ところで、車両を走行させる際には、流れの良好な道路を走行する場合等、ドライバが車速を一定に維持する場面が少なくない。このような場面では、例えば過渡的な運転がなされる場合と較べてドライバ側に精神的な余裕があることもあり、ドライバの意識は燃費等の経済性能へ向き易い。このような状況においては、ドライバが、自車について経験的に認識している燃費の数値に鑑みて、ある程度具体的な燃費を念頭において車速を維持することが容易に推察される。
ところが、従来の技術では、燃料消費率と車速との具体的な関係については考慮されておらず、所望の燃費を達成しつつ維持することが可能な車速について、ドライバ側では全く認識することができない。従って、ドライバは結局、維持すべき車速について何らの指針をも得ることができず、経済性能に目を向けているにもかかわらず燃費を不要に悪化させる可能性がある。即ち、従来の技術には、所望の燃費を達成しつつ車速を維持することが困難であるという技術的な問題点がある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、車速を維持する際に所望の燃費を達成することが可能な車両の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る車両の制御装置は、内燃機関と、ドライバに告知すべき所定種類の告知情報を表示可能な表示装置とを備えた車両を制御する車両の制御装置であって、単位燃料量当たりの走行距離を表す第1の燃料消費率の目標値として規定される目標燃料消費率が設定された場合に、該設定された目標燃料消費率を満たしつつ維持することが可能な車速の最高値を特定する第1の特定手段と、前記告知情報の少なくとも一部として該特定された最高値に対応する情報が表示されるように前記表示装置を制御する表示制御手段とを具備し、前記第1の特定手段は、(1)予め設定された、車速と、前記内燃機関における機関回転数及びトルクの組み合わせとして規定される動作点との関係に従って、仮の目標車速に対応する仮の前記動作点を特定し、(2)前記特定された仮の動作点と、予め定常走行状態における前記動作点の各々に対応付けられてなる、前記内燃機関が単位出力にて単位時間稼動した場合の消費燃料量を表す第2の燃料消費率とに基づいて、前記特定された仮の動作点に対応する前記第2の燃料消費率を特定し、(3)該特定された第2の燃料消費率と、前記特定された仮の動作点における前記内燃機関の出力と、前記仮の目標車速から導かれる前記単位時間当たりの走行距離とに基づいて前記仮の目標車速に対応する前記第1の燃料消費率を特定すると共に、(4)前記特定された仮の目標車速に対応する第1の燃料消費率が前記設定された目標燃料消費率以上となるように、前記(1)乃至(3)の処理を繰り返すことにより前記最高値を特定することを特徴とする。
本発明に係る「内燃機関」とは、例えば複数の気筒を有し、当該複数の気筒の各々における燃焼室において燃料が燃焼した際に発生する爆発力たる動力を、例えばピストン及びコネクティングロッド等の機械的な伝達経路を経て、例えばクランク軸等の出力軸を介して動力として出力することが可能な機関を包括する概念であり、例えば2サイクル或いは4サイクルレシプロエンジン等を指す。
本発明に係る車両には、この内燃機関と共に、例えば、液晶表示装置、又は機械式若しくは電気式のメータ等、ドライバによる視認が可能な視覚情報を表示することが可能に構成された視覚情報表示手段、或いは各種の音声情報等ドライバの聴覚に訴える情報を出力することが可能なスピーカやアンプリファイア等を含む聴覚情報表示手段等を単数又は複数含み得る表示装置が備わり、ドライバに告知すべき告知情報を表示することが可能に構成される。
本発明に係る車両の制御装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第1の特定手段が、目標燃料消費率を満たしつつ維持することが可能な車速の最高値(以下、適宜「維持可能最高車速」と称する)を特定する。
ここで、本発明において「目標燃料消費率」とは、単位燃料量当たりの走行距離を表す第1の燃料消費率の目標値であり、例えば、好適な一形態としてはドライバや同乗者等、車両の搭乗者により、ボタン、レバー、ダイアル或いはスイッチ等の各種入力手段を介して入力される、或いは予め用意された複数の選択肢の中からその都度選択される、例えばドライバが所望する第1の燃料消費率を指す。
尚、この第1の燃料消費率は、好適な一形態としては、「km(キロメートル)/L(リットル)」なる単位で表される、ドライバにとって最もポピュラな燃料消費率の形態を採る。また、単位燃料量に係る「量」とは、重量であってもよいが、好適には、上述したように体積(容積)を指す。尚、これ以降の説明においては、「燃料消費率」を適宜「燃費」と略称することとする。
尚、本発明に係る「特定する」とは、特定対象そのもの或いは特定対象と相関する物理量又は物理状態を、直接的に又は何らかの検出手段を介して間接的に、例えば電気信号等として取得すること、直接的に又は間接的に取得された、特定対象と相関する物理量又は物理状態に基づいて、予め然るべき記憶手段等に記憶されたマップ等から該当する値を選択すること、及び、それら取得又は選択された、特定対象と相関する物理量又は物理状態から、予め設定されたアルゴリズムや計算式等に従って導出又は推定すること等を包括する広い概念である。
一方、本発明に係る車両の制御手段によれば、その動作時には、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る表示制御手段が、前述した告知情報の少なくとも一部としてこの維持可能最高車速に対応する情報が表示されるように前述した表示装置を制御する。
ここで、「維持可能最高車速に対応する情報」とは、維持可能最高車速と何らかの対応関係を有する情報であり、表示装置の物理的、機械的又は電気的な態様に応じて各種の態様を採る。例えば、表示装置が液晶表示装置等の各種ディスプレイ装置の態様を採る場合には、表示画面上に例えば維持可能最高車速を表すグラフ、バー又はそれに類する視覚情報、及びそれらに適宜付随し得るアニメーションやイラスト等の画像若しくは映像として、又は維持可能最高車速を表す数値(例えば、「100km/h」等の文字情報として、或いはそれらが適宜融合された情報として表示されてもよいし、表示装置が、車速計(即ち、スピードメータ)、機関回転数計(即ち、タコメータ)、燃料残量計(即ち、フューエルメータ)、冷却水温又は過給圧等といった車両に一般に備わり得る各種の計器類に準じる構成を有する場合、或いはこれら各種計器類と少なくとも一部が一体に構成される場合等には、メータ針やそれに準じる指示手段が指し示す物理的な位置そのもの、或いは当該位置に存在する数字や文字であってもよい。
このように、本発明に係る車両の制御装置によれば、好適にはドライバによって入力される目標燃費を満たしつつ維持することが可能な維持可能最高車速が、告知情報としてドライバに告知される。従って、ドライバは、車速を維持して走行しようとした際に、自身が所望する燃費を達成するためには車速をどの程度に制御すればよいのかを、好適には直感的に認識することが可能となる。
