JP5111367B2 - 物質の細胞内導入法 - Google Patents
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Description
細胞内に、DNAやRNA等の遺伝子、酵素や抗体等の蛋白、又は医薬品等の化学物質を導入する方法、並びにその方法によって得られる細胞及びその方法を用いた装置は、医学、薬学、農学等のバイオ関連分野における研究開発場面、又は遺伝子治療や癌細胞に対するターゲティング療法等の臨床場面で有用な手段となる。
例えば、ペプチドグルカンやセルロース等を含む細胞壁を有する細菌類や酵母ではコンピテントセルがよく使用される(例えば、非特許文献1参照)。この方法は、物質が取り込まれ易いように細胞を変化させた後、細胞に熱ショック等を与え物質を取り込ませる方法である。しかし、この方法では、使用する細胞の培養条件を厳密に制御する必要があり、しかも、致死させることなく凍結処理や金属イオンを含む溶液で細胞を処理しなければならないという煩雑で時間を要する問題点を有している(例えば、非特許文献2、3参照)。
動物細胞は通常、細菌等の微生物と比較して増殖速度も遅く、細胞構造、細胞膜構造共に大きく異なっている。そのため、微生物に比べて動物細胞は一般的に細胞内に物質を導入するのが難しいと言われており、そのうえ非常に繊細な取り扱いが必要である。そのため、動物細胞に細胞内導入物質、例えば、DNAやRNA等の遺伝子を導入するには困難を伴う。
これら以外にウイルスを利用して細胞に物質を導入する方法がある(例えば、非特許文献7参照)。しかし、ウイルスを使用する場合には煩雑な精製操作を取らなければならず、ウイルスであるために意図していない細胞や組織に物質が導入される危険がある。また、ウイルスであるため、バイオハザードの危険性も考慮する必要がある。
このエレクトロスプレーを使用したパーティクルガンの一つとして、キャピラリーの先端を通してパーティクルを含む懸濁液に高電圧を印加し、細胞にスプレーする方法がある。(例えば、特許文献3参照)。この方法は、細胞内導入物質を付着させたパーティクル、又は細胞内導入物質とパーティクルを含む混合液をエレクトロスプレーで加速する方法であるが、いずれにせよこの方法ではパーティクルを含む懸濁液を使用するため、キャピラリーの先端にパーティクルによる詰まりが生じる欠点がある。また、通常のパーティクルガンと同様に固体が細胞内に残留する等の欠点がある。さらには、同一種類の細胞内導入物質を導入しようする場合には特に問題とならないが、細胞内導入物質を変更しようとした場合、細胞内導入物質ごとに担持操作を行う必要性がある。また、懸濁液の通液系をその都度洗浄置換する必要があり、煩雑な操作と時間を要するという問題は解決できていない。また、導入する物質を含んだ懸濁液をスプレーするため、装置内部が汚染される可能性がある。さらには、スプレー溶液中に含まれる溶質量が多くなるに従って、チューブと細胞間で火花放電が起こる危険性が増す。
このような背景技術に関する事情から、細胞内導入物質をパーティクル等の担体に担持させる必要がなく、細胞内導入物質をそのままの形で簡便かつ連続的に細胞に導入することが可能であり、しかも多種類の細胞内導入物質を多種類の細胞に連続的に短時間で導入することが可能になる方法及び装置の提供が望まれていた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(9)に示す、細胞に対して細胞内導入物質を含まない液体をエレクトロスプレーすることを特徴とする、細胞への物質導入方法、並びにその方法によって得られた細胞及びその方法を用いた物質の細胞内導入装置に関する。
(1)細胞内導入物質を細胞内に導入する際、当該物質を含まない液体をエレクトロスプレーする事によって液滴を生成させ、その液滴を細胞に接触させる事を特徴とする、細胞への物質導入方法。
