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JP5083561B2 - 伝線防止機能を有する足回り編地製品 - Google Patents
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JP5083561B2 - 伝線防止機能を有する足回り編地製品 - Google Patents

伝線防止機能を有する足回り編地製品 Download PDF

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Description

本発明は、伝線防止機能を有する足回り編地製品に関する。
従来、コンジュゲート糸を用いた編地により作製されたストッキング等の足回り編地製品が、市場に流通している。コンジュゲート糸とは、複数種類の樹脂成分で紡糸された複合糸をいい、例えば、ポリウレタンとナイロンとで紡糸されたものがある。これらのコンジュゲート糸を用いてストッキングを作製することで、全てカバリング糸を使用したパンティストッキングに比べ、そのフィット性は劣るものの、透明感の高いストッキングを得ることができる。
ところで、足回り編地製品、特にストッキングは、着脱の際、着用中、あるいは洗濯の際などに、編地組織にはしご状の傷(ラン、伝線)などが生じ、使用できなくなるという問題がある。従来、こうした伝線を防止する方法として、特別な編み方によるものや、伝線防止剤を用いる方法等が提案されている。
例えば、特開平8−100305号公報(特許文献1)には、特殊な編み方(ブックル型)により伝線を防止する方法が提案されている。しかしながら、特許文献1の編地は、生地が分厚く、手触りが固く、透明感も低い他、特殊な編機、編み技術が必要であるため、編みコストがかかり、高価なものであった。そのため、衣料分野、特に足回り編地製品分野においては、経済的かつ効果的な伝線防止機能を有する編地製品が求められていた。
こうした問題を解決するために、特開2007−154347号公報(特許文献2)には、熱融着性を有するカバリング糸を用いて作製された足回り編地製品が開示され、編地中でカバリング糸を熱融着させることで、伝線を防止する方法が提案されている。
しかしながら、上記方法は特定のカバリング糸を用いて作製したものであり、このような伝線防止性能に加え、より審美性に優れた編地製品が求められていた。
特開平8−100305号公報 特開2007−154347号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、効率的かつ効果的に伝線を防止でき、加えて、足回り編地製品として良好な伸縮性や審美性を有する、コンジュゲート糸を用いた足回り編地製品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の伸度、及び、特定の残留歪を有する熱融着性コンジュゲート糸を用いた編地を熱処理して得られた熱処理編地が、良好な伝線防止機能及び伸長性能を有すると共に、この熱処理編地から、伝線防止性能及び伸縮性に優れ、しかも審美性も有する足回り編地製品が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記の足回り編地製品を提供する。
〔1〕 熱融着性コンジュゲート糸及び必要によりその他の糸を用いて編成されてなると共に、該熱融着性コンジュゲート糸同士及び/又はこれとその他の糸とが交差部で熱融着されてなる熱融着性コンジュゲート糸含有編地を含む足回り編地製品であって、上記熱融着性コンジュゲート糸の破断時伸度が170%以上であり、かつ50%伸長時の残留歪が12%以下であることを特徴とする伝線防止機能を有する足回り編地製品。
〔2〕 上記熱融着性コンジュゲート糸含有編地が、熱融着性コンジュゲート糸のみで編成されてなる緯編地であることを特徴とする〔1〕記載の足回り編地製品。
〔3〕 上記熱融着性コンジュゲート糸含有編地が、熱融着性コンジュゲート糸とカバリング糸とが交互に編成されてなる交編編地であることを特徴とする〔1〕記載の足回り編地製品。
〔4〕 上記熱融着性コンジュゲート糸含有編地の熱融着力が、3.5cN以上である〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の足回り編地製品。
〔5〕 上記熱融着性コンジュゲート糸が、ポリウレタン系樹脂とポリアミド系樹脂とからなり、これらの樹脂の割合が質量比で95/5〜80/20であることを特徴とする〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載の足回り編地製品。
〔6〕 上記熱融着性コンジュゲート糸が、ポリウレタン系樹脂からなる芯部と、ポリアミド系樹脂からなる鞘部とから構成される芯鞘型コンジュゲート糸であることを特徴とする〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載の足回り編地製品。
〔7〕 上記熱融着性コンジュゲート糸が、ポリウレタン系樹脂と、ポリアミド系樹脂とから構成されるサイドバイサイド型コンジュゲート糸であることを特徴とする〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載の足回り編地製品。
〔8〕 上記ポリアミド系樹脂の融点が、120〜160℃である〔5〕乃至〔7〕いずれかに記載の足回り編地製品。
〔9〕 上記ポリアミド系樹脂がナイロン6/ナイロン12共重合体樹脂又はナイロン12/ポリエ−テル共重合体樹脂である〔5〕乃至〔8〕のいずれかに記載の足回り編地製品。
〔10〕 上記カバリング糸が、熱融着性ポリウレタン弾性繊維からなる芯糸と、この芯糸に巻回されたポリアミド系繊維とからなることを特徴とする〔3〕乃至〔9〕のいずれかに記載の足回り編地製品。
本発明によれば、特定の伸度及び特定の残留歪を有する熱融着性コンジュゲート糸を含む編地を熱処理、特に湿熱処理することによって、熱融着性コンジュゲート糸同士及び/又は熱融着性コンジュゲート糸とその他の糸とを編地の伸長性能を抑制しすぎることなく熱融着させることができ、この熱処理編地を足回り編地製品に用いることで、高い伝線防止機能を有すると共に、熱融着後の伸縮性にも優れ、しかも編地の審美性(透明性)も兼ね備えた伝線防止機能に優れた足回り編地製品を得ることができる。このような特性を有する編地製品は、ストッキング等として好適に用いることができる。
本発明の足回り編地製品は、熱融着性を有する特定のコンジュゲート糸を用いて編成されてなり、この熱融着性コンジュゲート糸同士及び/又は熱融着性コンジュゲート糸とその他の糸とが交差部で熱融着されてなる編地を含むものである。
(1)熱融着性コンジュゲート糸
