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JP5114921B2 - 希土類磁石用焼結治具および希土類磁石用焼結治具の製造方法ならびに希土類磁石の製造方法 - Google Patents
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JP5114921B2 - 希土類磁石用焼結治具および希土類磁石用焼結治具の製造方法ならびに希土類磁石の製造方法 - Google Patents

希土類磁石用焼結治具および希土類磁石用焼結治具の製造方法ならびに希土類磁石の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、希土類磁石用焼結治具および希土類磁石用焼結治具の製造方法ならびに希土類磁石の製造方法に関する。
現在、希土類焼結磁石(以下、単に「希土類磁石」という)として、サマリウム・コバルト(Sm−Co)系磁石とネオジム・鉄・ボロン系(Nd−Fe−B系)磁石の二種類が各分野で広く用いられている。なかでもNd−Fe−B系磁石(以下、「R−T−(M)−B系磁石」と称する。RはYを含む希土類元素、TはFeまたはFeとCoおよび/またはNiとの混合物、Mは必要に応じて添加される添加元素(例えば、Al、Ti、Cu、V、Cr、Ni、Ga、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Hf、Ta、Wの少なくとも1種)、Bはボロンまたはボロンと炭素との混合物である。)は、種々の磁石の中で最も高い最大磁気エネルギー積を示し、価格も比較的安いため、各種電子機器へ積極的に採用されている。
希土類焼結磁石は、希土類合金を粉砕して得た合金粉末を磁界中でプレス成形することによって成形体(圧粉体)を形成し、この成形体を台板上に載せた状態で焼結炉において焼結することによって作製されている。焼結工程において、R−T−(M)−B系磁石に含まれるネオジムなどの希土類元素が酸化すると、磁石の特性は大きく劣化する。この酸化を防止するために、炉内は真空状態または不活性ガス(ArまたはHe等)の減圧雰囲気とされる。焼結温度は800℃から1200℃程度である。
複数の成形体を焼結する場合には、生産効率を向上するために、複数の成形体は、密閉型の焼結用ケース(「焼結パック」と呼ばれることもある。)に収容した状態で、焼結ケースごと加熱される。また、多数の成形体を焼結する際には、棚状に配置された台板を有する焼結ケースが用いられる。プレス成形で得られた成形体は台板に配置され、焼結ケース内に棚状に収容される。台板や焼結用ケースは、耐熱性に優れたステンレス鋼(例えば、JIS規格SUS310)またはMoを主成分とする合金から形成されたものが用いられている。
成形体を台板上に直接載せた状態で焼結すると、成形体と台板とが局部的に溶着することがある。これは、R−T−(M)−B系合金粉末中の希土類元素が、焼結過程で液相となって表面に析出し、台板に含まれる金属元素と共晶反応を起こすからである。台板と成形体とが局部的に溶着すると、焼結に伴う成形体の寸法収縮が円滑に進行せず、焼結体にひび割れや欠けが発生することがある。また、溶着が生じない場合であっても、台板と成形体(焼結体)との間の摩擦が不均一になることによって、台板と接触する面側において焼結体にひびが生じる、あるいは変形することがある。
そこで、台板と成形体との溶着を防ぐために、従来から、台板上に敷粉を配し、この上に成形体を載せて焼結を行うという方法が知られている(例えば特許文献1)。敷粉としては、希土類金属との反応性が低い材料、例えば希土類酸化物(例えば酸化ネオジム、酸化イットリウム)の粉末が用いられる。敷粉を用いれば台板と成形体との溶着を防ぐことができるので、上述の問題の発生を抑制することができる。
