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JP5058672B2 - 金属表面皮膜の封孔処理方法、および金属表面皮膜の封孔処理装置 - Google Patents
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金属表面皮膜の封孔処理方法、および金属表面皮膜の封孔処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、金属表面皮膜の封孔処理方法、当該金属表面皮膜の封孔処理方法を実施するための装置に関するものである。
鋼の連続鋳造用鋳型の基材は銅製であり、そのままでは鋳片やパウダーの摺動に対して磨耗が激しい。よって通常は、その磨耗対策としてNi基やCo基のメッキが施されているが、溶射皮膜と比べて硬度が低く耐摩耗性が不十分であり、寿命向上の要求があった。特に鋳型の下部は磨耗が激しいため、磨耗対策としてNi基の自溶性合金の適用が検討されてきたが、自溶性合金は一般に溶射後、再溶融処理(フュージング)を高温で行うため、鋳型基材の熱変形が大きくなり、処理後の銅板を鋳型として組み立てることができなくなる問題があり、スラブ連鋳鋳型の場合、400mmを超える長辺には適用できず、短辺のみの適用に止まっている。
再溶融処理は、通常ガスバーナーの火炎で溶射皮膜を加熱することによって実施されるが、この方法では上記の熱変形以外に皮膜の酸化劣化も問題である。また、ガスバーナーでは広い面積の皮膜を加熱処理する場合、加熱状態が不均一になりやすく、皮膜の密着強度が不足する部位の発生、さらにはピンホールの発生も問題となる。さらに再溶融処理後の皮膜厚みが不均一になりやすいため、要求膜厚以上に厚い溶射膜を形成してから研削する方法が一般に行われており、溶射材料の歩留まりが悪く施工コストが増大するという問題点もあった。
上記問題の対策として、例えば特許文献1、特許文献2にて開示されているように、自溶性合金を超音速フレーム溶射(再溶融処理省略)、又はWC・NiCr、WC・Co、CrC・NiCrを超音速フレーム溶射にて処理する方法が提供されている。
また再溶融処理時の溶射皮膜の酸化劣化を防止する手段としては、特許文献3に開示されているように、自溶性合金溶射後、この皮膜表面にトップコートとして多孔質なセラミック溶射皮膜を形成し、その後雰囲気制御加熱または高周波誘導加熱によって溶射皮膜の再溶融処理を施したのち、前記セラミック溶射皮膜を除去して自溶性合金を露出させる方法などが開示されている。しかし、この方法では基材全体が加熱されるので、基材の歪がいちじるしくなる問題がある。
またその他、特許文献4に開示されているように自溶性合金に電子ビームを与えてフュージングする方法や、特許文献5に開示されているような自溶性合金にレーザー光で再溶融させる方法なども提案されているが、ガスバーナーでの再溶融処理の場合と同様、広い面積を一度に加熱することはできず、皮膜の密着強度が不足する部位の発生、さらにはピンホールの発生も問題となる。
特開平8−225917号公報 特開平8−187554号公報 特開平11−217664号公報 特開平11−226700号公報 特開2003−320441号公報
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、例えば広い面積を有する自溶性合金溶射皮膜であっても、これを所望の温度にまで均一に加熱して溶融熱処理して封孔処理を行い、皮膜の緻密化を達成することができる封孔処理方法及び装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、発明者らはマイクロ波による金属表面の皮膜の溶融熱処理について広く研究を行い以下の知見を得た。
