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JP5109329B2 - 二次電池 - Google Patents
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Description

本発明は、一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上である電池に関する。
近年の携帯電子技術のめざましい発達により、携帯電話やノートブックコンピューターなどの電子機器は高度情報化社会を支える基盤技術と認知され始めた。また、これらの電子機器の高機能化に関する研究開発が精力的に進められており、これらの電子機器の消費電力も比例して増加の一途を辿っている。その反面、これらの電子機器は長時間の駆動が求められており、駆動電源である二次電池の高エネルギー密度化が必然的に望まれてきた。また、環境面の配慮からサイクル寿命の延命についても望まれてきた。
電子機器に内蔵される電池の占有体積や質量などの観点より、電池のエネルギー密度は高いほど望ましい。現在では、リチウムイオン二次電池が優れたエネルギー密度を有することから、殆どの機器に内蔵されるに至っている。
通常、リチウムイオン二次電池では、正極にはコバルト酸リチウム、負極には炭素材料が使用されており、作動電圧が4.2Vから2.5Vの範囲内で用いられている。単電池において、端子電圧を4.2Vまで上げられるのは、非水電解質材料やセパレータなどの優れた電気化学的安定性によるところが大きい。
一方、従来の最大4.2Vで作動するリチウムイオン二次電池では、正極に用いられるコバルト酸リチウムなどの正極活物質は、その理論容量に対して6割程度の容量を活用しているに過ぎない。このため、更に充電圧を上げることにより、残存容量を活用することが原理的に可能である。実際に、充電時の電圧を4.25V以上にすることにより、高エネルギー密度化が発現することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、非水系電解液二次電池において過充電を行うと、過充電状態の進行に伴って、正極ではリチウムの過剰な放出が起き、一方、負極ではリチウムの過剰な吸蔵が起き、場合によっては、金属リチウムが析出する。このような状態の正極、負極は、いずれも熱的に不安定な状態におかれ、電解液の分解及び急激な発熱を引き起こし、それにより電池が異常に発熱して、電池の安全性が損なわれるという問題が生じる。このような問題は、非水系電解液二次電池のエネルギー密度の増加に伴い、特に顕著となる。
このような問題を解決するため、電解液中に添加剤として少量の芳香族化合物を添加することによって、過充電に対して安全性を確保できるようにしたものが、例えば、特許文献2において提案された。この特許文献2において提案されたものにあっては、負極に炭素材料を用い、電解液の添加剤として、分子量500以下で満充電時の正極電位よりも貴な電位に可逆性酸化還元電位を有するようなπ電子軌道をもつアニソール誘導体などの芳香族化合物を使用するようにしている。このような芳香族化合物は、過充電を防止することで電池が保護される。
国際公開第WO03/019713号パンフレット 特開平7−302614号公報
しかしながら、充電電圧を4.25Vを超えて設定した電池では、特に正極表面近傍における酸化雰囲気が強まる結果、連続充電時に正極と物理的に接触するセパレータが酸化分解され、急激な電流立ち上がりにより電池が不安全になってしまう問題が有った。
また、過充電防止剤を用いた場合、通常の充放電時や、高温保存時にわずかずつ反応して、電池の性能を低下させるという問題があった。特にこの問題は充電電圧を4.25Vを超えて設定した場合、反応が促進されることになるため顕著となる。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、充電電圧を4.25Vを超えて設定しても、連続充電特性に問題を生じさせること無く、さらに、過充電時に際して、破断等が生じない、安全な二次電池を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の二次電池は、
正極および負極、それらに介在するセパレータ、並びに電解液を備え、
一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内であり、
前記電解液は、3,3’−ジフルオロビフェニル及び4,4’−ジフルオロビフェニルのうち少なくとも1種を含むことを特徴とするものである。
本発明の二次電池によれば、完全充電時における開回路電圧を4.25V以上6.00V以下の範囲内としたので、高いエネルギー密度を得ることができる。また、電解液に上記構造の芳香族化合物のうち少なくとも1種を含むようにしたので、過充電状態となった際にこれらの化合物が酸化重合し、活物質表面に高抵抗の皮膜を形成して過充電電流を抑制し、その結果として電池が危険な状態に至る前に過充電の進行を阻止することが出来る。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池は、電極反応物質としてリチウムを用い、負極の容量が、リチウムの吸蔵および放出による容量成分により表されるいわゆるリチウムイオン二次電池である。この二次電池は、いわゆる円筒型といわれるものであり、ほぼ中空円柱状の電池缶11の内部に、一対の帯状の正極21と帯状の負極22とがセパレータ23を介して巻回された巻回電極体20を有している。電池缶11は、例えばニッケルのめっきがされた鉄により構成されており、一端部が閉鎖され他端部が開放されている。電池缶11の内部には、巻回電極体20を挟むように巻回周面に対して垂直に一対の絶縁板12、13がそれぞれ配置されている。
電池缶11の開放端部には、電池蓋14と、この電池蓋14の内側に設けられた安全弁機構15および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)16とが、ガスケット17を介してかしめられることにより取り付けられており、電池缶11の内部は密閉されている。電池蓋14は、例えば、電池缶11と同様の材料により構成されている。安全弁機構15は、熱感抵抗素子16を介して電池蓋14と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合にディスク板15A(電力導出板)が反転して電池蓋14と巻回電極体20との電気的接続を切断するようになっている。ディスク板15Aは熱感抵抗素子16とともに電流遮断封口体を構成する。熱感抵抗素子16は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限し、大電流による異常な発熱を防止するものである。ガスケット17は、例えば、絶縁材料により構成されており、表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体20の中心には例えばセンターピン24が挿入されている。巻回電極体20の正極21にはアルミニウムなどよりなる正極リード25が接続されており、負極22にはニッケルなどよりなる負極リード26が接続されている。正極リード25は安全弁機構15に溶接されることにより電池蓋14と電気的に接続されており、負極リード26は電池缶11に溶接され電気的に接続されている。
