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JP5109734B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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JP5109734B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、乾燥路面での操縦安定性能と、雪上路面での雪上性能とを備える空気入りタイヤに関するものである。
乾燥路面および雪上路面に適用されるオールシーズンタイヤと称される空気入りタイヤでは、乾燥路面での操縦安定性能と、雪上路面での雪上性能(主に制動性能および旋回性能)とを両立することが望まれている。従来、この種の空気入りタイヤでは、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる複数の周方向主溝と、該周方向主溝に交差する複数の横溝とにより、タイヤ赤道面の近傍にリブが形成され、タイヤ幅方向外側にはブロック列が形成されている。さらに、ブロック列には、複数のサイプが形成されている。そして、この空気入りタイヤでは、タイヤ赤道面の近傍に形成されたリブの単位幅当たりのタイヤ幅方向エッジ成分が、ブロック列の単位幅当たりのタイヤ幅方向エッジ成分の50%以下に設定されている。すなわち、従来の空気入りタイヤは、トレッド部の剛性をタイヤ赤道面近傍のリブにもたせて乾燥路面での操縦安定性能を得る一方、タイヤ幅方向エッジ成分をタイヤ幅方向外側のブロックにもたせて雪上路面での雪上性能を得ている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−48114号公報
ところで、ブロック列のブロックに形成したサイプは、ブロックにエッジ効果をもたせ、凍結路や雪上路で路面を引っ掻くようにしてグリップ力を生じさせる。これにより、雪上路面での雪上性能が得られる。すなわち、サイプを多く設けることで雪上性能が向上する。その反面、サイプを多くすると、ブロックが変形し易くなって、乾燥路面においてブロックが大きく変形し、操縦安定性能が損なわれることになる。
このような観点から、従来の空気入りタイヤでは、タイヤ幅方向エッジ成分をタイヤ幅方向外側のブロックに多くもたせているため、ブロックの変形が大きくなり、このブロックの変形によって乾燥路面での操縦安定性能が損なわれてしまう。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、乾燥路面での操縦安定性能と、雪上路面での雪上性能とを両立することのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にかかる空気入りタイヤでは、トレッド部の踏面に、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝と、タイヤ周方向に交差する複数のラグ溝とによりタイヤ周方向に並設された複数のブロックを有し、かつ前記ブロックの踏面に、タイヤ周方向に交差して設けられた細溝状のサイプを有した空気入りタイヤにおいて、前記周方向主溝の間で少なくともタイヤ幅方向最外側に設けられた前記ブロックにて、前記ラグ溝は、前記ブロックのタイヤ幅方向幅の中央50%の範囲内に少なくとも1つの屈曲点を有して屈曲して設けられ、かつ前記屈曲点を境にしたタイヤ幅方向両側でのタイヤ周方向に対する各角度θが30[度]≦θ≦80[度]の範囲に設定されており、前記サイプは、一端が前記周方向主溝に貫通すると共に、他端が前記ブロックのタイヤ幅方向幅の中央50%の範囲内に位置して設けられていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、ラグ溝が屈曲して設けられたことにより、ブロックにタイヤ周方向に向く楔形部が形成されているため、タイヤ幅方向およびタイヤ周方向でのサイプによるエッジ効果を釣り合わせ、雪上路面での雪上性能である制動性能(駆動性能)および旋回性能を向上できる。しかも、ラグ溝の屈曲点およびサイプの他端がブロックのタイヤ幅方向の中央50%の範囲内に位置している。このため、ブロックの中央部の剛性が高くなり、乾燥路面においてブロックのタイヤ周方向およびタイヤ幅方向への倒れ込みが抑えられ、乾燥路面での操縦安定性能を向上できる。