(2)細胞と細胞内導入物質の共存下に液滴を細胞に接触させる、(1)に記載の細胞への物質導入方法。
(3)液滴を細胞に接触させた後、はじめて細胞と細胞内導入物質を接触させる、(1)に記載の細胞への物質導入方法。
(4)液滴を細胞に接触させた後、はじめて細胞と細胞内導入物質を接触させるまでの時間が30分以内である、(3)に記載の細胞への物質導入方法。
(5)液体と細胞の電位差が0.1kVから100kVである、(1)に記載の細胞への物質導入方法。
(6)エレクトロスプレーする液体が、細胞内導入物質を含まない水、又は、細胞内導入物質を含まない水溶液である、(1)に記載の細胞への物質導入方法。
(7)細胞内導入物質が遺伝子である、(1)に記載の細胞への物質導入方法。
(8)(1)から(7)の何れか1項に記載の方法を用いて細胞内導入物質を導入した細胞。
(9)(1)から(7)の何れか1項に記載の方法を用いた細胞への物質導入装置。
さらには、本発明の装置は高価な金属微粒子や破裂板が必要でなく、1回あたりの処理費用が下がる。またスプレーする液体の交換等が必要でなくなるため、多種類の遺伝子を多種類の細胞に連続的に短時間で導入することができる。その結果、遺伝子組み換え等の操作に要する時間を従来に比べ大幅に短縮することが可能となるとともに、検体を大量に処理することが可能となる。
本発明で使用する細胞は特に制限がなく、動物、植物、又は微生物の細胞の何れでもよい。また、細胞だけでなく組織、臓器、生体であってもかまわない。また、卵、精子、花粉、胞子、種子のような生殖細胞類を対象にすることも当然可能である。
本発明は動物細胞に特に有効である。具体的な動物細胞の定義は5界説に基づく動物界に属する生物と原生動物に属する生物、又はそれら由来の細胞を対象とする。動物界に属する生物は真核細胞からなる多細胞生物で、光合成能力がなく従属栄養である。海綿動物、腔腸動物、へん形動物、袋形動物、環形動物、軟体動物、節足動物、毛がく動物、棘皮動物、原索動物、脊椎動物がこれに属する。また、原生動物は原生生物界に属する真核細胞からなる単細胞生物で、従属栄養である。
細菌、酵母、糸状菌、古細菌細胞、植物等の細胞壁がある細胞の場合、細胞壁に傷をつけたもの、若しくは細胞壁を除去し原形質膜を露呈させたものを使用すれば導入の効率は上がることは予想できる。また、前記の状態をつくる物質共存でスプレーする方法をとってもよい。具体的にはコンピテントセル、プロトプラストのような細胞壁を弱くした細胞であり、これらの細胞を作るためのCaイオン、Liイオン、Rbイオン、Csイオン、Mgイオン、Mnイオン、Znイオン等、又はセルラーゼ、ペクチナーゼ等を共存させてもよい。また、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリスペルミン、ポリリシン、ポリエチレングリコール等のポリマー、リポソーム、ミセル等の界面活性物質を共存させても良い。共存させる方法としてはこれら物質を、スプレーされる細胞溶液内に予め添加するか、スプレー段階で混合させる方法を適宜選択すればよい。
本発明でいうエレクトロスプレーは、高電圧に印加されたチューブの細い先端を液体が通過することによって液滴化し、さらにその液滴表面の電荷の反発によって微細化された液体微粒子を高速で標的となる細胞に噴射させるものである。図1に、本発明の実施形態の一つとして、細胞と細胞内導入物質を接触させた状態で、細胞に対して細胞内導入物質を含まない液体をエレクトロスプレーする場合を示す。
図1では、細胞(Cell)と細胞内導入物質(Material A)が共存している。ここに細胞内導入物質を含まない液体(Material B)をエレクトロスプレーする。これにより細胞導入物質が導入された細胞(Material A in Cell)が得られる。細胞内導入物質を含まない液体を細胞と細胞内導入物質の共存下にエレクトロスプレーすることによって細胞内に物質が導入される。つまり、液体は直接細胞に導入するのを目的とせず、細胞に細胞内導入物質が取り込まれるようにするために使用する。
