JP5043650B2 - カラーフィルター用インクジェットインク組成物、カラーフィルターの製造方法、及びカラーフィルター - Google Patents
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Description
このようなカラーフィルターにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッターとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
これらの各細部を構成する樹脂層には、皮膜としての密着性、膜厚均一性、強度、硬度、カラーフィルター製造工程において熱収縮や膜減りを生じない耐熱性等の共通の物性についてある程度の性能が要求されることに加えて、例えば、光学特性が重視される画素部としての樹脂層には、パターン形状の精細度や、透明性、耐変色性等の特性に優れていることが特に求められる。
また、液晶表示装置の高画質化・高精細化が望まれている現状においては、その解決策として、ITO(Indium Tin Oxide)透明電極の低抵抗化、および薄膜化が必要とされている。これに伴い、ITO透明電極の形成工程は、より高温でスパッタリングを行う必要性が生じている。従って、カラーフィルターの各細部を構成する樹脂層には、このような高温でのITO透明電極形成時の耐熱性も求められている。
また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。
さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化性樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
インクジェット方式でインクを正確なパターンに合わせて吹き付けて画素を形成するためには、吐出ヘッドから吐出する際の直進性、安定性が求められる。しかし、インクの蒸発速度が早すぎると、吐出ヘッドのノズル先端でインクの粘度が急激に増加してインク滴の飛行曲がりが発生したり、時間を空けて間歇的に吐出すると目詰まりを起こして再吐出できなくなったりする。
また、カラーフィルターの細部を熱硬化性樹脂により形成する場合には、酸成分とエポキシ成分の重合および/または架橋反応を利用するのが一般的である。硬化層の強度、硬度、耐熱性等を向上させるためには、硬化層の架橋密度を大きくするのが好ましい。エポキシ系熱硬化性樹脂層の架橋密度を大きくするためには、塗布液または当該塗布液を用いて形成した塗布膜中の酸成分およびエポキシ成分それぞれの反応点濃度をできるだけ大きくするのが好ましい。しかしながら、酸成分は有機溶剤に難溶性なので、塗布液中(反応系内)に多量の酸成分を共存させることが困難であった。また、仮にエポキシ成分の量に見合うような十分に多量の酸成分を塗布液中に共存させることができたとしても、塗布液の反応性が高すぎて経時安定性が悪くなり、その結果、粘度変化(特に粘度上昇)が短時間のうちに生じ易くなって、インクジェット方式により安定的に吐出することが困難になるおそれがある。
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、優れた保存安定性、特に固形分濃度が高くても優れた保存安定性を有し、ヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、且つ、硬化層が耐熱性、密着性、耐溶剤性に優れるカラーフィルター用インクジェットインク組成物を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、上記目的を達するインク組成物を用いて信頼性の高いカラーフィルターを製造する方法を提供することにある。
更に、本発明の第三の目的は、上記目的を達するインク組成物を用いて製造したカラーフィルターを提供することにある。
すなわち、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000〜20,000であり、かつ、エポキシ当量が140〜1000g/molである炭素−炭素不飽和結合とエポキシ基を含有するモノマーを少なくとも用いて重合されたエポキシ基含有重合体(A)と、エポキシ基を2個以上有し、分子量が160〜7,000であり、且つ、エポキシ当量が80〜3,500g/molであるエポキシ基含有化合物(B)と、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸がビニルエーテル(c2)により潜在化された多価カルボン酸誘導体(C)とを含有し、当該(C)に潜在化されているカルボキシル基と、当該(A)および当該(B)中に含有されている合計のエポキシ基の当量比が0.7〜1.1の範囲である。
上記本発明に係るカラーフィルターの製造方法においては、基板表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する工程を更に含み、前記インク層形成領域に、上記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクをインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成することが好ましい。この場合には、インク層形成領域にインクを付着させた後、インクの濡れ広がり性が向上し、色抜けや膜厚ムラをより効果的に防止できる。
また、本発明に係るカラーフィルターの製造方法によれば、インク組成物の吐出方向や吐出量の安定性が優れ、精細なインク層を正確に形成できる。更に、上記本発明に係る反応点濃度が高いインクジェットインクを用いたインク層を硬化させて硬化層を形成する工程を有することにより、架橋密度が高く、耐熱性、密着性、耐溶剤性等に優れた硬化層を得ることができる。また、インクジェット方式を用いた製造方法であるため、コストダウンや歩留まりの向上が実現可能である。
また、本発明によれば、精細で、耐熱性、密着性、耐溶剤性に優れる硬化層を備えた信頼性の高いカラーフィルターを得ることができる。
2…遮光部
3…撥インキ性凸部
4…画素部形成領域
5…インクジェットヘッド
6…インキ層
7…画素部
8…保護膜
9…光触媒含有層
10…フォトマスク
11…露光部
12…光線
101、102…カラーフィルター
1.カラーフィルター用インクジェットインク
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000〜20,000であり、かつ、エポキシ当量が140〜1000g/molである炭素−炭素不飽和結合とエポキシ基を含有するモノマーを少なくとも用いて重合されたエポキシ基含有重合体(A)と、エポキシ基を2個以上有し、分子量が160〜7,000であり、且つ、エポキシ当量が80〜3,500g/molであるエポキシ基含有化合物(B)と、下記式(1)の構造を有するカルボン酸(c1)がビニルエーテル(c2)により潜在化された多価カルボン酸誘導体(C)とを含有し、当該(C)に潜在化されているカルボキシル基と、当該(A)および当該(B)中に含有されている合計のエポキシ基の当量比が0.7〜1.1の範囲である。
