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JP5097882B2 - マイクロメカニカル接合方法 - Google Patents
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JP5097882B2 - マイクロメカニカル接合方法 - Google Patents

マイクロメカニカル接合方法

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Description

本発明は、電線の接合方法に係り、より特別には、細電線又は極細電線を端子等に接合するための機械的接合方法であるマイクロメカニカル接合方法に関する。
昨今のマイクロエレクトロニクスの発展は微細な電子部品の製造技術に依存している。一方、携帯電話などに代表されるような電子機器には、さらに一層の小型化が要求されており、それらを構成する集積回路などは小型化、高密度化が弛まなく進められている。LSIの集積化が進むと動作速度の高速化と入力端子の多ピン化が必然的に要求される一方で、電子機器の小型・軽量化にともないデバイスの小型化も要求される。LSIの接続は、LSIチップの端子から入出力信号を取り出すための内部接続と、LSIパッケージとプリント回路基板を接合する外部接続とからなっている。内部接続は、従来Auワイヤボンディング法が主流であったが、多ピン化と高速化が同時に実現できるバンプ接合によるフリップチップ法が注目されるようになってきている。外部接続は、従来の表面実装型のリードをもったQFP(Quad Flat Package)に代わって、ソルダバンプを使い、高速化、多ピン化、小型化に応えられるソルダバンプ接続が注目を集め、急激に利用範囲が拡大している。
このように集積チップの接合法の研究には様々な報告がなされている。これに対し、電力系、電波系の部品−超小型チョークコイル、超小型コンデンサ等は、小型化が可能であるものの、小型化した部品の実装が難しく、製品開発及び実用化を遅延させる一因となっている。
例えば、小型軽量電子機器に使用されるチョークコイルの場合、直径数10μmの極細電線を用いてソレノイドコイルを作成することが可能である。しかし、その極細電線を端子に接続する際に非常な困難を伴う。すなわち、極度に細い電線であるため、折り曲げれば切断される。超音波接合などでは、往々にして、超電波振動子(コーン)で極細電線を押しつぶし、破断の原因を作る。一方で、変形させないようにしてはんだ付けをすると、極細電線とはんだの金属反応により細線を溶融させてしまう恐れがある。また、製造コストや環境問題の観点からも、はんだの使用は極力避ける傾向にあり、新たな微細接合技術の開発が望まれている技術分野となっている。
集積回路・集積チップに適用されるマイクロ接合技術としては、マイクロソルダリング(はんだ付)技術をはじめとして様々な技術が実用化されているが、これに対し、超小型チョークコイル・超小型コンデンサ等の電力系・電波系部品の場合、部品の一部である極細電線を端子へ固定する際にはんだ付けを用いると、極細導線とはんだとの溶解反応により、図10に示すように細線が溶融されてしまう。このため、これら部品の製作及び基板への実装にはんだ付けを用いることが難しく、これが超小型チョークコイル・超小型コンデンサ等の実用化を遅延させる一因となっている。すなわち、従来技術としては「はんだ付け」があるが、本発明で目的としている極細電線と端子との接合を十分に達成できる従来技術は今のところ見あたらない。
毛髪よりも細い銅線に対し、溶融はんだを接触させると、金属・合金間の溶解反応により、極細銅線は溶解破断する危険性が高い。そこで、はんだを用いない接合技術が必要となる。金属・合金の溶解を伴わない接合方法としては、金属・合金同士の固相接合技術と機械的接合(結合)技術がある。極細線の固相接合技術としては、LSI端子接続に用いられるワイヤボンディング技術がよく知られている。これは金細線を塑性変形させながら端子に圧着させる技術で、酸化皮膜を殆ど形成しない金線に対しては、有効な技術である。しかし、金と比較して酸化皮膜を形成しやすく、且つ塑性変形しにくい銅線に対しては、ワイヤボンディング技術は適用が難しい。接合しにくい銅線に対し、無理に塑性変形を起こさせると、銅細線は容易に破断し、接合は行えない。そこで、極細導線には殆ど変形を与えず、多少の塑性変形を与えても破断・破壊することのない端子側本体(母材)に対し、極細導線を包み込むような塑性変形を起こさせることにより接合を達成する、新規な機械的方法が本発明のメカニカル接合方法、特には、マイクロメカニカル接合方法である。
