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JP5035183B2 - 鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法 - Google Patents
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JP5035183B2 - 鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鍛造型に対して行う潤滑剤噴霧の機能を評価する鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法に関する。
従来、熱間鍛造用潤滑剤を塗布したダイに金属片を押し込んで成形荷重を検出し、その荷重に基づいて潤滑剤の性能評価を実施するという潤滑性評価方法は公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
また、潤滑剤噴霧の際に使用されるスプレーノズルのメーカーでは、自社製品のノズル特性の評価を行い、潤滑剤のメーカーでは、自社製品の潤滑剤の物性評価などを行うなどして、自社製品の評価結果を製品仕様の一部としてユーザーに提供している。
特開2008−87032号公報
しかし、上述した特許文献1に記載されている技術やスプレーノズル・潤滑剤の各メーカー内で行なわれる自社製品の評価試験などにおいては、熱間鍛造時の鍛造型に対する潤滑剤噴霧の機能評価、例えば熱間鍛造型への潤滑剤噴霧による冷却機能の評価や鍛造時における潤滑剤被膜による摩擦低減機能の評価までは行われていない。
具体的には、スプレーノズルメーカーにおいては、自社製品(ノズル)の精度保証(噴霧量・噴霧角・スプレーパターン・粒子径等の精度)をする為の測定手法はあるが、鍛造型に対する噴霧の分布や、鍛造型の冷却力を保証したり言及したりするものではなく、また評価試験の結果がメーカー独自の環境下における測定値である為、使用環境が違う場合においてはそのような測定値は目安にしかならない。
すなわち、現状、熱間鍛造工程用に設計されたノズルは存在しておらず、他産業で使用実績のあるノズルを代用している為、実際に熱間鍛造で使用する設備環境下では、メーカー保証値とは異なる噴霧状態になっている。
また、潤滑剤メーカーにおいても、自社製品(潤滑剤)の品質保証をする為、独自の条件下における摩擦試験の測定結果はあるが潤滑剤の適切な噴霧方法を言及したものはないため、使用環境が違う場合においてはそのような測定結果は目安にしかならない。
すなわち、潤滑剤メーカーの試験環境と、実際に潤滑剤を使用する熱間鍛造工程の環境(噴霧方法)とに乖離が有ることなどから、実際の使用環境を考慮して評価できる評価方法が無い状況である。
このように、スプレーノズルメーカー、潤滑剤メーカー共に、幅広いユーザー環境に対応する為、製品仕様の公表値は目安程度のものであり、熱間鍛造の環境に特化した評価方法を各々が採択していない背景がある。
さらに、現在のところ、熱間鍛造時の鍛造型に対する潤滑剤噴霧の機能評価を行う方法は提案されていない。
こういった背景が理由となって、熱間鍛造型にスプレーノズルを用いて潤滑剤を塗布するユーザーに至っては、噴霧する為の条件設定を、一意なる基準を持たないまま潤滑剤噴霧条件や使用する潤滑剤の組み合わせなどをカンやコツといった経験に基づいて設定しており、そのような経験の数値化ができていない。
そこで、本発明は、熱間鍛造型に対して行う潤滑剤噴霧の機能評価を行うことができる鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法を提案することを目的とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、
鍛造型に対して行う潤滑剤噴霧の機能を評価する鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法であって、
前記潤滑剤噴霧に係る噴霧入力条件を入力する入力工程と、
前記潤滑剤噴霧による潤滑剤の流量分布を計測する流量分布計測工程と、
前記流量分布計測工程における前記潤滑剤噴霧と同一条件によって前記鍛造型表面に潤滑剤噴霧を行った際の受圧分布を測定し、該受圧分布から前記潤滑剤噴霧の粗密分布と噴霧される液滴の流速とを抽出する受圧分布測定工程と、
