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JP5051069B2 - 駆動力配分装置 - Google Patents
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Description

本発明は、四輪駆動車両のトランスファーとして有用な駆動力配分装置に関し、特にその軸受潤滑効率を向上させる改良提案に関するものである。
駆動力配分装置としては、従来から種々のものが提案されているが、その他に、特許文献1に記載のようなトランクション伝動方式を用い、
主駆動輪へのトルク伝達経路を成す回転部材と共に回転する第1ローラと、
従駆動輪へのトルク伝達経路を成す回転部材と共に回転する第2ローラとを相互に径方向へ押圧接触させた構成を採用することも考えられる。
この駆動力配分装置によれば、第1ローラおよび第2ローラの径方向押圧接触部におけるトランクション伝動により、主駆動輪へのトルクの一部を従駆動輪へ分配して出力することができ、駆動力を主駆動輪と従駆動輪間とに分配して出力可能である。
特開2002−349653号公報
しかし、上記のような駆動力配分装置にあっては、第1ローラおよび第2ローラが歯車ほどのオイル掻き上げ能力を持たないため、潤滑油量が不足気味となって潤滑不良を生じ易い。
かかる潤滑不良に関する問題は、第1ローラおよび第2ローラのうち、上方に位置するローラに係わる軸受部において特に顕著となる。
本発明は、上記の実情に鑑み、上記のような駆動力配分装置にあっても、また、上方に位置するローラに係わる軸受部でさえも、確実に潤滑され得るよう改良した駆動力配分装置を提案することを目的とする。
この目的のため、本発明による駆動力配分装置は、請求項1に記載のごとくに構成する。
先ず前提となる駆動力配分装置を説明するに、これは、
主駆動輪へのトルク伝達経路を成す回転部材と共に回転する第1ローラと、
従駆動輪へのトルク伝達経路を成す回転部材と共に回転する第2ローラと、
これら第1ローラおよび第2ローラを相互に径方向へ押圧接触させるために該第1ローラおよび第2ローラの軸間距離を規定するよう第1ローラ用回転軸受および第2ローラ用回転軸受を抱持する共通なベアリングサポートとを具え、
該ベアリングサポートを、前記第1ローラおよび第2ローラの一方が他方のローラよりも上方に位置するような態様でハウジングの内面に取着して第1ローラおよび第2ローラをハウジングに間接的に支承すると共に、これら第1ローラおよび第2ローラを補助軸受によってハウジングに直接的に支承したものである。
本発明は、かかる駆動力配分装置に対し、
前記他方のローラ、および、前記上方位置にある一方のローラにより順次掻き上げられたオイルを、該一方のローラに係わる相互に隣接した前記ローラ用回転軸受および補助軸受間に導く潤滑油路を、前記ハウジング内面とベアリングサポートとの間に設けた構成に特徴づけられる。
かかる本発明の駆動力配分装置によれば、
下方位置にある前記他方のローラ、および、上方位置にある前記一方のローラにより順次掻き上げられたオイルが、前記ハウジング内面とベアリングサポートとの間に設けた潤滑油路を経て、上方位置にある前記一方のローラに係わる相互に隣接した前記ローラ用回転軸受および補助軸受間に導かれるため、
上記掻き上げオイルの量が少なくても、これが効率よく上方位置にある前記一方のローラに係わる相互に隣接したローラ用回転軸受および補助軸受間に達して、これら軸受を確実に潤滑することができる。
従って、ローラを用いるトランクション伝動式のため掻き上げオイル量が少ない駆動力配分装置であっても、また、上方に位置するローラに係わる軸受部でさえも、これを確実に潤滑し得て、前記した潤滑不良に関する問題を解消することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例になる駆動力配分装置1をトランスファーとして具えた四輪駆動車両のパワートレーンを、車両上方から見て示す概略平面図である。
図1の四輪駆動車両は、エンジン2からの回転を変速機3による変速後、リヤプロペラシャフト4およびリヤファイナルドライブユニット5を経て左右後輪6L,6Rに伝達される後輪駆動車をベース車両とし、
左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を、駆動力配分装置1より、フロントプロペラシャフト7およびフロントファイナルドライブユニット8を経て左右前輪(従駆動輪)7L,7Rへ伝達することにより、四輪駆動走行が可能となるようにした車両である。
駆動力配分装置1は、上記のごとく左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を左右前輪(従駆動輪)7L,7Rへ分配して出力することにより、左右後輪(主駆動輪)6L,6Rおよび左右前輪(従駆動輪)9L,9R間の駆動力配分を決定するもので、本実施例においては、この駆動力配分装置1を図2に示すように構成する。
