JP5060411B2 - 長期保存可能なコーヒー飲料の製造方法 - Google Patents
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本発明における対象は、特に、ホットベンダー用コーヒー飲料であり、中でも乳含有コーヒー飲料を対象とする。
特に加熱殺菌時における香気の劣化は著しく、コーヒー飲料の淹(い)れ立ての新鮮な香気は大きく損なわれる。なかでもコーヒーのロースト感に寄与する2−フルフリルチオール、メチオナール、3−メルカプト−3−メチルブチルホーメート等の含硫化合物は、加熱によって著しく減少し、加熱殺菌時におけるコーヒーの香気劣化の主因となっている(非特許文献1、2)。この問題を解決するために、加熱殺菌したコーヒー抽出液に、膜濾過により除菌した非加熱のコーヒーフレーバーを無菌環境下で添加することにより、加熱による香気の劣化の少ないコーヒー飲料を得る方法が提案されている(特許文献1、2、3)。
一方、乳含有コーヒー飲料の風味向上方法としては、コーヒー豆を水−エタノール混合溶媒で特定条件で抽出した抽出液を添加する方法が知られている(特許文献4)。しかしながら、この方法では加温条件下の長期保存に耐えうるものではなかった。
熊沢他,"日本食品科学工学会誌",Vol.45, p108-113 (1998) Kenji Kumazawa et al,"Journal of Agricultural and Food Chemistry", Vol.51, p2674-2678 (2003)
(1)コーヒーオイルをプロピレングリコール又はその水溶液と接触させ得られたコーヒーオイル抽出液を焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法;
(2)コーヒーオイルをプロピレングリコール及びグリセリン及び水からなる溶液と接触させ得られたコーヒーオイル抽出液を焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法;
(3)コーヒーオイルをプロピレングリコール又はその水溶液と接触させ得られたコーヒーオイル抽出液及び合成香料を含むコーヒーフレーバーを、焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法;
(5)コーヒーフレーバー中のエタノール濃度が0.01〜15質量%であることを特徴とする上記(3)又は(4)に記載のコーヒー飲料の製造方法;
(6)コーヒーオイルが、焙煎コーヒー豆を超臨界流体で抽出して得られたコーヒーオイル又は焙煎コーヒー豆を圧搾して得られたコーヒーオイルであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のコーヒー飲料の製造方法;および
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法により製造されたことを特徴とするコーヒー飲料;である。
本発明で使用される焙煎コーヒー豆抽出液は、公知の方法で焙煎し粉砕されたコーヒー豆を熱水等で抽出して得ることができる。本発明のコーヒーオイル抽出液をコーヒー豆抽出液そのものに添加してコーヒー飲料とすることもできるが、本発明の効果は乳を添加した乳含有コーヒー飲料に特に顕著である。また、本発明の効果は、加温条件下の長期保存されるコーヒー飲料のためのものであり、具体的にはホットベンダー用コーヒー飲料であり、特に乳含有コーヒー飲料である。
なお、本発明においては、コーヒー豆の種類、産地、および銘柄は特に問わないで使用することができる。
本発明におけるコーヒーオイル抽出液の原料となるコーヒーオイルは、焙煎したコーヒー豆から抽出によって得られる香気成分を有する油状物質である。
コーヒーオイルは、水蒸気蒸留法、圧搾法、超臨界流体抽出法など抽出法で得ることができるが、本発明においては、例えば超臨界状態の二酸化炭素を用いて抽出された超臨界流体抽出コーヒーオイル又は圧搾法によるコーヒープレスオイルが好ましく用いられる。
超臨界流体抽出コーヒーオイルは、例えば焙煎したコーヒー豆を、超臨界抽出装置に水とともに投入し、超臨界状態にしたCO2(臨界温度31.1℃および臨界圧力73.8atm以上)にて抽出を行い、得ることができる。
また、コーヒープレスオイルは、例えば焙煎したコーヒー豆を搾油することにより得ることができるが、市販品として例えばハニー珈琲株式会社から入手することもできる。
なお、コーヒー豆の種類、産地、および銘柄は特に問わないで使用することができる。
第一の形態としては、コーヒーオイルをプロピレングリコール又はその水溶液と接触させ、定法により抽出液を得ることができる。抽出はプロピレングリコールのみでも可能であるが、作業性の点からプロピレングリコールの水溶液が好ましく用いられる。この場合、プロピレングリコールと水の比率は特に限定されるものではないが、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは20:80〜70:30、特に好ましくは30:70〜60:40の範囲で用いられる。
