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JP5114864B2 - 多官能マレイミド化合物の製造方法 - Google Patents
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JP5114864B2 - 多官能マレイミド化合物の製造方法 - Google Patents

多官能マレイミド化合物の製造方法 Download PDF

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本発明は、新規な多官能マレイミド化合物、その製法およびそれらを含有する形状記憶性樹脂に関するものである。さらに本発明は、多官能マレイミド化合物の製法に関するものである。
多官能マレイミド化合物は、様々な材料に有用である。本発明者の特許には、多官能マレイミド化合物を形状記憶性樹脂の架橋剤として用いる例が開示されている(特許文献1)。マレイミド基とフラン基の熱可逆性反応を利用し、樹脂をマレイミド基とフラン基で架橋することにより、再成形可能な形状記憶性樹脂を得ている。熱可逆性反応とは、結合が所定の温度で開裂し、冷却時に再結合する反応をいう。この形状記憶樹脂は、実用温度域では共有結合架橋しているため優れた形状回復力を有し、成形、再成形時には加熱により結合が開裂して成形性、リサイクル性に優れる。また、冷却時に再び共有結合架橋するため、成形前と同等の形状記憶性樹脂が得られ、繰り返し変形による形状回復率の低下も起こらない。
一方、多官能マレイミド化合物は、例えば、コーティング剤、ライニング剤、表面処理剤、成形材料、塗料、印刷インキ、接着剤、粘着剤、封止剤、バインダー、電子製品の積層材料、電気絶縁材料、導電性ペースト、医薬、農薬等への利用が可能であることが知られている。
一般に、多官能マレイミド化合物は、多官能アミン化合物をマレイミド化することにより得るか、前駆体としてカルボキシル基を有するマレイミド化合物を合成し、水酸基を有する化合物と脱水縮合反応する方法が開示されている(特許文献2)。しかしながら、生分解性を有するポリエステル樹脂とマレイミドカルボン酸から合成する多官能マレイミド化合物は知られていない。
近年、環境問題への関心が高まっていることから、生分解性樹脂が注目されている。しかし、生分解性樹脂は環境適合性以外に石油由来樹脂を上回る特性を持たないため、普及拡大には生分解性樹脂に高機能性の官能基を導入し、付加価値を高めることが重要である。
また、マレイミドカルボン酸は種々公知の方法により製造可能であり、アミノカルボン酸と無水マレイン酸を反応させてマレアミドカルボン酸を得た後、脱水反応によりマレイミドカルボン酸を合成することができる。例えば、非特許文献1に記載の方法に従って、マレアミドカルボン酸を無水酢酸中、酢酸ナトリウムと加熱することでマレイミドカルボン酸を合成することができる。しかし、この反応は収率が低く精製が煩雑であるため、効率的ではない。
他の例では、マレアミド化合物に酸触媒を加えてベンゼン、トルエン、キシレン等の水に溶けにくい不活性な有機溶媒を使用し、脱水閉環反応を行う方法が知られている(例えば、非特許文献2)。しかし、マレイミドカルボン酸の合成方法について詳細な反応条件は検討されていない。
WO2005/056642 特許第3599160号 Macromolecules vol.23, 2636(1990) Journal of Medicinal Chemistry, Vol.18, No.10,1004(1975)
本発明は、新規な多官能マレイミド化合物、その製法およびそれらを含有する形状記憶性樹脂を提供する。さらに本発明は、多官能マレイミド化合物製造のための前駆体であるマレイミドカルボン酸の製法を提供する。
上記の目的を達成するため、本発明では、まずマレイミドカルボン酸の効率的な反応条件を見出した。次に、マレイミドカルボン酸を酸塩化物に変換後、室温で生分解性ポリエステル樹脂と反応させることで、短時間でしかも高収率で生分解性ポリエステル樹脂にマレイミド基を導入できることを示した。最後に、生分解性ポリエステル樹脂にマレイミド基を導入した多官能マレイミド化合物を含む架橋体が、優れた形状記憶性と再成形性を併せ持つことを明らかにした。
すなわち本発明は、
下記一般式(1)で示される多官能マレイミド化合物に関する。
Figure 0005114864
(式中、Xは炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキレン基を示し、Yは生分解性ポリエステル樹脂残基を示す。nは2以上の整数を示す。)
また本発明は、上記多官能マレイミド化合物を含有する生分解性形状記憶性樹脂に関する。
