JP5083561B2 - 伝線防止機能を有する足回り編地製品 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記方法は特定のカバリング糸を用いて作製したものであり、このような伝線防止性能に加え、より審美性に優れた編地製品が求められていた。
〔1〕 熱融着性コンジュゲート糸及び必要によりその他の糸を用いて編成されてなると共に、該熱融着性コンジュゲート糸同士及び/又はこれとその他の糸とが交差部で熱融着されてなる熱融着性コンジュゲート糸含有編地を含む足回り編地製品であって、上記熱融着性コンジュゲート糸の破断時伸度が170%以上であり、かつ50%伸長時の残留歪が12%以下であることを特徴とする伝線防止機能を有する足回り編地製品。
〔2〕 上記熱融着性コンジュゲート糸含有編地が、熱融着性コンジュゲート糸のみで編成されてなる緯編地であることを特徴とする〔1〕記載の足回り編地製品。
〔3〕 上記熱融着性コンジュゲート糸含有編地が、熱融着性コンジュゲート糸とカバリング糸とが交互に編成されてなる交編編地であることを特徴とする〔1〕記載の足回り編地製品。
〔4〕 上記熱融着性コンジュゲート糸含有編地の熱融着力が、3.5cN以上である〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の足回り編地製品。
〔5〕 上記熱融着性コンジュゲート糸が、ポリウレタン系樹脂とポリアミド系樹脂とからなり、これらの樹脂の割合が質量比で95/5〜80/20であることを特徴とする〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載の足回り編地製品。
〔6〕 上記熱融着性コンジュゲート糸が、ポリウレタン系樹脂からなる芯部と、ポリアミド系樹脂からなる鞘部とから構成される芯鞘型コンジュゲート糸であることを特徴とする〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載の足回り編地製品。
〔7〕 上記熱融着性コンジュゲート糸が、ポリウレタン系樹脂と、ポリアミド系樹脂とから構成されるサイドバイサイド型コンジュゲート糸であることを特徴とする〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載の足回り編地製品。
〔8〕 上記ポリアミド系樹脂の融点が、120〜160℃である〔5〕乃至〔7〕いずれかに記載の足回り編地製品。
〔9〕 上記ポリアミド系樹脂がナイロン6/ナイロン12共重合体樹脂又はナイロン12/ポリエ−テル共重合体樹脂である〔5〕乃至〔8〕のいずれかに記載の足回り編地製品。
〔10〕 上記カバリング糸が、熱融着性ポリウレタン弾性繊維からなる芯糸と、この芯糸に巻回されたポリアミド系繊維とからなることを特徴とする〔3〕乃至〔9〕のいずれかに記載の足回り編地製品。
本発明では、編地に使用する糸として、その破断時伸度が170%以上、かつ、50%伸長時の残留歪が12%以下である熱融着性コンジュゲート糸を使用する。
破断時伸度
把握長4cm、300mm/分で糸が破断するまで、伸長させ、破断時の糸の伸びを、下記式により算出する。
破断時伸度(%)=(破断時伸びcm/把握長4cm)×100
把握長4cm、300mm/分で6cmまで伸長した後、直ちに伸長時と同じ速度で元の長さまで回復させることを2回繰返し、応力がゼロになった時の残留伸びを元とし、下記式により算出する。
残留歪(%)=(残留伸びcm/4cm)×100
ここで、本発明で用いる熱融着性コンジュゲート糸の形状としては、芯鞘型、貼り合わせ型(サイドバイサイド型)など、融着性能を有する糸であれば、どのようなものでも構わないが、編地中で均一に融着させやすいため、芯鞘型の熱融着性コンジュゲート糸が好ましい。
芯鞘型コンジュゲート糸の場合、断面形状は同心円状でも、偏心状でも構わない。
サイドバイサイド型コンジュゲート糸の場合、半円を2つ合わせた形状や、三日月形状の樹脂が一方の樹脂を包み込む形状等、種々の形状が使用できるが、中でも、半円を2つ合わせた形状が好ましい。
本発明の熱融着性コンジュゲート糸に用いる樹脂としては、編地中での融着性を損なわない範囲であれば特に制限されず、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が適宜使用できる。なかでも、ポリウレタン樹脂とポリアミド樹脂の2種を組み合わせて用いることが、紡糸時の溶融温度が近接している点や、所望の破断伸度及び残留歪が得られる点から好ましい。