本発明では、編地に使用する糸として、その破断時伸度が170%以上、かつ、50%伸長時の残留歪が12%以下である熱融着性コンジュゲート糸を使用する。
ここで、コンジュゲート糸は、複数の異なる成分を同時に紡糸することで得られ、これらの成分が長さ方向に連続して互いに貼り合わさった構造を有するものである。例えば、ポリウレタン及びナイロンを用いたコンジュゲート糸を使用することで、ナイロン糸のみを使用する場合に比べ、フィット感や弾性特性に優れた編地を作製することができる。
また、熱融着性コンジュゲート糸とは、その糸を構成する樹脂が熱処理によって融着性能を発揮し、編地中でこの熱融着性コンジュゲート糸同士や、熱融着性コンジュゲート糸とその他の糸とを融着させることのできる糸を指す。コンジュゲート糸に熱融着性をもたせることで、編地の伸長性能を維持したまま、ノンラン効果を付与することができるものである。即ち、熱融着性コンジュゲート糸を含む編地を熱処理することにより、熱融着性を有するコンジュゲート糸を融解させて、コンジュゲート糸同士や、コンジュゲート糸とその他の糸とが交差している箇所を熱融着させることで、効果的に伝線を防止した編地を得ることができる。
本発明で用いる熱融着性コンジュゲート糸の破断時伸度は170%以上であり、より好ましくは190%以上であり、更に好ましくは200%以上である。上限は特に制限されないが、通常、650%以下である。熱融着していない編地は、編目間が自由に動くことで編地の伸度が得られるが、本発明においては、糸同士が交差点で熱融着して編目間が固定されている。よって、コンジュゲート糸の伸度が上記範囲より低すぎると、着脱時に編地が伸びずに着用しにくかったり、着用中の動作により、編地がやぶれたりする。伸度は高いほど良いが、上記範囲より高すぎると、応力が低くなり、締め付け感が失われる場合がある。
また、本発明の熱融着性コンジュゲート糸の50%伸長時の残留歪は12%以下であり、好ましくは11%以下、更に好ましくは6%以下である。12%を超えると、フィット性が劣り、また、伸長された編地が元に戻らない不具合が発生する。残留歪は小さい方が好ましく、0%が最も好ましい。
なお、破断時伸度及び50%伸長時の残留歪の測定方法は、下記の通りである。
破断時伸度
把握長4cm、300mm/分で糸が破断するまで、伸長させ、破断時の糸の伸びを、下記式により算出する。
破断時伸度(%)=(破断時伸びcm/把握長4cm)×100
50%伸長時の残留歪
把握長4cm、300mm/分で6cmまで伸長した後、直ちに伸長時と同じ速度で元の長さまで回復させることを2回繰返し、応力がゼロになった時の残留伸びを元とし、下記式により算出する。
残留歪(%)=(残留伸びcm/4cm)×100
(1−1)形状
ここで、本発明で用いる熱融着性コンジュゲート糸の形状としては、芯鞘型、貼り合わせ型(サイドバイサイド型)など、融着性能を有する糸であれば、どのようなものでも構わないが、編地中で均一に融着させやすいため、芯鞘型の熱融着性コンジュゲート糸が好ましい。
(a)芯鞘型
芯鞘型コンジュゲート糸の場合、断面形状は同心円状でも、偏心状でも構わない。
(b)サイドバイサイド型
サイドバイサイド型コンジュゲート糸の場合、半円を2つ合わせた形状や、三日月形状の樹脂が一方の樹脂を包み込む形状等、種々の形状が使用できるが、中でも、半円を2つ合わせた形状が好ましい。
(1−2)樹脂
本発明の熱融着性コンジュゲート糸に用いる樹脂としては、編地中での融着性を損なわない範囲であれば特に制限されず、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が適宜使用できる。なかでも、ポリウレタン樹脂とポリアミド樹脂の2種を組み合わせて用いることが、紡糸時の溶融温度が近接している点や、所望の破断伸度及び残留歪が得られる点から好ましい。
(a)芯鞘型
芯鞘型コンジュゲート糸では、コンジュゲート糸に弾性を持たせる目的で、芯部分にポリウレタン樹脂を使用することが好ましい。この場合、ポリウレタン樹脂は熱融着糸でなくてもよく、コンジュゲート糸に弾性を付与できればいずれのものでも構わない。このようなポリウレタンとしては、いかなる組成のものでもよく、従来より公知な熱可塑性ポリウレタン樹脂、例えば、ポリオールと過剰モル量のジイソシアネートを反応させ、両末端にイソシアネート基を有するポリウレタン中間重合体を製造し、該中間重合体のイソシアネート基と容易に反応し得る活性水素を有する低分子量ジアミンや低分子量ジオールを反応させたポリマーをペレット化したもの等が挙げられるが、市販品を使用することができ、例えば、ポリエステル系ポリウレタン(全ポリオール中の50モル%を超える量がポリエステルポリオールで構成されたポリウレタン、商品名:BASFジャパン(株)製 Elastllan ET690−10、商品名:日本ポリウレタン工業(株)製 Miractran P490)等が挙げられる。また、市販品以外に、ワンショット法やプレポリマー法、ダブルプレポリマー法により得られたポリマーを、芯糸として使用することもできる。
芯鞘型コンジュゲート糸の鞘部分には、ポリアミド系樹脂を使用することが好ましい。ここで、鞘部分に用いるポリアミド系樹脂は、交編相手として使用する糸の熱融着性、例えばカバリング糸のポリウレタン弾性繊維の熱融着性にもよるが、融点の低いものが好ましく、ポリアミド系樹脂の融点は120〜160℃、特に130〜150℃が好ましい。ポリアミド系樹脂の融点が高すぎると、熱融着の度合いが低下し、ほつれが発生してしまう場合があり、低すぎると、芯部分に使用するポリウレタン樹脂との溶融粘度の差が大きくなりすぎて、紡糸工程での安定性が低下する場合がある。なお、ポリアミド系樹脂の融点の測定方法は下記の通りである。
融点測定(フロー温度法)
フローテスターCFT−500A形((株)島津製作所製)を使用し、サンプル量1.5g、ダイ(ノズル)の直径0.5mm、厚み1.0mmとして30kgfの押出荷重を加え、初期設定温度120℃で予熱時間240秒の後、3℃/分の速度で等速昇温した時、描かれるトナープランジャー降下量−温度曲線を求める。等速昇温されるにしたがい、トナーは徐々に加熱され、ポリマーが流出し始める。このときの流出開始温度(フロー温度)を融点とする。更に昇温すると溶融状態となったトナーは大きく流出し、プランジャー降下が停止し、終了する。
上述したように、本発明では、破断時伸度が170%以上、かつ、50%伸長時の残留歪が12%以下である熱融着性コンジュゲート糸を使用する必要があるが、そのようなコンジュゲート糸を得るためには、ポリアミド系樹脂として、糸にしたときの弾性に優れたポリアミド系樹脂を使用することが好ましい。このようなポリアミド系樹脂としては、市販のものを使用することが出来る。例えば、ナイロン6/ナイロン12共重合体(宇部興産(株)製 商品名:UBE NYLON 7128B)、ナイロン12/ポリエ−テル共重合体(宇部興産(株)製 商品名:UBESTAXPA9040、ダイセルテグザ(株)製 商品名:VESTAMIDBS0865)等が挙げられる。
