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JP5110107B2 - 温度センサ及び温度センサの製造方法 - Google Patents
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JP5110107B2 - 温度センサ及び温度センサの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、温度センサ及び温度センサの製造方法に関するものである。
従来、温度によって物理量を検出するセンサの一例として特許文献1に示される温度センサ構造体がある。
特許文献1に示される温度センサ構造体は、基体と、基体によって担持され且つ温度に依存している抵抗を有するサーミスタ層と、そのサーミスタ層の第一の面にある第一の電気接触層及びサーミスタ層の第二の面にある第二の電気接触層とを有するものである。また、サーミスタ層は、交互に設けられた井戸層と障壁層(GaAs/AlGaAs)からなる量子井戸構造体を含むものである。
特許3573754号公報
ところで、量子井戸構造体を用いた温度センサの感度を向上させるには、量子井戸構造体の抵抗温度係数(TCR:Temperature Coefficient of Resistance)の値を大きくさせることが必要である。
この量子井戸構造体のTCRは次式で表される。
TCR=−1/k×(3kT/2+V−E
:ボルツマン定数、T[K]:絶対温度、V(=E−E):障壁エネルギー、E:障壁層の価電子帯の頂上(または伝導帯の底)のエネルギー、E:井戸層の価電子帯の頂上(または伝導帯の底)のエネルギー、E:フェルミエネルギー
ここで井戸層がp型にドープされているときは、E、Eはそれぞれ価電子帯の頂上を意味し、井戸層がn型にドープされているときは、E、Eはそれぞれ伝導帯の底を意味する。
この式に示されるように、|TCR|の値を大きくするためには、障壁高さ(V)を大きくするか、フェルミエネルギー(E)を小さくするしかない。
ところで、量子井戸構造体を用いた温度センサは、CMOSプロセスで製造すれば、容易に回路を一体形成できノイズを抑制できる、既存の半導体工場で製造できるため製造コストを安価にできる等の利点があり、有利である。そこで、量子井戸構造体を構成する材料(障壁層、井戸層の材料)の一例として、SiGe/Siを採用した場合について説明する。ただし、他の材料系に対しても同じ議論は適用できる。
このようにSiGe/Siの材料系では、一般的にp型にドープされたSiGeとノンドープのSiで量子井戸を構成する。これは、この系では価電子帯の障壁高さの方が伝導体の障壁高さよりも大きいからである。なお、図13に示すように、価電子帯の障壁高さVは、SiGe中のGe組成比をxとするとV=0.84x[eV]と書き表せる。従って、SiGe中のGe組成比が高ければ高いほど、障壁高さが高く、|TCR|も高いことになって有利である。
しかし、Si上のSiGeのエピタキシャル成長においては、臨界膜厚が存在するため、Ge組成比を自由に高めることができるわけではない。これは、臨界膜厚以上になると、SiGe中の歪を緩和するため、結晶欠陥が生じるためである。
図14に示すように、SiGeの臨界膜厚に関しては、二通りの理論が知られている。本実施の形態に示すQW構造部50を備える温度センサ100(量子井戸型の赤外線検知器)に適したSiGe膜厚は100Å程度である。従って、結晶欠陥を生じることなく成長できるGeの組成は、0.24(Matthewsらの理論)または0.56(Peopleらの理論)となり、いずれにしても、Ge組成比の高い膜は形成できない。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、量子井戸構造体を含む温度センサにおいて、結晶欠陥の発生を抑制しつつ、感度を向上させることを目的とする。また、このような温度センサの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の温度センサは、
複数の元素から構成された半導体基板と、
半導体基板上に形成されるものであり、半導体基板と同じ元素から構成された複数の半導体層からなる、温度の変化によって抵抗値が変化する量子井戸構造部と、を備え、
量子井戸構造部を構成する複数の半導体層は、複数の量子障壁層と、この複数の量子障壁層に挟まれた量子井戸層とを構成するものであり、
半導体基板、量子障壁層、量子井戸層は、SiGeからなり、
半導体基板、量子障壁層、量子井戸層は、半導体基板の格子定数をa、量子障壁層の格子定数をb、量子井戸層の格子定数をcとした場合、b<a<cを満たし、且つ、量子障壁層におけるGeの組成比が半導体基板におけるGeの組成比より小さく、量子井戸層におけるGeの組成比が半導体基板におけるGeの組成比より大きく、
