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JP5113572B2 - シミュレーション方法及びシミュレーションプログラム - Google Patents
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JP5113572B2 - シミュレーション方法及びシミュレーションプログラム - Google Patents

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本発明は、FDTD法を利用したシミュレーション方法及びシミュレーションプログラムに関するものである。
金属部材を含む構造物の一例としては、複数の金属ストリップ(金属細線)がほぼ平行に配列されて構成される金属回折格子がある。このような金属回折格子は、ワイヤグリッド偏光子、またはディスプレイ関連光学装置における偏光コントローラとしてしばしば利用される。各金属ストリップの幅または周期が、金属回折格子に入射する光の波長に比べて小さい場合、回折格子特性は、金属ストリップの幅および周期、入射ビームの偏光および入射角に依存する。そのため、所望の回折格子特性が得られるように、金属ストリップの幅及び周期等を入射ビームの特性などに応じて設計する必要がある。
金属部材を含む構造物へ電磁波が入射した場合の電磁界の解析には、解析的な手法を利用したシミュレーションが適用される。例えば、厳密結合波解析(RCWA :rigorous coupled wave analysis)などの解析的方法が無限の大きさを仮定した回折格子に対して使用されることがある。しかしながら、RCWAに例示される解析的方法では、(1)有限の大きさを仮定すべき構造又は有限の幅を有する入射ビームの場合には使用することができない、(2)不規則な境界面を扱うことができない、(3)媒質の誘電率を複素数としているが、その実部は入射ビームの角周波数に依存していないことを仮定している、等の問題点がある。よって、例えば、上述した配列方向の長さが有限である回折格子、すなわち、実際の回折格子により近い形態を正確に解析できず、また、金属部材が、銀、アルミニウム、金などの貴金属からなる場合には、可視領域においてシミュレーションの結果で得られる電磁界分布と、実空間での電磁界分布との差が大きくなる。
一方、上記のような問題点を解決可能なシミュレーション手法として、不規則な境界面を有しており、有限の大きさの仮定が有効な構造物又は無限の仮定が可能な構造物のどちらにも適用可能なFDTD法(Finite Differential Time Domain method)が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。FDTD法は、FDTD領域を複数のセルに分割して、マクスウェル方程式内の空間および時間微分を有限差分によって近似することでマクスウェル方程式を直接解くものであり、様々な金属構造を解析するために使用されてきている。そして、FDTD法の場合、例えば、デバイ(Debye)、ドルーデ(Drude)、またはローレンツ(Lorentz)など、誘電率についての様々な解析的モデルが、周波数領域畳み込みを使用することによって、FDTDに組み込むことができる。このような畳込みを利用した方法は、帰納的畳み込み(Recursive Convolution)法(以下、単にRC法ともいう)として知られている。
特開2000−105259号公報 特開2000−227450号公報
しかし、従来のFDTD法を利用したシミュレーションでは、空間的離散化の値等の条件設定によっては、シミュレーションが不安定になる傾向にあった。
そこで、本発明は、FDTD法によるシミュレーションをより安定して実施可能なシミュレーション方法及びシミュレーションプログラムを提供すること目的とする。
本発明のシミュレーション方法は、金属部材を含む構造物に電磁波が入射した場合の電磁界を、FDTD法に従って解析するためのシミュレーション方法であって、構造物の解析モデルが配置されるFDTD領域の空間離散化条件を、金属部材の誘電率を基にコンピュータにより決定する離散化条件決定工程と、離散化条件決定工程で決定された空間離散化条件に基づいて、解析モデルに電磁波が入射した場合の電磁界を、帰納的畳み込み法を用いたFDTD法に従ってコンピュータにより算出する解析工程と、を備え、離散化条件決定工程では、帰納的畳み込み法において上記誘電率をドルーデの分散式で表すことで得られる帰納的関係式内の2つの変数c,cであって、FDTD領域において所定波長を表すための格子点の数及びFDTD領域における電磁波の解析用速度並びに金属部材の上記誘電率を含むプラズマ角周波数ωp,F及び衝突周波数νc,Fを用いて下記式(1),(2)で表される変数c1,F,c2,F
Figure 0005113572

Figure 0005113572

において、プラズマ角周波数ωp,F及び衝突周波数νc,Fに含まれる誘電率を、所定波長の電磁波に対する実測値又は実測値に基づいて決まる値とした場合に、変数c1,F,c2,Fが、FDTD法における計算の安定化条件としての下記式(3)及び式(4)を満たすと共に、
Figure 0005113572

Figure 0005113572

解析用速度が0.7より小さくなるように、格子点の数及び解析用速度をコンピュータによって決定することを特徴とする。
また、本発明に係るシミュレーションプログラムは、金属部材を含む構造物に電磁波が入射した場合の電磁界を、FDTD法に従って解析するためのシミュレーションをコンピュータに実行させるためのシミュレーションプログラムであって、構造物の解析モデルが配置されるFDTD領域の空間離散化条件を、金属部材の誘電率を基にコンピュータにより決定する離散化条件決定工程と、離散化条件決定工程で決定された空間離散化条件に基づいて、解析モデルに電磁波が入射した場合の電磁界を、帰納的畳み込み法を用いたFDTD法に従ってコンピュータにより算出する解析工程と、をコンピュータに実行させ、離散化条件決定工程では、帰納的畳み込み法において上記誘電率をドルーデの分散式で表すことで得られる帰納的関係式内の2つの変数c1,F,c2,Fであって、FDTD領域において所定波長を表すための格子点の数及びFDTD領域における電磁波の解析用速度並びに金属部材の上記誘電率を含むプラズマ角周波数ωp,F及び衝突周波数νc,Fを用いて下記式(5),(6)で表される前記変数c1,F,c2,F
Figure 0005113572

Figure 0005113572

において、プラズマ角周波数ωp,F及び衝突周波数νc,Fに含まれる上記誘電率を、所定波長の電磁波に対する実測値又は実測値に基づいて決まる値とした場合に、変数c1,F,c2,Fが、FDTD法における計算の安定化条件としての下記式(7)及び式(8)を満たすと共に、
Figure 0005113572