しかしながら、焼結過程で液相となって析出した希土類元素は、雰囲気中の酸素や水分との反応によってR23や希土類元素の水酸化物が生成され、台板の表面に突起物や隆起物を形成することがある。台板の表面に突起物等があると、敷粉による効果が十分に発揮されないことになる。また、水酸化物が焼結過程で熱分解されることによって生成される水によって、希土類元素が酸化されるという問題が発生することもある。
例えば、特許文献2には、ショットブラストなどの機械的研磨方法を用いて台板の表面に形成された水酸化物を除去する方法が開示されている。しかしながら、ショットブラストなどの機械的研磨方法により突起物等を除去することはできるが、機械的に研磨しすぎると台板が変形してしまうことがあった。また、特許文献3には、突起物等が付着した台板を水素炉に投入し、希土類合金の水素脆化反応を利用して台板を清浄化する方法が記載されている。しかしながら、特許文献3に記載の技術によると、突起物等を除去するために台板を変形させるほどの機械的研磨を必要としないものの、水素炉が必要となり装置が大掛かりになるという問題がある。
また、特許文献4には、Mo等の高融点金属からなる台板本体の表面の酸化被膜を除去した上で、厚さが100μm以上500μm以下のジルコニアやイットリアなどの被膜を溶射法で形成した台板が開示されている。しかしながら、この方法は材料および製造コストが高いという問題がある。
一方、特許文献5には、台板本体の材料として多孔質ホウ化チタン焼結体を用い、その表面に希土類酸化物(好ましくは酸化イットリウム)の被膜を形成した台板が開示されている。希土類酸化物の被膜は焼結過程に析出する希土類元素が多孔質ホウ化チタン焼結体内に侵入することを防止するための膜であり、緻密な膜である。例えば、溶射膜を溶融することによって緻密な膜が形成されている。
また、特許文献6には、炭素繊維強化炭素複合材の表面に厚さ3μm〜5μmの酸化ジルコニウムの溶射膜を形成した焼結用敷板が開示されている。
特開平4−154903号公報 特開平4−299508号公報 特開2001−49305号公報 特開2001−267163号公報 特開平7−207305号公報 特開2006−265600号公報
しかしながら、特許文献5に記載の技術では、台板本体に多孔質材料を用い、その上に緻密な被膜を形成しているので、繰り返し使用すると、熱膨張係数の差に起因する熱応力などの影響で、被膜が剥離しやすいという問題がある。この問題は被膜が厚いほど顕著となるが、被膜が薄いと上述の効果が得られないので、この問題を回避し、繰り返し使用に十分に耐える台板を得ることは難しい。また、台板本体に多孔質ホウ化チタンを用いているので、重い成形体の焼結に用いるには機械的強度が不足することがある。
また、特許文献6に記載のように、炭素繊維強化炭素複合材の表面に酸化ジルコニウムの溶射膜を形成しても、繰り返し使用すると、熱膨張係数の差に起因する熱応力の影響で、溶射膜が剥離するという問題が発生することがある(例えば、後述する焼結台板No.6参照)。
ここでは、台板を例に説明したが、これに限られず、焼結工程に用いられる治具(焼結治具)であって成形体と接触するあるいは接触する可能性がある治具(焼結ケースや焼結パック、成形体を載置した台板を積載するために使用するスペーサーなどを含む)に共通の問題である。
本発明は上記諸点に鑑みてなされたものであり、比較的単純な構成で、かつ比較的安価で、繰り返し使用に十分に耐える希土類磁石用の焼結治具を提供することを主な目的とする。
本発明の焼結治具は、希土類磁石用の焼結治具であって、カーボンまたはカーボンコンポジットから形成された基体と、前記基体の少なくとも1つの表面に形成された無機膜であって、粒子の凝集体から構成され、気孔率が1%以上30%以下である無機膜とを有することを特徴とする。気孔率は5%以上15%以下であることが好ましい。
ある実施形態において、前記粒子の前記無機膜の面内の平均二次元粒径は5μm以上15μm以下である。
