本発明に係るパネル構造体の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るパネル構造体の一例の外観を正面側および背面側から示した斜視図であり、図2は、本発明に係るパネル構造体の他の例の外観を正面側および背面側から示した斜視図である。図3及び図4は、各々、本発明のパネル構造体における成形パネル、窓ガラス及び窓枠の結合構造の例を図1及び図2のA−A線に沿って部分的に破断して示した断面図である。また、図5は、本発明のパネル構造体の他の例における窓ガラスと窓枠の結合構造の例を図2のB−B線に沿って部分的に破断して示した断面図である。更に、図6は、本発明のパネル構造体における成形パネル、窓ガラス及び窓枠の結合構造の他の例を示した断面図である。
本発明のパネル構造体は、窓を有するパネル状の合成樹脂製の構造体であり、自動車、列車などの車輌、船舶の他、建築部品に適用できる。最も典型的には、自動車のサイドドア、バックドア、スライドドア、フード、ルーフ又はそれらの類似部品として使用される。先ず、本発明に係るパネル構造体の部材構成について説明する。
本発明のパネル構造体は、図1に示す様に、窓用の開口部が設けられた成形パネル(1)と、当該成形パネルの開口部に配置された透明樹脂製の窓ガラス(2)と、成形パネル(1)の一面側(図1(b)に示す内側)に配置された窓枠(3)と、窓ガラス(2)の表面を含む成形パネル(1)の他面側(図1(a)に示す状態の表側)に配置された硬質被膜(4)(図3及び図4参照)とから主に構成される。
成形パネル(1)は、樹脂製の部材であり、例えば自動車部品の場合、サイドドア、バックドア、スライドドア、フード、ルーフ等に対応する所定の形状に形成される。通常、成形パネル(1)は不透明樹脂で構成される。成形パネル(1)の厚さは、材料構成および適用部位にもよるが、通常は1〜10mm程度である。成形パネル(1)には窓を構成する開口部が設けられる。斯かる開口部の形状は、適用部位、目的などに応じて種々の形状に設計でき、例えば図示する様に四角形に形成される。
窓ガラス(2)は、上記の成形パネル(1)の開口部に装着される。窓ガラス(2)については、出来る限り面積を大きく設計し且つ必要な剛性を確保し、しかも、遮音効果を高めるため、その厚さは、図3(a)に示す様に、通常は成形パネル(1)の厚さよりも厚肉に設定される。具体的には、窓ガラス(2)の厚さは3〜15mm程度とされる。また、窓ガラス(2)は、後述する樹脂の構成により、その日射透過率を60%未満とされる。日射透過率を制限することにより、自動車やその他の車輌に適用した場合の室内の紫外線量を低減し、室内の昇温を抑制することが出来る。
窓枠(3)は、樹脂製の部材であり、好ましくは複合強化合成樹脂で構成される。窓枠(3)は、図1(b)に示す様に、例えば、自動車部品の場合は自動車の室内側となる成形パネル(1)の一面側に配置される。窓枠(3)の基本的な機能は、意匠性を高めるための機能、すなわち、室外側から見た場合に成形パネル(1)に対して窓ガラス(2)を縁取る機能(図1(a)参照)、および、室内側から見た場合に成形パネル(1)と窓ガラス(2)との接合部分を覆う機能(図1(b)参照)である。
例えば略四角形の窓の場合、窓枠(3)の内周側の寸法(縦横の長さ)は、成形パネル(1)の開口部の内周縁の寸法(縦横の長さ)よりも幾分小さな寸法に設計される。窓ガラス(2)に対する窓枠(3)の重なり代の面積は、意匠性を損なうことなく且つ十分に採光するため、窓ガラス(2)の面積の40%未満に設定される。窓枠(3)の幅(外周と内周の差)は、当該窓枠の材料、後述する成形パネル(1)と窓ガラス(2)の結合強度、成形パネル(1)の大きさ等を考慮して決定される。
また、図1(b)及び図2(b)に示す様に、窓枠(3)の表面、すなわち、成形パネル(1)及び窓ガラス(2)と反対側の室内側となる窓枠(3)表面には、他部品を取り付けるための取付片(5)が突設される。取付片(5)は、例えば自動車の場合、内装材などを係止するのに利用される。
硬質被膜(4)(図3及び図4参照)は、成形パネル(1)及び窓ガラス(2)の表面の傷つきや劣化を主に防止するための保護膜であり、窓ガラス(2)の表面を含む成形パネル(1)の他面側、すなわち、上記の窓枠(3)と反対側の図1(a)に示す面に配置される。硬質被膜(4)は、成形パネル(1)の色調および窓ガラス(2)の透明性を損なうことのない様に透明樹脂によって形成される。なお、図1及び図2では硬質被膜(4)の図示を省略している。
上記の硬質被膜(4)は、単層でもよいが、保護機能を高めるため、少なくとも2層以上の多層構造を備えていることが好ましく、当該多層構造においては、最外層の硬度を最大に設定するのが好ましい。多層構造を有する硬質被膜(4)としては、例えば、熱線遮蔽、紫外線吸収、サーモクロミック、フォトクロミック、エレクトロクロミックの各機能性層やプライマー層などのうち、少なくとも一つ以上の機能を備えているのが好ましい。また、図示しないが、成形パネル(1)及び窓ガラス(2)に対する保護機能を高める観点から、窓ガラス(2)の表面を含む成形パネル(1)の一面側、すなわち、窓枠(3)側の面にも、上記と同様の硬質被膜が配置されているのが好ましい。