Figure 0005113572

解析用速度が0.7より小さくなるように、格子点の数及び解析用速度をコンピュータに決定せしめることを特徴とする。
上記本発明に係るシミュレーション方法及びシミュレーションプログラムでは、所定波長λを有する電磁波に対する金属部材の誘電率の実測値及び実測値に基づいて決まる値を使用して、FDTD法における計算の安定化条件を満たすようにFDTD領域の空間離散化を図っている。そのため、より正確なシミュレーションを安定して実施することが可能である。
また、本発明に係るシミュレーション方法では、実空間における電磁波の所定波長をλ、電磁波の速度をv及び所定波長に対応する角周波数をωλとし、FDTD領域における格子点の数をλ、解析用速度をvとし、角周波数ωλに対する誘電率の実部及び虚部の値をε及びεとし、角周波数ωλに対応するFDTD領域における解析用角周波数ωを、
Figure 0005113572

としたとき、衝突周波数νc,F及びプラズマ角周波数ωp,Fは、
Figure 0005113572

Figure 0005113572

として与えられることが好ましい。
同様に、本発明に係るシミュレーションプログラムでは、実空間における電磁波の所定波長をλ、電磁波の速度をv及び所定波長に対応する角周波数をωλとし、FDTD領域における格子点の数をλ、解析用速度をvとし、角周波数ωλに対する誘電率の実部及び虚部の値をε及びεとし、角周波数ωλに対応するFDTD領域における解析用角周波数ωを、
Figure 0005113572

としたとき、衝突周波数νc,F及びプラズマ角周波数ωp,Fは、
Figure 0005113572

Figure 0005113572

として与えられることが好ましい。
この場合、νc、F及びωP,Fは、λ及びvの関数となる。そのため、変数c1,F及びc2,Fが満たす条件と共に、vが0.7より小さい値をとるように、λ及びvを決定することができる。
本発明に係るシミュレーション方法において、上記解析工程では、電磁波におけるTEモードに対しては、マクスウェル方程式から導かれる波動方程式に上記帰納的畳み込み法を適用して得られる第1の電磁界解析用の式を、帰納的関係式を利用してコンピュータにより解くことが好適である。同様に、本発明に係るシミュレーションプログラムにおいて、上記解析工程では、電磁波におけるTEモードに対しては、マクスウェル方程式から導かれる波動方程式に上記帰納的畳み込み法を適用して得られる第1の電磁界解析用の式を、帰納的関係式を利用してコンピュータに解かさしめることが好適である。
この場合、波動方程式を利用しているため計算量を低減することが可能である。
また、本発明に係るシミュレーション方法における解析工程では、電磁波におけるTMモードに対しては、マクスウェル方程式に帰納的畳み込み法を適用して得られる第2の電磁界解析用の式を、帰納的関係式を利用して解く態様とすることもできる。同様に、本発明に係るシミュレーションプログラムにおける解析工程では、電磁波におけるTMモードに対しては、マクスウェル方程式に帰納的畳み込み法を適用して得られる第2の電磁界解析用の式を、帰納的関係式を利用してコンピュータに解かさしめる態様とすることもできる。
更に、本発明に係るシミュレーション方法における上記解析工程では、電磁波がTMモード及びTEモードを共に含む場合には、TEモードに対しては、マクスウェル方程式から導かれる波動方程式に上記帰納的畳み込み法を適用して得られる第1の電磁界解析用の式を、帰納的関係式を利用して解き、TMモードに対しては、マクスウェル方程式に帰納的畳み込み法を適用して得られる第2の電磁界解析用の式を、帰納的関係式を利用して解き、TMモード及びTEモードに対して得られた電磁界に基づいてFDTD領域における電磁界を算出する態様とすることもできる。同様に、本発明に係るシミュレーションプログラムにおける上記解析工程では、電磁波がTMモード及びTEモードを共に含む場合には、TEモードに対しては、マクスウェル方程式から導かれる波動方程式に上記帰納的畳み込み法を適用して得られる第1の電磁界解析用の式を、帰納的関係式を利用してコンピュータに解かさしめて、TMモードに対しては、マクスウェル方程式に帰納的畳み込み法を適用して得られる第2の電磁界解析用の式を、帰納的関係式を利用してコンピュータに解かさしめて、TMモード及びTEモードに対して得られた電磁界に基づいてFDTD領域における電磁界を算出する態様とすることができる。
本発明によれば、FDTD法に従ってシミュレーションを安定して実施することができる。
以下、図面を参照して本発明に係るシミュレーション方法及びシミュレーションプログラムの実施形態について説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率等は、説明のものと必ずしも一致していない。
本発明に係るシミュレーション方法及びシミュレーションプログラムは、金属部材を含む構造物に電磁波が入射した場合における電磁界を、FDTD法(Finite Difference Time Domain Method)に従って解析するためのものであり、上記構造物の設計などに好適に利用される。本発明に係る方法及びプログラムを利用した解析対象としての構造物の一例としては金属回折格子が挙げられる。本明細書では、特に断らない限り、光学素子は金属回折格子として説明する。
図1は、金属回折格子の模式図である。金属回折格子10は、一方向(図1では、紙面に垂直な方向)に延在している複数の金属部材としての金属細線(金属ストリップ)11が、金属細線11の延在方向に対して略直交する方向に周期Λで配置されてなる回折格子である。説明の簡略化のために、図1に示すように、金属細線11の配列方向をx軸方向とし、金属細線11の延在方向をz軸方向とし、x軸方向及びz軸方向に直交する方向をy軸方向とする。金属細線11の材料としては、銀、金、アルミニウムなどが例示される。
金属回折格子10の周期Λは、電磁波としての入射ビーム20が有する所定波長λに対して十分小さく、例えば、5λ以下である。金属回折格子10に入射ビーム20が入射すると、入射ビーム20は金属回折格子10により回折される。周期Λが所定波長λに対して十分小さい場合、金属回折格子10に入射ビーム20が入射すると、ほぼ0次の回折光が生じることになる。以下の説明では、図1に示したように、金属回折格子10に対して入射ビーム10の入射側と反対側に回折される光を透過ビーム21とも称し、入射ビーム20の入射側と同じ側に回折される光を反射ビーム22とも称す。なお、所定波長λは、電磁スペクトルにおける可視領域の波長であるとすることができる。
金属回折格子10の特性は、周期Λ並びに金属細線11の幅(x軸方向の長さ)w及び厚さ(y軸方向の長さ)hや、回折格子法線Nと入射ビーム20とのなす角である入射角θinや、入射ビーム20の偏光状態などに依存する。そのため、所望の回折格子特性を実現する金属回折格子10を設計するために本発明に係るシミュレーション方法及びプログラムが有効である。特に、金属回折格子10のx軸方向の幅Wが30λより小さい場合に本発明が有効である。これは、本発明に係るシミュレーション方法及びシミュレーションプログラムが、その手法として、有限な大きさを持つ物体を扱うときに有効なFDTD法を採用していることによる。
図2は、図1に示した金属回折格子のFDTD領域における解析モデルの模式図である。FDTD法では、図2に示すように、FDTD領域100を複数のセルに分割することによって、マクスウェル方程式を空間的及び時間的に差分化して直接数値的に解く手法である。本実施形態では、図2に示すように、解析モデルとしての金属回折格子に対しても図1に示した金属回折格子10と同様の符号を付すこととする。また、図2中のハッチングは、セルで分割されたFDTD領域100内において金属細線11を示すための便宜的なものである。
通常、図1及び図2に示した金属回折格子10のように一方向(図1,2中ではz軸方向)に延在しており、その延在方向に変化のないものを解析対象とする場合、2次元問題として扱うことができる。そこで、2次元のFDTD法のアルゴリズムについて説明する。
FDTD法では、以下のマクスウェル方程式を利用する。
Figure 0005113572

