近年、環境問題に対する意識が高まり、消費電力が少ない発光ダイオードによる照明器具や、二酸化炭素の排出が少ないエネルギー供給手段としてソーラーデバイスによる発電など、化合物半導体の開発、量産化が各地で期待されている。従来から、化合物半導体材料を用いる発光ダイオード、半導体レーザ、宇宙用ソーラーパワーデバイス及び高速デバイスの製造においては、トリメチルガリウム(TMG)又はトリメチルアルミニウム(TMA)などの有機金属ガスと、アンモニア(NH3 )、ホスフィン(PH3 )又はアルシン(AsH3 )などの水素化合物ガスとを成膜に寄与する原料ガスとして成長室に導入して化合物半導体結晶を成長させる気相成長法が広く用いられている。
気相成長法は、上記の原料ガスをキャリアガスと共に成長室内に導入して加熱し、所定の被処理基板上で気相反応させることにより、その被処理基板上に化合物半導体結晶を成長させる方法である。気相成長法を用いた化合物半導体結晶の製造においては、成長する化合物半導体結晶の品質を向上させながら、コストを抑えて、歩留まりと生産能力とをどのように最大限確保するかということが常に高く要求されている。
図7は、気相成長法に用いられる従来の縦型シャワーヘッド型気相成長装置の一例の模式的な構成を示す。
この気相成長装置100においては、ガス供給源102から反応炉101の内部の成長室111に反応ガス及びキャリアガスを導入するためのガス配管103が接続されており、反応炉101の内部の成長室111における上部には成長室111に反応ガス及びキャリアガスを導入するための複数のガス吐出孔を有するシャワープレート110がガス導入部として設置されている。
また、反応炉101の成長室111の下部中央には図示しないアクチュエータによって回転自在の回転軸112が設置され、回転軸112の先端にはシャワープレート110と対向するようにしてサセプタ108が取り付けられており、サセプタ108の下部にはサセプタ108を加熱するためのヒータ109が取り付けられている。また、反応炉101の下部には反応炉101の内部における成長室111内のガスを外部に排気するためのガス排気部104が設置されている。このガス排気部104は、パージライン105を介して、排気されたガスを無害化するための排ガス処理装置106に接続されている。
上記のような構成の縦型シャワーヘッド型の気相成長装置100において、化合物半導体結晶を成長させる際には、サセプタ108に被処理基板107が設置され、その後、回転軸112の回転によりサセプタ108が回転させられる。そして、ヒータ109の加熱によりサセプタ108を介して被処理基板107が所定の温度に加熱され、シャワープレート110に形成されている複数のガス吐出孔から反応炉101の内部の成長室111に反応ガス及びキャリアガスが導入される。
上記縦型シャワーヘッド型の気相成長装置100では、ガスの流れ方向に対する反応ガス供給量の減少が小さいため、サセプタ108上に設置された被処理基板107の表面に、ほぼ均一に反応ガスを供給することができる。それゆえ、大型化した際にも膜厚の均一性の実現が期待される。
しかし、このような縦型シャワーヘッド型の気相成長装置100において、大量の被処理基板107を一度に処理するために大型化すると、サセプタ108における基板載置面の加工精度の影響が大きくなり、各被処理基板107の温度均一性が悪くなり、チップの膜厚が不均一になるという問題が生じる。すなわち、この場合、被処理基板107の載置面における接触状態の程度が温度の均一性に影響する。
この問題を解決するために、特許文献1には、サセプタと基板載置プレ−ト(トレイ)とを別個に形成し、組み合わせて使用する手段が開示されている。具体的には、図8示すように、サセプタ200に設けられた収容凹部201に基板載置プレート202が取り外し可能に収容され、さらに被処理基板203が上記基板載置プレート202に載置される構成である。なお、おいては、基板載置プレート202は、収容凹部201よりも小径に形成され、上面が球面凹部となっている。
これにより、基板載置プレート202をサセプタ200から分離し、被処理基板203の載置面の加工精度を向上して被処理基板203の温度の均一性を向上させると共に、欠陥が発生した際にも一部を交換することによってサセプタ200全体の廃棄を生じず、コスト削減が期待できる。
しかしながら、特許文献1に開示された構成では、大量の被処理基板203を一度に処理するために大型化すると、搭載する被処理基板203の枚数が増える。この結果、被処理基板203の設置・取り出しに時間がかかり、タクトタイムが悪化する問題がある。また、サセプタ200が被処理基板203以外の平面部分で露出しているため、サセプタ200が汚れてしまった場合には、反応炉を開放してメンテナンスを行う必要があり、稼働率の低下を招く。