なお、超臨界流体抽出オイルから抽出する場合は、焙煎コーヒーからの超臨界流体抽出時に、プロピレングリコール又はその水溶液をエントレーナーとして使用することにより、簡便に抽出する方法も可能である。
コーヒーオイル抽出液は、焙煎したコーヒー豆抽出液に0.001〜0.1質量%の範囲で添加される。添加量が0.001質量%未満であれば本発明の効果は得られず、0.1質量%を超えて添加した場合は違和感を生ずる可能性がある。
本発明においては、前記コーヒーオイル抽出液に更に各種のコーヒー用合成香料を配合したコーヒーフレーバーの形態で使用することが特に好ましい。その理由は、加温条件下での長期保存においては香気の損失は避けられず、香ばしいローストノートをコーヒー用合成香料(組成物)で補うことが有効であるからである。
この目的で使用される合成香料としては、例えば、ジフルフリルスルフィド、ジフルフリルジスルフィド、フルフリルメチルスルフィド、2−アセチル−2−チアゾリン、グアイアコール、フルフリルアセテート、フルフリルアルコール、4−エチルグアイアコール、3,5−ジメチル−1,2−シクロペンタンジオン、フルフリルチオプロピオネート、メチルシクロペンテノロン、フルフリルメルカプタンなどが例示され、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
したがって、コーヒーフレーバーに含まれる合成香料組成物にはエタノールに替わる溶剤を使用する必要がある。そのような溶剤としては、プロピレングリコールの他、例えばグリセリン、ベンジルアルコール、トリアセチン、トリエチルシトレート、水などが例示され、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
コーヒーフレーバー中のコーヒーオイル抽出液の割合は5〜50質量%、特に10〜30質量%が好ましい。一方、コーヒーフレーバー中のコーヒー用合成香料(組成物)の割合は50〜95質量%、特に70〜90質量%が好ましい。
さらに、コーヒーフレーバー中のコーヒーオイル抽出液とコーヒー用合成香料(組成物)との比率は、5〜50:95〜50が好ましく、特に10〜30:90〜70が好ましい。
(1)アセト酢酸エチル、アセトフェノン、アニスアルデヒド、α−アミルシンナムアルデヒド、アントラニル酸メチル、イオノン、イソオイゲノール、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸3−ブテニル、イソチオシアン酸4−ペンテニル、イソチオシアン酸ベンジル、イソチオシアン酸3−メチルチオプロピル、イソチオシアネート類、イソブタノール、インドール及びその誘導体、γ−ウンデカラクトン、エステル類、
、クローバー、クローブ、クロモジ、クロレラ、クワ、クワッシャ、ケイパー、ゲットウ、ケード、ケブラコ、ゲルマンダー、ケンチュール、ケンポナシ、ゲンノショウコ、コウジ、コウダケ、
[抽出例1]
焙煎したコーヒー豆1kgを、超臨界抽出装置(株式会社AKICO製)に水とともに投入し、超臨界状態にしたCO2にて抽出を行い、60gの超臨界抽出オイルを得た。
この超臨界炭酸ガス抽出コーヒーオイル5gに対しプロピレングリコールを100g添加し、5分攪拌接触後、下層を分離し、濾過することにより淡褐色のコーヒーオイル抽出液80gを得た。
抽出例1で得た超臨界炭酸ガス抽出コーヒーオイル5gに対しプロピレングリコール80質量部、グリセリン10質量部、水10質量部からなる溶液を100g添加し、5分攪拌接触後、下層を分離し、濾過することにより淡褐色のコーヒーオイル抽出液80gを得た。
市販のコーヒープレスオイル(ハニー珈琲株式会社製)5gに対しプロピレングリコール80質量部、グリセリン10質量部、水10質量部からなる溶液を100g添加し、5
分攪拌接触後、下層を分離し、濾過することにより淡褐色のコーヒーオイル抽出液80gを得た。
抽出例1で得た超臨界炭酸ガス抽出コーヒーオイル5gに対しエタノール55%水溶液を100g添加し、5分攪拌接触後、下層を分離し、濾過することにより淡褐色の比較品となるコーヒーオイル抽出液90gを得た。
前記〔A〕で得られたコーヒーオイル抽出液と共にコーヒーフレーバーに含まれる、各種の香料成分及び溶剤から成るコーヒー用合成香料組成物を処方例1〜3のとおり調製した。
下記の実施例1〜3、比較例1のとおりコーヒー飲料を製造した。
[実施例1]
焙煎コーヒー豆(L値:21)を10倍量の熱水でドリップしコーヒー抽出液(Bx.1.2)を得た。
この抽出液480部(質量部:以下同じ)に、牛乳を230部、グラニュー糖50部、重曹1.2部、乳化剤1部を水にて全量を1000部に調整し、ミルクコーヒー生地を調製した。
このミルクコーヒー生地に、抽出例1のコーヒーオイル抽出液を0.1%添加し、123℃×20分の殺菌を行うことにより、本発明のコーヒー飲料を調製した。
このものは、コーヒーの香り高く、豊かな風味も持つものであった。
コーヒーオイル抽出液を抽出例2のものに替えた以外は実施例1と同様にして本発明のコーヒー飲料を調製した。
このものも、コーヒーの香り高く、豊かな風味も持つものであった。