図2において、11はハウジングを示し、軸線方向に分割したハウジング部分11a,11bを合体させてなるもので、このハウジング11内に入力軸12を横架する。
入力軸12は回転軸線O1を有し、その両端における補助軸受としてのボールベアリング13,14によりハウジング11に対し直接的に支承する。
ハウジング11内には更に、出力軸15およびクランクシャフト16を同軸に突き合わせて成る軸ユニットを横架し、この軸ユニット15,16を、その回転軸線O2が入力軸12に対し平行になるよう、また入力軸12よりも下方に位置するよう配置する。
出力軸15およびクランクシャフト16の同軸突き合わせ部は、出力軸15の対応端内にクランクシャフト16の対応端を嵌合し、両者間にニードルベアリング17を介在させて、 出力軸15およびクランクシャフト16を相対回転可能とする。
出力軸15およびクランクシャフト16より成る軸ユニットは、その両端における補助軸受としてのボールベアリング18,19によりハウジング11に対し直接的に支承する。
入力軸12は、上記したごとくボールベアリング13,14によりハウジング11に対し回転自在に支持するほか、更に、ハウジング11内に配したローラベアリング21,22(第1ローラ用回転軸受)によってもハウジング11に対し、軸線方向位置決めしつつ回転自在に支持する。
また出力軸15およびクランクシャフト16より成る軸ユニットも、上記したごとくボールベアリング18,19によりハウジング11に対し回転自在に支持するほか、更に、ハウジング11内に配したローラベアリング23,24(第2ローラ用回転軸受)によってもハウジング11に対し、軸線方向位置決めしつつ回転自在に支持する。
このため、軸線方向同じ側におけるローラベアリング21,23を同じ軸直角面内に位置させると共に、これらローラベアリング21,23を、共通なベアリングサポート25内に抱持し、このベアリングサポート25を中央部において、ボルト30等の任意の手段でハウジング11の対応する内側面に取着する。
なおローラベアリング23は、出力軸15およびクランクシャフト16の突き合わせ嵌合部に位置させ、これによりクランクシャフト16の図中左端を、出力軸15を介してハウジング11に回転自在に支持する。
また、軸線方向同じ側におけるローラベアリング22,24も同じ軸直角面内に位置させると共に、これらローラベアリング22,24を、共通なベアリングサポート26内に抱持し、このベアリングサポート26を中央部において、ボルト30等の任意の手段でハウジング11の対応する内側面に取着する。
かくしてベアリングサポート25,26は、ローラベアリング21,23およびローラベアリング22,24を介して、入力軸12の回転軸線O1と、出力軸15およびクランクシャフト16よりなる軸ユニットの回転軸線O2との間における軸間距離を規定すると共に、
この状態を保って入力軸12と、出力軸15およびクランクシャフト16よりなる軸ユニットとを、ローラベアリング21,23およびローラベアリング22,24との共働によりハウジング11に対し間接的に支承する用をなす。
ベアリングサポート25,26はそれぞれ、図3(a)、(b)に示すごとく、ローラベアリング21,22を抱持する段付き開口25a,26aと、ローラベアリング23,24を抱持する段付き開口25b,26bと、これら段付き開口間の中央における括れ部25c,26cと、該括れ部25c,26cに前記ボルト30(図2参照)が挿通されるよう穿った透孔25d,26dとを有する同様なものとする。
入力軸12の両端をそれぞれ、シールリング27,28による液密封止下でハウジング11から突出させ、該入力軸12の図中左端を変速機3(図1参照)の出力軸に結合し、図中右端をリヤプロペラシャフト4(図1参照)を介してリヤファイナルドライブユニット5に結合する。
クランクシャフト16から遠い出力軸15の図中左端を、シールリング29による液密封止下でハウジング11から突出させ、該出力軸15の突出左端をフロントプロペラシャフト7(図1参照)を介してフロントファイナルドライブユニット8に結合する。
入力軸12の軸線方向中程には、第1ローラ31を同心に一体成形して設け、クランクシャフト16の両端間には、第2ローラ32を以下のようにして設け、これら第1ローラ31および第2ローラ32を共通な軸直角面内に配置する。
第2ローラ32を設けるクランクシャフト16の箇所に、半径がRの偏心軸部16aを設定し、この偏心軸部16aは、その軸心O3を出力軸15およびカウンターシャフト16より成る軸ユニットの回転軸線O2からεだけオフセットさせる。
そして、クランクシャフト16の偏心軸部16a上にローラベアリング33を介し、第2ローラ32を回転自在に、しかし軸線方向位置決め状態で取り付ける。