前記鍛造型のテストピース型を所定の鍛造温度に加熱し、前記流量分布計測工程における前記潤滑剤噴霧と同一条件によって前記テストピース型表面に潤滑剤噴霧を行った際の温度低下量分布を抽出する型温度分布抽出工程と、
前記型温度分布抽出工程にて潤滑剤噴霧された潤滑剤が乾燥することにより形成される前記テストピース型表面上の潤滑剤被膜の膜厚分布を計測する膜厚分布計測工程と、
前記潤滑剤被膜が形成された前記テストピース型表面の摩擦係数を測定する摩擦係数測定工程と、
前記受圧分布と前記温度低下量分布とを比較し、前記噴霧入力条件毎の前記鍛造型に対する潤滑剤噴霧による冷却力を評価する型冷却機能評価工程と、
前記潤滑剤被膜の膜厚と前記摩擦係数とを比較し、前記噴霧入力条件毎の前記鍛造型に対する潤滑剤噴霧による摩擦低減機能を評価する摩擦低減機能評価工程と、
前記温度低下量分布と潤滑剤被膜の膜厚分布とを比較して相関を求めることにより、
前記噴霧入力条件と前記鍛造型に対する潤滑剤噴霧による冷却力及び前記摩擦係数との相関付けを行う相関付け工程と、を有するものである。
請求項2においては、
前記型冷却機能評価工程は、前記型温度分布抽出工程により得られる前記温度低下量を目的変数とし、前記入力工程により入力される前記噴霧入力条件を説明変数とする重回帰分析により噴霧入力条件毎の鍛造型に対する前記温度低下量を導出して、前記受圧分布と前記温度低下量分布とを比較し、前記噴霧入力条件毎の前記鍛造型に対する潤滑剤噴霧による冷却力を評価するものである。
請求項3においては、
前記摩擦低減機能評価工程は、前記潤滑剤被膜の膜厚と前記摩擦係数との間で相関式を導出することで、前記噴霧入力条件毎の鍛造型に対する潤滑剤噴霧による摩擦低減機能を評価するものである。
請求項4においては、
前記相関付け工程は、前記型冷却機能評価工程における前記冷却力の導出と、前記摩擦低減機能評価工程における前記相関式の導出とに基づいて、前記噴霧入力条件と前記摩擦係数との相関付けを行うものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、鍛造工程において実際に使用するノズル、噴霧スプレー機、潤滑剤の一意なる評価が可能となるため、潤滑剤噴霧条件を設定する工数の低減が可能であり(トライアンドエラー防止)、また、潤滑剤噴霧条件を生産準備の際の設計要件に関わる数値として定量化が行える。
請求項2においては、実際に使用するノズル、噴霧スプレー機、潤滑剤に関わる噴霧入力条件毎の鍛造型に対する潤滑剤噴霧による冷却力を評価することができる。
請求項3においては、実際に使用するノズル、噴霧スプレー機、潤滑剤に関わる噴霧入力条件毎の鍛造型に対する潤滑剤噴霧による摩擦低減機能を評価することができる。
請求項4においては、経験者のカンやコツに頼ることなく、実際に使用するノズル、噴霧スプレー機、潤滑剤に応じた潤滑剤噴霧による機能を予め把握することができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る工程フローを示す図、図2は流量分布計測工程と受圧分布測定工程を示す説明図、図3は型温度分布抽出工程を示す説明図、図4は膜厚分布計測工程と摩擦低減機能評価工程を示す説明図である。
まず、本発明の一実施形態に係る鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法を適用する鍛造潤滑剤噴霧の機能評価装置(以下、評価装置という)の全体構成について図2から図4を用いて説明する。
評価装置は、鍛造型2に対して行う潤滑剤噴霧の機能を、熱間鍛造工程における実際の環境下に則して評価する装置である。具体的には、鍛造型2に対して潤滑剤噴霧を行った際の噴霧条件毎に応じて潤滑剤噴霧による型冷却機能及び摩擦低減機能を評価する評価システムである。
また、評価装置は、鍛造型2及び該鍛造型2のテストピース型3に対して潤滑剤噴霧を行うスプレー装置1と、潤滑剤噴霧に関わる計測値を計測する複数の計測手段と、潤滑剤噴霧の開始・停止を制御する制御手段(図示せず)と、該制御手段内に具備されるとともにスプレー装置1及び各計測手段と接続され、予め入力される噴霧入力条件と各計測手段により計測された計測値に基づいて所定の演算処理を行う演算処理部(図示せず)とから主に構成されている。
