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JP5081119B2 - エレベーターの制動装置 - Google Patents
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本発明は、エレベーターの制動装置に係り、特に、アクチュエータを用いて昇降速度が所定値を超えたとき、または、昇降体が未制御状態で走行した際にこの昇降体を制動するエレベーターの制動装置に関する。
アクチュエータを用いて昇降体を制動するものとして、弾性力に抗する作動力を有し、所定の条件で電源遮断されるアクチュエータと、このアクチュエータの電源遮断に応じて弾性力によりガイドレールに摺接して昇降体を減速停止する制動子とを備えたものがある。そして、このようなアクチュエータを用いた装置を、昇降速度が所定値を超えたとき、または、昇降体が未制御状態で走行した際に昇降体を制動するものとして適用することが挙げられている。
しかし、このような装置では、制動子を弾性力によりガイドレールに摺接して昇降体を停止させるために、一定以上の弾性力を設定する必要がある一方、昇降体の通常走行のために弾性力が常時負荷された制動子を開放状態に保持するため、アクチュエータは弾性力に抗する作動力を有する必要があり、したがって、アクチュエータの容量を大きなものとすることを要し、ひいては装置の大型化や設置費用の増加を招くという問題があった。また、弾性力に抗する吸引力を有したアクチュエータとしても、制動子とガイドレールの間隙を十分に確保しようとすると、更にアクチュエータの容量を大きなものとする必要があった。
そこで、ガイドレールに押し付けられたときの摩擦力により、昇降体の下降移動時には上方に移動し、上昇移動時には下方に移動する楔状の制動子と、V字の側面形状をなすように2つの斜面が形成され、制動子をガイドレールとの間で挟み込むくわえ金とを設けるとともに、アクチュエータの通電遮断時に連結棒を介して制動子を制動位置方向に移動させる作動用弾性体と、ガイドレールに摺接した制動子に押圧力を付与し適切な制動力を得る制動用弾性体とを独立して設けた構造とすることで、作動用弾性体の弾性力を小さくすることを可能とし、ひいてはアクチュエータの容量を小さなものとすることが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−277013号公報(段落番号0029〜0035、図5)
しかしながら、前述した従来のものでは、連結棒の一端にアクチュエータ、その他端に制動子が取付けられる構造であり、昇降体の両側にあって制動装置の制動時に制動子がガイドレールとくわえ金との間で挟み込まれた際の反力は、昇降体をガイドレールから離れる方向に押圧するもの、およびガイドレールを昇降体から離れる方向に押圧するものとなり、昇降体を歪めたり、ガイドレールの取付け位置をずらしたりする要因となり、好ましいものではなかった。
また、可動する制動子が片側にしか設置されていないため、必要となる制動力を発揮するためには、制動用弾性体のたわみを確保するために装置が大型化するといった問題があった。また制動用弾性体をばね定数の高いものとし、たわみ量が少なくとも必要な制動力を確保する手段もあるが、この場合、微小なたわみ量変化が制動力に大きな影響を及ぼすことから、各部寸法管理を厳しくする必要があった。
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、作動用弾性体と制動用弾性体とを独立したものにしつつ、制動時に生じる反力が他の機器に影響を及ぼすことを防ぐことができるとともに、必要となる制動力を発揮するにあたり、小型で低コスト化が可能となるエレベーターの制動装置を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、ガイドレールにより案内される昇降体に設けられたエレベーターの制動装置において、互いに対向するように対となって配置されるとともに、軸を介して回動可能に設けられる制動用アームと、これらの制動用アーム間に介設される制動用弾性体と、互いに対向するように対となって配置されるとともに、軸を介して回動可能に設けられる作動用アームと、これらの作動用アーム間に介設される作動用弾性体およびアクチュエータと、前記制動用アームおよび前記作動用アームのそれぞれの端部により支持されるとともに、前記ガイドレールに押し付けられたときの摩擦力により、昇降体の下降移動時には上方に移動し、上昇移動時には下方に移動する対となる制動子を有してなる制動部とを備えたことを特徴としている。