コーヒーオイル抽出液を抽出例3のものに替えた以外は実施例1と同様にして本発明のコーヒー飲料を調製した。
このものも、コーヒーの香り高く、豊かな風味も持つものであった。
コーヒーオイル抽出液を抽出例4のものに替えた以外は実施例1と同様にして比較例1のコーヒー飲料を調製した。
このものも、コーヒーの香り高く、豊かな風味も持つものであった。
[試験例1]
実施例1、2及び比較例1のコーヒー飲料について、加温条件による保管試験を行った。保管条件は5℃冷蔵保管品を対照品とし、60℃2週間、60℃4週間で保管し虐待試
験を行った後に官能評価を行った。
評価は、保管期間が終了したコーヒー飲料に対して習熟したパネルを5名選定して官能評価を行った。コントロールとしては何も添加していないコーヒー飲料を用い、劣化臭の強さ(全体としての強さ)、発酵臭様香気(エチルエステル様)、酸臭(チーズ臭)、ロースト感を評価した。
その結果の平均値を表4に示す。
なお、表4中の評価の点数は対照品を4とし、7段階評価の段階尺度法を採用した。
(採点基準):1(弱い)、2、3、4(対照品)、5、6、7(強い)
本発明のコーヒーオイル抽出液(抽出例1、2)、及び比較品のコーヒーオイル抽出液(抽出例4)に対し、処方例1〜3のコーヒー用合成香料組成物をそれぞれ配合し、調製例1〜7のとおり各種コーヒーフレーバーを調製した。
各配合比率及びエタノール含量を表5にまとめた。
実施例1のミルクコーヒーベースに、調製例1〜4のコーヒーフレーバーをそれぞれ0.1質量%添加し、本発明のコーヒー飲料(実施例4〜7)を調製した。これらはいずれもコーヒーの香り高く、豊かな風味も持ち、かつ香ばしいロースト感を有するものであった。
実施例1のミルクコーヒーベースに、調製例5〜7のコーヒーフレーバーをそれぞれ0.1質量%添加し、比較品のコーヒー飲料(比較例2〜4)を調製した。これらもいずれもコーヒーの香り高く、豊かな風味も持ち、かつ香ばしいロースト感を有するものであった。
[試験例2]
実施例4〜7及び比較例2〜4のコーヒー飲料について、加温条件による保管試験を行った。保管条件は5℃冷蔵保管品を対照品とし、60℃2週間、60℃4週間で保管し虐待試験を行った後に官能評価を行った。評価は、保管期間が終了したコーヒー飲料に対して習熟したパネルを5名選定して官能評価を行った。
コントロールとしては何も添加していないコーヒー飲料を用い、劣化臭の強さ(全体としての強さ)、発酵臭様香気(エチルエステル様)、酸臭(チーズ臭)、ロースト感を評価した。
その結果の平均値を表6に示す。なお、表6中の評価の点数は対照品を4とし、7段階評価の段階尺度法を採用した。
(採点基準):1(弱い)、2、3、4(対照品)、5、6、7(強い)
Claims (7)
- 焙煎コーヒー豆を超臨界流体で抽出して得られたコーヒーオイル又は焙煎コーヒー豆を圧搾して得られたコーヒーオイルをプロピレングリコール又はその水溶液と接触させ、抽出して得られたコーヒーオイル抽出液を焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法。
- 焙煎コーヒー豆を超臨界流体で抽出して得られたコーヒーオイル又は焙煎コーヒー豆を圧搾して得られたコーヒーオイルをプロピレングリコール及びグリセリン及び水からなる溶液と接触させ、抽出して得られたコーヒーオイル抽出液を焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法。
- 焙煎コーヒー豆を超臨界流体で抽出して得られたコーヒーオイル又は焙煎コーヒー豆を圧搾して得られたコーヒーオイルをプロピレングリコール又はその水溶液と接触させ、抽出して得られたコーヒーオイル抽出液及び合成香料を含むコーヒーフレーバーを焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法。
- 焙煎コーヒー豆を超臨界流体で抽出して得られたコーヒーオイル又は焙煎コーヒー豆を圧搾して得られたコーヒーオイルをプロピレングリコール及びグリセリン及び水からなる溶液と接触させ、抽出して得られたコーヒーオイル抽出液及び合成香料を含むコーヒーフレーバーを焙煎コーヒー豆抽出液に添加することを特徴とする、コーヒー飲料の製造方法。
- コーヒーフレーバー中のエタノール濃度が0.01〜15質量%であることを特徴とする請求項3又は4に記載のコーヒー飲料の製造方法。
- 焙煎コーヒー豆を超臨界流体で抽出して得られたコーヒーオイル又は焙煎コーヒー豆を圧搾して得られたコーヒーオイルをプロピレングリコール又はその水溶液と接触させ、抽出して得られたコーヒーオイル抽出液を焙煎コーヒー豆抽出液に0.001〜0.1質量%添加して製造されたことを特徴とするコーヒー飲料。
- 焙煎コーヒー豆を超臨界流体で抽出して得られたコーヒーオイル又は焙煎コーヒー豆を圧搾して得られたコーヒーオイルをプロピレングリコール及びグリセリン及び水からなる溶液と接触させ、抽出して得られたコーヒーオイル抽出液を焙煎コーヒー豆抽出液に0.001〜0.1質量%添加して製造されたことを特徴とするコーヒー飲料。
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