(b)サイドバイサイド型
サイドバイサイド型コンジュゲート糸には、上述したポリウレタン樹脂以外に、熱融着性を有するポリウレタン樹脂を使用することもできる。特に、熱融着性コンジュゲート糸とカバリング糸との交編編地を作製した場合には、そのカバリング糸の芯糸である熱融着性ポリウレタン弾性繊維等の熱融着性弾性繊維と良好に融着させることができる。
このようなポリウレタン樹脂としては、いかなる組成のものでもよく、従来より公知な熱可塑性ポリウレタン樹脂、例えば、ポリオールと過剰モル量のジイソシアネートを反応させ、両末端にイソシアネート基を有するポリウレタン中間重合体を製造し、該中間重合体のイソシアネート基と容易に反応し得る活性水素を有する低分子量ジアミンや低分子量ジオールを反応させたポリマーをペレット化したもの等が挙げられる。例えば、ポリエステル系ポリウレタン(日本ポリウレタン工業(株)製 商品名:Miractran P490)等の市販品を用いることができる。
サイドバイサイド型コンジュゲート糸に用いるもう一方の樹脂としては、ポリアミド系樹脂が挙げられる。ポリアミド系樹脂は、上述した低融点ポリアミド系樹脂であってもなくても良く、公知のものを特に制限なく使用することができるが、組み合わせて使用するポリウレタン樹脂等の樹脂が熱融着性でない場合、上記した低融点ポリアミド系樹脂を用いることが好ましく、熱融着性ポリウレタン樹脂を用いる場合は、特に制限なく使用できる。
(1−3)樹脂の比率
コンジュゲート糸を構成する樹脂の使用割合は特に制限されないが、例えば、ポリウレタン系樹脂を芯とし、ポリアミド系樹脂を鞘として組み合わせた芯鞘型の場合は、これらの樹脂の使用比率は、質量比で芯(ポリウレタン系樹脂)/鞘(ポリアミド系樹脂)=95/5〜80/20が好ましく、より好ましくは90/10〜80/20である。鞘比率が5質量%未満になると均一な紡糸が困難となるおそれがある。例えば紡糸工程での糸切れが多発し、安定に生産することができない場合があり、更に、糸斑が発生する場合がある。また、鞘比率が20質量%を超えると、編地自体の伸縮性が損なわれる上、熱処理時により糸が硬化して、糸切れや、編地が破ける等の不具合が生じる場合がある。所定の破断時伸度及び50%伸長時の残留歪を有するコンジュゲート糸を得る点からしても、樹脂の使用割合を上記範囲とすることが好ましい。サイドバイサイド型の場合も、ポリウレタン樹脂とポリアミド樹脂の割合を上記と同様にすることが好ましい。
本発明で用いる熱融着性コンジュゲート糸は、上記樹脂により構成され、典型的には、芯鞘型の場合は、鞘部分のポリアミド系樹脂が融解して交差する糸と熱融着し、サイドバイサイド型では、ポリウレタン樹脂及び/又はポリアミド系樹脂が融解して交差する糸と熱融着する。
(1−4)紡糸方法
熱融着性コンジュゲート糸の紡糸方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができるが、例えば、芯鞘型の紡糸方法は、以下のとおりである。
(a)芯部分及び鞘部分の両樹脂の原液作製
ポリウレタン樹脂を180〜220℃で融解させ、ポリアミド系樹脂を150〜210℃で融解して原液を作製する。
(b)複合紡糸
複合口金を上下に2個配した口金で、ポリウレタン樹脂が芯部に、ポリアミド系樹脂が鞘部になるように、同心円型に複合紡糸する。
(2)その他の糸
本発明の足回り編地製品は、上記熱融着性コンジュゲート糸を含む編地を製品の少なくとも一部に含むものであるが、この編地を構成する糸としては、上記コンジュゲート糸以外に、例えば、カバリング糸、コアスパン糸、合撚糸、エア交絡糸等の複合糸や、木綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック等の再生繊維、アセテート等の半再生繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリウレタン等の化学合成繊維等からなる糸を使用することができる。
これらのなかでも熱融着性コンジュゲート糸と熱融着しやすい糸条としては、熱処理時に溶融、接着しやすいことが望ましく、そのため、熱可塑性を有する合成繊維が好ましい。なかでもナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンが好ましい。ストッキングに使用する場合、染色加工性、着用時の吸放湿性能から、ナイロンを使用することがより好ましい。また、複合糸を使用する場合、芯糸の被覆度のコントロールが容易で、均一に被覆できる点からカバリング糸を使用することが好ましい。更に、カバリング糸は、その中心に熱融着性弾性繊維を配置できるので、製品のちらつき防止などに効果的である。この場合、熱融着性コンジュゲート糸とその他の糸との使用割合は、レッグ部を構成する糸の本数比で50/50〜100/0程度であることが好ましい。
(2−1)カバリング糸
カバリング糸は、芯糸にポリウレタン弾性繊維等の弾性繊維を使用することができる。特に芯糸は、熱融着糸であっても、熱融着糸でなくても良いが、高い熱融着性能を得るために、熱融着糸であることが好ましい。被覆糸には、上記と同様な天然、再生、半再生、化学合成繊維を使用することができる。特に、芯糸に熱融着性ポリウレタン弾性繊維を、鞘糸にナイロン糸を用いることがコンジュゲート糸に用いるナイロンとの融着性の点から好ましい。また、交編編地等の編地内でのラン防止性能を上げるためには、繊維相互を、交編編地等の編地内で固定させることが好ましい。本発明で使用するカバリング糸に用いられる熱融着性弾性繊維は、熱融着性、伸度、耐久性等の面から熱融着性ポリウレタン弾性繊維が好ましい。
なお、カバリング糸としては、シングルカバリングヤーン(SCY)又はダブルカバリングヤーンがあるが、どちらも芯糸の熱融着性弾性繊維の被覆率を制御することができる。通常、コスト的には安価にできるSCYが好まれる。
カバリング糸の芯糸に使用する熱融着性弾性繊維の融点は、160〜200℃が好ましく、より好ましくは175〜195℃である。熱融着性弾性繊維の融点が低すぎると熱処理中に熱融着性弾性繊維の断糸が発生する場合があり、高すぎると熱融着力が不足するため、ラン防止効果を発揮することができない場合がある。なお、融点は、上述したフロー温度法により測定することができる。
カバリング糸の芯糸に熱融着性ポリウレタン弾性繊維を用いる場合、この熱融着性ポリウレタン弾性繊維の物性は、熱処理によって融着するものであれば特に制限されず、一般的なポリウレタン弾性繊維の範囲であれば良いが、以下の物性を有していることが好ましい。
