JP5062766B2 - フラーレン誘導体を含む光電変換材料 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの太陽電池において、その光電変換素子に用いるフラーレン誘導体の合成が煩雑であることに加えて、所望の特性を充分に発揮できないという問題点があった。
[式中、R1はそれぞれ独立して置換基を有する有機基を示し、
Mは金属原子を示し、LはMの配位子であり、nはLの数である。]
で表されるフラーレン誘導体を含む、光電変換材料。
[1]において、R1はそれぞれ独立してカルボン酸基を含む有機基であることが好ましい。また、MはFeまたはRuが好ましい。
[3] [2]に記載の光電変換素子を有する、太陽電池。
[式中、R1はそれぞれ独立してカルボン酸基、リン酸基、またはホスホン酸基を有する、C1〜C30炭化水素基、C1〜C30アルコキシ基、C6〜C30アリールオキシ基、アミノ基、シリル基、アルキルチオ基(−SY1、式中、Y1は置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基を示す。)、アリールチオ基(−SY2、式中、Y2は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)、アルキルスルホニル基(−SO2Y3、式中、Y3は置換基を有してもよいC1〜C30アルキル基を示す。)またはアリールスルホニル基(−SO2Y4、式中、Y4は置換基を有してもよいC6〜C18アリール基を示す。)を示し、
Mは金属原子を示す。]
で表されるフラーレン誘導体を含む、光電変換材料。
[5]において、R1はそれぞれ独立してカルボン酸基を含む有機基であることが好ましい。また、MはFeまたはRuが好ましい。
[式中、R2はそれぞれ独立して下記式(A)
で表されるフラーレン誘導体を含む、光電変換材料。
[6]において、X1はそれぞれ独立してカルボン酸基を示すことが好ましく、nは0が好ましく、X1はパラ位にあることが好ましい。
[式中、R3はそれぞれ独立して下記式(B)
で表されるフラーレン誘導体を含む、光電変換材料。
式(B)または式(B1)において、X1はそれぞれ独立してカルボン酸基を示すことが好ましく、nとmはそれぞれ0が好ましく、X1はパラ位にあることが好ましい。
[9] [4]〜[8]のいずれかに記載の光電変換材料が自己組織化された単分子膜を有する、光電変換素子。
[10] 自己組織化された[4]〜[8]のいずれかに記載の光電変換材料の単分子膜が形成されたITO電極を有する、光電変換素子。
[11] [9]または[10]に記載の光電変換素子を有する、太陽電池。
で表されるフラーレン誘導体を含む、光電変換材料。
[14] [12]または[13]に記載の光電変換材料が自己組織化された単分子膜を有する、光電変換素子。
[15] 自己組織化された[12]または[13]に記載の光電変換材料の単分子膜が形成された金電極を有する、光電変換素子。
[16] [14]または[15]に記載の光電変換素子を有する、太陽電池。
図2は、光電変換素子を用いた光電変換のメカニズムを示す。
上述したとおり、本発明の製造方法で得られるフラーレン誘導体は、C60(R1)5(MLn)[式中、R1はそれぞれ独立して置換基を有する有機基を示し、Mは金属原子を示し、LはMの配位子であり、nはLの数である。]で表されるフラーレン誘導体であり、具体的には、上記式(1)で表されるフラーレン誘導体である。
また、Lは水素原子、Cl、Br、I等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、並びに、メチル基、エチル基等のアルキル基、カルボニル基、アルキン基またはシクロペンタジエニル基であることが好ましい。
で表される基が好ましい。ここで、式(A)および式(B)中、nとmは共に0であることが好ましい。また、R20は有機基であれば特に限定されないが、C1〜C30炭化水素基が好ましい。
で表される基であることが特に好ましく、式(B)は
で表される基であることが特に好ましい。
本発明の光電変換材料に含まれるフラーレン誘導体の製造方法は特に限定されるものではないが、たとえば、フラーレン、下記式(2)
R4X2 (2)
[式中、R4は有機基を示し;X2はハロゲン原子を示す。]
で表されるハロゲン化有機化合物(A)、
下記式(3)
R5MgX3 (3)
[式中、R5は有機基を示し;X3はハロゲン原子を示す。]
で表されるグリニャール試薬(B)、および、1価もしくは2価の銅化合物から調製される有機銅試薬(C)を反応させてフラーレン誘導体を合成することができる。
本発明のフラーレン誘導体の製造方法に用いられるフラーレンは、たとえば、フラーレンC60(いわゆる「バックミンスター・フラーレン」)が挙げられる。
本発明の製造方法で用いられるハロゲン化有機化合物(A)は上記式(2)で表される。
