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JP5085291B2 - 複合金属材料の製造方法及び複合金属材料 - Google Patents
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JP5085291B2 - 複合金属材料の製造方法及び複合金属材料 - Google Patents

複合金属材料の製造方法及び複合金属材料 Download PDF

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Description

本発明は、複合金属材料の製造方法及び複合金属材料に関する。
近年、カーボンナノファイバーを用いた複合材料が注目されている。このような複合材料は、カーボンナノファイバーを含むことで、機械的強度などの向上が期待されている。
また、金属の複合材料の鋳造方法として、酸化物系セラミックスからなる多孔質成形体内にマグネシウム蒸気を浸透、分散させ、同時に窒素ガスを導入することで、多孔質成形体内に金属溶湯を浸透させるようにした鋳造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、カーボンナノファイバーは相互に強い凝集性を有するため、複合材料の基材にカーボンナノファイバーを均一に分散させることが非常に困難とされている。また、カーボンナノファイバーは、基材となる例えば金属材料との濡れ性が充分ではない。そのため、現状では、所望の特性を有するカーボンナノファイバーの複合材料を得ることが難しく、また、高価なカーボンナノファイバーを効率よく利用することができない。
そこで、カーボンナノファイバーを効率よく利用した炭素繊維複合金属材料の製造方法が提案された(例えば、特許文献2)。この方法によれば、カーボンナノファイバーを含む炭素材料をエラストマー中に分散させ、さらにそのエラストマーを分散気化させてできた空所に金属材料を浸透させて複合金属材料を得ていた。こうして得られた炭素繊維複合金属材料は、炭素材料の周囲に非晶質の周辺相(Al/N/O)が生成されることがわかった。
特開平10−183269号公報 特開2006−77306号公報
そこで、本発明の目的は、複合金属材料の動的弾性率を制御することのできる複合金属材料の製造方法及び複合金属材料を提供することにある。
本発明にかかる複合金属材料の製造方法は、
エラストマーに、カーボンナノファイバーを混合し、かつ剪断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(a)と、
前記複合エラストマーを熱処理し、該複合エラストマー中に含まれるエラストマーを分解気化させて炭素系材料を得る工程(b)と、
窒素ガスが連続的に供給される炉内で、溶融したアルミニウムを前記炭素系材料の間に浸透させた後、固化させる工程(c)と、
を含み、
前記工程(c)において前記炉内へ供給される窒素ガス流量は、前記炉内の体積の1cm あたり0.009L/minを超える流量に制御されていることを特徴とする。
本発明の複合金属材料によれば、工程(c)において窒素ガス流量を制御することで、この製造方法で得られる複合金属材料の動的弾性率を制御することができる。したがって、所望の動的弾性率を有する複合金属材料を工程(c)の窒素ガス流量を制御することで得ることができる。
本発明にかかる複合金属材料の製造方法において、
前記工程(c)における窒素ガス流量は、前記炉内の体積の1cmあたり0.013L/min〜0.022L/minに制御されていることができる。
本発明にかかる複合金属材料の製造方法において、
前記工程(a)で得られた前記複合エラストマーを前記炉内に配置して前記工程(b)及び前記工程(c)を連続的に実施することができる。
本発明にかかる複合金属材料の製造方法において、
前記工程(c)は、窒素ガスと共に酸素ガスが前記炉内へ供給され、
前記炉内へ共有される酸素ガス流量が制御されていることができる。
本発明にかかる複合金属材料は、前記複合金属材料の製造方法によって得られたことを特徴とする。
本発明にかかる複合金属材料によれば、所望の動的弾性率を有することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施の形態にかかる複合金属材料の製造方法は、エラストマーに、カーボンナノファイバーを混合し、かつ剪断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(a)と、前記複合エラストマーを熱処理し、該複合エラストマー中に含まれるエラストマーを分解気化させて炭素系材料を得る工程(b)と、窒素ガスが連続的に供給される炉内で、溶融したアルミニウムを前記炭素系材料の間に浸透させた後、固化させる工程(c)と、を含み、前記工程(c)において前記炉内へ供給される窒素ガス流量は、前記炉内の体積の1cm あたり0.009L/minを超える流量に制御されている
(A)エラストマー
エラストマーは、分子量が好ましくは5000ないし500万、さらに好ましくは2万ないし300万である。エラストマーの分子量がこの範囲であると、エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、エラストマーはカーボンナノファイバーを分散させるために良好な弾性を有している。エラストマーは、粘性を有しているので凝集したカーボンナノファイバーの相互に侵入しやすく、さらに弾性を有することによってカーボンナノファイバー同士を分離する効果が大きい。
エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって、30℃、観測核がHで測定した、未架橋体におけるネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が好ましくは100ないし3000μ秒、より好ましくは200ないし1000μ秒である。前記範囲のスピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)を有することにより、エラストマーは、柔軟で充分に高い分子運動性を有することができ、すなわちカーボンナノファイバーを分散させるために適度な弾性を有することになる。また、エラストマーは粘性を有しているので、エラストマーとカーボンナノファイバーとを混合したときに、エラストマーは高い分子運動によりカーボンナノファイバー相互の隙間に容易に侵入することができる。スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が100μ秒より短いと、エラストマーが充分な分子運動性を有することができない傾向がある。また、スピン−スピン緩和時間(T2n/30℃)が3000μ秒より長いと、エラストマーが液体のように流れやすくなり、弾性が小さいため、カーボンナノファイバーを分散させることが困難となる傾向がある。
また、エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃、観測核がHで測定した、架橋体における、ネットワーク成分のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100ないし2000μ秒であることが好ましい。その理由は、上述した未架橋体と同様である。すなわち、前記の条件を有する未架橋体を本発明の製造方法によって架橋化すると、得られる架橋体のT2nはおおよそ前記範囲に含まれる。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法によって得られるスピン−スピン緩和時間は、物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、パルス法NMRを用いたハーンエコー法によりエラストマーのスピン−スピン緩和時間を測定すると、緩和時間の短い第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)を有する第1の成分と、緩和時間のより長い第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)を有する第2の成分とが検出される。第1の成分は高分子のネットワーク成分(骨格分子)に相当し、第2の成分は高分子の非ネットワーク成分(末端鎖などの枝葉の成分)に相当する。そして、第1のスピン−スピン緩和時間が短いほど分子運動性が低く、エラストマーは固いといえる。また、第1のスピン−スピン緩和時間が長いほど分子運動性が高く、エラストマーは柔らかいといえる。
パルス法NMRにおける測定法としては、ハーンエコー法でなくてもソリッドエコー法、CPMG法(カー・パーセル・メイブーム・ギル法)あるいは90゜パルス法でも適用できる。ただし、本発明にかかるエラストマーは中程度のスピン−スピン緩和時間(T2)を有するので、ハーンエコー法が最も適している。一般的に、ソリッドエコー法および90゜パルス法は、短いT2の測定に適し、ハーンエコー法は、中程度のT2の測定に適し、CPMG法は、長いT2の測定に適している。
エラストマーは、主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバー特にその末端のラジカルに対して親和性を有する不飽和結合または基を有するか、もしくは、このようなラジカルまたは基を生成しやすい性質を有する。かかる不飽和結合または基としては、二重結合、三重結合、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ニトリル基、ケトン基、アミド基、エポキシ基、エステル基、ビニル基、ハロゲン基、ウレタン基、ビューレット基、アロファネート基および尿素基の官能基から選択される少なくともひとつであることができる。
カーボンナノファイバーは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっている。本実施の形態では、エラストマーの主鎖、側鎖および末端鎖の少なくともひとつに、カーボンナノファイバーのラジカルと親和性(反応性または極性)が高い不飽和結合や基を有することにより、エラストマーとカーボンナノファイバーとを結合することができる。このことにより、カーボンナノファイバーの凝集力にうち勝ってその分散を容易にすることができる。そして、エラストマーと、カーボンナノファイバーと、を混練する際に、エラストマーの分子鎖が切断されて生成したフリーラジカルは、カーボンナノファイバーの欠陥を攻撃し、カーボンナノファイバーの表面にラジカルを生成すると推測できる。
エラストマーとしては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPR,EPDM)、ブチルゴム(IIR)、クロロブチルゴム(CIIR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ブタジエンゴム(BR)、エポキシ化ブタジエンゴム(EBR)、エピクロルヒドリンゴム(CO,CEO)、ウレタンゴム(U)、ポリスルフィドゴム(T)などのエラストマー類;オレフィン系(TPO)、ポリ塩化ビニル系(TPVC)、ポリエステル系(TPEE)、ポリウレタン系(TPU)、ポリアミド系(TPEA)、スチレン系(SBS)、などの熱可塑性エラストマー;およびこれらの混合物を用いることができる。特に、エラストマーの混練の際にフリーラジカルを生成しやすい極性の高いエラストマー、例えば、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR)などが好ましい。また、極性の低いエラストマー、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)であっても、混練の温度を比較的高温(例えばEPDMの場合、50℃〜150℃)とすることで、フリーラジカルを生成するので本発明に用いることができる。