従って、ユーザは、この直感的になし得る認識を指針として、主としてアクセルペダル等の操作により、車速を、自身が所望する燃費を達成し得る車速に容易に制御することが可能となる。或いは、車両に、オートクルーズ装置等と称される、車速を目標車速に維持することが可能な速度維持制御装置が備わる場合には、目標車速を当該維持可能最高車速に設定することによって、所望の燃費を達成しつつ車速を維持することが、著しくドライバの運転負荷が軽減された状態で実現される。
或いは、必ずしもこのような維持可能最高車速を目標車速としなくても、維持可能最高車速が判明していることにより、ドライバ側では目標車速と燃費とを対応付けることが可能となり、目標車速を設定する際の明確な指針を得ることができる。このため、設定される目標車速は、達成される燃費についてドライバ側で一定の理解を得たものとなり、より広い意味では、目標車速は、ドライバが所望する燃費を達成し得るものとなる。即ち、本発明に係る車両の制御装置によれば、車速を維持する際に所望の燃費を達成することが可能となるのである。
ここで、本発明に係る車両の制御装置において、第1の特定手段は、仮の目標車速に対応する仮の動作点を特定し、この特定された仮の動作点と、予め定常走行状態における動作点の各々に対応付けられてなる、内燃機関が単位出力(例えば、単位はkw(キロワット))にて単位時間稼動した場合の消費燃料量(例えば、単位はg(グラム))を表す第2の燃料消費率(以下、適宜「第2の燃費」と称する)とに基づいて、当該仮の動作点に対応する当該第2の燃料消費率を特定し(尚、燃料の比重に基づいて当該燃料量の単位を換算(例えば、g(グラム)からL(リットル)へ換算)してもよい)、この仮の動作点に対応する第2の燃料消費率と、仮の動作点における内燃機関の出力と、仮の目標車速から導かれる単位時間当たりの走行距離(例えば、単位はkm(キロメートル))とに基づいて、仮の目標車速に対応する第1の燃料消費率を特定した上で、この特定される第1の燃料消費率が目標燃料消費率以上となるように、上述した最高値を特定する構成となっている。
ここで、「動作点」とは、機関回転数とトルク(トルクと対応する指標を包括する概念であり、例えば負荷や負荷率を含んでなる趣旨である)との組み合わせとして規定される、内燃機関の一動作状態を表す概念である。この動作点は、例えば相互に直交する第1軸及び第2軸に夫々機関回転数及びトルクを配してなる仮想的な二次元座標平面上において、一座標点として表される。
尚、車速に対応する動作点は、例えば、機関回転数、内燃機関に接続される変速機における変速段各々の変速比、及び変速機の出力段に接続される減速機(例えばデファレンシャル)の減速比(即ち、最終減速比)並びにタイヤの半径等に基づいて、数値演算の結果として特定される。或いは、例えば予め動作点の各々について例えばそのような数値演算を行った結果として、これら動作点各々に対応付けられて予めマップ等として設定され、その時点の動作点に対応する一の車速の値が選択的に取得されることによって特定される。
尚、第2の燃費とは、内燃機関が単位出力にて単位時間稼動した場合の消費燃料量を表し、好適な一形態としては「g(グラム)/kwh(キロワット時)」なる単位で表される指標である。
ここで、本発明に係る「定常走行状態」とは、例えば車速に顕著な変化が無い走行状態、好適な一形態として一定の車速で走行している状態を指し、内燃機関の動作条件が、主として車両の走行抵抗(以下、適宜「R/L(即ち、ロード・ロード)」等と称する)によって決定され得る状態を指し、高速道路や自動車専用道路等、比較的流れの速い道路において車速を維持する際に車両が顕著に採り得る、或いは車両の状態が概ね収束し得る状態を指す。また、「定常走行状態における動作点」とは、例えば上述した二次元座標平面上で所謂R/Lライン(ロード・ロードライン)を構成する個々の動作点を指す。
本発明に係る車両の制御装置によれば、このように予め動作点の各々に対応付けられた第2の燃費に基づいて簡便に且つ正確に車速と第1の燃費との相関を得ることが可能となり、実践上有益である。
本発明に係る車両の制御装置の一の態様では、前記定常走行状態における動作点と前記第2の燃料消費率との対応関係を記憶する記憶手段を更に具備する。
この場合、例えばECU内部のROM(Read Only Memory)等然るべき記憶手段に、定常走行状態における動作点と第2の燃費との対応関係が、例えばマップ等の形で記憶される。従って、第1の特定手段が維持可能最高車速を特定するに際しての処理上の負荷が軽減され、好適である。尚、マップは必ずしも単一のマップでなくてもよく、最終的に当該対応関係を特定し得る限りにおいて、複数のマップであってもよい。例えば、この場合、定常走行状態における動作点を記述するマップと、内燃機関の動作点と第2の燃費とを相互に対応付けるマップの二種類のマップが用意されていてもよい。
また、このように記憶手段を備える構成においては、前記車両は、前記内燃機関における出力軸の回転速度を予め設定された複数の変速比に応じて変速することが可能な変速機を更に具備し、前記記憶手段は、前記複数の変速比の各々について前記対応関係を記憶してもよい。
この場合、記憶手段は、例えばAT(Automatic Transmission:自動変速機)、MT(Manual Transmission:手動変速機)或いはCVT(Continuously Variable Transmission:無段変速機)等の各種変速機によって実現される変速比の各々について前述した対応関係を記憶するため、第1の特定手段は、より正確に維持可能最高車速を特定することが可能となる。尚、一般的な道路事情に鑑みれば、速度を維持した定常走行が行われる際の車速は、比較的高車速であり、変速比は、実質的にはこれら変速機が有する最も小さい変速比(例えば、前進5段のATであれば5速に対応する変速比)に設定される可能性が高いから、変速機によって実現され得る変速比の全てについて当該対応関係が記憶されなくても本発明に係る利益は問題なく享受される。
記憶手段を備えた本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記記憶された対応関係を学習する学習手段を更に具備する。
定常走行状態における動作点と、第2の燃費との対応関係は、事前の適合を経て例えば単数又は複数のマップとして記憶手段に記憶されるが、実際には、燃料性状や燃焼室内のデポジットの影響等によって第2の燃費は経時的に事前の適合値から変化する可能性がある。或いは、定常走行状態における動作点そのものが(即ち、典型的な一形態としてはR/Lライン自体が)、内燃機関の経時変化、積載物を含めた車両の重量、空力特性の変化、タイヤの磨耗、路面の状態に応じて適合値から変化する可能性がある。無論、登坂路及び降板路がこれらに与える影響は、相対的に長い期間でみれば相互にキャンセルし合い、動作点は事前の適合値に収束し得るが、個々の車両相互間で当該対応関係が幾らかなり変化する可能性は、実践上無視し得る程には小さくない場合がある。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る学習手段によって、マップ等として例えばROM等に記憶されてなる対応関係が、例えば書き換え可能な記憶領域、たとえばRAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ等に複製され、又は係る対応関係が予め不揮発性且つ書き換え可能な記憶領域や記憶装置に記憶されている場合には直接的に書き換えられ、学習される。或いは、ROM等に初期値に相当するマップが記憶され、書き換え可能な領域に、適宜当該初期値を補正するための補正値が書き込まれ且つ適宜更新されることによって学習がなされる。
