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JP5099508B2 - 耐力に優れた低熱膨張アルミニウム合金板材およびその製造方法 - Google Patents
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耐力に優れた低熱膨張アルミニウム合金板材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特に自動車、オートバイなどのスロットルバルブやコンプレッサベーン等の各種開閉部に使用される耐力に優れた低熱膨張アルミニウム合金板材に関する。
従来、自動車用スロットルバルブやコンプレッサベーン等の開閉部は、流体との摩擦によって発生する熱や使用環境により高温とまでは言い難いが100℃程度の温度に上昇することがあると共に大気等の流体に接触し水分による腐食の懸念も大きい。また熱膨張の程度によっては、本体のボア内筒に接触したり、隙間が大きくなったりして、エンジン等に送る給気量の制御が不十分となるため、ボア径の大きい乗用車やバス、トラック用についてはアルミニウム化が遅れている。
流量を正確に調節する必要性から前記開閉部は本体の流体通過部との間隙精度が厳しく、したがって開閉部の低線熱膨張係数、および使用頻度が激しいので変形し難い、すなわち耐力の高い材料が求められており、このような要求から真鍮が多く使用されてきた。
しかし、地球環境の温暖化対策として温室効果ガスの排出量削減が叫ばれるようになり、前記部品の一層の軽量化が求められ、銅ないし真鍮からアルミニウム材料への代替が急務となっている。既に、一部の自動車やオートバイではアルミニウム合金材の使用が検討されている。例えば、特許文献1には、アルミニウム合金の押出材を、エンジンシリンダーのライナー、VTRシリンダー、エンジンピストン、コンプレサーベーン等の耐摩耗性が求められる各種機械部品等に使用することが提案されている。
特開昭60−56057号公報
特許文献1で提案されているアルミニウム合金材は、Si:10〜30%、Cu:0.3〜5%、Mg:0.3〜2%を含み、かつSr:0.01〜0.1%、P:0.01〜0.1%のうちの1種または2種を含有するアルミニウム合金の鋳塊を押出加工して合金塊中の初晶Siを破壊して粒径で10〜80μmに微細化すると共に、共晶Si粒子も粒径15μm以下に微細化している。
しかしながら、前記公報に記載の技術は、Cu含有量が多く耐食性に不安があるばかりでなく、初晶Siサイズが大きい場合もあるために板圧延時のエッジ割れの不安も否定し得ない。さらに、室温〜100℃の範囲での線膨張係数が全く考慮されていない。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、スロットルバルブやコンプレッサベーン等の各種開閉部に使用されるアルミニウム合金板材であって、線熱膨張係数が低く、かつ耐力の高いものを提供することを目的とする。
本発明の耐力に優れた低熱膨張アルミニウム合金板材は、その目的を達成するため、Si:11.0〜15.0質量%、Mg:0.3〜1.0質量%、P、Srの一種または二種を合計で0.001〜0.02質量%、および、Ti:0.005〜0.15質量%またはTi:0.005〜0.15質量%およびB:0.0005〜0.05質量%を含有し、残分がAlと不可避不純物からなり、室温〜100℃の範囲での平均線膨張係数:21×10-6/℃以下、室温における耐力:280N/mm2以上であることを特徴とする。
200℃×1時間保持後の室温における耐力が260N/mm2以上であることが好ましい。
このような特性を具備することにより、当該アルミニウム合金板材がスロットルバルブやコンプレッサベーン等の各種開閉部に使用できる。
