JP5100796B2 - 被覆粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
一般家庭での食用以外では、栄養素が豊富な牡蠣肉エキス粉末を錠剤化、カプセル化した健康食品としても広く利用されている。ここでいう牡蠣肉エキス粉末とは、牡蠣を殻ごと、もしくは剥き身、もしくは剥き身の粉砕物を熱水抽出処理し、必要であればデキストリン、乳糖などの賦形剤を加えることで粉末にしたものである。また、抽出の際に酵素分解処理を行うと、熱水では抽出されない亜鉛などの微量ミネラル、タウリンなども効率よく抽出することが可能である。
このようにして製造した牡蠣肉エキス粉末は、牡蠣独特の生臭さを有するだけでなく、経時的なガス発生量が多いため、当該牡蠣肉エキス粉末を含む圧縮成型物にあっては、ガスの発生に伴って圧縮成型物が収縮するなど、商品価値を大きく損なう欠点があった 。特に酵素分解処理を利用して製造した牡蠣肉エキス粉末についてはその傾向が特に強く、従来問題となっていた。
牡蠣独特の生臭さを解決する方法として、特許文献1は、牡蠣熱水抽出物または牡蠣酵素分解抽出物に炭酸ガス流体を接触させて炭酸ガスを溶解させ、その溶解液を炭酸ガスの超臨界あるいは亜臨界状態に保持して攪拌することで炭酸ガス超臨界処理し、次に常圧まで急速に減圧して炭酸ガスを除去し脱臭する方法が開示されている。しかし、この方法では牡蠣の生臭さは解消されるものの経時的なガスの発生を根本的に抑えることはできない。
特許文献2では、揮発成分を含有する粉末にサイクロデキストリン溶液を噴霧することで加湿造粒し、揮発成分保持能力の高い顆粒状粉末を製造する方法が開示されているが、この方法を牡蠣肉エキス粉末に利用した場合、加湿造粒後の乾燥時に牡蠣肉エキス粉末に過度の熱量が加わり、品質劣化を起こしてしまう。
特許文献3では、常温で固体状の芯物質を、融点40℃以上の脂質粉体状でコーティングするに際し、該コーティングを融点40℃以上の溶融油脂の存在下で行うことを特徴とするコーティング粉末の製造方法が開示されているが、この方法では溶融油脂が固体状の油脂になる際に牡蠣肉エキス粉末の凝集が起こりやすく、均一な被覆を行うことが難しい。
特許文献4では、L−カルニチン塩の粉末を融点が40℃以上の油性成分で被覆してなることを特徴とする油性成分被覆L−カルニチン塩粉末、また特許文献5では、α―リポ酸を融点が50〜70℃、35℃における固体脂含量が50〜100、過酸化物価が0.5以下の油脂で被覆することを特徴とするα―リポ酸油脂被覆粉末の製造方法が開示されている。これらの方法では、被覆時に牡蠣肉エキス粉末に過度の熱量が加わらないため、品質劣化は起こらないが、L−カルニチン塩またはα―リポ酸のような結晶質で重質な 粉末の被覆はできるものの、牡蠣肉エキス粉末のような非結晶質で軽質な粉末を均一に被覆するのは難しく、また、ガスの発生に伴って起こる圧縮成型物の収縮抑制については、何ら本願発明の動機付けとなる技術情報の開示もなかった。
〔1〕次の工程I、IIの順に行うことを特徴とする脂質被覆牡蠣肉エキス粉末の製造方法。
工程I:混合機の全容量に対して40〜70%容量の牡蠣肉エキス粉末(A成分)を仕込み、A成分の温度が25〜35℃になるまで攪拌する。
工程II:工程Iで処理したA成分85〜95質量部と、融点55〜70℃の脂質粉末(B成分)5〜15質量部とを同混合機の中で温度が30〜40℃になるまで混合することでA成分をB成分で被覆し、脂質被覆牡蠣肉エキス粉末を調製する。
〔2〕〔1〕記載の製造方法で製造された脂質被覆牡蠣肉エキス粉末 。
(牡蠣肉エキス粉末、A成分)
牡蠣肉エキス粉末(A成分)は、牡蠣を殻ごと、もしくは剥き身、もしくは剥き身の粉砕物を熱水処理、酵素分解処理などを行うことでエキス分として抽出し、必要であればデキストリンなどの賦形剤を加えて粉末化したものである。A成分は市販の牡蠣肉エキス粉末を使用しても良く、適宜、篩過、整粒、粉砕などにより粒径を調整したものを使用しても良い。
