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JP5055876B2 - ガラスリボンの冷却方法及びその冷却装置 - Google Patents
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Description

本発明は、フロート法によって連続成形されて下流側へと搬送されるガラスリボンを徐冷炉内で冷却するガラスリボンの冷却方法に関する。
周知のように、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(以下、単にFPDともいう)用ガラス基板の製作に際しては、複数枚のガラス基板が1枚の素板ガラス(マザーガラス)から作り出される手法が採用されるに至っている。そして、近年のFPD用ガラス基板の大型化に伴って、ガラスメーカー等で製造されるマザーガラスも大型化が推進されている。
この種のマザーガラスとなるガラス板を製造する手法としては、窓ガラス板を製造する場合と同様に溶融ガラスを水平方向に引き出して溶融錫等の溶融金属が貯溜されたフロートバス上で成形するフロート法が公知となっている。詳述すると、フロート法によれば、溶融ガラスをフロートバスの溶融金属上に浮かせると、自然に広がり安定した厚み(以下、平衡厚みという)となり、この溶融ガラスを水平方向に引き出すことで帯状のガラスリボンを成形することができる。そして、このように成形されたガラスリボンを徐冷炉内で徐冷し、然る後、ガラスリボンを所定の大きさに切断することでマザーガラスとなるガラス板が製造される。
ところで、フロートバスで成形された直後の高温のガラスリボンは、前記のように徐冷炉内で冷却されて略常温に戻されるが、この際、ガラスリボンの冷却が不適正であると、ガラスリボン内部に歪等が生じるという不具合が生じ得る。そのため、この種の徐冷炉内におけるガラスリボンの冷却には、種々の対策が講じられている。具体的には、例えば下記の特許文献1には、ガラスリボン(ガラス帯)が、徐冷炉(レヤー)内を通過している間に、常にガラスリボンの両端部の温度は中央部よりも先に冷却し易い傾向にあるとの観点から、下記の手法によってガラスリボンを冷却することが提案されている。すなわち、徐冷炉内を、上流側から下流側に向かって、ガラスリボンを徐冷する徐冷域と、ガラスリボンを冷却する冷却域とに区分すると共に、徐冷域ではガラスリボンの中央部と両側端部との温度差が可及的に小さくなるように中央部に冷却域から補足的に外気を導入して徐冷し、冷却域ではガラスリボンの中央部を両側端部より低くなるように冷却し、徐冷炉出口付近においてはガラスリボンの中央部よりも両側端を強く冷却する手法が提案されている。
なお、近年では、ガラス板の薄肉化に伴って、ガラスリボンには、前記平衡厚みよりも薄い厚みが要求されるのが通例である。この場合、一般的にはガラスリボンの幅方向両端部に、トップロールと呼ばれる成形装置を押圧し、ガラスリボンの幅方向両端を引き伸ばして薄くする手法が採用される(例えば、下記の特許文献2参照)。そして、このようにして成形させたガラスリボンは、トップロールが押圧された箇所を境界として、幅方向両端部に厚肉部を有すると共に、これら厚肉部の間の中間部に厚肉部よりも相対的に薄肉となる薄肉部を有することになる。この場合、ガラスリボンからガラス板を分離する段階で、薄肉部がガラス板の有効部分となり、厚肉部は耳部分として切除される。
また、下記の特許文献3には、このように厚肉部(耳部)と薄肉部(中央部)を有するガラスリボンに対して、徐冷炉内に搬入されるガラスリボンの薄肉部が上方に凸となるように湾曲させるために、フロートバスの出口から徐冷炉の入口までの間の所定箇所で、ガラスリボンの両厚肉部(両耳部)を強制冷却する手法が開示されている。
特公昭49−47005号公報 特公昭44−23828号公報 特開2000−72457号公報
ところで、近年ではガラスリボンは、前記の通り、幅方向に厚肉部と薄肉部とを有する場合が多いのが実情であることから、かかる形状をなすガラスリボンに対しても、徐冷炉内で適正な冷却を行うことが必要不可欠となる。