更に、図示しないが、上記硬質被膜(4)と、成形パネル(1)及び窓ガラス(2)との間に、透明樹脂層が設けられてもよい。この様に透明樹脂層を設けることによって、成形パネル(1)と窓ガラス(2)の密着性向上を図ることが出来る。更には、成形パネル(1)と窓ガラス(2)上に硬質被膜(4)を設ける場合、上述した透明樹脂層上に硬質被膜(4)が設けられることにより、成形パネル(1)や窓ガラス(2)の歪みに起因するクラックの発生を防止でき、成形パネル(1)と窓ガラス(2)の間隙に対する硬質被膜(4)の原料の侵入も防止することが出来る。
この様な透明樹脂層を設けるためには、具体的には、例えば、本発明のパネル構造体を射出成形にて製造する際、金型内に透明樹脂シートを予め設置して射出成形する方法が挙げられる。透明樹脂層の樹脂としては、本発明の効果を損なうことがなく、成形パネル(1)や窓ガラス(2)との密着性が十分な透明樹脂である限り、特に制限はなく、適宜選択することが出来る。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。
ところで、図3(a)に示す様に、成形パネル(1)の厚さと窓ガラス(2)の厚さを比較すると、上記の様に、通常は窓ガラス(2)の厚さの方が厚く設計される。その場合、意匠上の観点から、窓ガラス(2)は、図3(a)に示す様に、その表側が成形パネル(1)と同一平面となる様に配置されてもよいし、また、図6に示す様に、当該窓ガラスの表側が成形パネル(1)よりも外側へ厚さの差分だけ突出する様に配置されてもよい。
パネル構造体の厚さに沿った窓枠(3)の断面形状(窓枠の縦横の伸長方向に直交する断面形状)は、図3(a)に示す様に、窓ガラス(2)が成形パネル(1)の表側と同一平面となる様に配置される場合、当該窓枠内周部の窓ガラス(2)側の面に段差部(30)を有する形状とされ、かつ、段差部(30)の後退深さ(段差の大きさ)は、成形パネル(1)と窓ガラス(2)の厚さの差に相当する深さに設計される。他方、図6に示す様に、窓ガラス(2)の表側が成形パネル(1)よりも外側へ厚さの差分だけ突出する様に配置される場合、パネル構造体の厚さに沿った窓枠(3)の断面形状は、通常、当該窓枠内周部の成形パネル(1)及び窓ガラス(2)側の面が平坦な形状とされる。
本発明のパネル構造体において、上記の窓枠(3)は、窓ガラス(2)の外周部の全周を囲む状態に配置されるが、窓ガラス(2)は、図1に示す様に、その外周部の全周が成形パネル(1)で囲まれた状態に配置されてもよいし、あるいは、図2に示す様に、窓ガラス(2)の外周部の一部がパネル(1)で囲まれた状態に配置されてもよい。すなわち、図1に示すパネル構造体は、成形パネル(1)の略中央部に形成された閉じた状態の開口部に窓ガラス(2)が配置されたものであり、図2に示すパネル構造体は、成形パネル(1)の縁寄りに形成された一部切り欠かれた開いた状態の開口部に窓ガラス(2)が配置されたものである。そして、何れの場合も、窓ガラス(2)は、これを囲む成形パネル(1)の開口部に固着されて成形パネル(1)と一体化されている。
本発明においては、窓ガラス(2)と成形パネル(1)と連結強度を高めるため、窓枠(3)は、窓ガラス(2)の外周部と成形パネル(1)の開口部の内周部とに跨って配置され且つこれらと一体化されていることが重要である。本発明のパネル構造体においては、上記の構成により、部材の軽量化を実現し且つ使用に十分耐え得る強度を確保することが出来る。
更に、本発明の好ましい態様においては、成形パネル(1)及び窓ガラス(2)と窓枠(3)との結合強度を一層高めるため、パネル構造体は、図3(b)及び(c)に示す様に、厚さに沿って断面視した場合、窓ガラスの外周部と成形パネルの開口部の内周部との接合部が窓枠との嵌合構造を備えている。前述の成形パネル(1)と窓ガラス(2)の厚さの関係から、窓ガラス(2)が成形パネル(1)の表側と同一平面となる様に配置される場合を例に挙げて上記の嵌合構造を更に具体的に説明すると、次の2つの態様が挙げられる。
すなわち、上記の嵌合構造の第1の態様は、図3(b)に示す様に、窓ガラス(2)の外周部と成形パネル(1)の開口部の内周部との接合部が窓枠(3)側に突起部(21)を構成し且つ窓枠(3)に設けられた溝部(31)に前記の突起部(21)が嵌合する構造である。図3(b)に示す構造においては、窓枠(3)の溝部(31)により、成形パネル(1)と窓ガラス(2)が互いに面方向にずれるのを規制し且つ成形パネル(1)及び窓ガラス(2)に対する窓枠(3)の固着面積を大きく出来るため、成形パネル(1)と窓ガラス(2)の結合強度を高めることが出来る。
上記の嵌合構造の第2の態様は、図3(c)に示す様に、窓ガラス(2)の外周部と成形パネル(1)の開口部の内周部との接合部が窓枠(3)側に溝部(22)を構成し且つ窓枠(3)に設けられた突起部(32)が前記の溝部(22)に嵌合する構造である。図3(c)に示す構造においては、窓枠(3)の突起部(32)により、成形パネル(1)及び窓ガラス(2)に対する窓枠(3)の固着面積を大きく出来るため、成形パネル(1)と窓ガラス(2)の結合強度を高めることが出来る。
