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JP5099331B2 - ナノ炭素材料複合体およびその製造方法並びにそれを用いた電子放出素子 - Google Patents
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JP5099331B2 - ナノ炭素材料複合体およびその製造方法並びにそれを用いた電子放出素子 - Google Patents

ナノ炭素材料複合体およびその製造方法並びにそれを用いた電子放出素子 Download PDF

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本発明は、強度補強材料、電子放出素子材料、電池の電極材料、電磁波吸収材料、触媒材料、或いは、光学材料としての応用が期待されるナノ炭素材料複合体と、その製造に適した製造方法に関する。
ナノ炭素材料は、炭素のsp混成軌道で構成された、ナノメーター(nm)サイズの微細形状を有することから、従来の材料を凌駕する特性を有し、また従来の材料にはない特性を有しており、強度補強材料、電子放出素子材料、電池の電極材料、電磁波吸収材料、触媒材料或いは光学材料などの次世代の機能性材料としての応用が期待されている。
カーボンナノチューブ等のナノ炭素材料の合成方法としては、アーク放電法、レーザーアブレーション法、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法等が知られている。これらの方法のうち、アーク放電法、レーザーアブレーション法やプラズマ化学気相成長法は非平衡反応であるため、非晶質成分を生成しやすく、一般的に生成するカーボンナノチューブの収率が低く、また、生成したカーボンナノチューブの太さや種類が一様でないことが知られている。
一方、特許文献1及び2には、触媒を用いて炭化水素ガスを熱分解することによりカーボンナノチューブを製造する熱化学気相成長法が開示されている。熱化学気相成長法は、化学平衡反応を利用するため収率が比較的高いことが知られており、この方法では、超微粒の鉄やニッケルなどの触媒粒子を核として成長した炭素繊維が得られる。得られた炭素繊維は、炭素網層が同心状、中空状に成長したものである。しかも、これらの方法では、触媒となる金属の粒径や化学状態を制御することが困難であり、ナノ炭素材料の形状や太さを制御して合成することができず、実用化の際に要求される、所望の構造の材料を作り分けて得ることはできず、結果的に収率が低下することは避けられなかった。
また、従来のナノ炭素材料では、合成したナノ炭素材料を使用形態に加工する際、例えば電池の電極の形状に加工する際には、黒鉛粒子や不定形炭素などのナノ炭素材料以外の炭素不純物を含んだ反応生成物中からナノ炭素材料を精製しなければならず、また基板上に成長したカーボンナノチューブを掻き落とすことで、必要な量のカーボンナノチューブを収集することが必要であり、低コストで大量に、かつ所望の構造を持ったナノ炭素材料を使用した部材を製造することができなかった。
さらに、従来のナノ炭素材料は、個々は結晶性を持ち、繊維状の形態をもつ材料は得られているが、例えばグラム単位でみた集合体は無秩序な集まりであって、かつ、密度が低いパウダー状あるいはクラスター状の固体である。このようなナノ炭素材料を実用的な材料として適用するために、ペースト化あるいは樹脂等の他材料と混合しても、無秩序で低密度の集合体であるため、均一な混合が容易ではなかった。
特許文献3には、鉄、コバルトあるいはニッケルから選ばれる金属触媒を用いて、アルコール溶液中でカーボンナノチューブを製造する方法が開示されている。この方法も、熱化学気相成長法と同様に、得られた炭素繊維は、炭素網層が同心状、中空状に成長したものであり、例えば表面積が大きいあるいはエッジを有するらせん状の形態等の所望の構造を持ったナノ炭素材料は得られていない。
