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JP5041405B2 - 圧電アクチュエータの制御方法 - Google Patents
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JP5041405B2 - 圧電アクチュエータの制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電アクチュエータの制御方法に関する。より具体的には、圧電アクチュエータに印加された電圧及び誘起された電荷を入力として、該圧電アクチュエータの変位及び荷重を推定し、該推定された変位及び荷重に基づいて圧電アクチュエータに印加する電圧を設定する圧電アクチュエータの制御方法に関する。
従来より、微小位置決め機構や微小駆動機構などに用いるアクチュエータとして圧電アクチュエータが知られている。この圧電アクチュエータは、電圧を印加することにより素子を構成する結晶体の伸張を利用したものであり、これにより、位置決め対象物又は駆動対象物を高精度で変位させることができる。
ところで、この圧電アクチュエータには、印加電圧と発生する変位や荷重との間にはヒステリシスがあり一価の関数では対応させることができない。このため、圧電アクチュエータを高精度で制御する際には、この圧電アクチュエータの変位及び荷重の情報を、印加電圧にフィードバックして制御する必要がある。しかしながら、このようなフィードバック制御を行うためには、変位及び荷重などの機械的な量を検出するためのセンサを圧電素子に設ける必要があった。
そこで、非特許文献1には、圧電アクチュエータの実際の変位や荷重などの機械的な量を検出せずに、電気的な量、例えば電圧及び電荷量を検出し、該検出された電圧及び電荷量に基づいて、圧電アクチュエータの変位及び荷重を推定する圧電アクチュエータの制御方法が提案されている。
ところで、非特許文献1に示された制御方法のように、圧電アクチュエータの電圧及び電荷に基づいて変位及び荷重を推定する方法としては様々な方法が提案されている。第1は所謂圧電方程式に基づく方法であり、第2は圧電アクチュエータの振る舞いを再現する電気機械モデルに基づく方法である(非特許文献2参照)。
先ず、第1の方法について、図18及び図19を参照しながら説明する。
図18は、1つの圧電素子を示す模式図である。図18に示すように、略立方体状の圧電素子の上下端から所定の電圧を印加すると、この圧電素子には、電束密度D及び電界強度Eの電界が上下方向に沿って発生すると共に、縦圧電効果により、圧電素子にはTの応力及びSの歪みが上下方向に沿って生じる。ここで、圧電方程式より、これら電束密度D、電界強度E、応力T、及び歪みSに対して次の関係式が導出される。
Figure 0005041405
ここで、Yは素子のヤング率であり、ε33は誘電率であり、d33は圧電定数である。
図19は、積層型の圧電アクチュエータの構成を示す模式図であり、図18に示す圧電素子をn個積層して構成した圧電アクチュエータを示す。ここで、1つの圧電素子の上下方向に沿った厚みをdとし、断面積をAとすると、上述の1つの圧電素子に対する圧電方程式より次式が導出される。
Figure 0005041405
ここで、qは各電極に誘起された電荷量であり、q=Dで示される。Kは圧電素子の剛性であり、K=YA/ndで示される。Cは静電容量であり、C=ε33nA/dで示される。Vは電圧であり、V=Edで示される。xは変位であり、x=ndSで示される。Fは荷重であり、TAで示される。また、α=Knd33とし、C´=C−(nd33Kとした。
以上のようにして圧電方程式に基づいて導出された数2の連立方程式によれば、圧電アクチュエータの電圧V及び電荷量qを検出することにより、変位x及び荷重Fを算出することが可能となる。しかしながら、数2の式は、ヒステリシスといった圧電アクチュエータの非線形性が考慮されていない。
次に、非特許文献2に記載された第2の方法について、図20〜図23を参照しながら説明する。この第2の方法は、電気要素と機械要素とを組み合わせて構成される電気機械モデルに基づいて圧電アクチュエータの振る舞いを再現するものであり、上述の第1の方法に加えて、圧電アクチュエータの非線形性が考慮されている。
図20は、非特許文献2に示された圧電アクチュエータの電気機械モデルの構成を示す回路図である。図20に示すように、この電気機械モデルは、キャパシタC´と、電気的なエネルギーを機械的なエネルギーに変換する変換器Tと、変換器Tに連結された機械要素91と、キャパシタ及び抵抗素子とを組み合わせて構成されるMRC(Maxwell Resistive Capacitance)要素92と、を含んで構成される。