<正極>
図2は図1に示した巻回電極体20の一部を拡大して表すものである。図2に示すように、正極21は、例えば、対向する一対の面を有する正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、正極集電体21Aの片面のみに正極活物質層21Bを設けるようにしてもよい。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料の1種または2種以上を含んでおり、必要に応じてグラファイトなどの導電剤およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んで構成されている。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料は、式(8)に示した平均組成で表される層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物を含んでいる。エネルギー密度を高くすることができるからである。このようなリチウム複合酸化物について具体的に例を挙げれば、Li CoO (a≒1)あるいはLic1Co(1-c2)Nic2 (c1≒1、0<c2≦0.5)などがある。
LiCo(1-s)M1(2-t) (8)
上記式(8)中、M1は、ニッケル、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、スズ、カルシウム、ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。r、s、tおよびuは、0.8≦r≦1.2、0≦s<0.5、−0.1≦t≦0.2、0≦u≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、rの値は完全放電状態における値を表している。
正極材料は、更に、これらの正極材料に加えて、他の正極材料を混合して用いてもよい。他の正極材料としては、例えば、他のリチウム酸化物、リチウム硫化物あるいは他のリチウムを含む層間化合物[例を挙げると、式(9)または式(10)に示した平均組成で表される層状岩塩型の構造を有するリチウム複合酸化物、式(11)に示した平均組成で表されるスピネル型の構造を有するリチウム複合酸化物、および式(12)に示したオリビン型の構造を有するリチウム複合リン酸塩等など]が挙げられる。
LiMn(1-g-h)NiM2(2-j) (9)
上記式(9)中、M2は、コバルト、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズ、カルシウム、ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。f、g、h、jおよびkは、0.8≦f≦1.2、0<g<0. 5、0≦h≦0. 5、g+h<1、−0. 1≦j≦0. 2、0≦k≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、fの値は完全放電状態における値を表している。
LiNi(1-n)M3(2-p) (10)
上記式(10)中、M3は、コバルト、マンガン、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、スズ、カルシウム、ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。m、n、pおよびqは、0.8≦m≦1.2、0. 005≦n≦0. 5、−0. 1≦p≦0. 2、0≦q≦0. 1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、mの値は完全放電状態における値を表している。
LiMn(2-w)M4 (11)
上記式(11)中、M4は、コバルト、ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、スズ、カルシウム、ストロンチウムおよびタングステンからなる群のうちの少なくとも1種を表す。v、w、xおよびyは、0.9≦v≦1.1、0≦w≦0.6、3.7≦x≦4.1、0≦y≦0.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、vの値は完全放電状態における値を表している。
Li M5PO (12)
上記式(12)中、M5は、コバルト、マンガン、鉄、ニッケル、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、チタン、バナジウム、ニオブ、銅、亜鉛、モリブデン、カルシウム、ストロンチウム、タングステンおよびジルコニウムからなる群のうちの少なくとも1種を表す。zは、0.9≦z≦1.1の範囲内の値である。なお、リチウムの組成は充放電の状態によって異なり、zの値は完全放電状態における値を表している。
前記正極材料は、上記式(8)〜(12)で表されるリチウム含有化合物のいずれかよりなる芯粒子の表面を、これらリチウム含有化合物のいずれかよりなる微粒子で被覆した複合粒子としてもよい。(例えば、特許第3543437号参照)当該複合粒子とすることにより、高い電極充填性とサイクル特性が得られる。
リチウム含有化合物よりなる芯粒子の表面に、リチウム含有化合物からなる微粒子を被覆させる方法としては、高速気流中衝撃法が挙げられる。高速気流中衝撃法とは、高速気流中に、粉体と微粒子とが均一に混合されたミクスチャーを分散し、衝撃操作を繰り返し行うことで、粉体に機械的熱的エネルギーを与えるようにしたものである。この作用により、粉黛表面に微粒子が均一に付着した状態となり、粉体が表面改質される。なお、芯粒子と微粒子とは、同じ種類のリチウム含有化合物であってもよく、異なる種類のリチウム含有化合物であってもよい。
前記複合粒子の平均粒径r1とその芯粒子の平均粒径r2との比は、r1/r2が1.01≦r1/r2≦2であることが好ましく、微粒子の平均粒径r3と芯粒子の平均粒径r2との比はr3/r2≦1/5であることがより好ましい。ただし、ここで言う平均粒径は、メジアン径、すなわち積算分布の50%に対する粒子径である。
