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JP5050866B2 - 時計用文字板、時計用文字板の製造方法、および、時計 - Google Patents
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時計用文字板、時計用文字板の製造方法、および、時計 Download PDF

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Description

本発明は、時計用文字板、時計用文字板の製造方法、および、時計に関する。
ソーラー時計(太陽電池を備えた時計)用の文字板には、太陽電池が十分な起電力を発生するのに十分な光量の光を透過させる機能(光透過性)が求められる。このため、従来から、ソーラー時計用文字板としては、透明性の高いプラスチック性の部材が用いられてきた。ところが、プラスチックは、一般に、Au、Ag等の金属材料等に比べて、高級感に欠け、美的外観に劣っている。このため、プラスチック製の基板上に、接着剤を介して、金属材料で構成され開口部が設けられた金属膜を貼着して得られる文字板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような文字板では、優れた光透過性と、美的外観とを両立することが困難であった。すなわち、光の透過性を確保するために、金属膜の開口率(金属膜を平面視したときにおける、金属膜全体に対して開口部の占める面積の割合)を比較的高くすると、開口部の存在が目立ってしまい、金属材料(金属膜)を用いているにもかかわらず、十分に優れた美的外観が得られない。一方、美的外観を向上させる目的で、金属膜の開口率を低くすると、光の透過率が低下し、太陽電池の発電効率が著しく低下する。
また、特に、上記のような方法では、金属膜を基体上に貼着する際に、金属膜にしわが生じ易く、このようなしわの発生を防止するために、慎重に貼着作業を行う必要があり、文字板の生産性は極端に低いものとなる。また、十分慎重に貼着作業を行った場合でも、比較的小さなしわ等は、その発生を十分に防止するのが困難であり、金属膜の開口率が低い場合であっても、得られる文字板の美的外観を十分に優れたものとするのが極めて困難であった。また、上記のような方法では、比較的高い割合で不良品が発生してしまうため、生産の歩留り、省資源の観点からも好ましくない。上記のような問題は、金属膜が比較的薄いもの(例えば、10μm以下)である場合に、特に顕著になる。また、金属膜が比較的薄いもの(例えば、10μm以下)である場合、貼着作業を行う際に、金属膜が破れ易く、文字板の生産性、生産コスト、省資源の観点から不利であるとともに、破れた金属膜の一部が微粒子として雰囲気中に飛散することがあり、人体の健康に対する懸念もある。
また、プラスチック製の基板の表面に金属材料で構成された被膜を形成し、その後、エッチング等により被膜に開口部を形成する方法も考えられる。しかしながら、金属材料は、一般にプラスチック材料との親和性に劣るため、基板と被膜との密着性を十分に優れたものとするのが困難である。また、このような方法では、開口部の存在を十分に目立ちにくいものとするのが困難である。これは、上記のような方法では、形成される開口部が、エッジの立った状態になるためであると考えられる。
特開平11−326549号公報(第3頁右欄第35行目〜第4頁左欄第11行目参照)
本発明の目的は、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、美的外観、耐久性に優れた時計用文字板を提供すること、光の透過性に優れるとともに、美的外観、耐久性に優れた時計用文字板を製造する製造方法を提供すること、前記時計用文字板を備えた時計を提供することにある。
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明の時計用文字板は、主としてプラスチック材料またはガラス材料で構成された基板と、
前記基板の表面に設けられ、主としてチタン酸化物で構成されたチタン酸化物層と、
前記チタン酸化物層の前記基板に対向する面とは反対側の面に設けられ、主としてチタンで構成されたチタン層と、
前記チタン層の前記チタン酸化物層に対向する面とは反対側の面に設けられ、主として銀で構成された銀層とを有し、
前記チタン層および前記銀層が多数個の島状に設けられており、
時計用文字板を平面視した際に、前記チタン層および前記銀層の設けられていない領域が、光を透過する光透過部として機能することを特徴とする。
これにより、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、美的外観、耐久性に優れた時計用文字板を提供することができる。
本発明の時計用文字板では、前記チタン層および前記銀層に加え、前記チタン酸化物層が多数個の島状に設けられていることが好ましい。
これにより、時計用文字板の光透過性および美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記チタン層および前記銀層は、時計用文字板を平面視した際に、略円形をなすものであることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記チタン層の厚さは、50nm以上であることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記銀層の厚さは、100nm以上であることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観および耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、時計用文字板を平面視した際に、前記チタン層、前記銀層が設けられている領域の占める面積の割合が、30〜80%であることが好ましい。
これにより、光透過性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板の製造方法は、主としてプラスチック材料またはガラス材料で構成された基板を準備する基板準備工程と、
前記基板の表面に、主としてチタン酸化物で構成されたチタン酸化物層を形成するチタン酸化物層形成工程と、
前記基板の前記チタン酸化物層が設けられた面側に、所定のパターンで多数個の開口部が設けられたマスクを配した状態で成膜を行うことにより、多数個の、主としてチタンで構成されたチタン層を形成するチタン層形成工程と、
前記基板の前記チタン酸化物層および前記チタン層が設けられた面側に、所定のパターンで多数個の開口部が設けられたマスクを配した状態で成膜を行うことにより、多数個の、主として銀で構成された銀層を形成する銀層形成工程とを有することを特徴とする。
これにより、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、美的外観、耐久性に優れた時計用文字板を製造する製造方法を提供することができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記銀層形成工程において用いる前記マスクは、前記チタン層形成工程で用いた前記マスクと同一のものであることが好ましい。
これにより、製造される時計用文字板において、使用者等に、チタン層が直接視認されてしまうことをより確実に防止することができ、時計用文字板の美的外観を確実に優れたものとすることができる。また、時計用文字板の光透過率を確実に優れたものとすることができる。また、時計用文字板の生産性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記チタン酸化物層形成工程は、前記基板の表面に、所定のパターンで多数個の開口部が設けられたマスクを配した状態で行うものであることが好ましい。
これにより、時計用文字板の光透過性および美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記チタン層形成工程において用いる前記マスクは、前記チタン酸化物層形成工程で用いた前記マスクと同一のものであることが好ましい。
これにより、製造される時計用文字板において、使用者等に、チタン酸化物層が直接視認されてしまうことをより確実に防止することができ、時計用文字板の美的外観を確実に優れたものとすることができる。また、時計用文字板の光透過率を確実に優れたものとすることができる。また、時計用文字板の生産性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記マスクを用いた成膜は、前記マスクとして磁性材料を含む材料で構成されたものを用い、前記基板の前記マスクに対向する面とは反対の面側に配された磁石により、前記マスクと、ワークとしての前記基板とを密着させた状態で行うものであることが好ましい。
これにより、基板上の、目的以外の部位に成膜されるのをより確実に防止することができ、最終的に得られる時計用文字板の美的外観および光透過性を確実に優れたものとすることができる。すなわち、製造される時計用文字板の信頼性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計は、本発明の時計用文字板を備えたことを特徴とする。
これにより、美的外観、耐久性に優れた時計を提供することができる。また、外部からの光が、時計用文字板を効率よく透過することができるため、外部からの光を有効に利用することが可能な時計(例えば、ソーラー時計等)を提供することができる。
本発明の時計は、本発明の方法を用いて製造された時計用文字板を備えたことを特徴とする。
これにより、美的外観、耐久性に優れた時計を提供することができる。また、外部からの光が、時計用文字板を効率よく透過することができるため、外部からの光を有効に利用することが可能な時計(例えば、ソーラー時計等)を提供することができる。
本発明によれば、光の透過性に優れるとともに、美的外観、耐久性に優れた時計用文字板を提供すること、光の透過性に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を製造する製造方法を提供すること、前記時計用文字板を備えた時計を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の時計用文字板の好適な実施形態について説明する。
<時計用文字板>
図1は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す断面図、図2は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す平面図、図3は、多数個の島状に設けられた銀層およびチタン層の配置パターンの一例を説明するための模式的な平面図、図4は、多数個の島状に設けられた銀層およびチタン層の配置パターンの他の一例を説明するための模式的な平面図である。