(エポキシ基含有重合体(A))
本発明のインク組成物における、エポキシ基含有重合体(A)は、炭素−炭素不飽和結合とエポキシ基を含有するモノマー(以降、エポキシ基含有モノマーという場合がある)を少なくとも用いて重合された重合体であって、エポキシ基を2個以上有するものである。エポキシ基含有重合体(A)は、エポキシ基含有モノマーを単独で重合することにより、または、エポキシ基含有モノマーと他のモノマーとを共重合させることにより得ることができる。その分子形態としては、直鎖状であっても、分岐構造を持っていても良く、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等いずれの形態であっても良い。
本発明のインク組成物における、エポキシ基含有重合体(A)は、常法の重合法により共重合することができる。すなわち、重合方法は特に限定されず、ラジカル重合、イオン重合等の重合法を採ることができ、より具体的には重合開始剤の存在下、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の重合法を採ることができる。重合方法によってはモノマーが多量に残存する場合があるが、このモノマーが塗布硬化後の膜物性に影響を与える場合には、減圧留去法や再沈殿精製法等によってモノマーを除去しても良い。
本発明のインク組成物における、エポキシ基含有重合体(A)は、構成単位として、下記の式(2)〜(4)で表される構成単位を有するものが好ましい例として挙げられる。
本発明のインク組成物における、エポキシ基含有重合体(A)は、その構成単位として、さらに下記の式(5)〜(7)で表される構造を有していてもよい。
前記式(8)において、R14,およびR15として好ましいのは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基である。式(8)で表されるモノマーとしては、具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、その中ではグリシジルメタクリレート(以下、GMA)が入手性の面等から好ましい。ここで、本発明における(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートのいずれであっても良いことを意味する。
前記式(9)において、R16,およびR18として好ましいのは、それぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、R17として好ましいのは−CH2O−基である。式(9)で表されるモノマーとしては、具体的には、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル,α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテルを例示することができ、その中ではo−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルが入手性の面等から好ましい。
前記式(10)において、R19として好ましいのは、水素原子またはメチル基である。式(10)で表されるモノマーとしては3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートを例示することができる。その中で3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートが硬度等の硬化層の物性の面から好ましい。
前記式(11)において、R21で表される主環構成炭素数3〜12の脂環式炭化水素基は、付加的な構造、例えば環内二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
前記式(11)において、R20として好ましいのは水素またはメチル基であり、R21としては好ましいのはシクロヘキシル基、またはジシクロペンテニル基である。式(11)で表されるモノマーとしては、具体的には、シクロヘキシルメタクリレート、およびジシクロペンテニルメタクリレートが硬度、耐熱性等の硬化層の物性の面から好ましい。
前記の式(12)で表されるモノマーとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、ビニルシクロヘキサノン、スチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、アリルシクロプロパン、α−メチルスチレン、およびα−エチルスチレン等が挙げられる。
前記の式(12)において、R23としては好ましいのは水素またはメチル基であり、R23としては好ましいのはフェニル基である。式(12)で表されるモノマーとしては、具体的には、スチレンが他種モノマーとの共重合性、および入手性の面等から好ましい。
前記の式(13)で表されるモノマーとしては、具体的には、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、およびN−フェニルマレイミド等が挙げられる。
前記式(13)において、R24としては好ましいのはシクロヘキシル基、およびフェニル基である。式(13)で表されるモノマーとしては、具体的には、N−シクロヘキシルマレイミド、およびN−フェニルマレイミドが硬度、および耐熱性等の硬化層の物性の面から好ましい。
また、本発明のインク組成物におけるエポキシ基含有重合体(A)のエポキシ当量は、140〜1000g/molであり、好ましくは180〜400g/molである。エポキシ当量が140g/mol未満であると塗布後の硬化層が靭性に乏しいものになる可能性があり、1000g/molを上回ると硬化層の硬度の低下が発生する可能性がある。ここで、本発明におけるエポキシ当量とは重合体についてのエポキシ基の当量を指し、JIS K 7236 :2001「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」に準じて測定される。
本発明のインク組成物における、エポキシ基含有化合物(B)はエポキシ基を分子中に2個以上有するものである。
本発明のインク組成物における、エポキシ基含有化合物(B)の分子量は、160〜7,000で、好ましくは200〜6,500、より好ましくは200〜6,000である。エポキシ基含有化合物(B)の分子量が160未満であると、硬化層の硬度が低下する可能性があり、7,000を上回ると画素形状が悪化する可能性がある。なお、エポキシ基含有化合物(B)の分子量は、分子量分布を有しない場合には分子量そのものであるが、分子量分布を有する場合には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。