(2)式中、R4は有機基であれば特に限定されるものではないが、たとえば、置換基を有していてもよいC1〜C20炭化水素基、置換基を有していてもよいC1〜C20アルコキシ基、置換基を有していてもよいC6〜C20アリールオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基(−SY1、式中、Y1は置換基を有していてもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールチオ基(−SY2、式中、Y2は置換基を有していてもよいC6〜C18アリール基を示す。)、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基(−SO2Y3、式中、Y3は置換基を有していてもよいC1〜C20アルキル基を示す。)、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基(−SO2Y4、式中、Y4は置換基を有していてもよいC6〜C18アリール基を示す。)を示す。
(2)式中、X2はハロゲン原子を示す。X2はハロゲン原子の中でも、Cl、BrまたはIが好ましい。
本発明の製造方法で用いられるグリニャール試薬(B)は上記式(3)で表される。
(3)式中、R5はグリニャール試薬の調整が可能な不活性置換基を有する有機基であれば特に限定されるものではない。上記置換基としては、たとえば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基またはアリール基が挙げられる。
(3)式中、X3はハロゲン原子を示す。X3はハロゲン原子の中でも、Cl、BrまたはIが好ましい。
本発明の製造方法で用いられる有機銅試薬(C)は、1価または2価の銅化合物から調整されたものであれば、特に限定されるものではない。これらの中でも、精製が容易で純度を高めることができる点から、有機銅試薬としてCuBr・S(CH3)2を用いることが好ましい。
また、有機銅試薬の安定化や溶解度を向上させること等を目的として、場合により、N,N−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)や、N−ブチルピロリドン(NBT)などの添加剤を適時用いることもできる。
通常、ハロゲン化有機化合物(A)、グリニャール試薬(B)および有機銅試薬(C)は、フラーレンに対して5〜50当量、好ましくは10〜20当量用いられる。
また、本件発明の製造方法に用いられるハロゲン化有機化合物(A)とグリニャール試薬(B)との混合比(モル比)は1:0.8〜1:1の範囲が好ましく、グリニャール試薬(B)と有機銅試薬(C)との混合比(モル比)は1:0.8〜0.8:1の範囲が好ましい。
高純度のフラーレン誘導体を合成するためには、グリニャール試薬に対してハロゲン化有機化合物と有機銅試薬をやや過剰に用いることが好ましい。
本発明の光電変換材料に含まれるフラーレン誘導体の製造方法における、フラーレン、ハロゲン化有機化合物(A)、グリニャール試薬(B)および有機銅試薬(C)の反応は、一般的には、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロベンゼン、またはそれらの混合溶媒などの不活性溶媒中で行われる。
当該反応は−70℃〜70℃の温度範囲で行われることが好ましく、−50℃〜50℃の温度範囲で行われることがさらに好ましい。
また、反応時間は用いられる溶媒や温度等に依存するが、一般的には、通常、数分〜5時間、好ましくは10分〜4時間程度で行われる。
このようにして得られたフラーレン誘導体において、フラーレン骨格に直接結合する水素原子を金属原子または金属含有基に置換することにより、金属錯体を有するフラーレン誘導体を合成できる。置換は、公知の方法で行うことができるが、たとえば、フラーレン誘導体を有機溶媒に溶解させて有機金属(たとえば[CpFe(CO)2]2や[RuCp(CH3CN)3][PF6]等)を加えて反応させることによって行われる。
本発明の光電変換材料に含まれるフラーレン誘導体の合成反応の反応系からフラーレン誘導体を単離する方法は、特に限定されないが、たとえば反応液をそのままシリカゲルカラムに通すことによって、無機物等の副生成物を除くことによって行われる。必要に応じて、単離した物質について、HPLCや通常のカラムクロマトグラフィー等で更に精製し、フラーレン誘導体の純度を向上させてもよい。
上記本発明のフラーレン誘導体合成反応によってフラーレン骨格に付加された置換基を変換することができる。
たとえば、カルボキシル基が付加されたフラーレン誘導体は、上記フラーレン誘導体合成反応によって得られた、エステル基が置換基として付加されたフラーレン誘導体にNaHやNaOH等の塩基を添加して処理し、エステル基をカルボキシル基に変換することによって得ることができる。
