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JP5051201B2 - 火花点火式内燃機関の制御方法及び火花点火式内燃機関システム - Google Patents
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JP5051201B2 - 火花点火式内燃機関の制御方法及び火花点火式内燃機関システム - Google Patents

火花点火式内燃機関の制御方法及び火花点火式内燃機関システム Download PDF

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Description

本発明は、燃焼室へ燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備えた火花点火式内燃機関の制御方法及び火花点火式内燃機関システムに関する。
内燃機関、特に自動車の内燃機関の効率を改善するために、内燃機関の幾何学的圧縮比を大きくすることが好ましい。しかし、大きな圧縮比は、燃焼室内の温度を高くし、燃焼室内の温度が高くなり過ぎると、ノッキングやプレイグニッションのような異常燃焼が生じる。
ノッキングは、火花点火後に発生する。その火花は、燃焼室内の混合気を燃焼させ始める。この燃焼したガスが拡大して、未燃焼の混合気を圧縮する。この圧縮された混合気の温度が上昇して、その温度が着火温度に達したときに、未燃焼の混合気が着火する。
一方、プレイグニッションは、火花点火前に発生する。混合気が圧縮行程で圧縮されてその混合気の温度が上昇する。その温度が火花点火前に着火温度に達すると、全混合気が自己着火する。したがって、プレイグニッションは、ノッキングよりも燃焼室内の圧力を高くする。
ここで、例えば特許文献1に記載されているように、気筒サイクルにおいて、吸気行程で前段燃料を噴射しかつ圧縮行程で後段燃料を噴射するようにすることが知られている。上記後段燃料は、圧縮される比較的熱い混合気中に噴射されて、その混合気を冷却する。したがって、燃焼室内の温度を減少させることができて、異常燃焼の発生を抑制することができる。
特開2007−292050号公報
上記従来の方法では、異常燃焼発生の可能性を低くすることができるものの、比較的高い圧縮比を有する火花点火式内燃機関のプレイグニッションの発生を十分に抑制することは困難である。したがって、従来の燃料分割噴射方法を改善する余地がある。
本発明者らは、従来の燃料分割噴射方法においてプレイグニッションの発生を抑制するべく鋭意研究した結果、プレイグニッションの発生を十分に抑制できる方法を見出した。
本発明の第1態様では、燃焼室へ燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備えた火花点火式内燃機関の制御方法が提供される。この制御方法では、上記機関の速度が第1の速度であるときに、上記燃料噴射弁による燃料噴射を、気筒サイクルの圧縮行程初期までに終了するように行う工程と、上記機関の速度が上記第1の速度よりも低い第2の速度でありかつ上記機関の要求トルクが所定トルクよりも大きくかつ機関温度が所定温度よりも高いときに、上記燃料噴射弁による前段燃料の噴射を、気筒サイクルの圧縮行程初期までに終了するように行うとともに、当該気筒サイクルの圧縮行程後期に、上記燃料噴射弁による、上記前段燃料よりも多い量の後段燃料の噴射を行う工程と、上記機関の速度が上記第2の速度でありかつ上記機関の要求トルクが上記所定トルクよりも大きくかつ機関温度が上記所定温度以下であるときに、気筒サイクルの吸気行程中に、上記燃料噴射弁による燃料の分割噴射を行う工程と、を備えているものとする。
上記第1態様に係る制御方法では、機関の速度が比較的低いときに、後段燃料が圧縮行程後期に噴射される。この後段燃料は、その噴射と点火との間の期間中、例えば気筒壁、ピストン頂面、気筒の天井といった燃焼室の壁から熱を受け取る。その熱を受け取っている期間は、圧縮行程後期に始まる。したがって、その期間は短くて、後段燃料によって受け取られる熱は少ない。また、後段燃料の分子の運動量は少なくて、酸素の分子と衝突して自己着火するのに十分な速さではない。この結果、後段燃料のプレイグニッション発生の可能性は低い。
前段燃料は後段燃料よりもかなり前に噴射されていて、燃焼室の壁からより多くの熱を受け取っており、プレイグニッションが生じ易い。しかし、前段燃料の量は、後段燃料の量よりも少ない。したがって、酸素分子と衝突する燃料分子は少なく、この衝突によって生じる発熱反応によってもたらされる熱は少ない。この結果、前段燃料の温度は、後段燃料の噴射タイミングで一時的に低下して、火花点火前に着火温度に達しない。この結果、前段及び後段燃料のいずれについても、火花点火前のプレイグニッションは生じない。
後段燃料が熱を受け取る期間は、後段燃料のプレイグニッションの発生を抑制するのに十分に短くても、機関の速度が比較的低いときに後段燃料が噴射されるので、後段燃料を気化、霧化するには十分に長い期間となる。
一方、機関の速度が比較的高いときには、熱を受け取る期間はより短くて、異常燃焼発生の可能性は低減する。したがって、圧縮行程初期までに燃料噴射を終了することは可能である。これにより、燃料を気化、霧化するのに十分な時間をとることができる。