さらに本発明は、上記多官能マレイミド化合物の製造方法に関し、下記一般式(2)で表されるマレイミドカルボン酸を酸塩化物に変換後、下記式(3)で表される生分解性ポリエステル樹脂とエステル交換させることを特徴とする。
Figure 0005114864
(式中、Xは炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキレン基を示し、Yは生分解性ポリエステル樹脂残基を示す。mは2以上の整数を示す。)
特に本発明では、上記一般式(2)で表されるマレイミドカルボン酸を、無水マレイン酸とアミノカルボン酸とを反応させて得られる下記式(4)で示されるマレアミドカルボン酸を、不活性有機溶媒と非プロトン性極性溶媒の混合溶媒中で触媒を用いて110℃以上145℃以下で脱水閉環反応させて得る工程を有することを特徴とする。
Figure 0005114864
(式中、Xは式(2)中のXと同義である。)
本発明の多官能マレイミド化合物の製造方法は、短時間で室温での反応により多数のマレイミド基を導入できることから、種々の多官能マレイミド化合物の合成に有効である。マレイミド酸塩化物が高反応性であるため、特に分子量が高く水酸基量の少ないポリエステル樹脂に有効な方法である。高機能な官能基の導入により、生分解性樹脂の付加価値を高めることができる。また、得られた多官能マレイミド化合物は、再成形可能な形状記憶性樹脂の前駆体として利用可能である。
次に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の前記一般式(1)で示される多官能マレイミド化合物は、前記一般式(2)マレイミドカルボン酸を酸塩化物に変換後、前記式(3)で示される生分解性ポリエステル樹脂と反応させることで得られる。
マレイミドカルボン酸(2)は、前記式(4)で示されるマレアミドカルボン酸の脱水閉環反応により得られる。マレアミドカルボン酸(4)は、アミノカルボン酸と無水マレイン酸を溶液中室温で撹拌することにより容易に合成できる。
アミノカルボン酸としては、例えば、2−アミノプロピオン酸(アラニン)、3−アミノプロピオン酸(β−アラニン)、2−メチル−3−メチル吉草酸(イソロイシン)、アミノ酢酸(グリシン)、2−アミノ−3−メチル酪酸(バリン)、2−アミノ−4−メチル吉草酸(ロイシン)、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、アミノ吉草酸、6−アミノヘキサン酸(ε−アミノカプロン酸)、7−アミノヘプタン酸、2−アミノカプリル酸、3−アミノカプリル酸、6−アミノカプリル酸、8−アミノカプリル酸、2−アミノノナン酸、4−アミノノナン酸、9−アミノノナン酸、2−アミノカプリン酸、9−アミノカプリン酸、10−アミノカプリン酸、2−アミノウンデカン酸、10−アミノウンデカン酸、11−アミノウンデカン酸、2−アミノラウリン酸、11−アミノラウリン酸、12−アミノラウリン酸、2−アミノトリデカン酸、13−アミノトリデカン酸、2−アミノミスチン酸、14−アミノミスチン酸、2−アミノペンタデカン酸、15−アミノペンタデカン酸、2−アミノパルミチン酸、16−アミノパルミチン酸、2−アミノヘプタデカン酸、17−アミノヘプタデカン酸、2−アミノステアリン酸、18−アミノステアリン酸、2−アミノエイコサノン酸、20−アミノエイコサノン酸、2−アミノ−3−プロピオン酸等あげられるが、これに限定されるものではなく、1級アミノカルボン酸であれば使用可能である。また、ピロリドン、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム等のラクタム類等も使用でき、無水マレイン酸と反応させることで開環して式(4)で示されるマレアミドカルボン酸が生成する。本発明では、これらラクタム類もアミノカルボン酸の範疇に含むものとする。これらのアミノカルボン酸は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
マレアミドカルボン酸の脱水閉環反応は、触媒を加えてベンゼン、トルエン、キシレン等の水に溶けにくい不活性な有機溶媒中で行うのが好ましい。不活性な有機溶媒の使用量はマレアミドカルボン酸の1〜100倍量(重量比)、好ましくは4〜50倍量を用いるのがよい。1倍量より少ないと脱水効率が下がり、100倍量以上は過剰量であるため効率的ではない。また、マレイミドカルボン酸は上記溶媒に難溶であるため、ジメチルアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジオキサン等の非プロトン性極性溶媒を併用するのがよい。この非プロトン性極性溶媒の使用量は、マレアミドカルボン酸の0.001倍量〜10倍量、好ましくは、0.01倍量〜2倍量を用いるのが望ましい。0.001倍量以下ではマレイミドカルボン酸が溶解しないため、反応効率が下がる。10倍量以上では、脱水反応により生成した水が非プロトン性極性溶媒に溶けるため、脱水効率が下がる。