本発明で使用する脂質粉末(B成分)としては、食用油脂、脂肪酸エステル、ワックス、高級アルコール、その他の脂質などで融点が55〜70℃のものであればよく、さらにこれらを混合、精製、分別、水素添加、エステル交換して融点を55〜70℃にしたものである。融点が55℃未満では保存時の熱が牡蠣肉エキス粉末に伝わりやすくなるため、経時的にガスが発生しやすくなる。また、経時的にケーキングを起こしやすくなるため好ましくない。融点が70℃を超えると牡蠣肉エキス粉末の被覆効率が悪くなり、均一な被覆物を得ることが難しくなるため好ましくない。好ましくは融点が57〜68℃の脂質粉末である。
食用油脂としては、具体的には例えば、豚脂、牛脂、鶏油、鯨油、マグロ油、イワシ油、サバ油、サンマ油、カツオ油、ニシン油、肝油、大豆油、綿実油、サフラワー油、米油、コーン油、菜種油、パーム油、シソ油、エゴマ油、カカオ脂、落花生油、ヤシ油、月見草油、ボラージ油、ホホバ油、乳脂肪、バターなど、および中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成トリグリセリドなどを配合した油脂が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバロウワックス、木蝋、ミツロウ等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、炭素数20ないし38の直鎖、もしくは分岐鎖を持つアルコールである。このようなものとしては、具体的には例えば、エイコサノール(炭素数20)、ドコサノール(炭素数26)、オクタコサノール(炭素数28)、トリアコンタノール(=ミリシルアルコール、炭素数30)、テトラトリアコンタノール(炭素数34)等が挙げられる。
好ましくは、パーム極度硬化油、菜種極度硬化油、大豆極度硬化油、綿実極度硬化油が好ましく、より好ましくは菜種極度硬化油、大豆極度硬化油である。
次に、本発明の脂質被覆牡蠣肉エキス粉末の製造方法について説明する。
脂質被覆牡蠣肉エキス粉末は 、混合機の中で牡蠣肉エキス粉末(A成分)と脂質粉末(B成分)とを混合し、A成分の表面にB成分を接触・衝突させることで被覆を行う。
混合機は具体的には、(1)V型、W型、コニカル型、円筒型、正立方型などの各種容器を回転させることで、その回転の作用により対流、攪拌することで混合する容器回転式混合機、(2)固定された混合容器内に装着されたパドル、リボン、スクリューなどの形状の攪拌羽根の回転により、容器内の粉末を攪拌、分散することで混合する機械攪拌式混合機、(3)固定された容器の下部より流動空気や旋回流、ジェット流などの空気流を流すことで粉末を流動化、噴流化させて対流、拡散混合することで混合を行う流動攪拌式混合機等を使用することが出来る。これらの装置により、粉末を互いに接触・衝突させるとともに、装置内壁および補助具と接触・衝突させることで被覆を行う。このような装置としては、例えば、V型混合機、W型混合機(株式会社徳寿工作所製)、ロッキングミキサー(愛知電機株式会社製)、コンテナブレンダー(東洋ハイテック株式会社製)、バーチカルグラニュレーター(株式会社パウレック製)、ハイスピードミキサー(深江パウテック株式会社製)、円錐型リボン混合機(株式会社大川原製作所製)、ハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン株式会社製)、スーパーオリオンボールミル(ホソカワミクロン株式会社製)またはフラッシュブレンダー(株式会社アコー製)等が挙げられる。好ましくは攪拌羽根を有する混合機である。
被覆にあたっては、工程Iにてはじめに混合機の全容量に対して40〜70%容量のA成分を仕込み、A成分の温度が25〜35℃になるまで攪拌を行う。仕込み量が40%未満では仕込み量が不足し、混合機内でA成分が上滑りし、攪拌が十分に行われなくなるため好ましくない。仕込み量が70%を超えると仕込み量が多すぎて混合機内でA成分が流動しにくくなり、攪拌が十分に行われなくなるため好ましくない。仕込み量は混合機の全容量に対して50〜60%がより好ましい。