特に、ラグ溝の屈曲点がブロックの中央50%の範囲内に設けられ、かつ、屈曲点を境にしたタイヤ幅方向両側でのタイヤ周方向に対するそれぞれの角度θが、30[度]≦θ≦80[度]の範囲に設定されている。このため、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向への倒れ込みをバランス良く抑えることができる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記ラグ溝の前記各角度θが40[度]≦θ≦70[度]の範囲に設定されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向への倒れ込みをよりバランス良く抑えることができる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記サイプは、前記ブロックのタイヤ幅方向両側に設けられ、かつ前記ラグ溝のタイヤ幅方向両側の部位と平行に設けられていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、タイヤ幅方向およびタイヤ周方向でのサイプによるエッジ効果の釣り合いをさらに良くし、雪上路面での雪上性能である制動性能(駆動性能)および旋回性能がさらに向上できる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記トレッド部のタイヤ幅方向中央部には、前記周方向主溝と、タイヤ周方向に斜めに交差した複数の傾斜ラグ溝とによりタイヤ周方向で分けられた中央ブロックが設けられ、前記中央ブロックの踏面に、前記傾斜ラグ溝と平行に設けられた細溝状の傾斜サイプを有していることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、タイヤ周方向への傾斜により中央ブロックのタイヤ周方向およびタイヤ幅方向への倒れ込みが抑えられるので、乾燥路面での操縦安定性能を向上できる。また、傾斜ラグ溝と平行に設けられた傾斜サイプにより、雪上路面での雪上性能である制動性能(駆動性能)および旋回性能を向上できる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、タイヤ幅方向最外側の前記周方向主溝のさらにタイヤ幅方向外側には、前記周方向主溝よりも溝幅が狭く、かつタイヤ周方向に延在して設けられた少なくとも1つの周方向副溝と、前記周方向副溝のタイヤ幅方向外側にて、該周方向副溝に貫通し、かつ前記ラグ溝よりもタイヤ周方向での数が多く設けられた外側ラグ溝とをさらに備えたことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、周方向副溝のタイヤ幅方向外側に、ラグ溝よりもタイヤ周方向での数が多く設けられた外側ラグ溝を設けたことにより、雪柱せん断力が増加し、雪上路面での雪上性能である制動性能(駆動性能)および旋回性能が向上する。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記周方向副溝と前記周方向主溝との間には、タイヤ周方向に斜めに交差した複数の傾斜ラグ溝によりタイヤ周方向で分けられた幅方向外側ブロックが設けられ、前記幅方向外側ブロックの踏面に、前記傾斜ラグ溝と平行に設けられた細溝状の傾斜サイプを有していることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、幅方向外側ブロックが、タイヤ周方向に対して斜めに交差する傾斜ラグ溝により、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向への倒れ込みが抑えられる。このため、乾燥路面での操縦安定性能を向上できる。また、傾斜ラグ溝と平行に設けられた傾斜サイプにより、雪上路面での雪上性能である制動性能(駆動性能)および旋回性能が向上できる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、すべての前記ラグ溝のうちの少なくとも1つのラグ溝の溝底にて、該ラグ溝の延在方向に沿って設けられた細溝状の溝底サイプをさらに備えたことを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、トレッド部が路面から離れる際に、溝底サイプによりラグ溝の溝底が開くので、ラグ溝に詰まる雪を排出し易くなる。