このような極細電線に対しては,金属・合金の溶解を伴うはんだ付けではなく,端子側接合部を微細に塑性変形させ,極細電線を端子側金属で包み込むように接合する機械的接合法が有効であると考えられる。単に機械的に保持することによって達成される接合は,一般にメカニカル接合と呼ばれるが,サブミリ〜ミクロンオーダーでこれを実現させる技術はこれまでに報告が無く,新規性の高い技術といえる。
本発明は、上述した事情に鑑みなされたもので、超小型チョークコイル・超小型コンデンサ等の電力系・電波系部品の一部である極細電線と端子との接合方法を提供することを目的とする。極細導線をメカニカルに接合しようとする発想は新規性が高く,類似の発想に関する報告はこれまでのところ見あたらない。この技術はそれ程容易な技術とは言えず、極細導線を切断・破断せずに目的箇所に設置し、その近傍の端子母材に微小塑性変形を起こさせて、その極細導線を切断・破断せずに包み込むように固定する接合方法を提供する。
本発明の別の目的は、電線と端子部の接合においては、従来はんだによる接合が一般的に行われてきたが、環境問題等のある、はんだを使用せず、別の方法である本願において呼ぶところのメカニカル接合を使用した電線の接合方法を提供することを目的としている。
本発明の一つの形態は、上述した目的を達成するために、サブミリ以下の直径(D)を有する電線(3)を端子等の母材(2)に接合するメカニカル接合方法を開示しており、このメカニカル接合方法は、母材(2)に、サブミリ以下の幅(B)を有する第1の溝(4)を形成する溝形成手順と、電線(3)を第1の溝(4)内に設置し固定する設置手順と、第1の溝(4)の少なくとも一方の側部に、母材(2)に対して横方向から母材(2)に、先端部(9)が尖っているツール(8)を圧入する圧入手順とを具備する。圧入手順を実施することにより、ツール(8)を圧入した付近の母材(2)が、電線(3)を包み込むように変形して、電線(3)と母材(2)を接合することを特徴とする。
第1の溝(4)の幅(B)が電線(3)の直径より大きいので、電線(3)は第1の溝(4)に収容され。更には圧入手順において、ツール(8)の母材(2)への圧入地点の第1の溝(4)の縁部からの距離(S1)は、電線(3)の直径(D)に概略等し
本発明の接合方法は、ツール(8)が圧入させられる前記母材(2)の地点に、前記ツール(8)の圧入を案内するための第2の溝(6)を形成する手順を更に具備する。
発明の接合方法を使用すれば、電線を確実に接合可能である。
ツール(8)は、離隔する少なくとも2つの先端部(9)を有しており、ツール(8)の先端部(9)は、間に前記電線を挟むように配置されても良い。
ツール(8)には、H−1/2×D以上の圧入深さに到達するように荷重がかけられることが好ましい。ここでHは、第1の溝(4)の深さであり、Dは電線(3)の直径である。
上記の本発明の説明において、カッコ()内の記号又は数字は、以下に示す実施の形態との対応を示すために添付される。
本発明によれば以上のように、これまで、はんだ付けでは実現できなかった極細銅線の端子への接合が可能となり、その技術が必要とされる電子部品の製造が可能となる。
また、これまで、はんだ付けにより接合を行ってきたやや太めの銅線と端子の接続に適用することで、接合には本来余分な材料である「はんだ」が不要となり、コスト節減および環境問題改善等への大きな効果を生み出す。
さらにマクロ的な部品へまで適用を拡大することを考えると、全世界におけるあらゆる電気・電子部品のはんだ付け部の多くが、本発明に基づく機械的接合(マイクロメカニカル接合)に置き換わることも想定される。鉛(Pb)フリーはんだへの移行が急務とされているが、その解決策の一つとしても、有力な技術と認識される。