本発明の第2態様では、火花点火式内燃機関と、上記機関の燃焼室へ燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、上記燃料噴射弁を制御する制御器と、を備えた火花点火式内燃機関システムが提供される。上記制御器は、上記機関の速度が第1の速度であるときに、上記燃料噴射弁による燃料噴射を、気筒サイクルの圧縮行程初期までに終了するように行い、かつ、上記機関の速度が上記第1の速度よりも低い第2の速度でありかつ上記機関の要求トルクが所定トルクよりも大きくかつ機関温度が所定温度よりも高いときに、上記燃料噴射弁による前段燃料の噴射を、気筒サイクルの圧縮行程初期までに終了するように行うとともに、当該気筒サイクルの圧縮行程後期に、上記燃料噴射弁による、上記前段燃料よりも多い量の後段燃料の噴射を行い、かつ、上記機関の速度が上記第2の速度でありかつ上記機関の要求トルクが上記所定トルクよりも大きくかつ機関温度が上記所定温度以下であるときに、気筒サイクルの吸気行程中に、上記燃料噴射弁による燃料の分割噴射を行うように、上記燃料噴射弁を制御するものである。
上記第2態様のシステムは、上記第1態様の方法を実行する。したがって、このシステムでは、プレイグニッションの発生を抑制することができる点で有利である。
いくつかの実施形態では、上記機関の速度が高いほど、上記前段燃料及び上記後段燃料のトータル量に対する該後段燃料の量の比率を小さくしてもよい。こうすれば、噴射された燃料を気化するのに十分な時間を確保することができる。
また、上記機関の要求トルクが大きいほど、又は、燃焼室の温度が高いほど、上記前段燃料及び上記後段燃料のトータル量に対する該後段燃料の量の比率を大きくしてもよい。こうすれば、燃料分子のより多くが酸素分子と衝突するか、又は、その衝突がより速くなる状況下で、プレイグニッションの発生を抑制することができる。
また、上記機関の要求トルクが大きいほど、ネガティブオーバーラップ期間を、例えば気筒サイクルにおいて吸気弁を早く開くことによって、短くするようにしてもよい。これにより、より大きな要求トルクに対応して燃焼室により多くの新気を導入することができる。
さらに、上記後段燃料を噴射した場合に、気筒サイクルの圧縮上死点後に、上記燃焼室に噴射された燃料を点火するようにしてもよい。このことにより、プレイグニッションの発生に加えてノッキングの発生を抑制することができる。
上記機関の速度が第1の速度であるときの上記燃料噴射は、第1の燃料圧力で行い、上記後段燃料の噴射は、第2の燃料圧力で行うようにしてもよい。この第2の燃料圧力は、点火タイミングに近いタイミングで、高圧に圧縮されたガス中に噴射される後段燃料の気化、霧化を促進するべく、上記第1の燃料圧力よりも高くする。
さらにまた、気筒サイクルにおいて上記燃焼室の排気弁を閉じた後に該燃焼室の吸気弁を開き、気筒サイクルにおいて上記吸気弁を開いた後に上記前段燃料を噴射するようにしてもよい。これにより、前段燃料の気化、霧化を促進することができる。なぜなら、吸気弁が開く直前では燃焼室内の圧力がかなりの負圧になっており、吸気弁が開いた後に吸入空気の流速が速くなるからである。
また、上記機関の幾何学的圧縮比が14以上であってもよい。こうすれば、異常燃焼が生じ難い状況下での機関の運転効率を改善することができる。
さらにまた、上記火花点火式内燃機関システムは、気筒内の空気充填量を高めるために、ターボチャージャー又は機械式過給機を備えていてもよい。こうすれば、プレイグニッション発生の可能性を増大することなしに、機関出力トルクが増大する。
以上説明したように、本発明の火花点火式内燃機関の制御方法及び火花点火式内燃機関システムによると、火花点火式内燃機関のプレイグニッションの発生を十分に抑制することができる。
本発明の実施形態に係る火花点火式内燃機関システムの概略構成図である。 エンジンコントローラにより実行される第1ルーチンのフローチャートである。 エンジンコントローラにより実行される第2ルーチンのフローチャートである。 吸気カムシャフト位相可変機構の目標位相角のマップを示す図である。 吸気弁及び排気弁間のオーバラップ関係のマップを示す図である。 燃料噴射の動作マップを示す図である。 吸気弁、排気弁及び燃料噴射の動作を示す図である。 エンジン回転速度及び目標空気充填量に関する燃料分割比率のマップを示す図である。 特定のエンジン回転速度(NENG1)及び特定の目標空気充填量(CED1)における、吸気温度に関する燃料分割比率のマップを示す図である。 燃料のトータル量に対する後段燃料の量の比率(百分率)と、特定の条件下でプレイグニッションが発生しない最大有効圧縮比との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る火花点火式内燃機関システムの全体を示す。このシステムは、エンジン1と、このエンジン1に付随する種々のアクチュエータを制御する、制御器としてのエンジンコントローラ(制御モジュール)100とを備えている。
エンジン1は、4サイクルの火花点火式内燃機関であって、自動車等の車両に搭載される。エンジン1の出力軸が、車両を駆動するために、トランスミッションを介して駆動輪に連結される。エンジン1は、シリンダブロック12と、その上に載置されたシリンダヘッド13とを備えており、それらの内部に複数の気筒11が形成されている。気筒11の数は、本実施形態では、4つであるが、これには限られない。また、シリンダブロック12において、ジャーナルやベアリング等によりクランクシャフト14が回転自在に支持されている。
上記各気筒11内には、ピストン15が摺動自在に嵌挿されて、その上側に燃焼室17を区画している。
本実施形態では、エンジン1の幾何学的圧縮比が約14に設定されている。幾何学的圧縮比は、ピストン15が上死点に位置するときの燃焼室17の体積に対する、ピストン15が下死点に位置するときの燃焼室17の体積の比率である。勿論、幾何学的圧縮比は14に限られない。例えば、エンジン効率を改善する観点からは、幾何学的圧縮比は大きい方が好ましい。しかし、幾何学的圧縮比が高くなるほど、気筒内の温度が圧縮行程で高くなり過ぎて、予想外のタイミングで自己着火が生じる可能性が高くなる。したがって、幾何学的圧縮比は、14以上16以下が好ましい。しかし、エンジン1がターボチャージャーや機械式過給機により過給されている場合には、それに限られない。