図1に示すように、時計用文字板1は、主としてプラスチック材料またはガラス材料で構成された基板11と、基板11の表面に設けられ、主としてチタン酸化物で構成されたチタン酸化物層12と、チタン酸化物層12の基板11に対向する面とは反対側の面に設けられ、主としてチタンで構成されたチタン層13と、チタン層13のチタン酸化物層12に対向する面とは反対側の面に設けられ、主として銀で構成された銀層14とを有している。すなわち、時計用文字板1は、基板11と、チタン酸化物層12と、チタン層13と、銀層14とが、この順に積層された構成を有している。そして、チタン酸化物層12、チタン層13、および、銀層14は、多数個の島状に設けられている。
時計用文字板1は、基板11のチタン酸化物層12、チタン層13、銀層14が設けられた側の面(図1中の上側の面)が観察者側(外表面側)を向くようにして用いられるものである。
[基板]
基板11は、主としてプラスチック材料またはガラス材料で構成されたものである。プラスチック材料およびガラス材料は、一般に、光の透過性(光透過性)に優れている。基板11は、光透過性を有するものであればよく、着色されたもの(例えば、着色剤を含むもの、着色ガラスで構成されたもの等)であってもよいが、基板11全体として、十分な光透過性を有するものであることが求められる。本発明において、「光透過性を有する」とは、可視光領域(380〜780nmの波長領域)の光の少なくとも一部を透過する性質を有することを指し、好ましくは可視光領域の光の透過率が50%以上であり、より好ましくは可視光領域の光の透過率が60%以上である。このような光の透過率は、例えば、光源として、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用い、1000ルクス下で、測定対象の基板(または時計用文字板)と同一形状のソーラーセル(太陽電池)で発電した際の電流値(X)に対する、当該ソーラーセルの光源側の面に測定対象である基板(または時計用文字板)を載せた以外は、前記と同一の状態で発電した際の電流値(Y)の比率((Y/X)×100[%])を、採用することができる。以下、本明細書中において、特に断りのない限り、「光の透過率」とは、このような条件で求められる値のことを指す。また、本発明では、「主として」とは、対象としている部位(部材)を構成する材料のうち最も含有量の多い成分を指し、その含有量は特に限定されないが、対象としている部位(部材)を構成する材料の60wt%以上であることが好ましく、80wt%以上であることがより好ましく、90wt%以上であることがさらに好ましい。
基板11を構成するガラス材料としては、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられ、また、基板11を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられ、より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリパラキシリレン(poly-para-xylylene)、ポリモノクロロパラキシリレン(poly-monochloro-para-xylylene)、ポリジクロロパラキシリレン(poly-dichloro-para-xylylene)、ポリモノフルオロパラキシリレン(poly-monofluoro-para-xylylene)、ポリモノエチルパラキシリレン(poly-monoethyl-para-xylylene)等のポリパラキシリレン樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられる。基板11としては、上記のような材料のうち1種を含むもの、または、2種以上を含むもの(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)を用いることができる。
上記のように、基板11は、プラスチック材料またはガラス材料で構成されたものであればよいが、主としてプラスチック材料で構成されたものであるのが好ましい。プラスチック材料は、一般に、成形性(成形の自由度)に優れており、種々の形状の時計用文字板1の製造に好適に適用することができる。また、基板11がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1の製造コスト低減に有利である。また、プラスチック材料は、一般に、光(可視光)の透過性に優れるとともに、電波の透過性にも優れているため、基板11がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1を、後述するような電波時計に好適に適用することができる。特に、基板11は、各種プラスチック材料の中でも、主として、ポリカーボネートおよび/またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体で構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1全体としての強度を特に優れたものとすることができる。また、基板11の成形の自由度が増す(成形のし易さが向上する)ため、より複雑な形状の時計用文字板1であっても、容易かつ確実に製造することができる。また、基板11がポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであると、基板11とチタン酸化物層12との密着性を特に優れたものとすることができる。また、ポリカーボネートは、各種プラスチック材料の中でも比較的安価で、時計用文字板1の生産コストのさらなる低減に寄与することができる。また、ABS樹脂は、特に優れた耐薬品性も有しており、時計用文字板1全体としての耐久性をさらに向上されることができる。
なお、基板11は、プラスチック材料、ガラス材料以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。例えば、基板11が着色剤を含む材料で構成されたものであると、時計用文字板1の色のバリエーションを広げることができる。
基板11は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。
また、基板11の形状、大きさは、特に限定されず、通常、時計用文字板1の形状、大きさに基づいて決定される。なお、図示の構成では、基板11は、平板状をなすものであるが、例えば、湾曲板状等をなすものであってもよい。
基板11の平均厚さは、特に限定されないが、150〜700μmであるのが好ましく、200〜600μmであるのがより好ましく、300〜500μmであるのがさらに好ましい。基板11の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1をソーラー時計に適用する場合に、時計用文字板1の光透過性を十分に高いものとしつつ、太陽電池の自色が透けて見えるのをより効果的に防止することができ、美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。また、基板11の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
また、基板11は、いかなる方法で成形されたものであってもよいが、基板11の成形方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、光造形等が挙げられる。
[チタン酸化物層]
基板11の表面には、主としてチタン酸化物で構成されたチタン酸化物層12が設けられている。このように、時計用文字板1では、プラスチック材料またはガラス材料で構成された基板11の表面に、金属層(チタン層13)が直接設けられずに、基板11と金属層(チタン層13)との間にチタン酸化物層12が介在している。これにより、基板11と金属層(チタン層13)との密着性(チタン酸化物層12を介しての密着性)、特に、後述するような気相成膜により形成される金属層(チタン層13)の密着性を向上させることができ、金属層(チタン層13、銀層14)の浮きや剥がれ(剥離)等を効果的に防止することができる。その結果、時計用文字板1は耐久性に優れたものとなる。また、時計用文字板1は、金属層(チタン層13および銀層14)を有しているため、美的外観にも優れている。
上記のような優れた効果は、基板11とチタン層13との間に、チタン酸化物層12が設けられることにより得られるものであって、チタン酸化物層12を設けなかったり、チタン酸化物層12の代わりにチタン酸化物以外の材料で構成された層を設けたりした場合には得られない。
本実施形態の時計用文字板1においては、チタン酸化物層12は、後に詳述するチタン層13、銀層14に対応する形状、大きさ、配置パターンで設けられている。すなわち、チタン酸化物層12は、チタン層13、銀層14に対応するように、多数の島状に設けられている。このような構成であると、チタン酸化物層12の厚さが比較的厚いものであっても、時計用文字板1全体としての光の透過性を、非常に高いものとすることができる。このため、光透過性と美的外観とを、非常に高いレベルで両立させることができる。
チタン酸化物層12の平均厚さは、特に限定されないが、5〜1000nmであるのが好ましく、7〜500nmであるのがより好ましく、10〜300nmであるのがさらに好ましい。チタン酸化物層12の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1全体としての美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、チタン酸化物層12の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、基板11とチタン層13との密着性を特に優れたものとすることができる。これに対し、チタン酸化物層12の平均厚さが前記下限値未満であると、基板11の構成材料、チタン酸化物層12、チタン層13の厚さ等によっては、基板11とチタン層13との密着性を向上させる機能が低下する。また、チタン酸化物層12の平均厚さが前記下限値未満であると、チタン酸化物層12の形成方法等によっては、チタン酸化物層12にピンホールが生じ易くなり、チタン酸化物層12を備えることによる効果が低下する可能性がある。また、チタン酸化物層12の平均厚さが前記上限値を超えると、チタン酸化物層12の各部位における膜厚のばらつきが大きくなる傾向を示す。また、チタン酸化物層12の平均厚さが特に大きい場合は、チタン酸化物層12の内部応力が高くなり、クラック等が発生し易くなる。
