JP5085291B2 - 複合金属材料の製造方法及び複合金属材料 - Google Patents
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エラストマーに、カーボンナノファイバーを混合し、かつ剪断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(a)と、
前記複合エラストマーを熱処理し、該複合エラストマー中に含まれるエラストマーを分解気化させて炭素系材料を得る工程(b)と、
窒素ガスが連続的に供給される炉内で、溶融したアルミニウムを前記炭素系材料の間に浸透させた後、固化させる工程(c)と、
を含み、
前記工程(c)において前記炉内へ供給される窒素ガス流量は、前記炉内の体積の1cm 3 あたり0.009L/minを超える流量に制御されていることを特徴とする。
前記工程(c)における窒素ガス流量は、前記炉内の体積の1cm3あたり0.013L/min〜0.022L/minに制御されていることができる。
前記工程(a)で得られた前記複合エラストマーを前記炉内に配置して前記工程(b)及び前記工程(c)を連続的に実施することができる。
前記工程(c)は、窒素ガスと共に酸素ガスが前記炉内へ供給され、
前記炉内へ共有される酸素ガス流量が制御されていることができる。
エラストマーは、分子量が好ましくは5000ないし500万、さらに好ましくは2万ないし300万である。エラストマーの分子量がこの範囲であると、エラストマー分子が互いに絡み合い、相互につながっているので、エラストマーはカーボンナノファイバーを分散させるために良好な弾性を有している。エラストマーは、粘性を有しているので凝集したカーボンナノファイバーの相互に侵入しやすく、さらに弾性を有することによってカーボンナノファイバー同士を分離する効果が大きい。
本実施の形態の複合エラストマーは、カーボンナノファイバーを0.01〜50重量%の割合で含むことが好ましい。カーボンナノファイバーは、平均直径が0.5ないし500nmであることが好ましく、複合金属材料の強度を向上させるためには0.5ないし30nmであることがさらに好ましい。さらに、カーボンナノファイバーは、ストレート繊維状であっても、湾曲繊維状であってもよい。
エラストマーに、カーボンナノファイバーを混合させ、かつ剪断力によって分散させる工程(a)について説明する。
工程(a)は、オープンロール法、密閉式混練法、多軸押出し混練法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、エラストマーにカーボンナノファイバーを混合させる工程として、ロール間隔が0.5mm以下のオープンロール法を用いた例について述べる。
工程(a)によって得られた複合エラストマーは、基材であるエラストマーにカーボンナノファイバーが均一に分散されている。このことは、エラストマーがカーボンナノファイバーによって拘束されている状態であるともいえる。この状態では、カーボンナノファイバーによって拘束を受けたエラストマー分子の運動性は、カーボンナノファイバーの拘束を受けない場合に比べて小さくなる。そのため、本実施の形態にかかる複合エラストマーの第1のスピン−スピン緩和時間(T2n)、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)及びスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーを含まないエラストマー単体の場合より短くなる。なお、架橋体におけるスピン−格子緩和時間(T1)は、カーボンナノファイバーの混合量に比例して変化する。
工程(b)は、前記工程(a)で得られた複合エラストマーを熱処理し、該複合エラストマー中に含まれる前記エラストマーを分解気化させて炭素系材料を得る。工程(b)における熱処理は、使用されるエラストマーの種類によって種々の条件を選択することができるが、少なくとも熱処理温度は、エラストマーの分解気化する温度以上であって、かつカーボンナノファイバーが気化する温度よりも低い温度に設定される。
工程(c)は、窒素ガスが連続的に供給される炉50内で、溶融したアルミニウムBを、炭素系材料の間に浸透させた後、固化させる。工程(c)において炉50内へ供給される窒素ガス流量は、炉内の体積の1cm 3 あたり0.009L/minを超える流量に制御されている。工程(c)は、工程(b)に引き続いて炉50内に炭素系材料とアルミニウム塊Bとを配置したままで行うことができる。工程(b)によって得られた炭素系材料とその上に配置されているアルミニウム塊Bとを、アルミニウムの融点よりも高い温度までヒータ52、52によって昇温・加熱する。このとき炉50内に別途配置もしくは工程(a)において予め複合エラストマーA中に混合されていた還元剤例えばマグネシウム粒子を有することが好ましい。これは、炉50の加熱によってアルミニウム塊Bよりも先に(低温で)気化して炉50内を還元雰囲気とすることになるため、アルミニウム塊の表面を還元し、溶融したアルミニウムが炭素系材料内へ浸透しやすくなるためである。また、このように炉50内を還元雰囲気にすることは、工程(a)において複合エラストマーA内にアルミニウム粒子を混合していた場合、そのアルミニウム粒子の表面の酸化物も還元することができるので好ましい。
工程(c)によって得られた複合金属材料は、アルミニウム系金属のマトリクス中にカーボンナノファイバーが分散された複合金属材料であって、カーボンナノファイバーの周囲にアルミニウムと窒素からなる非晶質の周辺相を含む。この周辺相は、例えば工程(c)において多量の窒素ガスと微量の酸素ガスを供給したとき、アルミニウム、窒素及び酸素を含む非晶質の周辺相として形成することができる。特に、周辺相は、主な構成元素がマトリックスと同じアルミニウムを含むため、マトリックスの結晶質アルミニウムとの濡れ性が良好である。
(1)サンプルの作製
(a)複合エラストマー(未架橋サンプル)の作製