また、エポキシ基含有化合物(B)のエポキシ当量としては80〜3,500g/molであり、好ましくは、100〜3,300g/molである。エポキシ基含有化合物(B)のエポキシ当量が80g/mol未満であると、架橋密度が高くなり硬化層が靭性に乏しいものになる可能性があり、3,500g/molを上回ると硬化層の架橋密度が低くなり、硬化層の硬度が著しく低下する可能性がある。
本発明のインク組成物において、エポキシ基含有化合物(B)を含む場合の配合割合は、インク組成物の固形分中に、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは15〜60重量%、更に好ましくは15〜55重量%である。エポキシ基含有化合物(B)の配合割合が10重量%未満の場合には密着性等の性能が低下する場合があり、70重量%上回ると硬化層の強靭性を損なう場合があるため本発明の効果を得ることが難しい。
本発明のインク組成物における、多価カルボン酸誘導体(C)は、下記式(1)の構造を有するカルボン酸(c1)のカルボキシル基が下記式(14)で表されるビニルエーテル化合物(c2)(ビニル基及びエーテル基含有化合物)によって潜在化(以降、ブロック化ということがある。)された化合物である。本発明に用いられる多価カルボン酸誘導体(C)は、カルボキシル基が潜在化されており、しかも脱潜在化される温度が高いために、組成物の保存安定性を著しく向上させることができ、また、吐出安定性を向上させることができる成分である。更に、本発明に用いられる多価カルボン酸誘導体(C)は、高濃度でエポキシ基と共存させることが可能であるために、密着性や耐ITOプロセス時に対する耐熱性、耐溶剤性を向上させることができる成分である。
この反応の際に用いられるアルコール化合物としては、エタノール、プロパノール、ヘキサノール、オクタノール、イソプロピルアルコール等の1価のアルコール化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール等の2価のアルコール化合物;グリセリン、ペンタントリオール、へキサントリオール、シクロヘキサントリオール、ベンゼントリオール、トリメチロールプロパン等の3価のアルコール化合物;ペンタエリスリトール等の4価のアルコール化合物が好ましい例として挙げられ、より好ましくはヘキサノール、イソプロピルアルコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
これらのカルボン酸(c1)の酸当量としては、55〜600g/molであることが好ましく、より好ましくは、60〜500g/molである。カルボン酸の酸当量が55g/mol未満であると、架橋密度が高くなり硬化層の靭性が低下する可能性があり、600を上回るとインク組成物の相溶性が悪くなる可能性がある。以上の条件を満たし、本発明のインク組成物に好適に用いることができるカルボン酸は1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。以上の酸当量とはカルボキシル基の当量を指し、JIS K 0070−3(1992)に準じて測定される。
前記の有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、反応原料100質量部に対して、通常、5〜95質量部、好ましくは、20〜80質量部である。有機溶剤を添加した際には、有効成分濃度が低下するため、多価カルボン酸誘導体(C)(溶剤を含む)の配合量が本発明の請求項範囲よりも増えることとなるが、この場合には、溶剤を除いた有効成分で配合量を考えるものとする。
なお、本発明のインク組成物における必須成分である(A)〜(C)に含まれない追加成分として、カルボキシル基を含む化合物や、エポキシ基を含むカルボキシル基と反応しうる官能基を含む化合物を添加する際には、組成物中のカルボキシル基の反応当量と、エポキシ基を含むカルボキシル基と反応しうる官能基の反応当量との比が、上記範囲となるように配合することが好ましい。
なおここで、カルボキシル基の反応当量は、簡便には化合物構造式(分子量)と配合量とから算出され、より正確には、JIS K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」に準じて測定された酸当量より算出される。
本発明のインク組成物には、当該組成物を高濃度液又は直ちにヘッドから吐出できるインキに調製するために、必要に応じて有機溶剤(D)を配合する。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクを、保存用の高濃度インク又は直ちに塗布可能な濃度のインクに調製するために、固形分を好適に溶解及び分散させる溶剤であれば、特に限定されない。
主溶剤は、できるだけ高い配合割合で用いるのが望ましく、具体的には少なくとも60重量%以上、好ましくは70重量%以上とし、できるだけ80重量%以上とするのが望ましい。従って、主溶剤を適切に選択することにより、顔料分散体の調製時に分散溶剤と混合使用するか、或いは、主溶剤をそのまま分散溶剤として使用するのが好ましい。
濡れ性に関して上記挙動を示す溶剤を用いてインク組成物を調製すると、インク組成物は、後述する濡れ性可変層の濡れ性を変化させる前は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな反撥性を示し、当該濡れ性可変層の濡れ性を変化させて親水性が大きくなる方向に変化させた後は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな親和性を示す。従って、濡れ性可変層の表面の一部を選択的に露光して形成した親インク性領域に対するインク組成物の濡れ性と、その周囲の撥インク性領域に対するインク組成物の濡れ性の差を大きくとることができるようになり、親インク性領域にインクジェット方式で吹き付けたインク組成物が、親インク性領域の隅々にまで均一に濡れ広がる。その結果、微細且つ精緻なインク層のパターンをインクジェット方式により形成できるようになる。
ここで、臨界表面張力に関し上記特性を有する試験片は如何なる材料で形成されていても差し支えない。臨界表面張力30mN/mを示す試験片としては、例えば、表面が平滑なポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、平滑なガラス表面に前記ポリマーや表面改質剤等を塗布したものの中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。また、臨界表面張力70mN/mを示す試験片としては、例えば、ナイロンや表面を親水化処理したガラス等の中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。
従って、有機溶剤(D)として水酸基を含有しない溶剤を用いることにより、インク組成物の粘度安定性がさらに向上し、吐出性及び保存安定性に優れたインクが得られる。