このため、ラグ溝の排雪効果が高まり、凍結路や雪上路で路面を引っ掻くグリップ力を維持することができ、雪上性能が向上できる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記溝底サイプが設けられた前記ラグ溝は、前記溝底サイプの溝底に対して少なくとも一部の溝底が接近または離隔する態様で溝深さが漸次変化して設けられていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、トレッド部の摩耗に伴い、周方向主溝と共にラグ溝が浅くなるが、ラグ溝は、溝深さが漸次変化して設けられているため徐々に浅くなる。このため、乾燥路面での操縦安定性能、および雪上路面での雪上性能を、空気入りタイヤが寿命を迎えるまで維持できると共に、早期に寿命を迎えたかのように見える事態が防げる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記ラグ溝の溝幅W1に対し、前記溝底サイプの溝幅W2が、0.15≦W2/W1≦0.50の範囲に設定されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、ラグ溝における排雪性能をより向上できる。
また、本発明にかかる空気入りタイヤでは、前記ラグ溝の最大溝深さD1に対し、前記溝底サイプの最大溝深さD2が、0.20≦D2/D1≦0.90の範囲に設定されていることを特徴とする。
この空気入りタイヤによれば、ラグ溝における排雪性能をより向上できる。
本発明にかかる空気入りタイヤは、乾燥路面での操縦安定性能と、雪上路面での雪上性能とを両立することができる。
以下に、本発明にかかる空気入りタイヤの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的同一のものが含まれる。また、この実施の形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
以下の説明において、タイヤ径方向とは、空気入りタイヤの回転軸と直交する方向をいい、タイヤ径方向内側とはタイヤ径方向において回転軸に向かう側、タイヤ径方向外側とはタイヤ径方向において回転軸から離れる側をいう。また、タイヤ周方向とは、前記回転軸を中心軸とする周り方向をいう。また、タイヤ幅方向とは、前記回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面に向かう側、タイヤ幅方向外側とはタイヤ幅方向においてタイヤ赤道面から離れる側をいう。
図1は、本発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す平面図、図2は、溝底サイプを示す断面図、図3は、溝底サイプの他の実施の形態を示す断面図、図4は、図3の溝底サイプを示す平面図、図5および図6は、溝底サイプのさらに他の実施の形態を示す断面図、図7は、本発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
空気入りタイヤ1は、タイヤ径方向の最も外側に、弾力性を有するゴム部材からなり空気入りタイヤ1の外郭をなすトレッド部2が形成されている。また、トレッド部2の表面、すなわち空気入りタイヤ1を装着する車両(図示せず)が走行した場合に路面と接触する踏面21には、タイヤ周方向に延在する複数(本実施の形態では4つ)の周方向主溝3が設けられている。そして、該周方向主溝3の間にタイヤ周方向に延びる複数(本実施の形態では3つ)リブ4が設けられている。
この空気入りタイヤ1において、タイヤ幅方向最外側の各リブ4には、タイヤ周方向に交差して形成されたラグ溝5によりタイヤ周方向に分けて並設さられたブロック4aが形成されている。また、ブロック4aの踏面21には、タイヤ周方向に交差して形成された細溝状のサイプ6が設けられている。
ラグ溝5は、屈曲点5aを有してV字形状に屈曲して設けられている。屈曲点5aは、ブロック4aのタイヤ幅方向幅の中央50%の範囲内に少なくとも1つ設けられている。このラグ溝5は、屈曲点5aを境にしたタイヤ幅方向両側でのタイヤ周方向に対するそれぞれの角度θが、30[度]≦θ≦80[度]の範囲に設定されている。すなわち、ラグ溝5は、屈曲角度が60度以上160度以下の範囲で形成されている。