また、チタン酸化物層12の平均厚さは、金属層の平均厚さ(チタン層13の平均厚さと銀層14の平均厚さとの和)よりも小さいものであるの好ましい。これにより、基板11と金属層との密着性を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、チタン酸化物層12は、各部位で均一な組成を有するものであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、チタン酸化物層12は、組成(例えば、チタン酸化物の酸素の含有比率等)が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。また、チタン酸化物層12は、複数の層を有する積層体であってもよい。これにより、例えば、基板11および金属層(チタン層13)との密着性のさらなる向上を図ることができる。
図示の構成では、時計用文字板1を平面視した際の、チタン酸化物層12の大きさ、形状は、銀層14の大きさ、形状と同一であるので、チタン酸化物層12の幅、ピッチ等の条件も銀層14の条件と同一である。銀層14の幅、ピッチについては、後に詳述する。
[チタン層]
チタン酸化物層12の表面(基板11と接触する面とは反対側の面)には、主としてチタンで構成されたチタン層13が設けられている。
チタン層13を有することにより、チタン酸化物層12と銀層14との密着性(チタン層13を介しての密着性)を優れたものとすることができ、時計用文字板1全体としての耐久性を優れたものとすることができる。
また、銀層14の下層にチタン層13が設けられていることにより、以下のような効果が得られる。すなわち、図1中の上側から光が照射した際、その一部が、銀層14の表面で反射されるとともに、銀層14が設けられていない領域(光透過部として機能する領域)にも入射する。そして、銀層14で反射した光は、時計用文字板1の美的外観の向上に寄与し、光透過部として機能する領域に入射した光は、主に、時計用文字板1としての光透過性に寄与する。このように、光透過部として機能する領域に入射した光は、主に、光透過性に寄与するが、その一部が、基板11の裏面(チタン酸化物層12が設けられた面とは反対側の表面で、雰囲気との界面)で反射したり、時計用文字板1を透過した後に、その背面に配置された部材(例えば、太陽電池)の表面で反射したりする。このように、光透過部として機能する領域に入射した光のうち反射してしまった成分を、本発明の時計用文字板1においては、(特に、チタン酸化物層12とチタン層13との界面で)非常に高い反射率で反射することができ、時計用文字板1としての光の透過率の向上や美的外観の向上に、有効に再利用することができる。その結果、時計用文字板1全体としての美的外観、光透過性を非常に高いレベルで両立することができる。
上記のような優れた効果は、チタン酸化物層12と銀層14の間に、チタン層13が設けられることにより得られるものであって、チタン層13を設けなかったり、チタン層13の代わりにチタン以外の材料で構成された層を設けたりした場合には得られない。
チタン層13の平均厚さは、特に限定されないが、50nm以上であるのが好ましく、60〜900nmであるのがより好ましく、70〜500nmであるのがさらに好ましい。チタン層13の平均厚さが前記範囲内の値であると、チタン層13の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、時計用文字板1の審美性を特に優れたものとすることができる。また、チタン酸化物層12とチタン層13との密着性を特に優れたものとすることができる。また、時計用文字板1全体としての電波の透過性を特に優れたものとすることができる。これにより、例えば、時計用文字板1を、ソーラー電波時計に好適に適用することができる。これに対し、チタン層13の平均厚さが前記下限値未満であると、チタン酸化物層12、銀層14の厚さ、チタン層13の形成方法等によっては、チタン酸化物層12と銀層14との密着性を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。また、銀層14の厚さ等によっては、時計用文字板1全体としての審美性を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。一方、チタン層13の平均厚さが前記上限値を超えると、チタン層13の各部位における膜厚のばらつきが大きくなる傾向を示す。また、チタン層13の平均厚さが特に大きい場合は、チタン層13の内部応力が高くなり、クラック等が発生し易くなる。
チタン層13は、多数個の島状に設けられている。そして、後述するように、銀層14も、チタン層13に対応するように多数個の島状に設けられている。各チタン層13(各島状の領域)は、いかなる形状のものであってもよいが、図2に示す構成では、時計用文字板1(基板11)を平面視した際の形状が略円形状である。チタン層13がこのような形状を有するものであると、時計用文字板1を平面視した際にチタン層13および銀層14が設けられていない領域(光を透過する光透過部として機能する領域)の面積の比率を比較的高いものとした場合であっても、前記領域(光透過部として機能する領域)の存在を十分に目立ちにくいものとすることができ、優れた美的外観と光透過性とをより高いレベルで両立することができる。また、チタン層13が上記のような形状を有するものであると、後述するような方法により、所望の形状のチタン層13を容易かつ確実に形成することができる。また、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができる。なお、チタン層13の形状は、図2に示すようなものに限定されず、例えば、図3、図4に示すようなものであってもよい。
図示の構成では、時計用文字板1を平面視した際の、チタン層13の大きさ、形状は、銀層14の大きさ、形状と同一であるので、チタン層13の幅、ピッチ等の条件も銀層14の条件と同一である。銀層14の幅、ピッチについては、後に詳述する。
[銀層]
チタン層13の表面(チタン酸化物層12と接触する面とは反対側の面)には、主として銀で構成された銀層14が設けられている。
上述したように、チタン層13は、多数個の島状に設けられている。そして、銀層14も、チタン層13に対応するように多数個の島状に設けられている。言い換えると、銀層14およびチタン層13は、時計用文字板1を平面視した際に、銀層14が設けられた領域とチタン層13が設けられた領域とが、重なり合う(同一となる)ように設けられている。
このように、銀層14が、チタン酸化物層12、チタン層13よりも外表面側(観察者側)に設けられていることにより、時計用文字板1の耐久性を優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を優れたものとすることができる。
上記のような優れた効果は、チタン層13の表面に銀層14が設けられることにより得られるものであって、銀層14を設けなかったり、銀層14の代わりに銀以外の材料で構成された層を設けたりした場合には得られない。例えば、銀層14の代わりに、他の貴金属材料である白金や金からなる層を設けた場合には、時計用文字板の耐久性が著しく低下する。
各銀層14(各島状の領域)は、いかなる形状のものであってもよいが、図2に示す構成では、時計用文字板1(基板11)を平面視した際の形状が略円形状である。銀層14がこのような形状を有するものであると、時計用文字板1を平面視した際にチタン層13および銀層14が設けられていない領域(光を透過する光透過部として機能する領域)の面積の比率を比較的高いものとした場合であっても、前記領域(光透過部として機能する領域)の存在を十分に目立ちにくいものとすることができ、優れた美的外観と光透過性とをより高いレベルで両立することができる。また、銀層14が上記のような形状を有するものであると、後述するような方法により、所望の形状の銀層14を容易かつ確実に形成することができる。また、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができる。なお、銀層14の形状は、図2に示すようなものに限定されず、例えば、図3、図4に示すようなものであってもよい。
銀層14の幅(銀層14が略円形である場合には、その直径)Wは、70〜600μmであるのが好ましく、90〜500μmであるのがより好ましく、100〜300μmであるのがさらに好ましい。銀層14の幅Wが前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、銀層14の幅Wが前記下限値未満であると、時計用文字板1の製造時において、銀層14を精度よく形成するのが困難になるとともに、時計用文字板1を平面視した際の銀層14の占有率(以下、単に「銀層14の占有率」とも言う)等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。一方、銀層14の幅Wが前記上限値を超えると、銀層14の占有率等によっては、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。
また、銀層14のピッチPは、100〜750μmであるのが好ましく、130〜600μmであるのがより好ましく、160〜450μmであるのがさらに好ましい。銀層14のピッチPが前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、銀層14のピッチPが前記下限値未満であると、時計用文字板1の製造時において、銀層14を精度よく形成するのが困難になるとともに、銀層14の占有率等によっては、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。一方、銀層14のピッチPが前記上限値を超えると、銀層14の占有率等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。なお、銀層14のピッチとは、隣接する銀層14−銀層14間の中心間距離のことを指し、隣接する銀層14が複数個ある場合には、最も近接した銀層14との中心間距離のことを指す。
銀層14の平均厚さは、特に限定されないが、60nm以上であるのが好ましく、70〜1000nmであるのがより好ましく、100〜700nmであるのがさらに好ましい。銀層14の平均厚さが前記範囲内の値であると、銀層14の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、時計用文字板1の審美性を特に優れたものとすることができる。また、チタン層13と銀層14との密着性を特に優れたものとすることができる。また、時計用文字板1全体としての電波の透過性を特に優れたものとすることができる。これにより、例えば、時計用文字板1を、ソーラー電波時計に好適に適用することができる。これに対し、銀層14の平均厚さが前記下限値未満であると、チタン層13の厚さ、銀層14の形成方法等によっては、チタン層13と銀層14との密着性を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。一方、銀層14の平均厚さが前記上限値を超えると、銀層14の各部位における膜厚のばらつきが大きくなる傾向を示す。また、銀層14の平均厚さが特に大きい場合は、銀層14の内部応力が高くなり、クラック等が発生し易くなる。