そこで、この問題を解決するために、特許文献2には、複数枚の被処理基板を載せて成膜処理できるサセプタの露出部に蓋体を被せるものが示されている。具体的には、図9(a)(b)に示すように、サセプタである基板支持具310は被処理基板301が載置される凸部311…を有しており、この基板支持具310には、凸部311…に対応した開口321を有するカバー320が被せられるようになっている。これにより、基板支持具310の表面が被処理基板301以外で露出するということがなくなる。従って、一度に大量の上記被処理基板301を保持し、短時間での搬送を実現し、タクトタイムの向上を図ることができる。
また、特許文献3には、図10(a)(b)に示すように、サセプタ410に形成された凸部411に対応する開口421・422を有し、内周部に被処理基板401を支持する基板支持肩部423が設けられたトレイ420が開示されている。このトレイ420は、図10(c)に示すように、複数枚の被処理基板401…を載せてこの処理室402に搬送できるようになっている。そして、複数枚の被処理基板401を搬送するときには、図10(a)に示すように、トレイ420の基板支持肩部423が被処理基板401の縁部を保持することにより搬送できる。
一方、被処理基板401をサセプタ410の凸部411に載置するときには、まず、トレイ420を水平移動して被処理基板401をサセプタ410の凸部411の上方に位置付けた後、トレイ420を下降移動させる。ここで、サセプタ410に形成された凸部411の高さH2は、トレイ420の基板支持肩部423の高さH1よりも高くなっている。このため、トレイ420を下降させてサセプタ410の表面412に当接させたときには、トレイ420の基板支持肩部423と被処理基板401の縁部との係合が解除されるので、被処理基板401はサセプタ410に形成された凸部411に載置される。この結果、被処理基板401とサセプタ410の凸部411とを密着させ、被処理基板401への熱伝導を向上させることができるようになっている。なお、被処理基板401をサセプタ410の凸部411に載置したときには、トレイ420は、サセプタ410の凸部411以外を覆うカバーとしての機能を有している。
さらに、特許文献4には、図11に示すように、被処理基板501の縁部及びサセプタ510のサセプタ側面511を覆うカバー520が開示されている。この結果、特許文献4では、複数の被処理基板501を確実に固定できるものとなっている。
また、特許文献5には、図12に示すように、プレート搬送保持部材である保持リング610の開口段差611に基板載置プレート620を配置し、基板載置プレート620の露出面621を覆うカバーリング630を有するトレイ600が開示されている。すなわち、トレイ600は、円板状の基板載置プレート620、プレート搬送保持部材である保持リング610及びカバーリング630の3個の部品から構成されている。また、矩形流路底板640と一緒に保持リング610をサセプタ650から持ち上げるため、保持リング610の外側にも段差612が形成されている。さらに、保持リング610の下部にはスカート613が形成されている。被処理基板601は、基板載置プレート620上においてカバーリング630の開口内側に載置されており、このカバーリング630によって被処理基板601が基板載置プレート620上を前後左右に動かないようになっている。
この状態で、被処理基板601及びカバーリング630を載置した基板載置プレート620、並びに保持リング610を矩形流路底板640に載せて反応炉の内部に搬入し、保持リング610をサセプタ650の上に載せる。保持リング610のスカート613がサセプタ650の外側に嵌合すると、基板載置プレート620は保持リング610から離間する。すなわち、基板載置プレート620が保持リング610から離間するように、開口段差611と段差612との寸法が決められている。この結果、サセプタ650の上面に基板載置プレート620の下面が直接接触して保持される。そして、基板載置プレート620の上下面を凹凸のない構造とすることによって、サセプタ650と基板載置プレート620との密着度を高めることにより、被処理基板601の部分的な温度変動を抑制するようになっている。
特開平2−43722号公報(1990年2月14日公開)
特開2006−173560号公報(2006年6月29日公開)
特開2007−109770号公報(2007年4月26日公開)
特開平06−322533号公報(1994年11月22日公開)
特開2002−373863号公報(2002年12月26日公開)
上述のとおり、図8に示す上記特許文献1では、基板載置プレート202をサセプタ200から分離しているので、大型化によって被処理基板の載置面における加工精度が悪くなるという問題は解決される。また、特許文献1の問題である基板載置プレート202が汚れると問題については、特許文献2〜5によって解決されるものとなっている。
しかしながら、上記従来の特許文献2〜5に記載のサセプタ及びトレイでは、以下の問題点を有している。