鍛造型2は、熱間鍛造を行う際にプレス装置に固定されて所定温度に熱したワークを所定の形状に成形する金型であり、スプレー装置1により潤滑剤が噴霧される対象物である。また、鍛造型2は、図1に示すように、スプレー装置1の先端(後述するスプレーノズル4先端)から下方に距離Lを有して離間して配置されている。
テストピース型3は、前記鍛造型2と略同一の外形形状及び同一の材質で形成されており、鍛造型2と異なる部分は、評価装置に載置した際にスプレー装置1に対向する面(テストピース型3表面)にキャビティを設けておらず、計測手段による計測の便宜上平坦な面を有していることである。また、テストピース型3は、後述する各計測手段にて計測される型温度分布、潤滑剤被膜の膜厚分布及び摩擦係数を測定する際に便宜上用いられる鍛造型2のテストピースである。また、テストピース型3の下部には、ホットプレート3aが着脱自在に配置されており、テストピース型3を所定温度(例えば、熱したワークから鍛造型2に入熱した際の発熱温度である400℃程度)に加熱することが可能となっている。
スプレー装置1は、図2に示すように、熱間鍛造を行う際に、プレス装置に固定される金型である鍛造型2表面に対して潤滑剤溶液をスプレーノズル4を介して噴霧する装置であり、鍛造型2表面に対して対向配置されるスプレーノズル4と、スプレーノズル4内にエアーを供給するエアー供給管5と、スプレーノズル4内に潤滑剤溶液であるリキッドを供給するリキッド供給管6と、エアー供給管5の上流側に配置されてエアーの入力圧力を調整するエアー入力圧力調整器(図示せず)と、リキッド供給管6の上流側に配置されてリキッドの入力圧力を調整するリキッド入力圧力調整器(図示せず)と、を主に備えている。このスプレー装置1により鍛造型2に対して潤滑剤噴霧を行うことで鍛造型2を所定温度に冷却し、噴霧された潤滑剤が乾燥して鍛造型2表面(鍛造型2とワークとの接触面)において潤滑剤被膜を形成して鍛造時における鍛造型2と鍛造されるワークとの間の摩擦抵抗を低減させて、鍛造型2の磨耗を防ぐことができる。
スプレーノズル4は、その内部に液体(リキッド)と気体(エアー)とを送り込むことにより霧状の液滴を噴霧することができるものであり、スプレー装置1に対して着脱可能である。具体的には、スプレーノズル4に形成された孔数や内部形状等によりスプレーパターン等の噴霧状態を制御することが可能である。また、スプレー装置1は、実際の噴霧対象物である鍛造型2の大きさや形状等に応じてノズル種(口径d・孔数・スプレーパターン(噴霧の粗密分布)が異なる種類)を適宜交換することで、図2に示すように、噴霧状態を表す噴角θ、範囲R(スプレーパターン)、噴霧の受圧(対象物が受ける圧力)、噴霧液滴の流速等を変更することが可能である。
また、前記エアー入力圧力調整器とリキッド入力圧力調整器とをそれぞれ調整することにより、スプレーノズル4内へ送り込まれるエアーとリキッドのそれぞれの入力圧力及び各入力圧力の比率を適宜調整することで、スプレーノズル4から噴霧される潤滑剤の前述した噴霧状態を適宜調整することが可能である。
また、前記エアー入力圧力調整器とリキッド入力圧力調整器にそれぞれに設けられた図示しない電磁弁等で構成される開閉バルブの開閉制御によりエアーとリキッドの供給開始及び停止を行うことが可能である。すなわち、開閉バルブの開閉制御により噴霧時間を制御することができる。また、前述したエアー入力圧力調整器とリキッド入力圧力調整器及び各開閉バルブは、制御手段に接続されており、それらを制御手段が制御することで、予め設定した噴霧条件(入力圧力・噴霧時間等)でスプレーノズル4から潤滑剤噴霧を行うことができるように構成されている。
潤滑剤は、熱間鍛造時に鍛造型2に溶液状態で塗布され、鍛造型2の熱により乾燥後潤滑剤被膜を形成し、鍛造型2とワークとの間で潤滑作用が生じることで、鍛造時の鍛造型2とワークとの間の摩擦抵抗を低減して、熱間鍛造をスムーズに行うために用いられるものである。潤滑剤としては、例えば、カルボン酸系潤滑剤粉末を溶媒(本実施形態の溶媒は水)に溶解した潤滑剤溶液(リキッド)などを用いることができる。また、潤滑剤噴霧に影響する潤滑剤成分(潤滑剤物性)としては、潤滑剤粉末の種類、水等の液体に潤滑剤を溶解する際の溶解濃度、潤滑剤溶液の粘度及び潤滑剤溶液の温度、またはリサイクル等により発生する異物(スケール等)や保存等により起こる潤滑剤溶液の劣化等がある。このような潤滑剤成分は、後述する入力工程において予め入力される噴霧入力条件の一例として挙げられる。