シリンダヘッド13には、燃焼室17毎に該燃焼室に連通する2つの吸気ポート18と2つの排気ポート19とがそれぞれ形成されている。図1では、1つの吸気ポート18と1つの排気ポート19とが示されているが、上述の如く、気筒11毎に2つの吸気ポート18と2つの排気ポート19とが設けられている。また、シリンダヘッド13には、各吸気ポート18を燃焼室17から遮断する吸気弁21と、各排気ポート19を燃焼室17から遮断する排気弁22とが配設されている。各吸気弁21は、後述の如く所定のタイミングで各吸気ポート18を開閉するべく、吸気弁駆動機構30により駆動される。一方、各排気弁22は、各排気ポート19を開閉するべく、排気弁駆動機構40により駆動される。
吸気弁駆動機構30及び排気弁駆動機構40は、それぞれ、吸気カムシャフト31及び排気カムシャフト41を有している。吸気カムシャフト31及び排気カムシャフト41は、周知のスプロケット機構等の動力伝達機構を介してクランクシャフト14に連結されている。この動力伝達機構は、クランクシャフト14が2回転する間に、吸気カムシャフト31及び排気カムシャフト41が1回転するように構成される。
また、吸気弁駆動機構30において、上記動力伝達機構と吸気カムシャフト31との間には、吸気カムシャフト位相可変機構32が設けられている。この吸気カムシャフト位相可変機構32は、吸気弁21のバルブタイミング(開閉タイミング)を変えるようにセットされる。この吸気カムシャフト位相可変機構32において、吸気カムシャフト31と同心状に配置されかつクランクシャフト14により直接駆動される被駆動軸と吸気カムシャフト31との間の位相差を変化させることによって、クランクシャフト14と吸気カムシャフト31との間の位相差が変化する。
吸気カムシャフト位相可変機構32は、例えば、上記被駆動軸と吸気カムシャフト31との間にて周方向に並ぶ複数の液圧室が設けられかつ上記位相差を変化させるために該複数の液圧室間に圧力差を付与する液圧機構と、上記被駆動軸と吸気カムシャフト31との間に電磁石が設けられた電磁機構とを含む。上記電磁石には、上記位相差を変えるために電流が流される。吸気カムシャフト位相可変機構32は、後述の如くエンジンコントローラ100により算出される吸気弁21のバルブタイミング(吸気カムシャフト31の目標位相角)に基づいて上記位相差を変える。
本実施形態では、吸気カムシャフト位相可変機構32は、リフト量(つまり吸気弁21のリフト特性)が一定に保たれたまま上記位相差を変えることによって、吸気弁21の開タイミングIVOと閉タイミングIVCとを変える。吸気カムシャフト31の位相角は、カム位相センサ35により検出され、そのカム位相センサ35による検出信号θINT_Aがエンジンコントローラ100に入力される。
排気弁駆動機構40においても、上記動力伝達機構と排気カムシャフト41との間に排気カムシャフト位相可変機構42が設けられている。この排気カムシャフト位相可変機構42は、上記吸気カムシャフト位相可変機構32と同様に、排気弁22の開タイミングEVOと閉タイミングEVCとを変える。吸気カムシャフト位相可変機構32及び排気カムシャフト位相可変機構42は、後述のネガティブオーバーラップ期間を変更する可変動弁機構を構成する。このネガティブオーバーラップ期間を変更する可変動弁機構としては、吸気弁21や排気弁22のリフト量を変更する可変バルブリフト機構を採用することも可能である。すなわち、可変バルブリフト機構は、通常、吸気弁21や排気弁22のリフト量の変更に伴って開弁時期や閉弁時期も変化するので、ネガティブオーバーラップ期間を変更することができる。
吸気ポート18は、吸気マニホールド55を介してサージタンク55aに連通している。サージタンク55aよりも上流側の吸気通路には、スロットルボディ56が配設されている。このスロットルボディ56内には、スロットル弁57が枢支されており、外部からサージタンク55aへ流れる吸気流量を調整する。スロットル弁57は、吸気流量と、スロットル弁57下流側の吸気通路の圧力とを変えるために、吸気通路の開口面積(つまり吸気流の通過面積)を変えることができる。スロットル弁57は、スロットル弁アクチュエータ58によって駆動される。このスロットル弁アクチュエータ58は、スロットル弁57の開度TVOが、制御ユニット100で算出された目標スロットル弁開度TVODになるように、スロットル弁57を駆動する。ここで、吸気通路55bは、スロットル弁57下流側における、吸気ポート18、吸気マニホールド55及びサージタンク55aの全体を含むものであってもよい。本実施形態では、気筒11に導入される空気量、つまり気筒11への充填空気量CEが、スロットル弁57の開度及び吸気弁21の閉タイミングの調整によって、適切な値に制御される。
排気ポート19は、排気マニホールド60を介して排気管に連通している。この排気管内には、排気ガス浄化システムが配置されている。この排気ガス浄化システムは、特定の構成に限定されないが、三元触媒、リーンNOx触媒、酸化触媒等の触媒コンバータ61を含むものがよい。
サージタンク55aと排気マニホールド60とは、EGRパイプ62によって互いに接続されている。このEGRパイプ62は、排気ガスの一部を吸気側へ還流させることができる(この還流させるガスをEGRガスと呼ぶ)。EGRパイプ62には、該EGRパイプ62を介して吸気側へ還流させるEGRガスの流量を調整するEGR弁63が配設されている。このEGR弁63は、EGR弁アクチュエータ64によって駆動される。このEGR弁アクチュエータ64は、EGR弁63の開度が、エンジンコントローラ100によって算出されるEGR弁開度EGROPENになるようにEGR弁63を駆動する。これにより、EGRガスの流量を適切な値に調整することが可能になる。