(B)カーボンナノファイバー
本実施の形態の複合エラストマーは、カーボンナノファイバーを0.01〜50重量%の割合で含むことが好ましい。カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmであることが好ましく、複合金属材料の強度を向上させるためには0.5ないし30nmであることがさらに好ましい。さらに、カーボンナノファイバーは、ストレート繊維状であっても、湾曲繊維状であってもよい。
カーボンナノファイバーとしては、例えば、いわゆるカーボンナノチューブなどが例示できる。カーボンナノチューブは、炭素六角網面のグラフェンシートが円筒状に閉じた単層構造あるいはこれらの円筒構造が入れ子状に配置された多層構造を有する。すなわち、カーボンナノチューブは、単層構造のみから構成されていても多層構造のみから構成されていても良く、単層構造と多層構造が混在していてもかまわない。また、部分的にカーボンナノチューブの構造を有するカーボンナノファイバーも使用することができる。なお、カーボンナノチューブという名称の他にグラファイトフィブリルナノチューブといった名称で称されることもある。
単層カーボンナノチューブもしくは多層カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザーアブレーション法、気相成長法などによって望ましいサイズに製造される。アーク放電法は、大気圧よりもやや低い圧力のアルゴンや水素雰囲気下で、炭素棒でできた電極材料の間にアーク放電を行うことで、陰極に堆積した多層カーボンナノチューブを得る方法である。また、単層カーボンナノチューブは、前記炭素棒中にニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜてアーク放電を行い、処理容器の内側面に付着するすすから得られる。レーザーアブレーション法は、希ガス(例えばアルゴン)中で、ターゲットであるニッケル/コバルトなどの触媒を混ぜた炭素表面に、YAGレーザーの強いパルスレーザー光を照射することによって炭素表面を溶融・蒸発させて、単層カーボンナノチューブを得る方法である。気相成長法は、ベンゼンやトルエン等の炭化水素を気相で熱分解し、カーボンナノチューブを合成するもので、より具体的には、流動触媒法やゼオライト担持触媒法などが例示できる。
カーボンナノファイバーは、エラストマーと混練される前に、あらかじめ表面処理、例えば、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理などを行うことによって、エラストマーとの接着性やぬれ性を改善することができる。
(C)工程(a)
エラストマーに、カーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程(a)について説明する。
工程(a)は、オープンロール法、密閉式混練法、多軸押出し混練法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合させる工程として、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いた例について述べる。
図1は、2本のロールを用いたオープンロール法による複合金属材料の製造方法を模式的に示す図である。原料となるエラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、未架橋体における、ネットワーク成分の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100〜3000μ秒であって、工程(a)において適度な弾性を有することが好ましい。図1に示すように、第1のロール10と第2のロール20とは、所定の間隔d、例えば0.5mm〜1.0mmの間隔で配置され、図1において矢印で示す方向に回転速度V1,V2で正転あるいは逆転で回転する。まず、第2のロール20に巻き付けられたエラストマー30の素練りを行ない、エラストマー分子鎖を適度に切断してフリーラジカルを生成する。カーボンナノファイバーは、通常、側面は炭素原子の6員環で構成され、先端は5員環が導入されて閉じた構造となっているが、構造的に無理があるため、実際上は欠陥を生じやすく、その部分にラジカルや官能基を生成しやすくなっているため、素練りによって生成されたエラストマーのフリーラジカルがカーボンナノファイバーと結びつきやすい状態となる。
次に、第2のロール20に巻き付けられたエラストマー30のバンク34に、カーボンナノファイバー40を投入し、混練する。