本発明の光電変換素子は、支持体の上に前記光電変換材料が自己組織化された単分子膜が形成された構成を有する。
本発明の光電変換素子に用いられる支持体には、金属板のような導電性材料や、ガラス板やプラスチックフイルムのような非導電性材料に導電性物質を設けた構造のものを用いることができる。支持体に用いられる材料の例としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)あるいは導電性金属酸化物(例えばインジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)や炭素を挙げることができる。支持体の厚さは特に制約されないが、0.3mm〜5mmが好ましい。
支持体の表面抵抗は、50Ω/cm2以下であることが好ましく、10Ω/cm2以下であることがさらに好ましい。
本発明の自己組織化された単分子膜は、当該膜を構成するフラーレン誘導体の一部を電極等の支持体の表面に結合させたものである。
基板としてITO電極を用いる場合も、金電極と全く同じ手法により、表面がアニオン性またはカチオン性になるように処理することができる。
本発明の太陽電池は、上記光電変換素子を含む太陽電池であれば特に限定されるものではないが、たとえば、本発明の光電変換素子の単分子膜上に電荷移動層が積層され、この電荷移動層上にさらに対向電極が形成された電池が挙げられる。
また、本発明において用いられる電荷移動層の具体例としては、メチルビオロゲンを溶存させた硫酸ナトリウム水溶液である液体電解質が挙げられる。
本発明の光電変換素子を用いた光電変換のメカニズムを、図1および図2に基づいて説明する。
図1を用いて、Fe原子を含むフラーレン誘導体の単分子膜がITO電極上に形成された光電変換素子で、カソード電流が流れる一例を説明する。まず、外部から照射される光エネルギー(hv)はFe原子を含むバッキーメタロセン誘導体で吸収されると、当該誘導体中のメタロセン(Fe)部位がフラーレン部位に電子を供与し(図1−1)、分子内電荷分離状態が生じる(図1−2)。その後、電荷移動層を構成する酸素とメチルビオロゲン(MV2+)を溶存させた電解質溶液にフラーレ誘導体のLUMOに入った電子(e-)を供与すると共に、ITO電極がメタロセン(Fe)部位に電子(e-)を供与する(図1−3)。その結果、カソード電流が発生し、当該太陽電池に接続された回路に電流が流れることになる。 図2を用いて、Ru原子を含むフラーレン誘導体の単分子膜がITO電極上に形成された光電変換素子で、アノード電流が流れる一例を説明する。まず、外部から照射される光エネルギー(hv)がRu原子を含むバッキーメタロセン誘導体で吸収されると、電荷移動層を構成するアスコルビン酸(ASA)がフラーレンに電子(e-)を供与し、フラーレン誘導体のLUMOに入った電子(e-)がITO電極に供与される。その結果、アノード電流が発生し、太陽電池に接続された回路に電流が流れることになる。
窒素雰囲気下において、2.0gのフラーレンC60を90mLのオルトジクロロベンゼンに溶解させ、ハロゲン化有機化合物(A)として15当量のエトキシカルボニルメチル亜鉛臭化物試薬BrZnCH2CO2EtのTHF溶液(濃度約0.7M)、銅化合物(B)として15当量の臭化銅(I)ジメチルスルフィド錯体CuBr・S(CH3)2、および15当量のN,N−ジメチルイミダゾリジノン(4.75g)を加えて25℃で反応を行い、2.5時間後、2.0mLの飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止した。反応生成物を10mLの脱気したトルエンを加えて希釈し、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスを通して副生する亜鉛塩等を除去した。溶媒を留去して、メタノール100mLを加えて再沈して得られた固体をろ過後、メタノールで洗浄して2.94gの5重付加体C60(C6H2COOEt−4)5Hを得た(単離収率92%)。
1H NMR (CDCl3) δ 5.16 (s, 1H, CpH), 4.28 (q, J = 7.16 Hz, 2 H), 4.25 (q, J = 7.16 Hz, 4 H), 4.22 (q, J = 7.16 Hz, 4 H), 3.71 (s, 2 H), 3.69 (d, J = 14.3 Hz, 1 H), 3.61 (d, J = 14.6 Hz, 1 H), 3.54 (d, J = 14.6 Hz, 1 H), 3.50 (d, J = 14.3 Hz, 1 H), 1.29 (t, J = 7.16 Hz, 3 H) , 1.28 (t, J = 7.16 Hz, 6 H) , 1.24 (t, J = 7.16 Hz, 6 H).