Figure 0005113572

μは透磁率である。また、Eは電界、Hは磁界である。更に、「∇」は、x及びyをx軸方向及びy軸方向の単位ベクトルとしたとき、x(∂/x)+y(∂/y)で定義される微分演算子である。
式(16)中のDは電束密度を表しており、次式で与えられる。
Figure 0005113572

式(17)中のε(r,ω)は金属細線11の誘電率である。
時間領域における電束密度Dは、式(17)の両辺でフーリエ変換をとり、畳み込み定理を適用することによって次式で表される。
Figure 0005113572

式(18)において、ε(t)=F{ε(ω)}であり、Fはフーリエ変換を表す。
誘電率ε(ω)が角周波数ωのある特殊な関数で表されるとき、式(18)の畳み込み積分は帰納的に計算可能である。これはRC法として知られている。
本実施形態では、金属細線11の誘電率ε(ω)を表す関数として、ドルーデの一次近似式(ドルーデの分散式)を採用する。この場合、誘電率ε(ω)は式(19)のように表される。
Figure 0005113572

式(19)において、ωはプラズマ周波数、νは衝突周波数である。εは、周波数が無限大のときの誘電率であり1に等しい。χ(ω)は電気比感受率である。
χ(ω)をフーリエ変換したもの、すなわち、F{χ(ω)}をχ(t)と表した場合、χ(t)は次式で表される。
Figure 0005113572

U(t)は、時間の単位ステップ関数であって、t=0の場合、U(t)=0であり、t>0の場合、U(t)=1である。
Δtを時間ステップ間隔としたとき、時刻t=nΔt(nは0以上の整数)において、式(18)の畳み込み積分を評価した場合、
Figure 0005113572

が得られる。より具体的には、式(21)は、区間[mΔt,(m+1)Δt]にわたってEを定数としてとることによって、畳み込み積分から得られる。なお、mは0以上の整数である。
式(21)は、以下のように書き表すことができる。
Figure 0005113572

ここで、Ψは、累積変数であり下記式(23)が成り立つ。
Figure 0005113572
式(23)は、
Figure 0005113572

と表すことができる。この式(24)において、
Figure 0005113572

である。式(25)より、
Figure 0005113572

が成立する。式(26)において、
Figure 0005113572

Figure 0005113572

である。また、Ψ=0、Ψ=Eχ、Ψ=Eχ+c+cΨとする。
式(24)〜式(28)より、累積変数Ψに関する以下の帰納的関係式が得られる。
Figure 0005113572

Figure 0005113572

式(29)及び式(30)では、ε=1、Δt=1である。また、式(29)及び式(30)中、χは式(25)より、
Figure 0005113572

で与えられる。更に、n≦0であるすべてのnについてΨの値は0とする。
なお、後述するように、FDTD法を実施する際には、式(29)及び式(30)に含まれておりω及びνを用いて表されるc,cは、ω及びνに対応するFDTD領域100におけるプラズマ角周波数ωp,F及び衝突周波数νc,Fの関数としてのc1,F及びc2,Fを採用する。
通常、2次元においては、任意の偏光状態にある入射ビーム(電磁波)20は、2つの直交する偏光状態、すなわち、TMモードとTEモードとに分けることが可能である。そこで、以下、TMモードとTEモードとに分けてFDTD法のアルゴリズムについて説明する。
[TMモード]
TMモードでは、式(15)及び式(16)を中心差分を利用して差分化して解く。
式(16)中の時間に関する一次導関数の差分形式として式(32)を利用する。
Figure 0005113572

この場合、式(16)に等価な差分形式の方程式は、以下のように表される。
Figure 0005113572

式(33)中のDは∇に対応する2次の中心差分形式の演算子である。また、式(33)中のΨn+1−Ψは、式(29)により与えられる。
ここでは、式(16)に等価な差分形式の方程式を示したが、式(15)に関しては、従来のFDTD法における差分形式である以下の式を用いる。
Figure 0005113572
[TEモード]
次にTEモードの場合について説明する。
TEモードではマクスウェル方程式である式(15)及び式(16)から導かれる次の波動方程式を利用する。
Figure 0005113572

