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JP5113692B2 - ボタン穴かがり縫いミシン - Google Patents
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JP5113692B2 - ボタン穴かがり縫いミシン - Google Patents

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Description

本発明は、ボタン穴かがり縫いミシンに関する。
ボタン穴かがり縫いミシンは、被縫製物にボタン穴を形成すべく、被縫製物を切断するメスと、このメスに対向配置され、メスとの間に被縫製物を挟み込んでメスに被縫製物を切断させるメス受けと、を備えている。ボタン穴かがり縫いミシンは、左右の側縫い部を含むボタン穴かがり縫い目を被縫製物に形成する前又は形成した後に、メス又はメス受けのうち一方をパルスモータにより他方に向けて移動させて被縫製物の左右の側縫い部の間にボタン穴を形成する。
具体的には、図6に示すように、パルスモータ101が回転駆動すると、その出力軸に設けられたモータギヤ102が回転し、その回転は伝達ギヤ103に伝達される。伝達ギヤ103の回転により、ボールネジ104は軸回りに回転し、ボールネジ104の回転によりハウジング105がボールネジ104の軸線方向に沿って移動する。ハウジング105の移動により、リンク機構106が動作し、リンク機構106に連結されている駆動軸107が軸回りに回転する。駆動軸107が回転すると、直動ギヤ108も回転し、直動ギヤ108に噛み合うラック部109を有する直動シャフト110は上下方向に動作する。この直動シャフト110の下端部にはメス受け111が設けられており、ミシンベッドにおけるメス受け111との対向位置にはメス112が設けられている。従って、直動シャフト110の上下動によりメス受け111をメス112に接離させることによってメス受け111とメス112とに挟まれた布にボタン穴を形成することができる(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−327782号公報
しかしながら、上記特許文献1の場合、予め設定されたパルス数だけパルスモータ101が駆動し、メス受け111を上下動させる制御であったため、メス112に対するメス111のストロークが適正に調整されていない場合、例えば、ストロークが短すぎて被縫製物に十分なメス圧をかけることができずにボタン穴が形成されないことや、ストロークが長すぎてメス受け111とメス112が衝突し、メス112が刃こぼれを起こしてしまうなどのトラブルが生じてしまうことがあった。
本発明の目的は、適切にボタン穴を形成することができるボタン穴かがり縫いミシンを提供することである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
被縫製物を切断するメスと、このメスに対向配置され、メスとの間に被縫製物を挟み込んで前記メスに被縫製物を切断させるメス受けと、を有し、左右の側縫い部を含むボタン穴かがり縫い目を被縫製物に形成する前又は形成した後に、前記メス又は前記メス受けのうち一方を他方に向けて移動させて被縫製物の左右の側縫い部の間にボタン穴を形成するボタン穴かがり縫いミシンにおいて、
前記メス又は前記メス受けに連結され、前記メス又は前記メス受けを往復移動させる布切り駆動手段と、
ボタン穴形成時に前記布切り駆動手段の駆動を制御する制御手段と、
前記メス又は前記メス受けが移動する移動量を検出する移動量検出手段と、
前記メス又は前記メス受けが前記被縫製物と接触する際の荷重を検出する荷重検出手段と、
前記メス又は前記メス受けの前記移動量に対する前記荷重の上昇度に関する閾値を記憶する荷重値上昇度記憶手段と、
