以下、本発明の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1から図20を参照して、本発明の駆動力制御装置の第1実施形態について説明する。
トヨタハイブリッドシステム(THS)のような変速機を持たないタイプの車両において、例えば、運転者による意識的なシフト操作以外の走行環境(道路勾配、車両前方のコーナーの曲がり度合い、前方の車両との相対的位置関係、自動車専用道路の合流路など)によりシーケンシャルシフトの変速段を変更する制御(変速点制御)が検討されている。
本実施形態は、アクセル開度と車速(ペラシャフト回転数)から決まるドライバー要求ペラシャフトトルク(ドライブシャフトトルク)または駆動力を実現するように、エンジン回転数、エンジントルク、MG1回転数、MG1トルク、MG2トルク等を決定するハイブリッドシステム制御装置(駆動力ディマンドでのパワートレーン制御装置)において、シーケンシャルシフトの変速段を利用する変速点制御を行って目標ペラトルクを変更するものにおいて、アクセル全閉から所定アクセル開度Kpa1までの間の目標ペラトルクTPは、通常Dレンジの所定アクセル開度PAPの目標ペラトルクTpbとアクセル全閉時の目標ペラトルクTp0から補間して算出する制御に関する。
上記制御を復帰させる条件は、アクセル開度PAP≧Kpa1、又はアクセル開度変化量DPa≧Kdpa1とする。定常走行判定により上記制御が復帰する場合、及びアクセル開度変化量に基づいて上記制御が復帰する場合には、通常時の場合に比べて、目標ペラトルクTpの変化率を小さくする。これにより、変速点制御用目標ペラトルクTpから通常制御用目標ペラトルクTpに復帰したときに、目標ペラトルクTpの増加による加速ショックの問題が改善される。
図9は、本発明の一実施形態としての駆動力制御装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。本実施形態に係るハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、駆動力制御装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。
動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。
モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度
Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された第1実施形態のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し(後述する図1のステップS002)、この要求トルクに対応する要求動力(ステップS003)がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。
エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、トルク変換運転モード、充放電運転モード、モータ運転モードなどがある。
トルク変換運転モードは、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する運転モードである。
充放電運転モードは、要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する運転モードである。
モータ運転モードは、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御する運転モードである。
本実施形態では、シフトレバー81がD(ドライブ)レンジやR(リバース)レンジに操作されたときにはエンジン22の効率やバッテリ50の状態に基づいて上述したトルク変換運転モード,充放電運転モード,モータ運転モードのうちのいずれかのモードでエンジン22やモータMG1,MG2を運転し、シフトレバー81がB(ブレーキ)レンジに操作されたときにはエンジンブレーキによる制動が行なわれるようにモータ運転モードによる運転が禁止されモータ運転モード以外のトルク変換運転モード,充放電運転モードのいずれかでエンジン22やモータMG1,MG2を運転する。
即ち、DレンジやRレンジでは、エンジン22の運転停止が行なわれるが、Bレンジでは、エンジン22の運転停止は行なわれない。なお、シフトレバー81がDレンジに操作されているときのエンジン22の運転停止は、駆動軸としてのリングギヤ軸32aの要求動力とバッテリ50の充放電に必要な動力との和として車両全体に要求される動力が、エンジン22を効率よく運転できる範囲を定める所定動力未満のときに行なわれる。