一方、電子ディスプレイデバイスとして陰極線管が広く用いられているが、陰極線管は、電子銃のカソードから熱電子を放出させるためにエネルギー消費量が大きく、また、構造的に大きな容積を必要とするなどの課題があった。このため、熱電子ではなく冷電子を利用できるようにして、全体としてエネルギー消費量を低減させ、しかも、デバイス自体を小形化した平面型のディスプレイが求められ、更に近年では、そのような平面型ディスプレイに高速応答性と高解像度とを実現することも強く求められている。
このような冷電子を利用する平面型ディスプレイの構造としては、高真空の平板セル中に、微小な電子放出素子をアレイ状に配したものが有望視されている。そのために使用する電子放出素子として、電界放射現象を利用した電界放射型の電子放出素子が注目されている。この電界放射型の電子放出素子は、物質に印加する電界の強度を上げると、その強度に応じて物質表面のエネルギー障壁の幅が次第に狭まり、電界強度が10V/cm以上の強電界となると、物質中の電子がトンネル効果によりそのエネルギー障壁を突破できるようになり、そのため物質から電子が放出されるという現象を利用している。この場合、電場がポアッソンの方程式に従うために、電子を放出する部材、即ちエミッタに電界が集中する部分を形成すると、比較的低い引き出し電圧で効率的に冷電子の放出を行なうことができる(非特許文献1、2参照)。
上記のエミッタに対し、近年、エミッタ材料としてナノ炭素材料が注目されている。ナノ炭素材料の中で最も代表的なカーボンナノチューブは、炭素原子が規則的に配列したグラフェンシートを丸めた中空の円筒であり、その外径はnmオーダーで、長さは通常0.5〜数10μmの非常にアスペクト比の高い微小な物質である。そのため、先端部分には電界が集中しやすく高い電子放出能が期待される。また、カーボンナノチューブは、化学的、物理的安定性が高いという特徴を有するため、動作真空中の残留ガスの吸着や反応が生じ難く、イオン衝撃や電子放出に伴う発熱に対して損傷を受け難い特性を有している。
カーボンナノチューブをエミッタとして利用する場合は、ペースト化し、印刷法により基板上に塗布して用いられる場合が多い。例えば、特許文献4では、スクリーン印刷によるエミッタ形成法が開示されている。先ず、カソード電極を基板上に所定ピッチでストライプ状に形成し、さらにカーボンナノチューブを含んだペーストをスクリーン印刷によってカソード電極上に四角形や円形などの形状に孤立した形でカソード電極と同じピッチに形成する。次いで、カーボンナノチューブを含んだ樹脂層の間に絶縁層をスクリーン印刷し、その後、大気雰囲気中で焼成する。これにより、カーボンナノチューブを含む樹脂層の樹脂成分が分解し、カーボンナノチューブが露出して電子放出部が形成される。最後に、グリッド電極を絶縁層上に形成してエミッタを作製する。
上述のようなエミッタの作製に用いるペーストは、一般的には、カーボンナノチューブに、溶剤、分散剤、接着剤としてのガラスフリット、フィラーなどを加え、これらの分布状態が均一になるように混合して分散を行なう。混合後に濾過を行ない、溶剤と樹脂とからなるビヒクル中に混ぜ込みペースト化する。このペーストをよく混合して分散状態を高めた後に濾過してカーボンナノチューブペーストとして完成する。そして上記プロセスで得られたカーボンナノチューブペーストを基板上に印刷し、乾燥及び焼成によりビヒクルを酸化分解させてカーボンナノチューブ膜が得られる。
特開2002−255519号公報 特開2002−285334号公報 特開2003−12312号公報 特開2003−272517号公報 C. A. Spindt : J. Appl. Phys., 39, 3504 (1968) K. Betsui: Tech. Dig. IVMC., (1991) p26
上述したように、従来のナノ炭素材料では、所望の構造を持ったナノ炭素材料を使用した部材を製造することができないという課題がある。
