Lchダイレクト補正部34の出力とRchクロストーク補正部36の出力を加算する加算器38及びLchクロストーク補正部35とRchダイレクト補正部37の出力を加算する加算器39を有している。ここで、Lchダイレクト補正部34とRchダイレクト補正部37はFIRフィルタにより構成されており、Lchクロストーク補正部35はFIRフィルタ61とその出力の位相を反転する符号反転器62により構成されており、Rchクロストーク補正部36はFIRフィルタ63とその出力の位相を反転する符号反転器64により構成されている。
前記Lchダイレクト補正部34、Lchクロストーク補正部35、Rchクロストーク補正部36、Rchダイレクト補正部37及びLchダイレクト補正部34の伝達関数を、それぞれ、G11(ω)、G12(ω)、G21(ω)及びG22(ω)とすると、前記加算器38の出力SFLと前記加算器39の出力SFRは、次の式(2)で表される。
そして、前記Lchダイレクト補正部34の出力と、前記FIRフィルタ63の出力が符号反転器64により逆相とされたRchクロストーク補正部36の出力とが加算器38で加算されて左出力信号SFLとされ、前記D/A変換器16、電子ボリューム17及びパワーアンプ18を介して、FLスピーカ19から再生される。また、前記FIRフィルタ61の出力が符号反転器64により逆相とされたLchクロストーク補正部35の出力と前記Rchダイレクト補正部37の出力とが加算器39で加算されて右出力信号SFRとされ、D/A変換器16、電子ボリューム17及びパワーアンプ18を介して、右チャンネルの実スピーカFR20から再生される。
これにより、DVDやデジタル放送などのマルチチャンネル(5.1チャンネル)コンテンツをフロント2チャンネルのスピーカで視聴するときに、受聴者の前方に設置された2個のスピーカを使用して、あたかも、受聴者の左右後方に配置された2個のサラウンドスピーカ(仮想スピーカ)から音が発せられているように、感じることができる。
図3は、本発明のクロストーク・キャンセル処理で用いる頭部伝達関数を従来の場合と比較して説明するための図であり、(a)は従来のクロストーク・キャンセル処理において用いる頭部伝達関数を示し、(b)は本発明のクロストーク・キャンセル処理で用いる頭部伝達関数を示す図である。
図3の(a)は、従来のクロストーク・キャンセル処理に用いられている頭部伝達関数について示す図であり、スピーカ2本を基準となるスピーカの配置法であるITU−R勧告のBS.775-1規格に従って配置し、中央、すなわち、左右のスピーカの見開き角度が60°となる位置で視聴する場合である。この場合には、クロストーク・キャンセル処理は、直接経路(ダイレクト経路、実線)、間接経路(クロストーク経路、破線)とも、受聴者の正面方向を示す直線103とスピーカの方向との間の角度である30°又は−30°(時計回りを+、反時計回りを−とする。)の位置の頭部伝達関数(HRTF:Head-Related Transfer Function)を用いていた。
このように、本願発明においては、クロストーク・キャンセル処理において、スピーカからその方向と反対側の耳までのクロストーク経路の伝達関数として、実スピーカと同じ側の耳までのダイレクト経路の伝達関数よりも、音源位置に対する角度が大きい値の位置の頭部伝達関数を使用している。これは、図示するように、受聴者の両耳の間の距離(顔幅)を拡大したことに等しいといえる。
このことにより、サラウンド効果がよく感じられるスイートスポットが広くなり、複数人でバーチャル・サラウンドを楽しむことができるようになった。
図示するように、(2)と(3)のいずれの場合であっても、図中「左右」で示す左右の広がり具合の評価値が大きくなっている。
このように、本発明によれば、バーチャル・サラウンドにおけるスイートスポットのワイドスポット化が可能となり、左右に寄った位置で視聴した場合でも、バーチャル・サラウンド効果が従来の場合よりも大きくなる。
図中、Aは従来通りダイレクト経路とクロストーク経路の伝達関数として同じ角度(30°)の位置の頭部伝達関数を使用した場合(ノーマル)、Bはダイレクト系との伝達関数として30°又は−30°の位置の頭部伝達関数を使用し、クロストーク経路の伝達関数としてダイレクト経路の角度よりも大きい45°又は−45°の位置の頭部伝達関数を使用した本発明の場合(ここでは、顔幅拡大と表示している。)を示している。
この図に示すように、Bの顔幅拡大の場合の方が、全体的にクロストークのキャンセル量(音圧差)が大きく、また、音圧差が5dB以上となる周波数領域の幅も大きくなっている。さらに、クロストーク抑圧性能が悪くなっているディップの部分の深さも浅くなっていることがわかる。
この測定結果からも、本発明により、中央からずれた位置における定位が改善されていることが裏付けられる。
なお、クロストーク経路の伝達関数として用いる頭部伝達関数の角度位置は、前記ユーザーインターフェース部15を用いてユーザーが任意に設定することができるようにしてもよいし、あるいは、ユーザーの受聴位置に基づいて自動測定した値を設定するようにしてもよい。
また、上記においては、5.1チャンネルの再生の場合を例にとって説明したが、これに限られることはなく、7.1チャンネルなど他のマルチチャンネル再生にも同様に適用することができる。