即ち、2倍伸長下で、150℃で45秒間乾熱処理したときの耐熱強力保持率の値が20%以上、特に30%以上であることが好ましい。耐熱強力保持率が20%未満では、ランやほつれ防止効果があってもポリウレタン弾性繊維の熱セット率が大きくなりすぎ、伸長回復性が低下したり、物性低下が大きくなる場合がある。耐熱強力保持率の上限は特に制限されないが、通常110%以下、特に100%以下である。
また、本発明で用いられるポリウレタン弾性繊維は、140℃で45秒間乾熱処理した場合、耐熱強力保持率の値は40%以上、特に50%以上であることが好ましく、150℃で45秒処理したときの強力保持率が20%以上、かつ140℃で45秒処理した場合の強力保持率が40%以上となることが好ましい。
更に、本発明で使用するポリウレタン弾性繊維は、300%伸長した直後の残留歪が40%以下、特に35%以下であることが好ましい。残留歪が40%より大きいポリウレタン弾性繊維を使用した製品は、膝抜け、伸びきり等の問題や、身体へのフィット性が低下する点から好ましくない。残留歪は小さい程好ましく、0%が最も好ましい。
なお、ポリウレタン弾性繊維の耐熱強力保持率、熱セット率及び300%伸長時の残留歪の測定方法は、下記の通りである。
耐熱強力保持率
ポリウレタン弾性繊維を把握長8cmで保持し、16cmに伸長する。伸長した状態で所定温度に保った熱風乾燥機中に45秒間入れ、乾熱処理する。熱処理後のポリウレタン弾性繊維の破断時強力を、定伸長の引っ張り試験機を使用し、把握長5cm、伸長速度500m/分で測定する。測定時の環境は温度20℃、相対湿度65%とする。熱処理前の繊維に対する耐熱強力保持率を表示する。
熱セット率
ポリウレタン弾性繊維を把握長8cmで保持し、16cmに伸長する。伸長した状態で所定温度に保った熱風乾燥機中に45秒間入れ、乾熱処理する。熱処理終了より30秒間で把握長を4cmまで狭くして、糸を弛ませた状態にする。熱処理終了より5分30秒後、把握長を大きくし、やや伸長した状態にした後、1mmずつ把握長を狭くしていく。全糸に注目し、糸が弛み始めたところの長さを測定する。測定時の環境は温度20℃、相対湿度65%とする。
次の式で熱セット率を求めた。
熱セット率(%)=[(16cm−測定値cm)/8cm]×100
300%伸長時の残留歪
把握長4cm、300mm/分で16cmまで伸長した後、直ちに伸長時と同じ速度で元の長さまで回復させ、応力がゼロになった時の残留伸びを元とし、下記式により算出する。
残留歪=(残留伸びcm/4cm)×100(%)
カバリング糸に用いる熱融着性ポリウレタン弾性繊維の繊度は、審美性、実用性、コストの点から11〜470dtexであることが好ましく、より好ましくは11〜156dtex、更に好ましくは22〜78dtexである。また、ドラフト率(伸長倍率)は1.1〜5.5倍であることが好ましく、より好ましくは2.0〜3.8倍、更に2.6〜3.6倍が好ましい。撚り数を300〜2800T/m、より好ましくは、1400〜2100T/mとするのが好ましい。撚数が300T/mよりも低いと、編機での編成時の加工安定性が低下する場合があり、2800T/mよりも高いと、芯糸の熱融着性ポリウレタン弾性繊維の被覆度が高くなり、熱融着しにくくなる場合がある。
従って、熱融着性ポリウレタン弾性繊維のドラフト率(伸長倍率)や、非弾性繊維(上記した天然、再生、半再生、化学合成繊維。以下同様。)の繊度等により、撚り数は適宜変更する必要があるが、芯糸の熱融着性ポリウレタン弾性繊維の被覆率を40%以下に調整することが好ましく、より好ましくは35%以下、更に好ましくは30%以下である。熱融性ポリウレタン弾性繊維の被覆率が40%を超えると、熱融着性ポリウレタン弾性繊維相互の熱融着箇所が少なくなり、伝線が発生する場合がある。
伝線、ほつれやカールを起こしにくく、弾性繊維本来の伸度を発揮させる点で上記の通りの被覆率が好ましい。一方、編機での編成時の加工安定性の点などから、被覆率は5%以上、更には15%以上が好ましい。
なお、本発明において、カバリング糸の被覆率は(1)式で計算した値である。
C=(0.012×√D×T/(1000/DR))×100 (1)式
ここで、Cは被覆率(%)を、Dは熱融着性弾性繊維の周囲に被覆される非弾性繊維の繊度(デシテックス)を、Tは撚糸時の撚り数(T/m)を、DRはカバリング又は撚糸時の弾性繊維のドラフトを示す。
一方、カバリング糸の被覆糸に用いる非弾性繊維の繊度は、やはり審美性や実用性、コストの面から、5.5〜156dtexであることが好ましく、より好ましくは8〜78dtexである。
本発明のカバリング糸に用いる熱融着性ポリウレタン弾性繊維は、後述する測定方法による熱融着力が、3.5cN以上であることが好ましく、より好ましくは4.0cN以上であり、更に好ましくは5.0cN以上である。
本発明のカバリング糸に使用する熱融着性ポリウレタン弾性繊維の製造方法は、上記特性を備えた熱融着性ポリウレタン弾性繊維が得られる限り、特に制限されるものではなく、溶融紡糸方法及び乾式紡糸方法のいずれを採用してもよい。
例えば、ポリオールと過剰モル量のジイソシアネートを反応させ、両末端にイソシアネート基を有するポリウレタン中間重合体を製造し、該中間重合体のイソシアネート基と容易に反応し得る活性水素を有する低分子量ジアミンや低分子量ジオールを不活性な有機溶剤中で反応させてポリウレタン溶液(ポリマー溶液)を製造した後、溶剤を除去し、糸条に成形する方法や、ポリオールとジイソシアネートと低分子量ジアミン又は低分子量ジオールとを反応させたポリマーを固化し、溶剤に溶解させた後、溶剤を除去し、糸条に成形する方法、前記固化したポリマーを溶剤に溶解させることなく加熱により糸条に成形する方法、前記ポリオールとジイソシアネートと低分子量ジオールとを反応させてポリマーを得、該ポリマーを固化することなく糸条に成形する方法、更には、上記のそれぞれの方法で得られたポリマー又はポリマー溶液を混合した後、混合ポリマー溶液から溶剤を除去し、糸条に成形する方法等がある。
溶融紡糸法にて本発明のカバリング糸に用いるポリウレタン弾性繊維を得る方法は、特に制限されるものではないが、例えば以下の3つの方法が知られている。
(i)ポリウレタン弾性体チップを溶融紡糸する方法。
(ii)ポリウレタン弾性体チップを溶融した後、ポリイソシアネート化合物を混合して紡糸する方法。
(iii)ポリオールとジイソシアネートを反応させたプレポリマーと低分子量ジオールとを反応させた紡糸用ポリマーを合成した後、固化させることなく紡糸する反応紡糸方法。