主溶剤として好ましいものとしては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。これらの溶剤は、沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg(66.7Pa)以下の要求を満たしているだけでなく、分子中に水酸基を有していないので、上記したような問題を生じない。さらに、これらの溶剤は、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から顔料分散体の調製に用いられている溶剤と混合し或いは混合せずそのまま分散溶剤として用い、顔料分散体を調製することができる。
具体例として挙げた上記主溶剤の中では、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートは水酸基を有しておらず、また、液温が20℃の水100重量部に対する溶解性も6.5重量部と低い水混和性を示すので、特に好ましい。
本発明のインク組成物には、硬化層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、(E)加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒(以下、(E)成分又は熱潜在性触媒(E)という)を用いることができる。
熱潜在性触媒(E)は、加熱されたとき、触媒活性を発現し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒(E)は、60℃以上の温度に到達してから触媒活性を発現し始めるものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。具体的には、(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合物、(ロ)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物、(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物、(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。また、オニウム化合物としては、アンモニウム化合物[R3NR']+X-、スルホニウム化合物[R3SR']+X-、オキソニウム化合物[R3OR']+X-等を挙げることができる。なお、ここでR及びR’はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ等の基である。
熱潜在性触媒は、上記(A)〜(C)成分の合計100重量部に対して、通常は0.01〜10.0重量部程度の割合で配合する。
本発明に係るインク組成物を用いて画素部やブラックマトリックス層のような着色層を形成する場合には、インク組成物中に顔料或いはその他の着色剤を配合する。
着色剤としての顔料は、画素部のR、G、B等の求める色に合わせて、有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
本発明のインク組成物には、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)分散剤:インク組成物に顔料を配合する場合には、当該顔料を良好に分散させるために必要に応じて分散剤をインク組成物に配合する。分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
すなわち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などの高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
b)分散助剤:例えば、銅フタロシアニン誘導体等の青色顔料誘導体や黄色顔料誘導体等など。
c)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
d)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
e)酸化防止剤:例えば、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノールなど。
f)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなど。
g)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、或いは各種の界面活性剤など。
h)レベリング剤:例えば、市販のシリコーン系、ポリアルキレンエーテル系、脂肪酸エステル系、特殊アクリル系重合体など。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインク組成物は、各成分を単独溶剤又は混合溶剤である溶剤に投入して混合し、固形成分を溶解又は分散させて製造しても良い。
しかしながら、顔料をバインダー系等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、顔料を溶剤中に十分に分散させられないことが多い。そこで通常は、顔料の分散性及び分散安定性が良好な溶剤を用意し、そこに顔料を分散剤と共に投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、顔料分散液を調製する。そして、得られた顔料分散液を、顔料以外の成分と共に、ほとんど主溶剤からなるか又は主溶剤のみからなる溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合することによって、本発明に係るインク組成物とすることができる。
本発明においては、特に、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分の配合割合を溶剤全体の90重量%以上用いる場合には、顔料分散液の調製時に3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から用いられている分散溶剤を十分な量だけ用いることができない場合がある。その場合には、主溶剤として使用可能な溶剤の中から顔料の分散性、分散安定性が比較的良好なものを選択し、従来から用いられている分散溶剤と混合したものを分散溶剤として用いるか、或いは、主溶剤をそのまま分散溶剤として用いる。