機械要素91は、質量0の物体をばね定数Kのばねで接続して構成される。変換器Tは、その出力が外力Fとして機械要素91の物体に作用するように接続されている。ここで、図20の回路中、破線99で囲まれた要素、すなわち、キャパシタC´、変換器T、及び機械要素91で構成される要素のみを考慮すると次式が導出される。
Figure 0005041405
つまり、破線99で囲まれた要素は、上述の数2と等価なモデルとなっている。非特許文献2に示された電気機械モデルは、このような圧電アクチュエータの線形な振る舞いを記述する破線99で囲まれた要素に加えて、圧電アクチュエータのヒステリシスを再現する要素として、MRC要素92を含む。
図21は、このMRC要素92と等価な機械モデル(Maxwell Slip Model)の構成を示す模式図である。この機械モデルは、質量0の物体をばね定数Kのばねで連結して構成された機械要素をn個並列に接続したものである。各要素の物体は、垂直抗力の作用下にあり、これにより、静止摩擦力fが作用する。ここで、x及びFを要素全体の変位及び作用する力とし、xbi及びFを各物体の変位及び作用する力とすると、次式が導出される。
Figure 0005041405
図22は、n=1の場合における機械モデルの変位xと力Fとの関係を示す図であり、図23は、複数の機械要素を並列した機械モデルの変位xと力Fとの関係を示す図である。これら、図22及び図23に示すように、変位xと力Fとの間にはヒステリシスが発生する。また、図22及び図23を比較すると、図22に示す例では、n=1、つまり機械要素の数は1つであるため、このヒステリシスは、直線を組み合わせたものとなる。一方、複数の機械要素を並列にしたモデルでは、各機械要素に対し異なる定数k及びfを入力すると共に、複数の機械要素を並列にすることにより、図23に示すように、各機械要素の直線的な振る舞いを滑らかな曲線で近似できる。
図20に戻って、以上のような機械モデルと等価なMRC要素92を含む、電気機械モデルについて、物体に作用する力F、電荷q、及び電位差Vについて関係式を導出すると、次式のようになる。
Figure 0005041405
ここで、MRC要素92間の電位差Vは、上述の機械モデルからの類推により、ν及びCを定数として、次式により記述される。
Figure 0005041405
非特許文献2に示された電気機械モデルによれば、以上のような数5及び数6を連立することにより、非線形性を考慮にいれた圧電アクチュエータの振る舞いを再現できる。ここで特に、数6に示されたMRC要素92間の電位差Vを含めることにより、圧電アクチュエータのヒステリシスを再現できる。また、この電気機械モデルによれば、パラメータν及びCの値によっては、変極点が複数あるヒステリシス曲線も再現することができる。
C. Raupach, J. Melbert, "Advanced Injection System by Means of Sensor Actuator Function," SAE, no. 2005-01-0908, April 2005 M. Goldfarb, N. Celanovic, "Modeling piezoelectric stack actuators for control of micromanipulation," IEEE Control Systems Magazine, vol. 17, no. 3, pp. 66 -79, June 1997
しかしながら、上述の非特許文献2に示された電気機械モデルでは、数6に示すように、機械要素1つあたりに2つのパラメータν及びCを入力する必要がある。上述のように、ヒステリシス曲線をより滑らかな曲線で再現するには、多くの要素を設ける必要があり、これにより、より多くの数のパラメータν及びCを入力する必要がある。このため、高速演算が可能な演算器が必要となるおそれがある。
また、図22及び図23に示すように、上述のモデルによるヒステリシスでは、変位が大きくなる際の経路と、変位が小さくなる際の経路とは、例えば、原点を中心として対称な経路になる。しかしながら、圧電アクチュエータに発生するヒステリシスには、一般的にこのような対称性がない。したがって、非特許文献2に示された電気機械モデルは、現実の圧電アクチュエータの振る舞いを再現するモデルではなかった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、非線形性を考慮しつつ、高速演算が可能な圧電アクチュエータの制御方法を提供することを目的とする。