円錐形エミッタや半導体集積回路製造技術を応用したシリコンエミッタでは、いずれもエミッタ材料である金属、シリコンまたはそれらの化合物は表面に酸化物を形成するため、電子放出能が低く、電子放出部であるエミッタ部への電界集中が必要不可欠であった。そのため、それらのエミッタ材料表面から電子を放出させるためには、電子放出部の曲率半径をできるだけ小さくする必要があり、電子放出部となるエミッタに極微細加工を施し、電子放出部の先端形状を円錐形にして、その先端の曲率半径を数nm以下とすることが必要不可欠であった。
ディスプレイ用等の面電子源として利用するためには、上記のような極微細加工を施して得られる円錐形エミッタを多数作製してアレイ上に配置する必要がある。しかしながら、超精密加工が必要であるため、構造的欠陥が生じやすく、大面積に均一に作製することは容易ではなく、歩留まりが低下するうえ、欠陥検査等も不可欠となり製造コストが高くなる。
また、従来のナノ炭素材料をエミッタ材料として使用するためには、黒鉛粒子や不定形炭素等のナノ炭素材料以外の炭素不純物を含んだ反応生成物中からナノ炭素材料を精製しなければならず、また基板上に成長したカーボンナノチューブを掻き落とすことで、必要な量のカーボンナノチューブを収集することが必要であるため、低コストで大量に、かつ所望の構造を持ったナノ炭素材料を使用した部材を製造することができない。
しかも、従来のナノ炭素材料は、個々は結晶性を持ち、繊維状の形態をもつ材料は得られているが、例えばグラム単位でみた集合体は無秩序な集まりであり、かつ密度の低いパウダー状あるいはクラスター状の固体である。このようなナノ炭素材料をエミッタ材料として利用する際には、ナノ炭素材料を所望の構造に制御してかつ均一に作製することが困難であるため、ロット間でバラツキの少なく、かつ、面内均一性の高いエミッタを得ることができない。
本発明は上記課題に鑑み、各種の用途に適した構造を持つナノ炭素材料複合体を提供することを第一の目的としている。
本発明の第二の目的は、ナノ炭素材料の形状や太さを制御可能なナノ炭素材料複合体の製造方法を提供することにある。
前記第一の目的を達成するために、本発明のナノ炭素材料複合体は、低抵抗半導体からなる基体と、この基体上に形成されたパラジウムまたは白金パラジウムからなる金属薄膜を介して基体上に形成された直径が20nm以上のらせん状構造のナノ炭素材料を有することを特徴とする
ここで、らせん状構造とは、ナノ炭素材料の繊維がらせん状にあるいは、ねじれている構造をいう(以下、「ナノコイル」と称することもある)。基体上にらせん構造を有するナノ炭素材料を一体化することにより、ナノ炭素材料を集合体として扱うことが容易となり、ペースト化や他物質との混合の際、不均一となったり飛散したりすることが無くなり、プロセス適性が向上できる。また、らせん構造を有するナノ炭素材料とすることで、最も一般的なナノ炭素材料であるカーボンナノチューブよりも単位体積あたりの表面積が増加するため、また、中空構造を有さず構造が密であるため、実用材料として適用した場合に、特に各種素子等の効率および信頼性の向上を図ることができる。
上記第二の目的を達成するために、本発明のナノ炭素材料複合体の製造方法は、パラジウムまたは白金パラジウムからなる金属薄膜を低抵抗半導体からなる基体上に形成する第1工程と、金属膜担持基体を液体炭化水素中に保持し、金属薄膜担持基体に電流を流して液体炭化水素中で加熱する第2工程とを含金属薄膜を介して基体上に直径が20nm以上のらせん状ナノ炭素材料を形成することを特徴とする。
上記構成において、金属薄膜は、好ましくは、パラジウムの酸化物または白金パラジウムの酸化物である。金属薄膜の厚さは、好ましくは、2〜10nmとする。
基体の加熱温度は、好ましくは、600℃から900℃未満とする。
液体炭化水素は、好ましくは炭素数6〜10の炭化水素であり、好ましくは、オクタンである。
第2工程において、金属薄膜担持基体は、好ましくは、その金属薄膜担持面を下向きあるいは垂直方向にして保持される。