工程IではA成分の温度が25〜35℃になるまで攪拌を行うが、A成分の温度が25℃未満では、工程IIにてB成分の付着が起こりにくくなり被覆が十分に行われなくなるため好ましくない。また、A成分の温度が35℃を越えるまで混合を行うと、工程時間が長くなってしまう。好ましくは28〜33℃の範囲である。
A成分の温度を調整する際に、温度調整が可能な混合機を利用しても良く、その際の温度は20〜40℃が好ましく、より好ましくは25〜35℃である。
工程IIで、A成分が95質量部を越える場合、つまりB成分が5質量部未満では被覆が十分に行われず、経時的なガス発生を抑えることが出来なくなるため好ましくない。また、A成分が85質量部未満、つまりB成分が15質量部を越える場合は、被覆は十分に行われるものの牡蠣肉エキスの含量が低くなってしまい、商品価値を下げてしまうため好ましくない。好ましくはA成分88〜92質量部に対して、B成分8〜12質量部である。
<牡蠣肉エキス粉末のガス発生量の測定>
容量が約400mLのチャック付アルミ袋〔商品名:ラミジップAL−12、株式会社生産日本社製〕に牡蠣肉エキス粉末として50gとなるような脂質被覆牡蠣肉エキス粉末 を入れ、十分に脱気後、ヒートシールすることで密閉した。密閉したアルミ袋は60℃で14日間保存し、発生したガス量はヘッドスペース部分の気体をシリンジで吸引する事で測定した。
<圧縮成型物の厚みの変化の測定>
牡蠣肉エキス粉末として200mgとなるような脂質被覆牡蠣肉エキス粉末を含む錠剤を下記の打錠条件で調製した。錠剤には脂質被覆牡蠣肉エキス粉末以外に、滑沢材としてショ糖脂肪酸エステル(リョートーシュガーエステルB−370F、三菱化学フーズ株式会社製)を2質量部配合し、残りは賦形剤として乳糖(Super−Tab、DMV−Fonterra Excipient製)を配合し、計100質量部とした。
調製した錠剤20錠の厚みをマイクロメーターで測定し、測定した20錠を容量が約100mlのチャック付アルミ袋〔商品名:ラミジップAL−9、株式会社生産日本社製〕に入れ、十分に脱気後、ヒートシールすることで密閉した。密閉したアルミ袋は60℃で14日間保存し、中身の20錠の厚みをマイクロメーターで測定し、下記の式から厚みの変化を評価した。
厚みの変化(mm)=(60℃、14日間後の厚みの平均値)−(打錠直後の厚みの平均値)
(打錠条件)
機種;ロータリー打錠機コレクト12HU(株式会社菊水製作所製)
打錠圧力;10kN
杵の大きさ;直径9mmφ
錠剤重量;230mg
30℃に温度調整した混合機(バーチカルグラニュレーター、株式会社パウレック製)に牡蠣肉エキス粉末〔商品名:カキエキスパウダーA、天王水産株式会社〕を仕込み、温度が30℃になるまで攪拌した。次に、牡蠣肉エキス粉末90質量部に対して、菜種極度硬化油(融点67℃)10質量部を牡蠣肉エキス粉末の温度が低下しないうちに素早く投入し、30℃に温度調整した同混合機にて温度が36℃になるまで混合し、脂質被覆牡蠣肉エキス粉末を得た。
得られた脂質被覆牡蠣肉エキス粉末56gをチャック付アルミ袋に入れて、60℃で14日間保存し、ガス発生量を測定した。評価結果を表1に示す。
混合機(メカノフュージョンシステム、ホソカワミクロン株式会社製)に牡蠣肉エキス粉末〔商品名:カキエキスパウダーA、天王水産株式会社〕を仕込み、温度が30℃になるまで攪拌した。次に、牡蠣肉エキス粉末85質量部に対して、菜種極度硬化油(融点67℃)15質量部を牡蠣肉エキス粉末の温度が低下しないうちに素早く投入し、同混合機にて温度が35℃になるまで混合し、脂質被覆牡蠣肉エキス粉末を得た。
得られた脂質被覆牡蠣肉エキス粉末59gをチャック付アルミ袋に入れて、60℃で14日間保存し、ガス発生量を測定した。評価結果を表1に示す。
混合機(ロッキングミキサー、愛知電機株式会社製)に牡蠣肉エキス粉末〔商品名:カキエキスパウダーA、天王水産株式会社〕を仕込み、温度が29℃になるまで攪拌した。次に、牡蠣肉エキス粉末95質量部に対して、菜種極度硬化油(融点67℃)5質量部を牡蠣肉エキス粉末の温度が低下しないうちに素早く投入し、同混合機にて温度が35℃になるまで混合し、脂質被覆牡蠣肉エキス粉末を得た。