インク組成物中の固形分濃度は通常、5〜30重量%程度になるように調製される。本発明においては、インク組成物中の固形分濃度が20重量%以上であっても、更に25重量%以上と高くても、保存安定性に優れている。好ましいものでは、インク組成物を調製後、密閉容器に入れ25℃で1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月保存後の粘度が、初期粘度の1.1倍以下、更に好ましいものでは、1.05倍以下に抑えることが可能である。ここで、粘度は、回転振動型粘度計(例えば、山一電機社製回転振動型粘度計 ビスコメイトVM-1G)を用い、23℃にて測定されるものである。また、好ましいものでは、インク組成物を調製後、密閉容器に入れ25℃で1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月保存後の50%平均粒子径が、初期の50%平均粒子径の1.2倍以下、更に好ましいものでは、1.1倍以下に抑えることが可能である。ここで、50%平均粒子径は、粒度分布計(例えば、日機装社製MICROTRAC UPA粒度分布計)で動的光散乱法(ドップラー散乱光解析)により23℃にて測定されるものである。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを用いて形成された硬化層は、カラーフィルターの細部に要求される耐熱性(加熱による膜減りや変色の程度など)、耐溶剤性、密着性、その他の諸特性に優れている。例えば、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを用いて、下記の耐溶剤性、密着性、耐熱性等を兼ね備えた硬化層を透明基板上に形成することができる。
a)耐溶剤性(耐薬品性):硬化層を設けたカラーフィルターをイソプロピルアルコール、N−メチルピロリドンまたはγ−ブチロラクトンいずれかの溶剤に液温40℃で1時間浸漬した後に硬化層の膜厚を測定して算出される膜厚減少を、いずれの溶剤に浸漬した場合でも10%以下とすることができる。また、当該浸漬前後の色差が1以下とすることができる。
b)密着性:硬化層を設けたカラーフィルターを80℃の純水に1時間浸漬後にJIS K5400(1990)8.5に規定される碁盤目テープ剥離試験を行った結果を、8点以上とすることができる。
c)ITO形成後の耐熱性:硬化層を設けたカラーフィルターの該硬化層上にITO層を形成した後、180℃で、1時間処理した後であっても、ITO層および該硬化層にクラックまたはシワが生じないものとすることができる。
本発明に係るカラーフィルターは、基板と、当該基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、当該着色層が前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする。
なお、本発明における着色層とは、着色している層であって、具体的には、カラーフィルターにおける画素、遮光層などが挙げられる。
本発明に係るカラーフィルターは、着色層が上記本発明に係る反応点濃度が高いカラーフィルター用インクジェットインク組成物を硬化させて形成したものであるため、架橋密度が高く、着色層の密着性、耐熱性、耐溶剤性に優れ、信頼性の高いカラーフィルターである。本発明のカラーフィルターの構成や、製造方法は特に限定されないが、例えば後述するような構成をとることができ、後述する本発明に係るカラーフィルターの製造方法を好適に用いて製造することができる。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、上記本発明に係るインクジェットインク組成物を用いてインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程を有することにより、インク組成物の吐出方向や吐出量の安定性が優れ、精細なインク層を正確に形成できる。更に、上記本発明に係る反応点濃度が高いインクジェットインクを用いたインク層を硬化させて硬化層を形成する工程を有することにより、架橋密度が高く、耐熱性、密着性、耐溶剤性等に優れた硬化層を得ることができる。また、インクジェット方式を用いた製造方法であるため、コストダウンや歩留まりの向上が実現可能である。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物にR、G、B又はブラック等の所望の顔料を配合し、カラーフィルターの透明基板上の所定領域にインクジェット方式により選択的に付着させ、硬化させることによって、画素部や遮光層などの硬化層を形成することができる。
また、遮光部2としては、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層であってもよい。用いられる樹脂バインダーとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型のインク組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このような樹脂製遮光部のパターニングの方法としては、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
画素は、通常、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色で形成される。画素における着色パターン形状は、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
このようにして、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物を用いてカラーフィルター101が製造される。この例においては、本発明のインク組成物を用いて画素部を形成するが、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク組成物を用いるインクジェット方式によれば、画素部以外にも遮光部2などを所望のパターン状に形成することができる。
このような濡れ性可変層を基板上に設ける場合には、主溶剤として、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すものを用いて調製したインクを用いるのが好ましい。
上記光触媒含有層9のような濡れ性可変層の画素部形成領域の濡れ性を選択的に変化させて親インク性を大きくすると、本発明のインクは、画素部形成領域に容易に付着して均一に広がり、一方、画素部形成領域の周囲領域では強く反撥して排除されるので、画素部形成領域に選択的に且つ均一に付着し、その結果、正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。
臨界表面張力をこのように変化させることのできる濡れ性可変層を用いると、インクは、濡れ性を変化させて親インク性を大きくした画素部形成領域等のパターン形成領域において、非常に小さな接触角を示し、一方、パターン形成領域の周囲においては非常に大きな接触角を示し、濡れ性の差を非常に大きくとることができる。