(1) 圧電アクチュエータに印加された電圧及び誘起された電荷を入力として、該圧電アクチュエータの変位及び荷重を推定し、該推定された変位及び荷重に基づいて圧電アクチュエータに印加する電圧または電荷量を設定する圧電アクチュエータの制御方法であって、前記圧電アクチュエータの非線形性を考慮したアクチュエータモデルの支援下で、少なくとも次の2つの関数f(q)及びf(q)含む複数の関数に基づいて構成されるヒステリシス関数に基づいて、変位及び荷重を推定することを特徴とする圧電アクチュエータの制御方法。
Figure 0005041405
ただし、qは変数とし、a,b,c,a,b,cは定数とする。
(1)に記載の発明によれば、圧電アクチュエータに印加される電圧は、該圧電アクチュエータの推定された変位及び荷重に基づいて決定される。またここで、変位及び荷重を推定する際には、圧電アクチュエータの非線形性が考慮されたアクチュエータモデルの支援下で、2つの関数f(q)及びf(q)含む複数の関数に基づいて構成されるヒステリシス関数に基づいて推定される。これにより、圧電アクチュエータを、そのヒステリシスを考慮した制御を行うことができる。
ここで、上述の数7の式と、非特許文献2の電気機械モデルに基づく数6の式とを比較する。上述のように非特許文献2の電気機械モデルによれば、より滑らかな曲線でヒステリシスを再現するためには、必要に応じてより多くの要素を設ける必要がある。これに対して、数7において入力が必要なパラメータの数は高々6つである。したがって、非特許文献2に示されたMaxwell Slip Modelに基づく電気機械モデルと比較して、より少ないパラメータ数で圧電アクチュエータの非線形性を再現できるため、高速演算が可能な演算器を設けることなく、安定して圧電アクチュエータを駆動できる。
また、(1)記載の発明によれば、関数f(q)及びf(q)として、互いに異なるパラメータを入力することにより、ヒステリシスの非対称性を容易に考慮することができる。つまり、非対称性を考慮したより現実に近い圧電アクチュエータをモデル化することで、変位及び荷重の推定精度を向上させることができる。
本発明によれば、圧電アクチュエータを、そのヒステリシスを考慮した制御を行うことができる。また、Maxwell Slip Modelに基づく電気機械モデルと比較して、より少ないパラメータ数で圧電アクチュエータの非線形性を再現できるため、高速演算が可能な演算器を設けることなく、安定して圧電アクチュエータを駆動できる。また、非対称性を考慮したより現実に近い圧電アクチュエータをモデル化することで、変位及び荷重の推定精度を向上させることができる。
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の圧電アクチュエータの制御方法に係る一実施形態としての圧電アクチュエータ制御装置1の構成を示すブロック図である。圧電アクチュエータ制御装置1は、圧電アクチュエータ10に印加する目標電圧を設定するF/B制御部20と、該設定された目標電圧で圧電アクチュエータ10を駆動するアクチュエータ駆動部30と、圧電アクチュエータ10の電圧及び電荷を検出する検出部50と、該検出された電圧及び電荷に基づいて圧電アクチュエータ10の変位及び荷重を推定する変位荷重推定部50と、を含んで構成される。
F/B制御部20は、入力された目標変位及び目標荷重と、変位荷重推定部60により推定された推定変位及び推定荷重と、の差分を演算すると共に、圧電アクチュエータ10の変位及び荷重が速やかに目標値に収束するように、圧電アクチュエータ10に印加する目標電圧または目標電荷量を設定する。以下では、F/B制御部10は、圧電アクチュエータ10に印加する目標電圧を設定するものとするが、これに限るものではない。アクチュエータ駆動部30は、F/B制御部20により設定された目標電圧に応じた駆動信号を出力し、圧電アクチュエータ10を駆動する。
図2は、変位荷重推定部60の構成を示すブロック図である。
変位荷重推定部60は、上述の数6に示された連立方程式に基づいて、入力された電荷q及び電圧Vに応じた変位x及び荷重Fを推定する回路である。より具体的には、変位荷重推定部60は、次式に基づいて変位x及び荷重Fを推定する。
Figure 0005041405
ここで、関数f(q)は、ヒステリシス関数であり、後に詳述するように、複数の関数を組み合わせて構成される多価関数である。