本発明の耐力に優れた低熱膨張アルミニウム合金板材の製造方法は、請求項1記載の組成のアルミニウム合金DC鋳塊を均質化処理し、熱間圧延、冷間圧延を施して得た冷延板を溶体化処理後焼入れし、次いで冷延率10%以上の冷間圧延を施した後、人工時効処理することを特徴とする。
請求項1記載の組成のアルミニウム合金DC鋳塊を均質化処理し、熱間圧延、冷間圧延を施して得た冷延板を溶体化処理後焼入れし、人工時効処理した後に冷延率10%以上の冷間圧延を施してもよい。
本発明により提供されるアルミニウム合金板材は線膨張係数が小さく、耐力が高い。したがって、例えば自動車用スロットルバルブやコンプレッサベーン等の開閉部材等に用いることにより、流体の流量管理の精度が向上し、当該開閉部材適用機器の性能および信頼性向上に資することになる。
また本発明の製造方法により、人工時効処理と冷間圧延を組み合わせるだけで容易に耐力の高い特性を有する板材を製造することができる効果を有する。
本発明者等は、スロットルバルブやコンプレッサベーン等の各種開閉部に使用されるアルミニウム合金板材として、線熱膨張係数が低く、かつ耐力の高いものを低コストで得るべく鋭意検討・探索する過程で、Al−Si系のDC鋳造材(半連続鋳造材)に着目した。
そして、Si含有量を低下させ、Mg含有量を0.3〜1.0質量%とし、Cu含有量を不純物範囲とした合金鋳塊は、板圧延時のエッジ割れや板切れの不安も無く厚さが2.5mm程度の板材に圧延加工でき、熱処理と冷間圧延を組み合わせることによって耐力が高く、さらに組成を選択することによって室温〜100℃の範囲で線膨張係数が低い板材が得られることを見出して本発明を完成させたものである。
以下、その詳細を説明する。
まず、本発明アルミニウム合金板の成分組成から説明する。本発明アルミニウム合金板は、Si:11.0〜15.0質量%、Mg:0.3〜1.0質量%、P、Srの一種または二種を合計で0.001〜0.02質量%、および、Ti:0.005〜0.15質量%またはTi:0.005〜0.15質量%およびB:0.0005〜0.05質量%を含有し、残部がAlと不可避不純物からなっているが、各成分の含有量を規定した理由は、次の通りである。
Si:11.0〜15.0質量%
Siは線膨張係数を小さくする主要な元素であると共にMgと共存させ熱処理することにより強度を向上させる上で重要な元素である。
その含有量が11.0質量%に満たないと所定の線膨張係数が得られず、逆に15.0質量%を超える程に多く含ませると鋳造性を損なうと共にPまたはSrを添加したとしても初晶Siの微細化効果が小さく圧延性を低下させ、圧延板のエッジ割れや板切れを起こし易く歩留低下をきたすことになる。したがって、Si含有量は11.0〜15.0質量%とする。好ましくは11.0〜14.5質量%である。
Mg:0.3〜1.0質量%
MgはSiと共存させ、熱処理を施すことによってMg2Si化合物またはその中間体を微細に生成させることにより強度および耐軟化性を向上させる上で重要な元素である。
その含有量が0.3質量%に満たないとその効果が少なく、逆に1.0質量%を超える程に多く含ませると線膨張係数を増加させるばかりでなく、熱伝導性も損なうことになる。したがって、Mg含有量は0.3〜1.0質量%とする。好ましくは0.5質量%以上、0.8質量%以下である。
PまたはSrの一種または二種:合計で0.001〜0.02質量%
PまたはSrは鋳造時に初晶Siを微細化する作用を有し、圧延時の耳割れや板切れを軽減するのに有効な元素である。単独または合わせて含有させる。
その合計の含有量で0.001質量%に満たないとその効果が少なく、0.02質量%を超えてもその効果の向上は見込めない。したがって、それらの含有量は合計で0.001〜0.02質量%とする。好ましくは0.003〜0.015質量%である。更に好ましくは0.003以上0.01質量%以下である。
Ti:0.005〜0.15質量%、