ここで、学習手段による学習の態様は、何ら学習がなされない場合と比較して、記憶された対応関係が幾らなりとも実際の対応関係に近付くように、定常走行状態における動作点又は内燃機関の動作点各々に対応する第2の燃費或いはその両方を更新し得る限りにおいて何ら限定されない趣旨である。例えば、学習手段は、特定された維持可能最高車速を維持した状態で走行しているにもかかわらず、例えばインジェクタ等の燃料噴射装置から噴射された燃料を積算すること等によって得られる、或いは燃料タンク内に設けられた残量センサから取得される燃料の残量から得られる燃料の実使用量と、実際の走行距離とに基づいて算出され得る、実際の第1の燃費(即ち、実燃費)が目標燃費から乖離している(例えば、所定量又は所定割合以上の差異が生じている)場合、或いは更に、そのような相対的にみて大きな乖離が、一時的な要因(例えば、車両の走行経路にたまたま坂路が多かった場合等)によるものでないと判断される場合等に、当該実際の第1の燃費に基づいて動作点に対応する第2の燃費を逆算することによって学習を行ってもよい。或いは、この場合に、維持可能最高車速を維持しつつ走行する際の動作点が、予測される動作点と異なっていれば、定常走行状態における動作点自体を(即ち、好適にはR/Lラインを)更新することによって学習が行われてもよい。
いずれにせよこの態様によれば、動作点と第2の燃費との対応関係は、車両各々の個別具体的な、例えば物理的な、機械的な或いは電気的な各種の事情を反映しつつ適宜に更新される。従って、第1の特定手段に係る維持可能最高車速の特定精度が長期にわたって担保され、実践上極めて有益である。
本発明に係る車両の制御装置の他の態様では、前記車速を目標車速に維持すべき旨の入力がなされた場合に、前記車速が前記目標車速に維持されるように前記内燃機関を制御する車速制御手段を更に具備する。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る車速制御手段により、車速が例えば、好適な一形態としてドライバや同乗者等、車両の搭乗者により、ボタン、レバー、ダイアル或いはスイッチ等の各種入力手段を介して入力される目標車速に維持されるように、内燃機関、例えばスロットルバルブの開度(以下、適宜「スロットル開度」と称する)等が制御される。即ち、この態様によれば、車速制御手段によって、所謂オートクルーズ等と称される車速維持制御が実現される。
従って、目標車速が前述した維持可能最高車速に設定されれば、所望の燃費を達成し得る車速を維持した定常走行が、ドライバ側の負担が著しく軽減された状態で実現されることとなり、実践上有益である。尚、「目標車速に維持すべき旨の入力」とは、例えば、実践的な形態としては、ドライバによってなされるオートクルーズ機能の実行ボタンやそれに準じる各種操作手段の操作を指すが、係る入力は、目標車速の設定に対し相前後してなされるものであってよい。尚、無論目標車速は、維持可能最高車速と異なっていてもよく、その場合、目標燃費は満たされないか、或いは目標燃費よりも良好な第1の燃費が得られることになるが、少なくとも、目標車速の設定に際し維持可能最高車速を一定の指針として用いることが可能である点において、単に車速の維持が可能である場合と比較して明らかに有利である。
尚、この態様では、前記目標車速が設定された場合に、前記車速が該設定された目標車速に維持された場合の前記第1の燃料消費率を特定する第3の特定手段を更に具備し、前記表示制御手段は、前記告知情報の一部として前記特定された第1の燃料消費率に対応する情報が表示されるように前記表示装置を更に制御する。
この場合、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る第3の特定手段によって、車速が目標車速に維持された場合の第1の燃費が特定され、表示制御手段によって、この特定された第1の燃費に対応する情報が表示されるように表示装置が制御される。無論、この際、維持可能最高車速が目標車速に設定されれば、特定される第1の燃費とは即ち目標燃費であるが、必ずしも目標車速は維持可能最高車速に設定されない場合もあり、そのような場合には、目標燃費とは異なる第1の燃費が、告知情報の一部として表示される。
ここで特に、この態様における顕著な効果の一として、主としてドライバが、維持する車速と、第1の燃費との相関について、より具体的に認識し得る点が挙げられる。即ち、目標燃費が例えば15km/Lであって、維持可能最高車速が90km/hであり、且つドライバが本来100km/hで走行する旨の意思を有していれば、100km/hにおいて第1の燃費がどの程度低下するかを把握した上で、ドライバに固有の、目標燃費と目標車速との相対的な重み付けに従って、最も適切な目標車速を設定することが可能となる。より具体的には、例えば、100km/hにおいて第1の燃費が12km/Lまで低下する旨が特定された場合に「そこまで燃費が低下するのであれば目標車速は90km/hのまま変えないでおこう」等の判断を下すこともできるし、例えば、100km/hにおいて第1の燃費が14、8km/Lまで低下する旨が特定された場合に「燃費の低下がその程度であれば目標車速は100km/hに決定しよう」等の判断を下すこともできるのである。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る車両10の構成について説明する。ここに、図1は、車両10のブロック図である。
図1において、車両10は、ECU100、エンジン200、ECT(Electronic Controlled Transmission:電子制御式変速機)300、車速センサ400、オートクルーズインジケータ500及び設定キー600を備える。
ECU100は、夫々不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM及びRAM等を備えると共に、車両10の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「車両の制御装置」の一例である。尚、ECU100は、単一のユニットとして構成されていてもよいし、夫々機能が細分化されてなる複数の電子制御ユニットの集合体であってもよい。ECU100は、ROMに格納された制御用のプログラムに従って、後述する燃費設定オートクルーズ制御を実行することが可能に構成されている。