また本発明では、マレアミドカルボン酸の脱水閉環反応の温度を厳密に制御することが重要である。反応温度は110℃以上145℃以下、好ましくは115℃以上135℃以下となるよう、溶媒を単独、もしくは混合して用いる。110℃未満では脱水反応の効率が下がる。145℃を超える温度ではマレイミド基の重合が進行し、収率が下がる。
触媒としては、硫酸、リン酸、無水リン酸、p−トルエンスルホン酸等が用いられ、使用量はマレアミドカルボン酸の1wt%〜200wt%、好ましくは10wt%〜100wt%用いるのがよい。
マレイミドカルボン酸と式(3)で示される生分解性ポリエステル樹脂中の水酸基の反応は、マレイミドのカルボキシル基を塩化チオニルやオキサリルクロライドなどを用いて酸塩化物に変換した後、室温で前記ポリエステル樹脂に添加することにより容易にエステル化できる。マレイミドカルボン酸を塩化チオニル等で酸塩化物に変換する条件は知られている(非特許文献1参照)。カルボン酸と水酸基はカルボジイミド類を用いてエステル化反応をすることもできるが、副産物が生成するため効率的ではない。
本発明に用いられるポリエステル樹脂は、生分解性を有するポリエステル樹脂を使用する。例えばポリ乳酸(L−乳酸又はD−乳酸、もしくはこれらの混合物を重合することにより得られるポリ乳酸、単量体単位がL−乳酸のみからなるポリ乳酸、同じくD−乳酸のみからなるポリ乳酸の混合物を含む)、ポリヒドロキシアルカネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンサクシネートカーボネート、ポリエチレンサクシネートテレフタレート、ポリエチレンアジペートテレフタレート、ポリエチレンサクシネートアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンサクシネートカーボネート、ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート、ポリテトラメチレンアジペートテレフタレート、ポリカプロラクトンブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸等が挙げられる。
ジカルボン酸およびジオールを原料として合成されているポリエステル樹脂類については、使用する原料のジオール/ジカルボン酸のモル比率を1より多くすることにより、分子鎖の末端基をすべて水酸基にすることが可能である。また、ポリ乳酸等のヒドロキシカルボン酸から成る樹脂は、エステル交換反応により末端を水酸基にすることが可能である。即ち、ポリエステル樹脂に対し、2つ以上の水酸基を有する化合物を用いてエステル交換することにより、末端が水酸基を有するポリエステル樹脂が得られる。
上記の水酸基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオールなどの3価アルコール、ペンタエリスリトール、メチルグリコシド、ジグリセリンなどの4価アルコール、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリセリン、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどのポリペンタエリスリトール、テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノールなどのシクロアルカンポリオールが挙げられる。アドニトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、タリトール、マルチトール、ズルシトールなどの糖アルコール、グルコース、マンノースグルコース、マンノース、フラクトース、ソルボース、スクロース、ラクトース、ラフィノース、セルロースなどの糖類も利用可能である。3つ以上水酸基をもつ化合物を用いれば、3次元架橋構造の架橋点を形成する事が出来るので特に望ましい。例えば、ポリ乳酸のエステル結合をD−ソルビトールでエステル交換することにより、分子鎖の末端に水酸基が合計で6つ存在するポリエステル樹脂が得られる。
なお、末端部にカルボン酸を有する樹脂や未反応のヒドロキシル基を有する化合物は容易に精製除去可能である。
以上の様な多官能マレイミド化合物は、再成形可能な形状記憶性樹脂の前駆体として利用できる。また、コーティング剤、ライニング剤、表面処理剤、成形材料、塗料、印刷インキ、接着剤、粘着剤、封止剤、バインダー、電子製品の積層材料、電気絶縁材料、導電性ペースト、医薬、農薬等への利用も可能である。
以下、本発明の多官能マレイミド化合物を用いて、再成形可能な形状記憶性樹脂の前駆体として利用する方法について説明する。