量子井戸層は、40Å以上で臨界膜厚以下の膜厚であることを特徴とするものである。
このようにすることによって、半導体基板に対して、エピタキシャル成長によって形成された量子障壁層及び量子井戸層を含む構成では、結晶欠陥を抑制しつつ、量子障壁層と量子井戸層における格子不整を上下(+側と−側)に生じさせることができる。このように、格子不整を上下(+側と−側)に生じさせることができることによって、従来のように格子不整が一方のみに生じる場合に比べて、格子不整の絶対値を大きくすることなく、量子障壁層と量子井戸層とのエネルギー差(障壁高さ)を高くすることができる。よって、結晶欠陥の発生を抑制しつつ、|TCR|の値を大きくすることができ、感度を向上させることができる。
なお、このように、半導体基板、量子障壁層、量子井戸層として、SiGeを採用した場合は、量子障壁層の格子定数が半導体基板の格子定数より小さく、かつ、量子井戸層の格子定数が半導体基板の格子定数より大きくする。
SiGeは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)と互換性がある材料である。従って、このようにすることによって、容易に回路を一体形成できノイズを抑制でき、さらに、既存の半導体工場で製造できるため製造コストを安価にすることができる。
また、半導体基板、量子障壁層、量子井戸層は、量子障壁層におけるGeの組成比が半導体基板におけるGeの組成比より小さく、量子井戸層におけるGeの組成比が半導体基板におけるGeの組成比より大きくなるようにする
このようにすることによって、Geの組成比を半導体基板よりも高くすることと、低くすることの両方が可能となる。よって、従来のように半導体基板よりも高くすることか、低くするかの一方しかできない場合に比べて、量子障壁層と量子井戸層とのエネルギー差(障壁高さ)を高くすることができる。
また、量子井戸層は、膜厚が40Å以上で臨界膜厚以下の膜厚とすることによって、結晶欠陥が発生しないので、温度センサのノイズを小さくすることができる。結果として比検出能を大きくすることができる。また、|TCR|の値を大きくすることができるので好ましい。
また、請求項に示すように、量子井戸構造部は、メンブレン上に形成されるようにしてもよい。
このようにすることによって、熱コンダクタンスを小さくすることができるため、感度を向上させることができる。つまり、量子井戸構造部からの熱の逃げを小さくできるので、比検出能を大きくすることができる。
上記目的を達成するために請求項に記載の温度センサの製造方法は、
複数の元素から構成された半導体基板と、
半導体基板上に形成されるものであり、半導体基板と同じ元素から構成された複数の半導体層からなる、温度の変化によって抵抗値が変化する量子井戸構造部と、を備え、
量子井戸構造部を構成する複数の半導体層は、複数の量子障壁層と、この複数の量子障壁層に挟まれた量子井戸層とを構成し、
半導体基板、量子障壁層、量子井戸層がSiGeからなる温度センサの製造方法であって、
半導体基板の格子定数をa、量子障壁層の格子定数をb、量子井戸層の格子定数をcとした場合、b<a<cを満たし、且つ、半導体基板におけるGeの組成比に対して、Geの組成比が小さい半導体層を量子障壁層とし、Geの組成比が大きい半導体層を量子井戸層として半導体基板上にエピタキシャル成長することによって、量子井戸構造部を形成する量子井戸構造部形成工程を備え
量子井戸構造部形成工程では、量子井戸層の膜厚を40Å以上で臨界膜厚以下にすることを特徴とするものである。
このようにすることによって、量子障壁層と量子井戸層とのエネルギー差(障壁高さ)が大きい温度センサを製造することができる。つまり、より高感度な温度センサを製造することができる。
また、請求項に示すように、半導体基板上における量子井戸構造部の形成位置に対応する開口部を有するマスクを半導体基板上に形成するマスク形成工程を備え、量子井戸構造部形成工程では、この開口部から半導体基板上に量子障壁層、量子井戸層を選択的にエピタキシャル成長するようにしてもよい。
このようにすることによって、量子障壁層、量子井戸層をエッチングしてパターニングする必要がなくなる。量子障壁層、量子井戸層をエッチングすることがなくなれば、オーバーエッチによって基板厚さが減少したり、基板が全てエッチング除去されてしまうのを防ぐことができる。通常、基板としてはSGOI基板の活性層のように厚さの薄いものを用いることが多い。この活性層を用いて、量子井戸構造部の下部電極の電位を半導体基板における量子井戸構造部の別の位置から電極を取り出す構造となっている。従って、この活性層がオーバーエッチにより、厚さが減少したり完全にエッチング除去されたりすれば、抵抗値が増加したり、無限大になったりして、下部電極の電位が正しく測定できなくなる。従って、請求項10の方法により上記した問題を防ぐことができる。