また、前述したチタン層13の平均厚さと銀層14の平均厚さとの和は、150nm以上であるのが好ましく、180〜1800nmであるのがより好ましく、200〜1000nmであるのがさらに好ましい。チタン層13の平均厚さと銀層14の平均厚さとの和が前記範囲内の値であると、チタン層13や銀層14の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、チタン酸化物層12、チタン層13、銀層14の密着性を特に優れたものとすることができ、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、チタン層13の平均厚さと銀層14の平均厚さとの和が前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、電波の透過性が向上する。
時計用文字板1(基板11)を平面視した際に、チタン層13、銀層14が設けられている領域(光透過部として機能する領域)が占める面積の割合(被覆率)は、30〜80%であるのが好ましく、30〜70%であるのがより好ましく、35〜55%であるのがさらに好ましく、35〜50%であるのがもっとも好ましい。前記面積の割合(被覆率)が前記範囲内の値であると、光透過性を十分優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。これに対し、前記面積の割合(被覆率)が前記下限値未満であると、時計用文字板1の美的外観を十分に優れたものとすることが困難になる。一方、前記面積の割合(被覆率)が前記上限値を超えると、時計用文字板1全体としての光透過性を十分に優れたものとすることが困難になる。
時計用文字板1の厚さは、特に限定されないが、150〜700μmであるのが好ましく、200〜600μmであるのがより好ましく、300〜500μmであるのがさらに好ましい。時計用文字板1の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
上述したように、時計用文字板1は、美的外観に優れるとともに、光の透過性にも優れている。このため、時計用文字板1は、ソーラー時計(太陽電池を内蔵する時計)等に好適に適用することができる。
また、時計用文字板1は、耐久性にも優れているため、携帯時計(例えば、腕時計)に好適に適用することができる。
<時計用文字板の製造方法>
次に、上述した時計用文字板1の製造方法について説明する。
図5は、本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図5に示すように、本実施形態の製造方法は、基板11を準備する基板準備工程(1a)と、基板11の表面に、所定のパターンで多数個の開口部21が設けられたマスク2を配した状態で成膜を行うことにより、多数個のチタン酸化物層12を形成するチタン酸化物層形成工程(1b、1c)と、基板11のチタン酸化物層12が設けられた面側に、所定のパターンで多数個の開口部21が設けられたマスク2を配した状態で成膜を行うことにより、多数個のチタン層13を形成するチタン層形成工程(1d)と、基板11のチタン酸化物層12およびチタン層13が設けられた面側に、所定のパターンで多数個の開口部21が設けられたマスク2を配した状態で成膜を行うことにより、多数個の銀層14を形成する銀層形成工程(1e)と、基板11上からマスク2を除去するマスク除去工程(1f)とを有している。
[基板準備工程]
基板11としては、前述したようなものを用いることができる。
また、基板11の表面に対しては、例えば、鏡面加工、スジ目加工、梨地加工等の表面加工が施されてもよい。これにより、得られる時計用文字板1の表面の光沢具合にバリエーションを持たせることが可能となり、得られる時計用文字板1の美的外観をさらに向上させることができる。
また、このような表面加工を施した基板11を用いて製造される時計用文字板1は、チタン酸化物層12、チタン層13、銀層14に対して、前記表面加工を施すことにより得られるものに比べて、外観上ギラツキ等が抑制されたものとなり、特に美的外観に優れたものとなる。また、基板11は、主としてプラスチック材料で構成されたものであると、上記のような表面加工も比較的容易に行うことができる。また、チタン酸化物層12、チタン層13、銀層14は、通常、比較的薄いものであり、また、多数個の島状に設けられるものであるため、チタン酸化物層12、チタン層13、銀層14に対して表面加工を施すと、当該表面処理を施した部位のチタン酸化物層12、チタン層13、銀層14が完全に除去されてしまう等の問題が発生する可能性があるが、基板11に対して表面処理を行うことにより、このような問題の発生も効果的に防止することができる。
[チタン酸化物層形成工程]
基板11の表面に、所定のパターンで開口部21が設けられたマスク2を配した状態で、成膜を行うことにより、主としてチタン酸化物で構成されたチタン酸化物層12を形成する(1b、1c)。
上述したように、チタン酸化物層12は、基板11およびチタン層13との密着性に優れるものである。このようなチタン酸化物層12を形成することにより、時計用文字板1全体としての耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、上述したように、チタン酸化物層12を設けることにより、チタン酸化物層12とチタン層13との界面において、非常に効率よく光(反射光)を反射させることができ、入射光の利用効率を高いものとし、時計用文字板1の美的外観および光透過性を高いレベルで両立させることができる。
そして、本実施形態では、マスク2を配した状態で成膜を行うことにより、チタン酸化物層12を形成する。これにより、マスク2の開口部21に対応する形状、大きさ、パターンで、多数個の島状のチタン酸化物層12を、容易かつ確実に形成することができる。また、成膜後の後処理を必要とすることなく、光透過部として機能する領域が形成されるため、不本意な凹凸等が発生してしまうのを確実に防止することができ、所望の形状のチタン酸化物層12を形成することができるとともに、時計用文字板1の生産性を向上させることができる。また、多数個の時計用文字板1の製造に、マスク2を繰り返し用いることができるため、時計用文字板1の生産性が向上するとともに、各時計用文字板1間での品質のばらつきを抑制することができる。すなわち、時計用文字板1の品質の信頼性が向上する。また、形成すべきチタン酸化物層12に対応するパターンの開口部21を有するマスク2を複数種用意することにより、チタン酸化物層12の形成条件を大きく変更することなく、多様なパターンのチタン酸化物層12を有する時計用文字板1の生産にも好適に対応することができる。すなわち、多品種生産にも効率良く対応することができる。
また、マスク2を用いた成膜でチタン酸化物層12を形成することにより、チタン層13および銀層14と同一の形状、大きさ、パターンのチタン酸化物層12を容易かつ確実に形成することができる。その結果、容易かつ確実に、時計用文字板1の光透過性および美的外観を特に優れたものとすることができる。
チタン酸化物層12の形成方法(成膜方法)は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の気相成膜法、溶射等が挙げられるが、気相成膜法が好ましい。チタン酸化物層12の形成方法として気相成膜法を適用することにより、均一な膜厚を有し(不本意な厚さのばらつきが抑制され)、均質で、かつ、基板11との密着性が特に優れたチタン酸化物層12を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、電波時計等の時計用部品として用いる場合、特に優れた電波の透過性が求められるため、一般に、チタン酸化物層12を前記のように比較的薄いものとするのが好ましいが、チタン酸化物層12の形成方法として気相成膜法を適用することにより、形成すべきチタン酸化物層12がこのように比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、例えば、得られる時計用文字板1の耐久性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の電波の透過性、美的外観を特に優れたものとすることができる。したがって、得られる時計用文字板1を電波時計に、好適に適用することができる。また、上記のような気相成膜法の中でも、スパッタリングが特に好ましい。チタン酸化物層12の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。
なお、上記のような気相成膜法を適用する場合、例えば、チタン酸化物層12を構成するチタンをターゲットとして用い、酸素ガスを含む雰囲気中で処理を行うことにより、チタン酸化物層12を容易かつ確実に形成することができる。
また、チタン酸化物層12の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。これにより、前述したような積層体で構成されたチタン酸化物層12を好適に形成することができる。
本工程で用いるマスク2は、形成すべき多数個のチタン酸化物層12に対応するパターンで配された開口部21を有している。すなわち、マスク2は、形成すべき多数個のチタン酸化物層12に対応する部位に開口部21を有するものである。
このようなマスク2は、例えば、板状の部材を用意し、これに、エッチング等の化学的処理を施したり、レーザー光等のエネルギー線の照射、旋盤処理等の機械的処理(物理的処理)を施したりする等して、開口部21を形成することにより得ることができる。
マスク2の厚さは、形成すべきチタン酸化物層12等の厚さ等にもよるが、30〜200μmであるのが好ましく、40〜120μmであるのがより好ましい。
マスク2はいかなる材料で構成されたものであってもよく、マスク2の構成材料としては、各種金属材料、各種セラミックス材料、各種プラスチック材料等が挙げられる。中でも、マスク2の構成材料としては、金属材料が好ましい。マスク2が金属材料で構成されたものであると、マスク2の耐久性を特に優れたものとすることができる。その結果、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、多数個の時計用文字板1において品質のばらつきを抑制することができ、時計用文字板1の信頼性が向上する。また、金属材料は、一般に、適度な弾性を有しており、形状の追従性が高いものが多く、基板11(製造すべき時計用文字板1)が平板状のものに限らず、湾曲板状等のものであっても、好適に適用することができる。また、1種類のマスク2を異なる形状の基板11(例えば、平板状の基板11、湾曲板状の基板11)に対しても、共通して利用することができる。