前述したように特許文献3には、鉄、コバルトあるいはニッケルから選ばれる金属触媒を用いて、アルコール溶液中でカーボンナノチューブを製造する方法が開示されているが、本発明の方法とは金属と液相の成分とが相違する。この相違点が、基体上でのらせん状のナノ炭素の形成に影響する。すなわち、パラジウムまたはその合金以外の金属および液体炭素以外の液相の組み合わせでは、らせん状のナノ炭素は基体上に形成されず、直線的な中空構造のナノ炭素チューブが形成されるだけである。
本発明のナノ炭素材料複合体は、基体とらせん状ナノ炭素材料が一体化しているため、集合体として扱いやすく、ペースト化したり他の材料と混合したりする際に不均一化や飛散を起こすことがなく、実用化プロセス適性に優れている。
また、らせん構造を有するため、機械的強度が高くかつ表面積が大きい。したがって、本発明のナノ炭素材料複合体を、構造材料、電子放出材料、電気二重層キャパシタ・電池、燃料電池、或いは、一般的な二次電池の電極材料として使用する際に、良好な実用物性ならびにプロセス適性を示し、製造コストの低減が可能となる。
カーボンナノチューブの場合、壁面からの電子放出がないが、ナノ炭素材料複合体は、ナノ炭素繊維にエッジを持つため、電子放出箇所が増えることになり、カーボンナノチューブとは異なったバリエーションの電子放出素子として利用の幅が広くなる。
本発明のナノ炭素材料複合体の製造方法によれば、前述したように、基体上にらせん状ナノ炭素材料を一体化して形成できるばかりでなく、金属担持基体を液体炭化水素中で加熱する温度をコントロールすることにより、ナノ炭素材料の太さを制御することが可能である。このため、ロット間で高電子放出能のバラツキのないらせん状構造のナノ炭素材料を有するナノ炭素材料複合体を容易に製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
最初に、本発明のナノ炭素材料複合体について説明する。
図1は本発明のナノ炭素材料複合体の構成を示す模式断面図である。本発明のナノ炭素材料複合体1は、基体2と、基体2上に成長したらせん構造を有するナノ炭素材料3とからなるものである。図1では、らせん構造を有するナノ炭素材料3が基体2上に直接に存在する場合を示しているが、らせん構造を有するナノ炭素材料3が、金属を介して基体2上に存在する場合もある。
基体2としては、単結晶シリコンの他に、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム砒素リン、窒化ガリウム、炭化珪素等の半導体基板やガラス、セラミックスまたは石英等を用いることができる。基体2の厚さは特に限定されるものではないが、通常の厚さである100〜1500μmが望ましい。
次に、本発明のナノ炭素材料複合体の製造方法について説明する。
図2は、本発明のナノ炭素材料複合体の製造装置の一例を示すものである。この装置は、液体槽11の外側に液体槽11を冷却するための水冷手段12と、基体2を保持し、かつ、基体2に電流を流すための電極13と、液体槽11から蒸発する有機液体蒸気を冷却凝縮して液体槽11に戻す水冷パイプ14からなる凝縮手段15と、凝縮手段15と装置内の空気を除去する場合の不活性ガスを導入するバルブ16とを保持する蓋17を有し、液体槽11と蓋17で液体炭化水素10を密閉して保持する構成である。
この装置によれば、有機液体の温度を沸点未満に保持することができると共に、基板温度を任意のナノ炭素繊維の太さに形成する温度に保持できる。また、有機液体の気相が凝縮されてもどるため原料の有機液体を無駄にすることがなく、さらに有機気相と空気との混合による爆発、炎上の危険がない。
次に、本発明のナノ炭素材料複合体の製造方法を詳細に説明する。まず、基体を洗浄し、パラジウムまたはその合金から選ばれる金属の薄膜を基体上に堆積する。
基体は、前述したように、単結晶シリコンの他に、ゲルマニウム、ガリウム−砒素、ガリウム砒素リン、窒化ガリウム、炭化珪素等の半導体基板やガラス、セラミックスまたは石英等を用いることができる。基体2の厚さは、特に限定されるものではないが、通常の厚さである300〜1500μmが望ましい。