このように構成した本発明の請求項1に係る発明では、アクチュエータの通電を遮断することで、作動用アーム間に介設される作動用弾性体の弾性力により対となる制動子がガイドレールを挟持するようにして押し付けられるとともに、このときの摩擦力により制動子は、昇降体の下降移動時には上方に移動し、上昇移動時には下方に移動する。この状態で制動用アーム間に介設される制動用弾性体の弾性力により適切な押圧力で制動子がガイドレールに押し付けられ制動力を得る。そして、制動子がガイドレールに押し付けられる際の反力は対となる制動用アームを回動させるものとなるとともに、この反力は制動用アーム間に介設される制動用弾性体により吸収されることから、制動時に生じる反力が他の機器に影響を及ぼすことはない。また、制動用弾性体と作動用弾性体とを独立して設けた構造とすることで、作動用弾性体の弾性力を小さくすることを可能とし、ひいてはアクチュエータの容量を小さなものとすることができる。
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記制動部は、反制動面にV字の側面形状をなすように2つの斜面が形成された前記制動子と、前記作動用アームの端部により支持され、前記制動子のそれぞれの斜面と概略平行となる2つの斜面が形成される作動用斜面体と、前記制動用アームの端部により支持され、前記制動子のそれぞれの斜面と概略平行となる2つの斜面が形成される制動用斜面体とを備えてなることを特徴としている。
このように構成した本発明の請求項2に係る発明では、アクチュエータの通電遮断により作動用弾性体の弾性力により作動用斜面体がガイドレール方向に移動することで制動子がガイドレールに押し付けられ、これに応じて反制動面にV字の側面形状をなすように2つの斜面が形成された制動子は、作動用斜面体の斜面および制動用斜面体の斜面に沿って、昇降体の下降移動時には上方に移動し、上昇移動時には下方に移動する。そして、制動子は制動用斜面体を介して制動用弾性体の弾性力により適切な押圧力でガイドレールに押し付けられ制動力を得る。これによって、円滑な制動動作を実現するとともに、確実に必要な制動力を得ることができる。
本発明によれば、アクチュエータの容量を小さなものとしつつ、制動時に生じる反力が他の機器に影響を及ぼすことを防ぐことができる。これによって、装置の小型化および低コスト化を図ることができるとともに、エレベーター機器を高精度の状態に保ち、信頼性の高いものとすることができる。
以下、本発明に係るエレベーターの制動装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は本発明の制動装置が設置される位置を示すエレベーターの概略構成図、図2は本発明に係るエレベーターの制動装置の一実施形態を示す要部概略上面図、図3は本実施形態における制動装置の要部正面概略図、図4は制動子をガイドレールに当接させたときの状態を示す要部正面概略図、図5は制動子をガイドレールに当接させたときの状態を示す要部概略上面図、図6は異常下降移動時に制動子をガイドレールに押圧しているときの状態を示す要部正面概略図、図7は制動子をガイドレールに押圧しているときの状態を示す要部概略上面図、図8は異常上昇移動時に制動子をガイドレールに押圧しているときの状態を示す要部正面概略図である。
エレベーターは図1に示すように、機械室1に設けられた巻上機の綱車2にロープ3が巻き掛けられており、乗かご4とつり合いおもり5は、それぞれロープ3の両端に接続されている。乗かご4は、昇降路6内で、かご側ガイドレール7により案内されているとともに、つり合いおもり5は、つり合いおもり側ガイドレール8により案内され、巻上機の綱車2が回転することにより、乗かご4およびつり合いおもり5は昇降路6内を昇降する。そして、本実施形態の制動装置10は、乗かご4の上部に図示しないボルトで締着されて固定されている。