光触媒含有層9に照射される光は、光触媒を活性化できるものであれば可視光線であっても不可視光線であっても差し支えないが、通常は、紫外光を含む光を用いる。このような紫外光を含む光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を挙げることができる。この露光に用いる光の波長は400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定することができ、また、露光に際しての光の照射量は、露光された部位が光触媒の作用により親水性を増大させるのに必要な照射量とすることができる。
次に、図2(E)に示すように、各色のインク層6R、6G、6Bを乾燥し必要に応じてプリベークした後、加熱することにより硬化させ、さらに必要に応じて、ベークを行って各色の画素部7R、7G、7Bを形成する。インク層を加熱すると、インクジェットインク中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化する。
他の例においては、このようにしてカラーフィルター102が製造される。この例においては、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクである画素部形成用インクを用いて画素部を形成するが、本発明に係るインクを、基板表面の濡れ性の差を利用して親インク性領域だけに選択的に付着させることによって、遮光部2のような画素部以外の硬化層も所望のパターン状に形成することができる。
(製造例A−1〜A−2:エポキシ基含有重合体(A)の合成)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤であるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(以下、BCAと略す)を44重量部仕込み、攪拌しながら加熱して115℃に昇温した。次いで、115℃の温度で表1に記載した組成の単量体、重合開始剤、及び、水酸基を含有しない上記溶剤BCAの混合物(滴下成分)56重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、115℃で2.5時間保持した後、125℃に昇温し、2時間保ったところで反応を終了することにより、表1記載の特性を有するエポキシ基含有重合体(A―1)及び(A―2)が得られた。
*1:GMA:グリシジルメタクリレート
St:スチレン
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
パーブチルI(商品名):tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日本油脂(株)製)
*2:A1:CHMAを使用した。A2:Stを使用した。
*3:性状:目視による外観を示す。
*4:固形分:JIS−K5407、4.固形分により試験を行った。
*5:エポキシ当量:過剰の0.2N・塩酸ジオキサン溶液でエポキシ基の開環反応を行った後、未反応の塩酸を0.1N・KOHエタノール溶液にて逆滴定し、エポキシ当量を算出した。
*6:E型粘度計、23℃にて測定した。
*7:重量平均分子量:GPC法によるポリスチレン換算の値である。
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、BCA34重量部、三菱瓦斯化学(株)製1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸(以下、CHTA)27重量部、n−プロピルビニルエーテル(以下、nPr−VE)39重量部を仕込み、攪拌しながら加熱し80℃に昇温した。次いで、温度を保ちながら攪拌し続け、混合物の酸価が2.0mgKOH/g以下になったところで反応を終了し、溶液の酸価0.77mgKOH/gのブロック化されたカルボキシル基を2個以上有する硬化剤溶液(C−1)が得られた。
製造例C−1と同様に多価カルボン酸誘導体(C−2〜C−3)、及び比較多価カルボン酸誘導体(C’−4)を得た。各原料の仕込み比、反応温度、酸価および全酸当量を表2に示す。
*1:イソプロピルビニルエーテル
*2:ペンタエリスリトール(以下、PE)とヘキサヒドロ無水フタル酸(以下、HHPA)のハーフエステル化物。式(1)において6員環がシクロヘキシル環、R1がペンタエリスリチル残基、n=4、m1=0、t1=0に相当する。
*3:1,2,4−トリメリット酸
(1)バインダー組成物、比較バインダー組成物の調製
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、表3に示す配合割合に従って前記合成したエポキシ基含有重合体(A)、エポキシ基含有化合物(B)、多価カルボン酸誘導体(C)を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤を加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物α−1〜α−5(固形分50重量%)、及び比較バインダー組成物α’−6〜α’−9(固形分50重量%)を得た。各バインダー組成物の組成と物性を表3及び表4に示す。
*1:B−1:商品名エピコート828EL(ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量190(g/mol)、分子量約380)
B−2:商品名エピコート1007(ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量1975(g/mol)、分子量約2900)
B−3:商品名エピコート157(ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量210(g/mol)、分子量約2100)
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
LC−1:商品名ノフキュアーLC−1(日本油脂社製)
LC−10:商品名ノフキュアーLC−10(日本油脂社製)
C−5’:CHTA(1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸)
*2:E型粘度計、23℃にて測定した。
*3:各成分の固形分重量部である。
*4:5℃保存で1ヵ月後の粘度を測定した。粘度はE型粘度計で23℃にて測定した。増粘率については110%以下のものを○、それを超えるものを×とした。
各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、赤色顔料分散液であるPR254(C.I.ピグメントレッド254)顔料分散液及びPR177(C.I.ピグメントレッド177)顔料分散液を調製した。
・各顔料:10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