またはTi:0.005〜0.15質量%およびB:0.0005〜0.05質量%
Ti、またはTiおよびBは結晶組織微細化作用を有する。これら成分の含有により鋳造組織を微細化できて、鋳造速度の速い鋳造時の割れ発生防止に効果がある。Ti単独の場合は0.005〜0.15質量%、TiおよびBの複合添加の場合は、Ti:0.005〜0.15質量%、B:0.0005〜0.05質量%でTi単独よりも大きな効果が得られる。これらの量を超えてもその効果の向上は見込めない。
TiまたはTiおよびBの含有量は、返材(スクラップ)の選択、およびTi金属、Al‐Ti母合金、Al‐Ti‐B母合金の一種または二種以上の種類および添加量を適宜選択することにより調整することができる。
その他の不純物
残部はAlと他の不可避的不純物である。
不可避的不純物としてのFeは0.5質量%まで、Mnは0.2質量%まで、FeとMn合計で0.6質量%まで許容できる。Fe、Mnの含有量が上限を超えるとAl−Fe(Mn)−Si化合物の生成ないし粗大化により脆化して伸びが低下し、製板時の板切れ発生の一因となり易い。好ましくはFe:0.4質量%未満、Mn:0.1質量%未満、合計で0.4質量%未満である。
Cuは0.2質量%まで許容できる。Cuを0.05質量%以上含有する場合、本発明の板材にめっきを施す場合に下地処理性の向上とメッキ表面のレベリング性向上に寄与する特性を発揮する。0.2質量%を超えると水分の存在下で耐食性を阻害する。Znは0.2質量%まで許容できる。Znを0.05質量%以上含有する場合、本発明の板材にめっきを施す場合のジンケート処理性の向上に寄与する特性を発揮する。0.2質量%を超えると水分の存在下で耐食性を阻害する。その他の不可避的不純物は各0.10質量%以下、前記明記した不純物元素以外の元素合計で0.3質量%まで許容できる。
次に、本発明アルミニウム合金板の特性について説明する。
室温〜100℃の範囲での平均線膨張係数:21×10 -6 /℃以下
ボア内筒と開閉部の間隔を狭く設計すると、線膨張係数が大きい開閉部材を用いた場合に、開閉部が使用中の温度上昇で本体のボア内筒に接触する。逆に開閉部材の膨張を見越してボア内筒と開閉部の間隔を広く設計すると、スタート初期において開閉部とボア内筒部の間隔が広すぎてエンジン等に送る給気量の制御が不十分となる。両者を勘案し、本発明アルミニウム合金板では、室温〜100℃の範囲での平均線膨張係数として21×10-6/℃を上限とする。このような線膨張係数はSi含有量を11.0質量%以上とすることにより達成できる。
室温における耐力:280N/mm 以上
200℃×1時間保持後の室温における耐力:260N/mm 2 以上
本アルミニウム合金板を開閉部材して使用した場合、当該開閉部が使用中に過激な動作を受けても変形されることがあってはならない。また当該開閉部が使用中に温度上昇し、その上昇温度域で使用されることになってボア内筒と擦れたとしても変形されることがあってはならない。
各種使用形態にあっても変形しない開閉部を得るには、上記特性を呈するアルミニウム合金板を用いる必要がある。
なお、上記特性を有するアルミニウム合金板を得るには、後記のような制御された製造工程を経る必要がある。
続いて、本発明アルミニウム合金板の製造工程について説明する。
鋳造:
鋳造法は初晶Siの大きさを小さく晶出させ、圧延時のエッジ割れを回避する必要性から、冷却速度の速いDC鋳造法(半連続鋳造法)とする。
DC鋳塊のサイズは、厚さ250mm以上で上限は560mm程度とする。好ましくは508mm以下である。厚さが厚いと初晶Siが粗大化し、圧延時に破壊しきれず、圧延時のエッジ割れが起き易くなる。厚さが560mm以下であれば、初晶Siの大きさが60μm以下となって圧延時のエッジ割れを回避することができる。厚さ250mm未満では生産性が低下するので好ましくない。