また、請求項に示すように、半導体基板は、支持基板上に絶縁膜を介して形成されるものであり、支持基板における量子井戸構造部の下部に位置する部位を、絶縁膜をエッチストップ層としてエッチングしてメンブレンを形成するメンブレン形成工程を備えるようにしてもよい。
このようにすることによって、熱コンダクタンスを小さくすることができるため、感度が向上した温度センサを製造することができる。つまり、量子井戸構造部からの熱の逃げを小さくできるため、比検出能が大きい温度センサを製造することができる。
本発明の実施の形態における温度センサ100の概略構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態における温度センサ100のQW構造部50の概略構成を示す断面図である。 障壁層50a、50cと井戸層50bにおけるGe組成の差に対するTCRの向上の様子を示すグラフである。 第1量子順位(eV)と井戸層50bの膜厚(Å)との関係を示すグラフである。 |TCR|(%/℃)と井戸層50bの膜厚(Å)との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態における温度センサ100の製造工程を示すものであり、SGOI基板の準備工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態における温度センサ100の製造工程を示すものであり、酸化膜40のパターニング工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態における温度センサ100の製造工程を示すものであり、QW構造部50の製造工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態における温度センサ100の製造工程を示すものであり、QW構造部50の拡大断面図である。 本発明の実施の形態における温度センサ100の製造工程を示すものであり、SiGe層32層形成工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態における温度センサ100の製造工程を示すものであり、酸化膜60の形成工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態における温度センサ100の製造工程を示すものであり、電極形成工程を示す断面図である。 SiGeにおけるGe組成比とエネルギーとの関係を示すグラフである。 SiGeにおけるGe組成比、膜厚、格子不整の関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
本実施の形態における温度センサ100は、QW構造部50の温度の変化による電流変化を検出するものであり、特に赤外線センサに適用して好適なものである。換言すると、温度の変化によって抵抗値が変化する検出部であるQW構造部(Quantum well構造部、本発明の量子井戸構造部に相当)50を備えた温度センサである。また、温度センサ100は、量子井戸型の赤外線検知器とも換言することができる。なお、本実施の形態における温度センサ100は、|TCR|が大きいため、赤外線の検出に適用することによって、非常に高感度に赤外線を検出することができるので好ましい。
図1に示されるように、本実施の形態における温度センサ100は、本発明の支持基板に相当する、基板(例えば、シリコン基板であり、以下、Si基板とも称する)10をベースに形成されている。このSi基板10には、開口部11が形成されており、この開口部11が形成された部位においてメンブレンが構成される。
開口部11は、Si基板10の表面と裏面を貫通するように形成されている。具体的には、開口部11は、Si基板10の裏面側から表面に向かって開口面積が狭くなるように構成されている。
また、Si基板10の表面上には、絶縁膜(例えば、SiOなどの酸化膜、以下、酸化膜とも称する)20が形成されている。なお、上述のメンブレンは、酸化膜20における開口部11上の部分である。また、酸化膜20の表面には、本発明における半導体基板に相当するものであり、SiGe層31がパターニングされて形成されている。なお、SiGe層31は、複数の元素から構成された半導体層であればよく、本実施の形態では、一例として、単結晶のSiGe(Ge=50%,p、Bドープ、濃度1E20cm−3)を採用している。なお、本明細書中では、本発明における半導体基板とは、通常のSi基板、Ge基板等以外に、SOI(Silicon On Insulator)基板、GOI(Germanium On Insulator)基板、SGOI(Silicon Germanium On Insulator)基板等の活性層も含めて、半導体基板と呼ぶ。