13C NMR (CDCl3) δ 171.32, 170.49, 169.91, 155.17 (2C), 153.34 (2C), 152.15 (2C), 150.57 (2C), 148.59 (2C), 148.55 (2C), 148.24 (2C), 148.04 (2C), 148.00 (1C), 147.87 (2C), 147.63 (2C), 147.04 (2C), 146.92 (2C), 146.85 (1C), 146.52 (2C), 145.48 (2C), 145.13 (2C), 145.03 (2C), 144.56 (2C), 144.13 (2C), 144.01 (2C), 143.86 (2C), 143.85 (2C), 143.78 (2C), 143.69 (2C), 143.69 (2C), 143.57 (2C), 142.75 (2C), 61.23 (1C, CH2CH3), 61.18 (2C, CH2CH3), 61.14 (2C, CH2CH3), 57.56 (1C), 53.79 (2C), 52.39 (1C), 51.55 (2C), 44.58 (3C, CCO2), 44.09 (2C, CO2), 14.26 (2C CH3CH3), 14.22 (3C, CH2CH3).
合成例1で得られたC60(C6H4COOEt−4)5H(292mg,0.200mmol)をベンゾニトリル(40mL)に溶解させ、[FeCp(CO)2]2(355mg,1.00mmol)を加えて180℃で48時間加熱撹拌した。冷却後、展開溶媒をトルエンとしたシリガゲルクロマトグラフィーショートパスを通して副生物の金属塩等を除去した。溶媒を留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにて単離し、176mgのFeC60(C6H4COOEt−4)5Cpを得た(単離収率55.5%)。
IR (powder, cm-1): 2977 (νC-H), 1713 (s, νC=O), 1607 (s), 1268 (s), 1100 (s), 1019 (s), 752 (s), 696 (s).
APCI-MS (-): m/z 1586 (M-). APCI-HRMS (-): calcd for C110H50FeO10 (M-) 1586.2753, found 1586.2792.
次に、得られたFeC60(C6H4COOEt−4)5Cp(15.8mg,0.0100mmol)を、トルエン(5mL)に溶解させ水酸化ナトリウムのメタノール溶液(0.5M,0.20mL,0.10mmol)を加え60℃ にて30分間撹拌した。冷却後、析出した沈殿物をろ過し、ヘキサンで洗浄した。この固体を1N塩酸(2mL)で処理し、水洗後乾燥させることにより、下記式(20)に示されるFeC60(C6H4COOH−4)5Cpの固体15.0mgを得た(収率95.0%)。
IR (powder, cm-1): 3222 (br, νO-H), 2921 (νC-H), 2850 (m), 1720 (s, νC=O), 1607 (s), 1275 (s, νC-O), 1208 (s).
APCI-MS (-): m/z 1446 (M-). APCI-HRMS (-): calcd for C100H29FeO10 (M- - H) 1445.1110, found 1445.1101.
合成例1で得られたC60(C6H4COOEt−4)5H (100 mg,0.0682mmol) をTHF(5mL)に溶解させ、1.0 M のt−BuOK THF溶液(0.0700 mL,0.0700mmol)とRuCp(CH3CN)3(30.0mg,0.0691 mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、展開溶媒をトルエンとしたシリガゲルクロマトグラフィーショートパスを通して副生物の金属塩等を除去した。溶媒を留去し、HPLCにて13.0mgのRuC60(C6H4COOEt−4)5Cpを得た(単離収率11.1%)。
1H NMR (CDCl3): δ1.45 (t, J = 7.45 Hz, 15H, CH3), 3.64 (s, 5H, Cp), 4.44 (q, J = 6.90 Hz, 10H, CH2), 7.75 (d, J = 8.00 Hz, 10H, ArH), 7.93 (d, J = 8.60 Hz, 10H, ArH). 13C NMR (CDCl3): ( 14.37 (5C, CH3), 58.04 (5C, C60(sp3)), 61.38 (5C, CH2), 77.86 (5C, Cp), 98.93 (5C, C60(CCp)), 128.19 (10C, Ar), 128.55 (5C, Ar), 129.07 (10C, Ar), 130.03 (5C, Ar), 143.44 (10C, C60), 143.91 (10C, C60), 147.46 (5C, C60), 148.06 (5C, C60), 148.25 (10C, C60), 148.65 (5C, C60), 151.80 (5C, C60), 166.05 (5C, CO2Et).
APCI-MS(-): m/z 1632 (M-)
APCI-HRMS(-): calcd for C100H50RuO10 (M-H+) 1632.2447, found 1632.2420.