ここで、パラジウムまたはその合金とは、パラジウムまたは白金パラジウムであり、その酸化物も含む。なかでも特にパラジウムが好ましい。パラジウムまたはその合金およびその酸化物以外の金属、例えばFe、Coでは、基体2にはらせん状ナノ炭素の繊維が形成されず、ナノチューブが形成される。
これらの金属の基体上への堆積手段は、スパッタリング法や所定量の金属塩を添加し、その後で過剰の水を蒸発させ、乾燥後400〜500℃の空気気流中で焼成し、金属塩の分解と酸化を起こさせ、金属塩を酸化物に転換してもよい。スパッタリング法によって、パラジウムまたはその合金の薄膜を堆積した場合、基体を水素プラズマに晒す処理を行なうことが好ましい。この処理によって、金属薄膜の表面の酸化膜や不純物を除去することができる。堆積する金属薄膜の厚さは、特に限定されるものではないが、通常の厚さである2〜10nmの範囲で適宜選択すればよい。
続いて、基体2の金属薄膜が堆積した面を装置底面に対して平行でかつ下向きに、製造装置の電極13に配置して、装置内に液体炭化水素10を満たす。基体2を水平に設置する場合、金属薄膜を上向きに配置すると、基体2にはらせん状ナノ炭素の繊維が形成されない。なお、設置方向は水平方向に限定されるものではなく、装置底面に対して垂直方向であってもかまわない。垂直方向に設置する場合には、金属薄膜の向きは限定されるものではない。
装置内に満たされる液相は液体炭化水素であり、アルコール系溶媒であるメタノールやエタノールでは、基体2にらせん状ナノ炭素の繊維が形成されない。炭化水素は、炭素数6〜10のものが好ましい。さらに好ましくはオクタンである。これ以外の範囲の炭化水素では、沸点や粘度の関係で操作性が悪くなる。
安全面から、装置内にはバルブ16を介して不活性ガスを導入して、装置内の残留空気を不活性ガスや窒素ガスで置換することが好ましい。そして、電極13に電流を流して基体2を加熱する。加熱は基体2の温度、550℃〜950℃の範囲において行なう。この範囲外の温度では、基体2にらせん状ナノ炭素の繊維が形成されない。基体温度が500℃〜800℃未満の範囲では、直径20nm未満のものであり、800℃〜900℃未満で直径20nm以上の太さのらせん状ナノ炭素の繊維が形成される。このように、基体2の温度をコントロールすることにより、らせん状ナノ炭素の繊維の太さをコントロールできることが可能である。
製造中、基体2の表面から炭化水素の気泡が発生し、基体表面がこの気泡によって覆われる。この際、液体炭化水素の温度を沸点以下に保つことが必要であり、水冷手段12を用いて冷却する。また気相となった炭化水素を凝縮手段15により液体に戻し、液体槽11に戻す。所望のらせん状ナノ炭素繊維の長さに応じた一定時間、基体2を一定の温度に保つことにより、らせん状ナノ炭素繊維の長さを形成することができる。
らせん状ナノ炭素繊維の形成は、図3に示すように、基体2に対して水平方向にナノ炭素繊維が、そのエッジを少しずつスライドさせながら積層して、らせん形状を形成するものと考えられる。このため、らせん状ナノ炭素繊維は、その両端に開放されたエッジを持っている。これは、カーボンナノチューブと異なり、電子放出箇所が増えることになり、カーボンナノチューブとは異なったバリエーションの電子放出能を持つことができる。そして、製造過程において、基体2の温度をコントロールすることにより、繊維の太さを均一性にすることができるため、電子放出の安定性に優れた電子放出素子を得ることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
パラジウムを、Si(100)基体(n型、低抵抗)にマグネトロンスパッタリング法を用いて蒸着した。基体上に形成されたパラジウム薄膜は、基体重量を膜厚に換算した値で、4nmであった。得られたパラジウム担持基体を、パラジウム薄膜形成面4を下向きにして、図2に示す製造装置の電極に設置し、装置を液体オクタンで満たした。