特に、本実施形態では、マスク2として、磁性材料(強磁性を有する材料)を含む材料で構成されたものを用いている。そして、基板11のマスク2に対向する面(第1の面)とは反対の面(第2の面)側には図示しない磁石が配されており、これにより、マスク2と、チタン酸化物層12(さらには、チタン層13、銀層14)が形成されるべきワークとしての基板11とを、確実に密着させることができる。その結果、基板11上において、目的以外の部位にチタン酸化物層12(さらに、後述する工程においては、チタン層13、銀層14)が成膜されるのをより確実に防止することができ、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観および光透過性を確実に優れたものとすることができる。すなわち、製造される時計用文字板1の信頼性を特に優れたものとすることができる。
磁石は、例えば、永久磁石であってもよいし、電磁石であってもよい。
上記のように、本実施形態において、マスク2は、磁性材料を含む材料で構成されたものであるが、マスク2は、例えば、実質的に磁性材料のみで構成されるものであってもよいし、他の成分を含むものであってもよい。
また、マスク2は、図示しない表面層を有するものであってもよい。これにより、例えば、マスク2の耐久性を特に優れたものとすることができたり、気相成膜時に、マスク2上にチタン酸化物層12の構成材料(さらには、チタン層13、銀層14の構成材料)が強固に付着するのを効果的に防止することができる。このような表面層を構成する材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ダイヤモンド様炭素(DLC)等が挙げられる。
[チタン層形成工程]
次に、基板11のチタン酸化物層12が設けられた面側に、引き続き、所定のパターンで多数個の開口部21が設けられたマスク2を配した状態で成膜を行うことにより、チタン酸化物層12上にチタン層13を形成する(1d)。
上述したように、チタン層13は、チタン酸化物層12および銀層14との密着性に優れるものである。このようなチタン層13を形成することにより、時計用文字板1全体としての耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、上述したように、チタン層13を設けることにより、チタン酸化物層12とチタン層13との界面において、非常に効率よく光(反射光)を反射させることができ、入射光の利用効率を高いものとし、時計用文字板1の美的外観および光透過性を高いレベルで両立させることができる。
本工程は、基板11のチタン酸化物層12が設けられた面側に、マスク2を配した状態で成膜を行う。これにより、マスク2の開口部21に対応する形状、大きさ、パターンで、多数個の島状のチタン層13を、容易かつ確実に形成することができる。また、成膜後の後処理を必要とすることなく、光透過部として機能する領域が形成されるため、不本意な凹凸等が発生してしまうのを確実に防止することができ、所望の形状のチタン層13を形成することができるとともに、時計用文字板1の生産性を向上させることができる。また、多数個の時計用文字板1の製造に、マスク2を繰り返し用いることができるため、時計用文字板1の生産性が向上するとともに、各時計用文字板1間での品質のばらつきを抑制することができる。すなわち、時計用文字板1の品質の信頼性が向上する。また、形成すべきチタン層13に対応するパターンの開口部21を有するマスク2を複数種用意することにより、チタン層13の形成条件を大きく変更することなく、多様なパターンのチタン層13を有する時計用文字板1の生産にも好適に対応することができる。すなわち、多品種生産にも効率良く対応することができる。
マスク2としては、前述したチタン酸化物層形成工程で用いたのとは異なるもの(例えば、チタン酸化物層形成工程で用いたマスクよりも開口部の大きさが大きいもの等)を用いてもよいし、チタン酸化物層形成工程で用いたのと同一のものを用いてもよい。本工程において、マスク2として、チタン酸化物層形成工程で用いたのと同一のものを用いることにより、時計用文字板1の製造コストを抑制することができる。また、本工程において、チタン酸化物層形成工程で用いたのと同一のマスク2を用いる場合、前述したチタン酸化物層形成工程の後、基板11上から、マスク2を取り外すことなく、引き続けて本工程を行うのが好ましい。これにより、チタン酸化物層12とチタン層13との間で、不本意な位置ずれが生じてしまうのを確実に防止することができるとともに、時計用文字板1の生産性が向上する。
チタン層13の形成方法(成膜方法)は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装、インクジェット法等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の気相成膜法、溶射等が挙げられるが、気相成膜法が好ましい。チタン層13の形成方法として気相成膜法を適用することにより、均一な膜厚を有し(不本意な厚さのばらつきが抑制され)、均質で、かつ、基板11との密着性(チタン酸化物層12を介しての密着性)が特に優れたチタン層13を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、電波時計等の時計用部品として用いる場合、特に優れた電波の透過性が求められるため、一般に、チタン層13を前記のように比較的薄いものとするのが好ましいが、チタン層13の形成方法として気相成膜法を適用することにより、形成すべきチタン層13がこのように比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、例えば、得られる時計用文字板1の耐久性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の電波の透過性、美的外観を特に優れたものとすることができる。したがって、得られる時計用文字板1を電波時計に、好適に適用することができる。また、上記のような気相成膜法の中でも、スパッタリングが特に好ましい。チタン層13の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。
なお、上記のような気相成膜では、例えば、チタンをターゲットとして用い、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で処理を行うことにより、チタン層13を容易かつ確実に形成することができる。また、上述したチタン酸化物層形成工程を気相成膜法により行う場合、例えば、気相成膜装置内(チャンバー内)の雰囲気ガスの組成を、酸素ガスを含むものから、不活性ガスに置換することにより、同一装置内で、チタン酸化物層形成工程とチタン層形成工程とを、(基板11を装置内から取り出すことなく)引き続いて行うことができる。これにより、チタン酸化物層12とチタン層13との密着性が特に優れたものとなるとともに、時計用文字板1の生産性、信頼性も向上する。
そして、本実施形態においては、本工程も、前述したチタン酸化物層形成工程と同様に、基板11のマスク2に対向する面(第1の面)とは反対の面(第2の面)側に図示しない磁石を配し、これにより、マスク2と、チタン層13が形成されるべきワークとしての基板11(チタン酸化物層12が設けられた基板11)とを、確実に密着させた状態で行う。その結果、基板11上において、目的以外の部位にチタン層13が形成されるのをより確実に防止することができ、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観および光の透過性を確実に優れたものとすることができる。すなわち、製造される時計用文字板1の信頼性を特に優れたものとすることができる。
また、チタン層13の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。
[銀層形成工程]
次に、基板11のチタン酸化物層12、チタン層13が設けられた面側に、引き続き、所定のパターンで多数個の開口部21が設けられたマスク2を配した状態で成膜を行うことにより、チタン層13上に銀層14を形成する(1e)。
このようにチタン層13上に銀層14を設けることにより、最終的に得られる時計用文字板の美的外観を優れたものとすることができる。
また、上述したように、銀層14は、チタン層13との密着性に優れるものである。このような銀層14を形成することにより、時計用文字板1全体としての耐久性を特に優れたものとすることができる。
本工程は、基板11のチタン酸化物層12、チタン層13が設けられた面側に、マスク2を配した状態で成膜を行う。これにより、マスク2の開口部21に対応する形状、大きさ、パターンで、多数個の島状の銀層14を、容易かつ確実に形成することができる。また、成膜後の後処理を必要とすることなく、光透過部として機能する領域が形成されるため、不本意な凹凸等が発生してしまうのを確実に防止することができ、所望の形状の銀層14を形成することができるとともに、時計用文字板1の生産性を向上させることができる。また、多数個の時計用文字板1の製造に、マスク2を繰り返し用いることができるため、時計用文字板1の生産性が向上するとともに、各時計用文字板1間での品質のばらつきを抑制することができる。すなわち、時計用文字板1の品質の信頼性が向上する。また、形成すべき銀層14に対応するパターンの開口部21を有するマスク2を複数種用意することにより、銀層14の形成条件を大きく変更することなく、多様なパターンの銀層14を有する時計用文字板1の生産にも好適に対応することができる。すなわち、多品種生産にも効率良く対応することができる。
マスク2としては、前述したチタン層形成工程で用いたのとは異なるもの(例えば、チタン層形成工程で用いたマスクよりも開口部の大きさが大きいもの等)を用いてもよいし、チタン層形成工程で用いたのと同一のものを用いてもよい。本工程において、マスク2として、チタン層形成工程で用いたのと同一のものを用いることにより、時計用文字板1の製造コストを抑制することができる。また、本工程において、チタン層形成工程で用いたのと同一のマスク2を用いる場合、前述したチタン層形成工程の後、基板11上から、マスク2を取り外すことなく、引き続けて本工程を行うのが好ましい。これにより、チタン層13と銀層14との間で、不本意な位置ずれが生じてしまうのを確実に防止することができるとともに、時計用文字板1の生産性が向上する。