本発明の多官能マレイミド化合物をジエノフィルとして、ディールス−アルダー[4+2]環化反応を利用し、共役ジエンを官能基として2個以上導入した化合物との間で、熱可逆反応で架橋した形状記憶性樹脂を得る。共役ジエンとしては、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環、シクロペンタジエン環、1,3−ブタジエン、チオフェエン−1−オキサイド環、チオフェエン−1,1−ジオキサイド環、シクロペンタ−2,4−ジエノン環、2Hピラン環、シクロヘキサ−1,3−ジエン環、2Hピラン1−オキサイド環、1,2−ジヒドロピリジン環、2Hチオピラン−1,1−ジオキサイド環、シクロヘキサ−2,4−ジエノン環、ピラン−2−オン環およびこれらの置換体などを官能基として用いる。特にこれら官能基を3個以上有する化合物と本発明の多官能マレイミド化合物とを架橋せしめることで、3次元架橋した成形体が得られる。たとえば、フラン環を導入した化合物との間で下記の熱可逆性架橋が形成される。
Figure 0005114864
上記のフラニル−マレイミド結合の解離温度(Td)は約150℃であり、たとえば、ポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度(Tg=約60℃)に対して十分に高い。このため、前記特許文献1に記載されるように、Td以上の温度で所望の第1形状(原形)に成形されたものは、Tg以上Td未満の温度において別の第2形状に変形でき、Tg未満に冷却することで第2形状を固定できる。さらに、この第2形状物をTg以上Td未満の温度において再度加熱することにより付与された第1形状への回復力に優れる形状記憶性樹脂となる。加えて、Td以上の温度において再成形可能である。
以下に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、これらは、本発明を何ら限定するものではない。なお、以下特に明記しない限り、試薬等は市販の高純度品を用いた。数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラム法により測定し、標準ポリスチレンを用いて換算した。マレイミド修飾率は樹脂1モルあたりのマレイミド基のモル数を示す。
1.マレイミドカルボン酸の製法
[実施例1]
β−アラニン25.0g、無水マレイン酸28.9g、THF100mLを窒素下室温で24時間撹拌後、固形物をろ過することでマレアミドプロピオン酸[R1](収率96%)を得た。次に、[R1]22.1g、オルトリン酸6.11g、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)0.0937g、キシレン100mL、トルエン300mL、ジオキサン20mLを3つ口フラスコに量り取り3時間還流した。反応温度は116℃であった。これを室温まで冷却後、溶液をろ過し溶媒を減圧留去しクロロホルムに溶解した。この溶液をろ過し溶媒を減圧留去後、ジエチルエーテルで再結晶化することで、マレイミドカルボン酸[R2](収率42%)を得た。
Figure 0005114864
[比較例1]
[R1]22.1g、オルトリン酸6.11g、BHT0.0937g、キシレン350mL、ジオキサン70mLを用いて、実施例1の方法で合成した。反応温度は149℃であった。[R2]の収率は29%であった。
[比較例2]
[R1]22.1g、オルトリン酸6.11g、BHT0.0937g、トルエン350mL、ジオキサン70mLを用いて、実施例1の方法で合成した。反応温度は105℃であった。[R2]の収率は8.2%であった。
[R2]の製法を実施例1、比較例1および比較例2に示す。比較例1,2の方が実施例1よりも収率が低い。実施例1はトルエンとキシレンの混合溶媒により反応温度を制御することで、反応率を高めることができた。一方、比較例1は反応温度が高くマレイミド基の重合が進行したため、比較例2は反応温度が低く脱水反応効率が低下したため、収率が低下した。
2.多官能マレイミド化合物の合成
[実施例2]
市販のポリ乳酸(「テラマック」(商品名)、ユニチカ製)2000gとソルビトール69.5gを230℃で10時間溶融混合しエステル交換反応を行った。これをクロロホルム2Lに溶解し、過剰のメタノールに注ぎ再沈殿することで、末端ヒドロキシポリ乳酸[R3]を得た。
[R2]62.5gをクロロホルム900mLに溶解し0℃に冷却した後、二塩化オキサリル122gを滴下した。窒素下室温で5時間撹拌した後、溶媒および過剰の2塩化オキサリルを減圧留去することで、マレイミドカルボン酸クロライド[R4]を合成した。[R4]を少量のクロロホルムに希釈後、[R3]91.4g、ピリジン65.9mL、クロロホルム300mLの溶液中に滴下した。窒素下室温で30分間撹拌した後、反応溶液をメタノールと水の混合溶媒(メタノール3.5L、水500mL)に注ぎ、析出した固体をろ過することでマレイミド修飾ポリ乳酸[R5](収率92%)を得た。(分子量7550、マレイミド修飾率f=6)。