また、本発明の好ましい他の態様において、パネル構造体は、図4(d)に示す様に、厚さに沿って断面視した場合、成形パネルの開口部の内周部が窓枠との嵌合構造を備えている。具体的には、斯かる嵌合構造は、成形パネル(1)の開口部の内周部が窓枠(3)側に突出して窓ガラス(2)の外周部に被さる屈曲した突起部(13)を有し且つ窓枠(3)に設けられた溝部(33)に前記の突起部(13)が嵌合する構造である。図4(d)に示す構造においては、窓枠(3)の溝部(33)により、成形パネル(1)の突起部(13)を拘束し、成形パネル(1)の開口部が拡がる方向に変形するのを規制できるため、成形パネル(1)と窓ガラス(2)の高い結合強度を維持することが出来る。
また、本発明の好ましい更に他の態様において、パネル構造体は、図4(e)に示す様に、厚さに沿って断面視した場合、窓ガラス(2)の外周部が窓枠(3)との嵌合構造を備えている。具体的には、斯かる嵌合構造は、窓ガラス(2)の外周部の窓枠(3)側が当該窓ガラスの面方向に沿って外側へ突出して成形パネル(1)の開口部の内周部に被さる突出部(24)を有し且つ窓枠(3)の内周側に設けられた肉薄の段差部(34)に対して前記の突出部(24)を含む窓ガラス(2)の外周部が嵌合する構造である。図4(e)に示す構造においては、窓ガラス(2)の突出部(24)により、成形パネル(1)の開口部の内周部に対する固着面積を大きく出来、しかも、窓ガラス(2)の突出部(24)により、窓枠(3)に対する窓ガラス(2)の固着面積を大きく出来るため、成形パネル(1)と窓ガラス(2)の結合強度を高めることが出来る。
なお、図2に示すパネル構造体、すなわち、成形パネル(1)の一部が開いた状態の開口部に窓ガラス(2)が配置されたパネル構造体において、前記の開口部の開いた状態の部位では、図5に示す様に、窓ガラス(2)だけが窓枠(3)に固着されている。その場合、窓ガラス(2)と窓枠(3)の結合構造は、図5に示す様に、平面同士を固着させてこれらを一体化したものでもよいし、あるいは、上記の様な各種の嵌合構造を利用して一体化したものでもよい。
また、前述の図6に示す様な態様、すなわち、窓ガラスの表側が成形パネル(1)よりも外側へ厚さの差分だけ突出する様に配置される態様においても、成形パネル(1)、窓ガラス(2)及び窓枠(3)の上記の様な各種の嵌合構造を採用することが出来、斯かる嵌合構造により、成形パネル(1)、窓ガラス(2)及び窓枠(3)をより一層強固に一体化することが出来る。
以下に、本発明の窓を有するパネル構造体の構成材料、すなわち、成形パネル(1)、窓ガラス(2)、窓枠(3)及び硬質被膜(4)の材料、ならびに、本発明のパネル構造体の製造方法について説明する。
先ず、窓ガラス(2)の構成材料について説明する。窓ガラス(2)の構成材料は、透明樹脂であれば、従来公知の任意のものから適宜選択することが出来る。ここで、透明とは、JIS K7105に準拠して測定された表面の平滑な厚み3mmの板状成形品における全光線透過率として、通常10%以上、好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上であることを意味する。染料または顔料を含有する透明な樹脂においては、斯かる染料または顔料の使用割合ては、熱可塑性樹脂100重量部に対し、通常0.001〜2重量部、好ましくは0.005〜120重量部、更に好ましくは0.005〜0.5重量部である。
上記の様な透明樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリメタクリルメタクリレート樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙られる。これらの中では、耐衝撃性や耐熱性の面から、ポリカーボネート樹脂(PC)、中でも、芳香族ポリカーボネート樹脂を主構成樹脂とするものが好ましい。ここで、主構成樹脂とするとは、芳香族ポリカーボネート樹脂の割合が通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70重量%以上であることを意味する。
PCを主構成樹脂とする場合に併用する樹脂は、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリメタクリルメタクリレート樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられ、その形態は、透明性を維持する形態であればアロイでも共重合体でもよい。
本発明で使用するPCは、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを、または、これらに併せて少量のポリヒドロキシ化合物などを反応させて得られる、直鎖または分岐の熱可塑性の重合体または共重合体である。PCは公知の方法によって製造することが出来、製造方法としては、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマ−の固相エステル交換法などが挙げられる。
原料として使用される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリ−ル)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリ−ル)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリ−ルエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリ−ルスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリ−ルスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリ−ルスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。
