JP5115921B2 - 腎癌の診断薬および治療薬 - Google Patents
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Description
Int J Urol.2001;8:359−65 JAMA.1999;281:1628−31 J Pathol.1997;183:131−3 J Urol.2000;163:408−17 Lancet.1998;352:1691−6 J Urol.1999;161:381−7 Lancet.1999;353:14−7 Nat Rev Immunol.2004;4:499−51 Cancer Res.2005;65:5009−14 Nat Rev Drug Discov.2006;5:471−84 Br J Cancer.2006;95:247−52 Proc.Nat.Acad.Sci.1998;95:588−593 Nature.2001;413:732−8 BMC Cancer.2003;3:1−19
次いで、Clear cell RCC組織に対し抗TLR3抗体による組織免疫染色を検討した結果、Clear cell RCC組織では細胞質に細顆粒状として189症例中184例においてTLR3タンパク質が染色された。そのうち139例において強く染色されることが確認できたのに対し、Chromophobe RCCでは全く染色されなかった。さらに、腎癌の肺転移8症例中6例においてもTLR3陽性像が確認できた。
一方、複数の腎癌細胞株へのリガンドまたはsiRNAの添加により、TLR3発現量に比例した増殖抑制効果が認められた。さらに、腎癌細胞株へのリガンドの添加により抗腫瘍効果が期待できるIFNβの発現が誘導された。この結果は、TLR3発現腎癌細胞を直接的に治療する方法であり、従来の自然免疫担当細胞である樹上細胞等のリガンドによる活性化を介した癌の治療とは異なることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、本発明は、被験者から採取された試料に抗TLR3抗体を反応させ、あるいは被験者に抗TLR3抗体を投与して、TLR3タンパク質を検出することを特徴とする腎癌の診断方法を提供するものである。
さらに、本発明は、TLR3アゴニストを投与することを特徴とする腎癌の治療方法、およびTLR3アゴニストを含有する腎癌の治療薬を提供するものである。
また、凝集による濁度を分光光度計等により測定することによっても検出することが可能である。
具体的には、モノクローナル抗体を作製するには次のようにすればよい。
具体的には、抗TLR3抗体を産生するハイブリドーマから、抗TLR3抗体の可変(V)領域をコードするmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin, J. M. et al., Biochemistry(1979)18, 5294-5299)、APGC法(Chomczynski, P.et al., Anal. Biochem.(1987)162, 156-159)等により行って全RNAを調製し、mRNA Purification Kit (Pharmacia製)等を使用して目的のmRNAを調製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia製)を用いることによりmRNAを直接調製することもできる。
また、本発明の腎癌治療薬はTLR3アゴニストに加えて、インターフェロン、特にインターフェロンαを併用するのが特に好ましい。TLR3アゴニストをインターフェロンと併用する場合、インターフェロンαの投与はC型肝炎の治療方法に準ずる。すなわち、インターフェロンαを600〜1,000万IU筋注にて2週間連続、さらに22週間、週あたり3回投与するのが好ましい。
(1−1)対象症例
2000年から2004年にかけて東京大学医学部附属病院にて手術的に切除された腎細胞癌臨床検体30症例および同一症例の正常腎組織9例を対象として、オリゴヌクレオチドマイクロアレイであるGeneChip(Affymetrix)による網羅的遺伝子発現解析を行った。全ての症例はインフォームドコンセントおよび文書による同意がなされ、また本研究における臨床検体を用いた実験プロトコールの全ては倫理委員会の承認を受けている。手術による切除後、癌部あるいは正常腎組織の一部をメスで切り取り、液体窒素中で急速凍結した。凍結組織はRNA抽出時まで、液体窒素タンクないし−80℃のdeep freezer内で保存された。対象症例群における臨床病理学的因子のまとめを表1に記載する。TNM分類に関しては、American Joint Committee on Cancerの基準に従った。Nuclear Gradeに関しては、Furhmannによる分類に従った。
凍結検体を液体窒素で満たした乳鉢の中ですり棒を用いてすり潰し、Trizol(Invitrogen)1mLを加えホモジナイズした。Total RNAの抽出はTrizolのプロトコールに従い行った。
GeneChipの説明書に従い、各サンプルのTotal RNA3μgより、T7promoterのついたoligo−dT(24mer)primerを使用して、SuperScriptTMII reverse transcriptase(Invitrogen)による逆転写反応により2本鎖cDNA合成を行った。ついで、T7 RNA polymerase(ENZO)によるin vitro transcription反応によりビオチンラベル化されたcDNAを合成した。断片化を行い、GeneChip 1枚あたり5μgのcRNAを用いて、54675プローブを有するGeneChipHG−U133 plus2.0に対してハイブリダイゼーションを16時間行った。洗浄後、Strepyoavidine Phycoerythrin染色、ビオチン化抗体処理、Strepyoavidine Phycoerythrinの再染色によりシグナルを増強後、スキャナーで読み込み、Affymetrix社のMicroarray Analysis Suite5.0(MAS 5.0)で画像を解析した。その後、各GeneChip上の各遺伝子に対して、MAS 5.0によって表示されたシグナル値を発現量として用い、各GeneChipにおける遺伝子発現量の平均が100になるようにデータの標準化を行った。
(1−4−1)クラスター解析