前記メス又は前記メス受けのボタン穴形成動作に伴う前記移動量に対する前記荷重の上昇度が、前記荷重値上昇度記憶手段に記憶された前記閾値に達したか否かを判断する判断手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記判断手段が前記メス又は前記メス受けの前記移動量に対する前記荷重の上昇度が前記閾値を越えたと判断した場合に、前記布切り駆動手段の駆動を逆転させて前記メスと前記メス受けを離間させることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、ボタン穴かがり縫いミシンは、メス又はメス受けのボタン穴形成動作に伴う移動量に対する荷重の上昇度が、荷重値上昇度記憶手段に記憶されている閾値に達したとの判断により、ボタン穴の形成完了を判断することができ、その判断に伴って布切り駆動手段の駆動を逆転させて、メスとメス受けを離間させることができるので、被縫製物を切断してボタン穴を形成した後、メスとメス受けとが近接し過ぎて、メスが刃こぼれするなど損傷してしまうことを低減することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のボタン穴かがり縫いミシンにおいて、
前記判断手段は、前記荷重検出手段によって検出された前記荷重の値が少なくとも1回、上昇から下降に転じた後の上昇度について、前記閾値を越えたか否かを判断することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、荷重検出手段により検出された荷重の値が、少なくとも1回上昇から下降に転じた後であって布の切断が行われた後に、メスとメス受けとが直接接触したことにより急激に上昇したことに対応し、その荷重の変化率である上昇度が閾値を越えたとの判断によって、ボタン穴が形成されたことを判断するので、より確実にボタン穴形成の完了を判断することができる。
つまり、単に検出した荷重の値のみによるボタン穴形成完了の判断であると、メスの切れ味の悪化に伴い、布の切断時の荷重値が上昇してしまうことで、一定の閾値を定めることができないのために、ボタン穴の形成完了の判断が困難になる。これに比べて、メス又はメス受けのボタン穴形成動作に伴う移動量に対する荷重の上昇度に関する閾値に基づきボタン穴の形成完了の判断を行う本発明の技術によれば、より確実にボタン穴形成の完了を判断することができるのである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のボタン穴かがり縫いミシンにおいて、前記布切り駆動手段は、パルスモータであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、パルスモータの駆動によって、メス又はメス受けのボタン穴形成動作の制御を好適に行うことができる。
本発明によれば、このボタン穴かがり縫いミシンは、メス又はメス受けのボタン穴形成動作に伴う移動量に対する荷重の上昇度が、荷重値上昇度記憶手段に記憶されている閾値に達したとの判断により、ボタン穴の形成完了を判断することができ、ボタン穴を形成しそこなうことや、メスやメス受けが損傷してしまうことがなく、適切にボタン穴を形成することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係るボタン穴かがり縫いミシンの実施形態について、説明する。
(ボタン穴かがり縫いミシンの構成)
図1は、本実施形態に係るボタン穴かがり縫いミシン(以下、単に「ミシン」という)1の概略構成を示す図である。
ミシン1は、自動制御により被縫製物である布に所定形状のボタン穴を形成するとともにボタン穴の周囲にかがり縫いを施すミシンであり、布が上面に載置されるベッド部2、ベッド部2から上方に立設された脚柱部3、脚柱部3からベッド部2上にその長手方向に沿って延出したアーム部4、布を水平面内で移動させる送り台5、送り台5の上面に布を押える布押さえ6、ボタン穴を形成するための布切断装置10、ミシン1の動作を制御する制御装置7(図3参照)等から構成されている。
(布切断装置)
布切断装置10は、ボタン穴かがり縫いの際に、ボタン穴かがり縫い目における左右の側縫い部の間に鳩目ボタン穴や眠り目ボタン穴を形成する装置である。
図1、図2に示すように、布切断装置10は布切り装置20を備えている。
布切り装置20は、布を切断するメス50と、メス50に対向配置され、そのメス50との間に布を挟み込んでメス50に布を切断させるメス受け30とを備えている。この布切り装置20において、メス受け30が上、メス50が下となって対向するように配置されている。
本実施形態のミシン1においては、メス受け30が上下動可能とされ、メス50が固定されている。従って、メス受け30をメス50に押しつけることにより、メス受け30とメス50の間に挟み込んだ布にボタン穴を形成することができる。