(1)自溶性合金皮膜や銅基材に900MHz〜2.45GHzのマイクロ波を照射しても殆どこれらの温度上昇は認められない。
(2)自溶性合金溶射皮膜表面にマイクロ波吸収能力を有するサセプター粉末を堆積させることで、マイクロ波の照射によって自溶性合金溶射皮膜のみをサセプター粉末を介して昇温させることが可能であることを見出した。
そこで発明者らは上記の知見を基に、以下のような発明を提案する。すなわち、本発明は、金属表面の自溶性合金の溶射皮膜を封孔処理する方法であって、前記金属表面の自溶性合金の溶射皮膜における封孔処理対象面に対して、マイクロ波吸収能力を有するカーボン粉末、黒鉛粉末、活性炭粉末、SiC粉末、ZrB 粉末又はTiC粉末から選択される1種以上のサセプター粉末を2mm〜20mmの厚さで堆積させ、その後前記サセプター粉末の堆積層の上に断熱材を設け、その後少なくとも前記サセプター粉末の堆積層を含む領域に対してマイクロ波を照射して、前記金属表面における封孔処理対象面を溶融熱処理することを特徴としている。なおマイクロ波の周波数は、任意のものを使用できるが、900MHz〜2.45GHzのものが好ましい。ここで自溶性合金とは、JIS H8303である。
本発明によれば、マイクロ波吸収能力を有するサセプター粉末がマイクロ波のエネルギーによって発熱する一方で、サセプター粉末の堆積層の上には断熱材が設けられているので、発生した熱は効果的に皮膜の封孔処理対象面に投入され、当該封孔処理対象面のみを効率よく加熱することができる。したがって金属表面の皮膜における封孔処理対象面を所望の溶融熱処理温度にまで加熱し、好適な溶融熱処理を実現することが可能であり、当該被膜を金属表面に強固に密着させ、皮膜の緻密化を達成することができる。したがってピンホールの問題も発生しない。
しかも封孔処理対象面に対して、サセプター粉末を2mm〜20mmの厚さで堆積させて、断熱材をその上に設ければよいので、極めて容易に本発明を実施することができる。また発明者らの知見では、サセプター粉末の堆積層の厚みに多少の不均一さがあっても、被膜を均一に加熱することができるので、封孔処理対象面が広い面積を有していても、当該対象面に対してほぼ均一にサセプター粉末を堆積させることで、封孔処理対象面を均一に加熱して溶融処理することができる。また基材となる金属自体は直接加熱されないので、金属自体の昇温は抑えられ、熱による歪みは殆ど発生しない。
さらにまたサセプター粉末が堆積された領域のみが加熱されるので、たとえ封孔処理対象面が金属表面の皮膜中の一部の領域であったり、様々な平面形態を有する領域であっても、当該領域に合わせてその上にサセプター粉末を堆積させてマイクロ波を照射すれば、当該領域の皮膜のみを溶融熱処理することができる。なおかかる場合には、サセプター粉末の堆積層の上のみならず、金属表面の皮膜における前記封孔処理対象領域以外の領域にも、断熱材を設けることが好ましい。またサセプター粉末の発熱による加熱効率を鑑みれば、サセプター粉末の堆積層の上面のみならず、封孔処理対象面を有する構造物全体を、断熱材で覆うことが好ましい。
本発明で使用する断熱材は、粒径が3mm以下の石英ガラス粉末、川砂、珪石、珪石れんが使用後屑粉砕品、マグネシア粉末、Si粉末、またはh−BN粉末から選択される1種以上であることが好ましい。このように断熱材も粉末状、粒状のものを使用することで、容易にサセプター粉末の堆積層の上に断熱材層を形成することができる。また平面形態が様々なものであっても、断熱処理することが可能である。なおこのように粉末状、粒状の断熱材を設ける場合、例えばサセプター粉末の堆積層の上にさらに堆積させることになるが、そのときの厚さ(堆積厚さ)は被断熱面から、例えば10mm以上あればよい。また発明者らの知見では、断熱材の厚さが10mm以上あれば、厚さに不均一があっても、加熱均一性に対して影響がないことがわかった。もちろんこのような粉末状、粒状の断熱材を使用する場合、封孔処理対象面を有する構造物全体を、断熱材の中に埋没させるようにしてもよい。