本実施形態では∇・E=0を仮定するが、高い伝導性を有する金属の場合、それらは自由電荷を長い間保持しないので、この仮定は妥当である。
式(16)の時間に関する二次導関数の差分形式として式(36)を利用する。
Figure 0005113572

この場合、帰納的畳み込みを適用した式(35)に等価な差分形式の方程式は、以下のように表される。
Figure 0005113572

式(37)中のD は∇に対応する2次の中心差分形式の演算子であり、vは位相速度である。また、式(37)中のΨn+1+Ψn−1−2Ψは式(30)から与えられる。
本実施形態では、入射ビーム20がTMモードで与えられる場合、すなわち、入射ビーム20がTM波である場合には、電磁界解析用の式(第2の電磁界解析用の式)である式(33)及び式(34)と、式(29)とを利用して電界E及び磁界Hを算出する。入射ビーム20がTEモードで与えられる場合、すなわち入射ビーム20がTE波である場合には、電磁界解析用の式(第1の電磁界解析用の式)である式(37)と、式(30)とを利用して電界Eを算出する。
次に、本実施形態におけるFDTD領域における空間的な離散化条件の決定方法について説明する。
FDTD法では、図2に示したように、FDTD領域100に複数のセルからなるグリッドを適用する。本実施形態のシミュレーション法で解くFDTD法では、アルゴリズムの安定性に基づいてFDTD領域100の離散化条件を決定する。
式(29)及び式(30)より、アルゴリズムの安定性のためにc及びcは次の条件を満たすことが必要である。
Figure 0005113572

Figure 0005113572
,cは式(27)及び式(28)に示すようにω及びνを用いて表される。
一方、式(19)より、誘電率ε(ω)の実部及び虚部をε(ω)及びε(ω)とすると、
Figure 0005113572

Figure 0005113572

が成り立つ。
よって、ω及びνは次のように表される。
Figure 0005113572

Figure 0005113572
本実施形態では、入射ビーム20が有する所定波長λに対応する角周波数をωλとしたとき、式(40)及び式(41)内のε(ω)及びε(ω)として、角周波数ωλに対する実測値を採用する。
所定波長λに対して誘電率の実測値が得られていない場合には、ドルーデ分散を利用して実測されている誘電率の局所的なフィッティングから上記所定波長λに対する誘電率、すなわち、ε(ω)及びε(ω)を得る。上記局所フィッティングは、所定波長λに最も近く誘電率が実測されている波長に対する誘電率の実測値を通るようにドルーデのε−ωプロットを実施することで得ることができる。
例えば、波長500nm(角周波数3.77×1015/sec)での誘電率の実測値が得られていない一方、波長496nm(又は角周波数3.8×1015/sec)と、波長551.111nm(角周波数3.42×1015/sec)に対してそれぞれ誘電率が得られているとする。この場合、波長500nmでの誘電率は、角周波数3.8×1015/secに対する誘電率ε=−9.564+i0.309をとおるドルーデのε−ωプロットから計算する(図3参照)。
より正確な誘電率を得るために、所定波長λに対して高波長側及び短波長側においてそれぞれ所定波長λに最も近く誘電率が実測されている波長に対する誘電率を基に前述したドルーデのε−ωプロットを実施し、所定波長λの誘電率としてそれぞれ得られる2つの推定値の平均値を算出して推定値とすることが好ましい。金属回折格子に入射させる光として例えばLEDから出力された光等を利用される際には、多くの場合、LEDから出力される光の波長に対して誘電率が実測されていない場合があるため、上記のような算出方法は好ましい。なお、以下の説明では、実測値という場合には、上記ドルーデのε−ωプロットを実施して決まる値を含めるものとする。
また、本実施形態では、式(42)及び式(43)における角周波数ωをFDTD領域における角周波数ωに置き換えて、プラズマ角周波数ω及び衝突周波数νをFDTD領域100におけるプラズマ角周波数ωp,F及び衝突周波数νc,Fに対応させる。この場合、プラズマ角周波数ωp,F及び衝突周波数νc,Fは以下のように表される。
Figure 0005113572

Figure 0005113572

式(44)及び式(45)中のε及びεは角周波数ωλに対する実測値であり定数である。
そして、本実施形態では、実空間での角周波数ωλと、式(44)及び式(45)中のFDTD領域100での角周波数(解析用角周波数)ωとを次式によって対応づけることによって、ωp,F及びνc,Fを自由パラメータとしている。
Figure 0005113572

式(46)中のvは入射ビーム20の実空間での位相速度である。そして、λは、FDTD領域100において波長λを表すのに必要とする格子点110の数であり、vはFDTD領域100における入射ビーム20の位相速度(解析用速度)である。
上記のように実空間におけるω及びνに対応してFDTD領域100におけるωp,F及びνc,Fを規定した場合、式(38),式(39)に示す安定化条件は、
Figure 0005113572

Figure 0005113572

と表されることになる。
なお、c1,F及びc2,Fは、c,cにおけるω及びνをωp,F及びνc,Fで置き換えたものであり、以下の式で表される。
Figure 0005113572