均質化処理:
DC鋳造法で得られた鋳塊を430〜530℃の温度に1時間以上保持して均質化処理する。鋳造時の偏析元素の均質化、Al‐Si系、Al‐Mg系、Mg‐Si系化合物の均質化を促し、熱延で厚さ6〜9mm程度まで容易とするためのもので、430℃未満では上記効果が低く、530℃を超えるとMg2Si化合物が溶融するおそれがあり、板材の強度を低下させる。保持時間は1時間以上保持させることにより上記効果が得られる。保持時間が1時間未満では効果が少ない。上限は24時間程度で効果が飽和するため、それ以上の保持は経済的に不利である。
熱間圧延および冷間圧延:
均質化したDC鋳塊を厚さ6〜9mm程度まで熱間圧延する。熱延は270℃以上の再結晶温度以上で圧延を行う。その後、冷間圧延する。冷延板の厚さは限定されないが、最終製品の耐力値を考慮して薄すぎない厚さである0.5〜3mm程度とする。
サイド面削:
熱延および冷延工程でエッジ割れが激しく起きる場合には、このエッジ割れ軽減のためにDC鋳塊の短側面を必要により面削しておくことが好ましい。
溶体化処理:
熱延後の冷延板を連続焼鈍炉で480〜530℃の温度に1〜60秒間保持して溶体化処理する。この溶体化処理は溶体化処理後の人工時効でMg2Siの中間相またはG.P.ゾーンを形成させるために晶出Siおよび析出Siの一部およびMg2Si等のMg含有化合物を固溶させるためのものである。溶体化温度が530℃を超えるとAl‐Si系共晶化合物やMg2Siなどの化合物の粒界融解による板圧延時の板破断のおそれがあるので480〜530℃とする。また480℃未満では前記効果が少なく、所定の強度、耐力が得られない。保持時間が60秒を超えても固溶の効果が飽和し、それ以上の保持は経済的に不利である。1秒未満では溶体化の効果が少ない。連続焼鈍炉は生産性が高く好ましい。
焼入れ:
溶体化処理し、直ちに100℃/sec以上の冷却速度で冷却して焼入れする。固溶状態を室温で保たせるために溶体化処理後直ちに冷却する。冷却速度が100℃/sec未満では、溶体化処理効果が少なくなる。このような冷却速度を得るには水焼入れまたは水噴霧焼入れが好ましい。上限は技術的意味からして限定するものではないが、水に食塩等の水蒸気泡微細化剤を入れた焼入れで1000℃/sec程度である。
焼入れ後の冷間圧延:
焼入れ後の冷間圧延は、その後の人工時効と相俟って得られる最終製品の所要高耐力を付与するために本発明では必須である。冷延率が10%未満では所定の耐力が得られず、80%を超えると圧延時にエッジ割れを生じ易く、また製品の伸びが低下するので10〜80%とする。
焼入れ後の冷間圧延は以下に説明する人工時効処理の前でも良いし、後でもよい。
焼入れ―冷間圧延―人工時効処理:
焼入れ―冷間圧延後の人工時効処理は最終製品の所要高耐力を付与するために本発明では必須である。人工時効処理は120〜200℃の温度で0.5〜8時間保持することにより行う。これは固溶したSiおよびMgを析出させてMg2Si化合物の中間相もしくはG.P.ゾーンを形成し、高強度および高耐力を付与するための処理である。特にこの冷延板には冷間圧延の加工歪が付与されているので転位密度が高くなっており、保持温度が低くても或いは保持時間が短くてもMg2Si化合物の中間相もしくはG.P.ゾーンが形成され易いが、保持温度が120℃或いは保持温度が0.5時間未満では前記効果が得られ難く、また保持温度か200℃を超えると前記の中間相もしくはG.P.ゾーンの形成が速く、所定強度および耐力を得るための工程管理が困難である。保持温度が8時間を超えると前記中間相もしくはG.P.ゾーンが成長し、析出物が粗大化して強度および耐力を低下させてしまう。
焼入れ―人工時効処理―冷間圧延:
この人工時効処理は前記の如く固溶したSiおよびMgを析出させてMg2Si化合物の中間相もしくはG.P.ゾーンを形成し、高強度および高耐力を付与するための処理である。特にこの焼入板には冷間圧延の加工歪が付与されていないので、下限の保持温度を高くし、下限の保持時間を長くする。即ち150〜200℃の温度で1〜12時間保持して処理する。保持温度が150℃或いは保持温度が1時間未満では前記効果が得られ難く、また保持温度か200℃を超えると前記の中間相もしくはG.P.ゾーンの形成が速く、所定強度および耐力を得るための工程管理が困難である。保持温度が12時間を超えると前記中間相もしくはG.P.ゾーンが成長し、析出物が粗大化して強度および耐力を低下させてしまう。
次に具体的な実施例について説明する。
実施例1;
表1に示す組成の合金を溶製し、DC鋳造法で厚さ406mmの鋳塊を鋳造した。この鋳塊を480℃の温度に1時間保持して均質化処理をし、次いで熱間圧延にて板厚7mmの熱延板とした後、冷間圧延にて板厚2.5mmの冷延板としてコイル状に巻き上げた。さらに、このコイルを連続焼鈍炉にて520℃の温度に10秒間保持して溶体化処理し、直ちに水冷して焼入れを施した。
次にこのコイルを冷間圧延にて2.0mm(圧延率20%)の板に圧延した後、焼鈍炉にて150℃の温度に1時間保持して人工時効処理を施し所定のアルミニウム合金板を得た。
この製造条件を表2の製造条件2‐1に示す。
得られた各合金板について、線膨張係数、導電率、初晶Siサイズ、引張強さ、耐力、伸び率、圧延性、耐軟化性を調べた。その結果を表3に示す。
なお、線熱膨張係数は、押し棒式変位検出法により、4mmφ×20mmLの試験片を用いて室温〜100℃の範囲で測定し、その間の平均値を算出した。この線熱膨張係数を測定した試験片は、溶体化処理後の冷延率を表2に示した条件と同じにするために、板厚8mmまで熱延した後、冷延することなく520℃の温度に10秒間保持して溶体化処理し、直ちに水冷して焼入れを施し、その後に6.4mm(圧延率20%)厚まで冷延した冷延板をさらに150℃の温度1時間保持する人工時効処理を施した板材から4mmφのものを削り出した。
また、導電率は20℃におけるIACS%を測定し、初晶Siサイズは光学顕微鏡で測定し、耐力は通常の引張試験により永久歪0.2%時の引張強さを室温で測定した。
さらに、圧延性は耳割れ発生の程度で表現し、耐軟化性は加熱(℃×1時間保持)後の0.2%耐力で表した。すなわち試料を120℃,150℃,180℃または200℃に1時間保持後室温で測定した。
表3中に示した圧延性を示す耳割れの発生度合いについて、○、△、×で表示しているが、それぞれの発生度合いは、○印を付したものは耳割れの発生が軽微で圧延上問題がないものであり、また、△印を付したものは耳割れの発生により圧延時に板切れのおそれがあり、トリミングでその部分を除去する必要が有り歩留まりが低下するものであり、さらに×印を付したものは耳割れ発生程度が甚大で板切れが発生しやすく、圧延が困難であるもの示している。
Figure 0005099508
Figure 0005099508
Figure 0005099508
表3の結果から、本発明の範囲内にある合金組成(合金No.1‐1〜1‐5)で製造された板材(試料No.3‐1〜3‐5)は、線膨張係数が室温〜100℃の範囲で21×10-6/℃以下、室温における耐力280N/mm2以上であり、かつ200℃×1時間保持後の耐力が260N/mm2以上であることがわかる。
一方、本発明の範囲外にある合金組成(合金No.1‐6〜1‐11)で製造された板材(試料No.3‐6〜3‐11)は線膨張係数、耐力、圧延性、200℃×1時間保持後の耐力のいずれかにおいて本発明の特性値を外れていることがわかる。
実施例2;
実施例1と同様に合金組成を示す表1の組成の合金を溶製し、DC鋳造法で厚さ406mmの鋳塊を鋳造した。この鋳塊を480℃の温度に1時間保持して均質化処理をし、次いで熱間圧延にて板厚7mmの熱延板とした後、冷間圧延にて板厚2.5mmの冷延板としてコイル状に巻き上げた。さらに、このコイルを連続焼鈍炉にて520℃の温度に10秒間保持して溶体化処理し、直ちに水冷して焼入れを施した。