本実施形態の制動装置10は、図2および図3に示すように、互いに対向するように対となって配置されるとともに、軸11を介して回動可能に設けられる制動用アーム12と、これらの制動用アーム12間に介設される制動用弾性体13と、制動用アーム12の内側にあって互いに対向するように対となって配置されるとともに、軸11を介して回動可能に設けられる作動用アーム14と、これらの作動用アーム14間に介設される作動用弾性体15およびアクチュエータ16と、制動用アーム12および作動用アーム14のそれぞれの端部により支持される制動部17とを備えている。
制動部17は、反制動面にV字の側面形状をなすように2つの斜面17a1、17a2が形成されるとともに、かご側ガイドレール7に押し付けられたときの摩擦力により、乗かご4の下降移動時には上方に移動し、上昇移動時には下方に移動する対となる制動子17aと、作動用アーム14の端部に軸17bを介して回動可能に支持され、制動子17aのそれぞれの斜面17a1、17a2と概略平行となる2つの斜面17c1、17c2が形成される作動用斜面体17cと、制動用アーム12の端部に軸17dを介して回動可能に支持されるとともに、略コの字状の断面形状を有してその内側に制動子17aおよび作動用斜面体17cが配置され、かつ、制動子17aのそれぞれの斜面17a1、17a2と概略平行となる2つの斜面17e1、17e2が開放側端部にそれぞれ形成される制動用斜面体17eとを備えてなっている。
本実施形態にあっては、通常運転時、アクチュエータ16は通電され、図2および図3に示すように、作動用弾性体15の弾性力に打ち勝ち制動子17aをかご側ガイドレール7から離間した状態に保持している。このとき、制動子17aは図3に示すように、その斜面17a1、17a2のそれぞれが作動用斜面体17cの斜面17c1、17c2と対向状態にあるとともに、その上面および下面の一部がコの字状の断面形状を有する制動用斜面体17eの内壁に掛かることで所定位置に保持されている。そして、例えば図示しない速度検出器が乗かご4の異常下降移動を感知すると、この速度検出器から制動装置10に電気的な信号が入力され、制動装置10はアクチュエータ16への電流を遮断する。このアクチュエータ16の通電遮断により、図4および図5に示すように、作動用アーム14間に介設される作動用弾性体15の弾性力により作動用アーム14が軸11を介して回動し、この作動用アーム14の端部に支持された作動用斜面体17cがかご側ガイドレール7方向に移動して制動子17aがかご側ガイドレール7に押し付けられる。このとき、作動用斜面体17cがかご側ガイドレール7方向に移動することで、作動用斜面体17cの斜面17c1、17c2と制動用斜面体17eの斜面17e1、17e2が略同一面となる。そして、図6に示すように、かご側ガイドレール7に押し付けられた状態で乗かご4が下降することにより制動子17aは摩擦力により作動用斜面体17cの斜面17c2、次いで、制動用斜面体17eの斜面17e2に沿って上方に移動する。このようにしてかご側ガイドレール7と制動用斜面体17eの斜面17e2との間に制動子17aが入り込むことにより、図7に示すように、制動用アーム12は軸11を介して回動するとともに、制動用アーム12間に介設される制動用弾性体13の弾性力により制動子17aは適切な押圧力でかご側ガイドレール7に押し付けられ、乗かご4を制動する。
一方、図示しない速度検出器が乗かご4の異常上昇移動を感知すると、この速度検出器から制動装置10に電気的な信号が入力され、制動装置10はアクチュエータ16への電流を遮断する。このアクチュエータ16の通電遮断により、図4および図5に示すように、作動用アーム14間に介設される作動用弾性体15の弾性力により作動用アーム14が軸11を介して回動し、この作動用アーム14の端部に支持された作動用斜面体17cがかご側ガイドレール7方向に移動して制動子17aがかご側ガイドレール7に押し付けられる。このとき、作動用斜面体17cがかご側ガイドレール7方向に移動することで、作動用斜面体17cの斜面17c1、17c2と制動用斜面体17eの斜面17e1、17e2が略同一面となる。そして、図8に示すように、かご側ガイドレール7に押し付けられた状態で乗かご4が上昇することにより制動子17aは摩擦力により作動用斜面体17cの斜面17c1、次いで、制動用斜面体17eの斜面17e1に沿って下方に移動する。このようにしてかご側ガイドレール7と制動用斜面体17eの斜面17e1との間に制動子17aが入り込むことにより、図7に示すように、制動用アーム12は軸11を介して回動するとともに、制動用アーム12間に介設される制動用弾性体13の弾性力により制動子17aは適切な押圧力でかご側ガイドレール7に押し付けられ、乗かご4を制動する。