シリンダヘッド13は、気筒11毎に、該シリンダヘッド13に取り付けられた点火プラグ51を有する。各点火プラグ51の先端は、各燃焼室17内にそれぞれ臨んでいる。点火プラグ51は、点火システム52によって電流が供給されたときに燃焼室17内に火花を発生させる。点火システム52は、後に詳細に説明するように、エンジンコントローラ100から出力された点火タイミング信号SAに基づいて、点火プラグ51に電流を供給する。
また、シリンダヘッド13は、気筒11毎に、該シリンダヘッド13に取り付けられた燃料噴射弁53を有する。各燃料噴射弁53は、その先端が各燃焼室17内にそれぞれ臨むように配設されていて、各燃焼室17内に直接燃料を噴射する。詳細には、燃料噴射弁53は、その先端が、上下方向については2つの吸気ポート18の下方に、また、水平方向についてはそれら2つの吸気ポート18の中間に位置するように配設されている。燃料噴射弁53は、エンジンコントローラ100から出力された燃料パルス信号(燃料噴射量に対応)FPに基づく所定期間の間、該燃料噴射弁53に接続されたソレノイドに、燃料供給システム54によって電流が供給されたときに、燃焼室17内に所定量の燃料を噴射する。
エンジンコントローラ100は、周知のマイクロコンピュータをベースとする制御装置であって、プログラムを実行する中央算出処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラムおよびデータを格納するメモリと、種々の信号の入出力を行うための入出力(I/O)バスとを含む。
エンジンコントローラ100は、エアフローセンサ71により検出された吸気流量AF、吸気圧センサ72により検出されたサージタンク55a内の空気圧MAP、クランク角センサ73により検出されたクランク角パルス信号、酸素濃度センサ74により検出された排気ガスの酸素濃度EGO、アクセルペダル位置センサ75により検出された、車両のドライバのアクセルペダルの踏み込み量に対応するアクセルペダル位置α(踏み込み量が大きいほど大きい値になる)、車速センサ76により検出された車速VSP、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ77により検出されたエンジン温度TENG、サージタンク55a内又はスロットルボディ56の上流側における吸入空気の温度(吸気温度)を検出する吸気温度センサ78により検出された吸気温度TAIR、といった種々の情報を、入出力バスを介して受け入れる。そして、エンジンコントローラ100は、気筒11への空気充填量や点火タイミング等が、上記入力情報に基づく動作条件に従う適切な値になるように、各種アクチュエータの制御パラメータを計算する。例えば、スロットル弁開度TVO、燃料噴射量FP、点火タイミングSA、燃料圧力(燃圧)PFUEL、吸気カムシャフト31の目標位相角θINT_D、EGR弁開度EGROPENといった制御パラメータが計算されて、スロットル弁アクチュエータ58、燃料供給システム54、点火システム52、吸気カムシャフト位相可変機構32、EGR弁アクチュエータ64に出力される。
図2及び図3に、エンジンコントローラ100が実行する制御ルーチンを示す。
図2は、エンジンコントローラ100が上述の各種デバイスに対する入出力を行う第1ルーチンR1のフローチャートを示す。最初のステップS1で、例えばアクセルペダル位置αといった各種信号を読み込む。次のステップS2では、アクセルペダル位置α、クランク角パルス信号に基づいて計算されるエンジン回転速度NENG(機関の速度)及び車速VSPに基づいて、目標トルクTQDを決定(算出)する。ステップS2の後のステップS3では、目標トルクTQD及びエンジン回転速度NENGに基づき、燃料噴射量FP、気筒11への空気充填量CEの目標値である目標空気充填量CED、及び点火タイミングSAを決定(算出)する。燃料噴射量FP及び目標空気充填量CEDは、目標トルクTQDが大きいほど多くなる。
続いて、ステップS4で、図4にマップとして示されるテーブル(エンジンコントローラ100のメモリに格納されている)のデータを読み取り、このテーブルに基づいて、ステップS3で決定した目標空気充填量CED及びエンジン回転速度NENGに適合する、吸気カムシャフト31の目標位相角θINT_Dを決定する。この目標位相角θINT_Dは、エンジン回転速度NENGが、予め設定された設定速度Nよりも高いときには、エンジン回転速度NENGが高いほど遅角される。逆に、エンジン回転速度NENGが設定速度N以下であるときには、エンジン回転速度NENGが低いほど遅角される。
一方、目標空気充填量CEDが多いほど目標位相角θINT_Dは進角される。目標空気充填量CEDが多くかつエンジン回転速度NENGが高い場合には、吸気弁21は、図7の上から2段目に示すように、気筒サイクル(燃焼サイクル)においてタイミングIVC1で閉じる一方、目標空気充填量CEDが少なくかつエンジン回転速度NENGが低い場合には、吸気弁21は、図7の上から3段目に示すように、気筒サイクルにおいて、上記タイミングIVC1よりも遅いタイミングIVC2で閉じる。このタイミングIVC2では、ピストン15が実質的に上昇していて、燃焼室17に導入された空気が吸気ポート18へ戻される。このため、スロットル弁57を実質的に閉じなくても、燃焼室17への空気充填量を少なくすることができ、このようにスロットル弁57を閉じないことで、吸気行程でポンプ損失を低減することができる。