図2では、細胞(Cell)に細胞内導入物質を含まない液体(Material B)をスプレーする。その後に細胞内導入物質を加える。これにより細胞内導入物質が細胞内に導入することができる。スプレー後、短時間に細胞と細胞内導入物質を接触させるほうがより導入されやすい。細胞の状態、種類、スプレーの条件によって変わるが30分以内、好ましくは15分以内、より好ましくは3分以内に接触させることが望ましい。なお、細胞内導入物質は溶液の形で細胞と接触させることが好ましいが、細胞に対する影響を生じない範囲で細胞内導入物質を含む粉末等の形状で接触させることも妨げない。
具体的な例を挙げると、直径3.5cmのシャーレ内にある接着性の動物細胞にエレクトロスプレーする場合、スプレーする液体の量は1μlから4mlが好ましく、10μlから2mlの範囲がより好ましい。
また、直径6cmのシャーレ内にある微生物のコロニーにエレクトロスプレーする場合、スプレーする液体の量は1μlから8mlが好ましく、10μlから4mlの範囲がより好ましい。
また、本発明において遺伝子より小さな物質は一般的により容易に取り込ませることができる。その様な例としては蛋白、ペプチド、糖、脂質、農薬、抗菌剤、金属イオン、蛍光標識試薬、同位体標識試薬等が挙げられる。
圧力は細胞を死なせずに処理できる条件であればよく特に制限はないが、使用しやすいのは1paから1Mpaの範囲で特に大気圧である。
スプレーする際に他の菌の混入などの汚染を防ぐために無菌状態で行うことは非常に重要である。具体的には、スプレーをケース内で行うか、或いはクリーンブース等を使用して行うことによって汚染を防止することができる。また、本方法によれば重力と逆方向に液体をスプレーすることもできるので、スプレーされる細胞を上部に置いて落ちてくる汚染源の進入を防ぎながら操作を行うこともできる。
エレクトロスプレーする際の温度には特に制限がない。細胞が死なない温度であれば良く、室温が使用しやすい。
装置は高電圧発生装置(high voltage power supply)1、チューブ2、液体(Material B)3、細胞と細胞内導入物質(Cell +Material A)4で構成される。電圧を印加される液体3はチューブ2を通って細胞と細胞内導入物質4にスプレーされる。この時、高電圧発生装置1によって電圧が液体3に印加される。これにより液体3は帯電状態になりチューブ2から細胞と細胞内導入物質4にスプレーされる。より具体的な機構の説明をすると、液体3に電圧を印加するための高電圧発生装置1は、チューブ2にケーブル等で接続している。また、チューブは、細胞と細胞内導入物質4にスプレーできるような位置に存在する。
エレクトロスプレー状態を作るために高電圧発生装置により電圧を印加されたチューブ先端で、液体が帯電し液滴になる。電圧が印加されると液滴の表面張力より表面の電荷の反発が大きくなり液滴が微細化されるとともに、帯電した液滴が電場により高速で細胞に向かってスプレーされる。なお、エレクトロスプレーは電圧、細胞との距離、チューブの大きさ、液体流量、液体性状等により形成され方が変化するので、目的に適うように適宜調整できる装置構造になっている。
本装置は、ポンプを有することで液体を定量的にチューブに送ることが出来る。ポンプを有しない場合、重力、圧力を利用して物質はチューブに送られるがポンプを有することでより容易に定量的に送液できる。ポンプはチューブポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプ等が使用でき、使用目的に合わせて選択すればよい。