上記の中では、好ましくはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類であり、耐衝撃性の点から特に好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA)である。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、2種類以上を併用してもよい。
芳香族ジヒドロキシ化合物と反応させるカーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステル、ハロホルメ−ト等が使用され、具体的には、ホスゲン;ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリ−ルカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;二価フェノールのジハロホルメ−ト等が挙げられる。これらのカーボネート前駆体は2種類以上を併用してもよい。
また、本発明において、PCは、三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した、分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよい。三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)べンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物類の他、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリ−ル)オキシインド−ル(別名:イサチンビスフェノール)、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロムイサチン等が挙げられ、これらの中では、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。多官能性芳香族化合物は、前記の芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を置換して使用され、その使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜2モル%である。
次に、界面重合法によるPCの製造方法について説明する。この製造方法においては、反応に不活性な有機溶媒、アルカリ水溶液の存在下、通常pHを9以上に保ち、芳香族ジヒドロキシ化合物、ならびに、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)及び芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を使用し、ホスゲンと反応させた後、第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの重合触媒を添加し、界面重合を行う。分子量調節剤の添加はホスゲン化時から重合反応開始時までの間であれば特に限定されない。なお、反応温度は、例えば、0〜40℃で、反応時間は、例えば、数分(例えば10分)〜数時間(例えば6時間)である。
ここで、反応に不活性な有機溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。また、アルカリ水溶液の調製に使用するアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
分子量調節剤としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、その具体例としては、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対し、通常50〜0.5モル、好ましくは30〜1モルである。
重合触媒としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン等の第三級アミン類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
次に、溶融エステル交換法によるPCの製造方法について説明する。この製造方法における重合反応は、例えば、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応である。炭酸ジエステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−tert−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等が例示される。炭酸ジエステルは、好ましくはジフェニルカーボネート又は置換ジフェニルカーボネートであり、更に好ましくはジフェニルカーボネートである。