上記の従来技術に関する説明で述べた問題点を考慮すると、超小型チョークコイル・超小型コンデンサ等の電力系・電波系部品の一部である極細電線に対しては、金属・合金の溶解を伴うはんだ付けではなく、端子側接合部を微細に塑性変形させ,極細電線を端子側金属で包み込むように接合する機械的接合法が有効であると考えられる。その機械的接合方法、即ちメカニカル接合方法の概念の一例を図1及び2に示す。但し、図1に示す接合部の形状及び図2に示すツールの構成は、本発明であるメカニカル接合、特には、マイクロメカニカル接合に必要とされる接合部形状の一例に過ぎないことを付言しておく。
以下、図面に基づいて、電線、特には極細電線の本発明の接合方法、即ち、マイクロメカニカル接合方法の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明に係るマイクロメカニカル接合方法の一実施の形態の概念図を図解的に示しており、図2は、該マイクロメカニカル接合方法において使用したツール(マイクロプロダクションツール)の図式図である。
まず図1を参照すると、上に示される図2(a)は、ミクロンオーダーからサブミリオーダー(1mm以下)の直径Dを有する極細電線3が、母材2に設けられた第1の溝4に挿入するようにセットされた状態を示している。本実施の形態において、電線3及び電線の接合されるべき端子部等の母材2の材質は、銅であるが、本発明はこれに限定されず、電線3及び母材2は、銅合金、金、鉄等の別の導電性材料であっても良く、それぞれが異なる導電性材料であっても良い。第1の溝4の幅Bは、電線3の直径Dより少し大きいので、やはりミクロンオーダーからサブミリオーダーである。
第1の溝4は、図1(a)に示すごとく、底が円形断面の電線3に合せて半円形状であることが好ましいが、三角形、四角形等の別の断面形状であっても良い。第1の溝4の深さHは、図2(a)に示すごとく、電線3の直径Dより大きいことが好ましいが、Dより小さくても良い。第1の溝4は、電線3の長手方向(図の紙面に垂直な方向)に伸張して、母材2のこの部分を貫通するように形成されることが好ましいが、本発明はこれに限らず、ある程度の長さだけを伸張するように形成されても良い。第1の溝4の加工は、放電加工、レーザー加工等の既知の加工方法であって良いが、電線3の寸法に対応する溝4の幅B及び深さH応じた溝加工方法が選択されて良い。第1の溝4は、圧刻等のより簡単で現場的な方法で加工することも可能である。
本接合方法においては、平坦な母材2に第1の溝4を加工して、その後電線3を第1の溝4内に挿入するように設置する。この状態が図1(a)に示される。その後、ツール8を第1の溝4の周辺に打ち込むこと(打刻)又は押し込むこと(圧刻又は圧入)により、電線3を母材2で囲むように母材2を変形させて、電線3を母材2により押さえ込んで接触させることにより、電線3を母材2に接合する。ツール8の圧刻(押し込み)又は打刻状態を図1(b)に図式的に示している。図1(b)に示す本実施の形態においては、第1の溝4の縁部からの距離S1が等しい位置で第1の溝4の両側において、ツールは母材2に押し込まれる(圧入される)。図1(b)の例において距離S1は、電線3の直径D(従って、図1の場合第1の溝4の中心から電線の直径D×1.5倍の距離)に概略等しいことが好ましいが、その理由については後記する。
本実施の形態におけるツール(又は、マイクロプロダクションツール)8については、図2に図式的に示す。図2に示すツール8は、後記する確認実験において使用したものであり、本発明が図2に示すツール8の形状、寸法、構成等に限定されることはない。本実施の形態において、図2に示すように、ツール8は、第1の溝4の両側の地点で圧刻(又は圧入)するために、鋭く尖った三角形断面の先端部9を有する2つの板状体を張り合わせた構成である(先端部間の間隔をS2とする)。ツール8の板状部10は、母材2に設置された場合に、電線3の長手方向に伸張する状態となる。本実施の形態においては、ツール8は、打刻と言うよりはむしろ、その尖った先端部9とは反対の端部11に所定の荷重が作用させられて、ツール8の先端部9を母材2に対して圧刻(又は圧入)するように押圧させる。