前記したマイクロ波吸収能力を有するサセプター粉末は、カーボン粉末、黒鉛粉末、活性炭粉末、SiC粉末、ZrB粉末又はTiC粉末から選択される1種以上の粉末が使用されるが、これら粉末は、最大粒径が100μm以下で平均粒径が30μmのものが好ましい。
後述の実施例でも示したように、本発明で使用するマイクロ波の出力は、処理時間の短縮化、投入エネルギーの効率化を考慮すると、封孔処理対象面積当たり、40kW/m以上であることが好ましい。
また本発明の金属表面皮膜の封孔処理装置は、特に自溶性合金の溶射皮膜の封孔処理に対して有用な金属表面皮膜の封孔処理装置であり、封孔処理対象面を有する構造物を収容する処理容器と、前記処理容器内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、を有することを特徴としている。
かかる場合、前記構造物としては、たとえば連続鋳造用銅モールド部材を挙げることができる。
本発明によれば、表面に皮膜を有する金属自体(基材)への入熱も殆どなく、当該皮膜のみを所望の温度で加熱して好適な溶融熱処理による封孔処理が実現できる。また処理対象面が広い面積であっても均一な加熱が可能であり、したがってたとえば、銅板を基材とした連続鋳造用の長辺にも実施でき、また銅板の表面に滑らかで欠陥のない均一な再溶融溶射皮膜が形成できる。さらに本発明にしたがって処理された自溶性合金が被覆されている銅板を用いた鋳型は、自溶性合金の特徴が活かされて磨耗性が高く、連続鋳造用の鋳型としての寿命が大幅に向上する。さらにまた本発明によれば、金属表面皮膜の処理対象面の平面形態がどのような形をしていても、当該処理対象面のみを加熱して、溶融熱処理による封孔処理を実施することが容易である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。本実施の形態は、連続鋳造用鋳型を製造するための連続鋳造用銅板母材表面の自溶性合金の皮膜を封孔処理する際の例である。
まず、自溶性合金溶射皮膜の密着性向上のために、あらかじめ連続鋳造用銅板母材にショットブラストやグラインダー加工、ブラシかけ等の下地処理を施しておく。これによって基材表面の酸化層、腐食層の除去が可能になる。
さらに加えて、上記のように自溶性合金の銅板への密着力を向上する下地処理として、銅板の表面に、Ni,Co,Feメッキ層もしくはこれらを基材とする合金メッキ層、またはNiもしくはCu−Ni合金のろう材のいずれか1種または2種以上の被覆層を形成すれば、銅板表面の酸化を防止することができ、また自溶性合金との密着性が優れ、より好ましい被覆層を得ることができる。
被覆層を形成する自溶性合金としては、Ni,Co,もしくはFe基の自溶性合金が好ましい。これらは溶融処理によって緻密化し、銅板表面との密着性も良好である。またこれらの自溶性合金に、クロム炭化物、タングステン炭化物、バナジウム炭化物、ニオブ炭化物、チタン炭化物、ジルコニウム炭化物、クロム硼化物、タングステン硼化物、バナジウム硼化物、ニオブ硼化物、チタン硼化物、ジルコニウム硼化物の1種または2種以上を添加したものを用いれば、被覆層の硬度、すなわち耐摩耗性が向上し、より好ましい被覆層を得ることができる。さらにこれらの添加物自体は、溶射皮膜層内に存在することで、マイクロ波を吸収し、皮膜の温度上昇にも寄与する。
前記自溶性合金の他に、及びクロム炭化物、タングステン炭化物、バナジウム炭化物、ニオブ炭化物、チタン炭化物、ジルコニウム炭化物、クロム硼化物、タングステン硼化物、バナジウム硼化物、ニオブ硼化物、チタン硼化物、ジルコニウム硼化物の1種または2種以上を添加した溶射原料を用いることができる。また溶射する方式として、フレーム溶射、超音速フレーム溶射、爆発溶射、プラズマ溶射などのいかなる溶射法を用いて形成された皮膜に対しても、本発明の封孔処理方法は適しているが、最も好ましい溶射方法としては、超音速フレーム溶射を挙げることができる。