サイプ6は、一端6aが周方向主溝3に貫通し、他端6bがブロック4aの途中に位置して設けられている。具体的に、サイプ6の他端6bは、ブロック4aのタイヤ幅方向幅の中央50%の範囲内に位置している。
この空気入りタイヤ1では、ラグ溝5が屈曲して設けられていることにより、ブロック4aにタイヤ周方向に向く楔形部が形成されているため、タイヤ幅方向およびタイヤ周方向でのサイプ6によるエッジ効果を釣り合わせ、雪上路面での雪上性能である制動性能(駆動性能)および旋回性能を向上できる。しかも、ラグ溝5の屈曲点5aおよびサイプ6の他端6bが、ブロック4aのタイヤ幅方向の中央50%の範囲内に位置している。このため、ブロック4aの中央部の剛性が高くなり、乾燥路面においてブロック4aのタイヤ周方向およびタイヤ幅方向への倒れ込みが抑えられ、乾燥路面での操縦安定性能を向上できる。特に、ラグ溝5の屈曲点5aがブロック4aの中央50%の範囲内に設けられ、かつ、屈曲点5aを境にしたタイヤ幅方向両側でのタイヤ周方向に対するそれぞれの角度θが、30[度]≦θ≦80[度]の範囲に設定されている。このため、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向への倒れ込みをバランス良く抑えることができる。
ラグ溝5が屈曲する上記角度θは、40[度]≦θ≦70[度]の範囲に設定されていることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向への倒れ込みをよりバランス良く抑えることができる。なお、ラグ溝5の屈曲点5aは、1つに限らず複数設けられ、楔形部を複数有していてもよい。
サイプ6は、ブロック4aのタイヤ幅方向両側に設けられ、かつ屈曲したラグ溝5と平行に設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、タイヤ幅方向およびタイヤ周方向でのサイプ6によるエッジ効果の釣り合いをさらに良くし、雪上路面での雪上性能である制動性能(駆動性能)および旋回性能がさらに向上できる。なお、サイプ6は、ブロック4aのタイヤ幅方向の一側のみに設けられていてもよい。また、サイプ6は、タイヤ周方向に少なくとも1つ設けられていればよい。
なお、上述したブロック4aは、図1に示すように、周方向主溝3の間でタイヤ幅方向最外側の両側の各リブ4に形成されていることが好ましいが、タイヤ幅方向最外側の少なくとも一側のリブ4に形成されていてもよい。
また、本実施の形態にかかる空気入りタイヤ1は、トレッド部2のタイヤ幅方向中央部分であるセンター域2aのリブ4には、タイヤ周方向に斜めに交差して形成された傾斜ラグ溝7によりタイヤ周方向で分けられたブロック4bが形成されている。また、ブロック4bの踏面21には、傾斜ラグ溝7と平行に形成された細溝状の傾斜サイプ8が設けられている。傾斜サイプ8は、タイヤ周方向に少なくとも1つ設けられていればよい。なお、ブロック4bには、タイヤ赤道線に沿ってセンター溝9が設けられている。
かかる構成によれば、トレッド部2のセンター域2aに設けられたブロック4bが、タイヤ周方向に対して斜めに交差する傾斜ラグ溝7により、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向への倒れ込みを抑えられる。このため、乾燥路面での操縦安定性能を向上できる。また、傾斜ラグ溝7と平行に設けられた傾斜サイプ8により、雪上路面での雪上性能である制動性能(駆動性能)および旋回性能を向上できる。
また、本実施の形態にかかる空気入りタイヤ1は、タイヤ幅方向最外側の周方向主溝3のさらにタイヤ幅方向外側であるトレッド部2のショルダー域2bに、該周方向主溝3よりも溝幅が狭く、かつタイヤ周方向に延在して設けられた周方向副溝10を有している。そして、周方向副溝10のタイヤ幅方向外側には、周方向副溝10に貫通してタイヤ周方向に対して交差し、かつ前記ラグ溝5よりもタイヤ周方向での数が多く設けられた外側ラグ溝11を有している。
外側ラグ溝11は、一端が周方向副溝10に貫通し、かつ他端がトレッド部2のタイヤ幅方向側端に貫通して設けられたオープン外側ラグ溝11aが、前記ラグ溝5とタイヤ周方向での数が同じくされている。そして、オープン外側ラグ溝11aの間に、一端が周方向副溝10に貫通し、かつ他端がトレッド部2のタイヤ幅方向側端に貫通せず短く形成されたクローズ外側ラグ溝11bが設けられている。