まず、図9(a)(b)に示す上記特許文献2では、カバー320の存在によりサセプタである基板支持具310が汚れることはない。しかし、特許文献1のようなサセプタ200から分離した被処理基板203毎の基板載置プレート202を用いていないので、その構成上、大型化した場合の基板支持具310の表面における加工精度の確保が難しい。
また、図10(a)(b)(c)に示す特許文献3に記載のトレイ420では、トレイ自体がカバーの役割を兼ねている。このことは、逆に、トレイ420に生成物が容易に付着することを示しており、メンテナンス性に問題を有する構成となっている。また、サセプタ410に被処理基板401を載置する凸部411を形成する必要があるため、凸部411の表面の加工精度及びコストの面で問題を有している。
さらに、図11に示す特許文献4では、被処理基板501の縁部がカバー520で覆われているため、成膜有効面積が減るという問題を有している。
また、図12に示す特許文献5に記載のトレイ600では、カバーリング630は基板載置プレート620の周囲のみ覆っているので、基板載置プレート620とプレート搬送保持部材である保持リング610との接点が露出している。このため、この接点に形成される隙間から反応ガスが侵入し、保持リング610又はサセプタ650に生成物が固着するので、短い周期でのメンテナンスを要し、稼働率の低下を招くという問題を有している。
以上のように、上記従来のトレイでは、トレイ内部、及びトレイとサセプタとの接触面へ反応ガスが侵入して、反応物が固着し、上記トレイ内部及びサセプタを汚染する。それゆえ、接触面状態が変化し、被処理基板表面の熱均一性が悪化することにより膜厚の均一性が失われるという問題を有する。さらに、サセプタが汚染された場合にはメンテナンスのために反応炉を開放する必要があるため、稼働率が低下するという問題を有する。また、成膜有効面積が減るのはよくないという問題を有している。
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、被処理基板の成膜有効面積の減少を回避し、サセプタへの反応ガスの侵入による膜厚の均一性を損なわず、かつサセプタのメンテナンスの頻度を低減し得るトレイ、気相成長装置及び気相成長方法を提供することにある。
本発明のトレイは、上記課題を解決するために、被処理基板を載置した状態でサセプタ上に搬送するトレイにおいて、表面に少なくとも一つの凹部を有し、その凹部内に上記被処理基板を載置状態に収納する基板載置プレートと、上記基板載置プレートを搬送するときに該基板載置プレートの外周張出部を下側から保持する保持部を有する穴を備えたプレート搬送保持部材と、上記基板載置プレートの周辺部と上記プレート搬送保持部材における該基板載置プレートの周辺部からのはみ出し部分とを上から覆うカバープレートとが設けられていることを特徴としている。
上記発明によれば、基板載置プレートの周辺部とプレート搬送保持部材との隙間部分をカバープレートが覆う構成である。このため、カバープレートが基板載置プレートとプレート搬送保持部材との隙間部分からの反応ガスの侵入を確実に防ぐため、トレイ内部及びサセプタの生成物固着による汚染を防止する。また、カバープレートは、プレート搬送保持部材における、基板載置プレートの周辺部からのはみ出し部分をも覆う構成であるので、プレート搬送保持部材の上面が反応ガスによって汚染されることもない。従って、サセプタのメンテナンス間隔が長くなり、稼働率の向上を図ることができる。
また、トレイ内部及びサセプタの生成物の固着を防止することにより、サセプタと基板載置プレートとの接触面状態を良好に保つことができる。従って、基板表面の熱均一性、延いては、薄膜の膜厚を均一に保つことができる。さらに、上記カバープレートは、上記被処理基板を覆わないため、被処理基板の成膜有効面積を維持できる。
この結果、被処理基板の成膜有効面積の減少を回避し、サセプタへの反応ガスの侵入による膜厚の均一性を損なわず、かつサセプタのメンテナンスの頻度を低減し得るトレイを提供することができる。
また、本発明のトレイでは、上記基板載置プレートの周辺部には庇状に張り出す外周張出部が形成されており、上記プレート搬送保持部材の保持部は、上記基板載置プレートを搬送するときに該基板載置プレートの外周張出部を下側から保持する切り欠きにより形成された段差部からなっていると共に、上記基板載置プレートがサセプタ上に搬送されて該サセプタ上に載置されたときには、上記プレート搬送保持部材の段差部の上面が上記基板載置プレートの上記外周張出部の下面に接触しないようにして上記プレート搬送保持部材も該サセプタ上に載置されると共に、上記カバープレートは、基板載置プレートの周辺部の上面に載置されることが好ましい。すなわち、プレート搬送保持部材の段差部の上面における該プレート搬送保持部材の底面からの高さは、基板載置プレートの外周張出部の下面における該基板載置プレートの底面からの高さよりも低くなるように形成されていることが好ましい。また、プレート搬送保持部材の最上面における該プレート搬送保持部材の底面からの高さは、カバープレートを基板載置プレートの周辺部の上面に載置したときにおける該基板載置プレートの底面から該カバープレートの下面までの高さよりも低くなるように形成されていることが好ましい。