次に焼鈍炉にて175℃の温度に5時間保持して人工時効処理を施し、このコイルを冷間圧延にて2.0mm(圧延率20%)の板に圧延した。
この製造条件を前記表2の製造条件2‐2に示す。
得られた各合金板について、実施例1と同様の測定をした。結果を表4に示す。
なお、線熱膨張係数を測定した試験片は、人工時効処理後の冷延率を表2に示した条件と同じにするために、板厚8mmまで熱延した後、冷延することなく520℃の温度に10秒間保持して溶体化処理し、直ちに水冷して焼入れを施し、その後に175℃で5時間保持する人工時効処理を施した板材をさらに6.4mm(圧延率20%)厚まで冷延した冷延板から4mmφのものを削り出した。
表4中に示す圧延性・耳割れ性に関する○、×表示も表3と全く同じである。
Figure 0005099508
表4の結果から、本発明の範囲内にある合金組成(合金No.1‐1〜1−5)で製造された板材(試料No.4‐1〜4‐5)は、線膨張係数が室温〜100℃の範囲で21×10-6/℃以下、室温における耐力280N/mm以上であり、かつ、200℃×1時間保持後の耐力が260N/mm2以上であることがわかる。
一方、本発明の範囲外にある合金組成(合金No.1‐6〜1‐11)で製造された板材(試料No.4‐6〜4‐11)は、線膨張係数、耐力、圧延性、200℃×1時間保持後の耐力のいずれかにおいて本発明の特性値を外れていることがわかる。
実施例3;
表1に示す合金No.1‐3の組成の合金を実施例1と同様に溶製し、厚さ406mmのDC鋳塊を鋳造し、この鋳塊を480℃の温度に1時間保持して均質化処理をし、次いで熱間圧延にて板厚7mmの熱延板とした後、冷間圧延にて板厚2.5mmの冷延板としてコイル状に巻き上げた。さらに、このコイルを連続焼鈍炉にて種々の温度で溶体化処理し、直ちに水冷して焼入れを施した。
次にこのコイルを冷間圧延にて2.0mm(圧延率20%)の板に圧延した後、焼鈍炉にて各種条件で人工時効処理を施し所定のアルミニウム合金板を得た。
この製造条件を表5に示す。
得られた各合金板について、実施例1と同様の測定をした。結果を表6に示す。
この際、線熱膨張係数を測定した試験片は、溶体化処理後の冷延率を表5に示した圧延率と同じにするために、板厚8mmまで熱延した後、冷延することなく種々の条件で溶体化処理し、直ちに水冷して焼入れを施し、その後に6.4mm(圧延率20%)厚まで冷延した冷延板をさらに各種条件で人工時効処理を施した板材から4mmφのものを削り出した。
なお、表6中に示した圧延性・耳割れ性に関する○表示も表3と全く同じである。
Figure 0005099508
Figure 0005099508
表6の結果より、本発明の合金No.1‐3の組成の合金を用いて本発明の製造方法(製造条件No.5‐1〜5‐3)で製造された板材(試料No.6‐1〜6‐3)は線膨張係数が室温〜100℃の範囲で21×10-6/℃以下、室温における耐力280N/mm以上であり、かつ200℃×1時間保持後の耐力が260N/mm2以上であることがわかる。
一方、本発明の範囲外にある製造方法(製造条件No.5‐4〜5‐8)で製造された板材(試料No.6‐4〜6‐8)は耐力および200℃×1時間保持後の耐力のいずれにおいても本発明の特性値を外れていることがわかる。この内、製造条件No.5‐4は溶体化温度が低すぎたために十分な溶体化が行われておらず、その後の処理の効果に結びつかなかったものである。また、製造条件No.5‐8は人工時効処理の温度が高すぎたために、いわゆる過時効状態となって、かえって強度・耐力が低下してしまったものである。
実施例4;