従って、第2ローラ32の回転軸線は偏心軸部16aの軸心O3と同じになり、クランクシャフト16の回転位置制御により第2ローラ回転軸線O3(偏心軸部16aの軸心)を、クランクシャフト回転軸線(出力軸回転軸線)O2の周りに回転させれば、
第1ローラ31の回転軸線O1と、第2ローラ32の回転軸線O2との間における距離(第1ローラ31および第2ローラ32の軸間距離)L1を加減することができる。
ここで、第1ローラ31および第2ローラ32の軸間距離L1を、第1ローラ31の半径と第2ローラ32の半径との和値よりも小さくすることにより、
第1ローラ31および第2ローラ32が相互に径方向へ押し付けられ、ローラ外周面同士が符号31a,32aで示す箇所において予圧下に摩擦接触し、これらの間でトランクション伝動を行うことができる。
そして、第1ローラ31および第2ローラ32の軸間距離L1を加減することにより、第1ローラ31に対する第2ローラ32の径方向押し付け力(第1,2ローラ間の伝達トルク容量)を自在に制御することができる。
かかるクランクシャフト16の回転位置制御を介した第1ローラ31および第2ローラ32間の径方向押し付け力(第1,2ローラ間の伝達トルク容量)制御を可能にするため、
出力軸15から遠いクランクシャフト16の図中右端を、シールリング34による液密封止下でハウジング11から外部に露出させる。
かかるクランクシャフト16の露出端面に同軸に対向するローラ間押し付け力制御モータ35をハウジング11に取着して設け、
モータ35の出力軸35aを、ハウジング11から露出しているクランクシャフト16の端面にセレーション嵌合などにより駆動結合する。
第1ローラ31からトランクション伝動により第2ローラ32に至った回転を出力軸15から取り出し得るようにするため、
クランクシャフト16に近い出力軸15の内端にフランジ部15aを一体成形して設け、該フランジ部15aの直径を第2ローラ32と軸線方向に対面する大きさにする。
第2ローラ32と対面する出力軸フランジ部15aに、第2ローラ32へ向けて軸線方向へ突出する複数個の駆動ピン36を固設し、これら駆動ピン36を図4に示すごとく同一円周上に等間隔に配置する。
出力軸フランジ部15aと対面する第2ローラ32の端面には、駆動ピン36が個々に貫入して第2ローラ32から出力軸15(フランジ部15a)へのトルク伝達を可能にするための複数個の孔37を穿設する。
そして、これら駆動ピン貫入孔37を図4に明示するごとく、駆動ピン36の直径よりも大径の円孔とし、その直径は、出力軸15の回転軸線O2および第2ローラ32の回転軸線O3間の偏心量εを吸収しつつ上記した第2ローラ32から出力軸15(フランジ部15a)へのトルク伝達を可能にするのに必要な直径とする。
上記した図1〜4に示す実施例になる駆動力配分装置の作用を以下に説明する。
変速機3からの出力トルクは図2の左端から軸12へ入力され、一方では、この入力軸12からそのままリヤプロペラシャフト4およびリヤファイナルドライブユニット5を経て左右後輪6L,6R(主駆動輪)に伝達される。
他方で駆動力配分装置1は、左右後輪6L,6Rへのトルクの一部を、第1ローラ31から、第1ローラ31および第2ローラ32間の摩擦接触箇所31a,32a、第2ローラ32、駆動ピン36、出力軸フランジ15aを順次経て出力軸15に向かわせる。
出力軸15に達したトルクは、図2において出力軸15の左端から、フロントプロペラシャフト7(図1参照)およびフロントファイナルドライブユニット8(図1参照)を経由し、左右前輪(従駆動輪)7L,7Rへ伝達される。
かくして車両は、左右後輪6L,6R(主駆動輪)および左右前輪(従駆動輪)7L,7Rの全てを駆動しての四輪駆動走行が可能である。
ところで駆動力配分装置1は、上記のごとく左右後輪(主駆動輪)6L,6Rへのトルクの一部を左右前輪(従駆動輪)7L,7Rへ分配して出力することにより、左右後輪(主駆動輪)6L,6Rおよび左右前輪(従駆動輪)9L,9R間の駆動力配分を決定するに際し、
前記した第1ローラ31に対する第2ローラ32の径方向押し付け力に応じた伝達トルク容量の範囲を越えた大きなトルクを第1ローラ31から第2ローラ32へ伝達させることがない。
よって、左右前輪(従駆動輪)へのトルクの上限値Tdmaxを図5に例示するごとく、第1ローラ31および第2ローラ32間の径方向押し付け力に応じた値に設定し、左右後輪(主駆動輪)6L,6Rおよび左右前輪(従駆動輪)9L,9R間の駆動力配分特性を、従来の歯車式駆動力配分装置では図5に破線Aで示すごときものであったのを、同図に実線Bで例示するようなものにすることができる。
従って、駆動力配分装置1への入力トルクが大きくなっても、左右前輪(従駆動輪)へのトルクが上記の上限値Tdmaxを越えて大きくなることはなく、
本実施例の駆動力配分装置1は、車両コンパクト化などの要求から左右前輪(従駆動輪)の駆動系を小型化せざるを得なくなった四輪駆動車両においても、左右前輪(従駆動輪)駆動系の強度不足を気にすることなく、当該四輪駆動車両の駆動力配分装置として用いることができる。