さらに、第1のロール10と第2のロール20とのロール間隔dを、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0〜0.5mmの間隔に設定し、混合物をオープンロールに投入して薄通しを複数回行なう。薄通しの回数は、例えば5回〜10回程度行なうことが好ましい。第1のロール10の表面速度をV1、第2のロール20の表面速度をV2とすると、薄通しにおける両者の表面速度比(V1/V2)は、1.05〜3.00であることが好ましく、さらに1.05〜1.2であることが好ましい。このような表面速度比を用いることにより、所望の剪断力を得ることができる。薄通しして得られた複合エラストマーは、ロールで圧延されてシート状に分出しされる。この薄通しの工程では、できるだけ高い剪断力を得るために、ロール温度を好ましくは0〜50℃、より好ましくは5〜30℃の比較的低い温度に設定して行われ、エラストマー30の実測温度も0〜50℃に調整されることが好ましい。このようにして得られた剪断力により、エラストマー30に高い剪断力が作用し、凝集していたカーボンナノファイバー40がエラストマー分子に1本づつ引き抜かれるように相互に分離し、エラストマー30中に分散される。特に、エラストマー30は、弾性と、粘性と、カーボンナノファイバー40との化学的相互作用と、を有するため、カーボンナノファイバー40を容易に分散することができる。そして、カーボンナノファイバー40の分散性および分散安定性(カーボンナノファイバーが再凝集しにくいこと)に優れた複合エラストマーを得ることができる。
より具体的には、オープンロールでエラストマーとカーボンナノファイバーとを混合すると、粘性を有するエラストマーがカーボンナノファイバーの相互に侵入し、かつ、エラストマーの特定の部分が化学的相互作用によってカーボンナノファイバーの活性の高い部分と結合する。カーボンナノファイバーの表面は高度にグラファイト化されていないため、表面に非結晶部分が適度に残されていて活性が高いため、エラストマー分子と結合し易い。次に、エラストマーに強い剪断力が作用すると、エラストマー分子の移動に伴ってカーボンナノファイバーも移動し、さらに剪断後の弾性によるエラストマーの復元力によって、凝集していたカーボンナノファイバーが分離されて、エラストマー中に分散されることになる。本実施の形態によれば、複合エラストマーが狭いロール間から押し出された際に、エラストマーの弾性による復元力で複合エラストマーはロール間隔より厚く変形する。その変形は、強い剪断力の作用した複合エラストマーをさらに複雑に流動させ、カーボンナノファイバーをエラストマー中に分散させると推測できる。そして、一旦分散したカーボンナノファイバーは、エラストマーとの化学的相互作用によって再凝集することが防止され、良好な分散安定性を有することができる。
工程(a)は、前記オープンロール法に限定されず、密閉式混練法あるいは多軸押出し混練法を用いることもできる。要するに、この工程(a)では、凝集したカーボンナノファイバーを分離できる剪断力をエラストマーに与えることができればよい。特に、オープンロール法は、ロール温度の管理だけでなく、混合物の実際の温度を測定し管理することができるため、好ましい。
工程(a)は、薄通し後の分出しされた複合エラストマーに架橋剤を混合し、架橋して架橋体の複合エラストマーとしてもよい。また、複合エラストマーは、架橋させずに成形してもよい。工程(a)において、通常、エラストマーの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。配合剤としては、例えば、架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、補強剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などを挙げることができる。例えば充填材としては複合金属材料のマトリックスとなるアルミニウムの粒子や工程(c)において還元剤となるマグネシウムの粒子を含んでもよい。これらの配合剤は、例えばオープンロールにおけるカーボンナノファイバーの投入前にエラストマーに投入することができる。
なお、前記工程(a)においては、ゴム弾性を有した状態のエラストマーにカーボンナノファイバーを直接混合したが、これに限らず、以下の方法を採用することもできる。まず、カーボンナノファイバーを混合する前に、エラストマーを素練りしてエラストマーの分子量を低下させる。エラストマーは、素練りによって分子量が低下すると、粘度が低下するため、凝集したカーボンナノファイバーの空隙に浸透しやすくなる。原料となるエラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、未架橋体における、ネットワーク成分の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)が100〜3000μ秒のゴム状弾性体である。この原料のエラストマーを素練りしてエラストマーの分子量を低下させ、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)が3000μ秒を越える液体状のエラストマーを得る。なお、素練り後の液体状のエラストマーの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は、素練りする前の原料のエラストマーの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)の5〜30倍であることが好ましい。この素練りは、エラストマーが固体状態のままで行なう一般的な素練りとは異なり、強剪断力を例えばオープンロール法で与えることによってエラストマーの分子を切断し分子量を著しく低下させ、混練に適さない程の流動を示すまで、例えば液体状態になるまで行なわれる。この素練りは、例えばオープンロール法を用いた場合、ロール温度20℃(素練り時間最短60分)〜150℃(素練り時間最短10分)で行なわれロール間隔dは例えば0.5mm〜1.0mmで、素練りして液体状態のエラストマーにカーボンナノファイバーを投入する。しかしながら、エラストマーは液体状で弾性が著しく低下しているため、エラストマーのフリーラジカルとカーボンナノファイバーが結びついた状態で混練しても凝集したカーボンナノファイバーはあまり分散されない。