しかしながら、このように幅方向に厚肉部と薄肉部を有するガラスリボンを徐冷炉内で冷却した場合には、ガラスリボンの厚肉部は、その肉厚差から薄肉部に比べて冷却され難い傾向にある。この傾向は、ガラスリボンが薄肉になるに連れて大きくなる。これは、ガラスリボンの厚みを薄くするに連れて、薄肉部の厚みは薄くなるが、その一方で厚肉部の厚みはそれほど変化することがなく、結果として薄肉部と厚肉部との肉厚差が大きくなるためである。よって、ガラスリボンの厚みが薄くなればなるほど、厚肉部と薄肉部との温度差が大きくなることから、この温度差を何ら考慮することなく徐冷炉内でガラスリボンを冷却した場合には、厚肉部と薄肉部との温度差に起因する内部応力によりガラスリボンが徐冷炉内で破損するという事態を招くおそれがある。
したがって、前記のように幅方向に肉厚差を有するガラスリボンにおいては、徐冷炉内で厚肉部と薄肉部との温度差を如何に是正するかが重要となるが、このような観点から何ら対策が講じられていないのが実情である。すなわち、前記の特許文献1に開示の手法は、既に述べた通り、ガラスリボンの両端部の温度は中央部よりも冷却し易い傾向にあるとの観点からなされたものであり、幅方向の両端部が冷却し難い傾向をなすガラスリボン、換言すれば、幅方向両端部に厚肉部を、これら厚肉部の間に薄肉部をそれぞれ有するガラスリボンを対象とするものではない。
一方、前記の特許文献3に開示されているように、フロートバスの出口から徐冷炉の入口に至るまでの所定箇所で、ガラスリボンの厚肉部を強制的に冷却すると、かかる領域においてはガラスリボンの温度は歪点を越えているため、ガラスリボンに湾曲が生じるほど急激に冷却した場合には、ガラスリボンの内部に歪みが生じ、その結果徐冷炉内でガラスリボンが破損したり、或いはガラスリボンから分離されたガラス板の強度低下や自然破壊を招くといった致命的な問題が生じ得る。
本発明の課題は、フロート法によって連続成形されると共に、幅方向両端部に厚肉部を有し且つこれら厚肉部の間の中間部に厚肉部よりも相対的に薄肉となる薄肉部を有するガラスリボンを、徐冷炉内で厚肉部と薄肉部との温度差を可及的に小さくなるように適正に冷却し、徐冷炉内でのガラスリボンの破損頻度の低減を図ることにある。
上記課題を解決するために創案された本発明は、フロート法によって連続成形されるガラスリボンを下流側に搬送しながら、徐冷域とその下流側の冷却域とを有する徐冷炉内で冷却するガラスリボンの冷却方法において、幅方向両端部に厚肉部を有し且つこれら厚肉部の間の中間部に厚肉部よりも相対的に薄肉となる薄肉部を有するガラスリボンを、前記徐冷炉内の徐冷域から冷却域に亘って搬送するに際して、前記徐冷域を除外した前記冷却域のみで、前記ガラスリボンの幅方向両端部のみを補足的に冷却することを特徴とするものである。
上記の方法によれば、徐冷炉内の冷却域において、ガラスリボンの幅方向両端部のみが補足的に冷却されるので、その幅方向両端部における厚肉部が補足的に冷却されことになる。したがって、薄肉部と、薄肉部よりも冷却され難い厚肉部との温度差を可及的に低減しつつ、両者を適正に冷却することが可能となる。また、通常は、徐冷域においては、ガラスリボンは歪点を越える温度域にあって、冷却域においては、ガラスリボンは歪点以下の温度域にある。そのため、冷却域におけるガラスリボンの幅方向両端部の補足的な冷却は、ガラスリボンの温度が歪点以下になってから開始されることになる。すなわち、かかるガラスリボンの両端部の補足的な冷却によって、ガラスリボンに新たに歪が生じるという事態も回避することができる。したがって、このように冷却域においてガラスリボンの幅方向両端部のみを補足的に冷却することによって、徐冷炉内でのガラスリボンの破損頻度を可及的に低減することが可能となる。
上記の方法において、前記ガラスリボンの幅方向両端部の補足的な冷却を、ガラスリボンが歪点からその歪点の−100℃までの温度範囲に冷却されてから開始することが好ましい。なお、ここでいう「ガラスリボンが歪点からその歪点の−100℃までの温度範囲に冷却され」とは、ガラスリボンのうち、最も冷却され難い幅方向両端部の厚肉部が前記温度範囲に冷却された状態を意味する。