また、PCにおいては、その末端水酸基量が製品の熱安定性、加水分解安定性、色調などに大きな影響を及ぼすのため、従来公知の任意の方法によって、適宜調整してもよい。溶融エステル交換反応においては、通常、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率や、エステル交換反応時の減圧度を調整して、所望の分子量および末端水酸基量を調整したPCを得ることが出来る。
通常、溶融エステル交換反応においては、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、炭酸ジエステルを等モル量以上使用し、中でも1.01〜1.30モルの量で使用することが好ましい。また、より積極的な調整方法としては、反応時に、別途、末端停止剤を添加する方法が挙げられ、この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。
溶融エステル交換法によりPCを製造する際には、通常、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は、特に制限はないが、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物が好ましい。また、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物またはアミン系化合物などの塩基性化合物を併用してもよい。エステル交換反応は、100〜320℃の反応温度で、最終的には2mmHg以下の減圧下に、芳香族ヒドロキシ化合物などの副生成物を除去しながら行えばよい。なお、溶融重縮合はバッチ式または連続式の何れの方式でもよいが、樹脂組成物とした際の安定性などを考慮すると、連続式が好ましい。
溶融エステル交換法に使用する触媒失活剤としては、当該エステル交換反応触媒を中和する化合物、例えば、イオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体が挙げられる。触媒失活剤の使用量は、触媒が含有するアルカリ金属に対し、通常0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量であり、PCに対し、通常1〜100ppm、好ましくは1〜20ppmである。
本発明に使用するPCの分子量は、任意であるが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]として、通常10,000〜50,000である。粘度平均分子量を10000以上とすることにより、機械的強度が向上して機械的強度の要求の高い用途に好適なものとなる。一方、粘度平均分子量を50,000以下とすることにより、流動性が低下して成形加工が容易なものとなる。なお、粘度平均分子量は、好ましくは12000〜40000であり、更に好ましくは14000〜30000である。また、粘度平均分子量の異なる2種類以上のPCを混合してもよい。
ここで、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計で温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式(η=1.23×10−4M0.83)から算出される値を意味する。ここで、極限粘度[η]とは各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、以下の式により算出した値である。
本発明で使用するPCの末端水酸基濃度は、通常1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、更に好ましくは600ppm以下である。また、その下限は、特にエステル交換法で製造するPCでは、通常10ppm、好ましくは30ppm、更に好ましくは40ppmである。
末端水酸基濃度を10ppm以上とすることにより、分子量の低下が抑制でき、樹脂組成物の機械的特性がより向上する傾向にある。また、末端基水酸基濃度を1000ppm以下にすることにより、樹脂組成物の滞留熱安定性や色調がより向上する傾向にある。なお、末端水酸基濃度の単位は、PC重量に対する、末端水酸基の重量をppmで表示したものであり、測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
また、成形品外観の向上や流動性の向上を図るため、本発明で使用するPCは、芳香族ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。この芳香族ポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1,500〜9,500、好ましくは2,000〜9,000である。芳香族ポリカーボネートオリゴマーの使用量は、PCに対し、通常30重量%以下である。
更に、本発明で使用するPCは、バージンPCだけでなく、使用済みの製品から再生されたPC、所謂マテリアルリサイクルされたPCを含有してもよい。使用済みの製品としては、光学ディスク等の光記録媒体、導光板、自動車窓ガラス・自動車ヘッドランプレンズ・風防などの車両透明部材、水ボトル等の容器、メガネレンズ、防音壁・ガラス窓・波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。再生されたPCの使用割合は、バージンPCに対し、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