そこで、液体状のエラストマーとカーボンナノファイバーとを混合して得られた混合物中におけるエラストマーの分子量を増大させ、エラストマーの弾性を回復させてゴム状弾性体の混合物を得た後、先に説明したオープンロール法の薄通しなどを実施してカーボンナノファイバーをエラストマー中に均一に分散させる。エラストマーの分子量が増大した混合物は、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって30℃で測定した、ネットワーク成分の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)が3000μ秒以下のゴム状弾性体である。また、エラストマーの分子量が増大したゴム状弾性体の混合物の第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は、素練りする前の原料エラストマーの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)の0.5〜10倍であることが好ましい。ゴム状弾性体の混合物の弾性は、エラストマーの分子形態(分子量で観測できる)や分子運動性(T2nで観測できる)によって表すことができる。エラストマーの分子量を増大させる工程は、混合物を加熱処理例えば40℃〜100℃に設定された加熱炉内に混合物を配置し、10時間〜100時間行なわれることが好ましい。このような加熱処理によって、混合物中に存在するエラストマーのフリーラジカル同士の結合などによって分子鎖が延長され、分子量が増大する。また、エラストマーの分子量の増大を短時間で実施する場合には、架橋剤を少量、例えば架橋剤の適量の1/2以下を混合させておき、混合物を加熱処理(例えばアニーリング処理)し架橋反応によって短時間で分子量を増大させることもできる。架橋反応によってエラストマーの分子量を増大させる場合には、この後の工程で混練が困難にならない程度に架橋剤の配合量、加熱時間及び加熱温度を設定することが好ましい。
ここで説明した工程(a)によれば、カーボンナノファイバーを投入する前にエラストマーの粘性を低下させることで、エラストマー中にカーボンナノファイバーを従来よりも均一に分散させることができる。より詳細には、先に説明した製造方法のように分子量が大きいエラストマーにカーボンナノファイバーを混合するよりも、分子量が低下した液体状のエラストマーを用いた方が凝集したカーボンナノファイバーの空隙に侵入しやすく、薄通しの工程においてカーボンナノファイバーをより均一に分散させることができる。また、エラストマーが分子切断されることで大量に生成されたエラストマーのフリーラジカルがカーボンナノファイバーの表面とより強固に結合することができるため、さらにカーボンナノファイバーを均一に分散させることができる。したがって、ここで説明した製造方法によれば、先の製造方法よりも少量のカーボンナノファイバーでも同等の性能を得ることができ、高価なカーボンナノファイバーを節約することで経済性も向上する。
複合エラストマーは、オープンロール法によって得られたシート状のままでもよいし、複合エラストマーを一般に採用されるゴムの成形加工例えば、射出成形法、トランスファー成形法、プレス成形法、押出成形法、カレンダー加工法などによって所望の形状例えばブロック状や複合金属材料の製品形状などに成形してもよい。
(D)複合エラストマー
工程(a)によって得られた複合エラストマーは、基材であるエラストマーにカーボンナノファイバーが均一に分散されている。このことは、エラストマーがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、カーボンナノファイバーによって拘束を受けたエラストマー分子の運動性は、カーボンナノファイバーの拘束を受けない場合に比べて小さくなる。そのため、本実施の形態にかかる複合エラストマーの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)及びスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーを含まないエラストマー単体の場合より短くなる。なお、架橋体におけるスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーの混合量に比例して変化する。
また、エラストマー分子がカーボンナノファイバーによって拘束された状態では、以下の理由によって、非ネットワーク成分(非網目鎖成分)は減少すると考えられる。すなわち、カーボンナノファイバーによってエラストマーの分子運動性が全体的に低下すると、非ネットワーク成分は容易に運動できなくなる部分が増えて、ネットワーク成分と同等の挙動をしやすくなること、また、非ネットワーク成分(末端鎖)は動きやすいため、カーボンナノファイバーの活性点に吸着されやすくなること、などの理由によって、非ネットワーク成分は減少すると考えられる。そのため、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は、カーボンナノファイバーを含まないエラストマー単体の場合より小さくなる。
以上のことから、本実施の形態にかかる複合エラストマーは、パルス法NMRを用いてハーンエコー法によって得られる測定値が以下の範囲にあることが望ましい。