このようにすれば、ガラスリボンの幅方向両端部(厚肉部)の冷却が、ガラスリボンが冷却域に入った直後或いは早期の段階から開始されることになるため、徐冷炉内でのガラスリボンの破損の発生確率をより確実に低減することができる。なお、この場合には、冷却域におけるガラスリボンの幅方向両端部の補足的な冷却を、厚肉部と薄肉部との温度差が35℃以下となるまで行うことがより好ましい。
上記の方法において、前記ガラスリボンの幅方向両端部の補足的な冷却を、前記冷却域内に配設された補助冷却手段から前記ガラスリボンの幅方向両端部における厚肉部に対して直接冷却流体を噴出することによって行うことが好ましい。
このようにすれば、例えば、厚肉部の近傍にチャンバー等を配設し、その中に冷却流体を流通させて厚肉部を間接的に冷却する場合に比して、厚肉部の冷却効率を大幅に向上することができる。したがって、厚肉部を冷却するための補助冷却手段の配設個数を減らすことができ、徐冷炉内の構成が簡単且つ安価なものとなる。
上記の方法において、前記補助冷却手段から噴出する冷却流体は、冷却ガスであることが好ましい。
冷却流体としては、冷却液体も使用可能であるが、単に冷却液体をガラスリボンの厚肉部に噴出した場合には、ガラスリボンの厚肉部が過度に冷却されるという不具合が生じるおそれがある。そのため、冷却液体を使用する場合には、冷却液体を霧状に噴出する等の対策を講じることが好ましく、このような場合には補助冷却手段の構造が複雑となる。これに対して、冷却流体として冷却ガスを使用したならば、単に冷却ガスを噴出した場合であっても、前記不具合を好適に回避することができるため、簡単な構造の補助冷却手段でガラスリボンの厚肉部を適正に冷却することが可能となる。
この場合、前記補助冷却手段から噴出した冷却ガスを徐冷炉外に排気することが好ましい。
このようにすれば、補助冷却手段から噴出した冷却ガスによって、炉内に気流が形成され、炉内温度に変動を来たすという事態を好適に回避することができる。
上記の方法においては、ガラスリボンの厚肉部の厚みが、薄肉部の厚みの1.5倍以上である場合でもガラスリボンに対する好適な冷却が可能となる。
すなわち、以上の方法によれば、このように厚肉部と薄肉部との肉厚差が大きくなった場合であっても、徐冷炉内で厚肉部と薄肉部との温度差を可及的に小さくしつつ、徐冷炉内でのガラスリボンの破損頻度を大幅に低減することができる。
上記の方法においては、ガラスリボンの薄肉部の厚みが、3.0mm以下である場合でもガラスリボンに対する好適な冷却が可能となる。
すなわち、以上の方法によれば、近年、ガラスリボンに推進されている薄肉化の要請に適正に応じつつ、徐冷炉内で厚肉部と薄肉部との温度差を可及的に小さくしつつ、徐冷炉内でのガラスリボンの破損頻度を大幅に低減することができる。
以上のような本発明によれば、冷却域において、ガラスリボンのうち、薄肉部よりも冷却され難い厚肉部が補足的に冷却されるので、薄肉部と厚肉部との温度差が可及的に低減すると共に、かかる補足的な冷却は冷却域のみで実行されるのでガラスリボンに新たに歪が生じるという事態も回避することができる。したがって、徐冷炉内でのガラスリボンの破損頻度を可及的に低減することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るガラスリボンの製造装置の一例を示す概略側面図である。同図に示すように、この製造装置1は、ガラスリボン2を成形するフロートバス3と、フロートバス3で成形されたガラスリボン2を冷却する徐冷炉4とを有している。
前記フロートバス3には、錫等の溶融金属5が貯溜されており、この溶融金属5上で成形されるガラスリボン2の幅方向両端部に、図示しないトップロールを押圧して幅方向両端を引き伸ばしながら、ガラスリボン2の長手方向(流れ方向)に並列に配設された複数の搬送ロール6の牽引力によって下流側に連続的に搬送されるようになっている。すなわち、かかるガラスリボン2は、所謂フロート法によって成形されるものであって、図2に示すように、トップロールにより押圧された箇所を境界として、幅方向両端部に厚肉部2aを有すると共に、これら厚肉部2aの間の中間部に厚肉部2aよりも相対的に薄肉となる薄肉部2bを有する。