メス受け30は、取付台31に取り付けられている。
取付台31は、上下軸32にネジ33によって固定されている。
上下軸32は、布切り駆動手段であるパルスモータ11(図3参照)の駆動によって上下動される。この上下軸32は、アーム部4の下面に設けられたメタル34に上下に移動可能に嵌合されており、メタル34にネジ35によって取り付けられている。
そして、パルスモータ11の駆動により、メス受け30は、上死点となる原点位置と下死点となるメス50との接触位置との間で上下方向に沿った往復移動を行う。
メス50は、ベッド部2の上面にネジ51によって固定されたメス土台52にメス固定板53とネジ54によって固定されている。
また、メス土台52には、メス受け30とメス50の間に布を挟み込んだ際の荷重を検出する荷重検出手段としてのロードセル60が配設されている。
(制御装置)
図3に示すように、制御装置7は、ミシン1の駆動に関する演算処理を行って、駆動源(例えば、パルスモータ11)等の制御を行うCPU71と、縫製や布切りに関して必要なデータやパラメータ、ミシン1の駆動制御に必要なプログラムが記憶されるとともに、CPU71の作業場ともなるメモリ72と、CPU71にインターフェイス回路73を介して接続され、パルスモータ11に駆動指令パルスを送信するドライブ回路74と、を備えている。
制御装置7には、メス受け30を原点位置と接触位置との間で往復移動させるパルスモータ11が連結されている。このパルスモータ11には、回転時の回転量(回転パルス)を検出するエンコーダ12が接続されており、パルスモータ11の回転量をリアルタイムで検出することができる。このパルスモータ11は、布切断装置10のメス受け30に連結されており、メス受け30の駆動源となる。なお、エンコーダ12が検出したパルスモータ11の回転量に関するデータは、CPU71に送出される。
また、制御装置7には、荷重検出用のロードセル60が連結されており、メス受け30とメス50の間に挟み込んだ布にボタン穴を形成する際の荷重をリアルタイムで検出することができる。なお、ロードセル60が検出した荷重に関するデータは、CPU71に送出される。
制御装置7は、糸に張力を付与する糸調子装置15のソレノイド(図示省略)に接続されている。
制御装置7は、布を送り方向に送る送り装置16の送りモータ(図示省略)に接続されている。
制御装置7は、ミシン1のオペレータが操作指示を入力すると共に、オペレータに報知する情報が表示される操作パネル17に接続されている。この操作パネル17は、布にボタン穴を形成する際に切断に用いるメス50の長さや各種設定値を入力することができるようになっており、操作パネル17は、入力手段として機能する。
メモリ72には、ボタン穴形成時にパルスモータ11の駆動を制御する制御プログラムが記憶されている。そして、CPU71が制御プログラムを実行することにより、制御装置7は、制御手段として機能する。
また、制御手段としての制御装置7は、移動量検出手段としてのエンコーダ12が検出したパルスモータ11の回転量に基づき、メス受け30の移動量を検出する移動量検出手段の一部として機能する。なお、パルスモータ11の回転量に対応するメス受け30の移動量のデータテーブルはメモリ72に格納されている。
また、メモリ72には、メス受け30の移動量に対する荷重の上昇度に関する閾値が記憶されている。すなわち、メモリ72は、荷重値上昇度記憶手段として機能する。
ここで、メモリ72に記憶されている、メス受け30の移動量に対する荷重の上昇度に関する閾値について説明する。
制御装置7のCPU71に入力されるパルスモータ11の回転量に対応するメス受け30の移動量(ストローク)と、ロードセル60が検出した荷重との相関は、図4(a)(b)に示すグラフのようになる。図4(a)は、2枚重ねの布を切断してボタン穴を形成した場合のグラフであり、図4(b)は、6枚重ねの布を切断してボタン穴を形成した場合のグラフである。
パルスモータ11の駆動に伴い、メス受け30が移動して布と接触すると、ロードセル60が検出する荷重が上昇する。更にメス受け30が移動し、メス受け30とメス50の間に挟み込んだ布にボタン穴を形成する際、1枚の布を切断する毎に検出される荷重は一時的に上昇から下降に転じるので、グラフには布1枚の切断が1つのピークとなって現れる(図4(a)では2枚分の2つのピーク、図4(b)では6枚分の6つのピーク)。そして、全ての布を切断した後、金属同士のメス受け30とメス50とが直接接触するようになるので、布の切断枚数に応じた所定数のピークの後、その荷重が急激に上昇する(図4参照)。