かかる構成によれば、トレッド部2のショルダー域2bにおいて、周方向副溝10のタイヤ幅方向外側に、ラグ溝5よりもタイヤ周方向での数が多く設けられた外側ラグ溝11を設けたことにより、雪柱せん断力(雪を踏み固めて外側ラグ溝11内に作られる雪柱のせん断抵抗)が増加し、雪上路面での雪上性能である制動性能(駆動性能)および旋回性能が向上できる。
なお、周方向副溝10および外側ラグ溝11は、図1に示すように、タイヤ幅方向両側に設けられていることが雪上性能を向上するうえで好ましいが、タイヤ幅方向の一側のみに設けられていてもよい。また、周方向副溝10は、図1に示すように、タイヤ幅方向の一側において1つ設けられている構成に限らず、複数設けられていてもよい。
また、本実施の形態にかかる空気入りタイヤ1は、周方向主溝3と周方向副溝10との間に幅方向外側リブ12が設けられている。そして、この幅方向外側リブ12には、タイヤ周方向に斜めに交差して形成された傾斜ラグ溝13によりタイヤ周方向で分けられた幅方向外側ブロック12aが形成されている。また、幅方向外側ブロック12aの踏面21には、傾斜ラグ溝13と平行に形成された細溝状の傾斜サイプ14が設けられている。傾斜サイプ14は、タイヤ周方向に少なくとも1つ設けられていればよい。
かかる構成によれば、幅方向外側ブロック12aが、タイヤ周方向に対して斜めに交差する傾斜ラグ溝13により、タイヤ周方向およびタイヤ幅方向への倒れ込みを抑えられる。このため、乾燥路面での操縦安定性能を向上できる。また、傾斜ラグ溝13と平行に設けられた傾斜サイプ14により、雪上路面での雪上性能である制動性能(駆動性能)および旋回性能が向上できる。
ところで、本実施の形態にかかる空気入りタイヤ1において、周方向主溝3は、トレッド部2の踏面21において最も溝幅が広く形成され、その溝底に摩耗限界を示すウェアインジケータ(図示せず)が設けられるものである。また、ラグ溝5は、周方向主溝3よりも溝幅が狭く形成されており、傾斜ラグ溝7、周方向副溝10、外側ラグ溝11および傾斜ラグ溝13は、ラグ溝5と同等の溝幅を有している。また、サイプ6、傾斜サイプ8および傾斜サイプ14は、ラグ溝5よりもさらに溝幅が狭く、本実施の形態では0.4[mm]以上2.0[mm]以下に形成されている。また、ラグ溝5、サイプ6、傾斜ラグ溝7、傾斜サイプ8、周方向副溝10、外側ラグ溝11、傾斜ラグ溝13および傾斜サイプ14は、ウェアインジケータが設けられるものではない。
また、本実施の形態にかかる空気入りタイヤ1は、図2に示すように、上述した全てのラグ溝(ラグ溝5、傾斜ラグ溝7、外側ラグ溝11および傾斜ラグ溝13)にかかり、溝底サイプ15を備えている。溝底サイプ15は、ラグ溝5,7,11,13の延在方向に沿って細溝状に形成されている。なお、図2では、トレッド部2のセンター域2aに設けられた傾斜ラグ溝7に溝底サイプ15を設けた形態を示している。
かかる構成によれば、トレッド部2の踏面21が路面から離れる際に、溝底サイプ15によりラグ溝7(5,11,13)の溝底B1が開くので、ラグ溝7(5,11,13)に詰まる雪を排出し易くなる。このため、ラグ溝7(5,11,13)の排雪効果が高まり、凍結路や雪上路で路面を引っ掻くグリップ力を維持することができ、雪上性能が向上できる。
なお、上述した溝底サイプ15は、雪上性能を向上するうえで上述した全てのラグ溝5,7,11,13に設けられていることが好ましいが、乾燥路面での操縦安定性能を考慮し、ラグ溝5,7,11,13を選択して設けてもよい。
また、本実施の形態にかかる空気入りタイヤ1では、図3に示すように、溝底サイプ15が設けられたラグ溝7(5,11,13)は、溝底サイプ15の溝底に対し、少なくとも一部の溝底が接近または離隔する態様で溝深さが漸次変化して設けられている。具体的に、ラグ溝7(5,11,13)は、リブ4(ブロック4b)におけるタイヤ幅方向中央が最小溝深さ(最も溝深さが浅い)で、このタイヤ幅方向中央から両側(例えば周方向主溝3)に向かって滑らかに溝深さが深く変化するように、溝底B1が傾斜して設けられている。一方、溝底サイプ15は、その溝底B2が一定の深さで形成されている。このため、ラグ溝7(5,11,13)は、の溝底B1の傾斜に伴って該溝底B1の深さ位置が変化し、溝底サイプ15の最大溝深さD2の位置で最小溝深さになり、溝底サイプ15の最小溝深さの位置で最大深さD1になる。なお、ラグ溝7(5,11,13)の最大溝深さD1、および溝底サイプ15の最大溝深さD2は、周方向主溝3の溝深さD0よりも浅く形成され、かつ該周方向主溝3の溝底に設けられたウェアインジケータ近くに至り形成されている。