Figure 0005113572

また、アルゴリズムの安定性として、式(49)及び式(50)と共に、FDTD法で通常知られている以下の関係式を満たす必要がある。
Figure 0005113572
前述したようにε及びεとして角周波数ωλに対する所定の値を利用すると共に、式(46)を採用することによって、ωP,F及びνc,Fを自由パラメータとした場合、式(49)及び式(50)並びに式(51)を満たすようにλ及びvを決定する。λは、所定波長λを表すための格子点110の数であるため、空間的離散化条件が決定されることになる。
次に、上記アルゴリズムを実施するための解析装置、シミュレーション方法及びシミュレーションプログラムについて説明する。
図4は、本発明に係るシミュレーション方法の一例を実施するための解析装置のブロック図である。
図4に示した解析装置30は、例えばパーソナルコンピュータ装置やワークステーション等のコンピュータ装置であり、主な構成要素として、入力手段31、メモリ32、中央処理装置33及び出力手段34を備えている。
入力手段31は、キーボードなどであり、シミュレーションを実施するためのパラメータを含む入力データを受け付ける。上記パラメータとしては、入射ビーム20の波長λとそれに対応する角周波数ωλを含む入射ビーム20に関する諸条件、角周波数ωλに対するε及びεの実測値、金属細線11の条件及び境界条件、及び、シミュレーションでの最大時刻tmax(tmax=nΔt)等である。金属細線11の諸条件としては、金属細線11の幅w及び厚さh並びに周期Λである。また、入射ビーム20に関する条件としては上記の他に、入射ビーム20の偏光状態(例えばTEモード又はTMモード等)、入射ビーム20の金属回折格子10への入射角θin(金属回折格子法線Nと入射ビーム20との為す角)等である。
メモリ32は、解析装置30を動作させるための種々のプログラムや、入力手段31からの入力データや、後述するシミュレーション方法に沿ってFDTD解析を実施するためのFDTDプログラム(シミュレーションプログラム)40及びFDTDプログラム40を実施中又は実施後の計算結果を記憶する。FDTDプログラム40は、式(44)〜式(51)に基づいて空間離散化条件、すなわち、λを決定せしめる離散化条件決定モジュール41と、TMモード及びTEモードに分けて説明したアルゴリズムに基づいてFDTD法を実行するための解析モジュール42とを含んで構成されている。
中央処理装置33は、メモリ32に記憶されているFDTDプログラム40を読み込み、シミュレーションのための種々の演算を実行する。また、中央処理装置33は、メモリ32に記憶されている各種プログラムを読み込み、解析装置30の構成要素を制御する機能も有する。
出力手段34は、例えばディスプレイなどであり、中央処理装置33で算出されて得られるシミュレーション結果を表示する。
次に、FDTD法に従ったシミュレーション方法について説明する。図5は、シミュレーション方法を示すフローチャートである。シミュレーションは、解析装置30のメモリ32に格納されているFDTDプログラム40を中央処理装置33が読み込み実行することで実施される。
図5に示すように、ステップS10で操作者が入力手段31を介してシミュレーション用のパラメータを入力する(入力工程)。入力手段31がパラメータを受け付けると、メモリ32がそのパラメータを記憶する。
次に、ステップS20において、離散化条件を決定する(離散化条件決定工程)。この離散化条件決定工程では、中央処理装置33が、ステップS10で入力されたε及びεの値並びに式(44)〜式(51)を利用して、式(47),式(48)及び式(51)を満たすλ及びvを決定する。この際、式(47),式(48)及び式(51)を満たすλ及びνが複数ある場合には、例えば、中央処理装置33がそれらを比較してλが最小となる場合を選択するようにすることが好ましい。これにより、少ない格子点110の数で安定したシミュレーションが可能となるからである。
続くステップS30では、ステップS20で決定された空間的な離散化条件で規定されるFDTD領域100に、ステップS10で入力された諸条件を満たす金属回折格子10を設定し、FDTD領域100における電磁界を時間ステップ間隔Δt毎に算出する(解析工程)。この解析工程(ステップS30)においては、ステップS10で入力された境界条件を必要に応じて使用する。本実施形態では、Δt=1である。
TEモードとTMモードとで使用するアルゴリズムが異なるため、ステップS30では、(i)入射ビーム20がTEモードとして与えられている場合、(ii)入射ビーム20がTMモードとして与えられている場合、に分けて解析を実施する。
図6は、図5の解析処理のフローチャートである。解析処理では、先ず、ステップS31において、入射ビーム20の偏光状態を判定する。以下、ステップS10において入射ビーム20がTEモードで与えられている場合及び入射ビーム20がTMモードで与えられている場合について説明する。
(i)入射ビーム20がTEモードで与えられている場合、ステップS32Aにおいて、セルの電磁界を初期化する。具体的には、各セルにおける電界E及び磁界Hの各軸方向の成分を0とする。
続いてステップS33Aに進み、式(37)及び式(30)を利用して電界Eを算出し、電界Eをアップデートすると共に、時刻tをアップデートする。なお、式(30)におけるc,cの値としては、ステップS20で決定されたλ及びvにより規定されるc1,F及びc2,Fの値を採用すればよい。
ステップS33Aで全てのセルにおける電界Eを算出すると、ステップS34Aに進み、アップデートされた時刻tが最大時刻tmaxであるか否かを判定する。時刻tが最大時刻tmaxより小さい場合(ステップS34AでY)には、ステップS33Aに戻る。
次に、(ii)入射ビーム20がTMモードで与えられている場合について説明する。この場合、ステップS32Bにおいて、セルを初期化する。具体的には、各セルにおける電界E及び磁界Hの各軸方向の成分を0とする。次いで、ステップS33Bに進み、式(33)及び式(34)並びに式(29)を利用して各セルの電界E及び磁界Hを算出し、電界E及び磁界Hをアップデートすると共に、時刻tをアップデートする。式(29)におけるc,cの値に対しては、TEモードの場合と同様である。
ステップS33Bで全てのセルにおける電界E及び磁界Hを算出すると、ステップS34Bに進み、アップデートされた時刻tが最大時刻tmaxであるか否かを判定する。時刻tが最大時刻tmaxより小さい場合(ステップS34Bで「Y」の場合)には、ステップS33Bに戻る。なお、図6中では、TEモード及びTMモードに分けて説明するために、時刻tと最大時刻tmaxとの大小関係の判定ステップを2つに分けて説明しているが、ステップS34A及びステップS34Bは実質的に同じステップである。
ステップS34A又はステップS34Bにおいて、時刻tが最大時刻tmax以上である場合(ステップS34A,S34Bで「N」の場合)には、図5に記載のステップS40に進み、解析結果を出力手段34により出力する(出力工程)。
また、本実施形態におけるFDTD法の実施では、上述した各式を使用する点以外は、従来のFDTD法のシミュレーション方法と同様であることから詳細な説明は省略している。また、金属細線11以外の部分のセルに関しては、通常の空気中又は真空中を伝搬する電磁波に対するマクスウェル方程式又は波動方程式を扱う場合のFDTD法と同様に、TEモードに関しては下記式(52)を利用し、TMモードに関しては式(53)及び下記式(54)を利用すればよい。
Figure 0005113572