Figure 0005114864
[実施例3]
市販のポリ乳酸(「テラマック」(商品名)、ユニチカ製)1000gとペンタエリスリトール75.6gを200℃で3時間溶融混合によりエステル交換反応した。これをクロロホルム1Lに溶解させ、過剰のメタノールに注ぎ再沈殿することで、末端ヒドロキシポリ乳酸[R6]を得た。
[R2]84.6gをクロロホルム1Lに溶解し0℃に冷却した後、二塩化オキサリル165gを滴下した。窒素下室温で5時間撹拌した後、溶媒および過剰の2塩化オキサリルを減圧留去することで、マレイミドカルボン酸クロライド[R4]を合成した。[R4]を少量のクロロホルムに希釈後、[R6]100g、ピリジン72.1mL、クロロホルム400mLの溶液中に滴下した。窒素下室温で30分間撹拌した後、反応溶液をメタノールと水の混合溶媒(メタノール1750mL、水250mL)に注ぎ、析出した固体をろ過することでマレイミド修飾ポリ乳酸[R7](収率90%)を得た。(分子量3810、マレイミド修飾率f=4)。
Figure 0005114864
[実施例4]
1,4−ブタンジオール310gとこはく酸338gを用いて、220℃で減圧下7時間重縮合を行うことで、両末端に水酸基を有するポリブチレンサクシネート[R8]を得た。
[R2]13.7gをクロロホルム200mLに溶解し0℃に冷却した後、二塩化オキサリル26.7gを滴下した。窒素下室温で5時間撹拌した後、溶媒および過剰の2塩化オキサリルを減圧留去することで、マレイミドカルボン酸クロライド[R4]を合成した。[R4]を少量のクロロホルムに希釈後、[R8]50g、ピリジン11.6mL、クロロホルム200mLの溶液中に滴下した。窒素下室温で30分間撹拌した後、反応溶液をメタノールと水の混合溶媒(メタノール1.75L、水250mL)に注ぎ、析出した固体をろ過することでマレイミド修飾ポリブチレンサクシネート[R9](収率89%)を得た。(分子量4950、マレイミド修飾率f=2)。
Figure 0005114864
[比較例3]
クロロホルム100mLに、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライド(WSC)6.49g、ピリジン2.68mL、[R2]5.0g、[R3]11.7gを添加し、50時間還流した。これを水洗し硫酸マグネシウムで乾燥後、クロロホルム30mLに溶解し、過剰のメタノールに注ぎ再沈殿した。さらにシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル)で精製することで、マレイミド修飾ポリ乳酸[R5](収率68%)を得た(分子量7410、マレイミド修飾率f=5.8)。
多官能マレイミド化合物の製法について、実施例2〜4および比較例3に示す。酸塩化物を用いた実施例2〜4は、カルボジイミドを用いた比較例3に比べて、短時間の反応で容易な精製方法により多官能マレイミド化合物が高収率で得られる製法であることが明らかになった。
3.形状記憶性・再成形性の評価
多官能マレイミド化合物の応用例として、多官能マレイミド化合物を形状記憶性樹脂の前駆体として用いる例を示す。マレイミド基とフラン基の熱可逆性反応を利用し、樹脂をマレイミド基とフラン基で架橋することにより、再成形可能な形状記憶性樹脂を得ている。そこで、フランリンカーを合成し、マレイミド修飾ポリ乳酸([R5]および[R7])との架橋体を作成し、形状記憶性および再成形性について検証した。
フランリンカーの合成
フルフリルアルコール40.0gとジラウレートジブチルスズ0.2mLをジオキサン150mLに溶解した後、リジントリイソシアネート24.2gを滴下した。60℃で6時間反応後、溶媒を減圧留去し、クロロホルム200mLに溶解した。水200mLで3回洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物を酢酸エチルで再結晶することにより、フランリンカー[R10]を得た。
Figure 0005114864
試験片の作成
マレイミド修飾ポリ乳酸[R5]10.0gとフランリンカー[R10]1.49を160℃で溶融混合し圧縮成形後、100℃1時間、75℃20時間加熱することで、2cm×5cm×1.8mmのフィルムを作成した[R11]。
マレイミド修飾ポリ乳酸[R7]10.0gとフランリンカー[R10]1.97gを160℃で溶融混合し圧縮成形後、100℃1時間、75℃20時間加熱することで、2cm×5cm×1.8mmのフィルムを作成した[R12]。
形状記憶性評価試験