次に、図1を参照して、本実施形態の動作について説明する。
以下では、ハイブリッド車両において、走行環境(道路勾配、車両前方のコーナーの曲がり度合い、前方の車両との相対的位置関係、自動車専用道路の合流路など)に基づく、運転者による意識的なシフト操作以外による制御(変速点制御)を行なう場合に、ハイブリッド用シーケンシャルシフト制御の技術を用いて実現している制御について説明する。
[ステップS001]
まず、ステップS001にて、アクセル開度PAPと、車速(ペラシャフト回転数)の読み込みが行なわれる。
[ステップS002]
次に、ステップS002にて、ドライバーが要求するペラシャフトトルク(ドライブシャフトトルク)、即ち、ドライバー要求ペラシャフトトルク(ドライブシャフトトルク)が算出される。例えば、図2に示すようなマップが参照されて、上記ステップS001にて読み込まれたアクセル開度PAPと、車速(ペラシャフト回転数)に基づいて、ドライバー要求ペラシャフトトルク(駆動力(目標ペラトルク))が算出される。
[ステップS003]
次に、ステップS003にて、ドライバーが要求するパワー(ドライバー要求パワー)と、ドライバーが要求するエンジン回転数(ドライバー要求エンジン回転数)が算出される。
ドライバー要求パワーは、上記ステップS002にて算出されたドライバー要求ペラシャフトトルクと、上記ステップS001にて読み込まれたペラシャフト回転数に基づいて、算出される。ここで、ドライバー要求パワー=ドライバー要求ペラシャフトトルク×ペラシャフト回転数である。
ドライバー要求エンジン回転数は、例えば、図3に示すようなマップが参照されて、燃費最適線301に基づいて算出される。ドライバー要求パワーがP1である場合、ドライバー要求エンジン回転数は、NE1となる。
[ステップS004]
次に、ステップS004にて、ドライバーが要求する目標変速段(ドライバー要求目標変速段)が算出される。例えば、図4に示すようなマップが参照されて、上記ステップS001にて読み込まれたアクセル開度PAP及び車速(ペラシャフト回転数)と、上記ステップS002にて算出されたドライバー要求ペラシャフトトルクに基づいて、ドライバー要求目標変速段が決定される。
ステップS004において、ドライバー要求目標変速段の算出方法は、上記図4を用いる方法に限定されない。例えば、上記ステップS003にて算出されたドライバー要求エンジン回転数と、上記ステップS001にて読み込まれたペラシャフト回転数に基づいて、変速比を算出し、図8のマップが参照されて、変速比に基づいて、ドライバー要求目標変速段が決定されることができる。
また、ステップS004では、上記図4又は図8を用いた方法の他に、図5のマップを用いる方法でもよい。図5では、各変速段の下限エンジン回転数が示されている。図5のマップが参照されて、上記ステップS003にて算出されたドライバー要求エンジン回転数と、上記ステップS001にて読み込まれた車速(ペラシャフト回転数)に基づいて、ドライバー要求目標変速段が決定されることができる。図5において、符号401はドライバー要求目標変速段が1速の領域、402は同2速の領域、403は同3速の領域、404は同4速の領域、405は同5速の領域、406は同6速の領域をそれぞれ示している。
[ステップS005]
次に、ステップS005では、登降坂制御、コーナー制御、車間距離制御、合流路制御等の変速点制御の規制変速段が読み込まれる(尚、シーケンシャルシフト制御が行われた場合には、その変速段が読み込まれる。以下、シーケンシャルシフト制御が行われた場合の動作についての記述は省略する)。例えば、登降坂制御が行われる場合、図11に示すようなマップが参照されて、規制変速段が決定される。図11は、道路勾配θに応じた目標変速段が記述されており、規制変速段は目標変速段よりも1段高速段側の変速段である。同様に、例えば、コーナー制御が行われる場合、図12に示すようなマップが参照されて、規制変速段が決定される。車間距離制御が行われる場合、図13に示すようなマップが参照されて、規制変速段が決定される。図12及び図13のそれぞれは、目標変速段を示しており、規制変速段は、目標変速段よりも1段高速段側の変速段である。
[ステップS006]
次に、ステップS006では、ドライバー要求目標変速段が上記ステップS005にて求められた変速点制御の規制変速段以上か否かが判定される。その判定の結果、肯定的に判定された場合には、ステップS007に進み、そうでない場合にはステップS008に進む。