銀層14の形成方法(成膜方法)は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装、インクジェット法等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の気相成膜法、溶射等が挙げられるが、気相成膜法が好ましい。銀層14の形成方法として気相成膜法を適用することにより、均一な膜厚を有し(不本意な厚さのばらつきが抑制され)、均質で、かつ、基板11との密着性(チタン酸化物層12、チタン層13を介しての密着性)が特に優れた銀層14を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、電波時計等の時計用部品として用いる場合、特に優れた電波の透過性が求められるため、一般に、銀層14を前記のように比較的薄いものとするのが好ましいが、銀層14の形成方法として気相成膜法を適用することにより、形成すべき銀層14がこのように比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、例えば、得られる時計用文字板1の耐久性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の電波の透過性、美的外観を特に優れたものとすることができる。したがって、得られる時計用文字板1を電波時計に、好適に適用することができる。また、上記のような気相成膜法の中でも、スパッタリングが特に好ましい。銀層14の形成方法としてスパッタリングを適用することにより、上記のような効果はより顕著なものとなる。
なお、上記のような気相成膜では、例えば、銀をターゲットとして用い、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で処理を行うことにより、銀層14を容易かつ確実に形成することができる。また、上述したチタン層形成工程を気相成膜法により行う場合、例えば、ターゲットを変更することにより、同一装置内で、チタン層形成工程と銀層形成工程とを、(基板11を装置内から取り出すことなく)引き続いて行うことができる。これにより、チタン層13と銀層14との密着性が特に優れたものとなるとともに、時計用文字板1の生産性、信頼性も向上する。
そして、本実施形態においては、本工程も、前述したチタン層形成工程と同様に、基板11のマスク2に対向する面(第1の面)とは反対の面(第2の面)側に図示しない磁石を配し、これにより、マスク2と、銀層14が形成されるべきワークとしての基板11(チタン酸化物層12、チタン層13が設けられた基板11)とを、確実に密着させた状態で行う。その結果、基板11上において、目的以外の部位に銀層14が形成されるのをより確実に防止することができ、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観および光の透過性を確実に優れたものとすることができる。すなわち、製造される時計用文字板1の信頼性を特に優れたものとすることができる。
また、銀層14の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。
[マスク除去工程]
次に、基板11上から、マスク2を除去する(1f)。これにより、マスク2の開口部21に対応する部位は、基板11の表面が露出した状態(光透過部として機能する領域)となり、それ以外の部位は、チタン酸化物層12、チタン層13、銀層14で被覆された状態となる。
マスク2の除去は、チタン酸化物層12、チタン層13および銀層14が設けられた基板11上から、マスク2を剥離することにより行うことができる。
以上のようにして、時計用文字板1を得ることができる。
なお、上記のようなチタン酸化物層形成工程、チタン層形成工程、銀層形成工程は、製造すべき時計用文字板1に対応する大きさ、形状の基板11に対して施すものであってもよいが、例えば、シート状の基板11に対して施し、その後、打ち抜き、切断等により、目的の大きさ、形状に加工してもよい。
<時計>
次に、上述したような本発明の時計用文字板を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の時計用文字板を有するものである。上述したように、本発明の時計用文字板は、光透過性および装飾性(美的外観)に優れたものである。このため、このような時計用文字板を備えた本発明の時計は、ソーラー時計としての求められる要件を十分に満足することができる。なお、本発明の時計を構成する時計用文字板(本発明の時計用文字板)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図6は、本発明の時計(腕時計)の好適な実施形態を示す断面図である。
図6に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)82と、裏蓋83と、ベゼル(縁)84と、ガラス板(カバーガラス)85とを備えている。また、ケース82内には、前述したような本発明の時計用文字板1と、太陽電池94と、ムーブメント81とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。時計用文字板1は、太陽電池94と、ガラス板(カバーガラス)85との間に設けられており、基板11のチタン酸化物層12、チタン層13、銀層14が設けられた面(第1の面)が、ガラス板(カバーガラス)85側を向くように配置されている。
ガラス板85は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、本発明の時計用文字板1の審美性を十分に発揮させることができるとともに、太陽電池94に十分な光量の光を入射させることができる。
ムーブメント81は、太陽電池94の起電力を利用して、指針を駆動する。
図6中では省略しているが、ムーブメント81内には、例えば、太陽電池94の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメント81は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
太陽電池94は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池94で変換された電気エネルギーは、ムーブメントの駆動等に利用される。
太陽電池94は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
胴82には巻真パイプ86が嵌入・固定され、この巻真パイプ86内にはりゅうず87の軸部871が回転可能に挿入されている。
胴82とベゼル84とは、プラスチックパッキン88により固定され、ベゼル84とガラス板85とはプラスチックパッキン89により固定されている。
また、胴82に対し裏蓋83が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)93には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)92が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部93が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず87の軸部871の途中の外周には溝872が形成され、この溝872内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)91が嵌合されている。ゴムパッキン91は巻真パイプ86の内周面に密着し、該内周面と溝872の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず87と巻真パイプ86との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず87を回転操作したとき、ゴムパッキン91は軸部871と共に回転し、巻真パイプ86の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
上記のような携帯時計(腕時計)は、各種時計の中でも特に優れた耐久性(例えば、耐衝撃性等)が求められるものであるため、優れた美的外観とともに、優れた耐久性が得られる本発明を、より好適に適用することができる。
なお、上記の説明では、時計の一例として、ソーラー電波時計としての腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー電波時計を除くソーラー時計や、ソーラー電波時計を除く電波時計等、いかなる時計にも適用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記のようなものに限定されるものではない。
例えば、本発明の時計用文字板、時計では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。例えば、各種印刷法により形成された印刷部を有するものであってもよい。また、時計用文字板の表面(銀層が設けられた側の表面や、その反対側の表面)には、少なくとも1層の層(コート層)が設けられていてもよい。このような層は、例えば、時計用文字板の使用時等において除去されるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、チタン酸化物層12が、多数個のチタン層13(銀層14)に対応する部位に、島状に設けられるものとして説明したが、チタン酸化物層12は、島状に設けられたものでなくてもよい。例えば、チタン酸化物層12は、基板11のチタン層13が設けられる側の表面全体に設けられたものであってもよい。チタン酸化物層12は、(上述したような厚さでは)透明性を有するチタン酸化物で構成されたものであるため、上記のようにチタン層13、銀層14が設けられていない部位にチタン酸化物層12が設けられていても、時計用文字板1全体としての光透過性を十分に優れたものとすることができる(チタン層13および銀層14の設けられていない領域を、光透過部として機能させることができる)。このような場合、例えば、前述したような製造方法のチタン酸化物層形成工程において、マスクを用いることなく成膜を行うことにより、好適にチタン酸化物層を形成することができる。
また、本発明の時計用文字板の製造方法では、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。
また、前述した実施形態では、マスクとして磁性材料を含む材料で構成されたものを用い、基板のマスクに対向する面とは反対の面側に配された磁石により、マスクと、ワークとしての基板とを密着させた状態で行うものとして説明したが、磁石を用いなくてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.時計用文字板の製造
以下に示すような方法で、各実施例および各比較例について、100個ずつの時計用文字板(腕時計用文字板)を製造した。
(実施例1)
まず、ポリカーボネートを用いて、射出成形により、腕時計用文字板の形状を有する母材を作製し、その後、必要箇所を型抜きし、不要なバリ等を切削、研磨することにより基板を得た。得られた基板は、略円盤状をなし、直径:27mm×厚さ:500μmであった。