すなわち、未架橋体において、150℃、観測核がHで測定した、第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)は100ないし3000μ秒であり、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)は存在しないか、あるいは1000ないし10000μ秒であり、さらに第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)は0.2未満であることが好ましい。
パルス法NMRを用いたハーンエコー法により測定されたスピン−格子緩和時間(T1)は、スピン−スピン緩和時間(T2)とともに物質の分子運動性を表す尺度である。具体的には、エラストマーのスピン−格子緩和時間が短いほど分子運動性が低く、エラストマーは固いといえ、そしてスピン−格子緩和時間が長いほど分子運動性が高く、エラストマーは柔らかいといえる。
本実施の形態にかかる複合エラストマーは、動的粘弾性の温度依存性測定における流動温度が、原料エラストマー単体の流動温度より20℃以上高温であることが好ましい。本実施の形態の複合エラストマーは、エラストマーにカーボンナノファイバーが良好に分散されているため、エラストマーがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、エラストマーは、カーボンナノファイバーを含まない場合に比べて、その分子運動が小さくなり、その結果、流動性が低下する。
(E)工程(b)
工程(b)は、前記工程(a)で得られた複合エラストマーを熱処理し、該複合エラストマー中に含まれる前記エラストマーを分解気化させて炭素系材料を得る。工程(b)における熱処理は、使用されるエラストマーの種類によって種々の条件を選択することができるが、少なくとも熱処理温度は、エラストマーの分解気化する温度以上であって、かつカーボンナノファイバーが気化する温度よりも低い温度に設定される。
図2は、工程(b)及び工程(c)に用いられる複合金属材料の製造装置100を模式的に示す図である。複合金属材料の製造装置100は、材料を内部に配置することのできる炉50と、炉50を所定温度に加熱するためのヒータ52と、炉50内に窒素ガスを供給する窒素供給源60と、炉50内に酸素ガスを供給する酸素供給源70と、窒素供給源60及び酸素供給源70から炉50内へ供給する各ガス流量を調整する流量調整器62、72と、開閉弁82を介して炉50内を減圧する減圧ポンプ80と、圧力調整弁92を介して炉50内からガスを排気するための排気回路90と、を有する。窒素供給源60及び酸素供給源70は筒状の炉50の一方の端部に設けられた供給口54に接続され、排気回路90は炉50の他方の端部側に設けられた排気口56に接続されている。
工程(b)は、炉50内の所定位置に工程(a)で得られた複合エラストマーAを配置し、減圧ポンプ80によって炉50内を減圧して炉50内の空気を排気し、窒素供給源60から炉50内へ窒素ガスを供給して炉50内を窒素雰囲気とする。この減圧と窒素ガス供給という操作を複数回繰り返して不要なガスを排除することが望ましい。そして、炉50内をヒータ52、52によってエラストマーの分解気化する温度例えば500℃に加熱する。この加熱によって、エラストマーは分解気化してカーボンナノファイバーを主体とした多孔質体の炭素系材料が得られる。なお、図2に示すように、工程(b)に引き続いて工程(c)を連続的に実施する場合は、工程(c)で用いるアルミニウム塊Bを工程(b)のときから複合エラストマーAと共に炉50内に配置してもよい。
(F)工程(c)
工程(c)は、窒素ガスが連続的に供給される炉50内で、溶融したアルミニウムBを、炭素系材料の間に浸透させた後、固化させる。工程(c)において炉50内へ供給される窒素ガス流量は、炉内の体積の1cm あたり0.009L/minを超える流量に制御されている。工程(c)は、工程(b)に引き続いて炉50内に炭素系材料とアルミニウム塊Bとを配置したままで行うことができる。工程(b)によって得られた炭素系材料とその上に配置されているアルミニウム塊Bとを、アルミニウムの融点よりも高い温度までヒータ52、52によって昇温・加熱する。このとき炉50内に別途配置もしくは工程(a)において予め複合エラストマーA中に混合されていた還元剤例えばマグネシウム粒子を有することが好ましい。これは、炉50の加熱によってアルミニウム塊Bよりも先に(低温で)気化して炉50内を還元雰囲気とすることになるため、アルミニウム塊の表面を還元し、溶融したアルミニウムが炭素系材料内へ浸透しやすくなるためである。また、このように炉50内を還元雰囲気にすることは、工程(a)において複合エラストマーA内にアルミニウム粒子を混合していた場合、そのアルミニウム粒子の表面の酸化物も還元することができるので好ましい。
炉50内がアルミニウムの溶融温度以上に昇温すると、還元雰囲気の中でアルミニウム塊Bが溶融し、例えば多孔質体に形成された炭素系材料の内部へとアルミニウムが毛細管現象によって浸透する。炭素系材料は、エラストマーが分解気化してできた空所を有する多孔質体であることが好ましく、その空所にアルミニウム溶湯が浸透することができる。炉50内には、供給口54に接続された窒素供給源60から流量調整器62によって流量調整された窒素ガスを導入する。窒素供給源60としては、例えば窒素ガスボンベを用いることができ、炉50の排気口56に接続された排出回路90の圧力調整弁92によって炉50内の圧力が一定に保たれるように適宜窒素ガスが排出されるため、一定の流量の窒素ガスを炉50内へ導入することができる。また、窒素ガス供給源60として窒素ガスボンベを用いた場合、酸素ガス供給源70を別途設けることなく、所定量の酸素ガスを含む窒素ガスボンベを適宜選択して用いることができる。