スプレーする液体に印加する電圧はプラス、マイナスどちらでも良い。なお、本発明では、液滴を細胞にスプレーする際に放電を伴ってもかまわないが、細胞に障害が発生するような長時間にわたる放電は当然ながら好ましくない。
チューブの材料は金属、プラスチック、ガラス、セラミック等特に制限がない。ただし電気伝導性のない材料できたチューブを使用する場合には、液体に接触する電極を内部に備えたチューブや導電物質を表面にコーティングしたチューブを用いる必要がある。図4に、チューブと高圧電源との接続例を模式的に示す。
Aに示す金属のような導電性材料をチューブに使用した場合は、チューブに電極を接続して内部に来る液体に帯電することができる。Bはガラスのような絶縁体を使用したチューブの場合である。この場合、内部に金属のような導電性電極を入れ、液体を帯電させる。Cは電極内部に導電対コートしてある場合でチューブ内部が高圧電源と接続して液体が帯電する。
チューブ先端の形状はストレートだけでなく、テーパーを持つ形状でもよく、特に制限されない。また、チューブは二重管構造でもよく、液体と共にガスを流しても良い。チューブは質量分析等で使用するエレクトロスプレー用のチューブを使用しても良い。さらに、細胞内導入物質の導入効率を下げない範囲で、微量の液体を流せるようなナノスプレーを使用することもできる。
スプレーするためのチューブは最低1本あればよく、多数のチューブがあればより広く細胞の表面に液体をスプレーすることができる。また、同時に複数個の検体を処理することも可能となる。
細胞に物質が効率よく導入できるように液体をスプレーするためには、細胞と容器との間の電位差が好ましい範囲に取れるように、グランドに接続して帯電を除去すればよい。具体的にはシャーレ等に入った細胞と細胞内導入物質にスプレーする場合には、シャーレ内部の細胞が接触する溶液又はゲルを介してグランドと接続していることが好ましい。細胞は液体の液滴スプレーを均一に受けるために回転又は位置選択ができるようにステージに乗って移動してもなんら問題がない。
装置に電磁気的な光学系を導入することでスプレーの場所、液滴の散布面積の広がりを制御できる。例えばスプレーする位置より前にマスク、レンズ、コリメーター機能を有する部品を置くことで、より局所的に液滴をスプレーすることができる。さらには、四重極レンズ等でスプレーの位置、スキャニング等を可能にすることも可能になる。マスク機能としては有機高分子材料、金属、セラミックでできたスプレー範囲を決める板状(フィルム)部品が使用できる。また、レンズ、コリメーター機能としては帯電した金属マスク、誘電体マスク部品が使用できる。
具体的には例えばエレクトロスプレー用のチューブをXY移動できるアームに取り付けることで多数のサンプルを連続的に処理することが可能になる。また、細胞の方を移動できるようにXYステージに乗せて移動させることも可能である。さらにはチューブがX軸、ステージがY軸移動のように組み合わせて使用することも可能である。なお、移動機構はXY型、スカラー型どちらの機構でも良く、この移動の動力は電気、エアー、人力どれを使用しても良い。また、これらに機械的な位置制御機能を付与することによって自動化し、処理操作の省力化をはかることも可能になる。
図5は具体的な移動機構である。DはステージがXY方向に移動する機構、EはチューブがXY方向に移動する機構、FはチューブがX方向でステージがY方向に移動する機構である。
しかも、煩雑な操作を必要とせず、液体をエレクトロスプレーし、細胞と細胞内導入物質を接触させるだけで、細胞内に遺伝子等の生物化学的に重要な物質を容易に導入することが可能となる。また、エレクトロスプレーを行う前に、必要に応じて細胞の培養に使用した培地を除去したり、さらには細胞を洗浄液で洗浄したりする操作を加えてもよい。
実施例I-1
1.実験装置
実験に使用する装置図を図6に示す。