計測手段は、後述する鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法の各工程における所定の計測値を計測する際に用いられるものであり、流量分布計測手段である流量分布計測器7と、圧力分布検出手段である圧力分布センサー8と、温度分布検出手段9と、膜厚分布計測手段(図示せず)と、摩擦係数計測手段10と、から構成される。
流量分布計測器7は、図2に示すように、潤滑剤噴霧により単位面積あたりに貯留される体積の積算流量を計測するものであり、具体的には、スプレーノズル4の噴霧口4aの下方に升目状の容器を配置して、各容器に溜まった潤滑剤の貯留量の体積を測定することで、流量(ml)を計測する。すべての容器の流量を測定することで所定範囲内の流量分布(A)を計測することができる。
圧力分布検出手段は、薄いシート状の圧力分布センサー8であり、該圧力分布センサー8のシート表面に受けた圧力(受圧(MPa))を面分布として検出することができる。また、圧力分布センサー8は、制御手段に接続されており、制御手段は圧力分布センサー8により潤滑剤噴霧が行なわれた際に圧力分布センサー8のシート面上の所定位置で受けた受圧の分布である受圧分布(B)を取得することができる。また、制御手段は、圧力分布センサー8からの信号に基づき所定位置における受圧や受圧分布(B)を所定時間ごとにサンプリングすることが可能である。
なお、本実施形態においては圧力分布検出手段として圧力分布センサー8を用いたが、特に限定するものではなく、歪ゲージ等を利用して受圧分布(B)を検出することも可能である。
温度分布計測手段9は、鍛造型2のテストピース型3表面の温度分布を計測するものである。また、計測されたテストピース型3表面の温度分布は、制御手段内の演算処理部にて潤滑剤噴霧によるテストピース型3の冷却機能評価のための解析処理に用いられる。温度分布計測手段9としては、例えば、図3に示すように、非接触式温度計の一例であるサーモビュア(二次元放射温度計)や熱電対などを用いることが可能であり、温度分布の検出精度を向上するためにサーモビュアと熱電対を併用することも可能である。温度分布計測手段9としてサーモビュアを用いた場合は、テストピース型3表面の温度を面計測して温度分布を容易に取得することが可能である。また、熱電対を用いた場合は、テストピース型3の内部に配置することで鍛造型表面の実温度を取得することが可能である。
膜厚分布計測手段は、潤滑剤噴霧された潤滑剤が乾燥することにより形成される前記テストピース型3表面上の潤滑剤被膜の膜厚分布(D)を計測するものである。膜厚分布計測手段としては、例えば、接触式や透磁式の膜厚計を用いることができる。
摩擦係数計測手段10は、スラストシリンダー方式のすべり抵抗測定器である。図4に示すように、下方に所定の力Fと、横方向(すべり方向)に所定の力Pがかかった際の摩擦係数(P=μFにおけるμ値)を求めることができる。
制御手段は、噴霧入力条件を入力する入力手段と、図示しない所定の演算処理を行う演算処理部(CPU)と、記憶部(ハードディスク装置、RAMやROM)と、インターフェース等からなり、記憶部には、後述する潤滑剤噴霧による鍛造型2の冷却機能や摩擦低減機能を評価する際に利用される各種情報(予め入力される噴霧入力条件や演算処理プログラム等)が記憶されている。また、制御手段は、スプレー装置1を制御して、鍛造型2表面に所定の噴霧条件(エアー・リキッドの各入力圧力・噴霧時間等)により潤滑剤噴霧を行うことが可能である。このような構成により、オペレータが入力手段により噴霧入力条件等の情報を予め入力することが可能であり、入力された噴霧入力条件と後述する各工程で取得される計測データ等に基づいて演算処理部により所定の演算処理を行うことが可能である。
なお、ここでいう「噴霧入力条件」とは、スプレー装置1及び潤滑剤に関わり、かつ型冷却機能及び摩擦低減機能に作用する因子であって、前述した噴霧方法、潤滑剤成分等に関する情報が含まれる。