<負極>
負極22は、例えば、対向する一対の面を有する負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられた構造を有している。なお、図示はしないが、負極集電体22Aの片面のみに負極活物質層22Bを設けるようにしてもよい。負極集電体22Aは、例えば、銅箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層22Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料を1種または複数種含んで構成されており、必要に応じて正極活物質層21Bと同様の結着剤を含んで構成されている。
負極材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維あるいは活性炭などの炭素材料が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。これら炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができ好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性が得られるので好ましい。更にまた、充放電電位が低いもの、具体的には充放電電位がリチウム金属に近いものが、電池の高エネルギー密度化を容易に実現することができるので好ましい。
負極材料としてはまた、リチウムを吸蔵および放出することが可能であり、金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として含む材料も挙げられる。このような材料を用いれば、高いエネルギー密度を得ることができるからである。特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。この負極材料は金属元素あるいは半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、またこれらの1種または複数種の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含められ、非金属元素を含んでいてもよい。合金の組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
負極材料を構成する金属元素または半金属元素としては、例えば、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、ビスマス、カドミウム、銀、亜鉛、ハフニウム、ジルコニウム、イットリウム、パラジウムあるいは白金が挙げられる。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
上記金属元素または半金属元素の中でも、短周期型周期表における4B族の金属元素または半金属元素を構成元素として含むものが好ましく、特に好ましいのはケイ素およびスズの少なくとも一方を構成元素として含むものである。ケイ素およびスズは、リチウムを吸蔵および放出する能力が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるからである。
スズの合金としては、例えば、スズならびに第2の構成元素として、ケイ素、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン(Sb)、およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物あるいはケイ素の化合物としては、例えば、酸素あるいは炭素を含むものが挙げられ、スズまたはケイ素に加えて、前記した第2の構成元素を含んでいてもよい。
負極材料としては、更に、他の金属化合物あるいは高分子材料が挙げられる。他の金属化合物としては、MnO 、V 、V13などの酸化物、NiS、MoSなどの硫化物、あるいはLiNなどのリチウム窒化物が挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
なお、この二次電池では、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の電気化学当量が、正極21の電気化学当量よりも大きくなっており、充電の途中において負極22にリチウム金属が析出しないようになっている。
<セパレータ>
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えばポリエチレン並びに、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、Al、およびSiOの少なくとも1種を含む、合成樹脂製またはセラミック製の多孔質膜により構成されることが好ましい。これにより、連続充電時における正極と物理的に接触するセパレータの酸化分解を抑制し、急激な電流立ち上がりを阻止することが出来る。セパレータは、ポリエチレン並びに、ポリプロピレンおよびポリテトラフルオロエチレンの少なくとも1種を混合して多孔質膜としてもよく、この多孔質膜にAl、ポリフッ化ビニリデン、SiOを表面に塗布してもよい。また、上記多孔質膜を積層した構造とされていてもよい。ポリオレフィン製の多孔質膜はショート防止効果に優れ、かつシャットダウン効果による電池の安全性向上を図ることができるので好ましい。
セパレータには、液状の電解質である電解液が含浸されている。電解液は、ポリマー、発煙させたシリカの添加、溶解モノマーの架橋などの方法により、ゲル化することができる。ゲル化された電解質は微多孔膜、布地や不織布、あるいは貫通孔を持ったプラスチックシート、電極などを支持体としてセパレータに使用することができる。その他、ゲル状電解質は支持体なしでセパレータとして使用することもできる。
<電解液>
電解液は、溶媒、この溶媒に溶解された電解質、および添加剤を含んでいる。
本発明における電解液は、添加剤として、下記式(1)で表される芳香族化合物のうち少なくとも1種を含んでいる。過充電状態となった際にこれらの化合物が酸化重合し、活物質表面に高抵抗の皮膜を形成して過充電電流を抑制し、その結果として電池が危険な状態に至る前に過充電の進行を阻止することが出来るからである。
Figure 0005109329
上記式(1)中、R1〜10はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基またはハロゲン化アリール基を表す。
また、前記式(1)で表される芳香族化合物のR1からR10の少なくとも1つがハロゲン基であることが好ましい。物質の酸化電位が上がり、通常の充放電時の影響を小さく出来るからである。