高圧電源1はチューブ2に高電圧ケーブルで接続している。また、同時にグランドへ接続されている。チューブ2はステンレス製で外径0.36mm、内径0.18mmのルアーロック型である。これがサンプル注入口6と接続している。スプレーする液体3はこのサンプル注入口より導入される。ポンプ5はチューブポンプで空気を送っている。この空気の圧力で帯電する液体3はチューブまで押される。この時、空気は酢酸セルロース製のフィルター8を通して供給される。動物細胞と細胞内導入物質4は60mmのポリスチレンシャーレに入っている。シャーレはジャッキ10の上に設置されている。ジャッキはグランドと接続されている。シャーレの内部がグランドと接続されるようにステンレスリボン9で内部とジャッキがつながっている。スプレーを行う部分は内部サイズ272×260×370mmのアルミニュウム枠アクリル製の容器内に設置され、容器の上部には約0.25m/sの吹出風速で0.5m3/minの吹出風量のHEPAクリーンユニット7が設置されている。クリーンな空気は上部より下部に流れ容器底には吹出し口が設けてある。
実験装置は上記1の装置を使用した。
細胞内導入物質は緑色蛍光蛋白(GFP)遺伝子組み込みプラスミド(4.7kbp)を使用した。細胞はチャイニーズハムスターの卵巣から生検樹立された繊維芽細胞(CHO細胞)を使用した。35mmデッシュにCHO細胞を1.0×104濃度でまき、α-MEM培地+10%FBS の培地で、CO2インキュベーター中37℃で4日間培養したものを使用した。細胞の培地を抜き、そこにプラスミド濃度50μg/mlを100μl加えた。
チューブ先とジャッキの距離2cmから水を100μlスプレーした。この時、チューブにマイナス7kV印加した。チューブから水はエレクトロスプレー状態になってシャーレ内の動物細胞にスプレーされた。スプレー後、シャーレに培地を入れさらに4日間培養した。
蛍光顕微鏡観察により、緑色の蛍光を示す細胞が認められ、遺伝子導入が確認できた。図7にGFP遺伝子導入されたCHO細胞の蛍光顕微鏡写真を示す。
細胞とプラスミド溶液にさらに培地400μl加えた後、水を100μlスプレーした以外は、実施例I-1と同様に実験を行った。この時、チューブにはマイナス7kV印加した。その結果、蛍光顕微鏡で緑色の蛍光を示す細胞が認められ、遺伝子導入が確認できた。
チューブに印加する電圧をマイナス10kVとした以外は、実施例I-1と同様に実験を行った。その結果、蛍光顕微鏡で緑色の蛍光を示す細胞が認められ、遺伝子導入が確認できた。
プラスミドを加える前に細胞に水100μlをスプレーした以外は、実施例I-1と同様に実験を行った。なお、この時、チューブにはマイナス7kV印加し、スプレー1分後にプラスミド溶液を加えた。その結果、蛍光顕微鏡で緑色の蛍光を示す細胞が認められ、遺伝子導入が確認できた。
実施例I-1と同様に実験を行った。ただし、使用する容器は24穴のポリスチレン製プレートでそれぞれの穴に金属製のアースをつけた。チューブに印加する電圧はマイナス10kVで行った。その結果、何れの穴についても蛍光顕微鏡で緑色の蛍光を示す細胞が認められ、遺伝子導入が確認できた。
プラスミド混合後、エレクトロスプレーを行わなかった以外は、実施例I-1と同様に実験を行った。培養後、蛍光顕微鏡観察を行ったが蛍光を示す細胞は認められず、遺伝子は導入されていなかった。
1.実験装置
実験に使用する装置図を図6に示す。高圧電源1はチューブ2に高電圧ケーブルで接続している。また、同時にグランドへ接続されている。チューブ2はステンレス製で外径0.36mm、内径0.18mmのルアーロック型である。これがサンプル注入口6と接続している。スプレーする液体3はこのサンプル注入口より導入される。ポンプ5はチューブポンプで空気を送っている。この空気の圧力で帯電する液体3はチューブまで押される。この時、空気は酢酸セルロース製のフィルター8をとおして供給される。使用する高圧電源1は短絡防止装置がついており、1mAの電流制限になっている。細胞と細胞内導入物質4は60mmのポリスチレンシャーレに入っている。シャーレはジャッキ10の上に設置されている。ジャッキはグランドと接続されている。シャーレの内部がグランドと接続されるようにステンレスリボン9で内部とジャッキがつながっている。スプレーを行う部分は内部サイズ272×260×370mmのアルミニュウム枠アクリル製の容器内に設置され、容器の上部には約0.25m/sの吹出風速で0.5m3/minの吹出風量のHEPAクリーンユニット7が設置されている。クリーンな空気は上部より下部に流れ容器底には吹出し口が設けてある。