[ステップS007]
ステップS007では、ドライバー要求目標変速段に変速点制御の規制変速段を反映させて、変速段の規制が実施される。このステップS007では、ドライバー要求ペラシャフトトルク(ドライブシャフトトルク)Tp*と、ドライバー要求エンジン回転数Ne*が変更される。
図6に示すように、ドライバー要求ペラシャフトトルク(ドライブシャフトトルク)Tp*が変更される。即ち、図6のマップが参照されて、例えば、上記ステップS005にて求められた変速点制御の規制変速段が4速で、車速(ペラシャフト回転数)がS1であるとき、ドライバー要求ペラシャフトトルクTp*はT1に変更される。
また、図5に示すように、ドライバー要求エンジン回転数Ne*が変更される。例えば、車速(ペラシャフト回転数)がS1であるとき、下限エンジン回転数NeL*はNE2に変更される。
[ステップS008]
ステップS008では、エンジントルクTe*、MG1回転数Nm1*、目標MG1トルクTm1*、目標MG2トルクTm2*が算出される。以下に、その算出方法について詳細に説明する。
上記ステップS007にて、エンジン22の目標回転数Ne*と目標ペラシャフトトルクTp*とを設定し、Ne*≦NeL*の場合、Ne*=NeL*とすると、Tp*×Np=Te*×Ne*となるため、Te*=Tp*×Np/Ne*となる(Npはペラシャフト回転数)。そして、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(=換算係数k・車速V)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在のモータMG1の回転数Nm1とに基づいて次式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する。
動力分配統合機構30の各回転要素の回転数とトルクの力学的な関係を示す共線図を図10に示す。図中、左のS軸はサンギヤ31の回転数を示し、C軸はキャリア34の回転数を示し、R軸はリングギヤ32(リングギヤ軸32a)の回転数Nrを示す。サンギヤ31の回転数はモータMG1の回転数Nm1でありキャリア34の回転数はエンジン22の回転数Neであるから、モータMG1の目標回転数Nm1*はリングギヤ軸32aの回転数Nr(=k・V)とエンジン22の目標回転数Ne*と動力分配統合機構30のギヤ比ρとに基づいて式(1)により計算することができる。
したがって、モータMG1が目標回転数Nm1*で回転するようトルク指令Tm1*を設定してモータMG1を駆動制御することにより、エンジン22を目標回転数Ne*で回転させることができる。ここで、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「KP」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「KI」は積分項のゲインである。
なお、図10におけるR軸上の2つの太線矢印は、エンジン22を目標回転数Ne*および目標トルクTe*の運転ポイントで定常運転したときにエンジン22から出力されるトルクTe*がリングギヤ軸32aに伝達されるトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2*がリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。
Nm1*=(Ne*・(1+ρ)−k・V)/ρ (1)
Tm1*=前回Tm1*+KP(Nm1*−Nm1)+KI∫(Nm1*−Nm1)dt (2)
モータMG1の目標回転数Nm1*とトルク指令Tm1*とを計算すると、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρと減速ギヤ35のギヤ比Grとを用いて要求トルクTr*をリングギヤ軸32aに作用させるためにモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを図10の共線図のトルクの釣り合い関係から定まる次式(3)により計算すると共に、バッテリ50の入出力制限Win,WoutとモータMG1のトルク指令Tm1*と現在のモータMG1の回転数Nm1とモータMG2の回転数Nm2とに基づいて次式(4)および次式(5)によりモータMG2から出力してもよいトルクの下限,上限としてのトルク制限Tm2min,Tm2maxを計算し、仮モータトルクTm2tmpと計算したトルク制限Tm2maxとのうち小さい方を変数Tに設定し、この変数Tとトルク制限Tm2minとのうち大きい方をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定する。これにより、モータMG2のトルク指令Tm2*をバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で制限したトルクとして設定することができる。