ステップS4の後のステップS5では、ステップS3で決定した目標空気充填量CED及びエンジン回転速度NENGに基づいて、排気カムシャフト41の目標位相角θEXH_Dを決定する。この排気カムシャフト41の目標位相角θEXH_Dは、吸気カムシャフト31の目標位相角θINT_Dに比べて大きく変化しない。目標空気充填量CEDが比較的多くかつエンジン回転速度NENGが比較的高い領域(図5に示すマップの「ポジティブ」領域)では、排気弁22は、図7の上から2段目に示すように、気筒サイクルにおいて下死点前のタイミングEVO1で開きかつ上死点後のタイミングEVC1で閉じる。この領域では、吸気弁21は、気筒サイクルにおいて上死点前のタイミングIVO1で開きかつ下死点後のタイミングIVC1で閉じる。したがって、吸気弁21は、排気弁22が閉じるタイミングEVC1前のタイミングIVO1で開く。この結果、タイミングIVO1及びタイミングEVC1間には、吸気弁21及び排気弁22の両方が開いている期間、つまりオーバーラップ期間が存在する。
目標空気充填量CED及びエンジン回転速度NENGが上記ポジティブ領域にない他の領域(図5に示すマップの「ネガティブ」領域)では、排気弁22は、図7の上から3段目及び最下段に示すように、気筒サイクルにおいて下死点前のタイミングEVO2で開きかつ上死点後のタイミングEVC2で閉じる。この領域では、吸気弁21は、気筒サイクルにおいて上死点後のタイミングIVO2で開きかつ下死点後のタイミングIVC2で閉じる。すなわち、吸気弁21は、排気弁22が閉じるタイミングEVC2後のタイミングIVO2で開く。この結果、タイミングEVC2及びタイミングIVO2間には、吸気弁21及び排気弁22の両方が閉じている期間、つまりネガティブオーバーラップ期間が存在する。
図2に戻って、次のステップS6では、目標空気充填量CED及びエンジン回転速度NENGに基づいて、スロットル弁57の開度TVOの目標値である目標スロットル弁開度TVODを決定(算出)する。それから、ステップS7に進んで、後に詳細に説明する第2ルーチンR2の計算結果から、気筒サイクルにおける燃料噴射のパルス幅(以下、燃料パルス幅という)FP0,FP1,FP2,FP3及び/又はFP4(それぞれ噴射量に対応)と、燃料圧力PFUELとを読み込む。
ステップS7の後のステップS8では、上記決定した制御パラメータ(燃料噴射量FP、燃料圧力PFUEL、点火タイミングSA、吸気カムシャフト31の目標位相角θINT_D、目標スロットル弁開度TVOD等)に従って、それぞれのアクチュエータを駆動する。具体的には、信号θINT_Dは、吸気カムシャフト位相可変機構32に出力される。これにより、吸気カムシャフト位相可変機構32は、クランクシャフト14に対する吸気カムシャフト31の位相がθINT_Dに対応した値になるように作動する。信号TVODは、スロットル弁アクチュエータ58に出力される。これにより、スロットル弁アクチュエータ58は、スロットル弁57の開度TVOがTVODに対応した値になるように作動する。信号FP0,FP1等及びPFUELは、燃料供給システム54に出力される。点火タイミングSAは、点火システム52に出力される。これにより、気筒サイクルにおいてSAに対応したタイミングで、点火プラグ51が火花を発生して、燃焼室17内で混合気が点火される。すなわち、主としてアクセルペダル位置αから算出される目標トルクがエンジン1に発生するように、適切なタイミングで、所望の量の空気及び燃料からなる混合気が点火されて燃焼される。ステップS8の後、第1ルーチンR1はリターンする。
図3は、第1ルーチンR1のステップS7で読み込まれる燃料パルス幅FP0,FP1,FP2,FP3及び/又はFP4と燃料圧力PFUELとを計算するために実行される第2ルーチンR2のフローチャートを示す。
第2ルーチンR2では、目標空気充填量CED及びエンジン回転速度NENGにより決定されるエンジン運転状態が、図6の領域A1乃至A4のいずれの領域であるかに応じて、燃料噴射モードの1つを選択する。領域A1は、目標空気充填量が少なくかつエンジン回転速度が低い領域(アイドル付近の領域)である。領域A2は、目標空気充填量が所定量よりも多くかつエンジン回転速度が所定速度よりも低い領域(機関の速度が第2の速度にありかつ機関の要求トルクが所定トルクよりも大きいとき、に相当)である。領域A4は、エンジン回転速度が高い領域である。領域A3は、領域A1,A2,A4以外の領域である。エンジン運転状態が領域A1又はA4にあるときには、吸気行程一括噴射モードが選択される。エンジン運転状態が領域A3にあるときには、吸気行程分割噴射モードが選択される。エンジン運転状態が領域A2にあるときには、吸気及び圧縮行程噴射モード、又は、吸気行程分割噴射モードが選択される。
図3に戻って、最初のステップS21で、各種信号を読み込む。次のステップS22で、目標空気充填量CED及びエンジン回転速度NENGにより決定されるエンジン運転状態が、図6の領域A1又は領域A4にあるか否かを判定する。このステップS22の判定がYESであるときには、ステップS23に進んで、一括噴射の燃料パルス幅FP0(第1ルーチンR1のステップS3で決定される燃料噴射量FPに等しい)を算出する。他の燃料パルス幅FP1乃至FP4は0である。ステップS23の後のステップS24では、燃料圧力PFUEL(本実施形態では、一定値である低圧力P1(例えば15MPa)に等しい)を決定し、しかる後にリターンする。第1ルーチンのステップS8で、燃料システム54は、燃料圧力をP1に設定するように制御されるとともに、燃料噴射弁53は、図7の上から2段目に示すように、吸気弁21が開いた後の所定タイミング(燃料パルス幅FP0の始端のタイミング)で該燃料噴射弁53のノズルが開きかつ燃料パルス幅FP0の終端のタイミングで該ノズルが閉じるように駆動される。すなわち、吸気工程一括噴射モードが採用されて、燃料噴射弁53が、気筒サイクルの吸気行程で、燃料パルス幅FP0及び低圧力P1に対応する量の燃料を噴射する。燃料噴射の終了は、燃料の気化又は霧化を考慮して、遅くても圧縮行程の初期であり、例えば、圧縮上死点の140°CA(クランク角)前である。尚、エンジン運転状態が領域A1又は領域A4にあるときに、吸気行程分割噴射モードを採用してもよいが、領域A4ではエンジン回転速度が高くて2回噴射する時間が足りず、また、領域A1では1回の噴射すべき量(燃料パルス幅)が燃料噴射弁53による噴射可能な最少量よりも少なくなるために、吸気工程一括噴射モードを採用するのがよい。