このメス受け30とメス50とが直接接触した際の荷重の上昇度である、グラフの傾き(荷重/移動量(ストローク))が閾値としてメモリ72に記憶されている。
また、メモリ72には、メス受け30のボタン穴形成動作に伴う移動量に対する荷重の上昇度が、メモリ72に記憶された閾値に達したか否かを判断するための判断プログラムが記憶されている。そして、CPU71が判断プログラムを実行することにより、制御装置7は、判断手段として機能する。
この判断手段としての制御装置7が、メス受け30の移動量(ストローク)に対する荷重の上昇度が閾値を越えたと判断した場合、制御装置7は、パルスモータ11の駆動を逆転させてメス50とメス受け30を離間させる処理を実行する。そして、荷重の上昇度が閾値を越えたと判断した制御装置7が、速やかにメス50からメス受け30を離間させることで、メス50とメス受け30との接触を最低限にするようになっている。
なお、判断手段としての制御装置7は、ロードセル60によって検出された荷重の値が少なくとも1回、上昇から下降に転じた後の上昇度について、閾値を越えたか否かの判断を行うようになっている。つまり、判断手段としての制御装置7は、メス受け30とメス50の協働によって布が切断されてボタン穴が形成された後の荷重値の上昇度が、閾値を越えたか否か判断する。
また、メモリ72には、メス受け30が接触位置に到達する以前であって、メス受け30が布と接触する前の荷重に関する所定の制限値が記憶されている。そして、制御装置7は、メス受け30が接触位置に到達するまで、ロードセル60により検出される荷重が制限値以下であるか否かの監視を行うようになっている。
また、メモリ72には、メス受け30が布と接触する接触位置までのストロークである所定の設定高さが記憶されている。そして、制御装置7は、メス受け30が接触位置まで移動したか否かの監視を行うようになっている。
また、メモリ72には、メス50が布を切断する際の最大荷重に関する所定の切断時設定値が記憶されている。そして、制御装置7は、メス50が布を切断する際に検出される荷重が切断時設定値以下であるか否かの監視を行うようになっている。
なお、制限値、設定高さ、切断時設定値は、操作パネル17を介してオペレータによって設定入力、設定変更が可能になっている。
(メス及びメス受けの駆動制御)
次に、ミシン1におけるボタン穴の形成に際するメス受けの駆動制御について、図5に示すフローチャートに基づき説明する。
ミシン1においてボタン穴かがり縫いの実行中に、ボタン穴を形成する工程になると、制御装置7はパルスモータ11を作動させ、パルスモータ11の正転駆動によってメス受け30をメス50に向けて下降させる(ステップS101)。
次いで、制御装置7は、ロードセル60によって検出される荷重であって、布とメス受け30とが接触する前の荷重が制限値以下であるか否かを判断する(ステップS102)。
制御装置7が、検出された荷重が制限値を越えていると判断すると(ステップS102;No)、ステップS109へ進む。なお、被縫製物との接触前荷重が所定の制限値を越えてしまう場合には、ロードセル60を含むメス受け30の駆動機構に何らかの異常があるので、エラーとの判断がなされるのである。
一方、制御装置7が、検出された荷重が制限値以下であると判断すると(ステップS102;Yes)、ステップS103へ進む。
ステップS103において、制御装置7は、メス受け30が布と接触する位置である設定高さに到達したか否かを判断する(ステップS103)。
制御装置7が、メス受け30は設定高さに到達していないと判断すると(ステップS103;No)、ステップS102に戻り、メス受け30の下降を継続する。
一方、制御装置7が、メス受け30が設定高さに到達したと判断すると(ステップS103;Yes)、ステップS104へ進む。
ステップS104において、制御装置7は、ロードセル60によって検出される荷重であって、布をメス50が切断する際の切断時設定値以下であるか否かを判断する(ステップS104)。