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンである。ここで、図2を参照して、エンジン200の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、エンジン200の模式図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、エンジン200は、気筒201内において燃焼室に点火プラグ(符号省略)の一部が露出してなる点火装置202による点火動作を介して混合気を燃焼せしめると共に、係る燃焼による爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクティングロッド204を介してクランクシャフト205の回転運動に変換することが可能に構成されている。また、クランクシャフト205近傍には、クランクシャフト205の回転位置(即ち、クランク角)を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。クランクポジションセンサ206は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100は、クランクポジションセンサ206によって検出されたクランク角に基づいて、点火装置202の点火時期等を制御することが可能に構成されている。また、ECU100は、クランクシャフト205の回転位置に基づいてエンジン200の機関回転数Neを算出することが可能に構成されている。
エンジン200において、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート213において、インジェクタ214から噴射された燃料と混合されて前述の混合気となる。燃料は、燃料タンク215に貯留されており、フィードポンプ217の作用により、デリバリパイプ216を介してインジェクタ214に圧送供給されている。インジェクタ214は、ECU100と電気的に接続されており、この供給される燃料を、ECU100の制御に従って吸気ポート213に噴射することが可能に構成されている。尚、燃料を噴射する噴射手段の形態は、図示するような所謂吸気ポートインジェクタの構成を採らずともよく、例えば、フィードポンプ或いは他の低圧ポンプにより圧送される燃料の圧力を更に高圧ポンプによって昇圧せしめ、高温高圧の気筒201内部へ燃料を直接噴射することが可能に構成された、所謂直噴インジェクタ等の形態を有していてもよい。
気筒201内部と吸気管207とは、吸気バルブ218の開閉によって連通状態が制御されている。気筒201内部で燃焼した燃焼済みの混合気或いは未燃状態の混合気は、少なくとも一部が排気となり吸気バルブ218の開閉に連動して開閉する排気バルブ219の開弁時に排気ポート220を介して排気管221に導かれる。
一方、吸気管207上には、クリーナ208が配設されており、外部から吸入される空気が浄化される構成となっている。また、クリーナ208の下流側(シリンダ側)には更に、エアフローメータ209が配設されている。エアフローメータ209は、ホットワイヤー式と称される形態を有しており、吸入された空気の質量流量を直接検出することが可能に構成されている。尚、エアフローメータ209は、ECU100と電気的に接続されており、検出された吸入空気の質量流量は、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
吸気管207におけるエアフローメータ209の下流側には、気筒201内部へ吸入される空気に係る吸入空気量を調節するスロットルバルブ210が配設されている。このスロットルバルブ210には、スロットルポジションセンサ212が電気的に接続されており、その開度たるスロットル開度を検出することが可能に構成されている。
スロットバルブモータ211は、ECU100と電気的に接続され、スロットルバルブ210を駆動することが可能に構成されたモータである。ECU100は、不図示のアクセルポジションセンサによって検出される、不図示のアクセルペダルの操作量(以下、適宜「アクセル開度」等と称する)に基づいて、スロットルバルブモータ211の駆動状態を制御することが可能に構成されており、これによりスロットルバルブ210の開閉状態(即ち、スロットル開度)が制御される構成となっている。尚、スロットルバルブ210は、上述したように一種の電子制御式スロットルバルブであり、スロットル開度は、ECU100により運転者の意思(即ち、アクセル開度)とは無関係に制御され得る。
排気管221には、三元触媒223及び床下触媒224が設置されている。三元触媒223は、エンジン200から排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、及びNOx(窒素酸化物)を夫々浄化することが可能な触媒である。また床下触媒224は、車両10のフロア下に設置された三元触媒であり、三元触媒223によって除去しきれない例えばNOx等を顕著に除去し得るように構成されている。
排気管221における三元触媒223の上流側には、空燃比センサ222が配設されている。空燃比センサ222は、排気ポート220を介して排出される排気ガスから、エンジン200の空燃比を検出することが可能に構成されている。空燃比センサ222は、ECU100と電気的に接続されており、検出された空燃比は、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。また、気筒201を収容するシリンダブロックに設置されたウォータジャケットには、主としてエンジン200を冷却するために循環供給される冷却水(例えば、LLC)の温度(冷却水温)を検出するための水温センサ225が配設されている。水温センサ225は、ECU100と電気的に接続されており、検出された冷却水温は、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
図1に戻り、ECT300は、エンジン200のクランクシャフト205に図示せぬトルクコンバータを介して接続されると共に、クラッチ要素、ブレーキ要素及びワンウェイクラッチ要素等、不図示の油圧アクチュエータによって駆動される油圧式摩擦係合装置を複数備えた、本発明に係る「変速機」の一例たる電子制御式の自動変速機である。
ECT300では、これら各油圧式摩擦係合装置各々の係合状態が変化することによって、相互に異なる複数の変速比を得ることが可能に構成される。また、ECT300では、変速比の大きい順に1速、2速、3速、4速及び5速の前進5段の変速段が用意されており、ECT300と電気的に接続されてなるECU100が、予め設定された変速マップに従って、上述した各種油圧式摩擦係合装置の係合状態を変化させることにより、ECT300の変速段を上記いずれかの変速段に制御している。尚、各変速段に係る変速比の値は、予めECU100のROM内部に記憶されている。
また、ECT300は、その出力段が図示せぬデファレンシャル(差動減速ギア)に接続されており、車両10における不図示の車軸の回転速度は、このデファレンシャルにおける減速比たる最終減速比に応じて決定される。即ち、エンジン200のクランクシャフト205の回転速度は、ECT300における各変速段の変速比及び最終減速比に応じて変速された状態で車軸に伝達される構成となっている。