調製サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーを設置した。このサンプル瓶の中に、各成分が表5に示す配合割合となるように、前記赤色顔料分散液(PR254顔料分散液及びPR177顔料分散液)、並びに、前記表3及び表4に記載のバインダー組成物を加え、十分に攪拌溶解した後、粘度調整のために希釈溶剤を加えて、攪拌溶解後、これを濾過して実施例1〜6の赤色画素用インクジェットインク組成物(固形分22.0重量%、P/V比0.59)を得た。下記の評価方法によって評価し、その結果を合わせて表5に示す。
また、同様にして、各成分が表6に示す配合割合となるように、前記赤色顔料分散液1及び2、並びに、前記表3及び表4に記載のバインダー組成物を加え、比較例1〜4の赤色画素用インクジェットインク組成物(固形分22.0重量%、P/V比0.59)を得た。下記の評価方法によって評価し、その結果を合わせて表6に示す。
<保存安定性>
各インクジェットインクの調製直後、及び、密閉容器中に25℃保存で1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後の粘度と粒子径(50%平均粒子径)を測定した。粘度は山一電機社製回転振動型粘度計 ビスコメイトVM-1Gで23℃にて測定した。粒子径(50%平均粒子径)は、各インクをBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)で100倍に希釈した後、粒度分布計(日機装社製、MICROTRAC UPA MODEL9230)を用いて、動的光散乱法により、23℃で、測定時間を360秒として測定した。
<吐出安定性の試験>
インクジェットヘッドにインクを充填し当該ヘッドから吐出して、光触媒含有層を設けて所定のパターン状に露光したガラス製透明基板の画素部形成領域の中心部に、ドロップ径30μmで滴下した。さらに、初期吐出を停止してヘッドを30分間静止させた後、同じヘッドから別の画素部形成領域の中心部に、ドロップ径30μmで滴下した。このような間歇吐出において、最初に吐出動作を行った時の吐出性(初期吐出性)と、その後に再吐出を行った時の吐出性(間歇吐出安定性)を観察し、下記基準に従って評価した。
[初期吐出性の評価基準]
○:ヘッドの全部の穴(オリフィス)からインクを吐出することが可能である。
△:ヘッドにインクの出ない穴が一部ある。
×:ヘッドのほとんどの穴からインクが出ない。
[間歇吐出安定性の評価基準]
○:ヘッドの全部の穴からインクを再吐出することが可能である。
△:ヘッドにインクの出ない穴が一部ある。
×:ヘッドのほとんどの穴からインクが出ない。
赤色画素パターンを形成した基板を、IPAに5分間浸漬させ、次いでIPA蒸気にて乾燥を行い洗浄した後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化インジウムスズ)電極を120nmの厚さになるように成膜した。180℃、60分間の耐熱試験後において、下記基準に従って評価した。
[ITO後の耐熱性の評価基準]
○:ITO電極にしわやクラックなどの異常が観測されなかった。
△:ITO電極にしわやクラックなどの異常が数点観測された。
×:ITO電極にしわやクラックなどの異常が全面に観測された。
<耐溶剤性試験>
赤色画素パターンを形成した基板を、液温40℃のN−メチルピロリドンに1時間浸漬させ、浸漬前後の色差ΔEabをCIE1976規格に基づき算出した。測定は、オリンパス光学工業(株)製 顕微分光測定装置 DSP−SP100を用いた。
[評価基準]
○:ΔEab<1
△:1≦ΔEab<3
×:3≦ΔEab
<密着性試験>
赤色画素パターンを形成した基板に、カッターで直交する縦横11本ずつの切り傷を1mm間隔でつけた。さらに、スコッチテープをパターンに指で軽く密着させすばやくテープを剥がし、傷の状態を観察し、以下の基準で判定した。
[評価基準]
8点:切り傷の交線にわずかな剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%未満。
6点:切り傷の交線に剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%以上15%未満。
4点:切り傷による剥がれの幅が広く、欠損部の面積が全正方面積の15%以上35%未満。
2点:切り傷による剥がれの幅が4点より広く、欠損部の面積は全正方形面積の35%以上65%未満。
0点:剥がれの面積は、全正方形面積の65%以上。
これに対し、比較例1ではカルボキシル基/エポキシ基の当量比が0.5と低いために各実施例に比べて耐熱性、耐溶剤性、密着性が劣っていた。比較例2ではカルボキシル基/エポキシ基の当量比が1.2となっており、各実施例に比べて密着性が劣る結果となった。
(C)成分の変わりに1,2,4−トリメリット酸がブロック化された多価カルボン酸誘導体を用いた比較例3は、3ヶ月及び6ヶ月保存後における粘度において増粘が確認され、25℃で6ヵ月保存後の粘度が初期粘度の1.2倍、25℃で6ヵ月保存後の50%平均粒子径が初期の50%平均粒子径の1.29倍と各実施例と比較すると保存安定性が劣っていた。また、吐出安定性も劣っていた。また比較例4ではカルボン酸がブロック化されていないため、保存安定性が著しく劣る結果となり、耐熱性、耐溶剤性、密着性も劣っていた。
(1)顔料分散液の調製
各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PG36(C.I.ピグメントグリーン36)顔料分散液、PG7(C.I.ピグメントグリーン7)顔料分散液、PY138(C.I.ピグメントイエロー138)顔料分散液及びPY150(C.I.ピグメントイエロー150)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料:10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(固形分30重量%)):10重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
上記調製したPG36顔料分散液21.22重量部、PG7顔料分散液15.05重量部、PY138顔料分散液27.16重量部及びPY150顔料分散液13.74重量部、及び、α−3のバインダー組成物19.31重量部とBCA3.54重量部を充分に混合し、実施例7の緑色インクジェットインクを調製した。また、バインダー組成物をα’−8に変更した以外は、実施例7と同様にして、比較例5の緑色インクジェットインクを調製した。各インクジェットインクの配合割合を表7に示す。
得られた各インクジェットインクの調製直後、及び、25℃保存で1ヵ月後の粘度を測定した。表7に粘度の測定結果を合わせて示す。実施例7の緑色インクジェットインクは保存安定性に優れていたのに対し、比較例5の緑色インクジェットインクは、粘度が上昇し、保存安定性に劣っていた。
(1)顔料分散液の調製