制御装置7が、検出された荷重が切断時設定値を越えていると判断すると(ステップS104;No)、ステップS109へ進む。なお、検出される荷重が所定の切断時設定値を超えている場合には、メス50とメス受け30との間に布よりも硬い異物を挟み込んでしまった異常があるものとして、エラーとの判断がなされるのである。
一方、制御装置7が、検出された荷重が切断時設定値以下であると判断すると(ステップS104;Yes)、ステップS105へ進む。
ステップS105において、制御装置7は、メス受け30のボタン穴形成動作に伴う移動量に対する荷重の上昇度が、予めメモリ72に記憶されている閾値に達したか否かを判断する(ステプS105)。
制御装置7が、メス受け30の移動量(ストローク)に対する荷重の上昇度が閾値に達していないと判断すると(ステップS105;No)、ステップS104に戻る。
一方、制御装置7が、ロードセル60によって検出された荷重の値が少なくとも1回、上昇から下降に転じた後、メス受け30の移動量(ストローク)に対する荷重の上昇度が閾値を越えたと判断すると(ステップS105;Yes)、制御装置7は、全ての布の切断を終えて、ボタン穴の形成が完了したと判断し(ステップS106)、ステップS107へ進む。
また、ステップS109において、制御装置7は、異常検知に伴いパルスモータ11を停止させて(ステップS109)、ステップS107へ進む。
ステップS107において、制御装置7は、パルスモータ11の駆動を逆転させてメス受け30を上昇させ(ステップS107)、メス50からメス受け30を離間させる。
そして、メス受け30が原点位置である初期位置に復帰させて(ステップS108)、
ボタン穴形成を終了する。
このように、本発明に係るミシン1は、ロードセル60により検出された荷重に基づいて、ボタン穴の形成が完了したことを判断することができるので、布の切断が不十分でボタン穴が形成されていないというようなことが無くなり、作業性が向上する。
特に、ミシン1の制御装置7が、ロードセル60によって検出された荷重の値が少なくとも1回、上昇から下降に転じた後であって布の切断が行われた後に、メス受け30の移動量に対する荷重の上昇度が閾値を越えたとの判断によって、ボタン穴が形成されたことを判断するので、より確実にボタン穴形成の完了を判断することができる。
そして、ボタン穴形成の完了を判断した後、速やかにメス50からメス受け30を離間させることができるので、メス50とメス受け30との接触を最低限にして、メス50の刃こぼれなどのトラブルを低減することができる。
以上のように、ミシン1は、ロードセル60により検出された荷重に基づき、メス受け30の移動量に対する荷重の上昇度が閾値を越えたと制御装置7が判断することにより、ボタン穴形成の完了を判断することができるので、メス受け30とメス50の間に布を挟み込んで布を確実に切断するために、従来のようにメス受け30のストローク調整を厳密に行う必要がなくなる。そして、マシンメンテナンスの時間の短縮が得られるので、作業性やメンテナンス性の向上につながるメリットがある。
特に、このミシン1は、単に荷重を検出して、検出された荷重値に基づく布の有無(メス又はメス受けが布と接触したか否か)の判断や、検出された荷重が所定値以上になり、メス受け30とメス50とが接触したとの判断によってボタン穴形成の完了を判断するのではなく、荷重の変化率(図4に示す、メス受け30とメス50とが直接接触した際の荷重の上昇度であるグラフの傾き(荷重/移動量(ストローク))や、検出された荷重値が上昇から下降に転じるピークの有無など)によってボタン穴形成の完了を判断しているので、より確実なボタン穴形成完了の判断が可能になる。
つまり、単に検出した荷重の値のみによる判断であると、メス50の切れ味の悪化に伴い、布の切断時の荷重値が上昇してしまうので、一定の閾値を定めることができず、ボタン穴の形成完了の判断が困難になってしまうのである。
従って、ロードセル60により検出された荷重の変化率に基づき、ボタン穴形成の完了を判断することができるミシン1は、適切にボタン穴を形成することができるボタン穴かがり縫いミシンであるといえる。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、ミシン1の制御装置7が、メス受け30とメス50の間に挟み込んだ布にボタン穴を形成する際に、ロードセル60によって検出される荷重が上昇から下降に転じる布切断時ピーク(図4参照)の荷重値を記録するなどの監視を行うようにしてもよい。そして、制御装置7が、そのピーク時の荷重が予め設定されている限界値を越えた場合に、メス50の切れ味が悪化しているとの判断を行って、ミシンのオペレータにメス50の交換を促す報知を行うようにすれば、ミシン1の布切断装置10のメンテナンス性の向上につながる。