また本実施例においては、ローラ間押し付け力制御モータ35によりクランクシャフト16の回転軸線O2周りにおける回転位置を制御することで、
第2ローラ回転軸線O3(偏心軸部16aの軸心)が、クランクシャフト回転軸線(出力軸回転軸線)O2の周りに回転され、第1ローラ31および第2ローラ32の軸間距離L1を加減することができる。
かように第1ローラ31および第2ローラ32の軸間距離L1を変更制御することで、第1ローラ31に対する第2ローラ32の径方向押し付け力を変更制御することができ、結果として第1,2ローラ間の伝達トルク容量を自在に制御することができる。
従って、左右前輪(従駆動輪)へのトルクの上限値Tdmax(図5参照)を、モータ35によるクランクシャフト16の回転位置制御(第1ローラ31に対する第2ローラ32の径方向押し付け力制御)により自在に変更することができ、
図5に実線Bで例示する左右後輪(主駆動輪)6L,6Rおよび左右前輪(従駆動輪)9L,9R間の駆動力配分特性を、いつも運転状況に応じた最適なものに変更することができる。
なお当該作用効果を達成するのに本実施例のごとく、第2ローラ32の径方向変位により当該作用効果が奏し得られるようにする場合、
同一車種において二輪駆動車と四輪駆動車の両方の設定がある際にも、主駆動輪(左右後輪6L,6R)側の要素部品を二輪駆動車と四輪駆動車の両方で共用することができ、四輪駆動車の場合は従駆動輪(左右前輪9L,9R)側の要素部品を追加するのみで駆動力配分装置1の構築が可能となる。
従って、二輪駆動車用と四輪駆動車用とで駆動力配分装置1の部品を共用化することができ、これによるコスト低減が可能となる。
また、上記第2ローラ32の径方向変位を生起させるに際し本実施例のように、
第2ローラ32を、クランクシャフト16の偏心軸部16a上に回転自在に支持し、クランクシャフト16の回転変位により第2ローラ32の上記径方向変位を惹起させるように構成した場合、
制御性が高く、且つ、制御精度が高いモータ35を用いることで、クランクシャフト16を簡単に、しかも高精度に回転位置制御することができる。
なお何れにしても本実施例においては前記の作用効果に照らして、第2ローラ32の回転軸線O3が最も入力軸12の回転軸線O1に接近してローラ軸間距離L1が最小となった時におけるトルク上限値Tdmax(図5参照)が、左右前輪(従駆動輪)9L,9Rの駆動系に係わる強度に応じ、これよりも低くなるよう、入力軸12および出力軸15の軸間距離(回転軸線O1,O2間の距離)、および偏心軸部16aの偏心量εを決定する必要があるのは言うまでもない。
ところで、第2ローラ32の回転軸線O3が最も入力軸12の回転軸線O1から離れてローラ軸間距離L1が最大となった時、第1ローラ31および第2ローラ32間の径方向押し付け力が丁度0になるようにしたり、第1ローラ31および第2ローラ32間に隙間が発生するようになすのがよい。
前者のように第1ローラ31および第2ローラ32の軸間距離L1の最大値を、第1ローラ31および第2ローラ32間の径方向押し付け力が丁度0になるようなものに決定する場合、
左右前輪(従駆動輪)9L,9Rへのトルク配分を運転状況に応じて完全に0にし、二輪駆動状態を得ることができる。
また後者のように第1ローラ31および第2ローラ32の軸間距離L1の最大値を、第1ローラ31および第2ローラ32間に隙間が発生するように決定する場合、
四輪駆動車の前輪または後輪を接地したままでのレッカー移動で前輪と後輪との間に差回転が発生しても、この差回転を第1ローラ31および第2ローラ32間の隙間で吸収することができ、
駆動力配分装置1内で発熱や摩耗等の問題を生ずることがなく、前輪または後輪を接地したままでのレッカー移動が可能である。
ちなみに従来の一般的な駆動力配分装置では、四輪駆動車の前輪または後輪を接地したままでのレッカー移動で前輪と後輪との間に差回転が発生すると、
この前後輪間の差回転により駆動力伝達部に発熱を生じたり、摩耗する箇所が存在し、前輪または後輪を接地したままでのレッカー移動が不能である。
ところで、上記したごとく第1ローラ31および第2ローラ32間のトランクション伝動により駆動力配分を行う装置にあっては、第1ローラ31および第2ローラ32により掻き上げられたオイルで潤滑を行う場合、以下のような問題が懸念される。
つまり、第1ローラ31および第2ローラ32が歯車ほどのオイル掻き上げ能力を持たないため、潤滑油量が不足気味となって潤滑不良を生じ易い。
特に本実施例のごとく、第1ローラ31および第2ローラ32を相互に径方向へ押圧接触させるため第1ローラ31および第2ローラ32の軸間距離を規定するようローラベアリング21,22(第1ローラ用回転軸受)とローラベアリング23,24(第2ローラ用回転軸受)とを共通なベアリングサポート25,26で抱持し、これらベアリングサポート25,26をハウジング11の内面に取着して第1ローラ31および第2ローラ32をハウジング11に間接的に支承する場合、