ツール8の圧入方向は、母材2に対して実質的に垂直な方向又は斜めの方向(横方向)であって良い。その結果上記のように、電線3と母材2は接合する。実験における実際の接合状態の写真を図7に示す。ツール8の材質については、母材よりも硬い材質であることが好ましく、例えば、工具鋼等が考えられる。ここで、ツール8の2つの先端部9の間隔S2は「2×S1+D」である。また本実施の形態において、母材2に、別の第2の溝6(図1(a)に点線で示す)が2つ設けられて、ツール8の先端部9を案内しても良い。第2の溝6の形状、加工方法等については、第1の溝4と同様に種々の既知な形状、方法であって良い。
上記の説明において、ツール8は、2つの尖った先端部9を有するが、ツール8は、1つの尖った先端部9を有する構成でも良い。この場合において、ツール8は第1の溝4の一方の側においてのみ圧刻(又は打刻)されて、第1の溝4の一方の側の母材2のみを変形させて、電線3を母材2により囲んで接合を行っても良い。
本発明は、特には、超小型チョークコイル・超小型コンデンサ等の電力系・電波系部品の一部である極細電線と端子との接合技術であるが、極細導線をメカニカルに接合しようとする発想は新規性が高く、類似の発想に関する報告はこれまでのところ見あたらない。この技術はそれ程容易な技術とは言えず、極細導線を切断・破断せずに目的箇所に設置し、その近傍の端子母材に微小塑性変形を起こさせて、その極細導線を切断・破断せずに包み込むように固定するためには、固定時の全体的形状、例えば母材に予め微小な溝を形成し、その中に正確に極細導線を設置し、その溝の極近傍にくさび形状ツールを押し込んだ際に、どのような塑性変形が起こり、どのような固定力が発生するか、全く不明の状態であった。従って、これらの点について、下記のように、有限要素解析、実験等により詳細を明らかにした。
また、単に機械的に保持することによって達成される接合は、一般にメカニカル接合と呼ばれるが、サブミリ〜ミクロンオーダーでこれを実現させる技術はこれまでに報告が無く,新規性の高い技術といえるので、本発明では,まず有限要素解析により接合に必要な諸元を明らかにしたうえで試験装置を開発し、実験により、接合可能であることを確認すると共に接合に必要とされる諸因子を明らかにした。
更に、極細銅線(又は、導線)に対し殆どダメージを与えないまま確実に端子と接合するためには、単純に端子側に塑性変形を起こさせるだけでなく、接合部形状・構造ならびにそれらを形成するためのツール形状・付加荷重等について適正条件が存在すると考えられる。本発明においては、まず、有限要素解析により種々のシミュレーションを行い、必要とされる諸元の概要を明らかにした上で、接合装置を試作し、それらの接合諸元を実現させることで所望の接合が達成できることを実験により確認した。
まず、有限要素解析によるシミュレーションを行い、接合強度を達成するための具体的な接合部形状・寸法について検討したので、この一例を図3から6に示す。図3から図6に、本発明に関して行った有限要素解析の概要を示しており、図3は、有限要素解析計算領域の寸法等の緒元の一例を示す電線3及び溝4付近の断面図であり、図4は、図3の場合の有限要素解析のメッシュを示す有限要素分割図である。図5及び6はそれぞれ、図3の場合において、くさび状ツール8を溝中心部より150μmの位置に深さ50μm及び140μmで降下時のVon Mises等価応力図(塑性変形及び残留応力)である(図中の応力の単位はMPaである)。図3〜6に示す解析例は、一例であるが、後記の実験結果との比較から接合緒元の効果又は性能を把握することが出来るので、全ての電線の種類、接合緒元について実験を行わなくても、有限要素解析計算により適正な接合緒元を決定することが可能である。