(iii)の方法は、(i)、(ii)の方法に比べ、ポリウレタン弾性体チップを取り扱う工程が無いため簡略であり、また、プレポリマーの反応機への注入割合を調節して、紡糸後のポリウレタン弾性繊維中の残留イソシアネート基の量を調整でき、この残留イソシアネート基による鎖延長反応で耐熱性の向上を得ることもできるため、好適な方法である。更に、(iii)の方法では、特表平11−39030号公報に開示されているように、低分子量ジオールをプレポリマーの一部と事前に反応させ、水酸基過剰のプレポリマーとして反応機に注入する方法も行うことができる。
より具体的には、(I)第一ポリオール及びジイソシアネートを反応させて得られる両末端イソシアネート基プレポリマー(以下「両末端イソシアネート基プレポリマー」とする)と、(II)第二ポリオール、ジイソシアネート及び低分子量ジオールを反応させて得られる両末端水酸基プレポリマー(以下「両末端水酸基プレポリマー」とする)とを反応させて得られるポリマーを固化することなく溶融紡糸する方法を好適に採用することができる。このような熱融着性ポリウレタン弾性繊維としては市販品を用いることができ、例えば日清紡績(株)製のモビロン(登録商標)K−Lを好適に使用することができる。
(3)熱融着性コンジュゲート糸含有編地
(3−1)編地組織
本発明の足回り編地製品は、上記熱融着性コンジュゲート糸を含む編地を製品の少なくとも一部に含むものであり、この編地の形態としては、上記熱融着性コンジュゲート糸を含むものであれば特に制限されないが、例えば、ゾッキ編地が挙げられる。ゾッキ編地とは、主となる部分、ストッキングであればレッグ部を1種類の糸のみで編成した編地のことをいい、特に、上述したコンジュゲート糸のみを使用することが好ましい。コンジュゲート糸のみを用いることによって、編地にヨコ縞がなく、表面が均一な仕上がりとなる。更に、交編編地が挙げられる。交編編地とは、2種の糸を交互に編み込んだ編地のことをいい、特に、上述したカバリング糸とコンジュゲート糸とを交互に編み込んだ編地とすることが好ましい。このような交編編地を足回り編地製品に用いることによって、コンジュゲート糸とカバリング糸との応力差、熱セット率の差により、製品のコース間隔に差ができ、透明感が高まることから好ましい。更に、大きく仕上がるため、はきやすく、薄くて軽い足回り編地製品を得ることができる。また、交編編地とすることで、熱融着性コンジュゲート糸のみを使用する場合に比べ、フィット感が得られやすい。更に、熱融着性コンジュゲート糸と少なくとも1種類の非弾性繊維をプレーティング編することもできる。編地組織は、特に限定されず、平編地、ゴム編地、パール編地等の緯編地や、トリコットやラッセル等の経編地等種々のものを採用することができるが、中でも、緯編地を好適に用いることができ、その変化組織として、タック編、浮編、パイル編、レース編とすることもできる。例えばプレーンストッキングと呼ばれるものを例に挙げると、レッグ部は平編組織で構成することができる。
上記編地を作製する際に使用する編機は、特に制限されず、通常使用されるものを用いることができる。例えば、ストッキング編機、靴下編機、ガーメント・レングス編機等が好適に使用できる。編地の作製条件(カウント数、伸び寸等)も、通常公知の条件を目的の編地によって適宜調整して用いることができる。
(3−2)熱セット
(i)プリセット パンスト編機等によって製編された編地は、通常、編目や寸法を安定させるために、プリセットする。プリセットは、80℃、15分程度の湿熱処理を行う。
(ii)得られた編地を熱セット(熱処理)する。熱セットは、湿熱又は乾熱により行うことができる。湿熱セットは、例えば、(株)芦田製作所製のスチームセッターを使用し、蒸気元圧2.5〜3.0kgf/cm2にて通蒸バルブを開放し、密閉したセット室内に蒸気を入れ、セット室内を所定の温度にコントロールする。乾熱セットは、ピンテンターのようなセット機を用いて、熱風によって熱固定することにより行うことができる。
(3−3)セット温度
湿熱セットの温度は、80〜140℃が好ましく、より好ましくは90〜135℃、更に好ましくは115〜125℃である。編地を型板に取り付け、セット室内に入れ、所定の時間セットする。
乾熱セットの温度は、120〜180℃が好ましく、より好ましくは140〜160℃である。
(3−4)セット時間
セット時間は、湿熱の場合、5〜60秒が好ましく、より好ましくは15〜25秒である。乾熱の場合は、30〜90秒が好ましく、より好ましくは50〜70秒である。
熱セットの温度が低すぎたり、時間が短すぎると、熱融着力又はセット効果が不足したり、編地の寸法安定性が低下するおそれがある。セット温度が高すぎたり、時間が長過ぎると、非弾性繊維の強力低下や熱変色、風合いが硬くなる、収縮特性が劣るなどの弊害が生じてくるおそれがある。本発明においては、短時間で効率よく融着性能を得ることができる点や、編地の風合いを損ねないといった点から、湿熱セットすることが好ましい。
(3−5)乾燥
湿熱セットの場合、乾燥は、乾熱120℃程度の乾燥室に入れ、30秒間程度、乾燥する。
(3−6)セット機
熱セットを行うセット機は、上記設定温度、設定時間で熱セットできるものであれば、特に限定されない。
(3−7)熱融着
この湿熱又は乾熱処理により、熱融着性コンジュゲート糸のみを使用する編地の場合には、熱融着性コンジュゲート糸同士が、交編編地の場合には、特に、カバリング糸の芯糸である熱融着性ポリウレタン弾性繊維と熱融着性コンジュゲート糸とが交差部で熱融着する。サイドバイサイド型の場合は、熱融着性コンジュゲート糸同士や、カバリング糸の芯糸である熱融着性ポリウレタン弾性繊維と、熱融着性コンジュゲート糸に使用した熱融着性ポリウレタン弾性繊維及び/又はナイロンとの交差部が熱融着することとなる。
ここで、本発明において、熱融着とは、熱融着性を有する繊維が外からの熱又は熱と圧力とにより、繊維同士が融着し、密着している状態や、繊維の少なくとも一部が融着し、密着している状態、或いは融着まで至らなくても繊維同士が接着している状態をいう。
本発明で用いる熱融着性コンジュゲート糸含有編地(熱処理後)の熱融着力は、2.0cN以上が好ましく、より好ましくは3.5cN以上であり、特に好ましくは5.5cN以上である。熱融着力が2.0cN未満では伝線防止効果が認められない場合があり、2.0cN以上3.5cN未満では、パンティストッキング等の使い捨て製品や伝線防止に一定の効果がある。3.5cN以上になると伝線防止は更に効果的であり、編地に傷が入っても伝線防止に効果があり、伝線防止やほつれに対する耐久性は熱融着力に比例して高くなる。熱融着力が強いほど、伝線防止効果が高いため、熱融着力に上限はないが、熱融着力がより高くなり、編地から糸を取り出すことが出来ない程に熱融着した場合、「完全融着」と評価して熱融着力が最大に達したことを示す。しかし、熱融着力を上げるために熱処理を強くすると、共用した繊維が硬くなり、風合いなどが低下するおそれがあり、適度な熱融着力と、使用した繊維本来の風合いが発現する条件を適宜選択することが望ましい。熱融着力を上記範囲とするためには、コンジュゲート糸の樹脂の種類や使用割合、コンジュゲート糸と組み合わせて使用する糸の種類を適宜選択することで調整する。