得られた脂質被覆牡蠣肉エキス粉末53gをチャック付アルミ袋に入れて、60℃で14日間保存し、ガス発生量を測定した。評価結果を表1に示す。
30℃に温度調整した混合機(バーチカルグラニュレーター、株式会社パウレック製)に牡蠣肉エキス粉末〔商品名:カキエキスパウダーA、天王水産株式会社〕を仕込み、温度が30℃になるまで攪拌した。次に、牡蠣肉エキス粉末90質量部に対して、大豆極度硬化油(融点67℃)10質量部を牡蠣肉エキス粉末の温度が低下しないうちに素早く投入し、30℃に温度調整した同混合機にて温度が35℃になるまで混合し、脂質被覆牡蠣肉エキス粉末を得た。
得られた脂質被覆牡蠣肉エキス 粉末56gをチャック付アルミ袋に入れて、60℃で14日間保存し、ガス発生量を測定した。評価結果を表1に示す。
混合機(メカノフュージョンシステム、ホソカワミクロン株式会社製)に牡蠣肉エキス粉末〔商品名:カキエキスパウダーA、天王水産株式会社〕を仕込み、温度が32℃になるまで攪拌した。次に、牡蠣肉エキス粉末90質量部に対して、綿実極度硬化油(融点65℃)10質量部を牡蠣肉エキス粉末の温度が低下しないうちに素早く投入し、同混合機にて温度が37℃になるまで混合し、脂質被覆牡蠣肉エキス粉末を得た。
得られた脂質被覆牡蠣肉エキス粉末 56gをチャック付アルミ袋に入れて、60℃で14日間保存し、ガス発生量を測定した。評価結果を表1に示す。
混合機(ロッキングミキサー、愛知電機株式会社製)に牡蠣肉エキス粉末〔商品名:カキエキスパウダーA、天王水産株式会社〕を仕込み、温度が29℃になるまで攪拌した。次に、牡蠣肉エキス粉末90質量部に対して、パーム極度硬化油(融点59℃)10質量部を牡蠣肉エキス粉末の温度が低下しないうちに素早く投入し、同混合機にて温度が35℃になるまで混合し、脂質被覆牡蠣肉エキス粉末を得た。
得られた脂質被覆牡蠣肉エキス粉末56gをチャック付アルミ袋に入れて、60℃で14日間保存し、ガス発生量を測定した。評価結果を表1に示す。
表2に示すように、実施例1で調製した脂質被覆牡蠣肉エキス粉末を含む錠剤を調製し、マイクロメーターで20錠の厚みを測定した。測定した錠剤20錠をチャック付アルミ袋に入れて、60℃で14日間保存し、20錠の厚みを測定した。評価結果を表2に示す。
30℃に温度調整した混合機(バーチカルグラニュレーター、株式会社パウレック製)に牡蠣肉エキス粉末〔商品名:カキエキスパウダーA、天王水産株式会社〕を仕込み、温度が29℃になるまで攪拌し、得られた牡蠣肉エキス粉末50gをチャック付アルミ袋に入れて、60℃で14日間保存し、ガス発生量を測定した。評価結果を表1に示す。
表1に示すように、B成分の脂質粉末の種類、A成分とB成分の混合比率、工程Iおよび工程IIの到達温度を変更した以外は、実施例1と同様にして脂質被覆牡蠣肉エキス粉末を得た。
得られた脂質被覆牡蠣肉エキス粉末は牡蠣肉エキスとして50gとなるような量をチャック付アルミ袋に入れて、60℃で14日間保存試験を実施し、ガス発生量を測定した。評価結果を表1に示す。
表2に示すように、比較例1の牡蠣肉エキス粉末を含む錠剤を調製し、マイクロメーターで20錠の厚みを測定した。測定した錠剤20錠をチャック付アルミ袋に入れて、60℃で14日間保存し、20錠の厚みを測定した。評価結果を表2に示す。
また、実施例7の錠剤は比較例5の錠剤と比較して、保存試験後の厚みの変化がほとんど無く、錠剤にした場合でも保存安定性が優れていることが分かる。
Claims (2)
- 次の工程I、IIの順に行うことを特徴とする脂質被覆牡蠣肉エキス粉末の製造方法。
工程I:混合機の全容量に対して40〜70%容量の牡蠣肉エキス粉末(A成分)を仕込み、A成分の温度が25〜35℃になるまで攪拌する。
工程II:工程Iで処理したA成分85〜95質量部と、融点55〜70℃の脂質粉末(B成分)5〜15質量部とを同混合機の中で温度が30〜40℃になるまで混合することでA成分をB成分で被覆し、脂質被覆牡蠣肉エキス粉末を調製する。 - 請求項1記載の製造方法で製造された脂質被覆牡蠣肉エキス粉末 。
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