より具体的には、この変位荷重推定部60は、上述の多価関数に基づいて電圧Vを算出するヒステリシス演算部61と、変位量xを算出する変位量演算部62と、を備える。また、これらの他、変位荷重推定部60は、第1増幅器63、第2増幅器65、第1減算器66、及び第2減算器67を備える。
ヒステリシス演算部61は、電荷qを入力として、後に図4及び図5を参照して詳述する手順により電圧Vを算出する。第1減算器66は、入力された電圧Vから、ヒステリシス演算部61により算出された電圧Vを減算し、Vを出力する。変位量演算部62は、入力されたV及びqに基づいて、(q−C´V)/Kを演算し、これを変位xとして出力する。第1増幅器63及び第2増幅器65は、それぞれ、入力をα倍及びK倍し出力する。第2減算器67は、入力されたKx−αVを演算し、これを荷重Fとして出力する。以上のような構成により、変位荷重推定部60は、変位x及び荷重Fを推定する。
次に、図3〜図7を参照して、ヒステリシス演算部61の構成について説明する。ヒステリシス演算部61は、電荷qを入力とし、ヒステリシスを考慮した多価関数に基づいてVを出力する。ここで、多価関数f(q)は、次の2つの条件式を満たす関数を、複数組み合わせて構成されるものを用いる。
Figure 0005041405
より具体的には、ヒステリシス演算部61は、次の2つの関数f(q),f(q)と、これら関数f(q),f(q)を平行移動及び対称移動した関数に基づいて記述されるヒステリシス関数によりVを演算する。
Figure 0005041405
ただし、qは変数とし、a,b,c,a,b,cは定数とする。
図3は、数10の関数f(q),f(q)と、これら関数のうちf(q)を平行移動及び対称移動して得られる関数g(q)に基づいて構成されるヒステリシス関数を示す図である。具体的には、f(q)とf(q)との交点をPmin及びPmaxとし、これら交点Pmin及びPmaxを結ぶ直線の中点をIとして、関数g(q)は、関数f(q)を中点Iに関して点対称移動して構成される。
ヒステリシス演算部61は、これら関数のうち、f(q)及びg(q)で形成される閉曲線により構成されるヒステリシス関数により、入力qに対するVを演算する。ここで、ヒステリシス関数は、qが大きくなる場合、すなわちdq/dt≧0である場合には、関数f(q)に基づいてVを決定し、qが小さくなる場合、すなわちdq/dt<0である場合には、関数g(q)に基づいてVを決定する。すなわち、上述の交点Pmin及びPmaxは、それぞれ、ヒステリシス関数におけるqの極小値qmin及び極大値qmaxを入力値とする転換点となっている。
次に、以上のようなヒステリシス関数に基づいて、入力qに対してVを演算する手順について説明する。図4は、ヒステリシス演算部61におけるヒステリシス演算処理の手順を示すフローチャートである。
初めに、ヒステリシス演算部61は、入力q及びその変化率dq/dtを取得し(ステップS1)、ステップS2に移る。ステップS2では、変化率dq/dtに基づいて、qが極大値又は極小値であるかを判別し、この判別がYESである場合には、ステップS3に移り、NOである場合には、ステップS4に移る。具体的には、このステップS2においては、変化率dq/dtに基づいて、入力されたqが上述の図3に示す転換点Pmin及びPmaxの何れかに対応する入力であるかを判別する。
ステップS3では、後に図5を参照して詳述するヒステリシス関数更新処理を行い、ステップS4に移る。このヒステリシス関数更新処理S3は、入力されたqが極大値又は極小値であることに応じて、ヒステリシス関数の転換点を更新する処理である。
ステップS4では、dq/dt≧0であるか否かを判別し、この判別がYESである場合にはステップS5に移り、NOである場合にはステップS6に移る。ステップS5では、関数f(q)に基づいてVを出力し、ヒステリシス演算処理を終了する。ステップS6では、関数g(q)に基づいてVを出力し、ヒステリシス演算処理を終了する。
次に、ヒステリシス関数を更新する手順について説明する。図5は、ヒステリシス演算部61におけるヒステリシス関数更新処理の手順を示すフローチャートである。
初めに、ヒステリシス演算部61は、q>qmaxであるか否かを判別し、この判別がYESである場合にはステップS15に移り、NOである場合にはステップS12に移る。より具体的には、所定の記憶領域に記憶された入力qの履歴に基づいて、ヒステリシス関数の転換点Pmaxに対応する入力値qmaxより大きいか否かを判別する。
ステップS12では、qmin及びVh_minを更新し、ステップS13に移る。具体的には、入力されたqを極小値としてqminを更新すると共に、このqminに対するf(qmin)を演算しこれをVh_minとし、転換点Pminを更新する。