芯鞘型コンジュゲート糸では、コンジュゲート糸に弾性を持たせる目的で、芯部分にポリウレタン樹脂を使用することが好ましい。この場合、ポリウレタン樹脂は熱融着糸でなくてもよく、コンジュゲート糸に弾性を付与できればいずれのものでも構わない。このようなポリウレタンとしては、いかなる組成のものでもよく、従来より公知な熱可塑性ポリウレタン樹脂、例えば、ポリオールと過剰モル量のジイソシアネートを反応させ、両末端にイソシアネート基を有するポリウレタン中間重合体を製造し、該中間重合体のイソシアネート基と容易に反応し得る活性水素を有する低分子量ジアミンや低分子量ジオールを反応させたポリマーをペレット化したもの等が挙げられるが、市販品を使用することができ、例えば、ポリエステル系ポリウレタン(全ポリオール中の50モル%を超える量がポリエステルポリオールで構成されたポリウレタン、商品名:BASFジャパン(株)製 Elastllan ET690−10、商品名:日本ポリウレタン工業(株)製 Miractran P490)等が挙げられる。また、市販品以外に、ワンショット法やプレポリマー法、ダブルプレポリマー法により得られたポリマーを、芯糸として使用することもできる。
フローテスターCFT−500A形((株)島津製作所製)を使用し、サンプル量1.5g、ダイ(ノズル)の直径0.5mm、厚み1.0mmとして30kgfの押出荷重を加え、初期設定温度120℃で予熱時間240秒の後、3℃/分の速度で等速昇温した時、描かれるトナープランジャー降下量−温度曲線を求める。等速昇温されるにしたがい、トナーは徐々に加熱され、ポリマーが流出し始める。このときの流出開始温度(フロー温度)を融点とする。更に昇温すると溶融状態となったトナーは大きく流出し、プランジャー降下が停止し、終了する。
サイドバイサイド型コンジュゲート糸には、上述したポリウレタン樹脂以外に、熱融着性を有するポリウレタン樹脂を使用することもできる。特に、熱融着性コンジュゲート糸とカバリング糸との交編編地を作製した場合には、そのカバリング糸の芯糸である熱融着性ポリウレタン弾性繊維等の熱融着性弾性繊維と良好に融着させることができる。
コンジュゲート糸を構成する樹脂の使用割合は特に制限されないが、例えば、ポリウレタン系樹脂を芯とし、ポリアミド系樹脂を鞘として組み合わせた芯鞘型の場合は、これらの樹脂の使用比率は、質量比で芯(ポリウレタン系樹脂)/鞘(ポリアミド系樹脂)=95/5〜80/20が好ましく、より好ましくは90/10〜80/20である。鞘比率が5質量%未満になると均一な紡糸が困難となるおそれがある。例えば紡糸工程での糸切れが多発し、安定に生産することができない場合があり、更に、糸斑が発生する場合がある。また、鞘比率が20質量%を超えると、編地自体の伸縮性が損なわれる上、熱処理時により糸が硬化して、糸切れや、編地が破ける等の不具合が生じる場合がある。所定の破断時伸度及び50%伸長時の残留歪を有するコンジュゲート糸を得る点からしても、樹脂の使用割合を上記範囲とすることが好ましい。サイドバイサイド型の場合も、ポリウレタン樹脂とポリアミド樹脂の割合を上記と同様にすることが好ましい。
(1−4)紡糸方法
熱融着性コンジュゲート糸の紡糸方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができるが、例えば、芯鞘型の紡糸方法は、以下のとおりである。
(a)芯部分及び鞘部分の両樹脂の原液作製
ポリウレタン樹脂を180〜220℃で融解させ、ポリアミド系樹脂を150〜210℃で融解して原液を作製する。
(b)複合紡糸
複合口金を上下に2個配した口金で、ポリウレタン樹脂が芯部に、ポリアミド系樹脂が鞘部になるように、同心円型に複合紡糸する。
本発明の足回り編地製品は、上記熱融着性コンジュゲート糸を含む編地を製品の少なくとも一部に含むものであるが、この編地を構成する糸としては、上記コンジュゲート糸以外に、例えば、カバリング糸、コアスパン糸、合撚糸、エア交絡糸等の複合糸や、木綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック等の再生繊維、アセテート等の半再生繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポリウレタン等の化学合成繊維等からなる糸を使用することができる。