上記発明によれば、トレイがサセプタ上に設置されたときに、基板載置プレートとプレート搬送保持部材とが互いに接触しない構成である。それゆえ、基板載置プレートの底面はサセプタ上に均一に接触して載置されるため、加工精度及び熱膨張に起因するプレート搬送保持部材の反り返りや傾きの影響を受けずに、被処理基板へ均一に熱を伝えることができる。従って、被処理基板の温度均一性を保つことにより、膜厚を均一にできる。
また、本発明のトレイでは、上記カバープレートは、上記基板載置プレートがサセプタ上に搬送されて該サセプタ上に載置されたときに上記プレート搬送保持部材の側面の少なくとも上側を覆うように周辺から立ち下がる垂下部を有していることが好ましい。
上記発明によれば、カバープレートは、基板載置プレート上面の外周部分及びプレート搬送保持部材の側面の少なくとも上側を覆う構成である。それゆえ、プレート搬送保持部材の最上面とカバープレートの下面との間における隙間部分の端部からの反応ガスの侵入を確実に防ぎ、トレイ内部及びサセプタの生成物固着による汚染を防止する。また、プレート搬送保持部材はカバープレートに覆われ露出面が減少するため、生成物固着による汚染されることを防止することができる。従って、プレート搬送保持部材のメンテナンス間隔が長くなり、稼働率の向上が図ることができる。
また、本発明のトレイでは、上記基板載置プレートの外周張出部の外周縁表面には、切り欠き部が形成されており、上記切り欠き部の深さは、上記基板載置プレートがサセプタ上に搬送されて該サセプタ上に載置され、かつ基板載置プレートの外周縁表面における切り欠き部の上面にカバープレートが載置されているときに、上記基板載置プレートの上面と上記カバープレートの上面との高さが同一面上となるように形成されていることが好ましい。
上記発明によれば、基板載置プレートの上面とカバープレートの上面との高さが同一面上となるように形成されているので、トレイ上面は、段差のない平面に形成される構成である。それゆえ、反応ガスの流れが乱れず、被処理基板上での反応ガス濃度分布が均一になるため、膜厚の均一性の向上を図ることができる。
また、本発明のトレイでは、上記基板載置プレートにおける上記被処理基板を載置状態に収納する凹部内には、上記凹部よりも小径の小径凹部が形成されていることが好ましい。
上記発明によれば、被処理基板が、基板載置プレートに載置されたときには、被処理基板と基板載置プレートとの間に空間が生じる構成となっている。このため、被処理基板への熱伝導は、被処理基板と基板載置プレートとの接触面ではなく、専ら空間が媒体になる。それゆえ、被処理基板と基板載置プレートとの接触面の粗さによらず、上記被処理基板に対して均一に熱を伝えることができ。すなわち、基板載置プレートの凹部における基板載置面の加工精度の影響を受けることなく、被処理基板の温度均一性を保つことができる。従って、被処理基板上に形成される薄膜の膜厚をより均一にすることができる。
また、本発明のトレイでは、上記基板載置プレートには、上記被処理基板を載置状態に収納する凹部が複数設けられていることが好ましい。
上記発明によれば、基板載置プレートに複数の被処理基板を載置できる構成である。それゆえ、複数の被処理基板を一度に搬送して成膜することができるため、生産能力の向上を図ることができる。
また、本発明のトレイでは、上記プレート搬送保持部材の内周には、上記切り欠きにより形成された段差部から該プレート搬送保持部材の上面に向かって内径が大きくなるように立ち上がる傾斜壁が形成されていると共に、上記プレート搬送保持部材は、上記基板載置プレートを搬送するときに該基板載置プレートの外周張出部を、上記傾斜壁にて下側から保持することが好ましい。すなわち、基板載置プレートの外周張出部の外径は、プレート搬送保持部材の傾斜壁の下端内径よりも大きく形成されていることが好ましい。
上記発明によれば、搬送時に傾斜壁の傾斜面で基板載置プレートの外周張出部を保持する構成である。それゆえ、基板載置プレートの位置合わせを容易に行うことができると共に、基板載置プレート及び被処理基板に振動を与えることなく搬送することが可能となる。
また、本発明の気相成長装置は、上記課題を解決するために、上記トレイを備え、被処理基板を搭載した上記トレイを反応室内のサセプタに搬送配置し、加熱しながら該被処理基板にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)又は光CVD(Chemical Vapor Deposition)にて気相成長することを特徴としている。
上記発明によれば、上記トレイを備えるため、メンテナンス性に優れ、高い生産能力を有する気相成長装置を実現することができる。