表1に示す合金No.1‐3の組成の合金を実施例1と同様に溶製し、厚さ406mmのDC鋳塊を鋳造し、この鋳塊を480℃の温度に1時間保持して均質化処理をし、次いで熱間圧延にて板厚7mmの熱延板とした後、冷間圧延にて板厚2.5mmの冷延板としてコイル状に巻き上げた。さらに、このコイルを連続焼鈍炉にて種々の温度で溶体化処理し、直ちに水冷して焼入れを施した。
次に焼鈍炉にて各種条件で人工時効処理を施し、このコイルを冷間圧延にて2.0mm(圧延率20%)の板に圧延し所定のアルミニウム合金板を得た。
この製造条件を表7に示す。
得られた各合金板について、実施例1と同様の測定をした。結果を表8に示す。
この際、線熱膨張係数を測定した試験片は、人工時効化処理後の冷延率を表7に示した圧延率と同じにするために、板厚8mmまで熱延した後、冷延することなく種々の条件で溶体化処理し、直ちに水冷して焼入れを施し、その後に各種条件で人工時効処理を施した板材をさらに6.4mm(圧延率20%)厚まで冷延した冷延板から4mmφのものを削り出した。
Figure 0005099508
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表8の結果より、本発明の合金No.1‐3の組成の合金を用いて本発明の製造方法(製造条件No.7‐1〜7‐3)で製造された板材(試料No.8‐1〜8‐3)は、線膨張係数が室温〜100℃の範囲で21×10-6/℃以下、室温における耐力280N/mm以上であり、かつ200℃×1時間保持後の耐力が260N/mm2以上であることが判る。
一方、本発明の範囲外にある製造方法(製造条件No.7‐4〜7‐8)で製造された板材(試料No.8‐4〜8‐8)は耐力や200℃×1時間保持後の耐力において本発明の特性値を外れていることが判る。この内、製造条件No.7‐4は溶体化温度が低すぎたために十分な溶体化が行われておらず、その後の処理の効果に結びつかなかったものである。また、製造条件No.7‐8は人工時効処理の温度が高すぎたために、いわゆる過時効状態となって、かえって強度・耐力が低下してしまったものである。

Claims (6)

  1. Si:11.0〜15.0質量%、Mg:0.3〜1.0質量%、P、Srの一種または二種を合計で0.001〜0.02質量%、および、Ti:0.005〜0.15質量%またはTi:0.005〜0.15質量%およびB:0.0005〜0.05質量%を含有し、残分がAlと不可避不純物からなり、室温〜100℃の範囲での平均線膨張係数:21×10-6/℃以下、室温における耐力:280N/mm2以上であることを特徴とする耐力に優れた低熱膨張アルミニウム合金板材。
  2. 200℃×1時間保持後の室温における耐力が260N/mm2以上であることを特徴とする請求項1記載の耐力に優れた低熱膨張アルミニウム合金板材。
  3. 前記のアルミニウム合金板材が開閉部材用であることを特徴とする請求項1または2記載の耐力に優れた低熱膨張アルミニウム合金板材。
  4. 請求項1記載の組成のアルミニウム合金DC鋳塊を均質化処理し、熱間圧延、冷間圧延を施して得た冷延板を溶体化処理後焼入れし、次いで冷延率10%以上の冷間圧延を施した後、人工時効処理することを特徴とする耐力に優れた低熱膨張アルミニウム合金板材の製造方法。
  5. 請求項1記載の組成のアルミニウム合金DC鋳塊を均質化処理し、熱間圧延、冷間圧延を施して得た冷延板を溶体化処理後焼入れし、人工時効処理した後、冷延率10%以上の冷間圧延を施すことを特徴とする耐力に優れた低熱膨張アルミニウム合金板材の製造方法。
  6. 前記のアルミニウム合金板材が開閉部材用であることを特徴とする請求項4または5に記載の耐力に優れた低熱膨張アルミニウム合金板材の製造方法。
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