このような窒素ガスボンベとしては、酸素の含有量が1.0ppm〜50ppmの窒素ガスボンベから適宜用いることが好ましく、酸素の含有量が1.0ppm〜2.0ppmの工業用窒素ガスボンベがさらに好ましい。なお、周辺相に酸素を必要としない場合には、酸素の含有量が0.5ppm以下のG3グレード窒素ガスボンベを用いることができる。炉50内に供給された窒素ガスは、炭素系材料の内部へ浸透しているアルミニウム溶湯と反応して、カーボンナノファイバーの周囲に窒素化合物からなる周辺相を形成する。したがって、工程(c)の間、周辺相を形成するための窒素ガスを連続的に炉50内へ供給することが周辺相の生成に重要である。流量調整弁62によって制御された窒素ガスの流量が少なければ窒素化合物である周辺相の生成量が少なく、窒素ガスの流量が多ければ周辺相の生成量が多くなる。周辺相の生成量は、複合金属材料の動的弾性率に影響する。したがって、高弾性率の複合金属材料を得るためには、工程(c)における窒素ガス流量が炉50内の体積の1cmあたり0.009L/minを超える流量に制御されているさらに、工程(c)における窒素ガス流量は、炉50内の体積の1cm あたり0.013L/min〜0.022L/minに制御されていることが好ましい。なお、窒素ガス流量は、流量調整弁62によって測定することができる。
そして、炉50のヒータ52による加熱を停止させ、アルミニウムの溶湯を冷却・凝固させると、マトリックス中にカーボンナノファイバーが均一に分散された複合金属材料を製造することができる。複合金属材料は、カーボンナノファイバーを覆うようにアルミニウムと窒素を含む周辺相を有する。このような周辺相は、例えば非晶質の物質や結晶質の窒化アルミニウムなどを含むことができる。
また、図2に示すように、炉50の供給口54に酸素供給源70を接続して、工程(c)において窒素ガスと共に酸素ガスを炉50内へ供給することもできる。酸素供給源70は、例えば酸素ガスボンベを用いることができ、供給口54と酸素供給源70との間に流量調整器72を設けることが好ましい。流量調整器72によって、窒素ガスに比べて微量の酸素ガスを炉50内へ供給することで、複合金属材料に非晶質Al/N/Oを含む周辺相を生成することができる。
このように、工程(b)に引き続いて工程(c)を実施することもできるが、工程(b)とは別の炉へ炭素系材料を移した後、工程(c)を実施することもできる。その場合には、炉内の所定位置に炭素系材料を配置した後、減圧ポンプによって炉内を減圧して空気を炉外へ排出し、さらに窒素供給源から炉内へ窒素ガスを供給して炉内を窒素雰囲気とした後に工程(c)を実施することができる。
(G)複合金属材料
工程(c)によって得られた複合金属材料は、アルミニウム系金属のマトリクス中にカーボンナノファイバーが分散された複合金属材料であって、カーボンナノファイバーの周囲にアルミニウムと窒素からなる非晶質の周辺相を含む。この周辺相は、例えば工程(c)において多量の窒素ガスと微量の酸素ガスを供給したとき、アルミニウム、窒素及び酸素を含む非晶質の周辺相として形成することができる。特に、周辺相は、主な構成元素がマトリックスと同じアルミニウムを含むため、マトリックスの結晶質アルミニウムとの濡れ性が良好である。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。(実施例〜7、比較例1〜3
(1)サンプルの作製
(a)複合エラストマー(未架橋サンプル)の作製
工程(a):ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表1に示す所定量(100g)の天然ゴム(表1では「NR」と記載する。100重量部(phr))を投入して、ロールに巻き付かせた。ロールに巻きついた天然ゴムに対してマグネシウム粒子(10重量部(phr))及びアルミニウム粒子(500重量部(phr))を天然ゴムに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。さらに、表1に示す量(重量部)のカーボンナノファイバー(表1では「MWNT13」と記載する)をオープンロールに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。カーボンナノファイバーを投入し終わったら、天然ゴムとカーボンナノファイバーとの混合物をロールから取り出した。ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し5回行った。ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした混合物を投入し、分出しした。
このようにして、実施例〜7及び比較例2,3の複合エラストマー(無架橋体)を得た。なお、実施例〜7及び比較例2,3において、平均粒径50μmのマグネシウム粒子を用い、平均粒径50μmの純アルミニウム粒子(99.7%がアルミニウム)を用い、カーボンナノファイバーは直径(繊維径)が平均直径が約13nmのものを用いた。
工程(b)及び工程(c):
前記(a)で得られた複合エラストマーを炉内に配置させ、アルミニウム塊(純アルミニウムインゴット)をその上に置き、炉内部を減圧ポンプで吸引した後窒素ガスを充填した。炉内の温度をアルミニウムの融点以上(840℃)まで徐々に昇温し、複合エラストマー及びアルミニウム塊を加熱した。炉内には酸素ガス濃度が1.0ppm〜2.0ppmの工業用窒素ガスボンベから流量制御した窒素ガスを連続的に供給し続けた。窒素ガス流量は、炉内空間の体積の1cmあたりに換算した流量(L/min)で制御し、表1に示した。この昇温の過程において、まず、複合エラストマーは、エラストマーの分解気化温度以上でエラストマーが分解気化して炭素系材料になった。次に、マグネシウムが気化して炉内を還元雰囲気とし、さらに、アルミニウム塊が溶融した。アルミニウムの溶湯は、エラストマーと置換するように炭素系材料中の空所に浸透した。アルミニウムの溶湯を浸透させた後、これを自然放冷して凝固させ、複合金属材料を得た。比較例1としては、アルミニウムのインゴットを用いた。複合金属材料とアルミニウムインゴットの比重を測定し、表1に示した。