ついで、パラジウム担持基体を600℃、700℃、800℃、850℃および900℃、でそれぞれ10分間加熱して、基体上にナノ炭素材料を形成させた。
得られたナノ炭素材料複合体の表面構造を電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で観察した。結果を図4〜図8に示す。
図4は、600℃に金属担体を加熱したときのナノ炭素材料複合体の表面構造の電界放出型走査電子顕微鏡像である。ナノ炭素繊維は形成されているが、らせん状になっておらず、らせん状のナノ炭素材料は基体上に形成されていないことがわかる。
図5は、700℃に金属担体を加熱したときのナノ炭素材料複合体の表面構造の電界放出型走査電子顕微鏡像である。図4同様、ナノ炭素繊維は形成されているが、らせん状にはなっておらず、らせん状のナノ炭素材料は基体上に形成されていないことがわかる。
図6は、800℃に金属担体を加熱したときのナノ炭素材料複合体の表面構造の電界放出型走査電子顕微鏡像である。らせん状の、太さ50〜100nmナノ炭素繊維が形成されている。
図7は、850℃に金属担体を加熱したときのナノ炭素材料複合体の表面構造の電界放出型走査電子顕微鏡像である。らせん状の、太さ50〜100nmナノ炭素繊維が形成されている。
図8は、900℃に金属担体を加熱したときのナノ炭素材料複合体の表面構造の電界放出型走査電子顕微鏡像である。繊維状、らせん状のナノ炭素繊維ではなく、膜状に炭素繊維が形成されている。
図4〜図8に示されるように、形成されたナノ炭素繊維は、基体上に形成されたパラジウム膜の厚さが4nmの場合、基体の加熱温度が500℃〜800℃未満の範囲では、直径20nm未満の非らせん形状の繊維が得られ、800℃〜900℃未満で直径20nm以上の太さのらせん状ナノ炭素の繊維が形成されていた。
なお、基体を水平にし、パラジウム薄膜形成面を上向きにして、電極に設置した場合には、らせん形状のナノ炭素繊維は、どの温度条件でも形成されなかった。
このことから、加熱温度をコントロールすることにより、繊維の太さをコントロールでき、かつ均一性なものにできることがわかる。
実施例1同様に、パラジウムを、Si(100)基体(n型、低抵抗)にマグネトロンスパッタリング法を用いて蒸着した。基体上に形成されたパラジウム薄膜は、基体重量を膜厚に換算した値で、2nm、10nmの2種類の厚さに調節した。
得られたパラジウム担持基体を、パラジウム薄膜形成面4を下向きにして、図2に示す製造装置の電極に設置し、装置を液体オクタンで満たした。
ついで、パラジウム担持基体を600℃、700℃、800℃、850℃および900℃、でそれぞれ10分間加熱して、基体上にらせん状ナノ炭素材料を形成させ、ナノ炭素材料複合体を得た。基体上に形成された炭素繊維の形状を表1に示す。なお、膜厚4nmのデータは、実施例1のデータを追加して記載したものである。
なお、表1中の「ナノ炭素繊維」とはらせん形状を形成していないナノ炭素材料を意味し、「ナノコイル」とは、直径20nm以上のらせん状ナノ炭素材料を意味する。
パラジウム薄膜が2nmの場合には、基体の加熱温度が700℃以下、あるいは900℃以上になるとらせん状ナノ炭素材料は形成されていない。700℃を超え900℃未満で直径20nm以上らせん状ナノ炭素材料が形成される。
パラジウム薄膜が10nmの場合には、加熱温度が600℃以上900℃未満で直径20nm以上らせん状ナノ炭素材料が形成され、基体の加熱温度が900℃以上になると非らせん形状のナノ炭素繊維が形成されていた。
これらのことから、らせん状ナノ炭素材料の形成には、基体上の金属薄膜の厚さと基体の加熱温度が影響することがわかる。
基体の加熱温度が900℃以上になると非らせん形状炭素材料が形成されるようになるが、膜厚が10nm以下の場合、900℃未満の加熱温度が好ましいことがわかる。
また、パラジウム薄膜の厚さに関しては、厚さが増すにつれ、らせん状ナノ炭素材料が形成され易い傾向がある。