前記徐冷炉4は、ドロスボックスと称されるフロートバス3の出口部分3aを経て搬出される高温のガラスリボン2を、下流側に向かってその内部を通過させることで冷却するようになっている。詳述すると、徐冷炉4内は、上下仕切壁7a、7bによって上流側と下流側の2つに区分され、上流側が徐冷域4aとされ、下流側が冷却域4bとされている。前者の徐冷域4aでは、高温のガラスリボン2を歪点までゆっくりとした冷却速度で徐冷するようになっている。
一方、後者の冷却域4bでは、歪点まで徐冷されたガラスリボン2を徐冷域4aに比して速い冷却速度でガラスリボン2を冷却するようになっている。この際、ガラスリボン2の厚肉部2aは、薄肉部2bとの肉厚差に起因して薄肉部2bに比して冷却され難い傾向にある。そこで、冷却域4bにおいては、図1および図3に示すように、ガラスリボン2の流れ方向に沿って、その幅方向両端部の近傍に補助冷却手段8を配設し、かかる補助冷却手段8によってガラスリボン2の幅方向両端部のみを補足的に冷却するようになっている。この補助冷却手段8は、本実施形態では、厚肉部2aの上方又は下方の少なくとも一方(図示例では上方)に配設され、厚肉部2aの上面又は下面の少なくとも一方面に対して直接冷却ガスを噴出するように構成されている。このようにすれば、冷却域4bにおいて、補助冷却手段8によって、薄肉部2bよりも冷却され難い厚肉部2aが補足的に冷却されるので、薄肉部2bと厚肉部2aとの温度差を効率的に低減することができる。そして、補助冷却手段8は、ガラスリボン2が歪点以下の温度となる冷却域4bにのみ配設されていることから、補助冷却手段8による厚肉部2aの冷却によって、ガラスリボン2に新たに歪が生じるという事態も回避することができる。したがって、かかる補助冷却手段8によってガラスリボン2の厚肉部2aを補足的に冷却することによって、徐冷炉4内でのガラスリボン2の破損の発生確率を可及的に低減することが可能となる。
そして、このような利点をより確実に享受するためには、補助冷却手段8による厚肉部2aの補足的な冷却は、ガラスリボン2の厚肉部2aが歪点(ガラスリボン2が冷却域4bに入った直後)から歪点の−100℃までの温度範囲に冷却されてから開始することが好ましい。このようにすれば、ガラスリボン2の厚肉部2aの冷却が、ガラスリボン2が冷却域4bに入った直後又は冷却域4bに入った早期の段階から開始されることになるため、徐冷炉4内でのガラスリボン2の破損の発生確率をより確実に低減することができる。また、かかる補助冷却手段8による厚肉部2aの補足的な冷却は、厚肉部2aと薄肉部2bとの温度差が35℃以下となるまで行うことがより好ましい。この数値範囲まで厚肉部2aと薄肉部2bとの温度差を低減すれば、実用上ガラスリボン2の幅方向に温度差がない状態とみなすことができるためである。
このように冷却域4bにおいて、補助冷却手段8によって厚肉部2aを補足的に冷却する本実施形態に係る冷却方法は、特に、薄肉部2bの厚みが3.0mm以下であって、且つ厚肉部2aの厚みが、薄肉部2bの厚みの1.5倍以上であるガラスリボン2を冷却する際に好適である。すなわち、このような形状を呈するガラスリボン2は、厚肉部2aと薄肉部2bとの肉厚差が大きく、両者の温度差が大きくなる傾向にあり、しかも薄肉部2bが薄いため破損しやすい傾向にあるが、本実施形態に係る冷却方法によれば、このような傾向を有するガラスリボン2であっても、その厚肉部2aと薄肉部2bの温度差を可及的に低減し、徐冷炉4内での破損頻度を確実に低減することができるためである。
なお、補助冷却手段8から噴出される冷却ガスとしては、酸素や窒素等を使用することが可能であるが、設備の簡略化を図る観点からも外気(空気)を使用することが好ましい。また、補助冷却手段8による厚肉部2aの冷却は、ガラスリボン2の流れ方向に沿って断続的に行うようにしてもよいし、もちろん連続的に行うようにしてよい。補助冷却手段8の具体例としては、例えば、冷却ガスが流通されるノズルに、複数の噴出穴を形成したり、或いはスリット状の噴出口を形成したもの等が挙げられる。