さらに、上記においては、リアチャンネル(LS、RS)を対象としていたが、これに限られることはなく、仮想音源位置に定位をさせる場合であれば、他のチャンネルについても、同様に適用することができる。
さらにまた、上記においては、クロストーク経路の伝達関数として用いる頭部伝達関数の角度を大きくするものとしたが、スピーカの実際の角度に応じて、ダイレクト経路の頭部伝達関数の角度を可変するようにしてもよい。
Claims (2)
- 後方チャンネルの信号に対し、ある1つの受聴位置にいる受聴者の後方の仮想スピーカ位置に定位させるための信号処理を行って、前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の左前方に配置されたフロントレフトスピーカから出力させる左出力信号及び前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の右前方に配置されたフロントライトスピーカから出力させる右出力信号を出力するリア定位付加部と、
前記リア定位付加部からの左出力信号及び右出力信号に対し、前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の左耳に前記フロントレフトスピーカから再生された前記左出力信号のみを到達させ、前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の右耳に前記フロントライトスピーカから再生された前記右出力信号のみを到達させるための信号処理を行って、前記フロントレフトスピーカから出力させる左出力信号及び前記フロントライトスピーカから出力させる右出力信号を出力するクロストーク・キャンセル処理部とを有する音場再生装置であって、
前記クロストーク・キャンセル処理部は、前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の左耳に前記フロントレフトスピーカから再生された前記左出力信号のみを到達させ、前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の右耳に前記フロントライトスピーカから再生された前記右出力信号のみを到達させるための信号処理を行うときに、前記フロントレフトスピーカから前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の左耳までの伝達関数及び前記フロントライトスピーカから前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の右耳までの伝達関数として、前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の正面と前記フロントレフトスピーカ又は前記フロントライトスピーカとのなす角度に対応する頭部伝達関数を使用し、前記フロントレフトスピーカから前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の右耳までの伝達関数及び前記フロントライトスピーカから前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の左耳までの伝達関数として、前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の正面と前記フロントレフトスピーカ又は前記フロントライトスピーカとのなす角度よりも大きい角度に対応する頭部伝達関数を使用するものであることを特徴とする音場再生装置。 - 前記フロントレフトスピーカから前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の左耳までの伝達関数及び前記フロントライトスピーカから前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の右耳までの伝達関数が角度が30°の位置の頭部伝達関数であり、前記フロントレフトスピーカから前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の右耳までの伝達関数及び前記フロントライトスピーカから前記ある1つの受聴位置にいる受聴者の左耳までの伝達関数が角度が45°の位置の頭部伝達関数であることを特徴とする請求項1記載の音場再生装置。
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| JP2006341454A JP5034482B2 (ja) | 2006-12-19 | 2006-12-19 | 音場再生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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|---|---|---|---|
| JP2006341454A JP5034482B2 (ja) | 2006-12-19 | 2006-12-19 | 音場再生装置 |
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