(比較例1)
実施例1の比較例として、液相の溶媒をエタノール、メタノールに変更して、実施例1と同様の条件で実施したところ、600℃、700℃、800℃、850℃および900℃の条件でも基体上に直径20nm以上のらせん状炭素材料は形成されなかった。
本発明の、ナノ炭素材料複合体は、例えば、強電界によって電子を放出する電界放射型の電子放出素子(フィールドエミッタ)として利用することができる。より詳しくは、光プリンタ,電子顕微鏡,電子ビーム露光装置などの電子発生源や電子銃として、或いは照明ランプの超小型照明源として、さらには、平面ディスプレイを構成するアレイ状のフィールドエミッタアレイの面電子源などとして有用な電子放出素子として利用することができるが、これらに限定されるものではないことは言うまでもない。
本発明のナノ炭素材料複合体の構成を示す模式断面図である。 本発明のナノ炭素材料複合体の製造装置の一例を示す図である。 らせん状ナノ炭素繊維の状態を模式的に示す断面図である。 600℃で過熱したときに形成されたナノ炭素材料の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 700℃で過熱したときに形成されたナノ炭素材料の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 800℃で過熱したときに形成されたナノ炭素材料の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 850℃で過熱したときに形成されたナノ炭素材料の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 900℃で過熱したときに形成されたナノ炭素材料の走査型電子顕微鏡像を示す図である。
符号の説明
1 ナノ炭素材料複合体
2 基体
3 ナノ炭素材料
4 金属薄膜形成面
10 液体炭化水素
11 液体槽
12 水冷手段
13 電極
14 水冷パイプ
15 凝縮手段
16 バルブ
17 蓋

Claims (9)

  1. パラジウムまたは白金パラジウムからなる金属薄膜を低抵抗半導体からなる基体上に形成する第1工程と、
    上記金属膜担持基体を液体炭化水素中に保持し、該金属薄膜担持基体に電流を流して液体炭化水素中で加熱する第2工程と
    を含
    上記金属薄膜を介して上記基体上に直径が20nm以上のらせん状ナノ炭素材料を形成することを特徴とする、ナノ炭素材料複合体の製造方法。
  2. 前記金属膜がパラジウムの酸化物または白金パラジウムの酸化物である、請求項1に記載のナノ炭素材料複合体の製造方法。
  3. 前記金属薄膜の厚さを2〜10nmとする、請求項1に記載のナノ炭素材料複合体の製造方法。
  4. 前記基体の加熱温度を600℃から900℃未満とする、請求項1に記載のナノ炭素材料複合体の製造方法。
  5. 前記液体炭化水素が炭素数6〜10の炭化水素である、請求項1に記載のナノ炭素材料複合体の製造方法。
  6. 前記液体炭化水素がオクタンである、請求項1又は5に記載のナノ炭素材料複合体の製造方法。
  7. 前記第2工程において、金属膜担持基体が、その金属膜担持面を下向きあるいは垂直方向にして設置されることを特徴とする、請求項1記載のナノ炭素材料複合体の製造方法。
  8. 低抵抗半導体からなる基体と、該基体上に形成されたパラジウムまたは白金パラジウムからなる金属薄膜を介して該基体上に形成された直径が20nm以上のらせん状構造のナノ炭素材料を有することを特徴とする、ナノ炭素材料複合体。
  9. 低抵抗半導体からなる基体と、該基体上に形成されたパラジウムまたは白金パラジウムからなる金属薄膜を介して該基体上に形成された直径が20nm以上のらせん状構造のナノ炭素材料を有するナノ炭素材料複合体からなる電子放出素子。
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