車速センサ400は、車両10の速度たる車速を検出することが可能に構成されたセンサである。車速センサ400は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速は、絶えず或いは一定又は不定の周期でECU100に把握される構成となっている。
オートクルーズインジケータ500は、車両10の室内に設置されたコンソールパネル11に設けられ、後述する燃費設定オートクルーズ制御の実行時に稼動するように構成された表示装置である。ここで、図3を参照し、オートクルーズインジケータ500の詳細な構成について説明する。ここに、図3は、オートクルーズインジケータ500を正面からみた模式図である。
図3において、オートクルーズインジケータ500は、瞬間燃費計510、目標燃費表示部520、最高クルーズ速度表示部530、目標車速表示部540、及び予測燃費表示部550を含んで構成されている。
瞬間燃費計510は、車両10の瞬間的な燃費(即ち、本発明に係る「第1の燃料消費率」の一例)を車両10のドライバに対し視覚的に告知することが可能に構成された表示手段である。瞬間燃費計510は、目盛部511、ポインタ512及びポインタベース513を備える。
目盛部511は、半円環状且つ帯状に形成され、車両10の瞬間燃費に相当する数値が等間隔で刻まれた部品である。瞬間燃費に相当する数値は、左端に位置する「0」から右端に位置する「30」まで「5」刻みで刻まれている。なお、本実施形態において、瞬間燃費の単位は、「km/L」に設定されている。
ポインタ512は、平面視三角形状の指示用部品であり、底辺部分がポインタベース513に物理的に固定されると共に、当該底辺部分に属さない頂点部分(以下、適宜「指示部」と称する)によって、目盛部511における車両10の瞬間燃費に相当する箇所を指示することが可能に構成されている。
ポインタベース513は、目盛部511に沿った半円状の外周部を有し、当該外周部にポインタ512の底辺部分を物理的に固定すると共に、ポインタ512の指示部が目盛部511内で移動可能となるようにポインタ512を支持することが可能に構成された支持部材である。尚、ポインタ512は、図示せぬ駆動ユニットにより、目盛部511の、車両10の瞬間燃費に相当する箇所を指示すべく駆動される構成を有している。この際、この駆動ユニットは、ECU100と電気的に接続されており、ポインタ512の駆動状態は、ECU100によって制御される構成となっている。
目標燃費表示部520は、後述する燃費設定オートクルーズ制御において、目標燃費の値をデジタル表示するために設けられた表示手段である。目標燃費表示部520は、7セグメントのLEDユニットが三個配列し、中央のLEDユニットと右端のLEDユニットとの間に、小数点を表す発光部(これもLEDである)が設置された構成を採る。即ち、目標燃費表示部520は、全体として小数点以下一桁を含む三桁の数字を表示することが可能に構成されている。尚、目標燃費表示部520は、不図示の駆動回路を介してECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその点灯態様(即ち、目標燃費の表示態様)が制御される構成を有している。
最高クルーズ速度表示部530は、後述する燃費設定オートクルーズ制御において、最高クルーズ速度の値をデジタル表示するために設けられた表示手段である。最高クルーズ速度表示部530は、7セグメントのLEDユニットが三個配列した構成を採り、全体として三桁の数字を表示することが可能に構成されている。尚、最高クルーズ速度表示部530は、不図示の駆動回路を介してECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその点灯態様(即ち、最高クルーズ速度の表示態様)が制御される構成を有している。
目標車速表示部540は、後述する燃費設定オートクルーズ制御において、目標車速の値をデジタル表示するために設けられた表示手段である。目標車速表示部540は、7セグメントのLEDユニットが三個配列した構成を採り、全体として三桁の数字を表示することが可能に構成されている。尚、目標車速表示部540は、不図示の駆動回路を介してECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその点灯態様(即ち、目標車速の表示態様)が制御される構成を有している。
予測燃費表示部550は、後述する燃費設定オートクルーズ制御において、予測燃費の値をデジタル表示するために設けられた表示手段である。予測燃費表示部550は、7セグメントのLEDユニットが三個配列し、中央のLEDユニットと右端のLEDユニットとの間に、小数点を表す発光部(これもLEDである)が設置された構成を採る。即ち、予測燃費表示部550は、全体として小数点以下一桁を含む三桁の数字を表示することが可能に構成されている。尚、予測燃費表示部550は、不図示の駆動回路を介してECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその点灯態様(即ち、予測燃費の表示態様)が制御される構成を有している。
図1に戻り、設定キー600は、オートクルーズインジケータ500と共に車両10のコンソールパネルに設けられた、物理的な操作手段である。設定キー600は、複数のボタンスイッチから構成され、夫々のスイッチに複数の機能が割り当てられている。これらのボタンスイッチの操作の組み合わせにより、ドライバは、ECU100に対し、オートクルーズ機能の実行を促す旨の入力、目標燃費及び目標車速の入力並びにオートクルーズ機能の実行を停止すべき旨の入力等を実行することが可能に構成される。設定キー600は、ECU100と電気的に接続されており、設定キー600の操作状態は、ECU100によって絶えず、或いは一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
<実施形態の動作>
<燃費設定オートクルーズ制御の概要>
車両10には、運転者の負担を軽減しつつ車速を維持して走行することを可能とする所謂オートクルーズ機能が備わっている。ここで特に、本実施形態では、このオートクルーズ機能の実行時に、ドライバが所望する燃費を達成することが支援される構成となっている。より具体的には、ドライバによって目標燃費が設定された場合、当該目標燃費を満たしつつ維持することが可能な最高クルーズ速度(即ち、本発明に係る「最高値」の一例)がドライバに告知される構成となっている。このような運転者への支援は、以下に説明する燃費設定オートクルーズ制御によって実現される。
<燃費設定オートクルーズ制御の詳細>
ここで、図4を参照して、燃費設定オートクルーズ制御の詳細について説明する。ここに、図4は、燃費設定オートクルーズ制御のフローチャートである。
図4において、ECU100は、オートクルーズ機能の実行タイミングであるか否かを判別する(ステップA10)。ここで、オートクルーズ機能は、ドライバ(必ずしもドライバでなくともよい)が設定キー600を介して然るべき入力(例えば、オートクルーズ機能の実行有無に対応付けられたボタンの押下)を行った場合に、実行される。ECU100は、設定キー600から、オートクルーズ機能の実行を促す電気信号が出力されたか否かに基づいて、ステップA10に係る判別処理を実行する。