空気入りタイヤ1を車両に装着して走行するとトレッド部2が摩耗し各溝が徐々に浅くなる。そして、トレッド部2の踏面21が、周方向主溝3の溝底に設けられたウェアインジケータと同じ深さまで摩耗した場合、空気入りタイヤ1が寿命を迎えて交換されることになる。ここで、例えば、ラグ溝7(5,11,13)の最大溝深さD1が周方向主溝3の溝深さD0よりも浅く、かつ一定の深さで形成されている場合では、トレッド部2の踏面21がウェアインジケータと同じ深さまで摩耗する以前にラグ溝7(5,11,13)が無くなってしまう。このため、乾燥路面での操縦安定性能、および雪上路面での雪上性能が低下してしまう。また、ラグ溝7(5,11,13)が無くなることにより、未だ使用できるにも拘わらず、早期に寿命を迎えたかのように見えてしまうことになる。
この点、かかる構成によれば、トレッド部2の摩耗に伴い、周方向主溝3と共にラグ溝7(5,11,13)が浅くなるが、ラグ溝7(5,11,13)は、溝深さが漸次変化して設けられているため、徐々に浅くなる。図4では、図3に示す構成において、周方向主溝3が新品時から約半分まで浅くなった状態を示す。この図4に示すように、ラグ溝7(5,11,13)は、溝深さが漸次変化していることで、リブ4(ブロック4b)においてタイヤ幅方向中央から両側に向けて徐々に減っていく。このため、乾燥路面での操縦安定性能、および雪上路面での雪上性能を、空気入りタイヤ1が寿命を迎えるまで維持できると共に、早期に寿命を迎えたかのように見える事態を防げる。
また、図5に示すように、ラグ溝7(5,11,13)は、リブ4(ブロック4b)におけるタイヤ幅方向一側が最小溝深さ(最も溝深さが浅い)で、このタイヤ幅方向一側から他側に向かって滑らかに溝深さが深く変化するように、溝底B1が傾斜して設けられている。一方、溝底サイプ15は、その溝底B2が一定の深さで形成されている。また、このラグ溝7(5,11,13)のタイヤ周方向に隣接するラグ溝7(5,11,13)は、リブ4(ブロック4b)におけるタイヤ幅方向他側が最小溝深さ(最も溝深さが浅い)で、このタイヤ幅方向他側から一側に向かって滑らかに溝深さが深く変化するように、溝底B1が傾斜して設けられている。このようにラグ溝7(5,11,13)は、溝底B1の傾斜がタイヤ周方向で互い違いに構成されている。
かかる構成によれば、トレッド部2の摩耗に伴い、周方向主溝3と共にラグ溝7(5,11,13)が浅くなるが、ラグ溝7(5,11,13)は、リブ4(ブロック4b)においてタイヤ幅方向一側(もしくはタイヤ幅方向他方)から他側(もしくは一側)に向けて徐々に減っていく。このため、乾燥路面での操縦安定性能、および雪上路面での雪上性能を、空気入りタイヤ1が寿命を迎えるまで維持できると共に、早期に寿命を迎えたかのように見える事態を防げる。
また、図6に示すように、ラグ溝7(5,11,13)は、リブ4(ブロック4b)におけるタイヤ幅方向両側が最小溝深さ(最も溝深さが浅い)で、このタイヤ幅方向両側から中央に向かって滑らかに溝深さが深く変化するように、溝底B1が傾斜して設けられている。一方、溝底サイプ15は、その溝底B2が一定の深さで形成されている。
かかる構成によれば、トレッド部2の摩耗に伴い、周方向主溝3と共にラグ溝7(5,11,13)が浅くなるが、ラグ溝7(5,11,13)は、リブ4(ブロック4b)においてタイヤ幅方向両側から中央に向けて徐々に減っていく。このため、乾燥路面での操縦安定性能、および雪上路面での雪上性能を、空気入りタイヤ1が寿命を迎えるまで維持できると共に、早期に寿命を迎えたかのように見える事態が防げる。
また、図2、図3、図5および図6に示した空気入りタイヤ1では、ラグ溝7(5,11,13)の溝幅W1に対し、溝底サイプ15の溝幅W2が、0.15≦W2/W1≦0.50の範囲に設定されている。かかる構成によれば、ラグ溝7(5,11,13)の排雪性能をより向上できる。なお、ラグ溝7(5,11,13)の溝幅W1に対し、溝底サイプ15の溝幅W2を、0.25≦W2/W1≦0.35の範囲に設定すれば、ラグ溝7(5,11,13)の排雪の向上効果がより良好に得られる。なお、溝底サイプ15の溝幅W2は、0.4[mm]≦溝幅W2≦2.0[mm]の範囲に設定されていることが好ましい。