ここで、本発明において、足回り編地製品の熱融着力測定方法は下記の通りである。
(i)測定対象となる編地の編み終わりから解編し、編込まれている口数分の糸を取り出す。
(ii)熱融着力を以下の方法で測定する。
引張試験機[(株)島津製作所製精密万能試験機]上部チャックに把持した編地の端から取り出された糸1本を0.1cNの荷重下で下部チャックに把持し、つかみ間隔(チャック間隔)100mm、引張速度100mm/分で引張り、編地から糸を解編する時の張力を測定する。
次いで、熱融着部位が解離する度に計測される解編張力のピーク点について、解編応力が安定する伸長量100mmから200mmの間で値が大きい3番目までのピーク点を平均して、ピーク平均解編張力(cN)を求める。
同様にして、別に取り出された糸のピーク平均解編張力をそれぞれ測定し、それらのピーク平均解編張力の平均値を算出し、熱融着力(cN)とする。
このようにして得られた熱融着性コンジュゲート糸含有編地は、例えば、ウエストゴム部、口ゴム部、パンティ部、レッグ部及びつま先部を含むストッキング等の足回り編地製品では、少なくともレッグ部に用いることが好ましく、足回り編地製品全体を上記編地で作成してもよい。
(4)足回り編地製品の作製
(4−1)本発明の足回り編地製品に用いられる熱融着性コンジュゲート糸含有編地以外の編地としては、上述した熱融着性コンジュゲート糸含有編地に用いられる編組織と同様の編組織のものを採用することができる。中でも、その生地の持つ薄さ、風合いなどから、平編地を用いるのが好ましい。ストッキング等の薄手の足回り製品として使用する場合には、プレーンストッキング、又は柄ストッキングと呼ばれるものである。
これらの編地に用いられる糸としては、上記熱融着性コンジュゲート糸含有編地に使用するその他の糸として説明したものと同様な糸を用いることができる。
これらの編地を作製する際に使用する編機は、上記した編地が得られる限り特に制限されず、通常使用されるものを用いることができる。例えば、ストッキング編機、靴下編機、ガーメント・レングス編機等が好適に使用できる。編地の作製条件(カウント数、伸び寸等)も、通常公知の条件を目的の編地によって適宜調整して用いることができる。
(4−2)縫製
足回り編地製品が各部位からなる場合は、必要に応じてミシンにより、つま先、パンティ部等を縫製し、足回り編地製品の形体とする。
(4−3)染色加工
必要に応じて染色加工する。
(4−4)
その後、必要に応じ、上述した熱セットを行うことができる。
本発明の足回り編地製品は、フィット性や弾性回復性に優れるため、特に足部分に着用する足回り編地製品、例えばトゥクッション、フットカバー、アンクレット、ソックス、クルーソックス、ブーツソックス、スリーコーター、ハイソックス、オーバーザニー、ストッキング、パンティストッキング、タイツ、スパッツ、トレンカー、レッグウォーマー等、特にはストッキング、パンティストッキング等の薄地の足回り編地製品として好適に使用することができる。より具体的な例としては、パンティストッキングの場合、レッグ部を熱融着性コンジュゲート糸を用いて編成された編地とし、つま先部、パンティ部、ウエストゴム部の構成については、例えばナイロンのみ、ナイロンとカバリング糸の交編、缶リング糸のみ等、公知の方法で編成することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
(1)熱融着性コンジュゲート糸の作製
下記熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を芯部、ポリアミド樹脂(B)を鞘部にし、芯鞘比率が質量比で80/20で、210℃に加熱した口金を使用し、巻き取り速度は600m/分で巻き取り、33dtexの芯鞘型コンジュゲート糸を作製した。複合繊維における熱可塑性ポリウレタン樹脂とポリアミド樹脂の芯鞘比率は各成分のギアポンプの吐出比により調整した。熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)及びポリアミド樹脂(B)は下記のものを使用した。
■芯樹脂:熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)
ポリエステル系ポリウレタン
(日本ポリウレタン工業(株)製 商品名:Miractran P490)
■鞘樹脂:ポリアミド樹脂(B)
ナイロン12/ポリエーテル共重合体
(宇部興産(株)製 商品名:UBESTA XPA9040)
鞘樹脂の融点をフローテスターで測定したところ、135℃であった。
作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は230%、50%伸長時の残留歪は4.8%であった。
(2)カバリング糸の作製
カバリング糸の芯糸として、熱融着性ポリウレタン弾性繊維である、日清紡績(株)製モビロン(商標登録)K−Lを使用した。
日清紡製モビロンK−Lの融点をフローテスターで測定したところ、184℃であった。また、耐熱強力保持率は、140℃の場合57%、150℃の場合40%であった。熱セット率は、140℃の場合が50%、150℃の場合が59%であった。300%伸長時の残留歪は、30%であった。
上記熱融着性ポリウレタン弾性繊維を3.1倍ドラフトし、被覆糸としてナイロン6(商品名:ミラコスモ、東レ(株)製)、17dtex/3フィラメント5を1400T/mで被覆してSCY糸を得た。
(3)パンティストッキング(以下パンスト)編地の作製
ストッキング編機(ロナティ社製L416/R、釜径:4インチ、針数400本)の給糸口4口に、得られたコンジュゲート糸、カバリング糸を交互に2本ずつ給糸し、カウント2,400コース、伸び寸48cmとして交編パンティストッキングを作製した。
次いで、得られた編地を下記工程にて処理した。
1)プリセット
湿熱80℃×15分(編目や寸法を安定させる。)
2)縫製
ペアクローザー又はミシンによりパンティ部、トゥ部を縫い合わせた。
3)染色
95℃、60分の条件で染色した。
4)湿熱セット処理
(株)芦田製作所製のスチームセッターを使用し、縫製後の編地を幅11cmのア
ルミ製型板(足型)に入れた状態で、ウェル方向に1.2倍伸長し、その状態に保
ったまま、該編地を120℃で20秒間湿熱処理した。
(4)評価
上記で作製したパンストについて、ラン評価及び伸長性能評価を行ったところ、ランは発生せず、○であり、伸長性能は○であった。
また、パンスト編地の熱融着力は6.3cNであった。
ラン評価