次に、上述した評価装置を用いた鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法について説明する。具体的には、以下に示す鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法は噴霧入力条件毎の鍛造型に対する潤滑剤噴霧による型冷却機能と摩擦低減機能の評価を行う方法である。
鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法は、図1に示すように、入力工程(S10)と、流量分布計測工程(S20)と、受圧分布測定工程(S30)と、型温度分布抽出工程(S40)と、膜厚分布計測工程(S50)と、摩擦係数測定工程(S60)と、型冷却機能評価工程(S70)と、摩擦低減機能評価工程(S80)と、相関付け工程(S90)と、を有している。以下、各工程について具体的に説明する。
(入力工程:S10)
入力工程(S10)では、潤滑剤噴霧に係る噴霧入力条件を入力する。具体的には、まず、熱間鍛造時の潤滑剤噴霧の機能評価を行うにあたり、噴霧入力条件としてスプレー装置1に取り付けたスプレーノズル4のノズル種等の噴霧方法と潤滑剤成分(潤滑剤物性値)とをオペレータが入力手段により予め入力する。
上記噴霧方法としては、例えば、ノズル種(口径d・孔数・パターン)、入力圧力(リキッド・エアー)及び噴霧時間等が挙げられる。
上記潤滑剤成分(潤滑剤物性に由来する制御因子)としては、例えば、潤滑剤の種類、溶液濃度、溶液粘度、溶液温度、異物(スケール等)、潤滑剤の劣化(経年劣化)などが挙げられる。
なお、噴霧入力条件としては適宜必要とされるデータを入力すればよく、特に上記すべてを入力することを要しない。例えば、取得できる噴霧入力条件を用いて、取得できないデータは近似値などを入力して、適宜本実施形態に係る機能評価方法を実施することも可能である。
(流量分布計測工程:S20)
流量分布計測工程(S20)では、流量分布計測器7を用いてスプレーノズル4から噴霧される潤滑剤の流量分布(A)を計測する。すなわち、図2に示すように、スプレーノズル4の下方(距離L)に配置される升目状容器で構成される流量分布計測器7に向けて所定の噴霧条件による潤滑剤噴霧を行い、各容器に溜まった潤滑剤の貯留量を計測し、潤滑剤噴霧による潤滑剤の流量分布(A)を測定する。
(受圧分布測定工程:S30)
受圧分布測定工程(S30)では、前記流量分布計測工程(S20)における前記潤滑剤噴霧と同一条件によって前記鍛造型2表面に潤滑剤噴霧を行った際の受圧分布(B)を測定し、該受圧分布(B)から前記潤滑剤噴霧の粗密分布と噴霧される液滴の流速とを抽出する。すなわち、鍛造型2上に圧力分布センサー8を載置して、上方に配置されたスプレーノズル4から前記流量分布計測工程(S20)と同一条件で潤滑剤噴霧を行い、潤滑剤液滴が鍛造型2表面に衝突する際の圧力(受圧)の粗密分布を表す受圧分布(B)を面計測する。また、制御手段では、演算処理部において、前記受圧分布(B)の計測値に基づいて所定の演算処理を行うことにより、潤滑剤噴霧の粗密分布と噴霧される液滴の流速を算出する(出力はcsv形式)。
また、潤滑剤噴霧の粗密分布は、圧力分布センサー8により計測される所定位置における単位面積あたりの受圧の強弱の分布により表現される。すなわち、従来の潤滑剤噴霧の粗密分布の計測では、流量分布計測器7によって計測される流量分布(A)のみを、適用していたが、さらに、圧力分布センサー8によって計測される受圧分布(B)を適用することにより、実際の潤滑剤噴霧の粗密分布を精度良く表すことが可能となる。
また、噴霧される液滴の流速は、スプレーノズル4と鍛造型2との間の距離Lと、噴霧開始をトリガーとする噴霧開始時間と圧力分布センサー8が最初に受圧を計測した時間である受圧開始時間との時間差Tを用いて、(距離L)/(時間差T)により算出することができる。
また、受圧に関わる力積は、圧力分布センサー8によって計測された受圧を単位時間あたりの受圧に換算することで求めることが可能である。本実施形態においては、0.1秒毎に受圧をサンプリングして、これを積算することで単位時間(秒)あたりの力積を求めている。
このように、前記流量分布計測工程(S20)と受圧分布測定工程(S30)とにより、従来法による流量分布(A)と、受圧分布(B)と、流速と、力積と、それらが及ぶ範囲(鍛造型2表面上の範囲)が計測可能となる。