これらのなかでも熱融着性コンジュゲート糸と熱融着しやすい糸条としては、熱処理時に溶融、接着しやすいことが望ましく、そのため、熱可塑性を有する合成繊維が好ましい。なかでもナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンが好ましい。ストッキングに使用する場合、染色加工性、着用時の吸放湿性能から、ナイロンを使用することがより好ましい。また、複合糸を使用する場合、芯糸の被覆度のコントロールが容易で、均一に被覆できる点からカバリング糸を使用することが好ましい。更に、カバリング糸は、その中心に熱融着性弾性繊維を配置できるので、製品のちらつき防止などに効果的である。この場合、熱融着性コンジュゲート糸とその他の糸との使用割合は、レッグ部を構成する糸の本数比で50/50〜100/0程度であることが好ましい。
カバリング糸は、芯糸にポリウレタン弾性繊維等の弾性繊維を使用することができる。特に芯糸は、熱融着糸であっても、熱融着糸でなくても良いが、高い熱融着性能を得るために、熱融着糸であることが好ましい。被覆糸には、上記と同様な天然、再生、半再生、化学合成繊維を使用することができる。特に、芯糸に熱融着性ポリウレタン弾性繊維を、鞘糸にナイロン糸を用いることがコンジュゲート糸に用いるナイロンとの融着性の点から好ましい。また、交編編地等の編地内でのラン防止性能を上げるためには、繊維相互を、交編編地等の編地内で固定させることが好ましい。本発明で使用するカバリング糸に用いられる熱融着性弾性繊維は、熱融着性、伸度、耐久性等の面から熱融着性ポリウレタン弾性繊維が好ましい。
耐熱強力保持率
ポリウレタン弾性繊維を把握長8cmで保持し、16cmに伸長する。伸長した状態で所定温度に保った熱風乾燥機中に45秒間入れ、乾熱処理する。熱処理後のポリウレタン弾性繊維の破断時強力を、定伸長の引っ張り試験機を使用し、把握長5cm、伸長速度500m/分で測定する。測定時の環境は温度20℃、相対湿度65%とする。熱処理前の繊維に対する耐熱強力保持率を表示する。
ポリウレタン弾性繊維を把握長8cmで保持し、16cmに伸長する。伸長した状態で所定温度に保った熱風乾燥機中に45秒間入れ、乾熱処理する。熱処理終了より30秒間で把握長を4cmまで狭くして、糸を弛ませた状態にする。熱処理終了より5分30秒後、把握長を大きくし、やや伸長した状態にした後、1mmずつ把握長を狭くしていく。全糸に注目し、糸が弛み始めたところの長さを測定する。測定時の環境は温度20℃、相対湿度65%とする。
次の式で熱セット率を求めた。
熱セット率(%)=[(16cm−測定値cm)/8cm]×100
把握長4cm、300mm/分で16cmまで伸長した後、直ちに伸長時と同じ速度で元の長さまで回復させ、応力がゼロになった時の残留伸びを元とし、下記式により算出する。
残留歪=(残留伸びcm/4cm)×100(%)
伝線、ほつれやカールを起こしにくく、弾性繊維本来の伸度を発揮させる点で上記の通りの被覆率が好ましい。一方、編機での編成時の加工安定性の点などから、被覆率は5%以上、更には15%以上が好ましい。
C=(0.012×√D×T/(1000/DR))×100 (1)式
ここで、Cは被覆率(%)を、Dは熱融着性弾性繊維の周囲に被覆される非弾性繊維の繊度(デシテックス)を、Tは撚糸時の撚り数(T/m)を、DRはカバリング又は撚糸時の弾性繊維のドラフトを示す。
(i)ポリウレタン弾性体チップを溶融紡糸する方法。
(ii)ポリウレタン弾性体チップを溶融した後、ポリイソシアネート化合物を混合して紡糸する方法。
(iii)ポリオールとジイソシアネートを反応させたプレポリマーと低分子量ジオールとを反応させた紡糸用ポリマーを合成した後、固化させることなく紡糸する反応紡糸方法。
(3−1)編地組織
本発明の足回り編地製品は、上記熱融着性コンジュゲート糸を含む編地を製品の少なくとも一部に含むものであり、この編地の形態としては、上記熱融着性コンジュゲート糸を含むものであれば特に制限されないが、例えば、ゾッキ編地が挙げられる。ゾッキ編地とは、主となる部分、ストッキングであればレッグ部を1種類の糸のみで編成した編地のことをいい、特に、上述したコンジュゲート糸のみを使用することが好ましい。コンジュゲート糸のみを用いることによって、編地にヨコ縞がなく、表面が均一な仕上がりとなる。更に、交編編地が挙げられる。交編編地とは、2種の糸を交互に編み込んだ編地のことをいい、特に、上述したカバリング糸とコンジュゲート糸とを交互に編み込んだ編地とすることが好ましい。このような交編編地を足回り編地製品に用いることによって、コンジュゲート糸とカバリング糸との応力差、熱セット率の差により、製品のコース間隔に差ができ、透明感が高まることから好ましい。更に、大きく仕上がるため、はきやすく、薄くて軽い足回り編地製品を得ることができる。また、交編編地とすることで、熱融着性コンジュゲート糸のみを使用する場合に比べ、フィット感が得られやすい。更に、熱融着性コンジュゲート糸と少なくとも1種類の非弾性繊維をプレーティング編することもできる。編地組織は、特に限定されず、平編地、ゴム編地、パール編地等の緯編地や、トリコットやラッセル等の経編地等種々のものを採用することができるが、中でも、緯編地を好適に用いることができ、その変化組織として、タック編、浮編、パイル編、レース編とすることもできる。例えばプレーンストッキングと呼ばれるものを例に挙げると、レッグ部は平編組織で構成することができる。