このように構成されたSi基板10と酸化膜20およびSiGe層31は、Si基板10を支持基板、酸化膜20を埋め込み層、SiGe層31をSGOI(SiGe on insulator)層(活性層)とするSGOI基板を用いて形成されたものである。なお、このSiGe層31は、SOI(silicon germanium on insulator)基板におけるSi層に相当するものである。
さらに、SiGe層31は、酸化膜(例えば、SiO)40によって覆われ、この酸化膜40の所定部位に形成された開口部(コンタクト用の開口部であり、開口部62と連通する。図10参照)を通じて、例えば、アルミニウムなどで構成された電極72に電気的に接続されている。また、SiGe層31は、酸化膜40の所定部位に形成された開口部41(検出部用の開口部であり、図6参照)が形成されることによって露出した表面にQW構造部50が形成されている。なお、QW構造部50の表面(SiGe層31と接する面の反対面)には、上述のSiGe層31と同様のSiGe層32(ここでは、SiGe(Ge=50%,p、Bドープ))が形成されている。そして、SiGe層32は、例えば、アルミニウムなどで構成された電極71に電気的に接続されている。なお、このSiGe層31及びQW構造部50に関しては、後ほど詳しく説明する。
また、酸化膜20、SiGe層32、酸化膜40、QW構造部50を覆うように酸化膜(例えば、SiO)60が形成され、QW構造部50が保護されている。この酸化膜60は、SiGe層31、QW構造部50、SiGe層32を積層した厚みよりも厚く形成されており、酸化膜40に形成された開口部やSiGe層32に対応する部位に、電極71、72が配置される開口部61、62が形成されている(図10参照)。なお、電極71、72は、SiGe層31,32から酸化膜40の開口部(電極72の場合)、酸化膜60の開口部61,62、及び酸化膜60の表面(酸化膜20と接する面の反対面)に形成される。
この酸化膜60に形成された電極71、72の表面には、窒化膜(SiN)81が形成されている。この窒化膜81は、電極71、72におけるパッド部を構成するための開口部81a、81bが形成されている。温度センサ100は、この開口部81a、81bを通じてパッド部に対してワイヤボンディングなどがなされることで、外部に備えられる処理回路(図示省略)に電気的に接続されるようになっている。また、窒化膜81におけるQW構造部50に対応する位置には、カーボンペーストなどからなる赤外線吸収膜90が形成されている。
そして、Si基板10における裏面側には、窒化膜(PE−SiN)82が形成されている。この窒化膜82には開口部82aが形成されており、この開口部82aに連通してSi基板10の開口部11が形成されている。
このような構成の温度センサ100においては、上部から入射した赤外線を赤外線吸収膜90で吸収する。この赤外線の吸収によって、メンブレンの温度が上昇する。2つの電極71、72に直流電圧を与え、QW構造部50を流れる電流変化で上昇した温度を検出する。なお、このように量子井戸構造体を用いた温度センサ100の感度を向上させるには、量子井戸構造体の抵抗温度係数(TCR:Temperature Coefficient of Resistance)の値を大きくさせることが必要である。この量子井戸構造体のTCRは次式で表される。
TCR=−1/k×(3kT/2+V−E
:ボルツマン定数、T[K]:絶対温度、V(=E−E):障壁エネルギー、E:障壁層の価電子帯の頂上(または伝導帯の底)のエネルギー、E:井戸層の価電子帯の頂上(または伝導帯の底)のエネルギー、E:フェルミエネルギー
ここで井戸層がp型にドープされているときは、E、Eはそれぞれ価電子帯の頂上を意味し、井戸層がn型にドープされているときは、E、Eはそれぞれ伝導帯の底を意味する。
この式に示されるように、|TCR|の値を大きくするためには、障壁高さ(V)を大きくするか、フェルミエネルギー(E)を小さくするしかない。
ここで、図6から図12を用いて、この温度センサ100の製造方法に関して説明する。
まず、図6に示すように、Si基板(支持基板)10、酸化膜(絶縁膜)20(例えば、膜厚1μm)、SiGe層(活性層)31からなるSGOI基板を準備する。なお、ここでは、SiGe層31は、上述のように、単結晶のSiGeであり、Ge=50%、p型、濃度1E20cm−3、Bドープを一例として採用する。
次に、図7に示すように、QW構造部50に対応するSiGe層31に達する開口部41を有する酸化膜(マスク)40を形成する(マスク形成工程)。換言すると、SiGe層31の表面に形成されるものであり、QW構造部50を形成する位置に、SiGe層31まで達する開口部41を有する酸化膜(マスク)40を形成する。具体的には、少なくとも検出部50及び電極72が電気的に接続される部位を残してSiGe層31をパターニングする。その後、PE−CVD、LP−CVDなどによって、SiGe層31の表面に酸化膜40(例えばSiOなど)を形成する。そして、その酸化膜40をパターニングして、QW構造部50を形成する領域に開口部41を形成する。
