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JP5055848B2 - 溶接部特性の良好な電縫管の製造方法 - Google Patents
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本発明は、油井のラインパイプ向けなどの溶接部靭性が要求される管あるいは油井のケーシングパイプなどの溶接部強度が要求される管における製造方法に関わる。
通常、管は溶接管と継目無管に大別される。溶接管は、電縫鋼管を例とするように、板をロール成形等によって丸めて端部を突き合わせて溶接して製造し、継目無管は、材料の塊を高温で穿孔しマンドレルミル等で圧延して製造する。溶接管の場合、一般に溶接部の特性は母材より劣ると言われ、管の適用に当たって、用途ごとに溶接部の靭性や強度の保証が常に議論されて問題となってきた。
例えば、原油や天然ガスなどを輸送するラインパイプでは、管を寒冷地に敷設されることが多いため低温靭性が重要であり、また、原油採掘の油井では採掘管を保護するためのケーシングパイプが必要とされ、管の強度が重要視される。
通常、電縫管の母材となる熱延板(帯材)は、管製造後の母材特性を考慮して成分設計や熱処理等が行われて、母材の靭性や強度等の特性は確保される。
しかし、溶接部の特性は、母材の成分設計や熱処理等以上に、電縫溶接方法によって大きく左右されるため、溶接技術の開発が重要であった。
電縫溶接の不良原因としては、ペネトレータと呼ばれる溶接板材の端面に生成する酸化物が、電縫溶接時に溶鋼とともに端面から排出されずに残留し、この残留したペネトレータを原因として靭性が低下し強度不足になる例が多かった。
そこで、従来、電縫溶接不良の主原因であるペネトレータを溶接部から除くため、溶接部の板端面から積極的に溶鋼を排出する技術が鋭意検討されてきた。例えば、特許文献1や特許文献2などに、板端面の形状について検討した例が記載されている。すなわち、通常、母材となる熱延板の端面はスリットや端面研削によってほぼ矩形を呈しているが、この端面に対してロール成形の前においてテーパ加工を施し、テーパ加工した端部形状によって電縫溶接時の溶鋼排出を良好にすることを目的としている。
特開2001−170779号公報 特開2003−164909号公報
しかし、特許文献1や特許文献2には、単にテーパ加工手段を羅列して紹介しているのみであるため、具体的に電縫管製造工程に適用するには種々の問題があり、さらに詳細な検討が必要であった。
例えば、ロール成形後の電縫溶接時において、板端部に所望するテーパ形状を得ようとすると、できるだけ電縫溶接に近い時点でテーパ形状を付与すればよいことから、ロール成形でのフィンパス圧延においてテーパ形状を付与するのがよいわけであるが、フィンパス圧延では一つのスタンドで板の上面側端部と下面側端部に同時にテーパ形状を付与することは難しい。そこで、ロール成形前あるいはロール成形途中でテーパ形状を付与することが考えられるが、その際に、例えば切削でテーパ加工した場合は、テーパ形状を付与した部分が加工硬化していないために、その後のフィンパス圧延によって、テーパがほとんどなくなってしまう場合や、所望するテーパ形状が得られない場合が多々生じていた。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、電縫管を製造するに際して、電縫溶接前の板(帯材)の端部にテーパ形状を適切に付与することによって、溶接品質を良好に保持することができる溶接部特性の優れた電縫管の製造方法を提供することを目的とするものである。
前述したように、特許文献1や特許文献2では、単にテーパ加工手段を羅列して紹介したのみであったため、具体的に電縫管製造工程に適用するには種々の問題があり、詳細な検討が必要であった。
そこで、本発明者らは、板端部に適切にテーパ形状を付与する手段を鋭意検討し、以下のような考えに至った。
すなわち、前述したように、フィンパス圧延によって上面側端部と下面側端部に同時にテーパ形状を付与することは難しいことから、板の上面側の板端部と下面側の板端部ごとにテーパ形状を付与する手段を変更して、複数の手段でテーパ形状を与えることとした。板厚方向の一方の端部にテーパ形状を付与した後に、板厚方向の他方の端部にテーパ形状を付与すれば、板の上下両端部にテーパ形状を付与できるわけである。
そして、その際に、孔型ロールによって板厚方向の一方の端部にテーパ形状を付与することとした。切削や研削によってテーパ形状を付与した場合は、板端部が加工硬化していないために、その後のフィンパス圧延による強圧を受けて、テーパがほとんど消失しまうといったことが生じるのに対して、孔型ロール圧延によってテーパ形状を付与した場合は、板端部が加工硬化するため、フィンパス圧延による強圧を受けても、テーパ形状はわずかに損なわれるのみで、電縫溶接直前まで所望のテーパ形状が保持されるからである。また、切削や研削によってテーパ形状を付与する装置では、装置単独で板を上下に拘束することが難しいため、板が通過する位置の精度を保持する装置と合わせて、装置の設置位置の精度が要求され、その装置の架台を剛性を高くするために、より広い設置スペースが必要とされるのに対して、孔型ロールの圧延では、孔型に板を挟み込むため、板の上下方向を拘束する装置を別途設ける必要がなく、設置するのに有利である。