(i)プリセット パンスト編機等によって製編された編地は、通常、編目や寸法を安定させるために、プリセットする。プリセットは、80℃、15分程度の湿熱処理を行う。
(ii)得られた編地を熱セット(熱処理)する。熱セットは、湿熱又は乾熱により行うことができる。湿熱セットは、例えば、(株)芦田製作所製のスチームセッターを使用し、蒸気元圧2.5〜3.0kgf/cm2にて通蒸バルブを開放し、密閉したセット室内に蒸気を入れ、セット室内を所定の温度にコントロールする。乾熱セットは、ピンテンターのようなセット機を用いて、熱風によって熱固定することにより行うことができる。
(3−3)セット温度
湿熱セットの温度は、80〜140℃が好ましく、より好ましくは90〜135℃、更に好ましくは115〜125℃である。編地を型板に取り付け、セット室内に入れ、所定の時間セットする。
乾熱セットの温度は、120〜180℃が好ましく、より好ましくは140〜160℃である。
(3−4)セット時間
セット時間は、湿熱の場合、5〜60秒が好ましく、より好ましくは15〜25秒である。乾熱の場合は、30〜90秒が好ましく、より好ましくは50〜70秒である。
湿熱セットの場合、乾燥は、乾熱120℃程度の乾燥室に入れ、30秒間程度、乾燥する。
熱セットを行うセット機は、上記設定温度、設定時間で熱セットできるものであれば、特に限定されない。
この湿熱又は乾熱処理により、熱融着性コンジュゲート糸のみを使用する編地の場合には、熱融着性コンジュゲート糸同士が、交編編地の場合には、特に、カバリング糸の芯糸である熱融着性ポリウレタン弾性繊維と熱融着性コンジュゲート糸とが交差部で熱融着する。サイドバイサイド型の場合は、熱融着性コンジュゲート糸同士や、カバリング糸の芯糸である熱融着性ポリウレタン弾性繊維と、熱融着性コンジュゲート糸に使用した熱融着性ポリウレタン弾性繊維及び/又はナイロンとの交差部が熱融着することとなる。
(i)測定対象となる編地の編み終わりから解編し、編込まれている口数分の糸を取り出す。
(ii)熱融着力を以下の方法で測定する。
引張試験機[(株)島津製作所製精密万能試験機]上部チャックに把持した編地の端から取り出された糸1本を0.1cNの荷重下で下部チャックに把持し、つかみ間隔(チャック間隔)100mm、引張速度100mm/分で引張り、編地から糸を解編する時の張力を測定する。
次いで、熱融着部位が解離する度に計測される解編張力のピーク点について、解編応力が安定する伸長量100mmから200mmの間で値が大きい3番目までのピーク点を平均して、ピーク平均解編張力(cN)を求める。
同様にして、別に取り出された糸のピーク平均解編張力をそれぞれ測定し、それらのピーク平均解編張力の平均値を算出し、熱融着力(cN)とする。
(4−1)本発明の足回り編地製品に用いられる熱融着性コンジュゲート糸含有編地以外の編地としては、上述した熱融着性コンジュゲート糸含有編地に用いられる編組織と同様の編組織のものを採用することができる。中でも、その生地の持つ薄さ、風合いなどから、平編地を用いるのが好ましい。ストッキング等の薄手の足回り製品として使用する場合には、プレーンストッキング、又は柄ストッキングと呼ばれるものである。
足回り編地製品が各部位からなる場合は、必要に応じてミシンにより、つま先、パンティ部等を縫製し、足回り編地製品の形体とする。
(4−3)染色加工
必要に応じて染色加工する。
(4−4)
その後、必要に応じ、上述した熱セットを行うことができる。
(1)熱融着性コンジュゲート糸の作製
下記熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)を芯部、ポリアミド樹脂(B)を鞘部にし、芯鞘比率が質量比で80/20で、210℃に加熱した口金を使用し、巻き取り速度は600m/分で巻き取り、33dtexの芯鞘型コンジュゲート糸を作製した。複合繊維における熱可塑性ポリウレタン樹脂とポリアミド樹脂の芯鞘比率は各成分のギアポンプの吐出比により調整した。熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)及びポリアミド樹脂(B)は下記のものを使用した。