次に、図8に示すように、開口部41に対して、QW構造部50を構成する各層を選択的に成膜(選択エピ成長)する(量子井戸構造部形成工程)。つまり、開口部41によって露出したSiGe層31の表面に、QW構造部50を構成する各層を選択的にエピタキシャル成長することによって成膜する。具体的には、図9に示すように、開口部41にて露出したSiGe層31上に、QW構造部50を構成する障壁層50a(本発明の量子障壁層に相当する)、井戸層50b(本発明の量子井戸層に相当する)、障壁層50c(本発明の量子障壁層に相当する)を、SiGe層31側からこの順番で成長させる。つまり、障壁層50aを構成する、例えば単結晶のSiGe(Ge=20%,ノンドープ)、井戸層50bを構成する、例えば単結晶のSiGe(Ge=80%,p、Bドープ)、障壁層50cを構成する、例えば単結晶のSiGe(Ge=20%,ノンドープ)を、この順番で成長させる。このようにすることによって、結晶欠陥を発生させることなく、|TCR|の値が大きく、感度を向上させることができる温度センサ100を簡易なプロセスで製造することができる。
次に、図10に示すように、QW構造部50の表面(上面、SiGe層31と対向する面の反対面)にSiGe(Ge=50%、p、Bドープ)層32を形成する。そして、図11に示すように、酸化膜60を成膜する。そして、その酸化膜60と酸化膜40をパターニングして、電極71、72を形成するための開口部61、62を形成することによってSiGe層31、SiGe層32を部分的に露出させる。
次に、図12に示すように、上述の工程で形成した開口部61、62が形成された酸化膜60上に電極71、72を構成する例えばアルミニウムを成膜する。そして、成膜した電極71、72を構成する材料をパターニングして、電極71、72を形成する。これによって、電極71、72は、開口部61、62、及び酸化膜60の表面(上面)に形成され、SiGe層31、32に電気的に接続する。その後、酸化膜60の表面(上面)に形成された電極71、72上に窒化膜(SiN)81を成膜して、この窒化膜81をパターニングして電極71、72におけるパッド部を構成するための開口部81a、81bを形成する。さらに、Si基板10の裏面を研削・研磨して、窒化膜(PE−SiN)82を成膜する。
その後、QW構造部50がメンブレン上に配置されるようにするために、Si基板10及び窒化膜82に開口部11、開口部82aを形成する。具体的には、SGOI基板の埋め込み層である酸化膜20をエッチストップ層として、Si基板10の裏面から窒化膜82及びSi基板10をウェットエッチングして開口部11,82bを形成する。つまり、このように、Si基板10の裏面から窒化膜82及びSi基板10をウェットエッチングしてメンブレンを形成する(メンブレン形成工程)。そして、窒化膜81におけるQW構造部50に対応する位置に、カーボンペーストなどからなる赤外線吸収膜90を形成する。
なお、本実施の形態の温度センサ100のような量子井戸型の赤外線検知器は、CMOSプロセスで製造すれば、容易に回路を一体形成できノイズを抑制できる、既存の半導体工場で製造できるため製造コストを安価にできる等の利点があり有利である。
ここで、本発明の特徴部分であるQW構造部50とQW構造部50のエピタキシャル成長用の基板であるSiGe層31に関して説明する。図1に示すように、本実施の形態における温度センサ100のQW構造部50は、SiGe層31の表面に設けられるものであり、Si基板10に開口部11を設けることによって形成されたメンブレン上に設けられる。つまり、本発明の温度センサ100においては、QW構造部50のエピタキシャル成長用の基板として、Si基板(Si層)ではなく、SiGe基板(SiGe層31)を用いる。よって、このSiGe層31は、QW構造部50のエピタキシャル成長用の基板と換言することもできる。なお、QW構造部50をメンブレン上に設けることによって、熱コンダクタンスを小さくすることができるため感度を向上させることができる。
QW構造部50は、複数(本実施の形態では二つ)の障壁層(本発明の量子障壁層に相当する)と、この障壁層に挟まれた井戸層(本発明の量子井戸層に相当する)とを備える。つまり、図2に示すように、障壁層50a及び障壁層50cと、この障壁層50a及び障壁層50cに挟まれた井戸層50bとを備える。換言すると、障壁層50a、50c、井戸層50bは、SGOI基板のSiGe層31の表面に垂直な方向に、障壁層50a、井戸層50b、障壁層50cの順番で積層されている。
また、障壁層50a、50cは、井戸層50bを構成する材料のバンドギャップよりもバンドギャップが大きな材料によって構成される。よって、井戸層50bは、障壁層50a、50cを構成する材料のバンドギャップよりもバンドギャップが小さな材料によって構成される。