ECU100は、オートクルーズ機能の実行タイミングではない場合(ステップA10:NO)、ステップA10に係る処理を繰り返し実行して、実質的に処理を待機状態に制御すると共に、オートクルーズ機能の実行タイミングである場合(ステップA10:YES)、ドライバにより設定キー600を介して目標燃費が入力されたか否かを判別する(ステップA11)。目標燃費が入力されていない場合(ステップA11:NO)、ECU100は処理をステップA13に移行する。一方、目標燃費が入力された場合(ステップA11:YES)、ECU100は、目標燃費を満たす範囲で最高の車速となる最高クルーズ速度を算出する(ステップA12)。尚、本実施形態において、目標燃費は例えば「13.0km/L」であるとする。
ここで、ステップA12に係る最高クルーズ速度の算出処理について図5及び図6を参照して詳細に説明する。
図5は、車両10が定常走行状態にある場合のエンジン200の動作線を表してなるマップMPRLの模式図である。
図5において、マップMPRLは、相互に直交する縦軸及び横軸によって規定される二次元座標平面として表される。縦軸及び横軸には夫々エンジン200のトルクTr及び機関回転速度NEが表されており、当該座標平面の一座標点は、即ち、エンジン200の動作点を表している。
ここで特に、定常走行状態において、エンジン200の動作点は、路面抵抗、車両の空力特性、車両重量及び各部のフリクションロスによって車速毎に一義に定まる。車速は、機関回転数NE、ECT300の変速比及び最終減速比並びにタイヤの半径に基づいて定まるから、定常走行状態において、一の車速を一の変速比で得るための出力は、上述した各種要素に応じて予め決定されるのである。従って、マップMPRLには、ECT300の変速段毎に(即ち、変速比毎に)、車速に対応する動作点を繋げることにより動作線(即ち、定常走行状態における動作線であり、R/L線である)を規定することができる。図5には、ECT300における、1速、2速、3速、4速及び5速の変速段に対応する、夫々図示R/L1、R/L2、R/L3、R/L4及びR/L5の五種類の動作線が示される。尚、これ以降、個々の動作線を規定する動作点を、便宜的にM(i,v)と称することとする。ここで、iは変速段を識別する番号であり、i速の変速段を表し、また、vは車速を表す。即ち、M(i,v)とは、i速の変速段を使用して車速vで定常走行を行わしめた場合のエンジン200の動作点を表す。
最高クルーズ速度を算出するに際し、ECU100は先ず、現時点での車速を車速センサ400から取得し、現時点での車速を仮の目標車速として設定する。ここでは、このような仮の目標車速が100km/hであるとする。仮の目標車速が設定されると、ECU100は、マップMPRLから一の動作線を選択し、仮の目標車速に対応する動作点を選択する。即ち、図示動作点M(5,100)が選択される。尚、100km/hの車速は、他の変速段(例えば、4速)であっても無論実現可能であるが、実際には、ECT300の変速段は、このようなオートクルーズ機能の実行とは無関係に、例えば変速マップ等に基づいて、最も効率の良い変速段に制御されているから、現時点で選択されている変速段をそのまま動作線の選択に利用して何ら問題は生じない。ここでは、車速が高車速領域にあるため、5速の変速段が採用されている。
定常走行状態における動作点が決定されると、ECU100は、ROMに格納されるマップMPSFCを参照して、当該動作点に対応する燃費率を取得する。ここで、図6を参照し、マップMPSFCの詳細について説明する。ここに、図6は、マップMPSFCの模式図である。尚、同図において、図5と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図6において、マップMPSFCは、マップMPRLと同様に、相互に直交する縦軸及び横軸によって規定される二次元座標平面として表される。縦軸及び横軸には夫々エンジン200のトルクTr及び機関回転速度NEが表されており、当該座標平面の一座標点は、即ち、エンジン200の動作点を表している。
このような座標平面上において、エンジン200の燃費率SFCが等しい(概ね等しい)動作点を繋げることにより、等燃費率線EQSFC(実線)を規定することができる。等燃費率線EQSFCは、図示の通り楕円状或いは円弧状をなしており、燃費率SFCは、当該座標平面中央部付近において最も小さくなり(即ち、良好となり)、外側に向かうに連れて順次大きくなる(即ち、悪化する)。尚、燃費率SFCは、その単位が、「g/kwh」であり、エンジン200が単位出力(kW)にて単位時間(h)稼動した場合の燃料消費量を表す、本発明に係る「第2の燃料消費率」の一例である。
ECU100は、このマップMPSFCにおいて、前述した動作点M(5,100)に対応する燃費率SFC(5,100)を取得する。本実施形態において、燃費率SFC(5,100)は300g/kwhであるとする。即ち、この動作点においてエンジン200が一時間稼動した場合、エンジン出力1kw当たり300gの燃料を消費することになる。
一方、ECU100は、動作点M(5,100)におけるエンジン出力(単位はkw)を算出する。当該出力は、基本的には機関回転数NEとトルクTrとの積であり、当該積に対し必要な単位換算を行うことにより算出される。本実施形態において、このエンジン出力は20kwであるとする。尚、エンジン出力は、動作点が決まれば自ずと定まり得るから、予めマップMPSFCに、燃費率SFCとエンジン出力とが記述されていてもよい。
次に、ECU100は、エンジン出力1kw当たりの消費燃料量の値(即ち、300)に、動作点M(5,100)におけるエンジン出力の値(即ち、20)を乗じることによって、1時間当たりの消費燃料量を予測する。即ち、本実施形態において、当該消費燃料量は6000gとなる。消費燃料量の予測値が算出されると、ECU100は、この消費燃料量の単位を、燃費(即ち、km/Lの単位を有する)に対応するリットルに換算する。燃料がガソリンであれば、消費燃料量をガソリンの比重で除することにより、当該単位換算は容易に行われる。ここでは、ガソリンの比重を0.74として計算し、消費燃料量が概ね8.1L程度と算出される。このように、100km走行するのに要する燃料量が8.1Lと計算されることにより、最終的に、予測燃費が、「100/8.1」なる演算に従って、12.3km/Lと計算される。
ECU100は、この予測燃費と、設定された目標燃費とを比較する。この比較の結果、予測燃費が目標燃費を上回っている場合(即ち、より燃費が良好である場合)、ECU100は、仮の目標車速をより高車速側で設定し、上述した一連の処理を繰り返す。或いは、予測燃費が目標燃費を下回っている場合(即ち、より燃費が悪い場合)、ECU100は、仮の目標車速をより低車速側で設定し、上述した一連の処理を繰り返す。尚、「一連の処理」とは、仮の目標車速を再設定することによって必要となる処理であるところ、上記「仮の目標車速が設定されると」以降に記載された処理を意味する。