そして、ロール成形前は板がほぼ平坦であることや、ロール成形途中やロール成形後では板端部同士の間隔が狭まるため孔型ロールの設置が難いことから、孔型ロールによってテーパ形状を付与するのはロール成形前に行うこととした。
続いて、板厚方向の他方の板端部にテーパ形状を付与するには、ロール成形途中のフィンパス圧延を活用することとした。フィンパス圧延では帯板をフィンパスロールに充満させるため、板端部が強圧される。従って、フィンパス圧延において、フィン形状を2段テーパとして、このフィン形状を板端部の強圧を活用して板に転写させるとよいわけである。
上記のような考え方に基づいて、本発明は以下の特徴を有している。
[1]帯材を成形し端部を突き合わせて電縫溶接し管とする電縫管の製造方法において、ロール成形前に、圧延面が傾斜した圧延面と垂直な圧延面で構成されているとともに、圧延面の上下端に圧延面側を面取りしたフランジ部を備えていて、その上下のフランジ部によって帯材を挟み、帯材の上下方向を拘束するようになっている孔型ロールで帯材の板厚方向を拘束しながら圧延して帯材の板厚方向の上面側端部にテーパ形状を付与するとともに、ロール成形のフィンパス圧延の最終スタンドにおいて、2段テーパのフィンを備えているフィンパスロールを用いて、帯材の板厚方向の下面側端部にテーパ形状を付与することとし、前記テーパ形状は、テーパの板厚方向に対する角度を25°〜50°とし、テーパの板厚方向の長さを板厚の20%〜40%(ただし、20%は除く)とすることを特徴とする、溶接部肉厚中心位置の−46℃での吸収エネルギーが125J以上、脆性破面率が35%以下である溶接部特性の良好なラインパイプ向けまたはケーシング向け電縫管の製造方法。
本発明は、著しく良好な靭性および溶接強度を有する電縫管を製造することができる。
本発明の一実施形態において用いる電縫管製造ラインを図1に示す。この電縫管製造ラインは、帯材20を、アンコイラ1から払い出し、レベラー2で平坦に矯正し、ロール成形機5で帯材20を徐々に丸めていき、丸めた帯材20の左右両幅端部を、誘導加熱部6とスクイズロール(電縫溶接部)7からなる電縫溶接機で電縫溶接して管30となし、管30の溶接ビード部をビード部切削機8で切削し、切削後の管30を、サイザー9にて外径調整した後、管切断機10で所定長さに切断するという基本構成を有している。なお、ロール成形機5は最後段に2スタンドからなるフィンパス圧延スタンド4を備えている。
そして、この実施形態においては、上記の基本構成に加え、レベラー2とロール成形機5の間に、帯材20の端部にテーパ形状を付与するための孔型ロール3を備えている。
なお、孔型ロール3は、図2に示すように、圧延面3aが垂直な圧延面3a と角度γで傾斜した圧延面3a で構成されているとともに、圧延面3aの上下端にフランジ部3bを備えており、垂直方向の回転軸を有している。ここで、圧延面3aの幅は、帯材20の板厚とほぼ同じであり、上下のフランジ部3bによって帯材20を挟み、帯材20の上下方向(板厚方向)を拘束するようになっている。
このような孔型ロール3によって帯材20を圧延することによって、図2に示すように、帯材20の上面側(管30の内面側)の端部に、テーパの板厚方向垂直端面からの角度(テーパの板厚方向に対する角度)がγで、片側におけるテーパ開始位置から終了位置までの垂線の長さ(テーパの板厚方向の長さ)がδとなるテーパ形状を付与することができる。
さらに、この実施形態においては、図3(a)に図1のA−A矢視図を示し、図3(b)にその部分詳細図を示すように、フィンパス圧延スタンド4の最終スタンド4aが、所定の2段テーパ(2段目のテーパ傾斜角度α、2段目の傾斜部垂直長さβ)となったフィン形状を備えている。そのフィン形状を帯材20の幅端部に転写することによって、帯材20の下面側(管30の外面側)の左右両端部に所定のテーパ形状を付与することができる。
なお、孔型ロール3およびフィンパス最終スタンド4aで付与するテーパ形状(すなわち、電縫溶接直前の板端部のテーパ形状)については、テーパの板厚方向垂直端面からの角度α、γを25°〜50°の範囲として、片側におけるテーパ開始位置から終了位置までの垂線の長さβ、δを板厚の20%〜40%とするとよい。
すなわち、テーパ角度α、γを25°未満とすると、板厚中央部からの溶鋼排出が不十分となってペネトレータが残留して不良となり、電縫溶接後の靭性や強度が低下し、テーパ角度α、γを50°超えとすると、電縫溶接後にもそのテーパ形状が製品の管の疵として残留し問題である。また、テーパ高さβ、δが板厚の20%未満であると、板厚中央部の溶鋼排出が不十分となってペネトレータが残留しやすくなり、テーパ高さβ、δが40%を超えると、電縫溶接後にもそのテーパ形状が製品の管の疵として残留し問題である。