各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PB15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)顔料分散液及びPV23(C.I.ピグメントバイオレット23)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料:10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
上記調製したPB15:6顔料分散液51.10重量部及びPV23顔料分散液3.49重量部、及び、α−3のバインダー組成物26.53重量部とBCA18.88重量部を充分に混合し、実施例8の青色インクジェットインクを調製した。また、バインダー組成物をα’−8に変更した以外は、実施例8と同様にして、比較例6の青色インクジェットインクを調製した。各インクジェットインクの配合割合を表8に示す。
得られた各インクジェットインクの調製直後、及び、25℃保存で1ヵ月後の粘度を測定した。表8に粘度の測定結果を合わせて示す。実施例8の青色インクジェットインクは保存安定性に優れていたのに対し、比較例6の青色インクジェットインクは、粘度が上昇し、保存安定性に劣っていた。
厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(旭硝子(株)製)上に、ブラックマトリックス用硬化性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により線幅20μm、膜厚1.2μmのブラックマトリックスパターンを形成した。
上記基板のブラックマトリックスにより区画された赤色画素形成部に、25℃で1ヵ月保存後の実施例3の赤色インクジェットインクをインクジェット方式によって、正確且つ均一に付着させた。次に、同じ基板の緑色画素形成部に、25℃で1ヵ月保存後の実施例7の緑色用インクジェットインクをインクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。次に、同じ基板の青色画素形成部に、25℃で1ヵ月保存後の実施例8の青色用インクジェットインクをインクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。赤、緑、青用インクジェットインクの全てにおいて、吐出安定性に優れ、飛行曲がりも発生することなく、インク付着時に画素形成部からの決壊が発生しなかった。
RGB画素パターンを形成した基板を、IPAに5分間浸漬させ、次いでIPA蒸気にて乾燥を行ない洗浄した後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化インジウムスズ)電極を120nmの厚さになるように成膜した。このITO成膜を行った基板を更にIPAに5分間浸漬し、IPAで蒸気洗浄を行った後、ポリイミドをスピンコートし、180℃、60分間の焼成を行って配向膜を形成し、カラーフィルターを得た。
赤色インクジェットインクとして、25℃で1ヵ月保存後の比較例3の赤色インクジェットインク、緑色インクジェットインクとして、25℃で1ヵ月保存後の比較例5の緑色インクジェットインク、青色インクジェットインクとして、25℃で1ヵ月保存後の比較例6の青色インクジェットインクを用いた以外は、実施例9と同様にして基板上に乾燥硬化後の平均膜厚が1.8μmのRGB3色の画素パターンを形成し、同様にカラーフィルターを得た。
得られた色度は、赤色が、x=0.648、y=0.335、Y=20.0、緑色が、x=0.290、y=0.570、Y=54.0、青色が、x=0.136、y=0.095、Y=11.0であり、実施例9のカラーフィルターに比べて、青色のY(輝度)が若干劣っていた。
Claims (8)
- ポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000〜20,000であり、かつ、エポキシ当量が140〜1000g/molである炭素−炭素不飽和結合とエポキシ基を含有するモノマーを少なくとも用いて重合されたエポキシ基含有重合体(A)と、エポキシ基を2個以上有し、分子量が160〜7,000であり、且つ、エポキシ当量が80〜3,500g/molであるエポキシ基含有化合物(B)と、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸がビニルエーテル(c2)により潜在化された多価カルボン酸誘導体(C)とを含有し、当該(C)に潜在化されているカルボキシル基と、当該(A)および当該(B)中に含有されている合計のエポキシ基の当量比が0.7〜1.1の範囲である、カラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 前記請求項1に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を有機溶剤(D)に溶解又は分散させてなる、カラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒(E)を含有する、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 更に、顔料を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 前記有機溶剤(D)が、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を溶剤全量に対して80重量%以上の割合で含有するものである、請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物。
- 基板上の所定領域に前記請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、
前記インク層を加熱して硬化層を形成する工程とを含む、カラーフィルターの製造方法。 - 基板表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する工程を更に含み、前記インク層形成領域に、前記請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物をインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する、請求項6に記載のカラーフィルターの製造方法。
- 基板と、当該基板上に設けられた着色層とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、当該着色層が前記請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインク組成物を硬化させて形成したものであることを特徴とする、カラーフィルター。
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