ステップS22で、エンジン運転状態が領域A1にも領域A4にもない(NO)と判定されたときには、ステップS25に進んで、エンジン運転状態が領域A3にあるか否かを判定する。このステップS25の判定がYESであるときには、ステップS26に進んで、燃料パルス幅FP3,FP4(以下、それぞれ第3燃料パルス幅FP3及び第4燃料パルス幅FP4という)を下記の式より計算する。
FP3=FP×1/2
FP4=FP×1/2
FP3+FP4=FPであるので、他の燃料パルス幅FP0,FP1,FP2は0である。ステップS26の後、上記ステップS24に進んで、上述の如く、燃料圧力PFUELを低圧力P1に決定する。第1ルーチンR1のステップS8で、燃料システム54は、燃料圧力をP1に設定するように制御されるとともに、燃料噴射弁53は、図7の最下段に示すように、吸気弁21が開いた後の所定タイミング(燃料パルス幅FP3の始端のタイミング)で該燃料噴射弁53のノズルが開きかつ燃料パルス幅FP3の終端のタイミングで該ノズルが閉じるように駆動されるとともに、所定タイミング(燃料パルス幅FP4の始端のタイミング)で上記ノズルが再び開きかつ燃料パルス幅FP4の終端のタイミングで該ノズルが閉じるように駆動される。すなわち、吸気行程分割噴射モードが採用されて、燃料噴射弁53が、気筒サイクルの吸気行程で、燃料パルス幅FP0に対応する量の半分の燃料を、低い燃料圧力P1で2回噴射する。このような分割噴射により、混合気をより均一にすることができる。吸気工程一括噴射モードと同様に、燃料噴射の終了は、燃料の気化又は霧化を考慮して、遅くても圧縮行程の初期であり、例えば、圧縮上死点の140°CA(クランク角)前である。
ステップS25で、エンジン運転状態が領域A3にない(NO)と判定されたとき、つまり、領域A2にあるときには、ステップS27に進んで、水温センサ77により検出されたエンジン温度TENGが所定温度TENG1よりも高いか否かを判定する。このステップS27の判定がNOであるときには、上記ステップS26に進んで、上述の吸気行程分割噴射モードを採用する。
ステップS27で、水温センサ77により検出されたエンジン温度TENGが所定温度TENG1よりも高い(YES)と判定されたときには、ステップS28に進んで、吸気温度センサ78により検出された吸気温度TAIRが所定温度TAIR1よりも高いか否かを判定する。このステップS28の判定がNOであるときには、上記ステップS26に進んで、上述の吸気行程分割噴射モードを採用する。
ステップS28で、吸気温度センサ78により検出された吸気温度TAIRが所定温度TAIR1よりも高い(YES)と判定されたときには、ステップS29に進んで、目標空気充填量CED、エンジン回転速度NENG及び吸気温度TAIRに基づいて、第1及び第2燃料分割比率DR,DRを決定する。この決定は、図8にマップとして示されるテーブル(エンジンコントローラ100のメモリに格納されている)のデータを読み取ることで行われる。このテーブル(マップ)では、領域A2内において、目標空気充填量CEDが多くなりかつエンジン回転速度NENGが低いほど第1燃料分割比率DRが減少しかつ第2燃料分割比率DRが増大する(図8において、破線で示す複数の曲線が、第1燃料分割比率DR又は第2燃料分割比率DRが一定のラインであり、第1燃料分割比率DRについては、図8の左上側のラインほど小さい値であり、第2燃料分割比率DRについては、図8の左上側のラインほど大きい値である)。尚、第2燃料分割比率DRは第1燃料分割比率DRよりも大きく、第1及び第2燃料分割比率DR,DRのトータル値は1である。
また、図9に示すように、吸気温度TAIRが高いほど、言い換えると、燃焼室17の温度が高いほど、第1燃料分割比率DRが減少しかつ第2燃料分割比率DRが増大する。
図3に戻って、ステップS29の後のステップS30で、燃料圧力PFUELを決定する。ここでは、燃料圧力PFUELは、上記一定の低圧力P1よりも高い高圧力P2に等しい。この高圧力P2は、一定値(例えば20MPa)であるか、又は、吸気温度TAIRが高いほど、高い値に設定される。それから、次のステップS31で、燃料パルス幅FP1,FP2(以下、それぞれ第1燃料パルス幅FP1及び第2燃料パルス幅FP2という)を下記の式より計算する。
FP1=FP×P1/P2×DR
FP2=FP×P1/P2×DR
DR<DRであるので、第2燃料パルス幅FP2は第1燃料パルス幅FP1よりも大きい。また、DR+DR=1であり、FP1+FP2=FP(燃料圧力の上昇分を考慮しない場合)であるので、他の燃料パルス幅FP0,FP3,FP4は0である。
ステップS31の後、第2ルーチンR2はリターンする。第1ルーチンR1のステップS8で、燃料システム54は、燃料圧力をP2に設定するように制御されるとともに、燃料噴射弁53は、図7の上から3段目に示すように、吸気弁21が開いた後の所定タイミング(燃料パルス幅FP1の始端のタイミング)で該燃料噴射弁53のノズルが開きかつ燃料パルス幅FP1の終端のタイミング(例えば、吸気下死点の20°CA後)で該ノズルが閉じるように駆動されるとともに、圧縮行程後期の所定のタイミング(燃料パルス幅FP2の始端のタイミング)で上記ノズルが再び開きかつ燃料パルス幅FP2の終端のタイミング(例えば、圧縮上死点の20°CA前)で該ノズルが閉じるように駆動される。すなわち、吸気及び圧縮行程噴射モードが採用されて、燃料噴射弁53が、気筒サイクルの吸気行程で、燃料パルス幅FP1及び高圧力P2に対応する量(少量)の前段燃料の噴射を行い、該吸気行程に続く圧縮行程で、燃料パルス幅FP2及び高圧力P2に対応する量(前段燃料の量よりも多い量)の後段燃料の噴射を行う。続いて、圧縮上死点後に、点火プラグ51が点火されて、上記前段及び後段燃料が点火される。