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (3)
Tm2min=(Win−Tm1*・Nm1)/Nm2 (4)
Tm2max=(Wout−Tm1*・Nm1)/Nm2 (5)
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して、駆動制御ルーチンを終了する。
目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22における燃料噴射制御や点火制御などの制御を行なう。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
上記のように、本実施形態によれば、アクセル開度PAPと車速(ペラシャフト回転数)から決まるドライバー要求ペラシャフトトルク(ドライブシャフトトルク)または駆動力を実現するようにエンジン回転数、エンジントルク、MG1回転数、MG1トルク、MG2トルク等を決定する駆動力制御システム(HVシステム)において、ドライバー要求ペラシャフトトルク(図2、ステップS002)から決まる目標エンジン回転数(ステップS003)と、ペラシャフト回転数からドライバー要求目標変速段(目標変速比、ステップS004)を決定する。
また、アクセル開度、車速(ペラシャフト回転数)、ドライバー要求ペラシャフトトルクからドライバー要求目標変速段を決定する(図4参照)。または、ドライバー要求エンジン回転数と、ペラシャフト回転数から変速比を算出し、その変速比からドライバー要求目標変速段を決定する(図8参照)。その目標変速段に登降坂制御、コーナー制御、車間距離制御等の変速点制御を反映する(ステップS007)。
さらに、目標変速段(目標変速比)毎にペラシャフトトルク(ドライブシャフトトルク)または駆動力とエンジン回転数下限ガードを設置し(図5、図6)、その目標変速段(目標変速比)に登降坂制御等の変速点制御の変速段規制(変速比規制)を反映し、目標ペラシャフトトルク、目標エンジン回転数を変更し(ステップS007)、目標エンジントルク、目標MG1回転数、目標MG1トルク、目標MG2トルクを算出する(ステップS008)。
上記により以下の効果を奏することができる。
(1)従来一般の自動変速機を適用対象として開発された変速点制御を、ハイブリッドシステム制御装置(駆動力ディマンドでのパワートレーン制御装置)に容易に展開可能となり、ドライバビリティを向上させることができる。
(2)変速点制御が行われた後の再加速時にアクセルが踏まれたときに、エンジン回転数が高い状態からの加速となるため、加速応答性が向上する。以下に、図7を参照して、この(2)の効果について説明する。
最初、自動変速機がDレンジである場合に、変速点制御の目標変速段が4速であると算出されたとする(図1のステップS004)。その後、ステップS007にて、ドライバー要求ペラシャフトトルクが目標変速段(4速)に変更される。この場合、下限エンジン回転数(エンジン回転数ガード)420が無い場合には、Dレンジの点421から、4速の点422に変わる。4速の点422からの再加速時は、低いエンジン回転数からの加速となるため、加速応答性が悪い。点422のエンジン回転数は、点421のエンジン回転数と同様の約1000rpmであるため、再加速時の加速応答性が悪い。
これに対して、本実施形態では、下限エンジン回転数(エンジン回転数ガード)420があるため(ステップS007)、最初の点421は、変速制御によって、点422と等パワーライン430上で下限エンジン回転数420でガードされた点423に変わる。再加速時にアクセルが踏まれたときは、上記点422よりもエンジン回転数の高い点423からの加速となるため、加速応答性が向上する。
図14は、本実施形態のハイブリッド車における有段のシーケンシャルシフトにおける車速(ペラシャフト回転数)と駆動力(目標ペラトルクTp)との関係を示す図である。シーケンシャルシフトで低変速段にされた場合や、シーケンシャルシフトの変速段を利用する変速点制御が実施された場合に、目標ペラトルクTpは以下のように求められる。以下では、例えば、予め設定されたアクセル開度の所定値Kpa1=10%であるとして説明する。