以上のように補助冷却手段8から冷却ガスを直接厚肉部2aに噴出することで、厚肉部2aの冷却を効率的に行うことが可能となるが、かかる冷却ガスは、徐冷炉4の入口や、徐冷炉4の出口に向かって気流を形成し、炉内の温度変動の要因となるおそれがある。そこで、本実施形態では、気流の発生を防止するために、補助冷却手段8から噴出した冷却ガスを、補助冷却手段8の近傍から炉外へ排出するようにしている。具体的には、図4に示すように、冷却域4bに対応する徐冷炉4の側壁に排気口9を形成して、かかる排気口9を通じて冷却ガスを炉外へ排出するように構成することが、気流の発生を防止する上で効果的である。
なお、上記の実施形態では、補助冷却手段8として、厚肉部2aに直接冷却ガスを噴出するように構成されたものを例示したが、冷却ガスに代えて例えば水等の冷却液体を噴出するように構成してもよい。また、補助冷却手段は、例えば、ガラスリボン2の厚肉部2aの直上方又は直下方の少なくとも一方にチャンバーを配設し、このチャンバー内に冷却流体(好ましくは外気)を循環させることで、ガラスリボン2の厚肉部2aを間接的に冷却するように構成されたものであってもよい。
本発明の有用性を実証するために、冷却域内でガラスリボンの厚肉部を補足的に冷却する本発明に係る徐冷方法を採用した実施例1〜3と、冷却域でガラスリボンの厚肉部を補足的に冷却しない徐冷方法を採用した比較例1とで、徐冷炉内におけるガラスリボンの破損頻度をそれぞれ確認する対比試験を行った。実施例1〜3、及び比較例1の試験条件の詳細は以下の通りである。(1)実施例1は、補助冷却手段として徐冷炉側面から間接冷却装置を挿入し、総流量1400Nm/hの冷却空気を流し、ガラスリボンの厚肉部を冷却した。(2)実施例2は、補助冷却手段として徐冷炉側面から直接冷却装置を挿入し、総流量1400Nm/hの冷却空気を噴出し、ガラスリボンの厚肉部を冷却した。(3)実施例3は、補助冷却手段として徐冷炉側面から直接冷却装置を挿入し、総流量1400Nm/hの冷却空気を直接噴出することで厚肉部を冷却すると共に、直接冷却装置により炉内に噴出した冷却ガスのうち、1000Nm/hは徐冷炉側面の排気装置により炉外へ排出した。(4)比較例1は、補助冷却手段を配設せずに、ガラスリボンを冷却した。これら対比試験の結果を以下の表1に示す。
なお、前記直接冷却装置は、ノズルから厚肉部に対して直接冷却空気(25℃)を噴出するものであって、前記間接冷却装置は、ガラスリボンの厚肉部の直上方に配設したチャンバーに冷却空気(25℃)を循環させるものである。また、これらの対比試験においては、試料として、フロート法によって成形され、且つ薄肉部の厚みが1.8mm、厚肉部の厚みが2.9mmであって、幅方向寸法が4.5mのガラスリボンを使用した。そして、徐冷炉内でのガラスリボンの破損頻度は、ガラスリボン(ガラス原料)1000トン当たりの破損回数によって評価した。さらに、ガラスリボンの厚肉部と薄肉部の温度差は、放射温度計により徐冷炉出口におけるガラスリボンの幅方向の温度を、500mm間隔で測定することによって算出した。また、徐冷炉内の温度変動は、徐冷炉内上部に配設した熱電対により、24時間内における最大値と最小値の差として算出した。
Figure 0005055876
上記の表1に示すように、補助冷却手段を配設せずにガラスリボンの冷却を行った比較例1においては、ガラスリボンの薄肉部と厚肉部との温度差は42℃であり、ガラスリボンの破損頻度は127回/1000トンであった。
これに対して、補助冷却手段を配設した実施例1〜3のいずれもが、比較例1に比して薄肉部と厚肉部との温度差および破損頻度が、共に好適に低減されていることが確認できる。詳述すると、間接冷却装置によって厚肉部を冷却した実施例1では、薄肉部と厚肉部との温度差は33℃であり、破損頻度は68回/1000トンであった。さらに、直接冷却装置によって厚肉部を冷却した実施例2、3では、薄肉部と厚肉部との温度差は18℃であり、ガラスリボンに破損は認められなかった。すなわち、実施例1〜3においては、比較例1よりも薄肉部と厚肉部との温度差が小さくなり、特に実施例2、3においてはその温度差が18℃と好適に低減されているため、ガラスリボンの破損頻度が小さい、或いは零となる良好な結果を得るに至ったと考えられる。
また、実施例2においては、厚肉部に冷却空気を噴出することにより、徐冷炉域内での温度変動が5℃であったが、実施例2の条件に加えて冷却空気の排気を行うようにした実施例3においては、徐冷域内での温度変動が2℃と、冷却空気を噴出しない場合(比較例1および実施例1)と同様の結果を得た。このことからも、冷却空気の排気を行うことで徐冷炉内の温度変動を小さくできることが確認できる。