次に本実施の形態にかかる封孔処理方法を実施するための封孔処理装置について説明する。図1は、この封孔処理装置1の構成を模式的に示しており、処理容器としてのアプリケーター2は、例えば接地された金属製のパネルによって構成され、内部に連続鋳造用銅板母材3を収容するのに十分な空間を有し、マイクロ波の漏洩防止処理がなされている。
アプリケーター2内の連続鋳造用銅板母材3に対しては、マイクロ波発振機11からのマイクロ波が照射されるようになっている。より詳述すると、マイクロ波発振機11は、例えば周波数が2.45GHzのマイクロ波を発振するように構成されており、マイクロ波発振機11から発振されたマイクロ波は、反射したマイクロ波がマイクロ波発振機11側に入射するのを防止するアイソレーター12、アプリケーター2内への入射、反射のマイクロ波の出力を監視するパワーモニター13、マイクロ波をアプリケーター2へと導入させるための導波管14とのインピーダンス調整を行なうチューナー15、そして前記導波管14を経て、アプリケーター2内の連続鋳造用銅板母材3に対して照射される。
次に、本実施の形態にかかる封孔処理方法について説明する。まず既存の、たとえば超音速フレーム溶射方法によって自溶性合金溶射皮膜21が表面に成膜された連続鋳造用銅板母材3の下半分程度を、マイクロ波吸収能が殆どない断熱材料粉末22に埋没させる。かかる場合、例えば図1に示したように、予め底面と四側面を断熱セラミックボードで囲った箱体23内に、断熱材料粉末22を入れておき、その上から連続鋳造用銅板母材3を載置するとよい。
断熱材料粉末22の粉体組成としては、珪石、川砂などSiO成分が主体となる粉末が誘電率が低いので好ましい。例えば、コークス炉や熱風炉、さらにはガラス窯などで使用されたあとの珪石れんがの粉砕屑も、SiO成分が主体であり、断熱材料粉末22として用いることは可能である。
次いで、自溶性合金溶射皮膜21上にサセプター粉末24を、所定の厚さ分堆積させる。サセプター粉末24としては、マイクロ波吸収能が高い、カーボン粉末、黒鉛粉末、活性炭粉末、SiC粉末、ZrB粉末、TiC粉末が適している。
サセプター粉末24を堆積させる厚さ、すなわちサセプター粉末24の堆積厚みは、エネルギー面の効率を考慮すると2〜20mmの範囲とすることが好ましい。発明者らの知見では、サセプター粉末24の堆積厚みが2mm未満の場合、投入されたマイクロ波が自溶性合金溶射皮膜21が溶融熱処理する程度には充分に吸収されず、また投入されたマイクロ波エネルギーの多くが反射波となり、アイソレーター12に吸収され、自溶性合金溶射皮膜21の溶融熱処理にとっては、エネルギー面であまり効率的ではない。但しかかる評価は、連続鋳造用銅板母材3の表面に成膜された自溶性合金溶射皮膜21の溶融熱処理の場合のことであり、金属の表面皮膜の封孔処理を想定すれば、金属の種類によっては、サセプター粉末24の堆積厚みが2mm未満であっても十分なエネルギー効率で溶融熱処理が行なえる場合がある。
一方、サセプター粉末24の堆積厚みをたとえば50mm以上にすると、マイクロ波がサセプター粉末24の表層から20mm程度までしか浸透しないため、サセプター粉末24の堆積層表面から20mmより下の部分へは、熱伝導による伝熱しか起こらず、その結果サセプター粉末24の堆積層からの熱伝導は、本来材料の持つ熱伝導に比べて40%以上低くなり、自溶性合金溶射皮膜21への伝熱が遅くなり、同じくエネルギー面では効率的な加熱手段となりがたい。