目標ペラトルクTpは、アクセル開度に応じて、以下の3通りの方法で求められる。
[1]アクセル開度が全閉である場合(アクセル開度=0%)
[2]アクセル開度が10%を超える場合
[3]アクセル開度が0〜10%以下である場合
[1]アクセル開度が全閉である場合(アクセル開度=0%)
図14に示すように、アクセル開度が全閉であるとき(アクセル開度=0%)には、シーケンシャルシフトの目標ペラトルクTpの値は、変速段毎に予め設定されている。例えば車速(ペラシャフト回転数)がVaであり、アクセル開度が全閉であるときの4速の目標ペラトルクTpは、Tpsft(0%)である。同様に、例えば車速(ペラシャフト回転数)がVaでありアクセル開度が全閉であるときの6速の目標ペラトルクTpは、Tp6である。
[2]アクセル開度が10%を超える場合
図14に示すように、アクセル開度が10%を超える場合には、シーケンシャルシフトの目標ペラトルクTpの値は、予め、変速段に関係が無く同じ値に設定されている。即ち、Dレンジ(6速)以外であっても、目標ペラトルクTpは、Dレンジ(6速)と同じである。アクセル開度が10%を超える場合に、シーケンシャルシフトで低変速段にされた場合や、シーケンシャルシフトの変速段を利用する変速点制御が実施された場合には、パワーが変わらないため、駆動力変化が無い。
[3]アクセル開度が0〜10%以下である場合
アクセル開度が0%と10%の間である場合には、下記式を用いて、アクセル開度に応じて線形補間することにより目標ペラトルクTpが求められる。
Tp=Tpsft(0%)+(Tp(10%)−Tpsft(0%))*PAP/10
例えば、車速(ペラシャフト回転数)がVaであり、変速段が6速であるときにアクセル開度が5%のときには、目標ペラトルクTpは符号Tp7で示す値(符号Tp(Kpa1)と上記Tp6の中間の値)となる。この場合に、4速にダウンシフトされると、目標ペラトルクTpは符号Tp8で示す値(符号Tp(Kpa1)と上記Tpsft(0%)の中間の値)となる。
上記のように、本実施形態は、ハイブリッド用変速点制御を実現するにあたり、ハイブリッド用シーケンシャルシフト制御を流用して実現している制御である。本実施形態では、この制御において、以下の(1)〜(5)を行う。
(1)変速点制御は、アクセル踏み込みに関する所定の条件を満たしたときに(アクセル開度PAP≧予め設定された所定値Kpa1、又はアクセル開度変化量Dpa≧予め設定された所定値Kdpa1)、復帰させる。ここで、アクセル開度PAP≧所定値Kpa1にて変速点制御を復帰させる理由は、目標ペラトルク増加による加速ショックがないためである(図18参照)。
(2)上記(1)に関連して、アクセル開度PAP<所定値Kpa1かつアクセル開度変化量Dpa≧所定値Kdpa1にて変速点制御を復帰させる場合には、同条件満足時以外の通常時の目標トルク変化率に比べて、目標トルクの変化率を小さな値に設定する(図20参照)。目標ペラトルクの増加による加速ショックを低減させるためである。
(3)定常走行判定(XCONST=ON)がなされたときに変速点制御から復帰させる。ここで、定常走行判定がなされたことにより変速点制御から復帰するときには、同条件満足時以外の通常時に比べて、目標トルク変化率を小さくする(図19参照)。目標ペラトルクの増加による加速ショックを低減させるためである。
(4)上記(2)及び(3)では、それぞれ通常時に比べて、目標トルク変化率が小さい値に設定されるが、この場合、上記(2)の目標トルク変化率>上記(3)の目標トルク変化率とする。運転者の加速意図を反映し、目標トルクをアクセル要求トルクTpbへ速やかに変更することで、加速性能を向上させるためである。
(5)上記(2)及び(3)では、それぞれ通常時に比べて、目標トルク変化率が小さい値に設定される。この場合、アクセル開度が小さいときほど、所定値Kpa1との差が大きく、変速ショックが大きいことから、上記(2)及び(3)のそれぞれでは、アクセル開度が小さいときほど、目標トルク変化率が小さな値に設定される。
図18から図20において、符号XAIは、変速点制御実行条件フラグを示し、符号XCONSTは、定常走行判定フラグを示し、符号Tpa1は、アクセル開度PAPが所定値Kpa1のときのペラトルク(Dレンジのペラトルクと同じ)を示し、符号Tpaは、上記図14を参照して説明した補間後のペラトルク(アクセル開度<Kpa1かつ変速点制御中又はシーケンシャルシフト中の値)を示している。