式(1)において、ハロゲン基としてはフッ素基、塩素基、臭素基、ヨウ素基のいずれであってもよいが、フッ素基が特に好ましい。フッ素基を有することにより酸化還元電位を高くすることができる。アルキル基としてはメチル基、エチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等が好ましく、t−ブチル基、t−ペンチル基が特に好ましい。立体障害により反応性を下げることができる。ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、テトラフルオロエチル基、t-ノナフルオロブチル基が好ましい。アリール基としてはフェニル基、ベンジル基が好ましい。
さらに、前記式(1)で表される芳香族化合物は下記式(2)で表される芳香族化合物であることが好ましい。
Figure 0005109329
上記式(2)中、R1〜3およびR8〜10の少なくとも1つはハロゲン基を表す。ハロゲン基としてはフッ素基が特に好ましい。さらに、ハロゲン基は2以上存在することが好ましく、特に、R1およびR10、R2およびR9、またはR3およびR8の位置に存在することが好ましい。かかる構造であることにより酸化電位、添加剤の粘度、還元電位を好ましい動作電位に調整出来るからである。式(2)で表される化合物としては、具体的には2−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,2’−ジフルオロビフェニル、3,3’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニルが挙げられる。
式(1)および(2)で表される芳香族化合物の含有量は、電解液において0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下の範囲内であることが好ましい。含有量が少ないと過充電を抑制する効果が十分ではなく、多くても高温サイクル時に正極上で過剰に分解され充放電効率が低下してしまうためである。
電解液における溶媒としては、環状の炭酸エステルを含むものを用いることが好ましい。負極上でのイオン性錯体の分解を抑制することによりサイクル特性を向上することができるからである。環状の炭酸エステルとしては、下記式(3)で表される炭酸ビニレン系化合物、下記式(4)で表される炭酸エチレン系化合物が挙げられる。これらは単独で用いても、混合して用いてもよいが、サイクル特性を向上させることができるため混合して用いることが好ましい。
Figure 0005109329
上記式(3)中、XとYはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ハロゲン基、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される電子吸引基を表す。
Figure 0005109329
上記式(4)中、XとYはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ハロゲン基、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される電子吸引基を表す。
式(3)で表される化合物の具体例としては、炭酸ビニレン、4,5−ジメチルビニレンカーボネートなどが挙げられる。
式(4)で表される化合物の具体例としては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、4−フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。
溶媒としては、上記環状炭酸エステルに加えて、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸メチルプロピルなどの鎖状の炭酸エステルを混合して用いることが好ましい。これにより高いイオン伝導性を得ることができるからである。
これらの他にも、溶媒としては、例えば、炭酸ブチレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシドあるいはリン酸トリメチルなどが挙げられる。
なお、前記溶媒には1種を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
電解液における環状炭酸エステルの含有量としては、10質量%以上70質量%以下の範囲内であることが好ましく、20質量%以上60質量%以下の範囲内であることがより好ましい。環状炭酸エステルの含有量が少ないとイオン性金属錯体の分解反応を抑制する効果が十分ではなく、多いと負極上で過剰分解され充放電効率が低下してしまうからである。また、環状炭酸エステルのうち、式(3)で表される炭酸ビニレン系化合物の電解液における含有量としては、0.1質量%以上10質量%以下の範囲内であることが好ましく、式(4)で表される炭酸エチレン系化合物の含有量としては、0.1質量%以上30%重量%以下の範囲内であることが好ましい。
本発明における電解液には電解質塩として、LiPFを含むことが好ましい。LiPFを用いることにより電解液のイオン伝導性を高くすることができるからである。
LiPFの濃度は、電解液において、0.1mol/kg以上2.0mol/kg以下の範囲内であることが好ましい。この範囲内でイオン伝導性をより高くすることができるからである。
前記電解液は、電解質塩として、LiPFに加えて他の電解質塩を含んでもよい。
他の電解質塩としては、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005109329
上記式(5)中、
R11は−C(=O)−R21−C(=O)−基(R21はアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基もしくはハロゲン化アリーレン基を表す。)、または−C(=O)−C(R23)(R24)−基(R23、R24は、アルキル基、 ハロゲン化アルキル基、アリール基もしくはハロゲン化アリール基を表す。)、または−C(=O)−C(=O)−基を表し、
R12はハロゲン基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基またはハロゲン化アリール基を表し、
X11およびX12は酸素または硫黄をそれぞれ表し、
M11は遷移金属元素または短周期型周期表における3B族元素、4B族元素もしくは5B族元素を表し、
M21は短周期型周期表における1A族元素もしくは2A族元素、またはアルミニウムを表し、
aは1〜4の整数であり、bは0〜8の整数であり、c、d、eおよびfはそれぞれ1〜3の整数である。