また、図3、図5および図6に示した空気入りタイヤ1では、ラグ溝7(5,11,13)の最大溝深さD1に対し、溝底サイプ15の最大溝深さD2が、0.20≦D2/D1≦0.90の範囲に設定されている。かかる構成によれば、溝底サイプ15によるラグ溝7(5,11,13)の排雪性能をより向上できる。なお、ラグ溝7(5,11,13)の最大溝深さD1に対し、溝底サイプ15の最大溝深さD2を、0.35≦D2/D1≦0.70の範囲に設定すれば、ラグ溝7(5,11,13)の排雪の向上効果がより良好に得られる。
なお、本実施の形態にかかる空気入りタイヤ1は、上述したトレッド部2のパターンが図1に示すように平面視で点対称に配置されている。よって、この空気入りタイヤ1は、車両に装着する場合、タイヤ周方向のいずれの方向を進行方向とすることができる。
本実施の形態では、条件が異なる複数種類の空気入りタイヤについて、雪上路面での雪上性能(制動性能および旋回性能)、乾燥路面での操縦安定性能、雪上路面での排雪性能(新品時、トレッド部40%摩耗時およびトレッド部70%摩耗時)に関する性能試験が行われた(図7参照)。
雪上路面での雪上性能(制動性能および旋回性能)、乾燥路面での操縦安定性能における性能試験では、タイヤサイズ215/60R16の空気入りタイヤが用いられる。そして、この空気入りタイヤを、JATMA規定の正規リムに組み付け、JATMA規定の最高空気圧を付与して、日本国産の排気量2000ccのセダンタイプの車両に装着した。評価方法は、雪上性能(制動性能)では、雪上路面で時速40[km/h]からの制動距離が測定される。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。また、雪上性能(旋回性能)では、雪上路面で半径30[m]円の旋回時の周回時間が測定される。そして、この測定結果に基づいて従来例を基準(100)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。また、操縦安定性能では、乾燥路面であるハンドリングコースでのフィーリングが評価され、従来例を基準(3)とした指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
排雪性能における性能試験では、タイヤサイズ215/50R17 91Wの空気入りタイヤが用いられる。そして、この空気入りタイヤを、リムサイズ17×7JJのリムに組み付け、JATMA規定の最高空気圧を付与して、日本国産の排気量2000ccのセダンタイプの車両に装着した。評価方法は、雪上路面であるハンドリングコースでのフィーリングが評価され、新品時を基準(100)として40%摩耗時および70%摩耗時での指数評価が行われる。この評価は、数値が大きいほど好ましい。
従来例の空気入りタイヤは、ラグ溝が屈曲しておらず(屈曲点無し)、サイプ端部の位置が規定なく連続している(サイプ連続)。比較例の空気入りタイヤは、ラグ溝が屈曲して屈曲点を有し、かつサイプ端部がブロック内に位置しているものの、タイヤ幅方向の中央50%範囲外にある。さらに、比較例の空気入りタイヤは、ラグ溝の各角度θが85度である。実施例1〜実施例5の空気入りタイヤは、ラグ溝の屈曲点およびサイプ端部の位置、ラグ溝の角度θ、外側ラグ溝の数、底溝サイプ、底溝サイプを設けたラグ溝傾斜変化、W1/W2、およびD1/D2が適正化されているタイヤである。
図7の試験結果に示すように、実施例1〜5の空気入りタイヤでは、それぞれ雪上路面での雪上性能(制動性能および旋回性能)、乾燥路面での操縦安定性能、トレッド摩擦時における雪上路面での排雪性能が向上していることが分かる。
以上のように、本発明にかかる空気入りタイヤは、乾燥路面での操縦安定性能と、雪上路面での雪上性能とを両立することに適している。
本発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤのトレッド部の一部を示す平面図である。 溝底サイプを示す断面図である。 溝底サイプの他の実施の形態を示す断面図である。 図3の溝底サイプを示す平面図である。 溝底サイプのさらに他の実施の形態を示す断面図である。 溝底サイプのさらに他の実施の形態を示す断面図である。 本発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す図表である。
符号の説明
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
21 踏面