ある実施形態において前記基体の表面粗度はRaで5μm以上30μm以下の範囲にある。
ある実施形態において前記無機膜の表面粗度はRaで5μm以上30μm以下の範囲にある。
ある実施形態において前記無機膜の厚さは10μm以上400μm以下の範囲にあり、50μm以上200μm以下の範囲にあることが好ましい。
ある実施形態において、前記無機膜は溶射膜であり、水プラズマ溶射膜であることが好ましい。
本発明の焼結治具の製造方法は、希土類磁石用の焼結治具の製造方法であって、カーボンまたはカーボンコンポジットから形成された基体を用意する工程と、前記基体の少なくとも1つの表面に、溶射法によって無機膜を形成する工程とを包含する。
ある実施形態において、前記溶射法は、水プラズマ溶射法である。
ある実施形態において、前記無機膜を形成する工程は、気孔率が1%以上30%以下の無機膜を形成する工程である。
ある実施形態において、前記無機膜を形成する工程の前に、前記基体の前記少なくとも1つの表面を粗面化する工程を包含する。
本発明の希土類磁石の製造方法は、上記のいずれかの焼結治具を用意する工程と、希土類磁石の粉末に磁場を印加しながらプレス成形することによって成形体を得る工程と、前記焼結治具の前記無機膜の上に前記成形体を載置する工程と、前記成形体を焼結する工程とを包含することを特徴とする。
本発明の焼結治具は、カーボンまたはカーボンコンポジットから形成された基体を備えているので、Moなどの高融点金属よりも安価であり、かつ、高い熱伝導性および高い機械的特性(弾性率および強度など)を備えている。また、基体の表面に形成された無機膜は、粒子の凝集体から構成されており、気孔率が1%以上30%以下であるので、繰り返し使用によっても、無機膜の剥離が発生し難い。
以下、図面を参照して、本発明による実施形態の希土類磁石用の焼結治具の構成およびその製造方法を説明する。
図1(a)および(b)は、本発明による実施形態の希土類磁石用の焼結台板10の構成を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。ここでは、溶射によって無機膜を形成した例を示す。
図1(a)および(b)に示す焼結台板10は、台板本体(基体)11と、台板本体11の表面に形成された無機膜12とを有する。台板本体11は、カーボンまたはカーボンコンポジットから形成されている。無機膜12は、粒子12aの凝集体から構成されており、気孔率が1%以上30%以下の範囲内にある。このような無機膜12は、例えば、プラズマ溶射法によって形成され得る。
台板本体11を構成するカーボンまたはカーボンコンポジットは、比重が低い上に、弾性率が高く、かつ、機械的強度(例えば靭性)が高いので形状変形などが起こりにくい。また、耐熱性に優れるとともに、熱伝導性が高いので、加熱されやすいという利点を有している。さらに、希土類元素とほとんど反応しない。
カーボンとは炭素のみからなる材料(「炭素化合物」と言われることもある。)を指し、グラファイトが典型的であるが、それ以外の同素体も含む。また、カーボンコンポジットとは、前記カーボンを主成分(50体積%以上)とし、無機系の粘結剤(例えばシリカ、アルミナ、マグネシア)やファイバまたはウィスカを含む複合材料の総称である。ここでは、カーボンコンポジットは、カーボンまたはカーボンと無機系粘結剤との混合物に、カーボンファイバやカーボンウィスカを混合した複合材料を含むものとする。カーボンやカーボンコンポジットで形成された板材は市販されており、これらを用いることができる。
無機膜12は、溶射法で形成することが好ましい。「溶射」とは、成膜する材料の粉末粒子を、加熱溶融し、加速し、基体の表面に衝突させて、扁平に潰れた粒子12aを凝固・堆積させることにより膜を形成する方法であり、様々の方式が工業的に広く利用されている。