式(5)で表される化合物としては、例えば、下記式(13)で表されるリチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)、下記式(14)で表されるリチウムジフルオロオキサレートボレートなどが挙げられる。
Figure 0005109329
Figure 0005109329
リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)を用いる場合には、電解液に対する含有量としては、0.1質量%以上20質量%以下の範囲内であることが好ましい。また、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)を用いる場合には、電解液に対する含有量としては、0.1質量%以上30質量%以下の範囲内であることが好ましい。
また、他の電解質塩としては、下記式(6)で表される鎖状の化合物も挙げられる。
LiN(C2m+1SO )(C2n+1SO ) (6)
式(6)中、mおよびnは1以上の整数である。
式(6)で表される化合物としては、例えば、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド[LiN(CFSO]、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド[LiN(CSO]、リチウム(トリフルオロメタンスルホニル)(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド[LiN(CFSO)(CSO)]、リチウム(トリフルオロメタンスルホニル)(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミド[LiN(CFSO)(CSO)]、リチウム(トリフルオロメタンスルホニル)(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド[LiN(CFSO)(CSO)]などが挙げられる。
前記式(6)で表される化合物の含有量としては、電解液に対して0.1質量%以上30質量%以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、0.3質量%以上20質量%以下である。
さらに、他の電解質塩としては、下記式(7)で表される環状の化合物も挙げられる。
Figure 0005109329
上記式(7)中、Rは炭素数2〜4の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキレン基を表す。
式(7)で表される化合物としては、例えば、パーフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルイミドリチウムが挙げられる。
式(7)で表される化合物の含有量としては、電解液に対して0.1質量%以上30質量%以下の範囲内であることが好ましく、0.3質量%以上20質量%以下の範囲内であることがより好ましい。
上記式(5)〜(7)で表される化合物以外の他の電解質塩としては、例えば、LiBF 、LiAsF 、LiClO 、LiB(C 、LiCHSO 、LiCFSO、LiC(SOCF 、LiAlCl 、LiSiF 、LiCl、ジフルオロ[オキソラト−O,O’]ホウ酸リチウム、1,2-イミド、あるいはLiBrなどが挙げられる。これらの含有量としては、電解液に対して0.1質量%以上30質量%以下の範囲内であることが好ましく、0.3質量%以上20質量%以下の範囲内であることがより好ましい。
これら他の電解質塩は、1種を単独で混合して用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
本発明の二次電池は、完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)が4.25V以上6.00V以下、好ましくは4.25V以上4.60V以下の範囲内になるように設計されている。よって、完全充電時における開回路電圧が4.20Vの電池よりも、同じ正極活物質であっても、単位質量当たりのリチウムの放出量が多くなるので、それに応じて正極活物質と負極活物質との量が調整されている。これにより高いエネルギー密度が得られるようになっている。
<製造方法>
本発明の二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極は以下のようにして製造することができる。例えば、上述した正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この該正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次いで、この該正極合剤スラリーを正極集電体21Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより正極活物質層21Bを形成し、正極21を作製する。
また、負極は以下のようにして製造することができる。例えば、上述した負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この該負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次いで、この該負極合剤スラリーを負極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させ、ロールプレス機などにより圧縮成型することにより負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。
続いて、正極集電体21Aに正極リード25を溶接などにより取り付けると共に、負極集電体22Aに負極リード26を溶接などにより取り付ける。そののち、正極21と負極22とをセパレータ23を介して巻回し、正極リード25の先端部を安全弁機構15に溶接すると共に、負極リード26の先端部を電池缶11に溶接して、巻回した正極21および負極22を一対の絶縁板12、13で挟み電池缶11の内部に収納する。正極21および負極22を電池缶11の内部に収納したのち、電解液を電池缶11の内部に注入し、セパレータ23に含浸させる。そののち、電池缶11の開口端部に電池蓋14、安全弁機構15および熱感抵抗素子16をガスケット17を介してかしめることにより固定する。これにより、図1に示した二次電池が形成される。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極活物質層21Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極活物質層22Bに吸蔵される。また、放電を行うと、例えば、負極活物質層22Bからリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極活物質層21Bに吸蔵される。