上記後段燃料が多量であることで、後に詳しく述べるように、プレイグニッションの発生を抑制することができる。
図10は、プレイグニッションが発生しない最大有効圧縮比と、上記前段及び後段燃料のトータル量に対する後段燃料の量の比率(百分率)との関係を示すグラフである。図10から明らかなように、上記後段燃料の量の比率が大きくなるほど、プレイグニッションが発生しない範囲内で最大の有効圧縮比は大きくなる。後段燃料の量の比率が100%である場合には、有効圧縮比を最大化する点で最も有利である。
一方、気筒内で燃料の気化又は霧化を促進しかつ混合気を均一にすることを考慮すると、或る程度の量の前段燃料を噴射する必要がある。具体的には、後段燃料の量の比率は60%以上85%以下であることが好ましい。特に、後段燃料の量の比率は75%以上(前段燃料の量の比率が25%以下、つまり1/4以下)であることがより一層好ましい。前段燃料の量の比率は、15%以上確保することが好ましい。
図10のグラフのプロットデータは、以下の条件で試験して得られたものである。すなわち、幾何学的圧縮比が16であるエンジンを用いる。エンジン回転速度が750rpmであり(このエンジンのアイドル回転速度は650rpmであった)、スロットル弁57が完全に開いた状態であり、点火プラグ51の熱価が6であり、燃料(ガソリン)のオクタン価が96であり、燃料圧力が15MPaであり、エンジン冷却水の温度が80℃であり、吸気温度が25℃であり、絶対湿度が7.5g/mであり、前段燃料の終了タイミングが、圧縮上死点の160°CA前(吸気下死点の20°CA後)であり、後段燃料の終了タイミングが、圧縮上死点の20°CA前であり、空燃比がストイキオ空燃比(理論空燃比)であり、排気弁22の閉タイミングが、吸気上死点の15°CA後であり、吸気弁21の閉タイミングが、有効圧縮比を変えるために変化し、点火タイミングが、圧縮上死点の15°CA後(プレイグニッションを検出するために十分に遅い)である。
図10のグラフから分かるように、上記試験条件で後段燃料の量の比率が0%から100%まで増大するに連れて、プレイグニッションが発生しない最大有効圧縮比は増大する。したがって、前段及び後段燃料のトータル量に対する後段燃料の量の比率が増大するほど、プレイグニッションの発生をより一層抑制できることは明らかである。
上述の実施形態では、図3の第2ルーチンR2のステップS22,S25,S27,S28にて、エンジン運転状態が、図6に示す領域A2にあるときにおいて、エンジン温度TENGが所定温度TENG1よりも高く、かつ、吸気温度TAIRが所定温度TAIR1よりも高いときに、吸気及び圧縮行程噴射モードが採用される。そして、図2の第1ルーチンのステップS8にて、第2ルーチンR2のステップS29で決定された第1及び第2燃料分割比率DR,DRに従って、前段及び後段燃料の噴射が行われる。
図8に示すように、エンジン回転速度NENGが低いほど、又は、目標空気充填量CEDが多いほど、つまり、プレイグニッション発生の可能性が高いほど、第2燃料分割比率DRは大きくなる。すなわち、第2ルーチンR2のステップS29において、燃料のトータル量に対する後段燃料の量の比率が大きくなる。また、図9に示すように、吸気温度TAIRが高いほど、つまり、プレイグニッション発生の可能性が高いほど、第2燃料分割比率DRは大きくなる。一方、プレイグニッション発生の可能性が低いときには、第1燃料分割比率DRが大きくなる。すなわち、燃料の気化又は霧化を促進しかつ混合気を均一にするために、燃料のトータル量に対して前段燃料の量を多くする。
吸気及び圧縮行程噴射モードでの高い燃料圧力(P2)は、前段燃料の気化又は霧化を促進するのに貢献する。また、その高い燃料圧力は、短時間で多くの後段燃料を供給するのに貢献して、火花点火前に後段燃料の気化又は霧化を促進する期間を確保することができる。尚、前段燃料の噴射を、低い燃料圧力(P1)で行い、後段燃料の噴射を高い燃料圧力(P2)で行うようにしてもよい。
吸気及び圧縮行程噴射モードにおいて気筒サイクルの圧縮上死点後の火花点火は、ノッキング発生の可能性を低減するのに貢献する。
そして、本実施形態では、燃焼室17へ燃料を直接噴射する燃料噴射弁53を備えた火花点火式内燃機関の制御方法が提供される。この制御方法は、エンジン運転状態が領域A2にあるときに、上記燃料噴射弁53による前段燃料の噴射を、気筒サイクルの圧縮行程初期までに終了するように行うとともに、当該気筒サイクルの圧縮行程後期に、上記燃料噴射弁53による、上記前段燃料よりも多い量の後段燃料の噴射を行う工程を備えている。上記後段燃料の量は、空気充填量、機関速度、及び、吸気温度に応じて変化する。一例として、後段燃料の量は、吸気温度が上昇するに連れて、増加する。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、ここに述べられている種々の改良に限られるものでもない。したがって、特許請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記実施形態では、エンジン運転状態が、図6の領域A2にあるときに、第2ルーチンR2のステップS28で、吸気温度TAIRが所定温度TAIR1よりも高いと判定されたときに、気筒サイクルにおいて前段及び後段燃料を噴射するようにしたが、吸気温度TAIRに拘わらず、エンジン温度TENGが所定温度TENG1よりも高ければ、気筒サイクルにおいて前段及び後段燃料を噴射するようにしてもよい。