第1ローラ31および第2ローラ32をハウジング11に対し直接的に支承するボールベアリング13,14および18,19(補助軸受)のうち、上方位置の第1ローラ31に係わるボールベアリング13,14(補助軸受)へ掻き上げオイルが向かうのを、ベアリングサポート25,26がハウジング11の内面に密接して妨げるため、当該ボールベアリング13,14(補助軸受)の潤滑不良が特に顕著となる。
この問題を解決するためには、上方位置の第1ローラ31に係わるボールベアリング13,14(補助軸受)まで、ハウジング11内のオイルレベルを高めてボールベアリング13,14(補助軸受)を油浴潤滑するか、若しくはオイルポンプを用いて、ボールベアリング13,14(補助軸受)を強制潤滑することが考えられる。
しかし、前者のオイルレベルの上昇による油浴潤滑も、後者のオイルポンプによる強制潤滑も、重量増やコスト高を招くことになって、好ましい解決策ではない。
本実施例においては、かかる観点から上記のような油浴潤滑方式や強制潤滑方式を用いることなく、当該潤滑に関する懸念が顕著になる上方位置の第1ローラ31に関したボールベアリング13,14(補助軸受)でさえも、これを確実に潤滑し得るよう以下の改良を施す。
つまり図2に示すように、ベアリングサポート25,26が密接するハウジング11の内側面を、第1ローラ31(入力軸12)の回転軸線O1よりも上方箇所、好ましくはずしのごく最も上方の箇所において切り欠くことにより、切り欠き41,42を形成し、
これらハウジング内面切り欠き41,42と、ベアリングサポート25,26との間にそれぞれ、潤滑油路43,44を画成する。
これら潤滑油路43,44はそれぞれ、下方位置の第2ローラ32および上方位置の第1ローラ31により順次、ハウジング11内の下部から掻き上げられたオイルを、ローラベアリング21(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング13(補助軸受)との間、および、ローラベアリング22(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング14(補助軸受)との間に導く役目を果たす。
よって、第1ローラ31および第2ローラ32が歯車ほどのオイル掻き上げ能力を持たないため、十分な量のオイルをハウジング11内の下部から掻き上げることができなくても、また、この掻き上げオイルがボールベアリング13,14(補助軸受)に向かうのをベアリングサポート25,26により阻害される傾向にあっても、
上記の掻き上げオイルを潤滑油路43,44により効率よく、ローラベアリング21(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング13(補助軸受)との間、および、ローラベアリング22(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング14(補助軸受)との間に向かわせることができる。
従って、オイル掻き上げ能力の低いトランクション伝動式駆動力配分装置であっても、また構造上潤滑不良を起こしやすいボールベアリング13,14(補助軸受)でさえ、これらを確実に潤滑することができる。
なお潤滑油路43,44を前記した通り、第1ローラ31の回転軸線O1よりも上方に位置させれば、上記の作用効果を更に顕著なものにすることができる。
ちなみに、下方のローラベアリング23,24(第2ローラ用回転軸受)およびボールベアリング18,19(補助軸受)は、ハウジング11内の下部に貯留されているオイル内に少なくとも一部が浸漬するレベルであり、掻き上げオイルによる潤滑が不要であるから、特別な対策をしなくても潤滑不良になることはない。
なお上記実施例では、ハウジング11の内側面に切り欠き41,42を形成して、これらと、ベアリングサポート25,26との間に、潤滑油路43,44を画成することとしたが、
ベアリングサポート25,26側に同様な切り欠きを形成して潤滑油路を画成したり、ハウジング11の内側面およびベアリングサポート25,26の双方に相互に対向する切り欠きを形成して潤滑油路を画成することもできる。
図6は、本発明の他の実施例になる駆動力配分装置を示し、本実施例においては、ベアリングサポート25,26の上側面にそれぞれ、上方が開口した四辺形窪み形式のオイル溜め45,46を設ける。
これらオイル溜め45,46は、ベアリングサポート25,26の上側面を図7(a),(b)に明示するごとく上方開四辺形窪み形状に切り欠いて形成するが、
この切り欠きに際し、第1ローラ31から遠いオイル溜め45,46の第1辺45a,46aを解放させて、オイル溜め45,46を潤滑油路43,44に連通させる。
しかし、オイル溜め45,46の他の3辺45b,46bはそれぞれ直立壁となし、これによりオイル溜め45,46内に前記掻き上げオイルが貯留され、この貯留オイルをオイル溜め45,46から効果的に潤滑油路43,44に指向させ得るようになす。