交編編地の片面の任意の5箇所の編目をはさみで切断し、カーブのついたアクリル板(チェトメ社製の靴下・ストッキングのサイズ採寸測定器ミズラトーレに付属したアクリル板を使用した。該アクリル板の概寸は、幅約20cm、長さ約80cm、凹部の深さ最大約4cmであった。)に編地を挿入した。
この時、編目を切断した面が板の凹側になるよう挿入した。該編面は板面と接触しないで挿入されるので、ラン(伝線)が最も発生し易い状態となり、この時のランの有無でパンストの耐ラン性を評価した。
なお、上記アクリル板へ編地を挿入する際は、着用時のパンストへかける力と同等ないし同等以上の力を加えることが好ましい。例えば、手で素早く挿入してもよいし、あるいは編地に定荷重(1kgf)の力を加え挿入してもよい。実施例及び比較例では、当該編地を手で素早く挿入することで評価した。カーブのついたアクリル板への挿入は合計2回繰り返し、その後、ランの発生状態を観察し、下記の通りに評価した。
○:ランが発生しない
×:ランが発生する
伸長性能評価
また、上記で作製されたパンストの足回り部をヨコ方向に手で伸ばし、その伸長状態を確認し、下記の通りに評価した。
○:パンスト編地を2倍伸長して着用するのに適した伸長性能を有していた。
△:パンストとして着用できるが、やや伸長性能を損なうものであった。
×:パンストとして着用できない程、伸長性能を損ねていた。
[実施例2]
実施例1で作成したコンジュゲート糸のみを使用して、湿熱セット処理を115℃で行った以外は実施例1と同様に、ゾッキパンティストッキングを得た。
作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず、○であり、伸長性能は○であった。
また、パンスト編地の熱融着力は10.2cNであった。
[実施例3]
実施例1で用いた熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)を使用し、実施例1と同様にして、質量比率A/B=95/5で巻き取り、繊度44dtexの芯鞘型コンジュゲート糸を得た。作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は600%、50%伸長時の残留歪は3.9%であった。
作製されたコンジュゲート糸のみを使用して実施例1と同様に、ゾッキパンティストッキングを得た。作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず、○であり、伸長性能は○であった。
また、パンスト編地の熱融着力は6.2cNであった。
[実施例4]
樹脂質量比率をA/B=90/10にした他は実施例3と同様にして芯鞘型コンジュゲート糸を得た。作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は620%、50%伸長時の残留歪は4.2%であった。
実施例1で使用した熱融着性ポリウレタン弾性繊維を3.1倍でドラフトし、被覆糸としてナイロン6(商品名:ミラコスモ、東レ(株)製)、13dtex/7フィラメントを1800T/mで被覆してSCY糸を得た。
実施例1と同様に、得られたコンジュゲート糸、カバリング糸を交互に給糸して交編パンティストッキングを得た。
作製された交編パンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず、○であり、伸長性能は○であった。
また、パンスト編地の熱融着力は4.0cNであった。
[実施例5]
実施例1に用いた熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)を使用し、サイドバイサイド型に貼り合わせたコンジュゲート糸を、質量比率A/B=80/20で、巻き取り速度600m/分で巻き取り、繊度33dtexのサイドバイサイド型コンジュゲート糸を得た。複合繊維における熱可塑性ポリウレタン樹脂とポリアミド樹脂の芯鞘比率は各成分のギアポンプの吐出比により調整した。
作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は210%、50%伸長時の残留歪は4.7%であった。
作製されたコンジュゲート糸のみを使用して、湿熱セット処理温度を115℃とした以外は実施例1と同様に、ゾッキパンティストッキングを得た。作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず、○であり、伸長性能は○であった。
また、パンスト編地の熱融着力は5.9cNであった。
[実施例6]
樹脂質量比率をA/B=90/10にした他は実施例5と同様にして繊度44dtexのサイドバイサイド型コンジュゲート糸を得た。作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は300%、50%伸長時の残留歪は4.1%であった。
作製されたコンジュゲート糸のみを使用して、実施例1と同様に、ゾッキパンティストッキングを得た。作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず、○であり、伸長性能は○であった。
また、パンスト編地の熱融着力は4.8cNであった。
[実施例7]
使用した樹脂を下記に変更した他は、実施例1と同様に紡糸し、67dtexの芯鞘型コンジュゲート糸を得た。
■芯樹脂:熱可塑性ポリウレタン樹脂(C)
ポリエステル系ポリウレタン
(BASFジャパン(株)製 商品名:Elastollan ET690−10)
■鞘樹脂:ポリアミド樹脂(D)
ナイロン6/ナイロン12共重合体
(宇部興産(株)製 商品名:UBE NYLON 7128B)
鞘樹脂の融点を測定したところ、146℃であった。
作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は290%、50%伸長時の残留歪は10.8%であった。
作製されたコンジュゲート糸のみを使用して、実施例1と同様にゾッキパンティストッキングを得た。作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず、○であった。また、残留歪によりフィット感が低めであったが、着用できる範囲であったため、伸長性能は△と評価した。
また、パンスト編地の熱融着力は5.3cNであった。
[実施例8]
鞘樹脂を下記に変更した他は、実施例1と同様に紡糸し、78dtexの芯鞘型コンジュゲート糸を得た。
■ポリアミド樹脂(E)
ナイロン12/ポリエーテル共重合体
(ダイセルテグザ(株)製、商品名:VESTAMID BS0865)
鞘樹脂の融点を測定したところ、135℃であった。
作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は500%、50%伸長時の残留歪は8.3%であった。