Figure 0005113572

Figure 0005113572

式(52)及び式(53)中において、a=(σΔt)/(2ε)であり、σ及びεは隣接する金属細線11間の媒質の電導度及び誘電率である。また、μは隣接する金属細線11間の媒質の透磁率である。
以上説明した本実施形態のシミュレーション法及びFDTDプログラムでは、解析対象としての金属回折格子10が有する金属細線11の誘電率に対してドルーデの分散式を適用してアルゴリズムを定式化している。また、金属細線11の誘電率に対して実測値を採用することでFDTD領域100の空間的な離散化を図っている。そして、空間離散化を図ることでアルゴリズムの安定性も保証している。その結果、金属回折格子10に入射ビーム20が入射した場合の電磁界を、より正確に安定してシミュレーションすることが可能である。
また、TEモードに対するシミュレーションでは、マクスウェル方程式から導かれる波動方程式を利用していることから、シミュレーションのアルゴリズムを簡略化することができている。その結果、シミュレーションに要する時間の短縮化も図られている。更に、本実施形態のシミュレーション方法及びFDTDプログラムでは、RC法を採用しているため、メモリ32に蓄えるべきデータ量を低減することが可能となっている。
次に、本実施形態で説明したシミュレーション方法及びFDTDプログラムを用いた金属回折格子10のシミュレーション結果について説明する。ここでは、実施例1及び実施例2として2つの金属回折格子10についてそれぞれシミュレーションを実施した。
実施例1のシミュレーションの条件は以下のとおりである。
・金属細線11の材料:銀
・金属回折格子10の周期Λ:176.125nm
・金属回折格子10のフィルファクタ(w/Λ):0.5
・金属細線11の厚さh:100nm
・入射ビーム20の波長λ:704.5nm(角周波数ωλ:2.676×1015/sec)
・入射ビーム20の位相速度v:3×10m/sec
・角周波数ωλに対するεの値:−23.405
・角周波数ωλに対するεの値:0.387
実施例2のシミュレーションの条件は以下のとおりである。
・金属細線11の材料:銀
・金属回折格子10の周期Λ:496nm
・金属回折格子10のフィルファクタ(w/Λ):0.5
・金属細線11の厚さh:496nm
・入射ビーム20の波長λ:496nm(角周波数ωλ:3.8×1015/sec)
入射ビーム20の位相速度v:3×10m/sec
・角周波数ωλに対するεの値:−9.564
・角周波数ωλに対するεの値:0.309
実施例1,2では、入射ビーム20をTEモード及びTMモードとしてそれぞれ与えた場合に、入射角θinを変えながら図5,6に示したフローチャートに基づいてシミュレーションを実施した。なお、実施例1,2では、金属回折格子10の大きさはx軸方向に無限であることを仮定している。
実施例1の条件の場合、ステップS20において、λが704.5nmであり、εが−23.405であり、εが0.387であるとき、λは35.227であり、νは0.538であった。この場合、c1,Fは0.225であり、c2,Fは1.002である。また、実施例2の条件の場合、ステップS20において、λが496nmであり、εが−9.564であり、εが0.309であるとき、λは35.227であり、νは0.538であった。この場合、c1,Fは0.098であり、c2,Fは1.003である。
図7は、実施例1の場合のシミュレーション結果に基づいた透過スペクトル及び反射スペクトルを示している。図7の横軸は入射角θin(°)を示し、縦軸は透過率(%)及び反射率(%)を示している。透過率及び反射率は、入射ビーム20の光強度に対する透過ビーム及び反射ビームの光強度の比として定義している。図8は実施例2のシミュレーション結果に基づいた透過スペクトル及び反射スペクトルを示している。図8の横軸及び縦軸は図7の場合と同様である。なお、図7及び図8のシミュレーション結果は、銀から構成される無限の大きさの金属回折格子10におけるファーフィールドでの透過率及び反射率に基づいている。ファーフィルでの結果は、FDTD法を実行して得られる複素電磁界を金属回折格子10の周囲を囲む閉曲線に沿って統合することによって計算される。
図7及び図8に示すように、上記シミュレーションにより、TEモード及びTMモードに対して透過特性及び反射特性を得ることができる。そして、上記シミュレーションにより、金属回折格子10の構成の違いによる特性の違いが現れていることがわかる。例えば、図7に示すように、上記シミュレーションにより、実施例1の金属回折格子10では、TEモードの多くは反射しており、透過が抑制されている。また、実施例1の金属回折格子10では、TMモードの多くが透過させることができている一方、その一部を反射させることが可能となっている。このように金属回折格子10の構成では偏光分離ができていることがわかる。また、図8に示すように、実施例2の金属回折格子10では、TMモード及びTEモードが共に透過可能であるが、TEモードの方がより多く透過させることができており、TMモードの透過率を入射角θinが0〜60°で10%〜40%に抑制できていることがわかる。
よって、上記シミュレーション方法及びFDTDプログラムを利用すれば、金属回折格子10に関するパラメータを変更することで、所望の透過特性及び反射特性を備えた金属回折格子10を設計可能であることになる。
図9は、図1に示した金属回折格子が適用された導光板ユニットの構成を模式的に示す側面図である。導光板ユニット50は、略直方体形状の導光板51と導光板51の表面51a上に金属回折格子10が設けられて構成されている。導光板ユニット50は、導光板51の側面51bの側方に光源(不図示)が配置されることで面光源装置として利用することができる。
光源から出力され側面51bから導光板51内に入射された光(ビーム)は、導光板51内を側面51c側に向けて伝搬する。この導光板51内を伝搬する光が金属回折格子10に入射すると、金属回折格子10の回折により、入射された光の一部は導光板ユニット50から出射され、他の部分は主に導光板51内に戻される。
このように金属回折格子10を導光板ユニット50の一部として利用する場合には、金属回折格子10が偏光分離素子として設計されていることが好ましい。具体的には、所定の偏光成分(例えば、P偏光成分としてのTMモード)が選択的に透過され、他の光が反射されて導光板51内に戻されるように、金属回折格子10が設計されていることが好ましい。この場合、導光板ユニット50からは所定の偏光成分が支配的なビーム(透過ビーム21)が出射されることになるので、導光板ユニット50からの出射ビームを、例えば液晶表示装置におけるバックライトとして好適に使用することができる。そして、このようなバックライトを使用する液晶表示装置では、不要偏光を除去する光学素子が不要となるため、小型化や薄型化を図ることが可能である。
そして、上述したような特性を有する金属回折格子10を設計するために、前述したシミュレーション方法及びFDTDプログラムが有効である。金属回折格子10を、例えば液晶表示装置が有する面光源装置で使用する場合には、所定波長λは、可視領域の波長として、シミュレーションを実施すればよい。
金属回折格子10を導光板51上に設ける際には、図1及び図2に示したように、金属回折格子10のみを解析対象としてシミュレーションを実施してもよいが、例えば、図9に示したように、板状の導光板51を含む導光板ユニット50を解析対象としても良い。
この場合、導光板51に対応するセルでは、FDTD法のアルゴリズムとして以下の式を利用すればよい。すなわち、TEモードの場合には式(55)を利用し、TMモードの場合には、式(56)及び式(57)を利用すればよい。
Figure 0005113572