ステップS13では、関数f(q)を平行移動し、関数f´(q)を算出し、ステップS14に移る。具体的には、図6に示すように、関数f(q)を平行移動し、上述のステップS12において更新された転換点Pminと、Pmaxとを通過する関数f´(q)を算出する。ステップS14では、算出されたf´(q)をf(q)として再定義し、図4のステップS4に移る。
ステップS15では、qmax及びVh_maxを更新し、ステップS16に移る。具体的には、入力されたqを極大値としてqmaxを更新すると共に、このqmaxに対するf(qmax)を演算しこれをVh_maxとし、転換点Pmaxを更新する。
ステップS16では、f(q)を平行移動し、関数f´(q)を算出し、ステップS17に移る。具体的には、図6に示すように、関数f(q)を平行移動し、上述のステップS15において更新された転換点Pmaxと、Pminとを通過する関数f´(q)を算出する。ステップS17では、算出されたf´(q)をf(q)として再定義し、ステップS18に移る。
ステップS18では、f(q)を対称移動し、対応する関数g(q)を算出し、図4のステップS4に移る。具体的には、転換点Pmin及びPmaxを結ぶ直線の中点をIとして、関数f(q)を、この中点Iに関して点対称移動することにより、関数g(q)を算出する。
このf(q)の対称移動の具体例について、図7を参照して詳述する。図7は、このステップS18における関数f(q)の対称移動の具体例を示す図であり、転換点Pminを、qmin=0及びVh_min=0とする例を示す。
先ず、転換点Pmin及びPmaxを通過する関数f(q)を、転換点Pminに関して点対称移動し、関数h(q)を算出する。具体的にはこの例では、h(q)=−f(−q)として、関数h(q)を算出する。次に、この関数h(q)を、q軸方向にqmax−qmin平行移動し、V軸方向にVh_max−Vh_min平行移動し、関数g(q)を算出する。以上のようにして、関数f(q)を対称移動及び平行移動することにより、関数g(q)が算出される。
<比較例>
次に、以上のように構成された圧電アクチュエータ制御装置1によって推定された圧電アクチュエータ10の変位及び荷重と、計測された変位及び荷重とを、図8〜図17を参照しながら比較する。
図8は、圧電アクチュエータ10の変位及び荷重を計測する試験装置80の構成を示す模式図である。
試験装置80は、圧電アクチュエータ10を上述の圧電アクチュエータ制御装置10で駆動することにより変位させる駆動対象物としてのターゲット部材81と、このターゲット部材81の変位[m]を計測する変位センサ82と、圧電アクチュエータ10に発生した荷重[N]を計測する荷重センサ83と、これら圧電アクチュエータ10、ターゲット部材81、変位センサ82、及び荷重センサ83を収容する収容部材84と、を備える。
収容部材84は、略筒状であり、その下端部から上端部へ向かって順に、荷重センサ83、圧電アクチュエータ10、及びターゲット部材81が収容される。また、このターゲット部材81は、圧電アクチュエータ10の伸縮に応じて摺動可能になっている。この収容部材84の上端部とターゲット部材81の上端部との間には、ターゲット部材81を圧電アクチュエータ10の上端側へ常時押圧するスプリング85が介装されており、これにより、圧電アクチュエータ10は、ターゲット部材81及び荷重センサ83により挟持される。
変位センサ82は、圧電アクチュエータ10に電圧が印加されていない状態におけるターゲット部材81の位置を0として、この圧電アクチュエータ10が伸張する方向に正を取るものとして、ターゲット部材81の変位を計測する。荷重センサ83は、圧電アクチュエータ10が伸張する方向に沿って作用する荷重を計測する。
また、収容部材84の上端部とターゲット部材81の上端部との間には、上述のスプリング85の他、圧電アクチュエータ10を駆動した場合にターゲット部材81により圧縮される圧縮サンプル86が設けられている。この圧縮サンプル86は、ターゲット部材82を変位させる際に、このターゲット部材81に作用する抵抗力を模したものであり、異なる材質で形成されたサンプルと交換可能となっている。つまり、この圧縮サンプル86の材質を変えることにより、ターゲット部材81に作用する抵抗力を変えることが可能となっている。
図9は、圧電アクチュエータ10に異なる電圧を印加した場合において計測された変位及び荷重の変化を示す図であり、圧縮サンプル86として、サンプル1〜3を用いた場合とサンプルを設けない場合とにおける変位及び荷重の変化を示す図である。ここで、横軸を変位[m−6]とし、縦軸を荷重[N]とする。また、サンプル1〜3は、それぞれ、サンプル1,2,3の順で、その剛性が低くなるような材質のものを用いる。