符号Tpbは、アクセル開度PAPと車速のマップ値として求められるDレンジのペラトルク(アクセル要求トルクとも称する)を示している。即ち、アクセル要求トルクTpbの一形態が、上記アクセル開度PAPが所定値Kpa1のときのペラトルクTpa1である。補間後ペラトルクTpaは、図14を参照して説明したように、アクセル開度PAPがゼロのときの目標ペラトルクTp0と、アクセル開度PAPが所定値Kpa1のときのペラトルクTpa1の間を補間された値である。
図18は、アクセル開度PAPが予め設定された開度Kpa1以上になったときに変速点制御から復帰するときの動作を示している。
図18に示すように、時刻Txにてアクセル開度PAPが予め設定された値Kpa1以上になるので(PAP≧Kpa1)、変速点制御実行条件フラグXA1がオフになり、変速点制御が復帰する。このように、アクセルの踏み込みによる変速点制御の復帰時(Tx)は、補間後ペラトルクTpa=アクセル開度PAPが所定値Kpa1のときのペラトルクTpa1となるため、変速点制御から復帰してもトルクアップによる加速ショックは発生しない。
言い換えれば、アクセル開度PAP≧所定値Kpa1のとき(Tx)には、目標ペラトルクTpが補間により求められるのではなく、変速段の段数に関係なく目標ペラトルクTpがDレンジとのときと同じ値になる。このように、変速点制御から復帰しても目標ペラトルクTp=Dレンジの値(Tpa1)のままであり、加速ショックがないことから、アクセル踏み込み時の制御復帰条件をアクセル開度PAP≧所定値Kpa1とされる。
図19は、変速点制御の制御対象(例えばコーナーや登降坂や車両前方の車両への追従走行、合流路など)の走行を終了して定常走行になったと判定されたことにより変速点制御から復帰するときの動作を示している。
定常走行判定により変速点制御から復帰するとき(時刻Ty)には、補間後ペラトルクTpaがアクセル開度に応じたDレンジでのペラトルクTpbに変化するため、要求トルクの増加による加速ショックが発生する虞がある(図19の「通常時変化率」参照)。そこで、本実施形態では、定常走行判定により変速点制御から復帰するときには、上記通常時変化率に比べて、要求トルクの変化率を小さくすることにより加速ショックを低減する(図19の時刻Ty後の「目標トルク」の傾き参照)。
図20は、アクセル開度の変化量が予め設定された所定値Kdpa1以上になったことにより、変速点制御から復帰するときの動作を示している。
アクセル開度の変化量Dpaが予め設定された所定値Kdpa1(図示せず)以上になったことにより、変速点制御から復帰するとき(Tz)には、上記図19のケースと同様に、補間後ペラトルクTpaがアクセル開度に応じたDレンジでのペラトルクTpbに変化するため、要求トルクの増加による加速ショックが発生する虞がある(図20の「通常時変化率」参照)。そこで、本実施形態では、アクセル開度の変化量Dpaに基づいて変速点制御から復帰するときには、上記通常時変化率に比べて、要求トルクの変化率を小さくすることにより加速ショックを低減する(図20の時刻Tz後の「目標トルク」の傾き参照)。但し、図20のケースでは、運転者の加速意図を反映させるために、目標トルクの変化率は、上記定常走行判定による制御復帰時要求トルク変化率(図19参照)よりも変化率を大きくする。
図15から図18を参照して、本実施形態の動作について説明する。
まず、図15のステップS101では、変速点制御の前提条件判定処理が行われる。ここでは、例えば変速点制御に必要な要素が同制御に適していない状態にあることを示すフェイル信号が検出されていないか等の判定が行われる。ステップS101にて前提条件判定が否定的に判定された場合には変速点制御前提条件フラグXAIZENがオフに設定され(ステップS102)、肯定的に判定された場合には、同フラグXAIZENがオンに設定される(ステップS103)。
次いで、ステップS104にて、変速点制御前提条件フラグXAIZENの判定処理が行われ、同フラグXAIZENがオンと判定された場合には、ステップS105にて、各変速点制御にて使用されるRAM、フラグ等の共通化処理が行われる。一方、ステップS104にて、変速点制御前提条件フラグXAIZENがオフと判定された場合には、ステップS106にて変速点制御の初期化・終了処理が行われる。ステップS106の次には、ステップS110が行われる。