得られたRuC60(C6H4COOEt−4)5Cp(22.8mg,0.0140mmol)をトルエン(7mL)に溶解させ、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(0.5M,0.28 mL,0.14mmol)を加え60℃にて30分間撹拌した。冷却後、析出した沈殿物をろ過し、ヘキサンで洗浄した。この固体を1N塩酸(2mL)で処理し、水洗後乾燥させることにより、下記式(21)に示されるRuC60(C6H4COOH−4)5Cpの固体17.0mgを得た(収率81.6%)。
1H NMR (THF-d8): δ3.77 (s, 5H, Cp), 7.84 (d, J = 8.60 Hz, 10H, ArH), 7.98 (d, J = 8.00 Hz, 10H, ArH), 11.56 (s, 5H, COOH). 13C NMR (THF-d8): ( 59.36 (5C, C60(sp3)), 78.85 (5C, Cp), 100.10 (5C, C60(CCp)), 128.87 (10C, Ar), 129.57 (10C, Ar), 129.64 (5C, Ar), 130.09 (5C, Ar), 131.71 (10C, C60), 144.25 (10C, C60), 145.10 (5C, C60), 148.41 (5C, C60), 149.16 (10C, C60), 149.48 (5C, C60), 153.27 (5C, C60), 167.01 (5C, CO2H). APCI-MS(-): m/z 1491 (M-)
APCI-HRMS(-): calcd for C100H29RuO10 (M-H+) 1491.0895, found 1491.0889.
C60(BiPhCOOEt−4)5H(292mg,0.200mmol)にベンゾニトリル(40mL)を溶解させ、[FeCp(CO)2]2(355mg, 1.00mmol)を加え180 ℃で48時間加熱撹拌した。冷却後、展開溶媒をトルエンとしたシリガゲルクロマトグラフィーショートパスを通して副生物の金属塩等を除去した。溶媒を留去し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにて176mgのFeC60(BiPhCOOEt−4)5Cpを得た(単離収率55.5%)。
1H NMR (CDCl3): δ1.47 (t, J = 7.00 Hz, 15H, CH3), 3.24 (s, 5H, Cp), 4.45 (q, J = 6.85 Hz, 10H, CH2), 7.95 (d, J = 8.05 Hz, 10H, ArH), 8.04 (d, J = 8.00 Hz, 10H, ArH). 13C NMR (CDCl3): ( 14.36 (5C, CH3), 58.24 (5C, C60(sp3)), 61.32 (5C, CH2), 73.52 (5C, Cp), 92.12 (5C, C60(CCp)), 128.82 (10C, Ar), 129.01 (5C, Ar), 129.41 (10C, Ar), 130.13 (5C, Ar), 143.16 (10C, C60), 143.53 (10C, C60), 147.25 (5C, C60), 147.32 (5C, C60), 147.98 (10C, C60), 148.31 (5C, C60), 151.75 (5C, C60), 165.91 (5C, CO2Et).
APCI-MS (-): m/z1966 (M-), 1845 (M-FeCp).APCI-HRMS (-): calcd for C140H70FeO10(M-)1966.4318, found1966.4281.
得られたFeC60(BiPhCOOEt−4)5Cp(15.8mg,0.0100mmol)をトルエン(5mL)に溶解させた後、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(0.5M,0.20mL,0.10mmol)を加え60℃にて30分間撹拌した。冷却後、析出した沈殿物をろ過し、ヘキサンで洗浄した。この固体を1N塩酸(2mL)で処理し、水洗後乾燥させることにより下記式(22)に示されるFeC60(BiPhCOOH−4)5Cpの固体15.0mgを得た(収率95.0%)。
1H NMR (THF-d8): δ3.36 (s, 5H, Cp), 8.05 (d, J = 8.40 Hz, 10H, ArH), 8.08 (d, J = 8.40 Hz, 10H, ArH), 11.63 (s, 5H, COOH). 13C NMR (THF-d8): ( 59.55 (5C, C60(sp3)), 74.57 (5C, Cp), 93.41 (5C, C60(CCp)), 130.02 (10C, Ar), 130.24 (10C, Ar), 130.46 (5C, Ar), 131.29 (5C, Ar), 144.19 (10C, C60), 144.83 (10C, C60), 148.26 (5C, C60), 148.36 (5C, C60), 149.16 (10C, C60), 149.43 (5C, C60), 153.25 (5C, C60), 166.44 (5C, CO2H).
APCI-MS (-): m/z1826 (M-).