前記の窓ガラス(2)の構成材料には、前述の染料または顔料以外に、従来公知の任意の助剤を添加することが出来、その例としては、離型剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候性改良剤、アルカリ石鹸、金属石鹸、可塑剤、流動性改良剤、造核剤、難燃剤、ドリッピング防止剤などが挙げられる。これらの助剤の使用量は公知の範囲から適宜選択される。
次に、成形パネル(1)の構成材料について説明する。成形パネル(1)の構成材料としては、特に制限されず、各種公知の任意の熱可塑性樹脂が使用できる。具体的には、例えば、ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリメタクリレート樹脂などが挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。これらの中では、熱安定性、剛性、窓ガラス(2)との密着性の点から、PCや熱可塑性ポリエステル樹脂が好ましく、中でも、PCを主材としたもの、特に熱可塑性ポリエステル樹脂との併用が好ましい。
成形パネル(1)の構成材料として、PCと熱可塑性ポリエステル樹脂とから成るポリマーアロイを使用する場合、両成分の合計量に対するPCの割合は通常10〜90重量%である。
上記の熱可塑性ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸類またはその反応性誘導体から成るジカルボン酸成分と、ジオール類またはそのエステル誘導体から成るジオール成分とを縮合反応して得られる重合体または共重合体を示す。
本発明の熱可塑性ポリエステル樹の製造は、一般的には、チタン、ゲルマニウム、アンチモン等を含有する重縮合触媒の存在下、ジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させ、副生する水または低級アルコールを系外に排出することにより行われる。なお、縮合反応は、バッチ式または連続式の何れの形式でもよく、固相重合により重合度を上げてもよい。
ジカルボン酸類としては、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジカルボン酸の何れでもよいが、耐熱性、寸法安定性などの点から、芳香族ジカルボン酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、2,5−アントラセンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸、4,4’−p−タ−フェニレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸などが挙げられる。また、5−メチルイソフタル酸などのアルキル基置換体;テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル等のアルキルエステル誘導体などの反応性誘導体も使用することが出来る。
上記の中では、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびそれらのアルキルエステル誘導体が好ましく、テレフタル酸およびそのアルキルエステル誘導体が更に好ましい。これらの芳香族ジカルボン酸は2種以上を併用してもよく、また、芳香族ジカルボン酸と共に、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸を併用することも可能である。
また、ジオール類としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族ジオール類;1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、トランス−またはシス−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等の脂環族ジオール類;p−キシレンジオール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)等の芳香族ジオール類が挙げられる。また、これらの置換体も使用することが出来る。
上記の中では、熱安定性、耐衝撃性、剛性等の点から、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールが更に好ましく、エチレングリコールが特に好ましい。これらは2種以上を併用してもよい。また、ジオール成分として、分子量400〜6,000の長鎖ジオール類、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の1種以上を上記のジオール類と併用して共重合させてもよい。
また、本発明で使用する熱可塑性ポリエステル樹脂は、少量の分岐剤を導入することにより分岐させることも出来る。分岐剤としては、トリメシン酸、トリメリチン酸、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル等が挙げられる。