以上のように、ガラスリボンの厚肉部を補助冷却手段によって冷却する本発明に係る冷却方法は、徐冷炉内でのガラスリボンの破損を好適に低減できることが確認できる。さらに、その冷却方式としては、間接冷却よりも直接冷却の方が好ましく、さらに直接冷却の場合であっては噴出した冷却ガスを排気する方がより好ましい。
本発明に係るガラスリボンの冷却方法は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の各種画像表示機器用のフラットディスプレイパネルの製作に用いられるガラス基板や、各種電子表示機能素子や薄膜を形成するための基材として用いられるガラス板の製造工程で使用されるのが好適である。
本発明の一実施形態に係る製造装置の全体構成を示す概略縦断面図である。 図1に示す製造装置によって成形されるガラスリボンの一例を示す概略縦断面図である。 図1に示す徐冷炉内の冷却域を示す概略斜視図である。 図1に示す徐冷炉内の冷却域を示す概略縦断面図である。
符号の説明
1 製造装置
2 ガラスリボン
2a 厚肉部
2b 薄肉部
3 フロートバス
3a フロートバス出口部分(ドロスボックス)
4 徐冷炉
4a 徐冷域
4b 冷却域
5 溶融金属
6 搬送ロール
7a、7b 仕切壁
8 補助冷却手段
9 排気口

Claims (7)

  1. フロート法によって連続成形され、幅方向両端部に厚肉部を有し且つこれら厚肉部の間の中間部に厚肉部よりも相対的に薄肉となる薄肉部を有するガラスリボンを下流側に搬送しながら、徐冷域とその下流側の冷却域とを有する徐冷炉内で冷却するガラスリボンの冷却方法において、
    前記徐冷域と前記冷却域との境界に仕切りを設けた状態で、前記徐冷域を除外した前記冷却域のみで、前記ガラスリボンの厚肉部に対して冷却ガスを直接噴出して前記ガラスリボンの厚肉部を補足的に冷却すると共に、前記冷却域内の前記冷却ガスを炉外に排気することを特徴とするガラスリボンの冷却方法。
  2. 前記ガラスリボンの厚肉部の補足的な冷却を、前記ガラスリボンが歪点からその歪点の−100℃までの温度範囲に冷却されてから開始することを特徴とする請求項1に記載のガラスリボンの冷却方法。
  3. 前記ガラスリボンの厚肉部の補足的な冷却を、前記ガラスリボンの厚肉部と薄肉部との温度差が35℃以下となるまで行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスリボンの冷却方法。
  4. 前記ガラスリボンの厚肉部の補足的な冷却を、前記ガラスリボンの厚肉部の上下両面に対してそれぞれ直接冷却ガスを噴射することにより行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラスリボンの冷却方法。
  5. 前記ガラスリボンの厚肉部の厚みが、薄肉部の厚みの1.5倍以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラスリボンの冷却方法。
  6. 前記ガラスリボンの薄肉部の厚みが、3.0mm以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のガラスリボンの冷却方法。
  7. フロート法によって連続成形され、幅方向両端部に厚肉部を有し且つこれら厚肉部の間の中間部に厚肉部よりも相対的に薄肉となる薄肉部を有するガラスリボンを下流側に搬送しながら、徐冷域とその下流側の冷却域とを有する徐冷炉内で冷却するガラスリボンの冷却装置において、
    前記徐冷域と前記冷却域との境界に設けられた仕切りと、
    前記徐冷域を除外した前記冷却域のみに設けられ、前記ガラスリボンの厚肉部に対して冷却ガスを直接噴出して前記ガラスリボンの厚肉部を補足的に冷却する補助冷却手段と、
    前記冷却域内の前記冷却ガスを炉外に排気する排気手段とを備えていることを特徴とするガラスリボンの冷却装置。
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