最高クルーズ速度の算出がなされると、ECU100は、オートクルーズインジケータ500を制御して、目標燃費及び最高クルーズ速度に関する情報をドライバに告知する。この様子について、図7を参照して説明する。ここに、図7は、オートクルーズインジケータ500の一動作状態を表す模式図である。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図7において、目標燃費表示部520には目標燃費たる「13.0」がデジタル表示され、最高クルーズ速度表示部530には最高クルーズ速度を表す「90」なる数値(即ち、本発明に係る「特定された最高値に対応する情報」の一例)がデジタル表示される。また、予測燃費表示部550には、最高クルーズ速度における予測燃費(即ち、本実施形態では目標燃費と同様「13.0」なる数値)がデジタル表示されている。尚、最高クルーズ速度における予測燃費は、必ずしも目標燃費と一致するとは限らないため、この段階において予測燃費表示部550には、少なくとも目標燃費以上の数値が示される。
尚、瞬間燃費計510は、オートクルーズ機能の実行以前には機能しないように設定されており、ポインタ512は、有意な数値を示していない。但し、瞬間燃費計510は、オートクルーズ機能の実行有無によらず、絶えず車両10の瞬間燃費を表示していてもよい。また、目標車速表示部540には、この時点では有意な情報は表示されない。但し、この時点において(即ち、後述する目標車速の設定以前において)、目標車速表示部540には最高クルーズ速度が表示されていてもよい。
図4に戻り、ステップA12に係る処理によって最高クルーズ車速が決定されると、ECU100は、ステップA13に処理を移行し、目標車速が入力されたか否かを判別する(ステップA13)。目標車速は、ドライバがオートクルーズ機能によって維持することを希望する車速であり、好適にはドライバにより設定キー600の操作を介して入力される。設定キー600を介して、このような目標車速の設定を促す入力がなされない場合(ステップA13:NO)、ECU100は最高クルーズ速度が算出されているか否かを判別する(ステップA21)。ここで、ステップA13に係る処理は、ステップA11に係る処理において、目標燃費が設定されていない旨の判別がなされた場合であっても行われる処理であり、最高クルーズ速度が必ずしも算出されているとは限らない。
最高クルーズ速度が算出されていない場合(ステップA21:NO)、ECU100は、オートクルーズ機能の実行が所望されていても、例えばドライバが未だ何らの操作を行わずにいるか、ドライバが誤ってオートクルーズ機能の実行を促す入力を行ったか、或いは何らかのエラーであるものと判断して、処理をステップA10に戻し、一連の処理を繰り返す。尚、この時点で、ドライバがオートクルーズ機能の実行を解除すべき旨の入力を行っていれば、或いは元々一時的なエラーであった場合には、ステップA10に係る判別処理は「NO」となって、ステップA10に係る処理が繰り返される。
一方、最高クルーズ速度が算出されている場合(ステップA21:YES)、ECU100は、最高クルーズ速度を目標車速として設定し、オートクルーズ機能を実行する(ステップA22)。他方、目標車速が入力された場合(ステップA13:YES)、ECU100は、入力された目標車速を目標車速として設定し、オートクルーズ機能を実行する(ステップA14)。ステップA22及びステップA14に係る処理において、ECU100は、設定された目標車速(入力された目標車速、或いは最高クルーズ速度)が維持されるように、車速センサ400によって検出される車両10の車速に基づいてエンジン200のスロットル開度を制御する。その結果、車両10の車速は、設定された目標車速に維持される。
ここで、ステップA13に係る処理について補足すると、ドライバは、目標燃費を達成するための最高クルーズ速度の告知を受けつつ、最終的には自由に目標車速を設定することができる。但し、このような最高クルーズ速度の告知を受けているため、ドライバ側としては、目標燃費と目標車速との相関について明確な指針を得ることができる。即ち、やみくもに目標車速を設定する必要はなく、最高クルーズ速度を基準として、燃費を重視するのか、燃費を重視しつつ車速も考慮するのか、敢えて燃費を無視するのか、といった個別具体的な判断の下に、目標車速を設定することができる。例えば、本実施形態では、ドライバが100km/hでの車速の維持を希望しており、最高クルーズ速度の告知を受け、「90km/hで目標燃費を満たすなら、100km/hで走行してもそれ程大きく燃費が低下することはないだろう」等の判断を下した結果、目標車速が設定キー600を介して100km/hと入力されたものとする。
ステップA13又はステップA22に係る処理により(本実施形態では目標車速の入力があるため、ステップA13に係る処理により)オートクルーズ機能が実行されると、ECU100は、維持車速(即ち、設定された目標車速)における予測燃費を算出し、オートクルーズインジケータ500を介してドライバに予測燃費に関する情報(即ち、本発明に係る「特定された第1の燃料消費率に対応する情報」の一例)を告知する(ステップA15)。尚、目標車速の入力がなされない場合、或いは目標車速として改めて最高クルーズ速度の入力がなされた場合には、予測燃費表示部550の表示は、最高クルーズ速度に対応する予測燃費(即ち、好適には目標燃費)のまま変化しない。
ステップA15に係る処理では、最高クルーズ速度の算出態様と同様の過程を経て、予測燃費が算出される。即ち、図5に示すマップMPRLにおいて、動作線R/L5における動作点M(5,100)が選択され、上述した処理過程を経て予測燃費が算出される。尚、100km/hにおける予測燃費は、既に述べたように、「12.3km/L」である。
ここで、図8を参照して、ステップA15に係る処理を経たオートクルーズインジケータ500の様子について説明する。ここに、図8は、オートクルーズインジケータ500の他の動作状態を表す模式図である。尚、同図において、図7と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、目標車速表示部540には、入力された目標車速である「100」がデジタル表示され、予測燃費表示部550には、100km/hにおける予測燃費である「12.3」がデジタル表示される。また、瞬間燃費計510は、オートクルーズ機能の実行に伴って稼動する。この際、ECU100は、インジェクタ214を介した燃料の実噴射量と車両10の実走行距離とに基づいて、瞬間的な燃費を瞬間燃費として算出し、ポインタ512の指示部が、目盛部511における、算出された瞬間燃費に相当する部位を指し示すように、ポインタ512を機械的に駆動する。その結果、瞬間燃費計510には、その時点の瞬間燃費が表示される。このポインタ512によって指し示される目盛部511の一目盛部分は、目標燃費表示部520、最高クルーズ速度表示部530、目標車速表示部540及び予測燃費表示部550を介してデジタル表示される各種の数値と共に、本発明に係る「告知情報」の一例となる。尚、瞬間燃費計510を介して表示される瞬間燃費は、車両10の刹那的な状態を反映し得るため、必ずしも予測燃費表示部550に表示される予測燃費(即ち、維持車速における予測燃費)と一致しなくてもよい。