このように本実施の形態では、完全充電時における開回路電圧を4.25V以上6.00V以下の範囲内としたので、高いエネルギー密度を得ることができる。また、電解液に式(1)で表される芳香族化合物のうち少なくとも1種を含むようにしたので、過充電状態となった際にこれらの化合物が酸化重合し、活物質表面に高抵抗の皮膜を形成して過充電電流を抑制し、その結果として電池が危険な状態に至る前に過充電の進行を阻止することが出来る。
さらに、セパレータがポリエチレン並びに、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、AlおよびSiOの少なくとも1種を含むようにすれば、連続充電時における正極と物理的に接触するセパレータの酸化分解を抑制し、急激な電流立ち上がりを阻止することが出来る。よって、エネルギー密度を高くすることができると共に、連続充電特性を向上させることができ、過充電時においても、安全性を向上させることが出来る。
特に、電解液における式(1)で表される芳香族化合物の含有量を、電解液において0.1質量%以上10質量%以下であるようにすれば、高温サイクル特性を向上させることが出来る。
以上、実施の形態により本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態においては、巻回構造を有する二次電池について説明したが、本発明は、正極および負極を折り畳んだりあるいは積み重ねた構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。加えて、いわゆるコイン型、ボタン型、角型あるいはラミネートフィルム型などの二次電池についても適用することができる。
また、上記実施の形態においては、電解液を用いる場合について説明したが、本発明は、他の電解質を用いる場合についても適用することができる。他の電解質としては、例えば、電解液を高分子化合物に保持させたいわゆるゲル状の電解質などが挙げられる。
更に、上記実施の形態では、負極の容量が、リチウムの吸蔵および放出による容量成分により表されるいわゆるリチウムイオン二次電池について説明したが、本発明は、負極活物質にリチウム金属を用い、負極の容量が、リチウムの析出および溶解による容量成分により表されるいわゆるリチウム金属二次電池、または、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量を正極の充電容量よりも小さくすることにより、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出による容量成分と、リチウムの析出および溶解による容量成分とを含み、かつその和により表されるようにした二次電池についても同様に適用することができる。
更に、本発明の具体的な実施例について、詳細に説明する。
<電池の作製>
本実施例では、図1に示した二次電池を作製した。まず、正極活物質としてリチウム複合酸化物94質量%と、導電剤としてケッチェンブラック(アモルファス性炭素粉)3質量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量%とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて正極合剤スラリーとした。次いで、この正極合剤スラリーを厚み20μmの帯状のアルミニウム箔よりなる正極集電体21Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し正極21を作製した。そののち、正極集電体21Aの一端にアルミニウム製の正極リード25を取り付けた。
また、負極活物質として平均粒径30μmの粒状黒鉛粉末90質量%と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10質量%とを混合し、溶剤であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて負極合剤スラリーとした。次いで、この負極合剤スラリーを厚み15μmの帯状銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に均一に塗布して乾燥させ、圧縮成型して負極活物質層22Bを形成し負極22を作製した。その際、正極活物質の量と負極活物質の量とを調整し、完全充電時における開回路電圧(すなわち電池電圧)を後述する各表に示す値になるように設計した。続いて、負極集電体22Aの一端にニッケル製の負極リード26を取り付けた。
正極21および負極22をそれぞれ作製したのち、微多孔膜よりなるセパレータ23を用意し、負極22、セパレータ23、正極21、セパレータ23の順に積層してこの積層体を渦巻型に多数回巻回することにより、外径17.8mmのジェリーロール型の巻回電極体20を作製した。セパレータの組成は後述する各表に示すものを用いた。
巻回電極体20を作製したのち、巻回電極体20を一対の絶縁板12、13で挟み、負極リード26を電池缶11に溶接すると共に、正極リード25を安全弁機構15に溶接して、巻回電極体20をニッケルめっきした鉄製の電池缶11の内部に収納した。続いて、電池缶11の内部に電解液を減圧方式により注入した。電解液には、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルとを、炭酸エチレン:炭酸プロピレン:炭酸ジメチル:炭酸エチルメチル=25:5:65:5の質量比で混合した混合溶媒に、後述する各表に示すように添加剤を加えたものを用いた。電解液における、LiPF の濃度は、1.0mol/kgとした。
そののち、ガスケット27を介して電池蓋24を電池缶21にかしめることにより、直径18mm、高さ65mmの円筒型の二次電池を作製した。
<電池の評価>
作製した実施例および比較例の二次電池について、連続充電特性、過充電特性、高温サイクル特性を以下のようにして評価した。
(1)連続充電特性
60℃に設定された恒温槽中において、1000mAで定電流で所定電圧に達するまで定電流充電を行なった後、所定電圧で定電圧充電を行った際の充電電流の変動が見られる(漏れ電流が発生する)時間を求めた。
(2)過充電特性
所定電圧、1000mAで定電流定電圧充電を行い、満充電状態にしたセルを4800mAで18Vになるまで充電し、その際のセルの表面温度の最高到達温度を求めた。
(3)高温サイクル特性