例えば、プラズマ溶射(plasma spraying)は、電極の間に不活性ガス(例えばアルゴンガス)を流して放電することによって生成される高温・高速のプラズマを溶射の熱源として用いる溶射法である。ガスプラズマを用いるタイプが一般的で、典型的には、アルゴンを作動ガスとして、水冷されたノズル状の銅製陽極とタングステン製陰極を用いる。電極の間にアークを発生させると作動ガスがアークによってプラズマ化され、ノズルから高温高速のプラズマジェットとなって噴出する。このプラズマジェットに成膜する材料の粉末を投入し、加熱加速して基体表面に吹き付ける。最高温度は10000℃〜15000℃に達し、プラズマジェットの速度はマッハ1〜2程度である。
上述のガスプラズマ溶射のほかに、水安定化プラズマ溶射(water stabilized plasma spraying)または水プラズマ溶射と呼ばれる方法も知られている。水安定化プラズマ溶射は、プラズマ溶射ガンの中に供給した水がアークによって分解して生成される酸素と水素とを作動ガスとする方法である。ガスプラズマ溶射よりも発熱量が大きく、高温(3000℃)が得られるので、比較的大きな粒子を用いて成膜できるなど、成膜速度が高いという利点を有している。
溶射法によって得られた無機膜12は、図1(a)および(b)に模式的に示したように、溶融された扁平な粒子12aが機械的に噛みこむことによって台板本体11の表面に密着するとともに、粒子12a同士が密着する。また、粒子12aの間に気孔(空隙)が形成され、気孔率は概ね1%以上30%以下の範囲にある。ガスプラズマ溶射によって得られる膜の気孔率は概ね1%以上8%以下であるが、水プラズマ溶射を用いると8%を超える気孔率の膜を容易に得ることができる。水プラズマ溶射によって得られる膜の気孔率は、一般的には5%以上15%以下の範囲にある。
気孔率が1%以上の無機膜は、繰り返し使用による熱サイクルで発生する応力(熱応力)が膜内の気孔(空隙)によって緩和されるので、剥離や破壊が起こり難い。但し、気孔率が30%を超えると、焼結時に析出する希土類元素が気孔内に侵入し、それが膜中に残存し、それが酸化物や水酸化物となることによる上述した不具合が発生することがあるので好ましくない。気孔率は、上述したように溶射方法によって変わるだけでなく、溶射の条件、成形材料の粒子径などによっても調整することができる。
成膜材料としては、希土類元素との反応性が低い材料が好ましく、例えば、ZrO2、Al23、BN、SiNおよびこれらの混合物を主成分とする無機材料が好ましい。特に、ZrO2やY23を8質量%含む安定化ジルコニアを好適に用いることができる。
成膜材料の粉末の粒子径としては種々のものを用いることができるが、平均粒径が概ね5μm以上200μm以下のものが好ましい。但し、ガスプラズマ溶射の場合は、平均粒径が50μm以下、好ましくは30μm以下の粒子を用いることが好ましい。粒子が大きくなると、ガスプラズマ中で粒子を溶融できないために、溶射膜の密着強度が弱くなるなどの問題が生じることがある。上述の平均粒径を有する粉末を用いて溶射法で無機膜12を形成すると、無機膜12を構成する粒子12aの膜面内の平均二次元粒径は5μm以上150μm以下の範囲内におさまる。
無機膜12の厚さは10μm以上400μm以下の範囲にあることが好ましい。10μmを下回ると、無機膜12を設けた効果が十分に発揮されないことがあり、400μmを超えると生産性が低下するので好ましくない。特に、気孔率が15%を超える無機膜を400μm超の厚さまで形成すると、熱伝導率が低下するので、好ましくない。無機膜12の厚さは、50μm以上200μm以下の範囲にあることがより好ましい。
また、無機膜12の表面は適度な粗さを有することが好ましい。無機膜12の表面の平滑性が高いと、焼結過程で成形体が台板10の表面に密着するという問題が発生することがある。表面粗度は触針式表面粗さ計で求められる平均粗さRaで5μm以上30μm以下の範囲にあることが好ましい。平均粗さRaの下限値は密着の発生を抑制するために重要であるが、気孔率が1%以上の膜を形成すると概ね5μm以上のRaを得ることができる。一方、平均粗さRaが30μmを超えると、焼結過程において、成形体(焼結体)に局所的な応力が発生し成形体(焼結体)が変形することがあるので好ましくない。