2a センター域
2b ショルダー域
3 周方向主溝
4 リブ
4a,4b ブロック
5 ラグ溝
5a 屈曲点
6 サイプ
6a 一端
6b 他端
7 傾斜ラグ溝
8 傾斜サイプ
9 センター溝
10 周方向副溝
11 外側ラグ溝
11a オープン外側ラグ溝
11b クローズ外側ラグ溝
12 幅方向外側リブ
12a 幅方向外側ブロック
13 傾斜ラグ溝
14 傾斜サイプ
15 溝底サイプ
B1 ラグ溝の溝底
B2 溝底サイプの溝底
W1 ラグ溝の溝幅
W2 溝底サイプの溝幅
θ 角度

Claims (10)

  1. トレッド部の踏面に、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝と、タイヤ周方向に交差する複数のラグ溝とによりタイヤ周方向に並設された複数のブロックを有し、かつ前記ブロックの踏面に、タイヤ周方向に交差して設けられた細溝状のサイプを有した空気入りタイヤにおいて、
    前記周方向主溝の間で少なくともタイヤ幅方向最外側に設けられた前記ブロックにて、前記ラグ溝は、前記ブロックのタイヤ幅方向幅の中央50%の範囲内に少なくとも1つの屈曲点を有して屈曲して設けられ、かつ前記屈曲点を境にしたタイヤ幅方向両側でのタイヤ周方向に対する各角度θが30[度]≦θ≦80[度]の範囲に設定されており、前記サイプは、一端が前記周方向主溝に貫通すると共に、他端が前記ブロックのタイヤ幅方向幅の中央50%の範囲内に位置して設けられていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記ラグ溝の前記各角度θが40[度]≦θ≦70[度]の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記サイプは、前記ブロックのタイヤ幅方向両側に設けられ、かつ前記ラグ溝のタイヤ幅方向両側の部位と平行に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記トレッド部のタイヤ幅方向中央部には、前記周方向主溝と、タイヤ周方向に斜めに交差した複数の傾斜ラグ溝とによりタイヤ周方向で分けられた中央ブロックが設けられ、
    前記中央ブロックの踏面に、前記傾斜ラグ溝と平行に設けられた細溝状の傾斜サイプを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  5. タイヤ幅方向最外側の前記周方向主溝のさらにタイヤ幅方向外側には、前記周方向主溝よりも溝幅が狭く、かつタイヤ周方向に延在して設けられた少なくとも1つの周方向副溝と、前記周方向副溝のタイヤ幅方向外側にて、該周方向副溝に貫通し、かつ前記ラグ溝よりもタイヤ周方向での数が多く設けられた外側ラグ溝とをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記周方向副溝と前記周方向主溝との間には、タイヤ周方向に斜めに交差した複数の傾斜ラグ溝によりタイヤ周方向で分けられた幅方向外側ブロックが設けられ、
    前記幅方向外側ブロックの踏面に、前記傾斜ラグ溝と平行に設けられた細溝状の傾斜サイプを有していることを特徴とする請求項5に記載の空気入りタイヤ。
  7. すべての前記ラグ溝のうちの少なくとも1つのラグ溝の溝底にて、該ラグ溝の延在方向に沿って設けられた細溝状の溝底サイプをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記溝底サイプが設けられた前記ラグ溝は、前記溝底サイプの溝底に対して少なくとも一部の溝底が接近または離隔する態様で溝深さが漸次変化して設けられていることを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記ラグ溝の溝幅W1に対し、前記溝底サイプの溝幅W2が、0.15≦W2/W1≦0.50の範囲に設定されていることを特徴とする請求項7または8に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記ラグ溝の最大溝深さD1に対し、前記溝底サイプの最大溝深さD2が、0.20≦D2/D1≦0.90の範囲に設定されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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