本発明で使用する熱可塑性ポリエステル樹脂の好適な具体例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレンテレフタレート樹脂(PPT)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリへキシレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)樹脂(PCT)、ポリシクロヘキシルシクロヘキシレート(PCC)等が挙げられる。これらの中では、流動性と耐衝撃性の点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレンテレフタレート樹脂(PPT)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)が好ましい。
上記のポリエチレンテレフタレート樹脂は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とし、且つ、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分とし、これらの縮合反応によって得られる飽和ポリエステル重合体または共重合体である。繰り返し単位としてのエチレンテレフタレート単位の割合は、通常70モル%以上、好ましくは80モル%以上である。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂中には、重合時の副反応生成物であるジエチレングリコールが共重合成分として含まれることがあるが、このジエチレングリコールの量は、重合反応に使用するジオール成分の全量に対し、通常0.5〜6モル%、好ましくは0.5〜5モル%である。
他の熱可塑性ポリエステル樹脂の具体例としては、例えば、ラクトンの開環重合によるポリピバロラクトン樹脂、ポリ( −カプロラクトン)樹脂、溶融状態で液晶を形成する液晶ポリマ−(Thermotropic Liquid Crystal Polymer;TLCP)等が挙げられる。具体的には、市販の液晶ポリエステル樹脂としては、イ−ストマンコダック社製「X7G」、ダ−トコ社製「Xyday(ザイダ−)」、住友化学社製「エコノール」、セラニ−ズ社製「ベクトラ」等が挙げられる。
本発明で使用する熱可塑性ポリエステル樹脂の固有粘度は、通常0.4〜1.5dl/g、好ましくは0.5〜1.3dl/gである。ここで、固有粘度は、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の溶媒中30℃で測定した値を意味する。固有粘度が0.4未満の場合は耐衝撃性が低下し易く、1.5を超える場合は流動性が低下し易い。また、熱可塑性ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基量は、通常5〜50μeq/g、好ましくは10〜30μeq/gである。末端カルボキシル基量が5μeq/g未満の場合は耐衝撃性が低下し易く、50μeq/gを超える場合は、耐湿熱性、熱安定性が不十分となり易い。
更に、本発明で使用する熱可塑性ポリエステル樹脂としては、バ−ジン原料だけでなく、使用済みの製品から再生された熱可塑性ポリエステル樹脂、所謂マテリアルリサイクルされた熱可塑性ポリエステル樹脂の使用も可能である。使用済みの製品としては、容器、フィルム、シ−ト、繊維などが主として挙げられ、好ましくはPETボトル等の容器である。また、再生熱可塑性ポリエステル樹脂としては、製品の不適合品、スプル−、ランナ−等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
また、成形パネル(1)の構成材料には、剛性、寸法安定性、耐熱性を向上させる目的で無機フィラーを配合することが好ましい。斯かる無機フィラーとしては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、酸化鉄、アルミナ、チタン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、珪酸マグネシウム(タルク)、珪酸アルミニウム(マイカ)、珪酸カルシウム(ウォラストナイト)、クレー、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラス繊維、けい砂、けい石、石英粉、しらす、けいそう土、ホワイトカーボン、鉄粉、アルミニウム粉などが挙げられる。これらの中では、珪酸マグネシウム(タルク)、珪酸アルミニウム(マイカ)、珪酸カルシウム(ウォラストナイト)が好ましい。無機フィラーは2種類以上を併用することも出来る。
上記の無機フィラーの形状は、球状、立方形状、粒状、針状、板状、繊維状などの何れの形状であってもよいが、最終的に得られる熱可塑性樹脂組成物の寸法安定性を向上させ、剛性を高く、外観を良好にすると言う観点から、板状または針状が好ましく、レーザー回折粒度(D50)が10μm以下のフィラーが好ましい。
無機フィラーの使用量は、成形パネル(1)の構成材料100重量部に対し、通常2〜50重量部、好ましくは5〜40重量部である。無機フィラーの配合量が2重量部未満の場合は、剛性、寸法安定性、耐熱性の改良効果が小さく、50重量部を超える場合は耐衝撃性が低下する。