このようにして、この実施形態においては、電縫溶接前の帯材の端部にテーパ形状を適切に付与することができるので、著しく良好な靭性および溶接強度を有する電縫管を製造することができる。
なお、この実施形態では、ロール成形前に帯材20の上面側(管30の内周側)の端部にテーパ形状を付与し、フィンパス圧延で帯材20の下面側(管30の外面側)の端部にテーパ形状を付与するようにしているが、場合によっては、ロール成形前に帯材20の下面側(管30の外周側)の端部にテーパ形状を付与し、フィンパス圧延で帯材20の上面側(管30の内面側)の端部にテーパ形状を付与するようにしてもよい。
また、上記においては、帯材20の上面側が管30の内周側となる製造ラインを前提にしているが、本発明は、帯材20の上面側が管30の外周側となる電縫管製造ラインにおいても、同様に適用することができることはいうまでもない。
以下、実施例に基づいて説明する。
ここでは、板幅1920mm×19.1tmmの帯材(鋼帯)を用いて、φ600の電縫管を製造した。
そして、製造した電縫管の溶接部から試験片を切り出してシャルピー試験を行い、性能を評価した。シャルピー試験片は、管長手方向の相違する10点から1本ずつ、試験片長さ方向を管円周方向に平行にし、ノッチ長さ中心を溶接部肉厚中心位置として採取し、JIS5号の2mmVノッチ衝撃試験片として、−46℃での衝撃試験を行い、吸収エネルギー、脆性破面率を測定した。なお、吸収エネルギーは125J以上、脆性破面率が35%以下を性能許容範囲とした。
(本発明例1)本発明例1として、前述の実施形態に基づいて上記の電縫管を製造した。その際、図2に示した孔型ロール3を用いて、板の上面側端部(管の内面側端部)にテーパ角度γを30°としたほぼ直線上のテーパを付与した。そして、フィンパス圧延において、板の上面側端部(管の外面側端部)にテーパ角度αを30°としたほぼ直線上のテーパを付与した。
(本発明例2)本発明例2として、前述の実施形態に基づいて上記の電縫管を製造した。その際、図2に示した孔型ロール3を用いて、板の上面側端部(管の内面側端部)にテーパ角度γを45°としたほぼ直線上のテーパを付与した。そして、フィンパス圧延において、板の上面側端部(管の外面側端部)にテーパ角度αを40°としたほぼ直線上のテーパを付与した。
(比較例)比較例として、上記の電縫管を製造するに際して、ロール成形前であるレベラー加工後において、切削工具を用いて、板の上面側端部と下面側端部板の双方に同時に、テーパ角度を20°としたほぼ直線上のテーパを付与し、その後、従来のロール成形を経て上記の電縫管を製造した。
(従来例)従来例として、ロール成形前であるレベラー加工後において、板端部を垂直に平滑研磨し、その後、従来のロール成形を経て上記の電縫管を製造した。
これらにより製造した電縫管の溶接部におけるシャルピー衝撃値と脆性破面率を測定した結果を表1に示す。
Figure 0005055848
表1より、本発明例1、2による電縫管は、溶接部の衝撃強度が高く脆性破面率が小さくて、靭性が良好であって、製品の信頼性が高い。これに対して、比較例および従来例による電縫管は、溶接部の衝撃強度が低く脆性破面率が大きくて、靭性が低下しており、製品の信頼性に乏しい。
これにより、本発明によって溶接部特性の良好な電縫管を製造できることが確認された。
本発明の一実施形態における電縫管製造ラインを示す図である。 孔型ロールによって帯材の上面側端部にテーパ形状を付与する状況を示す図である。 2段テーパを備えたフィン形状のフィンパス圧延スタンドを示す図である。
符号の説明
1 アンコイラ
2 レベラー
3 孔型ロール
3a 圧延面
3a 垂直な圧延面
3a 傾斜した圧延面
3b フランジ部
4 フィンパス圧延スタンド
5 ロール成形機
6 誘導加熱装置
7 スクイズロール(電縫溶接部)
8 ビード部切削機
9 サイザー
10 管切断機
20 帯材
30 管

Claims (1)

  1. 帯材を成形し端部を突き合わせて電縫溶接し管とする電縫管の製造方法において、ロール成形前に、圧延面が傾斜した圧延面と垂直な圧延面で構成されているとともに、圧延面の上下端に圧延面側を面取りしたフランジ部を備えていて、その上下のフランジ部によって帯材を挟み、帯材の上下方向を拘束するようになっている孔型ロールで帯材の板厚方向を拘束しながら圧延して帯材の板厚方向の上面側端部にテーパ形状を付与するとともに、ロール成形のフィンパス圧延の最終スタンドにおいて、2段テーパのフィンを備えているフィンパスロールを用いて、帯材の板厚方向の下面側端部にテーパ形状を付与することとし、前記テーパ形状は、テーパの板厚方向に対する角度を25°〜50°とし、テーパの板厚方向の長さを板厚の20%〜40%(ただし、20%は除く)とすることを特徴とする、溶接部肉厚中心位置の−46℃での吸収エネルギーが125J以上、脆性破面率が35%以下である溶接部特性の良好なラインパイプ向けまたはケーシング向け電縫管の製造方法。
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