また、本発明の気相成長方法は、上記課題を解決するために、上記トレイを備え、被処理基板を搭載した上記トレイを反応室内のサセプタに搬送配置し、加熱しながら該被処理基板にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)又は光CVD(Chemical Vapor Deposition)にて気相成長することを特徴としている。
上記方法によれば、上記トレイを使用するため、被処理基板上に均一な膜厚を有する薄膜を高い生産能力で形成することができる。
また、本発明の気相成長法は、上記カバープレートの上面の高さが、上記トレイがサセプタ上に載置されたときの上記基板載置プレートに載置された被処理基板の上面の高さと同一又はそれよりも低くなるようにすることが好ましい。
上記方法によれば、カバープレートの上面が基板載置プレートに載置された被処理基板の上面よりも少なくとも低く形成されたトレイを用いる。それゆえ、反応ガスの流れが乱れず、被処理基板上での反応ガス濃度分布が均一になるため、より均一な膜厚を有する薄膜を成膜することができる。
また、本発明の気相成長法では、上記基板載置プレートの上面の高さが、上記トレイがサセプタ上に載置されたときの上記基板載置プレートに載置された被処理基板の上面の高さと同一又はそれよりも低くなるようにすることが好ましい。
上記方法によれば、基板載置プレートの上面が基板載置プレートに載置された被処理基板の上面よりも少なくとも低く形成されたトレイを用いる。それゆえ、反応ガスの流れが乱れず、被処理基板上での反応ガス濃度分布が均一になるため、より均一な膜厚を有する薄膜を成膜することができる。
本発明のトレイは、以上のように、表面に少なくとも一つの凹部を有し、その凹部内に上記被処理基板を載置状態に収納する基板載置プレートと、上記基板載置プレートを搬送するときに該基板載置プレートの周辺部を下側から保持する保持部を有する穴を備えたプレート搬送保持部材と、上記基板載置プレートの周辺部と上記プレート搬送保持部材における該基板載置プレートの周辺部からのはみ出し部分とを上から覆うカバープレートとを備えるものである。
本発明の気相成長装置は、以上のように、上記記載のトレイを備え、被処理基板を搭載した上記トレイを反応室内のサセプタに搬送配置し、加熱しながら該被処理基板にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)又は光CVD(Chemical Vapor Deposition)にて気相成長するものである。
本発明の気相成長方法は、以上のように、被処理基板を搭載した上記記載のトレイを用いて、該トレイを反応室内のサセプタに搬送配置し、加熱しながら該被処理基板にMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)又は光CVD(Chemical Vapor Deposition)にて気相成長する方法である。
それゆえ、被処理基板の成膜有効面積の減少を回避し、サセプタへの反応ガスの侵入による膜厚の均一性を損なわず、かつサセプタのメンテナンスの頻度を低減し得るトレイ、気相成長装置及び気相成長方法を提供することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について図1乃至6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態の図面において、同一の参照符号は、同一部分又は相当部分を表わすものとする。
図1は、本実施の形態におけるトレイを備えた基板処理装置の一例である縦型シャワーヘッド型気相成長装置を示す構成図である。本実施の形態の気相成長装置1は、図1に示すように、中空部である成長室3を有する反応炉2と、底面にシャワープレート31を持つシャワーヘッド30と、回転自在の回転軸4と、該回転軸4を取り囲むようにして設置された被覆板8と、回転軸4の一端に備え付けられた支持台5と、上記支持台5上に設置されたヒータ6と、該ヒータ6上に設置されたサセプタ7とを含んでいる。さらに、サセプタ7上には、被処理基板24が載置されたトレイ20が設置されるようになっている。
また、上記気相成長装置1においては、図2に示すように、反応炉2は隣り合って設置されたロードロック室13にゲートバルブ10とを介して接続されている。ロードロック室13内は中空であり、その内部にトレイ20搬送するための搬送機構16が設置されている。搬送機構16は、シャフト17と、その先端に取り付けられたトレイ20の周囲を保持し、トレイ20の搬送設置を行うための馬蹄形状のフォーク18と、モーターなどを介してシャフトを移動させることのできる図示されない駆動部とからなる。これにより、被処理基板24を載置したトレイ20をフォーク18に設置し、気相成長装置1の反応炉2内部のサセプタ7上へ搬送し、基板成膜処理を行うことができる。