ステップS105の次には、ステップS107にて、各変速点制御の処理が行われる。このステップS107の各変速点制御の処理に関しては、図16を参照して後述する。次に、ステップS108にて、各変速点制御にて算出された目標ペラトルクTPの調停処理が行われる。次いで、ステップS109にて、各変速点制御にて算出されたエンジン回転数NEの調停処理が行われる。次に、ステップS110にて、目標ペラトルクの変化時に目標ペラトルクTPの徐変処理を行う。このステップS110の目標ペラトルクTPの徐変処理については、図17を参照して後述する。
次に、図16を参照して、各変速点制御の処理(上記図15のステップS107)の詳細について説明する。
まず、ステップS1071にて、変速点制御の開始条件の判定が行われる。同開始条件が不成立の場合には、ステップS1072にて、各変速点制御実行条件フラグXAIXがオフとされ、同開始条件が成立した場合には、ステップS1073にて、各変速点制御実行条件フラグXAIXがオンとされる。次に、ステップS1074にて、各変速点制御実行条件フラグXAIXの判定処理が行われ、各変速点制御実行条件フラグXAIXがオンの場合には、ステップS1075にて、目標ペラトルクTPの算出処理が行われる。ステップS1075では、図14を参照して説明したように、アクセル開度PAPに応じて目標ペラトルクTPが求められる。即ち、アクセル開度PAPが10%以下である場合には補間処理により目標ペラトルクTPが求められ、10%を超える場合には変速段の段数に関係なくDレンジの場合と同じ値とされる。
次に、ステップS1076では、目標エンジン回転数算出処理が行われる。次に、ステップS1077にて、現在のアクセル開度PAPが所定値Kpa1以上であるか否かが判定される。現在のアクセル開度PAPが所定値Kpa1以上である場合には、ステップS1080にて、各変速点制御実行条件フラグXAIXがオフとされる。ステップS1077にて肯定的に判定されステップS1080が実行されるときの動作は、上記図18に示した通りである。
ステップS1077にて、現在のアクセル開度PAPが所定値Kpa1以上であると判定されなかった場合には、ステップS1078にて、現在のアクセル開度変化量DPaが所定値Kdpa1以上であるか否かが判定される。現在のアクセル開度変化量DPaが所定値Kdpa1以上である場合には、ステップS1080にて、各変速点制御実行条件フラグXAIXがオフとされる。ステップS1078にて肯定的に判定されステップS1080が実行されるときの動作は、上記図20に示した通りである。
ステップS1078にて、現在のアクセル開度変化量DPaが所定値Kdpa1以上であると判定されなかった場合には、ステップS1079にて、定常走行判定フラグXCONSTがオンであるか否かが判定される。定常走行判定フラグXCONSTがオンである場合には、ステップS1080にて、各変速点制御実行条件フラグXAIXがオフとされる。ステップS1079にて肯定的に判定されステップS1080が実行されるときの動作は、上記図19に示した通りである。
次に、図17を参照して、目標ペラトルクTPの変化時の徐変処理の処理(上記図15のステップS110)の詳細について説明する。
まず、ステップS1101にて、目標ペラトルクTPの変化判定処理が行われる。目標ペラトルクTPが変化している場合には、ステップS1102にて進み、そうでない場合には、図17の制御フローは終了する。ステップS1102では、変速点制御の実行判定処理が行われる。各変速点制御実行条件フラグXAIXがオンである場合にはステップS1103に進み、そうでない場合にはステップS1104に進む。ステップS1103では、変速点制御時の徐変処理が行われる。ここで、変速点制御時の徐変処理とは、例えば変速点制御の開始時等にショックが発生することを抑制するために行われる目標ペラトルクTPの徐変処理である。
ステップS1104では、現在のアクセル開度変化量DPaが所定値Kdpa1以上であるという条件を満たしたことによる変速点制御の終了であるか否かが判定される。その判定の結果、肯定的に判定された場合にはステップS1105に進み、そうでない場合にはステップS1106に進む。ステップS1105では、図20を参照して説明した、アクセル開度変化量DPaに基づく制御終了時の目標ペラトルクTPの徐変量がセットされる。
ステップS1106では、定常走行判定がなされたことによる変速点制御の終了であるか否かが判定される。その判定の結果、肯定的に判定された場合にはステップS1107に進み、そうでない場合にはステップS1108に進む。ステップS1107では、図19を参照して説明した、定常走行判定に基づく制御終了時の目標ペラトルクTPの徐変量がセットされる。ステップS1108では、通常時用徐変量がセットされ、図19及び図20の「通常時変化率」に対応する目標ペラトルクTPの徐変量がセットされる。