45℃の高温槽内で、所定電圧、2400mAで定電流定電圧充電を行い、引き続き2400mAの定電流で電池電圧が3Vに達するまで定電流放電を行い、この充放電を繰り返して1サイクル目の放電容量に対する300サイクルにおける放電容量維持率(300サイクルにおける放電容量/1サイクル目の放電容量)×100%として求めた。
実施例1−2−1〜1−3−6、1−5−1〜1−6−6、参考例1−1−1〜1−1−6、1−4−1〜1−4−6、1−7−1〜1−7−6
実施例1−2−1〜1−3−6及び参考例1−1−1〜1−1−6においては、正極におけるリチウム複合酸化物はLiCoO2を100%用い、セパレータにポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンと3層重なったセパレータを用い、電解液に表1に示す添加剤を加えた。充電上限電圧は4.25〜4.60Vとした。
実施例1−5−1〜1−6−6及び参考例1−4−1〜1−4−6として、セパレータにポリエチレンセパレータを用いた以外は実施例1−2−1〜1−3−6及び参考例1−1−1〜1−1−6と同様にして二次電池を作製した。
参考例1−7−1〜1−7−6として、添加剤に2,4−ジフルオロビフェニルを用いたことを除き、他は実施例1−2−1〜1−3−6及び参考例1−1−1〜1−1−6と同様にして二次電池を作製した。
(比較例1−1−1〜1−6−6)
比較例1−1−1〜1−1−6として、電解液に添加剤を加えなかったことを除き、他は参考例1−1−1〜1−1−6と同様にして二次電池を作製した。
比較例1−2−1〜1−2−6として、電解液に添加剤を加えなかったことを除き、他は参考例1−4−1〜1−4−6と同様にして二次電池を作製した。
比較例1−3−1〜1−3−3として、正極活物質の量と負極活物質の量とを調整して、完全充電時における開回路電圧が4.20Vとなるようにしたことを除き、他は実施例1−1−1〜1−3−6と同様にして二次電池を作製した。比較例1−3−4は、添加剤としてビフェニルを用いたことを除き、比較例1−3−1〜1−3−3と同様に二次電池を作製した。
更に、比較例1−3−5として、添加剤を用いなかったことを除き、他は比較例1−3−1〜1−3−4と同様にして二次電池を作製した。
比較例1−3−6〜1−3−8として、セパレータにポリエチレンセパレータを用いたことを除き、他は比較例1−3−1〜1−3−4と同様にして二次電池を作製した。
実施例1−1−1〜比較例1−3−8の各二次電池の特性を表1に示す。
Figure 0005109329
実施例1−2−1〜1−3−6、1−5−1〜1−6−6、参考例1−1−1〜1−1−6、1−4−1〜1−4−6、1−7−1〜1−7−6と、比較例1−1−1〜1−2−6とを対比すると分かるように、電解液に添加剤を加えることで過充電時の到達温度を低減し、高圧充電であっても安全性を高めることができることが分かった。比較例1−1−1〜1−2−6より、添加剤を加えなかった場合、充電上限電圧が4.25Vを超えるとセルの燃焼が確認された。
さらに、実施例1−2−1〜1−3−6及び参考例1−1−1〜1−1−6と実施例1−5−1〜1−6−6及び参考例1−4−1〜1−4−6との対比から、セパレータをポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンとすることで、連続充電時間をより延長でき、サイクル特性を向上できることが分かった。
また、添加剤のなかでも3,3’−ジフルオロビフェニルを添加した実施例1−2−1〜1−2−6および実施例1−5−1〜1−5−6の場合に、過充電時の到達温度およびサイクル特性ともに特に良好であった。2,4−ジフルオロビフェニルを添加した参考例1−7−1〜1−7−6の場合、セルは燃焼はしなかったが過充電時の到達温度が高く、サイクル特性は実施例1−2−1〜1−3−6に比べ低下傾向だった。フッ素置換の位置により分解した際の生成物が変わり、サイクルに悪影響が有ったと推測している。
(実施例2−1−1〜2−1−4)
使用するセパレータを表2に示すものに変化させたことを除き、他は実施例1−2−3と同様にして二次電池を作製した。実施例2−1−1〜2−1−4の各二次電池の特性を表2に示す。
Figure 0005109329
表2から分かるように、PPブレンドPEセパレータ、PTFE/PE/PTFEセパレータ、Al塗布PEセパレータ、SiO塗布PEセパレータのいずれも、PEセパレータより優れた連続充電特性および高温サイクル特性を示した。
(実施例3−1−1〜3−1−5)
電解液に添加する添加剤の量と種類を表3に示すように変化させたことを除き、他は実施例1−2−3と同様にして二次電池を作製した。実施例3−1−1〜3−1−5の各二次電池の特性を表3に示す。
Figure 0005109329
表3から、0.1〜20質量%の範囲が高温サイクル特性の維持率70%以上でありながら過充電特性を改善することができることがわかる。
(実施例4−1−1〜4−1−5)
電解液中に、表4に示す化合物をさらに添加したことを除き、他は実施例1−2−3と同様にして二次電池を作製した。実施例4−1−1〜4−1−5の各二次電池の特性を表4に示す。
Figure 0005109329
表4から分かるように、いずれの場合も連続充電特性には問題無く、各化合物を加えることで、過充電時到達温度をさらに低下させ、高温サイクル特性を向上させることが出来た。
(実施例5−1−1〜5−1−7)
正極におけるリチウム複合酸化物を表5に示す混合組成としたことを除き、他は実施例1−2−3と同様にして二次電池を作製した。実施例5−1−1〜5−1−7の各二次電池の特性を表5に示す。
Figure 0005109329
表5から分かるように、いずれの正極においても連続充電特性には問題無く、混合組成とする事でさらに過充電時到達温度を低下させ、高温サイクル特性を向上させることが出来た。
参考例6−1−1〜6−1−4)
電解液に添加する添加剤の種類を変化させたことを除き、他は参考例1−1−3、実施例1−2−3と同様にして二次電池を作製した。参考例6−1−1〜6−1−4の各二次電池の特性を表6に示す。
Figure 0005109329
表6から分かるように、フッ素化されていない化合物(ビフェニル、ターフェニル)については、高温サイクル特性は若干低下したが燃焼に至ることなく過充電時の到達温度を低下させることができた。一方、フッ素化された化合物は、燃焼にも至らず、高温サイクル特性も向上することができた。これはフッ素化により酸化電位が高くなることで、高充電圧下での高温サイクル時の反応を抑えたことによると考えられる。
<酸化電位測定>