C60(BiPhCOOEt−4)5H (146 mg,0.0789 mmol) をTHF(7mL)に溶解させ、1.0 M のt−BuOK THF溶液(0.0813 mL,0.0813mmol)とRuCp(CH3CN)3(34.6mg,0.0796 mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、展開溶媒をトルエンとしたシリガゲルクロマトグラフィーショートパスを通して副生物の金属塩等を除去した。溶媒を留去し、HPLCにて51.8mgのRuC60(BiPhCOOEt−4)5Cpを得た(単離収率33%)。
1H NMR (CDCl3): δ1.33 (t, J = 6.88 Hz, 15H, CH3), 3.69 (s, 5H, Cp), 4.32 (q, J = 6.88 Hz, 10H, CH2), 7.45 (d, J = 8.24 Hz, 10H, Ar), 7.60 (d, J = 8.24 Hz, 10H, Ar), 7.77 (d, J = 8.24 Hz, 10H, Ar), 8.30 (d, J = 8.24 Hz, 10H, Ar). 13C NMR (CDCl3): ( 14.32 (5C, CH3), 58.05 (5C, C60(sp3)), 61.05 (5C, CH2), 77.54 (5C, Cp), 99.46 (5C, C60(CCp)), 126.39, 126.91, 129.43, 129.59, 130.14, 139.40, 143.40, 143.68, 144.12, 144.26, 147.40, 166.31 (5C, CO2Et).
APCI-HRMS (-): calcd for C140H70RuO10(M-)2012.40124, found2012.40985.
得られたRuC60(BiPhCOOEt−4)5Cp(47.2mg,0.024mmol)をトルエン(10mL)に溶解させ、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(0.5 M,0.47 mL,0.24mmol)を加え60℃にて1時間撹拌した。冷却後、析出した沈殿物をろ過し、ヘキサンで洗浄した。この固体を1N塩酸(3mL)で処理し、水洗後乾燥させることにより、下記式(23)に示されるRuC60(BiPhCOOH−4)5Cpの固体35.3mgを得た(収率81%)。
1H NMR (THF-d8): δ3.95 (s, 5H, Cp), 7.72 (d, J = 8.24 Hz, 10H, ArH), 7.81 (d, J = 8.24 Hz, 10H, ArH), 7.95 (d, J = 8.24 Hz, 10H, ArH). 13C NMR (THF-d8): ( 59.21 (5C, C60(sp3)), 78.52 (5C, Cp), 100.30, 127.23, 127.55, 130.28, 130.63, 130.90, 140.36, 144.15, 144.29, 144.76, 145.21,148.33, 149.07, 149.34, 153.62, 167.28 (5C, CO2H).
APCI-HRMS(-): calcd for C140H50RuO10 (M-H+) 1872.2247, found 1872.2492.
下記スキーム3(Scheme3)に示すように、窒素雰囲気下において、106mgのC60(CH3)5Hを5mLのTHFに溶解させ、1当量のt−BuOKのTHF溶液を加え、続いて2当量の3−トリメトキシシリルプロピルクロリドを加え、45℃で24時間反応させた。その後、反応混合物を室温に戻し、0.2mLの塩化アンモニウム水溶液を加えることで反応をクエンチした。300mLのメタノールを加え、再沈して得られた固体をろ過した後、メタノールで洗浄して、128mgのC60(CH3)5C3H6Si(OCH3)3を得た(単離収率88%)。
合成例2で得られたフラーレン誘導体FeC60(C6H4COOH−4)5Cpの0.1mM THF溶液に、透明ガラススライド表面にITOを10Ω/sqになるようにITO蒸着したITO電極を23℃で72時間浸漬させ、ITO上に自己組織化された単分子膜を作製し、これによって、光電変換素子が得られた。
(Fはファラデー定数:96500Cmol-1)
Γ=9.7μCcm-2/96500Cmol-1=0.1nmolcm-2
フラーレン誘導体として合成例3で得られた誘導体RuC60(C6H4COOH−4)5Cpを用いた他は、実施例1と同様にして、ITOに自己組織化単分子膜を作製し、光電変換素子を製造した。さらに、実施例1と同様に電極上に固定された分子の数(Γ)を測定したところ0.1nmolcm-2であった。
フラーレン誘導体として合成例4で得られた誘導体FeC60(BiPhCOOH−4)5Cpを用いた他は、実施例1と同様にして、ITOに自己組織化単分子膜を作製し、光電変換素子を製造した。さらに、実施例1と同様に電極上に固定された分子の数(Γ)を測定したところ0.08nmolcm-2であった。