圧電アクチュエータ10には、該圧電アクチュエータ10を駆動する電圧が、そのピーク値が予め定められた最大値となるように、所定の時間に亘ってパルス状に印加される。ここで、図9には、印加電圧の最大値を、20,40,60,80,100,120,140[V]とした場合における変位及び荷重の変化を示している。
図9に示すように、圧電アクチュエータ10に印加する電圧を所定の時間に亘って変化させると、これに伴い変位センサ82及び荷重センサ83により計測された変位及び荷重はヒステリシスを描く。また、圧電アクチュエータ10に印加する電圧の最大値を大きくするに従い、変位センサ82及び荷重センサ83により計測される変位及び荷重の最大値も大きくなる。また、圧縮サンプル86の剛性が小さくなるに従い、荷重センサ82によって計測される荷重の最大値は小さくなると共に、変位センサ82によって計測される変位も大きくなる。
また、圧縮サンプル86として、サンプルを設けていない場合には、圧電アクチュエータ10の伸張に対抗して該圧電アクチュエータ10を荷重センサ83に押圧する部材は、スプリング85のみであるため、変位は最大印加電圧の大きさにかかわらず略0となる。
次に、図10〜図17を参照して、以上のように印加電圧の最大値を変化させた場合における、変位センサ82及び荷重センサ83により計測された変位及び荷重と、圧電アクチュエータ制御装置1により推定された変位及び荷重とを比較する。
ここで、図10〜図17の各々において、図中の上段のグラフは、従来の圧電アクチュエータ制御装置により推定された変位又は荷重と計測された変位又は荷重との比較例を示し、図中の下段のグラフは、上述の圧電アクチュエータ制御装置1により推定された変位又は荷重と計測された変位又は荷重との比較例を示す。
ここで、従来の圧電アクチュエータ制御装置とは、ヒステリシス関数の非対称性が考慮されていない上述の数5及び数6に基づいて変位及び荷重を推定する圧電アクチュエータ制御装置のことを示す。
図10及び図11は、それぞれ、試験装置80の圧縮サンプル86として最も剛性が高いサンプル1を用いた場合における変位及び荷重の時間変化を示す図である。図12及び図13は、それぞれ、試験装置80の圧縮サンプル86として2番目に剛性が高いサンプル2を用いた場合における変位及び荷重の時間変化を示す図である。図14及び図15は、それぞれ、試験装置80の圧縮サンプル86として最も剛性が低いサンプル3を用いた場合における変位及び荷重の時間変化を示す図である。また、図16及び図17は、それぞれ、試験装置80に圧縮サンプル86を設けていない場合における変位及び荷重の時間変化を示す図である。
また、図10〜図17において、実線は、各最大電圧に対して変位センサ82又は荷重センサ83により計測された変位又は荷重の時間変化を示し、複数のドットで構成された破線は、各最大電圧に対して推定された変位又は荷重の時間変化を示す。
図10,12,14,16に示すように、圧電アクチュエータ制御装置1により推定された変位の時間変化(図中の下段のグラフ参照)は、従来の圧電アクチュエータ制御装置により推定された変位の時間変化(図中の上段のグラフ参照)と比較して、実線で示す計測された変位の時間変化に対してより近い。つまり、圧電アクチュエータ制御装置1による変位の推定性能は、従来の圧電アクチュエータ制御装置と比較して向上している。これら図10,12,14,16に示すように、この推定性能は、圧縮サンプル86の材質、すなわち、ターゲット部材81に作用する抵抗の大きさにかかわらず向上する。また、この推定性能は、圧電アクチュエータ10に印加する電圧の最大値にかかわらず向上する。
また、これらの図10,12,14,16において、破線で囲まれた領域70,72,74,76、すなわち、変位が最大値となってから0へ向けて収束する領域において、変位の推定性能が特に向上する。これは、圧電アクチュエータ制御装置1は、圧電アクチュエータ10のヒステリシスの非対称性を考慮したためである。
図11,13,15,17に示すように、圧電アクチュエータ制御装置1により推定された荷重の時間変化(図中の下段のグラフ参照)は、従来の圧電アクチュエータ制御装置により推定された荷重の時間変化(図中の上段のグラフ参照)と比較して、実線で示す計測された荷重の時間変化に対してより近い。つまり、圧電アクチュエータ制御装置1による荷重の推定性能は、従来の圧電アクチュエータ制御装置と比較して向上している。これら図11,13,15,17に示すように、この推定性能は、圧縮サンプル86の材質、すなわち、ターゲット部材81に作用する抵抗の大きさにかかわらず向上する。また、この推定性能は、圧電アクチュエータ10に印加する電圧の最大値にかかわらず向上する。