作製されたコンジュゲート糸のみで、湿熱セット処理温度を115℃とした以外は実施例1と同様に、ゾッキパンティストッキングを得た。作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず、○であった。また、伸長性能はパンストとして着用できるが、残留歪によりフィット感が低めであったが、着用できる範囲であったため、△と評価した。
また、パンスト編地の熱融着力は8.6cNであった。
[比較例1]
KBセーレン(株)製芯鞘型コンジュゲート糸(鞘樹脂融点218℃、19dtex)を使用し、コンジュゲート糸のみを使用して、湿熱セット処理温度を115℃とした以外は実施例1と同様に、ゾッキパンティストッキングを得た。
コンジュゲート糸の破断時伸度は130%、50%伸張時の残留歪は24%であった。
作成されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、伸張性能は○であったが、パンスト編地の熱融着力は0.7cNで、ランが発生したため×と評価した。
[比較例2]
樹脂質量比率をC/D=50/50にした他は、実施例7と同様にして繊度22dtexのコンジュゲート糸を作製した。作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は200%、50%伸張時の残留歪は21.9%であった。
作製されたコンジュゲート糸と実施例1で作製したカバリング糸を交互に給糸して、交編パンティストッキングを得た。
作製された交編パンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず○であったが、残留歪が大きいためにフィット感がなく、伸張性能は×と評価した。
また、パンスト編地の熱融着力は14.7cNであった。
[比較例3]
樹脂質量比率をC/D=70/30にした他は、実施例7と同様にして繊度44dtexのコンジュゲート糸を作製した。作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は268%、50%伸張時の残留歪は14.6%であった。
作製されたコンジュゲート糸のみを使用して、実施例1と同様にしてゾッキパンティストッキングを得た。
作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず○であったが、残留歪が大きく、フィット感が不足すると感じられたため、伸張性能は×と評価した。
また、パンスト編地の熱融着力は7.0cNであった。
[比較例4]
樹脂質量比率をC/D=75/25にした他は、実施例7と同様にして繊度44dtexのコンジュゲート糸を作製した。作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は275%、50%伸張時の残留歪は13.0%であった。
作製されたコンジュゲート糸のみを使用して、湿熱セット処理温度を115℃とした以外は実施例1と同様にしてゾッキパンティストッキングを得た。
作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず○であったが、残留歪が大きく、ややフィット感が不足すると感じられたため、伸張性能は×と評価した。
また、パンスト編地の熱融着力は8.9cNであった。
上記実施例1〜8及び比較例1〜4で用いたコンジュゲート糸及びカバリング糸の物性並びに評価結果を表1及び2に示す。
Figure 0005083561

注)ポリエステル系ポリウレタンA:日本ポリウレタン工業(株)製、
商品名:Miractran P490
ポリエステル系ポリウレタンC:BASFジャパン(株)製、
商品名:Elastollan ET690−10
ナイロン6/ナイロン12共重合体D:宇部興産(株)製、
商品名:UBE NYLON 7128B
ナイロン12/ポリエーテル共重合体B:宇部興産(株)製、
商品名:UBESTA XPA9040
ナイロン12/ポリエーテル共重合体E:ダイセルテグザ(株)製、
商品名:VESTAMID BS0865
Figure 0005083561

Claims (10)

  1. 熱融着性コンジュゲート糸及び必要によりその他の糸を用いて編成されてなると共に、該熱融着性コンジュゲート糸同士及び/又はこれとその他の糸とが交差部で熱融着されてなる熱融着性コンジュゲート糸含有編地を含む足回り編地製品であって、上記熱融着性コンジュゲート糸の破断時伸度が170%以上であり、かつ50%伸長時の残留歪が12%以下であることを特徴とする伝線防止機能を有する足回り編地製品。
  2. 上記熱融着性コンジュゲート糸含有編地が、熱融着性コンジュゲート糸のみで編成されてなる緯編地であることを特徴とする請求項1記載の足回り編地製品。
  3. 上記熱融着性コンジュゲート糸含有編地が、熱融着性コンジュゲート糸とカバリング糸とが交互に編成されてなる交編編地であることを特徴とする請求項1記載の足回り編地製品。
  4. 上記熱融着性コンジュゲート糸含有編地の熱融着力が、3.5cN以上である請求項1乃至3のいずれか1項記載の足回り編地製品。
  5. 上記熱融着性コンジュゲート糸が、ポリウレタン系樹脂とポリアミド系樹脂とからなり、これらの樹脂の割合が質量比で95/5〜80/20であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の足回り編地製品。
  6. 上記熱融着性コンジュゲート糸が、ポリウレタン系樹脂からなる芯部と、ポリアミド系樹脂からなる鞘部とから構成される芯鞘型コンジュゲート糸であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の足回り編地製品。
  7. 上記熱融着性コンジュゲート糸が、ポリウレタン系樹脂と、ポリアミド系樹脂とから構成されるサイドバイサイド型コンジュゲート糸であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の足回り編地製品。
  8. 上記ポリアミド系樹脂の融点が、120〜160℃である請求項5乃至7のいずれか1項記載の足回り編地製品。
  9. 上記ポリアミド系樹脂がナイロン6/ナイロン12共重合体樹脂又はナイロン12/ポリエ−テル共重合体樹脂である請求項5乃至8のいずれか1項記載の足回り編地製品。
  10. 上記カバリング糸が、熱融着性ポリウレタン弾性繊維からなる芯糸と、この芯糸に巻回されたポリアミド系繊維とからなることを特徴とする請求項3乃至9のいずれか1項記載の足回り編地製品。
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