かかる構成によれば、第2ローラ32および第1ローラ31により順次掻き上げられたオイルがオイル溜め45,46内に捕捉され、ここに一時的に貯留されてから、潤滑油路43,44を経てローラベアリング21(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング13(補助軸受)との間、および、ローラベアリング22(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング14(補助軸受)との間に供給されることとなり、
掻き上げオイルを、前記した実施例よりも更に効率的にボールベアリング13,14(補助軸受)に向かわせ得て、これらを一層確実に、且つ安定的に潤滑することができる。
また本実施例では、上記の作用効果を達成するためのオイル溜め45,46を、ベアリングサポート25,26に形成した上方開口窪みで構成するため、オイル溜め45,46を安価に、且つ、設置スペースの追加なしに設けることができて有利である。
なお上記ではオイル溜め45,46を、ベアリングサポート25,26の上側面に形成した上方開口窪みにより構成したが、
オイル溜め45,46をベアリングサポート25,26とは別体の部品で構成し、これら別部品をベアリングサポート25,26の上側面に取り付けることもできる。
オイル溜め45,46を、ベアリングサポート25,26の上側面に形成した上方開口窪みにより構成するにしても、また、オイル溜め45,46が形成された別部品をベアリングサポート25,26の上側面に取り付けるにしても、
第2ローラ32および第1ローラ31により順次掻き上げられたオイルを落下中に受け止めてオイル溜め45,46に導くオイルキャッチャーを、以下のようにベアリングサポート25,26に設けるのがよい。
図8は、オイル溜め45,46が形成された別部品であるオイル溜め部材47,48をそれぞれ、ベアリングサポート25,26の上側面に取り付け、これらオイル溜め部材47,48をそれぞれ、第1ローラ31に向け延長させてオイルキャッチャー49,50を設定したものである。
本実施例においては、これらオイルキャッチャー49,50が設定されているオイル溜め部材47,48をそれぞれ、図9(a),(b)に示すごとくベアリングサポート25,26に溶接(W)により結着して設ける。
かかる構成によれば、オイルキャッチャー49,50が第1ローラ31の両側面近くまで延在しているため、第2ローラ32および第1ローラ31により順次掻き上げられたオイルを落下中に、可能な限り多量に受け止めてオイル溜め45,46に導くことができる。
このため、オイル溜め45,46自身の掻き上げオイル捕捉機能とも相まって、掻き上げオイルが前記両実施例よりも更に効率的に潤滑油路43,44を経てローラベアリング21(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング13(補助軸受)との間、および、ローラベアリング22(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング14(補助軸受)との間に供給されることとなり、ボールベアリング13,14(補助軸受)を前記両実施例よりも更に確実に、且つ安定的に潤滑することができる。
また本実施例においては、オイルキャッチャー49,50およびオイル溜め45,46を一体に構成してベアリングサポート25,26に取着するため、
これらオイルキャッチャー49,50およびオイル溜め45,46をコンパクトに構成し得て、コスト上有利であると共に、設置スペースの確保が容易であるという利点がある。
なお、オイルキャッチャー49,50が設定されているオイル溜め部材47,48をベアリングサポート25,26に取り付けるに当たっては、図9(a),(b)に示す溶接(W)に代えて、図10(a),(b)に示すごとくボルト51により、オイル溜め部材47,48をベアリングサポート25,26に取り付けてもよいのは言うまでもない。
図11は、本発明の更に他の実施例を示し、本実施例においては、図8の実施例と同じく、オイルキャッチャー49,50が設定されているオイル溜め部材47,48をベアリングサポート25,26に取り付けるが、
第1ローラ31および第2ローラ32の軸線方向に分割されたハウジング部分11a,11bの相互合わせ面Mを、第1ローラ31および第2ローラ32の配置面に一致させる。
ここで、ハウジング11を構成するハウジング部分11a,11bの内周面11c,11dには鋳造時の抜き勾配が不可欠である。
これらハウジング部分内周面11c,11dの鋳抜き勾配を、ごく僅かであるため図2,6,8では示さなかったが、
ハウジング部分11a,11bの内周面11c,11dには、図11に判りやすくするため誇張して示したごとく、ハウジング部分11a,11bの相互合わせ面Mでハウジング部分内周面11c,11dが最大径となるような抜き勾配が存在する。