上記シャワープレート31は、サセプタ7と向かい合うようにしてそれぞれ設置されている。また、回転軸4は、図示されないアクチュエータなどによって回転自在とされており、回転軸4の回転により、サセプタ7の上面が、対向する上記シャワープレート31と平行な状態を保ちながら回転する。反応炉2の下部には該反応炉2の成長室3内のガスを外部に排気するためのガス排気部51が設置されており、該ガス排気部51は、パージライン52を介して、排気されたガスを無害化するための排ガス処理装置53に接続されている。
また、III 族系ガス供給源40からキャリアガスを含むIII 族系ガスが、マスフローコントローラ48及びIII 族系ガス配管46を介して、シャワーヘッド30のガス混合室33に導入される。さらに、V族系ガス供給源41からキャリアガスを含むV族系ガスが、マスフローコントローラ49及びV族系ガス配管47を介して、上記シャワーヘッド30の上記ガス混合室33に導入される。また、水冷供給部32には、水冷系配管34により水冷装置35から水冷が供給される。なお、配管に取り付けられたバルブ類に関する記載は省略している。上記ガス混合室33で混合された原料ガスは成長室3へ導入され、このとき、ヒータ6によって、サセプタ7及びトレイ20を介して被処理基板24が加熱され、被処理基板24上での成膜化学反応が促進される。これにより、被処理基板24上に薄膜が形成される。
本実施の形態では、原料ガスは、III 族の原料ガスとV族の原料ガスとを用いている。III 族の原料ガスとしては、Ga(ガリウム)及びAl(アルミニウム)をそれぞれ含む、トリメチルガリウム(TMG)とトリメチルアルミニウム(TMA)などを用いると共に、V族の原料ガスとしてはAs(ヒ素)を含むアルシン(AsH3 )などを用いている。また、それそれぞれのキャリアガスとして、水素ガス、及び窒素ガスを用いている。そして、これらを事前に混合し、原料ガス導入口から混合ガスを供給している。
III 族系ガスは、その他にIn(インジウム)を含むトリメチルガリウム(TMG)などの有機金属ガスをよく用いることができる。また、V族系ガスとしては、その他にN(窒素)を含むアンモニア(NH3 )や、P(リン)を含むホスフィン(PH3 )などを用いることができる。
以上のような構成の気相成長装置1において、本実施の形態では、上記トレイ20は、特徴的な構成を有している。以下、図3(a)(b)及び図4を用いて本実施の形態におけるトレイ20ついて詳細に説明する。図3(a)は、本実施の形態におけるトレイ20がサセプタ7に設置されるときの基本的な構成を示す断面図である。
上記トレイ20は、図3(a)に示すように、基板載置プレート21と、プレート搬送保持部材22と、カバープレート23とから構成されている。
上記基板載置プレート21には、被処理基板24を収納するための凹部21cが1つ形成されている。凹部21cは被処理基板24の大きさ、形状に応じて形成されている。また、凹部21cの数は、特に限定されず、複数形成されてもよい。これにより、複数枚の被処理基板24を同時に載置することができる。
本実施の形態のトレイ20には、熱均一性の観点から、上記凹部21cの基板載置面に、該凹部21cよりも小径の小径凹部21dがさらに形成されている。このため、被処理基板24が、基板載置プレート21の凹部21cに載置されたときに、被処理基板24と凹部21cの基板載置面との間に空間が生じている。これにより、被処理基板24への熱伝導は、被処理基板24と凹部21cとの接触面ではなく、専ら上記空間が媒体となって熱を被処理基板24に伝導することになる。それゆえ、被処理基板24と基板載置プレート21との接触面の粗さによらず、被処理基板24に対して均一に熱を伝えることができる。
すなわち、基板載置プレート21の凹部21cにおける基板載置面の加工精度の影響を受けることなく、被処理基板24の温度均一性を保つことができる。従って、被処理基板24上に形成される薄膜の膜厚を、より均一にすることができる。
また、上記基板載置プレート21には、庇状に張り出す外周張出部21aが形成されている。外周張出部21aは、図3(a)に示すように、サセプタ7への設置時には、カバープレート23が外周縁表面の上面で接触するように形成されている。これにより、反応ガスのトレイ20内への侵入を防止することができる。
さらに、凹部21cの縁部分の高さhは、被処理基板24の表面よりも高くならないことが好ましい。これにより、トレイ20上の反応ガスの流れが滞ることを防止できるため、膜厚の均一化を図ることができる。
トレイ20のサセプタ設置時に、カバープレート23と接触する外周張出部21aの外周縁表面部の上面部分に、カバープレート23の厚み分だけ切り欠いた切り欠き部21bが形成されていることが好ましい。これにより、基板載置プレート21とカバープレート23との表面の高さを略同一にすることができる。それゆえ、トレイ20上の反応ガスの流れが滞ることを防止できるため、膜厚の均一化を図ることができる。
このように、トレイ20上の反応ガスの流れが乱れることを防止する観点から、トレイ20の表面は、被処理基板24が載置された状態において、凹凸を有さないように平面化することが好ましい。