有限要素解析の一例において、図3に示すように、電線3の直径D=100μm、第1の溝幅B=100μm、第1の溝4深さH=150μm、電線3の中心から圧刻位置までの距離=150μm(従って、S1=100μm)、ツール8の先端部9の角度=15度×2=30度とした。図5に示す50μm降下時の解析結果では、第1の溝4周辺の母材2の変形は小さく、母材2の応力及び母材2の接触による電線3内に生じる応力はまだ低い(図5参照)。図6に示すように、ツール8が140μmまで降下すると、その時の解析結果では、第1の溝4周辺の母材2の変形は大きく、変形した母材2が電線3を囲んでおり、母材2と電線3が接触することにより、その接触点付近の母材には高い内部応力が発生していることが分る。また、接触点付近の電線3内に生じる応力も図5に比べて高くなっており、母材2から電線3に荷重が作用していることが分る。また、第1の溝4の縁部から圧刻位置までの距離S1は、小さ過ぎれば、電線3を抑える母材2が弱く、大き過ぎれば、ツール8の押圧力が母材2を充分変形できない。従ってS1は電線直径D程度であることが好ましい。
上記に示すような有限要素解析によるシミュレーション結果を基に、実際に接合装置を組立てて、本発明によるメカニカル接合方法により作成した(銅線を接合した)接合部の断面写真を図7に示す。この場合の接合条件は、同図下の表に示しており、電線(銅線)3の直径D=100μm、ツール8への荷重L=8.73kg、荷重時間=10秒(s)であった。また実験に使用したツール8の先端部9の角度は共に27.66度で、S2=370μmであった。図8及び9は、種々の条件により作成した接合部の強度実験結果のグラフであり、図8は、第1の溝4に対して垂直方向の引張り強さ(ピール強さ)に関する実験結果を示し、図9は、第1の溝4に対して水平方向の引張り強さ(引抜き強さ)に関する実験結果を示す。図8と9において、横軸はツール8に作用させた荷重(Load)(g)であり、縦軸はそれぞれ、第1の溝4に対して垂直方向の引張り強さ(ピール強さ)(Piel strength)(g)と、第1の溝4に対して水平方向の引張り強さ(引抜き強さ)(Pull strength)(g)である。図8と9中で、矩形点(プロット)は線径125μm、円形点は線径100μmの種々の条件により作成した接合部の実験値であり、実線は線径125μm、破線は線径100μmの線の破断荷重(強度)である。この時の第1の溝4幅Bは200μm、第1の溝4深さHは250μm、S1は100μmであった。
種々の条件により作成した接合部に対し、第1の溝4に垂直な方向への引張り強さ(ピール強さ又は引きはがし強さ)を示す、図8では、直径D=100μm及び125μmの2種類の太さの銅線に対する結果を比較しているが、付加荷重L=5000g程度以上で、銅線自体の強さの50%程度以上のピール強さが得られている。銅線自体の強度に達しない理由は、接合部エッジにおける応力集中により、銅線が破断するためと考えられる。
同様に、第1の溝4に対して水平方向の引張り強さ(引抜き強さ)を示す図9では、付加荷重約7000gで銅線自体の強さの50%以上の強さに達し、付加荷重9000gでは銅線自体の強さと同等の強さが得られている。これは、水平方向の引き抜きの場合には、接合部エッジにおける応力集中問題が軽減され、銅線が引き抜かれる前に破断しないことによると考えられる。
図8及び9に示す実験及び有限要素解析の結果から、本実施の形態のメカニカル接合方法により、銅線自体の強度と同等の接合強度(ピール強度及び引き抜き強度)を有する接合部を形成可能であることが分った。従って、本発明のメカニカル接合は、電線と母材(端子部等)の接合方法として十分な性能を実現可能であることが証明できた。
上記の第1の実施の形態においては、はんだ付けの難しい100μm程度以下の微細電線の端子等の母材への接合をメカニカル接合で行う場合について説明したが、はんだ付け可能な電線についても、原理的には同様であるので、メカニカル接合を適用することが可能である。メカニカル接合により、はんだを使用せず、電線を接合できるので、はんだを使用することにより生じる、はんだリサクルに係わる問題、環境問題等を解決することが出来るメリットがある。
また、上記の第1の実施の形態においては、母材2に第1の溝4を設けて、電線3を設置したが、特には、微細電線については、必ずしも事前に第1の溝4を母材2に加工する必要はないと考えられる。即ち、母材2上に電線3を設置して固定した状態で、電線の側部地点にツール8を押し込むこと(圧入)により、母材2を変形させて、厚みの小さな電線3を囲んで包み込むように電線3と接合することは可能であると考えられる。従って、本発明において第1の溝4を事前加工することは必須の条件ではない。