本実施形態によれば、制動子17aがかご側ガイドレール7に押し付けられる際の反力は対となる制動用アーム12を回動させるものとなるとともに、この反力は制動用アーム12間に介設される制動用弾性体13により吸収されることから、制動時に生じる反力が他の機器に影響を及ぼすことはない。また、制動用弾性体13と作動用弾性体15とを独立して設けた構造とすることで、作動用弾性体15の弾性力を小さくすることを可能とし、ひいてはアクチュエータ16の容量を小さなものとすることができる。これによって、装置の小型化および低コスト化を図ることができるとともに、エレベーター機器を高精度の状態に保ち、信頼性の高いものとすることができる。また、制動装置10は、前述したようにその主要部位がそれぞれ対となり左右対称となって設けられる構造であるとともに、制動用アーム12および作動用アーム14は同一の軸11を介して回動するものであることから、円滑に各部位を動作させることができるとともに、対となる制動子17aを均一にガイドレールに摺接させ、安定した制動力を得ることができる。
図1は本発明の制動装置が設置される位置を示すエレベーターの概略構成図である。 本発明に係るエレベーターの制動装置の一実施形態を示す要部概略上面図である。 本実施形態における制動装置の要部正面概略図である。 制動子をガイドレールに当接させたときの状態を示す要部正面概略図である。 制動子をガイドレールに当接させたときの状態を示す要部概略上面図である。 異常下降移動時に制動子をガイドレールに押圧しているときの状態を示す要部正面概略図である。 制動子をガイドレールに押圧しているときの状態を示す要部概略上面図である。 異常上昇移動時に制動子をガイドレールに押圧しているときの状態を示す要部正面概略図である。
符号の説明
1 機械室
2 綱車
3 ロープ
4 乗かご
5 つり合いおもり
6 昇降路
7 かご側ガイドレール
8 つり合いおもり側ガイドレール
10 制動装置
11 軸
12 制動用アーム
13 制動用弾性体
14 作動用アーム
15 作動用弾性体
16 アクチュエータ
17 制動部
17a 制動子
17a1、17a2 斜面
17b 軸
17c 作動用斜面体
17c1、17c2 斜面
17d 軸
17e 制動用斜面体
17e1、17e2 斜面

Claims (2)

  1. ガイドレールにより案内される昇降体に設けられたエレベーターの制動装置において、
    互いに対向するように対となって配置されるとともに、軸を介して回動可能に設けられる制動用アームと、これらの制動用アーム間に介設される制動用弾性体と、互いに対向するように対となって配置されるとともに、軸を介して回動可能に設けられる作動用アームと、これらの作動用アーム間に介設される作動用弾性体およびアクチュエータと、前記制動用アームおよび前記作動用アームのそれぞれの端部により支持されるとともに、前記ガイドレールに押し付けられたときの摩擦力により、昇降体の下降移動時には上方に移動し、上昇移動時には下方に移動する対となる制動子を有してなる制動部とを備えたことを特徴とするエレベーターの制動装置。
  2. 前記制動部は、反制動面にV字の側面形状をなすように2つの斜面が形成された前記制動子と、前記作動用アームの端部により支持され、前記制動子のそれぞれの斜面と概略平行となる2つの斜面が形成される作動用斜面体と、前記制動用アームの端部により支持され、前記制動子のそれぞれの斜面と概略平行となる2つの斜面が形成される制動用斜面体とを備えてなることを特徴とする請求項1記載のエレベーターの制動装置。
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