また、換言すると、障壁層50a、50cは、SiGe層31上に形成されるものであり、このSiGe層31と同じ元素から構成された複数の半導体層からなる、温度の変化によって抵抗値が変化するQW構造部50を構成する。つまり、QW構造部50を構成する複数の半導体層は、障壁層50a、50cと、障壁層50a、50cに挟まれた井戸層50bとを構成するものである。
ここで、QW構造部50のエピタキシャル成長用の基板として、Si基板(Si層)を用いた温度センサを比較例として採用して、この比較例の温度センサと本件の温度センサ100とを比較しながら説明する。この比較例における温度センサは、具体的には、SOI基板の活性層であるSi層(p、Bドープ)上に、Si(ノンドープ)の障壁層、SiGe(Ge=30%、p、Bドープ)の井戸層、Si(ノンドープ)の障壁層がこの順番で積層されたQW構造部を備える。つまり、比較例におけるSi層(p)は、本実施の形態におけるSiGe層31、比較例におけるSi(ノンドープ)の障壁層は、本実施の形態における障壁層50a、50c、比較例におけるSiGe(Ge=30%)の井戸層は、本実施の形態における井戸層50bに対応する。また、比較例における温度センサは、QW構造部上(SOI基板の活性層であるSi層側とは反対側)には、本実施の形態におけるSiGe層32に対応するSi層(p、Bドープ)が設けられ、その他の構成は本実施の形態における温度センサ100と同様なものとする。
このようにSiGe/Siの材料系では、一般的にp型にドープされたSiGeとノンドープのSiで量子井戸を構成する。これは、この系では価電子帯の障壁高さの方が伝導体の障壁高さよりも大きいからである。なお、図13に示すように、価電子帯の障壁高さは、V=0.84x[eV]と書き表せる(x:SiGe中のGe組成比)。従って、SiGe中のGe組成比が高ければ高いほど、障壁高さが高く、TCRも高いことになって有利である。
しかし、Si上のSiGeのエピタキシャル成長においては、臨界膜厚が存在するため、Ge組成比を自由に高めることができるわけではない。これは、臨界膜厚以上になると、SiGe中の歪を緩和するため、結晶欠陥が生じるためである。
図14に示すように、SiGeの臨界膜厚に関しては、二通りの理論が知られている。本実施の形態に示すQW構造部50を備える温度センサ100(量子井戸型の赤外線検知器)に適したSiGe膜厚は100Å程度である。従って、結晶欠陥を生じることなく成長できるGeの組成は、0.24(Matthewsらの理論)または0.56(Peopleらの理論)となり、いずれにしても、最も有利なx=1は実現できないという問題があった。
そこで、本実施の形態においては、上述のようにQW構造部50のエピタキシャル成長用の基板としてSiGe層31を用いているため、障壁層50a、50cとして、SiGe層31におけるGe組成に比べて、Ge組成が小さいSiGeを採用することができ、井戸層50bとして、SiGe層31におけるGe組成に比べて、Ge組成が大きいSiGeを採用することができる。つまり、本実施の形態においては、SiGe層31としてSiGe(Ge=50%,p,Bドープ)を採用しているため、障壁層50a、50cは、SiGe(Ge=20%,ノンドープ)、井戸層50bは、SiGe(Ge=80%,p,Bドープ)などを採用することができる。また、このように、QW構造部50のエピタキシャル成長用の基板のGe組成を基準として、障壁層のGe組成と井戸層のGe組成を上下に設定するために、SiGe層31としてGe=30%〜70%のものを採用すると好ましい。
なお、このSiGe層31、井戸層50bのSiGe、障壁層50a,50cのSiGeにおけるGe組成の割合は、あくまでも一例である。本実施の形態のように、QW構造部50及びQW構造部50のエピタキシャル成長用の基板(半導体基板)の構成材料としてSi(1−x)Gex(0<x<1、x:SiGe中のGe組成比)を採用した場合は、井戸層50bのSiGeにおけるGe組成がSiGe層31のGe組成よりも大きく、障壁層50a、50cのSiGeにおけるGe組成がSiGe層31のGe組成よりも小さいという関係を満たしていれば目的は達成できるものである。よって、各Ge組成の割合は、QW構造部50及びQW構造部50のエピタキシャル成長用の基板の構成材料としてSiGeを採用した場合は、この関係を満たす範囲であれば適宜変更することができる。なお、この場合、Siは本発明のE元素に相当し、GeはE元素に相当する。
さらに、QW構造部50及びQW構造部50のエピタキシャル成長用の基板の構成材料としてSi(1−x)Gex(0<x<1、x:SiGe中のGe組成比)を採用した場合は、井戸層50bの格子定数cがSiGe層31の格子定数aよりも大きく、障壁層50a、50cの格子定数bがSiGe層31の格子定数aよりも小さいという(b<a<c)関係を満たしていれば目的は達成できるものである。つまり、QW構造部のエピタキシャル成長用の基板、井戸層、障壁層の格子定数の関係が(障壁層)<(基板)<(井戸層)を満たしていれば目的は達成できるものである。なお、ここでの格子定数は、歪みの入っていない状態での格子定数である。