Figure 0005113572

Figure 0005113572

式(55)及び式(56)中においては、a=(σΔt)/(2ε)であり、σ及びεは導光板51の電導度及び誘電率である。また、μは導光板51の透磁率である。
また、上記実施形態では、入射ビーム20は、TEモード又はTMモードとして与えられるとしたが、例えば、TEモード及びTMモードを含む非偏光状態の入射ビーム20を与えても良い。この場合には、解析工程(ステップS30)において、入射ビーム20中のTEモードに対しては、ステップS33Aで説明した場合と同様にして電界Eを算出し、入射ビーム20中のTMモードに対しては、ステップS33Bで説明した場合と同様にして電界E及び磁界Hを算出し、それらを組み合わせて各セルの電界E及び磁界Hとすればよい。
TMモード及びTEモードに対して算出した電界E及び磁界Hの組み合わせ方としては、各セルに対して算出した電界E及び磁界Hそれぞれの加重平均をとることができる。例えば、一つのセルに対応して、TMモードに対して算出した電界をETMとし、TEモードに対して算出した電界をETEとしたとき、そのセルにおける電界を(ETM+ETE)/2とすることができる。磁界についても同様である。なお、このように加重平均をとる場合には、例えば、入射ビーム20をTEモード及びTMモードからなる光であると仮定して算出した電界E及ぶ磁界Hについてそれぞれ前述のように加重平均を算出することで、非偏光状態の入射ビーム20が入射した場合の電界E及び磁界Hとすることもできる。
また、金属回折格子10は、図9を利用して説明したように導光板ユニット50に利用することができるが、例えば、光学系内の所定の位置に配置される偏光分離素子として利用することもできる。この場合、例えば、TEモード及びTMモードを完全分離するように金属回折格子10を設計することが考えられる。
また、本発明に係るシミュレーションプログラムは、例えば、TEモード及びTMモードの何れにも対応可能なプログラムとして説明したが、TEモードに対するプログラム及びTMモードに対するプログラムすることもできる。そして、シミュレーション方法における解析工程(ステップS30)では、図6に示したステップS32における判定工程を省略して、図6に示したTEモード及びTMモードの各工程に沿ってシミュレーションを実施することも可能である。更に、上記実施形態では、2次元のFDTD法について説明したが、3次元のFDTD法に拡張することもできる。更に、上記実施形態では金属部材を含む構造物として金属回折格子10を例示して説明したが、上記構造物は金属回折格子に限定されず、本発明に係るシミュレーション方法及びシミュレーションプログラムは、金属部材を含む任意の構造物に対して適用することができる。
本発明に係るシミュレーション方法の一実施形態適用して設計するための光学素子の模式図である。 FDTD領域に設定された図1に示した光学素子の模式図である。 角周波数に対する誘電率の実測値及びフィッティングカーブの一例を示す図面である。 本発明に係るシミュレーション方法の一実施形態を適用するための解析装置のブロック図である。 本発明に係るシミュレーション方法の一実施形態のフローチャートである。 図5の解析処理のフローチャートである。 実施例1のシミュレーション結果に基づいた透過スペクトル及び反射スペクトルを示す図面である。 実施例2のシミュレーション結果に基づいた透過スペクトル及び反射スペクトルを示図面である。 図1に示した光学素子を含む導光板ユニットの構成を模式的に示す側面図である。
符号の説明
10…金属回折格子(構造物)、11…金属細線(金属部材)、20…入射ビーム(電磁波)、100…FDTD領域、110…格子点。

Claims (10)

  1. 金属部材を含む構造物に電磁波が入射した場合の電磁界を、FDTD法に従って解析するためのシミュレーション方法であって、
    前記構造物の解析モデルが配置されるFDTD領域の空間離散化条件を、前記金属部材の誘電率を基にコンピュータにより決定する離散化条件決定工程と、
    前記離散化条件決定工程で決定された前記空間離散化条件に基づいて、前記解析モデルに前記電磁波が入射した場合の電磁界を、帰納的畳み込み法を用いた前記FDTD法に従って前記コンピュータにより算出する解析工程と、
    を備え、
    前記離散化条件決定工程では、前記帰納的畳み込み法において前記誘電率をドルーデの分散式で表すことで得られる帰納的関係式内の2つの変数c1,F,c2,Fであって、前記FDTD領域において前記電磁波が有する所定波長を表すための格子点の数及び前記FDTD領域における前記電磁波の解析用速度並びに前記金属部材の前記誘電率を含むプラズマ角周波数ωp、F及び衝突周波数νc,Fを用いて下記式(1),(2)で表される前記変数c1,F,c2,F
    Figure 0005113572