工程(a):ロール径が6インチのオープンロール(ロール温度10〜20℃)に、表1に示す所定量(100g)の天然ゴム(表1では「NR」と記載する。100重量部(phr))を投入して、ロールに巻き付かせた。ロールに巻きついた天然ゴムに対してマグネシウム粒子(10重量部(phr))及びアルミニウム粒子(500重量部(phr))を天然ゴムに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。さらに、表1に示す量(重量部)のカーボンナノファイバー(表1では「MWNT13」と記載する)をオープンロールに投入した。このとき、ロール間隙を1.5mmとした。カーボンナノファイバーを投入し終わったら、天然ゴムとカーボンナノファイバーとの混合物をロールから取り出した。ロール間隙を1.5mmから0.3mmと狭くして、混合物を投入して薄通しをした。このとき、2本のロールの表面速度比を1.1とした。薄通しは繰り返し5回行った。ロールを所定の間隙(1.1mm)にセットして、薄通しした混合物を投入し、分出しした。
このようにして、実施例3〜7及び比較例2,3の複合エラストマー(無架橋体)を得た。なお、実施例3〜7及び比較例2,3において、平均粒径50μmのマグネシウム粒子を用い、平均粒径50μmの純アルミニウム粒子(99.7%がアルミニウム)を用い、カーボンナノファイバーは直径(繊維径)が平均直径が約13nmのものを用いた。
工程(b)及び工程(c):
前記(a)で得られた複合エラストマーを炉内に配置させ、アルミニウム塊(純アルミニウムインゴット)をその上に置き、炉内部を減圧ポンプで吸引した後窒素ガスを充填した。炉内の温度をアルミニウムの融点以上(840℃)まで徐々に昇温し、複合エラストマー及びアルミニウム塊を加熱した。炉内には酸素ガス濃度が1.0ppm〜2.0ppmの工業用窒素ガスボンベから流量制御した窒素ガスを連続的に供給し続けた。窒素ガス流量は、炉内空間の体積の1cm3あたりに換算した流量(L/min)で制御し、表1に示した。この昇温の過程において、まず、複合エラストマーは、エラストマーの分解気化温度以上でエラストマーが分解気化して炭素系材料になった。次に、マグネシウムが気化して炉内を還元雰囲気とし、さらに、アルミニウム塊が溶融した。アルミニウムの溶湯は、エラストマーと置換するように炭素系材料中の空所に浸透した。アルミニウムの溶湯を浸透させた後、これを自然放冷して凝固させ、複合金属材料を得た。比較例1としては、アルミニウムのインゴットを用いた。複合金属材料とアルミニウムインゴットの比重を測定し、表1に示した。
各複合エラストマーについて、パルス法NMRを用いてハーンエコー法による測定を行った。この測定は、日本電子(株)製「JMN−MU25」を用いて行った。測定は、観測核が1H、共鳴周波数が25MHz、90゜パルス幅が2μsecの条件で行い、ハーンエコー法のパルスシーケンス(90゜x−Pi−180゜x)にて、Piをいろいろ変えて減衰曲線を測定した。また、サンプルは、磁場の適正範囲までサンプル管に挿入して測定した。測定温度は150℃であった。この測定によって、複合エラストマーの第1スピン−スピン緩和時間(T2n)と、第2のスピン−スピン緩和時間(T2nn)と、第2のスピン−スピン緩和時間を有する成分の成分分率(fnn)と、を求めた。なお、原料エラストマー単体については、測定温度が30℃の場合における原料エラストマー単体の第1スピン−スピン緩和時間(T2n)についても求めた。測定結果を表1に示す。
各複合金属材料を約1100℃で真空昇華処理してマトリックスの純アルミニウムを昇華した。昇華処理後の不融解成分は、カーボンナノファイバー及びその周辺相であった。複合金属材料中における不融解成分の割合を表1に示した。また、工程(c)における窒素ガス流量と不融解成分の割合との関係を表すグラフを図3に示した。
また、実施例3〜7及び比較例2,3の複合金属材料の不融解成分をEDS分析によって解析した結果を表1に示した。不融解成分は、窒素(N)と酸素(O)とアルミニウム(Al)を含んでいた。
各複合金属材料について、四点曲げ試験を行なって弾性限界応力と動的弾性率を測定した。測定結果は表1に示した。また、工程(c)における窒素ガス流量と弾性限界応力との関係を表すグラフを図4に示し、窒素ガス流量と動的弾性率との関係を表すグラフを図5に示した。
20 第2のロール
30 エラストマー
40 カーボンナノファイバー
50 炉
52 ヒータ
60 窒素供給源
80 減圧ポンプ
90 排気回路
A 複合エラストマー
B アルミニウム塊
Claims (5)
- エラストマーに、カーボンナノファイバーを混合し、かつ剪断力によって分散させて複合エラストマーを得る工程(a)と、
前記複合エラストマーを熱処理し、該複合エラストマー中に含まれるエラストマーを分解気化させて炭素系材料を得る工程(b)と、
窒素ガスが連続的に供給される炉内で、溶融したアルミニウムを前記炭素系材料の間に浸透させた後、固化させる工程(c)と、
を含み、
前記工程(c)において前記炉内へ供給される窒素ガス流量は、前記炉内の体積の1cm 3 あたり0.009L/minを超える流量に制御されている、複合金属材料の製造方法。 - 請求項1において、
前記工程(c)における窒素ガス流量は、前記炉内の体積の1cm3あたり0.013L/min〜0.022L/minに制御されている、複合金属材料の製造方法。 - 請求項1または2において、
前記工程(a)で得られた前記複合エラストマーを前記炉内に配置して前記工程(b)及び前記工程(c)を連続的に実施する、複合金属材料の製造方法。 - 請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記工程(c)は、窒素ガスと共に酸素ガスが前記炉内へ供給され、
前記炉内へ共有される酸素ガス流量が制御されている、複合金属材料の製造方法。 - 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の製造方法によって得られた複合金属材料。
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