また、これら図11,13,15,17において、破線71,73,75,77、すなわち、荷重が最大値となってから0へ向けて収束する領域において、荷重の推定性能が特に向上する。これは、圧電アクチュエータ制御装置1は、圧電アクチュエータ10のヒステリシスの非対称性を考慮したためである。
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
本発明の圧電アクチュエータの制御方法に係る一実施形態としての圧電アクチュエータ制御装置の構成を示すブロック図である。 前記圧電アクチュエータ制御装置の変位荷重推定部の構成を示すブロック図である。 関数f(q)及びf(q)に基づいて構成されるヒステリシス関数を示す図である。 前記実施形態に係る圧電アクチュエータ制御装置のヒステリシス演算処理の手順を示すフローチャートである。 前記実施形態に係る圧電アクチュエータ制御装置のヒステリシス関数更新処理の手順を示すフローチャートである。 関数f´(q)及びf´(q)に基づいて構成されるヒステリシス関数を示す図である。 関数f(q)の対称移動の具体例を示す図である。 圧電アクチュエータの変位及び荷重を計測する試験装置の構成を示す模式図である。 圧電アクチュエータに異なる電圧を印加した場合において計測された変位及び荷重の変化を示す図である。 圧縮サンプルとして最も剛性が高いサンプルを用いた場合における変位の時間変化を示す図である。 圧縮サンプルとして最も剛性が高いサンプルを用いた場合における荷重の時間変化を示す図である。 圧縮サンプルとして2番目に剛性が高いサンプルを用いた場合における変位の時間変化を示す図である。 圧縮サンプルとして2番目に剛性が高いサンプルを用いた場合における荷重の時間変化を示す図である。 圧縮サンプルとして最も剛性が低いサンプルを用いた場合における変位の時間変化を示す図である。 圧縮サンプルとして最も剛性が低いサンプルを用いた場合における荷重の時間変化を示す図である。 圧縮サンプルを設けていない場合における変位の時間変化を示す図である。 圧縮サンプルを設けていない場合における荷重の時間変化を示す図である。 圧電素子の構成を示す模式図である。 積層型の圧電アクチュエータの構成を示す模式図である。 電気機械モデルの構成を示す回路図である。 機械モデルの構成を示す模式図である。 n=1の場合における機械モデルの変位xと力Fとの関係を示す図である。 複数の要素を並列した機械モデルの変位xと力Fとの関係を示す図である。
符号の説明
1…圧電アクチュエータ制御装置、10…圧電アクチュエータ、20…F/B制御部、30…アクチュエータ駆動部、50…検出部、60…変位荷重推定部、61…ヒステリシス演算部、62…変位量演算部、63…第1増幅器、65…第2増幅器、66…第1減算器、67…第2減算器。

Claims (2)

  1. 圧電アクチュエータに印加された電圧及び誘起された電荷を入力として、該圧電アクチュエータの変位及び荷重を推定し、該推定された変位及び荷重に基づいて圧電アクチュエータに印加する電圧または電荷量を設定する圧電アクチュエータの制御方法であって、
    、α及びC´を前記圧電アクチュエータに応じて定められる定数とした下記式により、電荷q及び電圧Vを入力として、変位及び荷重を推定することを特徴とする圧電アクチュエータの制御方法。
    Figure 0005041405
    ここで、上記式における関数f(q)は、変数とし、a,b,c,a,b,c 定数として表される下記関数f (q)と、下記関数f (q)を平行移動及び対称移動して得られる関数g (q)とで構成されるヒステリシス関数である。
    Figure 0005041405
  2. 前記ヒステリシス関数f(q)は、前記関数f (q)と前記関数g (q)とで閉曲線が形成されるように構成された多価関数であり、
    前記電圧V は、電荷qが極小値から極大値へ大きくなる場合には前記関数f (q)によって定められ、電荷qが極大値から極小値へ小さくなる場合には前記関数g (q)によって定められることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータの制御方法。
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