さらに、前記流量分布計測工程(S20)により得られた流量分布(A)の計測結果と受圧分布測定工程(S30)で得られた受圧分布(B)の計測結果との相関を求めて、従来法による流量分布計測器7を用いて計測した流量分布(A)と受圧分布(B)の差異を比較する。このような比較を行うことにより、例えば、流量分布計測工程(S20)を行わない場合であっても、受圧分布測定工程(S30)による受圧分布計測結果に基づく解析から流量分布(A)を予測することも可能となる。
また、潤滑剤噴霧の粗密分布として受圧分布(B)のみを適用することで、流量分布計測工程(S20)を省くことも可能である。
(型温度分布抽出工程:S40)
型温度分布抽出工程(S40)では、図3に示すように、前記鍛造型2のテストピース型3を所定の鍛造温度(上限値400℃程度)に加熱し、流量分布計測工程(S20)で行った潤滑剤噴霧と同一条件によって前記テストピース型3表面に潤滑剤噴霧を行った際の表面温度をサーモビュア9により計測して、該表面温度計測の結果に基づいて前記テストピース型3の型温度分布(温度低下量分布(C))を抽出する。
すなわち、熱した鍛造型2のテストピース型3表面に対して所定距離L上方から潤滑剤噴霧を行った場合、テストピース型3表面に噴霧された液状の潤滑剤は、ホットプレート3aにより予め所定の鍛造温度に加熱されたテストピース型3表面にて溶媒である水が蒸発することで、テストピース型3の所定位置(範囲R')が冷却されるとともに、潤滑剤被膜を形成する。この水が蒸発する際のテストピース型3上における温度低下量の分布をサーモビュア9により面計測する(出力はcsv形式)。
つまり、熱簡鍛造時に潤滑剤噴霧を行った際に、気化熱を利用して鍛造型2の温度低下が起こる状態(冷却状態)をサーモビュア9によりモニターしているのである。
なお、潤滑剤噴霧後に、テストピース型3からホットプレート3aを取外して、潤滑剤噴霧後の鍛造型2への入熱を防ぐと型温度分布を精度良く計測する上でより好ましい。
また、潤滑剤噴霧後、所定時間(t)で水分が蒸発するにことより潤滑剤被膜が形成されるが、本実施形態の場合、数秒程度である。
(膜厚分布計測工程:S50)
膜厚分布計測工程(S50)では、前記型温度分布抽出工程(S40)にて潤滑剤噴霧された潤滑剤がテストピース型3の熱により乾燥することにより形成される前記テストピース型3表面上の潤滑剤被膜の膜厚分布(D)を接触式膜厚計測器により計測する。これにより、テストピース型3表面に形成された潤滑剤被膜の膜厚分布(D)を取得することができる。
また、型温度分布抽出工程(S40)で得られた温度低下量分布(C)と膜厚分布計測工程(S50)で得られた膜厚分布(D)とを比較して、相関を求めて、後述する相関付け工程で用いる。
(摩擦係数測定工程:S60)
摩擦係数測定工程(S60)では、前記型温度分布測定工程(S40)において前記潤滑剤被膜が形成された前記テストピース型3表面の摩擦係数(E)をスラストシリンダー式すべり抵抗試験器により測定する。
(型冷却機能評価工程:S70)
型冷却機能評価工程(S70)では、前記受圧分布(B)と前記温度低下量分布(C)とを比較し、噴霧入力条件毎の鍛造型2に対する潤滑剤噴霧の冷却力を評価する。
具体的には、型冷却機能評価工程(S70)は、前記型温度分布抽出工程(S40)により得られた温度低下量を目的変数とし、前記入力工程(S10)により入力される噴霧入力条件を説明変数とする重回帰分析を利用して噴霧入力条件毎の鍛造型に対する冷却力を導出すること(ロジックA)で、前記噴霧入力条件毎の鍛造型に対する潤滑剤噴霧による冷却力の評価を行う。すなわち、噴霧入力条件や実際に使用するスプレーノズル等により鍛造型2をどの程度冷却できるかどうかを導出することができる。つまり、受圧分布(B)と温度低下量分布(C)との相関を求めることで鍛造型2の冷却機能を評価することができる。
(摩擦低減機能評価工程:S80)
摩擦低減機能評価工程(S80)では、前記潤滑剤被膜の膜厚と前記摩擦係数(E)とを比較し、前記噴霧入力条件毎の前記鍛造型2に対する潤滑剤噴霧による摩擦低減機能を評価する。
具体的には、前記摩擦低減機能評価工程(S80)は、膜厚分布計測工程(S50)で計測された前記潤滑剤被膜の膜厚と、前記摩擦係数測定工程(S60)で測定された摩擦係数(E)との間で相関式(例えば一次相関式)を導出すること(ロジックB)で、前記噴霧入力条件毎の鍛造型に対する潤滑剤噴霧による摩擦低減機能を評価する。