但し、吸気温度TAIRが所定温度TAIR1以下であるときには、プレイグニッション発生の可能性が低いので、ピストン15が燃料噴射弁53の近くに位置しているときに過度の燃料が噴射されるのを抑制する(ピストン15の頂面に多くの燃料が付着するのを抑制する)観点から、上記実施形態の如く、吸気行程分割噴射モードを採用するのが好ましい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、燃焼室へ燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備えた火花点火式内燃機関の制御方法及び火花点火式内燃機関システムに有用である。
1 エンジン(火花点火式内燃機関)
17 燃焼室
21 吸気弁
22 排気弁
53 燃料噴射弁
100 エンジンコントローラ(制御器の一例)

Claims (9)

  1. 燃焼室へ燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備えた火花点火式内燃機関の制御方法であって、
    上記機関の速度が第1の速度であるときに、上記燃料噴射弁による燃料噴射を、気筒サイクルの圧縮行程初期までに終了するように行う工程と、
    上記機関の速度が上記第1の速度よりも低い第2の速度でありかつ上記機関の要求トルクが所定トルクよりも大きくかつ機関温度が所定温度よりも高いときに、上記燃料噴射弁による前段燃料の噴射を、気筒サイクルの圧縮行程初期までに終了するように行うとともに、当該気筒サイクルの圧縮行程後期に、上記燃料噴射弁による、上記前段燃料よりも多い量の後段燃料の噴射を行う工程と、
    上記機関の速度が上記第2の速度でありかつ上記機関の要求トルクが上記所定トルクよりも大きくかつ機関温度が上記所定温度以下であるときに、気筒サイクルの吸気行程中に、上記燃料噴射弁による燃料の分割噴射を行う工程と、
    を備えていることを特徴とする火花点火式内燃機関の制御方法。
  2. 請求項1記載の火花点火式内燃機関の制御方法において、
    上記機関の速度が高いほど、上記前段燃料及び上記後段燃料のトータル量に対する該後段燃料の量の比率を小さくすることを特徴とする火花点火式内燃機関の制御方法。
  3. 請求項1又は2記載の火花点火式内燃機関の制御方法において、
    上記機関の要求トルクが大きいほど、上記前段燃料及び上記後段燃料のトータル量に対する該後段燃料の量の比率を大きくすることを特徴とする火花点火式内燃機関の制御方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の火花点火式内燃機関の制御方法において、
    上記燃焼室の温度が高いほど、上記前段燃料及び上記後段燃料のトータル量に対する該後段燃料の量の比率を大きくすることを特徴とする火花点火式内燃機関の制御方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の火花点火式内燃機関の制御方法において、
    上記後段燃料を噴射した場合に、気筒サイクルの圧縮上死点後に、上記燃焼室に噴射された燃料を点火する工程を更に備えていることを特徴とする火花点火式内燃機関の制御方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の火花点火式内燃機関の制御方法において、
    上記機関の速度が第1の速度であるときの上記燃料噴射は、第1の燃料圧力で行い、
    上記後段燃料の噴射は、上記第1の燃料圧力よりも高い第2の燃料圧力で行うことを特徴とする火花点火式内燃機関の制御方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の火花点火式内燃機関の制御方法において、
    気筒サイクルにおいて上記燃焼室の排気弁を閉じた後に該燃焼室の吸気弁を開く工程を更に備え、
    気筒サイクルにおいて上記吸気弁を開いた後に上記前段燃料を噴射することを特徴とする火花点火式内燃機関の制御方法。
  8. 火花点火式内燃機関と、
    上記機関の燃焼室へ燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、
    上記燃料噴射弁を制御する制御器と、を備えた火花点火式内燃機関システムであって、
    上記制御器は、
    上記機関の速度が第1の速度であるときに、上記燃料噴射弁による燃料噴射を、気筒サイクルの圧縮行程初期までに終了するように行い、かつ、
    上記機関の速度が上記第1の速度よりも低い第2の速度でありかつ上記機関の要求トルクが所定トルクよりも大きくかつ機関温度が所定温度よりも高いときに、上記燃料噴射弁による前段燃料の噴射を、気筒サイクルの圧縮行程初期までに終了するように行うとともに、当該気筒サイクルの圧縮行程後期に、上記燃料噴射弁による、上記前段燃料よりも多い量の後段燃料の噴射を行い、かつ、
    上記機関の速度が上記第2の速度でありかつ上記機関の要求トルクが上記所定トルクよりも大きくかつ機関温度が上記所定温度以下であるときに、気筒サイクルの吸気行程中に、上記燃料噴射弁による燃料の分割噴射を行うように、上記燃料噴射弁を制御するものであることを特徴とする火花点火式内燃機関システム。
  9. 請求項8記載の火花点火式内燃機関システムにおいて、
    上記機関の幾何学的圧縮比が14以上であることを特徴とする火花点火式内燃機関システム。
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