    Figure 0005113572

    において、
    前記プラズマ角周波数ωp,F及び前記衝突周波数νc,Fに含まれる前記誘電率を、前記所定波長の前記電磁波に対する実測値又は実測値に基づいて決まる値とした場合に、前記変数c1,F,c2,Fが、前記FDTD法における安定化条件に含まれる下記式(3)及び式(4)を満たすと共に、
    Figure 0005113572

    Figure 0005113572

    前記解析用速度が0.7より小さくなるように、前記格子点の数及び前記解析用速度を、前記コンピュータによって決定することを特徴とするシミュレーション方法。
  2. 実空間における前記所定波長をλ、前記電磁波の速度をv及び前記所定波長に対応する角周波数をωλとし、前記FDTD領域における前記格子点の数をλ、前記解析用速度をvとし、前記角周波数ωλに対する前記誘電率の実部及び虚部の値をε及びεとし、前記角周波数ωλに対応する前記FDTD領域における解析用角周波数ωを、
    Figure 0005113572

    としたとき、前記衝突周波数νc,F及び前記プラズマ角周波数ωp、Fは、
    Figure 0005113572

    Figure 0005113572

    として与えられることを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
  3. 前記解析工程では、
    前記電磁波におけるTEモードに対しては、マクスウェル方程式から導かれる波動方程式に前記帰納的畳み込み法を適用して得られる第1の電磁界解析用の式を、前記帰納的関係式を利用して前記コンピュータにより解くことを特徴とする請求項1又は2に記載のシミュレーション方法。
  4. 前記解析工程では、
    前記電磁波におけるTMモードに対しては、マクスウェル方程式に前記帰納的畳み込み法を適用して得られる第2の電磁界解析用の式を、前記帰納的関係式を利用して前記コンピュータにより解くことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のシミュレーション方法。
  5. 前記解析工程では、
    前記電磁波がTMモード及びTEモードを共に含む場合には、前記TEモードに対しては、マクスウェル方程式から導かれる波動方程式に前記帰納的畳み込み法を適用して得られる第1の電磁界解析用の式を、前記帰納的関係式を利用して解き、前記TMモードに対しては、マクスウェル方程式に前記帰納的畳み込み法を適用して得られる第2の電磁界解析用の式を、前記帰納的関係式を利用して解き、前記TMモード及び前記TEモードに対して得られた電磁界に基づいて前記FDTD領域における電磁界を算出する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシミュレーション方法。
  6. 金属部材を含む構造物に電磁波が入射した場合の電磁界を、FDTD法に従って解析するためのシミュレーションをコンピュータに実行させるためのシミュレーションプログラムであって、
    前記構造物の解析モデルが配置されるFDTD領域の空間離散化条件を、前記金属部材の誘電率を基にコンピュータにより決定する離散化条件決定工程と、
    前記離散化条件決定工程で決定された前記空間離散化条件に基づいて、前記解析モデルに前記電磁波が入射した場合の電磁界を、帰納的畳み込み法を用いた前記FDTD法に従って前記コンピュータにより算出する解析工程と、
    を前記コンピュータに実行させ、
    前記離散化条件決定工程では、前記帰納的畳み込み法において前記誘電率をドルーデの分散式で表すことで得られる帰納的関係式内の2つの変数c1,F,c2,Fであって、前記FDTD領域において前記電磁波の所定波長を表すための格子点の数及び前記FDTD領域における前記電磁波の解析用速度並びに前記金属部材の前記誘電率を含むプラズマ角周波数ω及び衝突周波数νc, Fを用いて下記式(8),(9)で表される前記変数c1,F,c2,F
    Figure 0005113572

    Figure 0005113572

    において、
    前記プラズマ角周波数ωp,F及び前記衝突周波数νc,Fに含まれる前記誘電率を、前記所定波長の前記電磁波に対する実測値又は実測値に基づいて決まる値とした場合に、前記変数c1,F,c2,Fが、前記FDTD法における安定化条件に含まれる下記式(10)及び式(11)を満たすと共に、
    Figure 0005113572

    Figure 0005113572

    前記解析用速度が0.7より小さくなるように、前記格子点の数及び前記解析用速度を、前記コンピュータに決定せしめることを特徴とするシミュレーションプログラム。
  7. 実空間における前記電磁波の前記所定波長をλ、前記電磁波の速度をv及び前記所定波長に対応する角周波数をωλとし、前記FDTD領域における前記格子点の数をλ、前記解析用速度をvとし、前記角周波数ωλに対する前記誘電率の実部及び虚部の値をε及びεとし、前記角周波数ωλに対応する前記FDTD領域における解析用角周波数ωを、
    Figure 0005113572

    としたとき、前記衝突周波数νc,F及び前記プラズマ角周波数ωp,Fは、
    Figure 0005113572

    Figure 0005113572

    として与えられることを特徴とする請求項6に記載のシミュレーションプログラム。
  8. 前記解析工程では、
    前記電磁波におけるTEモードに対しては、マクスウェル方程式から導かれる波動方程式に前記帰納的畳み込み法を適用して得られる第1の電磁界解析用の式を、前記帰納的関係式を利用して前記コンピュータに解かさしめることを特徴とする請求項6又は7に記載のシミュレーションプログラム。
  9. 前記解析工程では、
    前記電磁波におけるTMモードに対しては、マクスウェル方程式に前記帰納的畳み込み法を適用して得られる第2の電磁界解析用の式を、前記帰納的関係式を利用して前記コンピュータに解かさしめることを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載のシミュレーションプログラム。
  10. 前記解析工程では、
    前記電磁波がTMモード及びTEモードを共に含む場合には、前記TEモードに対しては、マクスウェル方程式から導かれる波動方程式に前記帰納的畳み込み法を適用して得られる第1の電磁界解析用の式を、前記帰納的関係式を利用して前記コンピュータに解かさしめて、前記TMモードに対しては、マクスウェル方程式に前記帰納的畳み込み法を適用して得られる第2の電磁界解析用の式を、前記帰納的関係式を利用して前記コンピュータに解かさしめて、前記TMモード及び前記TEモードに対して得られた電磁界に基づいて前記FDTD領域における電磁界を算出する、ことを特徴とする請求項6又は7に記載のシミュレーションプログラム。
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