図4に戻り、オートクルーズインジケータ500に各種の告知情報が表示されると、ECU100は、予測燃費と実燃費との乖離度が大きいか否かを判別する(ステップA16)。ECU100は、オートクルーズ機能の実行期間が所定値を超えると、インジェクタ214を介した燃料の実噴射量の積算値と、実際の走行距離とに基づいて、車両10の実際の燃費である実燃費を算出する。ステップA16に係る処理では、この実燃費と予測燃費との差分が、基本的に予め設定された基準値以上であるか否かが判別される。但し、車両10の走行条件が特殊である場合(例えば登坂路を継続して走行しているような場合、或いは例えば降板路を走行しているような場合)等には、そのような特殊な走行条件も加味した上で総合的な判断が行われる。
例えば、実燃費と予測燃費との差分が所定値以上である等して当該乖離度が大である旨が判別された場合(ステップA16:YES)、ECU100は、所定の学習処理を実行する(ステップA17)。一方、例えば実燃費と予測燃費との差分が所定値未満である等して当該乖離度が小である旨が判別された場合(ステップA16:NO)、処理はステップA19に移行される。
ステップA17に係る学習処理においては、先ずエンジン200の動作点が、予め予測される動作点(例えば、図5における動作点M(5,100))から乖離していないかが判断される。即ち、動作点が予測された動作点でない場合、マップMPSFCは正しくとも算出される予測燃費が正しく算出されないからである。ECU100は、この際、クランクポジションセンサ206の出力に基づいて算出される機関回転数NE、及びエアフローメータ209により検出される吸入空気量に基づいて算出される実負荷率に基づいて、予め設定されたマップからエンジン200の実トルクを推定し、現時点でのエンジン200の動作点を特定する。
特定された動作点が、予測された動作点と異なっている場合、ECU100は、当該動作点を補正する。即ち、100km/hを維持して定常走行するために必要となるエンジン200の動作条件が補正される。次に、ECU100は、補正された動作点に基づいて、再度予測燃費を算出する。その結果、算出された予測燃費と実燃費との乖離度が未だ大きい場合、ECU100は、マップMPSFCを補正する。この場合、既に説明したのと逆のプロセスを辿り、単位電力量当たりの消費燃料量たる燃費率が算出される。ECU100は、この算出された燃費率を従前の燃費率に置換することによって学習を完了する。
尚、ここでは、マップMPRL及びマップMPSFCに記述される動作線(動作点)及び燃費率を更新することにより学習がなされるが、学習の態様は何ら限定されず、予め設定されたこれらのマップに記述される動作線(動作点)や燃費率の値を補正するための補正量(補正係数)等を、RAM等の書き換え可能な記憶領域に記憶することによって学習がなされてもよい。
このように学習が実行されると、ECU100は、予測燃費を修正し(ステップA18)、処理をステップA19に移行する。上述した学習のプロセスを辿った場合、少なくとも学習が完了した時点において、理想的には予測燃費は実燃費と一致する。尚、修正された予測燃費は、オートクルーズインジケータ500の表示態様に反映され、ECU100によって、予測燃費表示部550に表示される数値がステップA18に係る処理において修正された予測燃費の値に変更される。
ステップA19に係る処理では、目標車速の変更がなされていないか否かが判別される。目標車速の変更がなされた場合(ステップA19:NO)、ECU100は、処理をステップA14に移行し、一連の処理を繰り返す。一方、目標車速の変更がなされていなければ(ステップA19:YES)、ECU100は、ドライバにより設定キー600を介してなされる、或いは他の要因でなされる解除入力が有るか否かを判別する(ステップA20)。ここで、解除入力とは、オートクルーズ機能の実行を中止する旨の入力であり、一形態としては、ドライバが設定キー600を介して、即ち、オートクルーズ機能の実行を停止する機能を割り当てられたボタンスイッチ等を操作すること等によってなされる。但し、オートクルーズ機能の実行は、車両10の安全性を担保する観点から、ドライバによるブレーキ操作(ブレーキペダルの踏下)がなされた場合にも停止される。ECU100は、ブレーキペダルの操作状態を、例えばブレーキペダルセンサ等の出力に基づいて絶えず監視しており、ブレーキペダルが踏下された旨の信号が出力された場合には、当該信号を解除入力として扱い、解除入力が有る旨の判別を行う。
解除入力が無い場合(ステップA20:NO)、ECU100は、処理をステップA15に戻し、維持車速における予測燃費の表示以降の処理を繰り返す。一方、解除入力が有る場合には、オートクルーズ機能の実行を終了して、処理をステップA10に戻し、一連の処理を繰り返す。燃費設定オートクルーズ制御は、このようにして実行される。
以上説明したように、本実施形態に係る燃費設定オートクルーズ制御によれば、(i)オートクルーズ機能によって車速を維持して走行する場合に、ドライバが所望する目標燃費を満たし得る範囲で最高の車速を表す最高クルーズ速度を算出することが可能であり、(ii)当該最高クルーズ速度を、オートクルーズインジケータを介して視覚的に告知することが可能であり、更には(iii)維持すべき目標車速に対応する予測燃費を、オートクルーズインジケータを介して視覚的に告知することが可能となる。
従って、ドライバは、車速を維持して走行する際の指針を明確に且つ直感的に得ることが可能であり、例えば、最高クルーズ速度を目標車速として設定することによって、目標燃費を達成しつつ車速を維持することが容易にして可能となる。また、最高クルーズ速度を目標車速として設定しなくとも、最高クルーズ速度という明確且つ直感的な指針が存在することにより、最高クルーズ速度を基準として目標車速を設定することが可能となる。この場合、目標燃費は達成されない場合もあるが、それはあくまでドライバの認識下であり、何らの指針も得られないことによってドライバが意図しない燃費の悪化を招く可能性は極めて低く抑制される。更に、予測燃費の表示により、燃費と車速との相互関係をドライバに知らしめることが可能であり、ドライバ毎に固有の価値観に応じた適切な目標車速の設定が可能となると共にドライバに経済走行の実施を促すことが可能となる。即ち、車速を維持する際に、目標燃費に限定されない広い意味で所望の燃費を達成することが可能となるのである。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う車両の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…車両、100…ECU、200…エンジン、210…スロットルバルブ、300…ECT、400…車速センサ、500…オートクルーズインジケータ、510…瞬間燃費計、520…目標燃費表示部、530…最高クルーズ速度表示部、540…目標車速表示部、550…予測燃費表示部、600…設定キー。