(2)パルス法NMRを用いた測定
各複合エラストマーについて、パルス法NMRを用いてハーンエコー法による測定を行った。この測定は、日本電子(株)製「JMN−MU25」を用いて行った。測定は、観測核がH、共鳴周波数が25MHz、90゜パルス幅が2μsecの条件で行い、ハーンエコー法のパルスシーケンス(90゜x−Pi−180゜x)にて、Piをいろいろ変えて減衰曲線を測定した。また、サンプルは、磁場の適正範囲までサンプル管に挿入して測定した。測定温度は150℃であった。この測定によって、複合エラストマーの第1スピン−スピン緩和時間(T2n)と、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)と、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)と、を求めた。なお、原料エラストマー単体については、測定温度が30℃の場合における原料エラストマー単体の第1スピン−スピン緩和時間(T2n)についても求めた。測定結果を表1に示す。
(3)周辺相生成量の測定
各複合金属材料を約1100℃で真空昇華処理してマトリックスの純アルミニウムを昇華した。昇華処理後の不融解成分は、カーボンナノファイバー及びその周辺相であった。複合金属材料中における不融解成分の割合を表1に示した。また、工程(c)における窒素ガス流量と不融解成分の割合との関係を表すグラフを図3に示した。
また、実施例〜7及び比較例2,3の複合金属材料の不融解成分をEDS分析によって解析した結果を表1に示した。不融解成分は、窒素(N)と酸素(O)とアルミニウム(Al)を含んでいた。
(4)四点曲げ試験
各複合金属材料について、四点曲げ試験を行なって弾性限界応力と動的弾性率を測定した。測定結果は表1に示した。また、工程(c)における窒素ガス流量と弾性限界応力との関係を表すグラフを図4に示し、窒素ガス流量と動的弾性率との関係を表すグラフを図5に示した。
表1から、本発明の実施例〜7によれば、以下のことが確認された。すなわち、窒素ガス流量を制御することで周辺相の割合が変わり、動的弾性率を制御することができることがわかった。実施例3〜7のように、窒素ガス流量が炉内の体積の1cmあたり0.009L/minを超える流量に制御されていると動的弾性率及び弾性限界応力が明確に向上することがわかった。特に、実施例4〜6のように、窒素ガス流量が炉内の体積の1cmあたり0.013L/min〜0.022L/minに制御されていると動的弾性率及び弾性限界応力が大きく向上した。
本実施の形態で用いたオープンロール法によるエラストマーとカーボンナノファイバーとの混練法を模式的に示す図である。 工程(b)及び工程(c)で用いられる複合金属材料の製造装置の概略構成図である。 実施例〜7及び比較例2,3の工程(c)における窒素ガス流量と不融解成分の割合との関係を表すグラフである。 実施例〜7及び比較例2,3の工程(c)における窒素ガス流量と弾性限界応力との関係を表すグラフである。 実施例〜7及び比較例2,3の工程(c)における窒素ガス流量と動的弾性率との関係を表すグラフである。
符号の説明
10 第1のロール
20 第2のロール
30 エラストマー
40 カーボンナノファイバー
50 炉
52 ヒータ
60 窒素供給源
80 減圧ポンプ
90 排気回路
A 複合エラストマー
B アルミニウム塊

Claims (5)

  1. エラストマーに、カーボンナノファイバーを混合し、かつ剪断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(a)と、
    前記複合エラストマーを熱処理し、該複合エラストマー中に含まれるエラストマーを分解気化させて炭素系材料を得る工程(b)と、
    窒素ガスが連続的に供給される炉内で、溶融したアルミニウムを前記炭素系材料の間に浸透させた後、固化させる工程(c)と、
    を含み、
    前記工程(c)において前記炉内へ供給される窒素ガス流量は、前記炉内の体積の1cm あたり0.009L/minを超える流量に制御されている、複合金属材料の製造方法。
  2. 請求項において、
    前記工程(c)における窒素ガス流量は、前記炉内の体積の1cmあたり0.013L/min〜0.022L/minに制御されている、複合金属材料の製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記工程(a)で得られた前記複合エラストマーを前記炉内に配置して前記工程(b)及び前記工程(c)を連続的に実施する、複合金属材料の製造方法。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項において、
    前記工程(c)は、窒素ガスと共に酸素ガスが前記炉内へ供給され、
    前記炉内へ共有される酸素ガス流量が制御されている、複合金属材料の製造方法。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の製造方法によって得られた複合金属材料。
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