このようにサセプター粉末24は、自溶性合金溶射皮膜21上に、2〜20mmの範囲の厚さで堆積させることがよいが、もちろん均一な厚さで堆積させることがよい。かかる場合、具体的な堆積手法としては、たとえば自溶性合金溶射皮膜21上にサセプター粉末24を散布し、その後図2に示したように均しローラー31を用いて、サセプター粉末24の堆積表面を均していけばよい。この均しローラー31は、ローラー32、33の中心に円柱形のシャフト34を配置した構成を有しており、ローラー32、33とシャフト34との半径差dを、2〜20mmとしたものである。したがって、ローラー32、33を自溶性合金溶射皮膜21上にセットして、均しローラー31を移動させてサセプター粉末24の堆積表面をシャフト34で均していくことで、自溶性合金溶射皮膜21上に2〜20mmの厚さのサセプター粉末24の堆積層を容易に形成することができる。
なおこのローラー32、33の跡にはサセプター粉末が堆積されないため、このローラー32、33の長さを例えば5mm以下と極力小さくし、堆積厚みの均一化操作実行後、上部から粉末を載せるような処置を実行する。
前記したように自溶性合金溶射皮膜21上に2〜20mmの厚さでサセプター粉末24の堆積層を形成した後は、サセプター粉末24表面にも、断熱材料粉末22を堆積させる。本実施の形態では、底面と四側面を断熱セラミックボードで囲った箱体23内に断熱材料粉末22が投入され、その上に連続鋳造用銅板母材3が配置されているので、具体的な作業としては、箱体23内が断熱材料粉末22で満たされるまで連続鋳造用銅板母材3の上から、断熱材料粉末22を投入すればよい。そして箱体23内が断熱材料粉末22で満たされた後、断熱セラミックボードからなる蓋体25を箱体23に被せる。
後はマイクロ波発振機11を作動させてアプリケーター11内の連続鋳造用銅板母材3にマイクロ波を照射することで、サセプター粉末24が発熱し、自溶性合金溶射皮膜21に対して溶融熱処理による封孔処理が行なわれる。かかる場合、マイクロ波の照射出力に関しては、自溶性合金溶射皮膜21の封孔処理対象面、すなわち加熱対象面の単位面積積当たり、40kW/m以上のマイクロ波を出力することで、自溶性合金溶射皮膜21の表面は急激な温度上昇をし、一方連続鋳造用銅板母材3は温度が殆ど上昇せず、本来の皮膜表面のみの溶融熱処理が可能となる。発明者らが調べたところ、マイクロ波の照射出力が40kW/m未満では、皮膜表面温度を上昇させるのに長時間を要し、その結果として連続鋳造用銅板母材3の温度も上昇するので、エネルギーロスが大きい。したがって、自溶性合金溶射皮膜21だけを短時間で熱処理するには、40kW/m以上のマイクロ波照射出力が好ましい。
図1の封孔処理装置を用いて、連続鋳造用銅板から200×200×40mm厚さに試験片を切り出し、この表面にショットブラストで下地処理を施し、Ni基自溶性合金4種種々の条件で溶射施工を実施した。Ni基自溶性合金4種はNi,Cr,B,Si等から構成されている。
この溶射した銅板の上面(すなわち自溶性合金溶射皮膜の表面)及び下面(すなわち連続鋳造用銅板の下面)に、図1に示したように、各々K熱電対41、42を設置し、種々の条件で溶融熱処理を実施した。また比較のために、ガスバーナー、雰囲気焼成炉、レーザーを用いた処理も行なった。溶融熱処理後の皮膜の特性を評価するために、皮膜断面を研磨し、溶融熱処理後のヴィカース硬度を測定するとともに、SiCボールを用い窒素雰囲気中の750℃でのボールオンディスク摩擦磨耗試験(熱間B.O.D.試験)を行い、磨耗試験後の溶射皮膜の損耗量により、皮膜磨耗量の相対的評価を実施した。
下記の表に本発明の実施例と比較例を対比して示す。同表において「SFA」は自溶性合金の略である。
Figure 0005058672
これによれば、実施例のNo.1〜3では、いずれも14分以内の短時間で良好な溶射皮膜熱処理ができた。また実施例のNo.4では、マイクロ波出力が35kwと低く、その分、溶射皮膜の溶融熱処理に時間を要したが、処理後の溶射皮膜は良好なものであった。