台板10の表面粗度、すなわち無機膜12の表面粗度を上記の範囲にするためにはいくつかの方法がある。
まず、図2(a)に示す台板10Aのように、平滑な表面を有する台板本体11Aの上に、所定の表面粗度を有する無機膜12Aを形成する方法がある。このとき、無機膜12Aを溶射法で形成する条件等を調節し、堆積したままで所定の表面粗度を有するようにしてもよいし、一旦形成した膜の表面(表面粗度がRaで5μm未満のものを含む)を所定の表面粗度となるように粗面化してもよい。粗面化は例えばショットブラスト法など機械的研磨法を用いて行うことができる。
あるいは、図2(b)に示す台板10Bのように、台板本体11Bの表面を粗面化し、その上に無機膜12Bを形成することによって、所定の表面粗度を得るようにしてもよい。台板本体11Bの表面の粗面化は、例えばショットブラスト法など機械的研磨法を用いて行うことができる。このとき台板本体11Bの表面粗度が上記範囲内にある必要は必ずしもなく、最終的に無機膜12Bを形成した状態で、その表面粗度が上記の範囲内にあればよい。台板本体11Bの表面を粗面化しておくと、無機膜12Bと台板本体11Bとの密着性が向上するという効果が得られるので、台板本体11Bの表面粗度が上記範囲内にあるかどうかに拘わらず、台板本体11Bの表面を粗面化することが好ましい。
ここでは、台板本体11Aまたは11Bの表面に単一の無機膜12Aまたは12Bを形成した例を示したが、複数の無機膜を形成した積層構造としてもよい。
以下、実験例の一部を示して、本発明による実施形態の台板の構成およびその製造方法を説明する。以下の実験例では、Nd−Fe−B系磁石を製造する例を示すが、Sm−Co系磁石の製造にも適用できることは言うまでも無い。
[Nd−Fe−B系磁石の製造]
公知の方法を用いて形成した希土類磁石の粉末を用意する。ここでは、Nd−Fe−B系磁石を製造するために、まず、ストリップキャスト法を用いてNd−Fe−B系合金の鋳片を作製する。ストリップキャスト法は、例えば米国特許第5,383,978号に開示されている。具体的には、所定の組成の合金を高周波溶解によって溶融し、合金溶湯を形成する。この合金溶湯を例えば1350℃に保持した後、単ロール法によって、合金溶湯を急冷し、例えば厚さ0.3mmのフレーク状合金鋳塊を得る。このときの急冷速度は、例えば、700℃〜900℃までは102℃/sec〜104℃/secで、その後室温までは10℃/sec〜102℃/secである。
このフレーク状合金鋳塊を水素吸蔵法によって粗粉砕した後、ジェットミルを用いて窒素ガス雰囲気中で微粉砕することによって、平均粒径が約3.5μmの合金粉末を得ることができる。
こうして得た合金粉末に対して、例えばロッキングミキサー内で潤滑剤を例えば0.3質量%添加・混合し、潤滑剤で合金粉末粒子の表面を被覆する。潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛やカプロン酸メチルのほか、特開平6−290919号公報、特開平8−111308号公報、特開平9−3504号公報、特開2000−109903号公報などに記載されているものを用いることができる。潤滑剤は、粉末表面を被覆し、粉末の酸化防止を発揮するとともに、プレス時の配向性および成形性を向上させる機能を発揮する。
次に、プレス機を用いて上記合金粉末を圧縮成形し、それによって所定形状の成形体を作製する。例えば、1.5T〜10Tの配向磁界を印加しながら一軸プレス成形することによって、成形密度3.0〜3.8g/cm3の成形体を作製する。配向磁界は、静磁界、パルス磁界のいずれを用いてもよいし、パルス磁界と静磁界とを重畳印加してもよい。配向磁界の方向は、プレス方向と平行でもよいし、プレス方向と直交してもよい。