上記の無機フィラーは、無処理のままであってもよいが、樹脂成分との親和性または界面結合力を高める目的で、無機表面処理剤、高級脂肪酸またはそのエステル、塩などの誘導体、カップリング剤などで処理するのが好ましい。表面処理の際は、非イオン、陽イオン、陰イオン型などの各種の界面活性剤、各種の樹脂などの分散剤による処理を併せて行うならば、機械的強度および混練性が向上して好ましい。
更に、成形パネル(1)の構成材料には、帯電防止性や静電塗装が可能な導電性を付与する目的で導電性カーボンブラック及び/又は中空ナノカーボン繊維を配合することが出来る。導電性カーボンブラックとしては、アセチレンガスを熱分解して得られるアセチレンブラック、原油を原料としファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッチェンブラック等が挙げられる。中空ナノカーボン繊維は、規則的に配列した炭素原子の本質的に連続的な多数層から成る外側領域と、内部中空領域とを有し、各層と中空領域とが実質的に同心に配置されている本質的に円柱状のフィブリルである。更に、上記の外側領域の規則的に配列した炭素原子が黒鉛状である。上記の中空領域の直径は通常2〜20nmである。この様な中空ナノカーボン繊維は、ハイペリオン・カタルシス社により、「グラファイト・フィブリル」と言う商品名で販売しており、容易に入手できる。
次に、窓枠(3)の構成材料について説明する。窓枠(3)の構成材料は基本的には前述の成形パネル(1)の構成材料、PC、各種の熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリマーアロイ等を使用することが出来る。
窓枠(3)の構成材料には強化用繊維を配合するのが好ましい。強化用繊維としては、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、金属繊維などの高融点(高軟化点)繊維などが挙げられる。また、生分解繊維も使用できる。これらの中では価格の点からガラス繊維が好ましい。特に、断面の長径/短径により算出された扁平率が2以上である扁平断面を有するガラス繊維が好ましい。
強化用繊維は、無処理のままであってもよいが、樹脂成分との親和性または界面結合力を高める目的で、成形パネル(1)の構成材料に使用される無機フィラーと同様、公知の無機表面処理剤、高級脂肪酸またはそのエステル、塩などの誘導体、カップリング剤などで処理するのが好ましい。表面処理する際には、非イオン、陽イオン、陰イオン型などの各種の界面活性剤、各種の樹脂などの分散剤による処理を併せて行うのが、機械的強度および混練性の向上の観点から好ましい。
強化用繊維の形態は、ロービング、ヤーン、フィラメント、チョップストランド等の繊維であれば何れも使用できる。また、目的によっては、ロービングクロス等の如き織物状のものも使用できる。本発明において上記の如き繊維は、2種以上を組み合わせて使用することも可能である。また、窓枠(3)の中に分散する強化用繊維の重量平均繊維長は、強度および分散性観点から、通常1.5〜10mm、好ましくは1.8〜5mmである。
次に、硬質被膜(4)の材料について説明する。硬質被膜(4)は、前述の通り、成形パネル(1)及び窓ガラス(2)の表面の傷つきや劣化を主に防止するための保護膜である。従って、硬質被膜(4)の構成材料は透明樹脂でなければならず、斯かる透明樹脂としては、ハードコート剤として知られている公知の材料を適宜使用することが出来、例えば、シリコーン系、アクリル系、シラザン系などの種々のハードコート剤を使用することが出来る。これらの中では、接着性や耐候性を向上させるために、ハードコート剤を塗布する前にプライマー層を設ける2コートタイプのハードコートが好ましい。また、コーティング方法としては、スプレーコート、ディップコート、フローコート、スピンコート、バーコート等が挙げられる。また、フイルムインサートによる方法、転写フィルムに好適な薬剤を塗布して転写する方法なども採用し得る。
なお、上記の硬質被膜(4)の最外層に備えられる前述の各種機能(熱線遮蔽、紫外線吸収、サーモクロミック、フォトクロミック、エレクトロクロミックの各機能)のために使用する材料としては、従来公知の各機能材料を適宜に選択して使用することが出来る。
次に、本発明のパネル構造体の製造方法について説明する。本発明のパネル構造体は、前述の各要素(部品)を個別に成形した後に接合して一体化する方法によって容易に製造することが出来る。接合手段としては、接着剤を使用する方法の他、振動溶着、レーザー溶着、熱板溶着、射出溶着などが挙げられる。また、上記の他、多色成形法を利用して製造することも出来る。更には、製造過程においてシート等の予め形成された成形体を金型内に装着するインサート成形法を採用することも出来る。
本発明のパネル構造体においては、上記の様に、成形パネル(1)、窓ガラス(2)、窓枠(3)及び硬質被膜が一体化され、しかも、窓ガラス(2)の外周部と成形パネル(1)の開口部の内周部とに跨って配置された窓枠(3)が成形パネル(1)に対する窓ガラス(2)の結合を補完し、成形パネル(1)に対する窓ガラス(2)の結合強度が一層高められているため、1つの完成された部品として直ちに使用することが出来る。換言すれば、本発明のパネル構造体は、軽量で且つより一層モジュール化されているため、例えば、自動車のボディの組立工程などで直ちに使用でき、より生産性を向上することが出来る。