ポリエステル系ポリウレタン
(日本ポリウレタン工業(株)製 商品名:Miractran P490)
■鞘樹脂:ポリアミド樹脂(B)
ナイロン12/ポリエーテル共重合体
(宇部興産(株)製 商品名:UBESTA XPA9040)
鞘樹脂の融点をフローテスターで測定したところ、135℃であった。
カバリング糸の芯糸として、熱融着性ポリウレタン弾性繊維である、日清紡績(株)製モビロン(商標登録)K−Lを使用した。
日清紡製モビロンK−Lの融点をフローテスターで測定したところ、184℃であった。また、耐熱強力保持率は、140℃の場合57%、150℃の場合40%であった。熱セット率は、140℃の場合が50%、150℃の場合が59%であった。300%伸長時の残留歪は、30%であった。
ストッキング編機(ロナティ社製L416/R、釜径:4インチ、針数400本)の給糸口4口に、得られたコンジュゲート糸、カバリング糸を交互に2本ずつ給糸し、カウント2,400コース、伸び寸48cmとして交編パンティストッキングを作製した。
1)プリセット
湿熱80℃×15分(編目や寸法を安定させる。)
2)縫製
ペアクローザー又はミシンによりパンティ部、トゥ部を縫い合わせた。
3)染色
95℃、60分の条件で染色した。
4)湿熱セット処理
(株)芦田製作所製のスチームセッターを使用し、縫製後の編地を幅11cmのア
ルミ製型板(足型)に入れた状態で、ウェル方向に1.2倍伸長し、その状態に保
ったまま、該編地を120℃で20秒間湿熱処理した。
上記で作製したパンストについて、ラン評価及び伸長性能評価を行ったところ、ランは発生せず、○であり、伸長性能は○であった。
また、パンスト編地の熱融着力は6.3cNであった。
ラン評価
交編編地の片面の任意の5箇所の編目をはさみで切断し、カーブのついたアクリル板(チェトメ社製の靴下・ストッキングのサイズ採寸測定器ミズラトーレに付属したアクリル板を使用した。該アクリル板の概寸は、幅約20cm、長さ約80cm、凹部の深さ最大約4cmであった。)に編地を挿入した。
この時、編目を切断した面が板の凹側になるよう挿入した。該編面は板面と接触しないで挿入されるので、ラン(伝線)が最も発生し易い状態となり、この時のランの有無でパンストの耐ラン性を評価した。
○:ランが発生しない
×:ランが発生する
また、上記で作製されたパンストの足回り部をヨコ方向に手で伸ばし、その伸長状態を確認し、下記の通りに評価した。
○:パンスト編地を2倍伸長して着用するのに適した伸長性能を有していた。
△:パンストとして着用できるが、やや伸長性能を損なうものであった。
×:パンストとして着用できない程、伸長性能を損ねていた。
実施例1で作成したコンジュゲート糸のみを使用して、湿熱セット処理を115℃で行った以外は実施例1と同様に、ゾッキパンティストッキングを得た。
作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず、○であり、伸長性能は○であった。
また、パンスト編地の熱融着力は10.2cNであった。
実施例1で用いた熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)を使用し、実施例1と同様にして、質量比率A/B=95/5で巻き取り、繊度44dtexの芯鞘型コンジュゲート糸を得た。作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は600%、50%伸長時の残留歪は3.9%であった。
作製されたコンジュゲート糸のみを使用して実施例1と同様に、ゾッキパンティストッキングを得た。作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず、○であり、伸長性能は○であった。
また、パンスト編地の熱融着力は6.2cNであった。
樹脂質量比率をA/B=90/10にした他は実施例3と同様にして芯鞘型コンジュゲート糸を得た。作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は620%、50%伸長時の残留歪は4.2%であった。
実施例1で使用した熱融着性ポリウレタン弾性繊維を3.1倍でドラフトし、被覆糸としてナイロン6(商品名:ミラコスモ、東レ(株)製)、13dtex/7フィラメントを1800T/mで被覆してSCY糸を得た。
実施例1と同様に、得られたコンジュゲート糸、カバリング糸を交互に給糸して交編パンティストッキングを得た。
作製された交編パンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず、○であり、伸長性能は○であった。