上記[R11]および[R12]のフィルムを80℃で加熱し、フィルムの中央を90°に折り曲げて10秒間変形後、常温まで冷却した。この時のフィルムの変形性を角度で評価したところ、[R11]、[R12]ともに90°となり優れた形状記憶性を得た。また、変形したフィルムを再び80℃で10秒間加熱し、回復性を角度で評価したところ、[R11]、[R12]ともに0°となり完全に形状が回復した。
再成形性評価試験
上記[R11]および[R12]のフィルムを160℃で溶融し、半径1.8cmの円状に再成形した。再成形できたフィルムに対して、上記と同様に変形性および回復性について評価した。すると、上記と同じ結果になり、[R11]、[R12]はいずれも再成形後も優れた形状記憶性を示すことがわかった。以上より、多官能マレイミド化合物([R5]および[R7])とフランリンカー[R10]の架橋体は再成形可能な形状記憶性樹脂となり、多官能マレイミド化合物は形状記憶性樹脂の前駆体として利用可能であることが明らかになった。
本発明の多官能マレイミド化合物は、環境適応型高機能性樹脂として利用可能である。たとえば、再成形可能な形状記憶性樹脂の前駆体としての利用が可能である。この樹脂の用途としては、例えば電子機器(パソコンや携帯電話等)の外装材、ねじ、締め付けピン、スイッチ、センサー、情報記録装置、OA機器等のローラー、ベルト等の部品、ソケット、パレット等の梱包材、冷暖房空調機の開閉弁、熱収縮チューブ等に使用することができる。他にも、バンパー、ハンドル、バックミラー等の自動車用部材、ギブス、おもちゃ、めがねフレーム、歯科矯正用ワイヤー、床ずれ防止寝具等の家庭用部材等として、各種分野に応用することが出来る。また、他にもコーティング剤、ライニング剤、表面処理剤、成形材料、塗料、印刷インキ、接着剤、粘着剤、封止剤、バインダー、電子製品の積層材料、電気絶縁材料、導電性ペースト、医薬、農薬等への利用が可能である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(2)で表されるマレイミドカルボン酸の製造方法であって、
    下記式(4)で示されるマレアミドカルボン酸を、不活性有機溶媒と非プロトン性極性溶媒の混合溶媒中で触媒を用いて110℃以上145℃以下で脱水閉環反応させることを特徴とするマレイミドカルボン酸の製造方法。
    Figure 0005114864
    Figure 0005114864
    (式中、Xは炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキレン基を示す。)
  2. 非プロトン性極性溶媒を式(4)で示されるマレアミドカルボン酸に対して0.001〜10倍量用いる請求項1に記載のマレイミドカルボン酸の製造方法。
  3. 下記一般式(1)で示される多官能マレイミド化合物の製造方法であって、
    下記式(4)で示されるマレアミドカルボン酸を、不活性有機溶媒と非プロトン性極性溶媒の混合溶媒中で触媒を用いて110℃以上145℃以下で脱水閉環反応させて、下記一般式(2)で表されるマレイミドカルボン酸を得る工程と、
    前記一般式(2)で表されるマレイミドカルボン酸を酸塩化物に変換後、下記式(3)で表される生分解性ポリエステル樹脂とエステル交換させる工程とを含むことを特徴とする多官能マレイミド化合物の製造方法。
    Figure 0005114864
    Figure 0005114864
    Figure 0005114864
    (式中、Xは炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキレン基を示し、Yは生分解性ポリエステル樹脂残基を示す。m、nは2以上の整数を示す。)
  4. 前記マレイミドカルボン酸の酸塩化物が、マレイミドプロピオン酸と塩化オキサリルを反応させて得られるマレイミドプロピオン酸クロライドである請求項3に記載の多官能マレイミド化合物の製造方法。
  5. 下記一般式(1)で示される多官能マレイミド化合物の製造方法であって、
    下記一般式(2)で表されるマレイミドカルボン酸を酸塩化物に変換後、下記式(3)で表される生分解性ポリエステル樹脂とエステル交換させる工程を含むことを特徴とする多官能マレイミド化合物の製造方法。
    Figure 0005114864
    Figure 0005114864
    (式中、Xは炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキレン基を示し、Yは生分解性ポリエステル樹脂残基を示す。m、nは2以上の整数を示す。)
  6. 前記マレイミドカルボン酸の酸塩化物が、マレイミドプロピオン酸と塩化オキサリルを反応させて得られるマレイミドプロピオン酸クロライドである請求項5に記載の多官能マレイミド化合物の製造方法。
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