直径6cmのポリスチレンシャーレに1.5%のアガロース−B培地を入れ、これに大腸菌HB101株を一面に撒き25℃で2日間培養し、シャーレ一面にコロニーを生成させた。
これにアンピシリン耐性遺伝子をもつプラスミドpUC19のTEバッファー溶液(105μg/ml)を100μl加えた。次いで、シャーレ内の寒天培地にグランドなるようにステンレスリボンを接続し、高さ2.5cmから水100μlを大腸菌コロニーに対してスプレーした。この時、マイナス7kVをチューブに印加した。
スプレー後、シャーレ上のコロニー細胞を掻き取りLB培地に加え遠心分離した。得られた菌体の沈殿物を、アンピシリン入りの1.5%のアガロース−LB培地に撒き30℃で2日培養したところ、コロニーが生成し大腸菌がアンピシリン耐性を獲得したことが示された。
スプレー時に電圧をマイナス18kVに印加した以外は実施例II-1と同様に操作し、得られた遠心分離菌体をアンピシリン入りの1.5%のアガロース−LB培地に撒き30℃で2日培養したところコロニーが形成されて大腸菌がアンピシリン耐性を獲得したことが示された。
電気泳動実験
実施例II-1及びII-2で得られたアンピシリン耐性の大腸菌とスプレーに使用したHB101株からキアゲン社製プラスミド精製キットでプラスミドを取り出した後、これをアガロースゲルにのせ電気泳動させた。
その結果、実施例II-1及びII-2で得られたアンピシリン耐性株プラスミドの泳動位置は、遺伝子導入に使用したpUC19と同じ位置にあり、本発明の方法を用いることによって細胞内導入物質が細胞内へ導入されたことがわかった。なお、HB101株にはプラスミドはなかった。(図8)
スプレー位置の移動機構を備えた小型ディスペンサロボットのノズル部分をエレクトロスプレー用のチューブに変更した。このロボットは、X軸方向にノズルの位置変更でき、Y軸方向にステージが移動できる機構を有しており、二次元的に位置制御してスプレーできる。4個の穴を有するチップ状のプレートに金属線でアースを取り付け、スプレーを行った。スプレー用のチューブが移動することで4穴全てにスプレーできた。
スプレー処理を行わなかったこと以外は実施例II-1と同様に操作し、得られた遠心分離菌体をアンピシリン入りの1.5%のアガロース−LB培地に撒き30℃で2日培養したが、コロニー形成は全く認められなかった。
スプレー時に電圧を印加しなかったこと以外は実施例II-1と同様に操作し、得られた遠心分離菌体をアンピシリン入りの1.5%のアガロース−LB培地に撒き30℃で2日培養したが、コロニー形成は全く認められなかった。
1.実験装置
実験に使用したエレクトロスプレー装置を図9に示す。図9の装置において、電源13は乾電池を使用し、3Vを供給する。この3Vを昇圧回路11で+10kVにしてタンク12に接続する。タンク12は導電性プラスチックでできているが高電圧と接触する部分以外は絶縁性のプラスチックで覆われている。タンクの容量は約10mlである。シリンダー17が内部にあり、シャフト18がモーター19により回転することでタンク内の液体はルアーロック型ジョイント15に接続するルアーロックを持つ内径0.1mmのステンレス製チューブ16へ導入される。チューブからの液体のスプレー供給速度は120μl/minである。なお、この装置において、昇圧回路11、タンク12、電源13、シリンダー17、シャフト18、及びモーター19は装置筐体14内に収容されており、装置筐体14の外側面に設けられたスイッチ20によってスプレー操作ができるようにされている。