(相関付け工程:S90)
相関付け工程(S90)では、前記噴霧入力条件と前記摩擦係数(E)との相関付けを行う。
具体的には、前記相関付け工程(S90)は、前記型冷却機能評価工程(S70)において冷却力を導出するロジックAと、前記摩擦低減機能評価工程(S80)において相関式を導出するロジックBとに基づいて、前記噴霧入力条件と前記摩擦係数(E)との相関付けを行うこと(ロジックC)ができる。
すなわち、前述した型温度分布抽出工程(S40)で得られた温度低下量分布(C)と膜厚分布計測工程(S50)で得られた膜厚分布(D)との相関関係から、ロジックAとロジックBとを相関付けることにより、前記噴霧入力条件と前記摩擦係数(E)との相関付けを行うこと(ロジックC)ができる。これにより、噴霧入力条件と鍛造型2の冷却機能及び摩擦低減機能とが相関付けられるので、実際に使用するノズル、噴霧スプレー機、潤滑剤に関わる噴霧入力条件毎の鍛造型に対する潤滑剤噴霧による冷却力及び摩擦低減機能を定量的に評価することができる。
このように、鍛造潤滑剤の機能評価方法は、鍛造型2に対して行う潤滑剤噴霧の機能を評価する鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法であって、前記潤滑剤噴霧に係る噴霧入力条件を入力する入力工程(S10)と、前記潤滑剤噴霧による潤滑剤の流量分布(A)を計測する流量分布計測工程(S20)と、前記流量分布計測工程(S20)における前記潤滑剤噴霧と同一条件によって前記鍛造型2表面に潤滑剤噴霧を行った際の受圧分布(B)を測定し、該受圧分布(B)から前記潤滑剤噴霧の粗密分布と噴霧される液滴の流速とを抽出する受圧分布測定工程(S30)と、前記鍛造型2のテストピース型3を所定の鍛造温度に加熱し、前記流量分布計測工程における前記潤滑剤噴霧と同一条件によって前記テストピース型3表面に潤滑剤噴霧を行った際の温度低下量分布(C)を抽出する型温度分布抽出工程(S40)と、前記型温度分布抽出工程(S40)にて潤滑剤噴霧された潤滑剤が乾燥することにより形成される前記テストピース型3表面上の潤滑剤被膜の膜厚分布(D)を計測する膜厚分布計測工程(S50)と、前記潤滑剤被膜が形成された前記テストピース型3表面の摩擦係数(E)を測定する摩擦係数測定工程(S60)と、前記受圧分布(B)と前記温度低下量分布(C)とを比較し、前記噴霧入力条件毎の前記鍛造型2に対する潤滑剤噴霧による冷却力を評価する型冷却機能評価工程(S70)と、前記潤滑剤被膜の膜厚と前記摩擦係数(E)とを比較し、前記噴霧入力条件毎の前記鍛造型2に対する潤滑剤噴霧による摩擦低減機能を評価する摩擦低減機能評価工程(S80)と、前記噴霧入力条件と前記摩擦係数との相関付けを行う相関付け工程(S90)と、を有するので、鍛造工程において実際に使用するノズル、噴霧スプレー機、潤滑剤の一意なる評価が可能となるため、実際の製造工程での潤滑剤噴霧条件を設定する工数の低減が可能であり(トライアンドエラー防止)、また、潤滑剤噴霧条件を生産準備の際の設計要件に関わる数値として定量化が行える。
また、前記型冷却機能評価工程(S70)は、前記型温度分布抽出工程(S40)により得られる前記温度低下量を目的変数とし、前記入力工程(S10)により入力される前記噴霧入力条件を説明変数とする重回帰分析により噴霧入力条件毎の鍛造型2に対する冷却力を導出することで、前記噴霧入力条件毎の鍛造型2に対する潤滑剤噴霧による冷却力を評価するので、実際に使用するノズル、噴霧スプレー機、潤滑剤に関わる噴霧入力条件毎の鍛造型に対する潤滑剤噴霧による冷却力を定量的に評価することができる。
また、前記摩擦低減機能評価工程(S80)は、前記潤滑剤被膜の膜厚と前記摩擦係数との間で相関式を導出することで、前記噴霧入力条件毎の鍛造型2に対する潤滑剤噴霧による摩擦低減機能を評価するので、実際に使用するノズル、噴霧スプレー機、潤滑剤に関わる噴霧入力条件毎の鍛造型2に対する潤滑剤噴霧による摩擦低減機能を定量的に評価することができる。
また、前記相関付け工程(S90)は、前記型冷却機能評価工程(S70)における前記冷却力の導出と、前記摩擦低減機能評価工程(S80)における前記相関式の導出とに基づいて、前記噴霧入力条件と前記摩擦係数との相関付けを行うので、経験者のカンやコツに頼ることなく、実際に使用するノズル、噴霧スプレー機、潤滑剤に応じた潤滑剤噴霧による機能を予め把握することができる。