また、比較例においては、障壁層は基板と同じ組成であるため格子不整は存在しない。井戸層では、(格子不整)=(aSiGe−aSi)/aSiであるため、格子不整は「1.22%」になる。なお、格子定数aSi=5.43Å、格子定数aGe=5.65Å、格子定数aSiGe=(1−x)・aSi+x・aGeである。これに対して、本実施の形態においては、本実施の形態における温度センサ100においては、(格子不整)=(aSiGe(Ge=20%)−aSiGe(Ge=50%))/aSiGe(Ge=50%)、(格子不整)=(aSiGe(Ge=80%)−aSiGe(Ge=50%))/aSiGe(Ge=80%)である。よって、障壁層50a、50cの格子不整は「−1.19%」、井戸層50bの格子不整は「1.19%」になる。このように、本実施の形態においては、比較例よりも格子不整を小さくすることができる。つまり、SiGeの臨界膜厚を向上することができる。
また、QW構造部のエピタキシャル成長用の基板を基準とした場合、比較例における温度センサにおいては一方向(+側)のみに格子不整が生じるのに対して、本実施の形態における温度センサ100においては格子不整が上下(+側と−側)に生じることになる。また、上述のように、本実施の形態における温度センサ100においては、障壁層50a、50c、と井戸層50bのGe組成比を基板(SiGe層31)よりも高くすることと、低くすることの両方が可能である。よって、障壁層の障壁高さVに関しても、障壁層50a、50cと井戸層50bのGe組成の差を大きくできるので、比較例よりも、障壁層50a、50cの障壁高さV(エネルギー)を大きくすることができる。具体的には、比較例の場合はV=0.252[eV]であるのに対して、本実施の形態における温度センサ100の場合はV=0.504[eV]とすることができた。よって、本実施の形態における温度センサ100は、比較例よりも、障壁層50a、50cの障壁高さV(エネルギー)を大きくすることができる。
従って、結晶欠陥を発生させることなく、または、結晶欠陥の発生を抑制しつつ、|TCR|を向上させることができる。なお、図3に、障壁層50a、50cと井戸層50bにおけるGe組成の差に対するTCRの向上の様子を現したグラフを示す。
また、QW構造部50の井戸層50bの膜厚は40Å以上とすると好ましい。なお、この膜厚は、SiGe層31を基準面とした場合、このSiGe層31に対する垂直方向の厚さである。換言すると、井戸層50bの積層方向の厚さである。
この点に関して以下に説明する。上述のようなQW構造部50などの量子井戸構造体のTCRはフェルミ準位が小さいほどTCRは高い。また、フェルミ順位は、第1量子順位が小さいほど小さくなる。そして、シミュレーション結果(図4の第1量子順位(eV)と井戸層50bの膜厚(Å)との関係を示すグラフ、及び図5の|TCR|(%/℃)と井戸層50bの膜厚(Å)との関係を示すグラフ)により、井戸層50bの膜厚は、40Å以上で、第1量子準位はゼロ(井戸の底)に近くなり、かつTCRは飽和することがわかった。よって、QW構造部50の井戸層50bの膜厚は40Å以上とすると好ましい。なお、図4、図5は、基板、井戸層、障壁層のGe組成がそれぞれ50%、80%、20%の場合について計算したものである。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
例えば、本実施の形態においては、QW構造部50は、障壁層50a、50cに挟まれた一層の井戸層50bからなる単層のQW構造を例として採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、障壁層と井戸層とがこの順番で複数回繰り返し積層されたMQW構造(Multi Quantum well構造)を採用するようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、QW構造部50及びQW構造部50のエピタキシャル成長用の基板の構成材料としてSiGeを採用して説明したが本発明はこれに限定されるものではない。つまり、複数の元素からなる半導体であり、複数の元素のうち2つの元素E,Eの関係がE(1−x)Ex(0<x<1、x:半導体中のE組成比)を満たすものであれば採用することができる。例えば、GaAsやAlGaAsを採用するようにしてもよい。GaAsのバンドギャップは1.42eVであり、AlGaAsのバンドギャップは、1.42eV〜2.17eVである(AlAsのバンドギャップは2.17eVで)。従って、GaAsが井戸層となり、AlGaAsが障壁層となる。また、GaAsの格子定数は5.653Åであり、AlGaAsの格子定数は、5.653Å〜5.661Åである(AlAsの格子定数は5.661Å)。