かかるハウジング部分内周面11c,11dの鋳抜き勾配は、第2ローラ32および第1ローラ31により順次掻き上げられてハウジング部分内周面11c,11dの上部に付着したオイルに重力が作用するとき、ハウジング部分内周面11cの上部に付着したオイルに対しては、これを潤滑油路43に向かわせる方向の分力を及ぼし、ハウジング部分内周面11dの上部に付着したオイルに対しては、これを潤滑油路44に向かわせる方向の分力を及ぼす。
このため、ハウジング部分内周面11c,11dの上部に付着したオイルを効率よく、潤滑油路43,44を経てローラベアリング21(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング13(補助軸受)との間、および、ローラベアリング22(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング14(補助軸受)との間に供給されることができる。
従って本実施例においては、オイルキャッチャー49,50が、第2ローラ32および第1ローラ31により順次掻き上げられたオイルを落下中に効率よく受け止めてオイル溜め45,46に導くことができること、また、オイル溜め45,46が掻き上げオイルを効率的、且つ安定的に潤滑油路43,44を経てローラベアリング21(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング13(補助軸受)との間、および、ローラベアリング22(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング14(補助軸受)との間に供給し得ることとも相まって、ボールベアリング13,14(補助軸受)を前記いずれの実施例よりも更に確実に、且つ安定的に潤滑することができる。
図12,13は、本発明の更に別の実施例を示し、本実施例においては、基本的には図11と同様な構成とするが、
ベアリングサポート25,26と、これらが密接するハウジング11の内側面との間を、第1ローラ31の回転軸線周りにおける下側円周領域においてオイル封止するシール部材52,53を、これらベアリングサポート25,26およびハウジング11の内側面間に介在させる。
かかる本実施例の構成によれば、ローラベアリング21(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング13(補助軸受)との間、および、ローラベアリング22(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング14(補助軸受)との間に供給されたオイルが、ベアリングサポート25,26と、これらが密接するハウジング11の内側面との間を経て流下するのを防止することができる。
従って、ローラベアリング21(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング13(補助軸受)との間、および、ローラベアリング22(第1ローラ用回転軸受)とボールベアリング14(補助軸受)との間に供給されたオイルが、比較的長い時間に亘ってここに留まり、ボールベアリング13,14(補助軸受)を確実に、且つ安定的に潤滑するという作用効果を更に顕著なものにすることができる。
なお上記各実施例では、図1に示すように後輪駆動車をベース車両とし、その前輪にトルクの一部を分配出力して前後輪トルク配分を決定するような駆動力配分装置について説明を展開したが、
前輪駆動車をベース車両とし、その後輪にトルクの一部を分配出力して前後輪トルク配分を決定するような駆動力配分装置の場合も、本発明の上記した着想は同様に適用し得ること勿論である。
本発明の一実施例になる駆動力配分装置を具えた四輪駆動車両のパワートレーンを、車両上方から見て示す概略平面図である。 図1における駆動力配分装置の縦断側面図である。 図2に示す駆動力配分装置におけるベアリングサポートを示し、 (a)は、その正面図、 (b)は、(a)のIII-III線上で断面とし、矢の方向に見て示す縦断側面図である。 図2のIV-IV線上で断面とし、矢の方向に見て示す、第2ローラから出力軸への駆動力伝達部の縦断正面図である。 図2に示す駆動力配分装置による前後輪駆動力配分特性を、従来の駆動力配分装置による前後輪駆動力配分特性と共に例示する特性線図である。 本発明の他の実施例になる駆動力配分装置を示す、図2と同様な縦断側面図である。 図6に示す駆動力配分装置におけるベアリングサポートを示し、 (a)は、その正面図、 (b)は、(a)のVII-VII線上で断面とし、矢の方向に見て示す縦断側面図である。 本発明の更に他の実施例になる駆動力配分装置を示す、図2と同様な縦断側面図である。 図8に示す駆動力配分装置におけるベアリングサポートを示し、 (a)は、その正面図、 (b)は、(a)のIX-IX線上で断面とし、矢の方向に見て示す縦断側面図である。 図8に示す駆動力配分装置に使用可能なベアリングサポートを示し、 (a)は、その正面図、 (b)は、(a)のX-X線上で断面とし、矢の方向に見て示す縦断側面図である。 本発明の更に別の実施例になる駆動力配分装置を示す、図2と同様な縦断側面図である。 本発明の更に他の実施例になる駆動力配分装置を示す、図2と同様な縦断側面図である。 図12に示す駆動力配分装置ににおけるベアリングサポートを示し、 (a)は、その正面図、 (b)は、(a)のXIII-XIII線上で断面とし、矢の方向に見て示す縦断側面図である。