フラーレン誘導体として合成例5で得られた誘導体RuC60(BiPhCOOH−4)5Cpを用いた他は、実施例1と同様にして、ITOに自己組織化単分子膜を作製し、光電変換素子を製造した。さらに、実施例1と同様に電極上に固定された分子の数(Γ)を測定したところ0.08nmolcm-2であった。
フラーレン誘導体として合成例6で得られた誘導体C60(CH3)5C3H6Si(OCH3)3を用いた他は、実施例1と同様にして、ITOに自己組織化単分子膜を作製し、光電変換素子を製造した。さらに、実施例1と同様に電極上に固定された分子の数(Γ)を測定したところ0.24nmolcm-2であった。
作用極として実施例1で得られたFeC60(C6H4COOH−4)5Cpが自己組織化された単分子膜が積層された光電変換素子を、対極として白金線を、これらの2つの極を0.1モル硫酸ナトリウムを含む水溶液に電子受容体として酸素(O2)とメチルビオローゲン(MV2+)とを溶存させた電解質溶液中で対向させて配置し、本発明の太陽電池を製造した。この際、当該電解質溶液が2つの極の間に存し電荷移動層として機能している。
そして、参照電極としてAg/AgCl電極を用いて、25℃の条件下で、前記太陽電池について光電流測定実験を行った。
量子収率(φ)=(i/e)/[I(1−10-A)]×100(%)
ここで、I=(Wλ/hc)であり、単位時間、単位面積あたりのフォトン数(8.2×1014WJ)を、iは光電流(A)を、Aはλnmにおける吸光度を表す。なお、eは電気素量(C)=1.60×10-19C、Wは実験に用いたλnmにおける光照射パワー(W)=407×10-6W、λは実験に用いた光照射波長(m)=400nm、hはプランク定数(Js)=6.63×10-34Js、cは光速(ms-1)=3.00×108ms-1 を表す。
また、波長が400nm〜600nmの光を照射したときの光電流スペクトルと、FeC60(C6H4COOH−4)5CpのTHF溶液中での吸収スペクトルとがほぼ同じ形状を示した。これによって、FeC60(C6H4COOH−4)5Cpが光電流変換の活性中心であることが確認された。
作用極として実施例2で得られたRuC60(C6H4COOH−4)5Cpが自己組織化された単分子膜が積層された光電変換素子を、対極として白金線を、これらの2つの電極を0.1モル硫酸ナトリウムを含む水溶液に電子供与体としてアスコルビン酸(AsA)を溶存させた電解質溶液中で対向させて配置し、本発明の太陽電池を製造した。この際、当該電解質溶液が2つの極の間に存し電荷移動層として機能している。
また、作用極の電位を0Vに設定して、波長400nm、強度407μWのXeランプからの単色光を当該太陽電池に照射すると、アノード電流が観測された。この際の吸光度(A)は、2.90×10-4で、光電流(i)は44.0×10-9Aであった。また、ITO上の化合物によって吸収された光子の数に対する流れた電子数の割合を表す量子収率(φ)を上記式にしたがって求めたところその値は、50%であった。
作用極の電位を0.1Vに設定してバイアス電圧をかけたときの光電流(i)は88.0×10-9Aであった。このときの量子収率(φ)は100%であった。
実施例3の光電変換素子を用いた他は、実施例5と同様に本発明の太陽電池を製造した。
また、実施例5と同様に、作用極の電位を0Vに設定して、波長400nm、強度407μWのXeランプからの単色光を当該太陽電池に照射すると、カソード電流が観測された。この際の吸光度(A)は、1.9×10-4で、光電流(i)は12.0×10-9Aであった。また、ITO上の化合物によって吸収された光子の数に対する流れた電子数の割合を表す量子収率(φ)を上記式にしたがって求めたところその値は、21%であった。
作用極の電位を−0.12Vに設定してバイアス電圧をかけたときの光電流(i)は21.2×10-9Aであった。このときの量子収率(φ)は37%であった。
実施例4の光電変換素子を用いた他は、実施例6と同様に本発明の太陽電池を製造した。
また、実施例6と同様に、作用極の電位を0Vに設定して、波長400nm、強度407μWのXeランプからの単色光を当該太陽電池に照射すると、アノード電流が観測された。この際の吸光度(A)は、1.87×10-4で、光電流(i)は28.0×10-9Aであった。また、ITO上の化合物によって吸収された光子の数に対する流れた電子数の割合を表す量子収率(φ)を上記式にしたがって求めたところその値は、50%であった。
作用極の電位を0.1Vに設定してバイアス電圧をかけたときの光電流(i)は47.0×10-9Aであった。このときの量子収率(φ)は83%であった。
実施例4の光電変換素子を用いた他は、実施例5と同様に本発明の太陽電池を製造した。