また、パンスト編地の熱融着力は4.0cNであった。
実施例1に用いた熱可塑性ポリウレタン樹脂(A)、ポリアミド樹脂(B)を使用し、サイドバイサイド型に貼り合わせたコンジュゲート糸を、質量比率A/B=80/20で、巻き取り速度600m/分で巻き取り、繊度33dtexのサイドバイサイド型コンジュゲート糸を得た。複合繊維における熱可塑性ポリウレタン樹脂とポリアミド樹脂の芯鞘比率は各成分のギアポンプの吐出比により調整した。
作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は210%、50%伸長時の残留歪は4.7%であった。
作製されたコンジュゲート糸のみを使用して、湿熱セット処理温度を115℃とした以外は実施例1と同様に、ゾッキパンティストッキングを得た。作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず、○であり、伸長性能は○であった。
また、パンスト編地の熱融着力は5.9cNであった。
樹脂質量比率をA/B=90/10にした他は実施例5と同様にして繊度44dtexのサイドバイサイド型コンジュゲート糸を得た。作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は300%、50%伸長時の残留歪は4.1%であった。
作製されたコンジュゲート糸のみを使用して、実施例1と同様に、ゾッキパンティストッキングを得た。作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず、○であり、伸長性能は○であった。
また、パンスト編地の熱融着力は4.8cNであった。
使用した樹脂を下記に変更した他は、実施例1と同様に紡糸し、67dtexの芯鞘型コンジュゲート糸を得た。
■芯樹脂:熱可塑性ポリウレタン樹脂(C)
ポリエステル系ポリウレタン
(BASFジャパン(株)製 商品名:Elastollan ET690−10)
■鞘樹脂:ポリアミド樹脂(D)
ナイロン6/ナイロン12共重合体
(宇部興産(株)製 商品名:UBE NYLON 7128B)
鞘樹脂の融点を測定したところ、146℃であった。
作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は290%、50%伸長時の残留歪は10.8%であった。
また、パンスト編地の熱融着力は5.3cNであった。
鞘樹脂を下記に変更した他は、実施例1と同様に紡糸し、78dtexの芯鞘型コンジュゲート糸を得た。
■ポリアミド樹脂(E)
ナイロン12/ポリエーテル共重合体
(ダイセルテグザ(株)製、商品名:VESTAMID BS0865)
鞘樹脂の融点を測定したところ、135℃であった。
作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は500%、50%伸長時の残留歪は8.3%であった。
作製されたコンジュゲート糸のみで、湿熱セット処理温度を115℃とした以外は実施例1と同様に、ゾッキパンティストッキングを得た。作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず、○であった。また、伸長性能はパンストとして着用できるが、残留歪によりフィット感が低めであったが、着用できる範囲であったため、△と評価した。
また、パンスト編地の熱融着力は8.6cNであった。
KBセーレン(株)製芯鞘型コンジュゲート糸(鞘樹脂融点218℃、19dtex)を使用し、コンジュゲート糸のみを使用して、湿熱セット処理温度を115℃とした以外は実施例1と同様に、ゾッキパンティストッキングを得た。
コンジュゲート糸の破断時伸度は130%、50%伸張時の残留歪は24%であった。
作成されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、伸張性能は○であったが、パンスト編地の熱融着力は0.7cNで、ランが発生したため×と評価した。
樹脂質量比率をC/D=50/50にした他は、実施例7と同様にして繊度22dtexのコンジュゲート糸を作製した。作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は200%、50%伸張時の残留歪は21.9%であった。
作製されたコンジュゲート糸と実施例1で作製したカバリング糸を交互に給糸して、交編パンティストッキングを得た。
作製された交編パンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず○であったが、残留歪が大きいためにフィット感がなく、伸張性能は×と評価した。