次に、この基板を洗浄した。基板の洗浄としては、まず、プラスチック用中性洗剤で30秒間洗浄を行い、その後、中和を10秒間、水洗を30秒間、純水洗浄を60秒間行った。その後、オーブン(80℃)で20分間乾燥した。
このようにして洗浄を行った基板の表面に、TiO(チタン酸化物)で構成されるチタン酸化物層を、以下に説明するようなスパッタリングにより形成した(チタン酸化物層形成工程)。
チタン酸化物層は、基板の表面に、円形状の開口部が千鳥格子状に配置された(正三角形の各頂点に対応する部位に、開口部の中心が位置するように配置された)マスク(図2参照)を配した状態で、スパッタリングを行うことにより形成した。
マスクは、ステンレス鋼(SUS430)で構成されたものであり、その厚さは50μmであった。また、開口部の直径は160μmであった。また、マスクを平面視した際に開口部が占める面積率で表されるマスクの開口率は40%であった。
また、本工程は、基板のマスクに対向する面(第1の面)とは反対の面(第2の面)側に磁石(ネオジウム磁石)を配し、この磁石により、基板と、マスクとを密着させた状態で行った。
本工程でのスパッタリングは、以下のような条件で行った。
まず、洗浄済みの基板をスパッタリング装置内に取付け、その後、装置内を予熱しながら、スパッタリング装置内を1.0×10−4Paまで排気(減圧)した。
次に、アルゴン流量:20ml/分でアルゴンガスを導入するとともに、酸素流量:10ml/分で酸素を導入した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、投入電力:1400W、処理時間:5.0分間という条件で放電を行うことにより、TiOで構成されるチタン酸化物層を形成した。このとき、基板の主面の垂線方向と、スパッタ粒子の進行方向がほぼ平行となるようにした。このようにして形成されたチタン酸化物層の平均厚さは、10nmであった。
引き続き、上記のようにして形成されたチタン酸化物層の表面に、Tiで構成されたチタン層をスパッタリングにより形成した(チタン層形成工程)。
チタン層の形成は、チタン酸化物層で被覆された基板をスパッタリング装置内から取り出すことなく、また、基板とマスクとを相対的に移動させることなく、前記工程に引き続いて行った。
本工程でのスパッタリングは、以下のような条件で行った。
まず、装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)し、その後、アルゴンガス流量:25ml/分でアルゴンガスを導入した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、投入電力:1000W、処理時間:10分間という条件で放電を行うことにより、Tiで構成されるチタン層を形成した。このとき、基板の主面の垂線方向と、スパッタ粒子の進行方向がほぼ平行となるようにした。このようにして形成されたチタン層の平均厚さは、100nmであった。
引き続き、上記のようにして形成されたチタン層の表面に、Agで構成された銀層をスパッタリングにより形成した(銀層形成工程)。
銀層の形成は、チタン酸化物層、チタン層で被覆された基板をスパッタリング装置内から取り出すことなく、また、基板とマスクとを相対的に移動させることなく、前記工程に引き続いて行った。
本工程でのスパッタリングは、以下のような条件で行った。
まず、装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)し、その後、アルゴンガス流量:25ml/分でアルゴンガスを導入した。このような状態で、ターゲットとしてAgを用い、投入電力:1000W、処理時間:5.0分間という条件で放電を行うことにより、Agで構成される銀層を形成した。このとき、基板の主面の垂線方向と、スパッタ粒子の進行方向がほぼ平行となるようにした。このようにして形成された銀層の平均厚さは、200nmであった。
次に、多数個の島状のチタン酸化物層、チタン層、銀層が設けられた基板をスパッタリング装置内から取り出し、マスクを除去した。
その後、ポリナールクリアおよびポリナールホワイト(大橋化学社製)を用いて、基板の銀層が設けられた面側に、主としてアクリル系樹脂で構成されるコート層を形成した。これにより、図1、図2に示すような腕時計用文字板を得た(コート層形成工程。ただし、コート層は図示せず。)。コート層の形成は、スプレーコート法により行った。形成されたコート層の平均厚さは、10μmであった。
なお、基板、チタン酸化物層、チタン層、銀層、コート層およびマスクの厚さは、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
(実施例2〜9)
基板の構成材料を表1に示すようにするとともに、マスクの条件、チタン酸化物層形成工程、チタン層形成工程、および、銀層形成工程の処理条件を調整することにより、チタン酸化物層、チタン層、銀層の構成が表1に示すものとなるようにし、また、コート層の厚さを表1に示すようにした以外は、前記実施例1と同様にして、腕時計用文字板を製造した。
(比較例1)
チタン酸化物層形成工程、チタン層形成工程、および、銀層形成工程においてマスクを用いなかった以外は、前記実施例1と同様にして腕時計用文字板を製造した。
(比較例2)
チタン酸化物層形成工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして腕時計用文字板を製造した。すなわち、本比較例の時計用文字板は、基板の表面に直接チタン層が設けられたものである。
(比較例3)
チタン層形成工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして腕時計用文字板を製造した。すなわち、本比較例の時計用文字板は、チタン酸化物層の表面に直接銀層が設けられたものである。
(比較例4)
銀層形成工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして腕時計用文字板を製造した。すなわち、本比較例の時計用文字板は、銀層を有しておらず、チタン層が露出したものである。
(比較例5)
チタン酸化物層の代わりに、Crで構成されたクロム酸化物層を形成した以外は、前記実施例1と同様にして腕時計用文字板を製造した。すなわち、本比較例の時計用文字板は、基板、クロム酸化物層、チタン層、銀層の積層構造を有するものである。
(比較例6)
チタン層の代わりに、Crで構成されたクロム層を形成した以外は、前記実施例1と同様にして腕時計用文字板を製造した。すなわち、本比較例の時計用文字板は、基板、チタン酸化物層、クロム層、銀層の積層構造を有するものである。
(比較例7)
銀層の代わりに、Ptで構成された白金層を形成した以外は、前記実施例1と同様にして腕時計用文字板を製造した。すなわち、本比較例の時計用文字板は、基板、チタン酸化物層、チタン層、白金層の積層構造を有するものである。
(比較例8)
本比較例では、以下に述べるように、チタン層および銀層を多数の開口部を有する膜状のもの(多数個の島状のものではない)として形成し、腕時計用文字板を得た。
まず、前記実施例1と同様にして洗浄した基板を用意した。
次に、洗浄を行った基板の表面(第1の面)の全体に、チタン酸化物層、チタン層および銀層を形成した。チタン酸化物層、チタン層および銀層の形成は、マスクを用いずに行った以外は、前記実施例1と同様にして行った。
その後、チタン酸化物層、チタン層および銀層が設けられた基板をスパッタリング装置内から取り出した。
次に、銀層の表面に、レジスト材料を塗布し、さらに、露光、現像処理を行うことにより、略円形の開口部が設けられたマスク(レジストマスク)を得た。
次に、45wt%の硝酸水溶液をエッチング液として用いたエッチングを行うことにより、銀層のうち、マスクの開口部に対応する部位に開口部を形成した。エッチングは、シャワー方式により行った。本工程におけるエッチング液の温度、エッチング時間は、それぞれ約20℃、約5分間であった。
次に、フッ酸をエッチング液として用いたエッチングを行うことにより、チタン層のうち、マスクの開口部(銀層の開口部)に対応する部位に開口部を形成した。エッチングは、浸漬方式により行った。これにより、チタン層および銀層を貫通(連通)する開口部が設けられた。
次に、水酸化ナトリウム溶液で構成されたマスク除去剤に浸漬することにより、マスクを除去した。また、本工程におけるマスク除去剤の温度、マスク除去剤への浸漬時間は、それぞれ35℃、8分間であった。
その後、前記実施例1と同様にして、基板の銀層が設けられた面側に、主としてアクリル系樹脂で構成されるコート層を形成することにより、腕時計用文字板を得た。
本比較例の時計用文字板において、チタン層および銀層は、円形状の開口部が千鳥格子状に配置された(正三角形の各頂点に対応する部位に、開口部の中心が位置するように配置された)ものであった。また、チタン層の開口率(時計用文字板を平面視したときに開口部の占める面積率)、および銀層の開口率は、いずれも、60%であった。
なお、前記各実施例および各比較例で用いた基板は、光源として白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用いた際の、可視光の透過率が、いずれも、60%以上であった。
各実施例および各比較例の時計用文字板の製造に用いたマスク(気相成膜用マスク)および時計用文字板の構成を表1にまとめて示す。なお、表中、ポリカーボネートをPCで示し、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)をABS、アクリル系樹脂をAcで示した。また、表1中、被覆率の欄には、時計用文字板(基板)を平面視した際に銀層(比較例7については、白金層)で被覆されている面積の割合(銀層の占有率)を示した。また、表1中、比較例の「クロム酸化物層」の条件については「チタン酸化物層」の欄に、「クロム層」の条件については「チタン層」の欄に、「白金層」の条件については「銀層」の欄に、それぞれ示した。また、表1中、銀層についての「形状、配置パターン」の欄には、図2に示すような形状、配置パターンを「A」で示し、図3に示すような形状、配置パターンを「B」で示し、図4に示すような形状、配置パターンを「C」で示し、基板の表面(第1の面)全体に膜状に設けられたものを「D」で示し、多数の開口部を有する膜状のものであり(多数個の島状のものではなく)、円形状の開口部が千鳥格子状に配置された(正三角形の各頂点に対応する部位に、円形状の開口部の中心が位置するように配置された)ものを「E」で示した。ただし、光透過部として機能する領域の占有率は、図2〜図4に示すものと異なるものであってもよい。また、時計用文字板の各部位は、いずれも、表1に示す成分を主成分として構成されたものであり、それ以外の成分の含有率が1wt%未満であった。
Figure 0005050866