本発明においては、鍛造工程における鍛造型2のトライポロジーの観点から、潤滑剤噴霧の機能評価について定量化を行うにあたり、潤滑剤噴霧の圧力分布を計測し、噴霧入力条件と鍛造型の温度変化、および摩擦係数とを計測し比較することで、噴霧装置の性能評価が定量的に行える。すなわち、鍛造工程における潤滑剤噴霧の定量評価と、鍛造工程で使用するスプレー装置1および潤滑剤の、実際の環境下における性能評価を行うことができる。
また、熱間鍛造型に対する冷却機能と噴霧乾燥後の潤滑剤被膜の摩擦低減機能を評価できるようになることで、経験を積んだ作業者が行っていた噴霧条件の調整を一意的な噴霧条件として数値化できる。
本発明の一実施形態に係る工程フローを示す図。 流量分布計測工程と受圧分布測定工程を示す説明図。 型温度分布抽出工程を示す説明図。 膜厚分布計測工程と摩擦低減機能評価工程を示す説明図。
1 スプレー装置
2 鍛造型
3 テストピース型
A 流量分布
B 受圧分布
C 温度低下量分布
D 膜厚分布
E 摩擦係数

Claims (4)

  1. 鍛造型に対して行う潤滑剤噴霧の機能を評価する鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法であって、
    前記潤滑剤噴霧に係る噴霧入力条件を入力する入力工程と、
    前記潤滑剤噴霧による潤滑剤の流量分布を計測する流量分布計測工程と、
    前記流量分布計測工程における前記潤滑剤噴霧と同一条件によって前記鍛造型表面に潤滑剤噴霧を行った際の受圧分布を測定し、該受圧分布から前記潤滑剤噴霧の粗密分布と噴霧される液滴の流速とを抽出する受圧分布測定工程と、
    前記鍛造型のテストピース型を所定の鍛造温度に加熱し、前記流量分布計測工程における前記潤滑剤噴霧と同一条件によって前記テストピース型表面に潤滑剤噴霧を行った際の温度低下量分布を抽出する型温度分布抽出工程と、
    前記型温度分布抽出工程にて潤滑剤噴霧された潤滑剤が乾燥することにより形成される前記テストピース型表面上の潤滑剤被膜の膜厚分布を計測する膜厚分布計測工程と、
    前記潤滑剤被膜が形成された前記テストピース型表面の摩擦係数を測定する摩擦係数測定工程と、
    前記受圧分布と前記温度低下量分布とを比較し、前記噴霧入力条件毎の前記鍛造型に対する潤滑剤噴霧による冷却力を評価する型冷却機能評価工程と、
    前記潤滑剤被膜の膜厚と前記摩擦係数とを比較し、前記噴霧入力条件毎の前記鍛造型に対する潤滑剤噴霧による摩擦低減機能を評価する摩擦低減機能評価工程と、
    前記温度低下量分布と潤滑剤被膜の膜厚分布とを比較して相関を求めることにより、
    前記噴霧入力条件と前記鍛造型に対する潤滑剤噴霧による冷却力及び前記摩擦係数との相関付けを行う相関付け工程と、を有することを特徴とする鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法。
  2. 前記型冷却機能評価工程は、前記型温度分布抽出工程により得られる前記温度低下量を目的変数とし、前記入力工程により入力される前記噴霧入力条件を説明変数とする重回帰分析により噴霧入力条件毎の鍛造型に対する前記温度低下量を導出して、前記受圧分布と前記温度低下量分布とを比較し、前記噴霧入力条件毎の前記鍛造型に対する潤滑剤噴霧による冷却力を評価することを特徴とする請求項1に記載の鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法。
  3. 前記摩擦低減機能評価工程は、前記潤滑剤被膜の膜厚と前記摩擦係数との間で相関式を導出することで、前記噴霧入力条件毎の鍛造型に対する潤滑剤噴霧による摩擦低減機能を評価することを特徴とする請求項1に記載の鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法。
  4. 前記相関付け工程は、前記型冷却機能評価工程における前記冷却力の導出と、前記摩擦低減機能評価工程における前記相関式の導出とに基づいて、前記噴霧入力条件と前記摩擦係数との相関付けを行うこと特徴とする請求項3に記載の鍛造潤滑剤噴霧の機能評価方法。
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