実験に使用するリン酸緩衝液(PBS)は、NaCl 8g/L, KCl 0.2g/L,NaHPO4・12H2O 2.9g/L, KH2PO4 0.2g/Lの組成からなるpH7.3の溶液を使用した。
孵卵(37.8℃)開始後1.5日のニワトリ胚を取り出し、卵白寒天混合培地上に置いた。2%Fast Greenで色をつけた緑色蛍光蛋白(GEP)遺伝子組み込みプラスミド(4.7kba)を4.3μg/μl濃度で上記PBSに溶かした液を目的の領域に0.1μl滴下した。30秒後に、上記エレクトロスプレー装置を用い、上記PBSを、顕微鏡観察しながら、高さ10cmから15秒間エレクトロスプレーした。37.8℃でインキュベーションし翌日蛍光実体顕微鏡観察をした。その結果を図10に示した。図10において、全長6〜7mmのうち1mm領域にGFP発現が見られ、遺伝子が導入されたことを確認した。
Material B:細胞内導入物質を含まない液体
Material A in Cell:細胞導入物質が導入された細胞
1:高電圧発生装置(High voltage power supply)
2:チューブ
3:細胞内導入物質を含まない液体(Material B)
4:細胞(Cell)と細胞内導入物質(Material A)
5:チューブポンプ
6:液体(Material B)注入口
7:クリーンユニット(Clean Unit)
8:酢酸セルロース製のフィルター
9:グランド用のステンレスリボン
10:ジャッキ
11:昇圧回路
12:タンク
13:電源
14:装置筐体
15:ルアーロック型ジョイント
16:チューブ
17:シリンダー
18:シャフト
19:モーター
20:スイッチ
A:導電性材料をチューブに使用した場合
B:ガラスのような絶縁体を使用した場合
C:電極内部に導電対コートしてある場合
D:ステージがXY方向に移動する機構を有する場合
E:チューブがXY方向に移動する機構を有する場合
F:チューブがX方向、ステージがY方向に移動する機構を有する場合
レーンa:サイズマーカー
レーンb:pUC19
レーンc:HB101株
レーンd:実施例II-1
レーンe:実施例II-2
Claims (4)
- 細胞内導入物質を細胞内に導入する際、当該物質を含まない液体をエレクトロスプレーする事によって液滴を生成させ、その液滴を細胞に接触させる事を特徴とする、インビトロにおける細胞への物質導入方法であって、
細胞と細胞内導入物質の共存下に液滴を細胞に接触させるか、あるいは、液滴を細胞に接触させた後、はじめて細胞と細胞内導入物質を接触させ、
エレクトロスプレーする液体が、細胞内導入物質を含まない水、又は、細胞内導入物質を含まない水溶液である、方法。 - 液滴を細胞に接触させた後、はじめて細胞と細胞内導入物質を接触させるまでの時間が30分以内である、請求項1に記載の細胞への物質導入方法。
- 液体と細胞の電位差が0.1kVから100kVである、請求項1に記載の細胞への物質導入方法。
- 細胞内導入物質が遺伝子である、請求項1に記載の細胞への物質導入方法。
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| JP3320867B2 (ja) | 1993-11-26 | 2002-09-03 | 泰和 楊 | 直巻又は複巻電動機の速度制御回路 |
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| JPWO2007132891A1 (ja) | 2009-09-24 |
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