2.腕時計用文字板の外観評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、基板の第1の面側(チタン酸化物層、チタン層、銀層が設けられた面側)から、目視による観察を行い、これらの外観を以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:非常に優れた外観を有している。
B:優れた外観を有している。
C:外観がやや不良。
D:外観が不良。
E:外観が極めて不良。
3.腕時計用文字板の光透過性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下のような方法により、光透過性を評価した。
まず、太陽電池と各腕時計用文字板とを暗室にいれた。その後、太陽電池単体でその受光面に対し、所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、太陽電池の発電電流をA[mA]とした。次に、前記太陽電池の受光面の上面に、腕時計用文字板を重ね合わせた状態で、前記と同様に所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この状態での、太陽電池の発電電流をB[mA]とした。そして、(B/A)×100で表される時計用文字板の光透過率を算出し、以下の4段階の基準に従い、評価した。光透過率が大きいほど、時計用文字板の光透過性は優れたものであるといえる。なお、時計用文字板は、基板の第1の面(チタン酸化物層、チタン層、銀層が設けられた側の面)が白色蛍光灯(光源)側を向くように、太陽電池に重ね合わせた。また、白色蛍光灯としては、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用いた。
A:33%以上。
B:27%以上33%未満。
C:19%以上27%未満。
D:19%未満。
その後、前記各実施例および各比較例で製造した時計用文字板を用いて、図6に示すような腕時計を製造した。このとき、時計用文字板は、基板の第1の面(チタン酸化物層、チタン層、銀層が設けられた側の面)がガラス板側を向くようにした。そして、製造された各腕時計を暗室にいれた。その後、時計の時計用文字板側の面(ガラス板側の面)から、所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、光の照射強度が次第に大きくなるように照射強度を一定の速度で変化させた。その結果、本発明の時計では、比較的照射強度が小さい場合でもムーブメントが駆動した。これに対し、比較例1の時計では、比較的照射強度が大きい場合でもムーブメントの駆動が確認されなかった。
4.電波透過性の評価
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、以下に示すような方法で電波透過性を評価した。
まず、時計ケースと、電波受信用のアンテナを備えた腕時計用内部モジュール(ムーブメント)とを用意した。
次に、時計ケース内に、腕時計用内部モジュール(ムーブメント)および、腕時計用文字板を組み込み、この状態での電波の受信感度を測定した。このとき、時計用文字板は、基板の第1の面(チタン酸化物層、チタン層、銀層が設けられた側の面)が外表面側を向くようにした。
腕時計用文字板を組み込まない状態での受信感度を基準とし、腕時計用文字板を組み込んだ場合における受信感度の低下量(dB)を以下の4段階の基準に従い、評価した。電波の受信感度の低下が低いものほど、腕時計用文字板の電波透過性は優れたものであるといえる。
A:感度の低下が認められない(検出限界以下)。
B:感度の低下が0.7dB未満で認められる。
C:感度の低下が0.7dB以上1.0dB未満。
D:感度の低下が1.0dB以上。
5.被膜の密着性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下に示すような2種の試験を行い、被膜(チタン酸化物層、チタン層、銀層、比較例については、さらに、クロム酸化物層、クロム層、白金層)の密着性を評価した。
5−1.折り曲げ試験
各腕時計用文字板について、直径2.8mmの鉄製の棒材を支点とし、腕時計用文字板の中心を基準に30°の折り曲げを行った後、腕時計用文字板の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。折り曲げは、圧縮/引っ張りの両方向について行った。
A:被膜の浮き、剥がれ等が全く認められない。
B:被膜の浮きがほとんど認められない。
C:被膜の浮きがはっきりと認められる。
D:被膜のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
5−2.熱サイクル試験
各腕時計用文字板を、以下のような熱サイクル試験に供した。
まず、腕時計用文字板を、15℃の環境下に1.5時間、次いで、60℃の環境下に2時間、次いで、15℃の環境下に1.5時間、次いで、−20℃の環境下に3時間静置した。その後、再び、環境温度を15℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計4回繰り返した(合計32時間)。
その後、腕時計用文字板の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:被膜の浮き、剥がれ等が全く認められない。
B:被膜の浮きがほとんど認められない。
C:被膜の浮きがはっきりと認められる。
D:被膜のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
これらの結果を表2に示す。
Figure 0005050866
表2から明らかなように、本発明の時計用文字板は、いずれも優れた美的外観を有するとともに、光の透過性に優れていた。また、本発明の時計用文字板は、被膜(チタン酸化物層、チタン層、銀層)の密着性にも優れており、優れた耐久性を有していた。また、本発明の時計用文字板は、電波の透過性にも優れていた。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、各実施例および各比較例で得られた時計用文字板を用いて、図6に示すような時計を組み立てた。このようにして得られた各時計について、上記と同様の試験、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す平面図である。 多数個の島状に設けられた銀層およびチタン層の配置パターンの一例を説明するための模式的な平面図である。 多数個の島状に設けられた銀層およびチタン層の配置パターンの他の一例を説明するための模式的な平面図である。 本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
符号の説明
1…時計用文字板 11…基板 12…チタン酸化物層 13…チタン層 14…銀層 2…マスク(気相成膜用マスク) 21…開口部 81…ムーブメント 82…胴(ケース) 83…裏蓋 84…ベゼル(縁) 85…ガラス板(カバーガラス) 86…巻真パイプ 87…りゅうず 871…軸部 872…溝 88…プラスチックパッキン 89…プラスチックパッキン 91…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 92…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 93…接合部(シール部) 94…太陽電池 100…腕時計(携帯時計)

Claims (13)

  1. 主としてプラスチック材料またはガラス材料で構成された基板と、
    前記基板の表面に設けられ、主としてチタン酸化物で構成されたチタン酸化物層と、
    前記チタン酸化物層の前記基板に対向する面とは反対側の面に設けられ、主としてチタンで構成されたチタン層と、
    前記チタン層の前記チタン酸化物層に対向する面とは反対側の面に設けられ、主として銀で構成された銀層とを有し、
    前記チタン層および前記銀層が多数個の島状に設けられており、
    時計用文字板を平面視した際に、前記チタン層および前記銀層の設けられていない領域が、光を透過する光透過部として機能することを特徴とする時計用文字板。
  2. 前記チタン層および前記銀層に加え、前記チタン酸化物層が多数個の島状に設けられている請求項1に記載の時計用文字板。
  3. 前記チタン層および前記銀層は、時計用文字板を平面視した際に、略円形をなすものである請求項1または2に記載の時計用文字板。
  4. 前記チタン層の厚さは、50nm以上である請求項1ないし3のいずれかに記載の時計用文字板。
  5. 前記銀層の厚さは、100nm以上である請求項1ないし4のいずれかに記載の時計用文字板。
  6. 時計用文字板を平面視した際に、前記チタン層、前記銀層が設けられている領域の占める面積の割合が、30〜80%である請求項1ないし5のいずれかに記載の時計用文字板。
  7. 主としてプラスチック材料またはガラス材料で構成された基板を準備する基板準備工程と、
    前記基板の表面に、主としてチタン酸化物で構成されたチタン酸化物層を形成するチタン酸化物層形成工程と、
    前記基板の前記チタン酸化物層が設けられた面側に、所定のパターンで多数個の開口部が設けられたマスクを配した状態で成膜を行うことにより、多数個の、主としてチタンで構成されたチタン層を形成するチタン層形成工程と、
    前記基板の前記チタン酸化物層および前記チタン層が設けられた面側に、所定のパターンで多数個の開口部が設けられたマスクを配した状態で成膜を行うことにより、多数個の、主として銀で構成された銀層を形成する銀層形成工程とを有することを特徴とする時計用文字板の製造方法。
  8. 前記銀層形成工程において用いる前記マスクは、前記チタン層形成工程で用いた前記マスクと同一のものである請求項7に記載の時計用文字板の製造方法。
  9. 前記チタン酸化物層形成工程は、前記基板の表面に、所定のパターンで多数個の開口部が設けられたマスクを配した状態で行うものである請求項7または8に記載の時計用文字板の製造方法。
  10. 前記チタン層形成工程において用いる前記マスクは、前記チタン酸化物層形成工程で用いた前記マスクと同一のものである請求項9に記載の時計用文字板の製造方法。
  11. 前記マスクを用いた成膜は、前記マスクとして磁性材料を含む材料で構成されたものを用い、前記基板の前記マスクに対向する面とは反対の面側に配された磁石により、前記マスクと、ワークとしての前記基板とを密着させた状態で行うものである請求項7ないし10のいずれかに記載の時計用文字板の製造方法。
  12. 請求項1ないし6のいずれかに記載の時計用文字板を備えたことを特徴とする時計。
  13. 請求項7ないし11のいずれかに記載の方法を用いて製造された時計用文字板を備えたことを特徴とする時計。
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