なお、この場合、QW構造部50のエピタキシャル成長用の基板、井戸層、障壁層の格子定数の関係が(井戸層)<(基板)<(障壁層)となるようにするとよい。つまり、QW構造部50のエピタキシャル成長用の基板(半導体基板)の格子定数をa、障壁層の格子定数をb、井戸層の格子定数をcとした場合、QW構造部50のエピタキシャル成長用の基板、井戸層、障壁層は、c<a<bを満たすように形成されると本発明の目的は達成できるものである。
また、本実施の形態においては、上述のようにQW構造部50のエピタキシャル成長用の基板としてSiGe層31を用いているため、障壁層50a、50cとして、SiGe層31におけるGe組成に比べて、Ge組成が小さいSiGeを採用し、井戸層50bとして、SiGe層31におけるGe組成に比べて、Ge組成が大きいSiGeを採用する例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。SiGe以外の材料系においては、QW構造部50のエピタキシャル成長用の基板におけるE元素の組成比に対して、E元素の組成比が高い半導体層を量子障壁層とし、E元素の組成比が低い半導体層を量子井戸層とすることもありうる。上述したGaAs,AlGaAsの材料系はその例である。
10 Si基板、11 開口部、20 酸化膜、31,32 SiGe層、40 酸化膜、41 開口部、50 QW構造部、50a 障壁層、50b 井戸層、50c 障壁層、60 酸化膜、61,62 開口部、71,72 電極、81 窒化膜、81a,81b 開口部、82 窒化膜、90 赤外線吸収膜、100 温度センサ

Claims (5)

  1. 複数の元素から構成された半導体基板と、
    前記半導体基板上に形成されるものであり、前記半導体基板と同じ元素から構成された複数の半導体層からなる、温度の変化によって抵抗値が変化する量子井戸構造部と、を備え、
    前記量子井戸構造部を構成する複数の前記半導体層は、複数の量子障壁層と、複数の当該量子障壁層に挟まれた量子井戸層とを構成するものであり、
    前記半導体基板、前記量子障壁層、前記量子井戸層は、SiGeからなり、
    前記半導体基板、前記量子障壁層、前記量子井戸層は、前記半導体基板の格子定数をa、前記量子障壁層の格子定数をb、前記量子井戸層の格子定数をcとした場合、b<a<cを満たし、且つ、前記量子障壁層におけるGeの組成比が前記半導体基板におけるGeの組成比より小さく、前記量子井戸層におけるGeの組成比が前記半導体基板におけるGeの組成比より大きく、
    前記量子井戸層は、40Å以上で臨界膜厚以下の膜厚であることを特徴とする温度センサ。
  2. 前記量子井戸構造部は、メンブレン上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の温度センサ。
  3. 複数の元素から構成された半導体基板と、
    前記半導体基板上に形成されるものであり、前記半導体基板と同じ元素から構成された複数の半導体層からなる、温度の変化によって抵抗値が変化する量子井戸構造部と、を備え、
    前記量子井戸構造部を構成する複数の前記半導体層は、複数の量子障壁層と、複数の当該量子障壁層に挟まれた量子井戸層とを構成し、
    前記半導体基板、前記量子障壁層、前記量子井戸層がSiGeからなる温度センサの製造方法であって、
    前記半導体基板の格子定数をa、前記量子障壁層の格子定数をb、前記量子井戸層の格子定数をcとした場合、b<a<cを満たし、且つ、前記半導体基板におけるGeの組成比に対して、Geの組成比が小さい前記半導体層を前記量子障壁層とし、Geの組成比が大きい前記半導体層を前記量子井戸層として前記半導体基板上にエピタキシャル成長することによって、前記量子井戸構造部を形成する量子井戸構造部形成工程を備え、
    前記量子井戸構造部形成工程では、前記量子井戸層の膜厚を40Å以上で臨界膜厚以下にすることを特徴とする温度センサの製造方法
  4. 前記半導体基板上における前記量子井戸構造部の形成位置に対応する開口部を有するマスクを当該半導体基板上に形成するマスク形成工程を備え、
    前記量子井戸構造部形成工程では、前記開口部から前記半導体基板上に前記量子障壁層、前記量子井戸層を選択的にエピタキシャル成長することを特徴とする請求項に記載の温度センサの製造方法
  5. 前記半導体基板は、支持基板上に絶縁膜を介して形成されるものであり、
    前記支持基板における前記量子井戸構造部の下部に位置する部位を、前記絶縁膜をエッチストップ層としてエッチングしてメンブレンを形成するメンブレン形成工程を備えることを特徴とする請求項又は4に記載の温度センサの製造方法。
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