このようにして得られた成形体を焼結する。焼結は、下記に示す各台板の上に成形体を載せた状態で、不活性雰囲気中、1000℃〜1100℃の温度で、約2〜5時間加熱する。不活性ガスとしては、窒素ガスまたはアルゴンガスを用いる。また、焼結後に、500℃〜700℃で1〜5時間程度、再加熱処理(時効処理)を行ってもよい。
ここでは、Nd:22.0質量%、Pr:6.0質量%、Dy:3.5質量%、Co:0.9質量%、B:1.0質量、残部がFeおよびその他不可避不純物を含む原料合金を用いて、上記の方法で成形体を作製した。成形圧力は1000kgf/cm2、配向磁場は0.5T、焼結雰囲気は真空、焼結温度は1100℃、焼結時間は1時間とした。得られた焼結磁石の寸法は15mm×15mm×15mmであった。
[焼結台板の製造]
厚さ3mmのカーボンコンポジットからなる台板本体(図1中の参照符号11)を用意する。例えば、台板本体としては、例えば、カーボンファイバと、ケブラー(デュポン社の登録商標)またはアルミニウム合金との複合体であるカーボンコンポジット板や、カーボンファイバとカーボン粉体との複合体を用いることができる。ここでは、カーボンファイバとカーボン粉体との複合体を用いた。入手したままの台板の表面粗度Raは10μmであった。
焼結台板1:上記台板本体の表面に、水プラズマ溶射法で、安定化ジルコニア(粉末の平均粒径70μm)を用いて、無機膜を成形した。
膜面内の二次元平均粒子径:100μm、
厚さ:300μm、
表面粗度Ra:20μm、
気孔率:15%
焼結台板2:上記焼結台板1と同様の方法で作製した。
膜面内の二次元平均粒子径:100μm、
厚さ:300μm、
表面粗度Ra:5μm、
気孔率:15%
焼結台板3:上記台板本体の表面に、ガスプラズマ溶射法で、ZrO2(粉末の平均粒径15μm)を用いて、無機膜を成形した。
膜面内の二次元平均粒子径:20μm、
厚さ:50μm、
表面粗度Ra:10μm、
気孔率:5%
焼結台板4:上記台板本体をショットブラストで粗面化した後、水プラズマ溶射法で、安定化ジルコニア(粉末の平均粒径100μm)を用いて、無機膜を成形した。
膜面内の二次元平均粒子径:150μm、
厚さ:150μm、
表面粗度Ra:30μm、
気孔率:20%
焼結台板5:上記焼結台板4と同様の方法で作製した。
膜面内の二次元平均粒子径:150μm、
厚さ:150μm、
表面粗度Ra:30μm超、
気孔率:30%超
焼結台板6:上記焼結台板3と同様の方法で作製した。
膜面内の二次元平均粒子径:20μm、
厚さ:50μm、
表面粗度Ra:10μm、
気孔率:1%未満
焼結台板7:上記の台板本体をそのまま用いた。
[評価]
表面粗度は、触針式表面粗さ計で求められる平均粗さRaで評価した。気孔率は、台板表面の顕微鏡写真(視野:1mm×1mmを1000倍に拡大)における黒い部分を気孔とし、画像処理によりその面積を求め、計算により体積分率として表した。膜面内の二次元平均粒子径も、台板表面の顕微鏡写真(視野:1mm×1mmを1000倍に拡大)から画像処理によって求めた。
成形体の密着(溶着)の発生頻度および繰り返し使用後の無機膜の状態は、剥離や破壊の発生の有無を目視によって評価した。
[評価結果]
溶射によって無機膜を設けなかったもの(No.7)では、成形体が台板に溶着する不良が多数発生したのに対し、溶射法によって無機膜を形成したもの(No.1〜6)では殆ど発生しなかった。特に、表面粗度Raが5μm以上30μm以下のもの(No.1〜4および6)では、成形体の密着不良は発生しなかった。表面粗度Raが30μmを超えるもの(No.5)では、局所的な応力により焼結体が変形しており、所望の形状を得るために、後加工が必要となるので好ましくない。また、表面粗度Raが5μm未満では成形体が台板に溶着する不良が発生するおそれがある。5μm以上の表面粗度Raを得るためには、膜厚は10μm以上あることが好ましく、50μm以上あることがさらに好ましい。