また、上記プレート搬送保持部材22は、図3(a)に示すように、基板載置プレート21の底部を挿入可能な穴22bを有している。穴22bの外周部分には段差部22aが形成され、上記基板載置プレート21の外周張出部21aと、カバープレート23の段差部22aとの間に隙間を生じるよう、上記外周張出部21a及び段差部22aとの高さが規定されている。すなわち、プレート搬送保持部材22の段差部22aの上面における該プレート搬送保持部材22の底面からの高さは、基板載置プレート21の外周張出部21aの下面における該基板載置プレート21の底面からの高さよりも低くなるように形成されている。また、プレート搬送保持部材22の最上面における該プレート搬送保持部材22の底面からの高さは、カバープレート23を基板載置プレート21の外周張出部21aの上面に載置したときにおける該基板載置プレート21の底面から該カバープレート23の下面までの高さよりも低くなるように形成されている。
上記穴22bは貫通孔であることが好ましく、これにより、基板載置プレート21を確実にサセプタ7に直接設置できる。それゆえ、トレイ20が、サセプタ7に設置されるときに、基板載置プレート21とプレート搬送保持部材22とが一切接触しないため、基板載置プレート21に対する、プレート搬送保持部材22の加工精度及び熱膨張に起因する反り返りや傾きの影響を排除することができる。従って、穴22bを貫通孔とすることにより、サセプタ7と基板載置プレート21との接触面の粗さが粗くならないようにすることができる。
上記カバープレート23には、基板載置プレート21の外周部分に対応する部分に、被処理基板24の成膜面を露出させるための貫通孔(以下、開口部23aとする。)が形成されている。開口部23aの大きさは、基板載置プレート21の被処理基板24を収納する上記凹部21cよりも大きなものになっている。これにより、上記被処理基板24の全表面を露出させつつ基板載置プレート21と上記プレート搬送保持部材22とを上から覆う構造になっている。この結果、サセプタ7に設置されたときに、図3(a)に示すように、カバープレート23は、基板載置プレート21の外周張出部21aによって保持され、基板載置プレート21とプレート搬送保持部材22との間に生じる空洞部分を完全に覆っている。これにより、トレイ20内への反応ガスの侵入を防止することができる。
また、カバープレート23の表面は、被処理基板24の表面よりも高くならないことが好ましい。これにより、被処理基板24上の反応ガスの流れが乱れることを防止できるため、膜厚の均一化を図ることができる。
さらに、上記カバープレート23は、プレート搬送保持部材22の側面の少なくとも上側を覆うように周辺から立ち下がる垂下部23bを有していることが好ましい。これにより、プレート搬送保持部材22の最上面とカバープレート23の下面との間における隙間部分の端部からの反応ガスの侵入を確実に防ぎ、トレイ20内部及びサセプタの生成物固着による汚染を効果的に防止することができる。
また、プレート搬送保持部材22はカバープレート23に覆われ露出面が減少するため、生成物固着による汚染されることを防止することができる。従って、プレート搬送保持部材22自体のメンテナンス間隔も長くなり、稼働率の向上が図ることができる。
トレイ20の素材は、特に限定されず、例えばアルミナ、窒化アルミニウム、ジルコニア、イットリア、窒化シリコン、炭化シリコンなどのセラミクス材や、アルマイトで被覆したアルミニウム、表面にセラミクスを溶射したアルミニウム、樹脂材料で被覆したアルミニウムなどの金属などを広く用いることができる。
図3(b)は、本実施の形態におけるトレイ20が搬送されるときの基本的な構成を示す断面図である。すなわち、図3(b)は、図2に示すような上記フォーク18上に保持された状態の上記トレイ20における各構成部の関係を示している。
基板載置プレート21の外周張出部21aは、図3(b)に示すように、搬送時には、カバープレート23とは接触しないが、プレート搬送保持部材22とは外周張出部21aの下側が、プレート搬送保持部材22の段差部22aの上面に接触するように形成されている。これにより、基板載置プレート21全体が、プレート搬送保持部材22に下側から保持されて搬送されることになる。
なお、本実施の形態のトレイ20においては、プレート搬送保持部材22の段差部22aからプレート搬送保持部材22の上面に向かって内径が大きくなるように立ち上がる傾斜壁22cが形成されている。そして、基板載置プレート21の外周張出部21aの外径は、プレート搬送保持部材22の傾斜壁22cの下端内径よりも大きく形成されている。
これにより、搬送時に、基板載置プレート21の外周張出部21aは、傾斜壁22cによって保持される。それゆえ、基板載置プレート21の位置合わせを容易に行うことができると共に、基板載置プレート21及び被処理基板24に振動を与えることなく搬送することが可能となる。