また、メス受け30の移動量毎、ストローク区間毎に、荷重の上昇度に関する閾値を設定してもよい。それによれば、布の厚みなどに応じた、より細分化された切断処理判断が可能になる。
なお、以上の実施の形態においては、メス50を下側、メス受け30を上側に配設し、メス受け30を上下動させる場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、メス50を上側、メス受け30を下側に配設してもよく、また、メス50を上下動させるようにしてもよい。
また、以上の実施の形態においては、荷重検出手段をロードセルとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、荷重検出手段が歪ゲージなどであってもよい。
また、以上の実施の形態では、本願発明を左右側縫い部を有するボタン穴に適用できる旨説明したが、これに代えて、菊穴形状のボタン穴に適用することも容易に考えられる。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
ボタン穴かがり縫いミシンの要部を示す正面図である。 布切断装置を示す正面図である。 ミシンの制御装置まわりの構成を示すブロック図である。 メス受けのストロークと荷重との相関を示すグラフであり、布2枚を切断した際のグラフ(a)と、布6枚を切断した際のグラフ(b)である。 ボタン穴形成の際における制御装置によるメス受けの駆動制御を示すフローチャートである。 従来のメスの駆動機構を示す斜視図である。
符号の説明
1 ミシン(ボタン穴かがり縫いミシン)
7 制御装置(制御手段、判断手段)
71 CPU
72 メモリ(荷重値上昇度記憶手段)
10 布切断装置
11 パルスモータ(布切り駆動手段)
12 エンコーダ(移動量検出手段)
20 布切り装置
30 メス受け
50 メス
60 ロードセル(荷重検出手段)

Claims (3)

  1. 被縫製物を切断するメスと、このメスに対向配置され、メスとの間に被縫製物を挟み込んで前記メスに被縫製物を切断させるメス受けと、を有し、ボタン穴かがり縫い目を被縫製物に形成する前又は形成した後に、前記メス又は前記メス受けのうち一方を他方に向けて移動させて被縫製物にボタン穴を形成するボタン穴かがり縫いミシンにおいて、
    前記メス又は前記メス受けに連結され、前記メス又は前記メス受けを往復移動させる布切り駆動手段と、
    ボタン穴形成時に前記布切り駆動手段の駆動を制御する制御手段と、
    前記メス又は前記メス受けが移動する移動量を検出する移動量検出手段と、
    前記メス又は前記メス受けが前記被縫製物と接触する際の荷重を検出する荷重検出手段と、
    前記メス又は前記メス受けの前記移動量に対する前記荷重の上昇度に関する閾値を記憶する荷重値上昇度記憶手段と、
    前記メス又は前記メス受けのボタン穴形成動作に伴う前記移動量に対する前記荷重の上昇度が、前記荷重値上昇度記憶手段に記憶された前記閾値に達したか否かを判断する判断手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記判断手段が前記メス又は前記メス受けの前記移動量に対する前記荷重の上昇度が前記閾値を越えたと判断した場合に、前記布切り駆動手段の駆動を逆転させて前記メスと前記メス受けを離間させることを特徴とするボタン穴かがり縫いミシン。
  2. 前記判断手段は、前記荷重検出手段によって検出された前記荷重の値が少なくとも1回、上昇から下降に転じた後の上昇度について、前記閾値を越えたか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載のボタン穴かがり縫いミシン。
  3. 前記布切り駆動手段は、パルスモータであることを特徴とする請求項1又は2に記載のボタン穴かがり縫いミシン。
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