また、パンスト編地の熱融着力は14.7cNであった。
樹脂質量比率をC/D=70/30にした他は、実施例7と同様にして繊度44dtexのコンジュゲート糸を作製した。作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は268%、50%伸張時の残留歪は14.6%であった。
作製されたコンジュゲート糸のみを使用して、実施例1と同様にしてゾッキパンティストッキングを得た。
作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず○であったが、残留歪が大きく、フィット感が不足すると感じられたため、伸張性能は×と評価した。
また、パンスト編地の熱融着力は7.0cNであった。
樹脂質量比率をC/D=75/25にした他は、実施例7と同様にして繊度44dtexのコンジュゲート糸を作製した。作製されたコンジュゲート糸の破断時伸度は275%、50%伸張時の残留歪は13.0%であった。
作製されたコンジュゲート糸のみを使用して、湿熱セット処理温度を115℃とした以外は実施例1と同様にしてゾッキパンティストッキングを得た。
作製されたゾッキパンスト編地について、実施例1と同様に評価を行ったところ、ランは発生せず○であったが、残留歪が大きく、ややフィット感が不足すると感じられたため、伸張性能は×と評価した。
また、パンスト編地の熱融着力は8.9cNであった。
注)ポリエステル系ポリウレタンA:日本ポリウレタン工業(株)製、
商品名:Miractran P490
ポリエステル系ポリウレタンC:BASFジャパン(株)製、
商品名:Elastollan ET690−10
ナイロン6/ナイロン12共重合体D:宇部興産(株)製、
商品名:UBE NYLON 7128B
ナイロン12/ポリエーテル共重合体B:宇部興産(株)製、
商品名:UBESTA XPA9040
ナイロン12/ポリエーテル共重合体E:ダイセルテグザ(株)製、
商品名:VESTAMID BS0865
Claims (10)
- 熱融着性コンジュゲート糸及び必要によりその他の糸を用いて編成されてなると共に、該熱融着性コンジュゲート糸同士及び/又はこれとその他の糸とが交差部で熱融着されてなる熱融着性コンジュゲート糸含有編地を含む足回り編地製品であって、上記熱融着性コンジュゲート糸の破断時伸度が170%以上であり、かつ50%伸長時の残留歪が12%以下であることを特徴とする伝線防止機能を有する足回り編地製品。
- 上記熱融着性コンジュゲート糸含有編地が、熱融着性コンジュゲート糸のみで編成されてなる緯編地であることを特徴とする請求項1記載の足回り編地製品。
- 上記熱融着性コンジュゲート糸含有編地が、熱融着性コンジュゲート糸とカバリング糸とが交互に編成されてなる交編編地であることを特徴とする請求項1記載の足回り編地製品。
- 上記熱融着性コンジュゲート糸含有編地の熱融着力が、3.5cN以上である請求項1乃至3のいずれか1項記載の足回り編地製品。
- 上記熱融着性コンジュゲート糸が、ポリウレタン系樹脂とポリアミド系樹脂とからなり、これらの樹脂の割合が質量比で95/5〜80/20であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の足回り編地製品。
- 上記熱融着性コンジュゲート糸が、ポリウレタン系樹脂からなる芯部と、ポリアミド系樹脂からなる鞘部とから構成される芯鞘型コンジュゲート糸であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の足回り編地製品。
- 上記熱融着性コンジュゲート糸が、ポリウレタン系樹脂と、ポリアミド系樹脂とから構成されるサイドバイサイド型コンジュゲート糸であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の足回り編地製品。
- 上記ポリアミド系樹脂の融点が、120〜160℃である請求項5乃至7のいずれか1項記載の足回り編地製品。
- 上記ポリアミド系樹脂がナイロン6/ナイロン12共重合体樹脂又はナイロン12/ポリエ−テル共重合体樹脂である請求項5乃至8のいずれか1項記載の足回り編地製品。
- 上記カバリング糸が、熱融着性ポリウレタン弾性繊維からなる芯糸と、この芯糸に巻回されたポリアミド系繊維とからなることを特徴とする請求項3乃至9のいずれか1項記載の足回り編地製品。
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