比較例であるNo.5では、サセプター厚みが25mmと厚いため、皮膜の溶融状態が発生する1100℃までは昇温できたが、耐摩耗性が不良であった。比較例6では、断熱材が無いため、大気雰囲気中では、サセプター粉末と使用している粉末活性炭が燃焼し、皮膜表面溶融熱処理ができなかった。比較例のNo.7及び9ではガスバーナー照射部、及びレーザー照射部の部分的な溶融熱処理であり、硬度のばらつきも大きく、また耐磨耗性もやや不良であった。比較例のNo.8では基材である連続鋳造用銅板も熱処理され、ソリが大きくまた、耐摩耗性もやや不良であった。
なお表中の最下欄に参考例として記載したNo.10は、サセプター粉末の厚みを1mmにしたものであるが、この条件ではマイクロ波を240分照射したにもかかわらず、サセプター粉末の厚みが1mmと薄いために、マイクロ波の反射が大きく溶射皮膜の表面温度が800℃にまでしか昇温せず、溶融処理はできなかった。これは試料とした用いた金属が、実施例、比較例の場合と同様、連続鋳造用銅板であり、また溶融熱処理の対象も自溶性合金溶射皮膜であったため、そのような結果になったと考えられる。しかしながら、例えばアルミニウムの陽極酸化皮膜を溶融熱処理対象とする場合には、表面温度が800℃に達すれば溶融熱処理が十分可能である。したがってアルミニウムの陽極酸化皮膜を溶融熱処理する際には、サセプター粉末の厚みが1mmであってもよい。
本発明は、特に連続鋳造用鋳型等における自溶性合金の溶射皮膜の溶融熱処理に有用である。
実施の形態にかかる封孔処理方法を実施するための封孔処理装置の構成を模式的に示した説明図である。 均しローラーの正面図である。
符号の説明
1 封孔処理装置
2 アプリケーター
3 連続鋳造用銅板母材
11 マイクロ波発振機
12 アイソレーター
13 パワーモニター
14 導波管
15 チューナー
21 自溶性溶射合金
22 断熱材料粉末
24 サセプター粉末

Claims (5)

  1. 金属表面の自溶性合金の溶射皮膜を封孔処理する方法であって、
    前記金属表面の自溶性合金の溶射皮膜における封孔処理対象面に対して、マイクロ波吸収能力を有するカーボン粉末、黒鉛粉末、活性炭粉末、SiC粉末、ZrB 粉末又はTiC粉末から選択される1種以上のサセプター粉末を2mm〜20mmの厚さで堆積させ、
    その後前記サセプター粉末の堆積層の上に断熱材を設け、
    その後少なくとも前記サセプター粉末の堆積層を含む領域に対してマイクロ波を照射して、前記金属表面又は金属表面における封孔処理対象面を溶融熱処理することを特徴とする、金属表面皮膜の封孔処理方法。
  2. 前記マイクロ波の出力は、封孔処理対象面積当たり、40kW/m以上であることを特徴とする、請求項1に記載の金属表面皮膜の封孔処理方法。
  3. 前記金属表面が連続鋳造用銅モールド部材の表面であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属表面皮膜の封孔処理方法。
  4. 前記断熱材は、粒径が3mm以下の石英ガラス粉末、川砂、珪石、珪石れんが使用後屑粉砕品、マグネシア粉末、Si粉末、またはh−BN粉末から選択される1種以上のものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属表面皮膜の封孔処理方法。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の封孔処理方法を実施するための装置であって、
    前記封孔処理対象面を有する構造物を収容する処理容器と、
    前記処理容器内にマイクロ波を照射するマイクロ波照射装置と、
    を有することを特徴とする、金属表面皮膜の封孔処理装置。
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