図4は、本実施の形態におけるトレイ20の平面図である。トレイ20は、図4から明らかなように、基板載置プレート21とプレート搬送保持部材22との隙間部分が、カバープレート23が完全に覆われる構成である。それゆえ、カバープレート23が、基板載置プレート21とプレート搬送保持部材22との隙間部分からの反応ガスの侵入を確実に防ぐため、トレイ20内部及びサセプタ7の生成物固着による汚染を防止する。従って、サセプタ7及びプレート搬送保持部材22のメンテナンス間隔が長くなり、稼働率の向上が図ることができる。
本実施の形態のトレイ20における変形例であるトレイ20a〜20cについて、図5(a)〜(c)を用いて説明する。図5(a)〜(c)は、本実施の形態のトレイ20における変形例のトレイ20a〜20cを示す平面図である。
トレイ20aは、図5(a)に示すように、複数の被処理基板24を収納できるように、凹部21cが複数設けられた基板載置プレート21を備えている構成である。プレート搬送保持部材22とカバープレート23とは、トレイ20と同じ形状のものを用いることができる。このように、基板載置プレート21の凹部21cは、被処理基板24の大きさ、形状及び枚数などに応じて形成できる。これにより、複数の被処理基板24を一度に搬送して成膜することができるため、生産能力の向上を図ることができる。
トレイ20bは、図5(b)に示すように、基板載置プレート21を複数備えている構成である。トレイ20bにおいては、基板載置プレート21の底面の大きさ、形状及び個数などに応じた前記穴22bが形成されたプレート搬送保持部材22と、基板載置プレート21の前記凹部21cの大きさ、形状及び個数などに応じた前記開口部23aが形成されたカバープレート23とを備えることが好ましい。これにより、各基板載置プレート21が、サセプタ7上に直接設置される。それゆえ、基板載置プレート21の底面はサセプタ7上に均一に接触して設置されるため、加工精度及び熱膨張に起因する上記プレート搬送保持部材22の反り返りや傾きの影響を受けずに、被処理基板24へ均一に熱を伝えることができる。従って、被処理基板24の温度均一性を保つことによって膜厚を均一にすることができる。
トレイ20cは、図5(c)に示すように、前記凹部21cが複数設けられた基板載置プレート21を複数備えている構成である。プレート搬送保持部材22とカバープレート23とは、トレイ20bと同じ形状のものを用いることができる。これにより、さらに複数の被処理基板24を一度に搬送して成膜することができるため、生産能力のさらなる向上を図ることができる。
本実施の形態のトレイ20のさらに他の変形例について、図6(a)(b)及び図7を用いて説明する。図6(a)は、他の変形例におけるトレイ20dがサセプタ7に設置されたときの基本的な構成を示す断面図である。また、図6(b)は、他の変形例におけるトレイ20dが搬送されるときの基本的な構成を示す断面図である。
トレイ20dは、図6(a)に示すように、トレイ20とは異なり、プレート搬送保持部材22の段差部22aからプレート搬送保持部材22の上面に向かって内径が大きくなるように立ち上がる前記傾斜壁22cが形成されていない構成である。この場合、搬送時には、図6(b)に示すように、段差部22aの上面で、基板載置プレート21の外周張出部21aの下側が保持されることになる。これにより、トレイ20dを安定した状態で搬送することができる。
本実施の形態では、トレイ20を、縦型MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)気相成長装置1に用いる場合について説明したが、これに限らず、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)又は光CVD(Chemical Vapor Deposition)にて気相成長させる気相成長装置1に用いることも可能である。これにより、メンテナンス性に優れ、高い生産能力を有する気相成長装置1並びに気相成長方法を実現できる。
なお、MOCVDは、化合物半導体結晶を成長させて薄膜を形成するものであり、プラズマCVDは、反応ガスをプラズマ状態に励起して薄膜を形成するものであり、光CVDは、化学反応や熱分解を促進させるために光を照射して薄膜を形成するものである。
また、上記気相成長方法においては、トレイ20上の反応ガスの流れが滞ることを防止する観点から、トレイ20の表面は、被処理基板24が載置された状態において、基板載置プレート21及びカバープレート23の表面の高さが、被処理基板24の表面の高さと同一又はそれよりも低くなることが好ましい。これにより、トレイ20上の反応ガスの流れが乱れず、被処理基板24上での反応ガス濃度分布が均一になるため、より均一な膜厚を有する薄膜を成膜することができる。
本発明においては、トレイとその構成部材の形状、及びトレイを使用する基板処理装置の構成、及び構成する部材の形状が図1から図4に示す形状に限定されないことは言うまでもない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。