符号の説明
1 駆動力配分装置
2 エンジン
3 変速機
4 リヤプロペラシャフト
5 リヤファイナルドライブユニット
6L,6R 左右後輪(主駆動輪)
7 フロントプロペラシャフト
8 フロントファイナルドライブユニット
9L,9R 左右前輪(従駆動輪)
11 ハウジング
11a,11b ハウジング部分
12 入力軸
13,14 ボールベアリング(補助軸受)
15 出力軸
15a フランジ部
16 クランクシャフト
16a 偏心軸部
17 ニードルベアリング
18,19 ボールベアリング(補助軸受)
21,22 ローラベアリング(第1ローラ用回転軸受)
23,24 ローラベアリング(第2ローラ用回転軸受)
25,26 ベアリングサポート
31 第1ローラ
32 第2ローラ
33 ローラベアリング
35 ローラ間押し付け力制御モータ
36 駆動ピン
37 駆動ピン貫入孔
41,42 切り欠き
43,44 潤滑油路
45,46 オイル溜め
45a,46a オイル溜め解放辺
45b,46b オイル溜め直立壁
47,48 オイル溜め部材
49,50 オイルキャッチャー
52,53 シール部材

Claims (8)

  1. 主駆動輪へのトルク伝達経路を成す回転部材と共に回転する第1ローラと、
    従駆動輪へのトルク伝達経路を成す回転部材と共に回転する第2ローラと、
    これら第1ローラおよび第2ローラを相互に径方向へ押圧接触させるために該第1ローラおよび第2ローラの軸間距離を規定するよう第1ローラ用回転軸受および第2ローラ用回転軸受を抱持する共通なベアリングサポートとを具え、
    該ベアリングサポートを、前記第1ローラおよび第2ローラの一方が他方のローラよりも上方に位置するような態様でハウジングの内面に取着して第1ローラおよび第2ローラをハウジングに間接的に支承すると共に、これら第1ローラおよび第2ローラを補助軸受によってハウジングに直接的に支承した駆動力配分装置において、
    前記他方のローラ、および、前記上方位置にある一方のローラにより順次掻き上げられたオイルを、該一方のローラに係わる相互に隣接した前記ローラ用回転軸受および補助軸受間に導く潤滑油路を、前記ハウジング内面とベアリングサポートとの間に設けたことを特徴とする駆動力配分装置。
  2. 請求項1に記載の駆動力配分装置において、
    前記潤滑油路を、前記一方のローラの回転軸線よりも上方に位置させたことを特徴とする駆動力配分装置。
  3. 請求項1または2に記載の駆動力配分装置において、
    前記潤滑油路の上方にあって該潤滑油路に通じるオイル溜めを、前記ベアリングサポートに設けたことを特徴とする駆動力配分装置。
  4. 請求項3に記載の駆動力配分装置において、
    前記オイル溜めは、前記ベアリングサポートに形成した上方開口窪みであることを特徴とする駆動力配分装置。
  5. 請求項3または4に記載の駆動力配分装置において、
    前記掻き上げられたオイルを落下中に受け止めて前記オイル溜めに導くオイルキャッチャーを、前記ベアリングサポートに設けたことを特徴とする駆動力配分装置。
  6. 請求項5に記載の駆動力配分装置において、
    前記オイルキャッチャーおよびオイル溜めを一体に構成して、前記ベアリングサポートに取着したことを特徴とする駆動力配分装置。
  7. 前記ハウジングが、前記第1ローラおよび第2ローラの軸線方向に分割されたハウジング部分の合体になるものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の駆動力配分装置において、
    前記ハウジング部分の相互合わせ面を、第1ローラおよび第2ローラの配置面に一致させたことを特徴とする駆動力配分装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の駆動力配分装置において、
    前記ハウジング内面とベアリングサポートとの間を、前記一方のローラの回転軸線周りにおける下側円周領域においてオイル封止するシール部材を、これらハウジング内面およびベアリングサポート間に介在させたことを特徴とする駆動力配分装置。
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