無機膜を設けたものでも、気孔率が1%未満の場合(No.6)、数回使用するだけで、膜が剥離した。
また、気孔率が30%を超える場合(No.5)は、数回使用すると、焼結時に析出した希土類元素が気孔内に侵入し膜中に残存し、それが酸化物や水酸化物となることによる不具合が発生した。特に、表面粗度Raが30μm超であると、焼結時に析出した希土類元素が表面の凹部に残存し、酸化物や水酸化物となる。この状態で使用すると、酸化物の酸素や水酸化物の水酸基が焼結中に焼結体(希土類磁石)と反応し、特性を低下させる。また、気孔率が30%を越えると、台板本体(基体)の表面に至る空孔が無機膜中に多く含まれるため、台板本体の表面が希土類元素と反応し、劣化することがある。
上記に対し、気孔率が1%以上30%以下のものは、繰り返し使用による不具合が発生せず、良好な結果が得られた。特に、気孔率が5%以上15%以下のもの(No.1〜3)は、無機膜と台板本体との間に発生する引張り応力が均衡するため、無機膜の剥離が起こり難い。水プラズマ溶射法を用いることによって気孔率が8%超の無機膜を用いることが好ましい。
また、無機膜を形成する前に、台板本体の表面にショットブラスト処理を施し、粗面化したもの(No.4)は、無機膜と台板本体の表面との密着強度が特に高く、気孔率が20%であるにも拘わらず、焼結台板No.1と同等以上の良好な結果が得られた。
本発明によると、比較的単純な構成で、かつ比較的安価で、繰り返し使用に十分に耐える希土類磁石用の焼結治具が提供される。従って、希土類焼結磁石を従来よりも効率良く製造することができる。
本発明による実施形態の希土類磁石用の焼結台板10の構成を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。 (a)および(b)は、本発明による実施形態の希土類磁石用の焼結台板の他の例を示す模式的な断面図である。
符号の説明
10 焼結台板
11 台板本体(基体)
12 無機膜
12a 粒子
12b 気孔(空隙)

Claims (8)

  1. ーボンまたはカーボンコンポジットから形成された基体と、
    前記基体の少なくとも1つの表面に形成された無機膜とを有する希土類磁石用の焼結治具であって、
    前記無機膜は、粒子の凝集体から構成されており、前記粒子の前記無機膜の面内の平均二次粒径が5μm以上150μm以下であり、気孔率が1%以上30%以下であり、表面粗度Raが5μm以上30μm以下であり、かつ、厚さが50μm以上400μm以下である、焼結治具。
  2. 前記基体の表面粗度はRaで5μm以上30μm以下の範囲にある、請求項1に記載の焼結治具。
  3. 前記無機膜は溶射膜である、請求項1または2に記載の焼結治具。
  4. 前記無機膜は水プラズマ溶射膜である、請求項1からのいずれかに記載の焼結治具。
  5. 請求項1に記載の希土類磁石用の焼結治具の製造方法であって、
    前記無機膜を溶射法によって形成する工程を包含する、焼結治具の製造方法。
  6. 前記溶射法は、水プラズマ溶射法である、請求項に記載の焼結治具の製造方法。
  7. 前記無機膜を形成する工程の前に、前記基体の前記少なくとも1つの表面を粗面化する工程を包含する、請求項5または6に記載の焼結治具の製造方法。
  8. 請求項1からのいずれかに記載の焼結治具を用意する工程と、
    希土類磁石の粉末に磁場を印加しながらプレス成形することによって成形体を得る工程と、
    前記焼結治具の前記無機膜の上に前記成形体を載置する工程と、
    前記成形体を焼結する工程と、
    を包含する希土類磁石の製造方法。
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