次に上記実施の形態の効果及び作用について説明する。
本発明の一実施の形態のメカニカル接合方法により以下の効果が期待できる。
・これまで、はんだ付けでは実現できなかった極細線(銅線等)の端子への接合が可能となり、その技術が必要とされる電子部品の製造が可能となる。
・これまで、はんだ付けにより接合を行ってきたやや太めの銅線と端子の接続に適用することで、接合には本来余分な材料である「はんだ」が不要となり、コスト節減可能であると共に、環境問題改善できる。
・さらにマクロ的な部品へまで適用を拡大することを考えると、あらゆる電気・電子部品のはんだ付け部の多くが、本発明に基づく機械的接合(マイクロメカニカル接合)に置き換わることが可能であり、鉛(Pb)フリーはんだへの移行が急務とされているが、はんだ自体を不要とする接合が可能となる。
上記の実施の形態は本発明の一例であり、本発明は、該実施の形態により制限されるものではなく、請求項に記載される事項によってのみ規定されており、上記以外の実施の形態も実施可能である。
図1は、本発明の一実施の形態のマイクロメカニカル接合方法の概念図である。 図2は、メカニカル接合に使用される(マイクロプロダクション)ツールの一例の図式的立体図である。 図3は、有限要素解析計算領域の寸法等の緒元の一例を示す電線及び溝付近の断面図である。 図4は、図3の場合の有限要素分割図である。 図5は、図3の場合において、ツールを母材内に50μm降下した時のvon Mises等価応力図である。 図6は、図3の場合において、ツールを母材内に140μm降下した時のvon Mises等価応力図である。 図7は、接合部断面写真であり、接合条件を下表に示す。 図8は、種々の条件により作成した接合部の強度実験結果のグラフであり、溝に対して垂直方向の引張り強さ(ピール強さ)に関する実験結果を示す。 図9は、種々の条件により作成した接合部の強度実験結果のグラフであり、溝に対して水平方向の引張り強さ(引抜き強さ)に関する実験結果を示す。 図10は、はんだ付けにより破断した銅線(直径0.1mm)の写真を示す。
符号の説明
2 母材
3 (極細)電線
4 第1の溝
6 第2の溝
8 ツール

Claims (3)

  1. サブミリ以下の直径(D)を有する電線(3)を端子等の母材(2)に接合するメカニカル接合方法であって、
    前記母材(2)に、サブミリ以下の幅(B)を有する第1の溝(4)を形成する溝形成手順と、
    前記電線(3)を前記第1の溝(4)内に設置し固定する設置手順と、
    前記第1の溝(4)の少なくとも一方の側部に、前記母材(2)に対して横方向から前記母材(2)に、先端部(9)が尖っているツール(8)を圧入する圧入手順と、
    を具備するメカニカル接合方法において、
    前記圧入手順を実施することにより、前記ツール(8)を圧入した付近の母材(2)が、前記電線(3)を包み込むように変形して、前記電線(3)と前記母材(2)を接合しており、
    前記第1の溝(4)の幅(B)は、前記電線(3)の直径より大きいので、前記電線(3)は前記第1の溝(4)に収容されており、
    前記圧入手順において、前記ツール(8)の前記母材(2)への圧入地点の前記第1の溝(4)の縁部からの距離(S1)は、前記電線(3)の直径(D)に概略等しく、
    前記ツール(8)が圧入させられる前記母材(2)の地点に、前記ツール(8)の圧入を案内するための第2の溝(6)を形成する手順を更に具備する、ことを特徴とするメカニカル接合方法。
  2. 前記ツール(8)は、離隔する少なくとも2つの先端部(9)を有しており、前記ツール(8)の前記先端部(9)は、間に前記電線(3)を挟むように配置されることを特徴とする請求項に記載のメカニカル接合方法。
  3. 前記ツール(8)には、「前記第1の溝(4)の深さ(H)−1/2×前記直径(D)」以上の圧入深さに到達するように荷重がかけられることを特徴とする請求項1または2に記載のメカニカル接合方法。
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