また、実施例5と同様に、作用極の電位を0Vに設定して、波長400nm、強度407μWのXeランプからの単色光を当該太陽電池に照射すると、カソード電流が観測された。この際の吸光度(A)は、1.87×10-4で、光電流(i)は19.0×10-9Aであった。また、ITO上の化合物によって吸収された光子の数に対する流れた電子数の割合を表す量子収率(φ)を上記式にしたがって求めたところその値は、34%であった。
作用極の電位を−0.15Vに設定してバイアス電圧をかけたときの光電流(i)は32.3×10-9Aであった。このときの量子収率(φ)は57%であった。
比較例1の光電変換素子を用いた他は、実施例6と同様に太陽電池を製造した。
また、実施例6と同様に、作用極の電位を0Vに設定して、波長400nm、強度407μWのXeランプからの単色光を当該太陽電池に照射すると、アノード電流が観測された。この際の吸光度(A)は、5.18×10-4で、光電流(i)は4.4×10-9Aであった。また、ITO上の化合物によって吸収された光子の数に対する流れた電子数の割合を表す量子収率(φ)を上記式にしたがって求めたところその値は、2.8%であった。
作用極の電位を0.07Vに設定してバイアス電圧をかけたときの光電流(i)は12.8×10-9Aであった。このときの量子収率(φ)は8.2%であった。
Claims (14)
- 下記式(1)
[式中、R1はそれぞれ独立してカルボン酸基、リン酸基、またはホスホン酸基を有する、C 1 〜C 30 アルキル基、C 2 〜C 30 アルケニル基、C 2 〜C 30 アルキニル基、C 4 〜C 30 アルキルジエニル基、C 6 〜C 18 アリール基、C 7 〜C 30 アルキルアリール基、C 7 〜C 30 アリールアルキル基、C 4 〜C 30 シクロアルキル基またはC 4 〜C 30 シクロアルケニル基を示し、
Mは8〜10族の遷移金属原子を示し、
LはMの配位子であって、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、カルボニル基、アルキン基またはシクロペンタジエニル基であり、
nはLの数である。]
で表されるフラーレン誘導体を含む、光電変換材料。 - 請求項1に記載の光電変換材料が自己組織化された単分子膜を有する、光電変換素子。
- 請求項2に記載の光電変換素子を有する、太陽電池。
- 下記式(10)
[式中、R1はそれぞれ独立してカルボン酸基、リン酸基、またはホスホン酸基を有する、C 1 〜C 30 アルキル基、C 2 〜C 30 アルケニル基、C 2 〜C 30 アルキニル基、C 4 〜C 30 アルキルジエニル基、C 6 〜C 18 アリール基、C 7 〜C 30 アルキルアリール基、C 7 〜C 30 アリールアルキル基、C 4 〜C 30 シクロアルキル基またはC 4 〜C 30 シクロアルケニル基を示し、
Mは8〜10族の遷移金属原子を示す。]
で表されるフラーレン誘導体を含む、光電変換材料。 - 下記式(11)
[式中、R2はそれぞれ独立して下記式(a)
(式中、X1はカルボン酸基、リン酸基、またはホスホン酸基を示す。)で表される基であり、Mは8〜10族の遷移金属原子を示す。]
で表されるフラーレン誘導体を含む、光電変換材料。 - 下記式(12)
[式中、R3はそれぞれ独立して下記式(b)
(式中、X1はカルボン酸基、リン酸基、またはホスホン酸基を示す。)で表される基であり、Mは8〜10族の遷移金属原子を示す。]
で表されるフラーレン誘導体を含む、光電変換材料。 - MがFeまたはRuを示す請求項4〜6のいずれかに記載の光電変換材料。
- 請求項4〜7のいずれかに記載の光電変換材料が自己組織化された単分子膜を有する、光電変換素子。
- 自己組織化された請求項4〜7のいずれかに記載の光電変換材料の単分子膜が形成されたITO電極を有する、光電変換素子。
- 請求項8または9に記載の光電変換素子を有する、太陽電池。
- 下記式(10)
[式中、R1はそれぞれ独立してチオール基またはジスルフィド基を有する、C 1 〜C 30 アルキル基、C 2 〜C 30 アルケニル基、C 2 〜C 30 アルキニル基、C 4 〜C 30 アルキルジエニル基、C 6 〜C 18 アリール基、C 7 〜C 30 アルキルアリール基、C 7 〜C 30 アリールアルキル基、C 4 〜C 30 シクロアルキル基またはC 4 〜C 30 シクロアルケニル基を示し、
Mは8〜10族の遷移金属原子を示す。]
で表されるフラーレン誘導体を含む、光電変換材料。 - 請求項11に記載の光電変換材料が自己組織化された単分子膜を有する、光電変換素子。
- 自己組織化された請求項11または12に記載の光電変換材料の単分子膜が形成された金電極を有する、光電変換素子。
- 請求項12または13に記載の光電変換素子を有する、太陽電池。
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