酸化電位が高くなることを調べる方法として、3極セルを用い、サイクリックボルタンメトリーを測定した。測定環境温度は25℃で行い、走査速度は1.0mV/秒で行なった。3極セルは、参照極にリチウム箔を用い、対極にリチウム箔を用い、作用極に白金電極(BAS社製、1.6mm径)、電解液にはプロピレンカーボネートにLiPFを1.0mol/kg溶解させたものに各添加剤(ビフェニル、2,2−ジフルオロビフェニル、3,3−ジフルオロビフェニル、または4,4−ジフルオロビフェニル)を2質量%加えたものを用いてサイクリックボルタンメトリーを測定した。結果を図3に示す。
図3から分かるように、ビフェニルに対しフッ素化された化合物はいずれも酸化電位が上がっている。よって、高充電圧下のように高い電位になり易い条件下でも、高温サイクル特性を落とすことなく過充電特性に優れた電池を提供することが可能となる。
本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。 図1に示した二次電池における巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 各添加剤を加えた場合のサイクリックボルタンメトリーの測定結果を示すグラフである。
符号の説明
11…電池缶、12、13…絶縁板、14…電池蓋、15…安全弁機構、15A…ディスク板、16…熱感抵抗素子、17…ガスケット、20…巻回電極体、21…正極、21A…正極集電体、21B…正極活物質層、22…負極、22A…負極集電体、22B…負極活物質層、23…セパレータ、24…センターピン、25…正極リード、26…負極リード

Claims (10)

  1. 正極および負極、それらに介在するセパレータ、並びに電解液を備えた二次電池であって、
    一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V以上6.00V以下の範囲内であり、
    前記電解液は、3,3’−ジフルオロビフェニル及び4,4’−ジフルオロビフェニルのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする二次電池。
  2. 前記セパレータがポリエチレン並びに、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、Al23、およびSiO2の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記電解液は、3,3’−ジフルオロビフェニル及び4,4’−ジフルオロビフェニルのうち少なくとも1種を0.1質量%以上20質量%以下の範囲内で含有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
  4. 前記正極は、正極活物質として、リチウム、コバルト、酸素を含むリチウム複合酸化物を含有することを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
  5. 前記正極は、正極活物質として、リチウム並びに、ニッケルおよびマンガンの少なくとも1つを含むリチウム複合酸化物をさらに含有することを特徴とする請求項記載の二次電池。
  6. 前記電解液は、下記式(3)および(4)で表される化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
    Figure 0005109329
    [上記式(3)中、XとYはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ハロゲン基、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される電子吸引基を表す。]
    Figure 0005109329
    [上記式(4)中、XとYはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、ハロゲン基、シアノ基及びニトロ基からなる群より選択される電子吸引基を表す。]
  7. 前記式(3)で表される化合物が炭酸ビニレンであり、前記式(4)で表される化合物が4−フルオロエチレンカーボネートまたは4,5−ジフルオロエチレンカーボネートであることを特徴とする、請求項に記載の二次電池。
  8. 前記電解液は下記式(5)〜(7)で表される化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
    Figure 0005109329
    [上記式(5)中、
    R11は−C(=O)−R21−C(=O)−基(R21はアルキレン基、ハロゲン化アルキレン基、アリーレン基もしくはハロゲン化アリーレン基を表す。)、または−C(=O)−C(R23)(R24)−基(R23、R24は、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基もしくはハロゲン化アリール基を表す。)、または−C(=O)−C(=O)−基を表し、
    R12はハロゲン基、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基またはハロゲン化アリール基を表し、
    X11およびX12は酸素または硫黄をそれぞれ表し、
    M11は遷移金属元素または短周期型周期表における3B族元素、4B族元素もしくは5B族元素を表し、
    M21は短周期型周期表における1A族元素もしくは2A族元素、またはアルミニウムを表し、
    aは1〜4の整数であり、bは0〜8の整数であり、c、d、eおよびfはそれぞれ1〜3の整数である。]
    LiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2) (6)
    [上記式(6)中、mおよびnは1以上の整数である。]
    Figure 0005109329
    [上記式(7)中、Rは炭素数2〜4の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキレン基を表す。]
  9. 前記電解液はリチウムビスオキサレートボレート、リチウムジフルオロオキサレートボレート、リチウムビストリフルオロメタンスルホンイミド、リチウムビスパーフルオロエチレンスルホニルイミド、リチウムパーフルオロプロパン−1,3−ジスルホニルイミドのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
  10. 過電流が流れることにより抵抗値が増大するPTC素子と、電池内部のガス圧力が上昇して所定の圧力以上になることにより変形し該PTC素子への通電を遮断する電力導出板とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
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