GeneChipより得られた54675プローブのシグナル値をもとに、GeneSpring(Agilent)を用いてプローブと症例による階層的クラスター解析を行い、39検体 (Clear cell RCC 27例、Chromophobe RCC 2例、Sarcomatoid RCC1例および非癌部正常腎9例)を分類した。まず、それぞれのプローブについて、39検体中少なくとも1検体でシグナル値が200を超えるものを選出し、プローブセットとした。次にこのプローブセットの発現量を用いて、遺伝子間についてピアソン相関係数を求め、クラスター解析を行った。症例間についても同様にピアソン相関係数を求め、クラスター解析を行った。このように、遺伝子間と症例間の二方向についてクラスター解析を行い、症例の類似性の比較を行った。まず、GeneChipの全てのプローブ(54675プローブ)の中から、シグナル値が全ての症例で200以下のプローブを除外することによって、17512プローブのセットを選出した。このプローブセットで階層的クラスター解析を行ったところ、Clear cell RCC(Sarcomatoid RCCを含む)の群と、正常腎およびChromophobe RCCを含む群の2群に大きく分けられた(図1)。また、正常腎9例およびChromophobe RCC2例はそれぞれまとまったクラスターを形成した。
クラスター解析に使用したプローブセットの発現値を用いて、Clear cell RCCあるいはChromophobe RCCで特異的に高発現している遺伝子の選出を行った。選出の条件は以下の通りである。
Clear cell RCC 27例の中央値/正常腎9例の中央値>5かつ、
Clear cell RCC 27例の中央値/Chromophobe RCC 2例の最大値>5
ii)Chromophobe RCC特異的高発現遺伝子
Chromophobe RCC 2例の最小値/正常腎9例の中央値>5かつ、
Chromophobe RCC 2例の最小値/Clear cell RCC 27例の中央値>5
選出されたプローブセットを用いて、NIHが提供しているソフトウェアEXPRESSION ANALYSIS SYSTEMATIC EXPLORERによって解析を行い、各組織型特異的に発現亢進している遺伝子群にどのような機能の遺伝子が多く含まれるかを調べた。表2、表3に示す通り、Clear cell RCCでは免疫応答や生体防御・免疫応答などに関わる遺伝子群が特徴的に高発現していた。また、Chromophobe RCCではイオン輸送やホメオスタシスなどに関与する遺伝子群が特徴的に高発現していることが明らかとなった。各組織型で特異的に高発現していた遺伝子、上位50プローブを次ページ以下、表4および表5に示す。
上記(1−4−2)において選出された遺伝子群にどのような機能の遺伝子が多く含まれるかについて、NIHが提供しているソフトウェアEXPRESSION ANALYSIS SYSTEMATIC EXPLORERによって解析を行った。
これは、各プローブに付されている各gene ontology(遺伝子の機能)が、全プローブ中の頻度に対し、目的の遺伝子群でどの程度濃縮されているかをmodified Fisher's exact testにより検定するものである。検定値はEase Scoreとして表され、この数値が低いほど、目的の遺伝子群で濃縮されている、すなわち、その機能を持つ遺伝子が目的の遺伝子群に多く含まれていると評価される。
今回解析した腎細胞癌、正常腎の発現データと、以前東京大学先端研ゲノムサイエンス部門にてGeneChip HG−U133 plus2.0による解析が行われた15種の正常臓器(Brain,Muscle,Heart,Skin,Lung,Liver,Stomach,Colon,Pancreas,Kidney,Bladder,Bone marrow,Peripheral blood,Ovary,Testis)の発現データを用い、正常臓器で発現が低く、Clear cell RCC特異的に発現が亢進している遺伝子の選出を行った。選出の基準は以下の通りである。
Clear cell RCC 27例の中央値>500(シグナル値)かつ、
15種類の正常臓器の最大値<500(シグナル値)
それら36プローブのうち、TLR3に着目してさらに検討を行った。TLR3の遺伝子発現値(GeneChipシグナル値)を図2に示す。
オリゴヌクレオチドマイクロアレイ解析により、TLR3遺伝子が正常腎および各種正常組織に比べClear cell RCCで発現亢進していることがわかった。
Clear cell RCCおよび同一患者の正常腎組織7ペアにおけるTLR3遺伝子の発現を定量的RT−PCRで測定した。cDNAの合成は,1μgのtotal RNAにDNase I Amp grade(Invitrogen)を添加し、室温で15分間静置することによりゲノムDNAの分解を行った。ついで、Oligo(dT)プライマーおよびSuperScriptTMIII 逆転写酵素(Invitrogen)を用いて50℃で60分間逆転写反応を行った。その後、RNase Hを加えて鋳型RNA鎖の分解を行った。合成されたcDNA溶液をnuclease free waterで希釈し、PCR反応に用いた。合成されたcDNAを鋳型としてPCRバッファー(50mM KCl、10mM Tris−HCl,pH8.3、2mM MgCl2、0.01%ゼラチン)、200 μM dNTPs(TaKaRa)、0.2μMプライマー、Taq Polymerase、SYBR Green(BMA)を用いて定量的RT−PCRを行った。尚、TLR3のForward primerは配列番号1、Reverse primerは配列番号2を使用して、PCR条件:94℃3分、(94℃15秒、60℃15秒、72℃30秒)×45サイクルで実施した。また、内部標準遺伝子としてのACTBについては、Forward primerは配列番号3、Reverse primerは配列番号4を使用して、PCR条件:94℃3分、(94℃15秒、62℃15秒、72℃30秒)×35サイクルで実施し、SYBR Greenが発する蛍光量を測定することで初期鋳型cDNA量を求めた。さらに、ACTBの初期鋳型cDNA量を求め、その値で目的遺伝子の初期鋳型cDNA量を割って補正を行い、得られた数値を目的遺伝子のmRNAの相対量とした。それぞれ同じサンプルについて50μLの系を3本用意して行い、その平均の値を結果として使用した。図3に示す通り、全ての症例において正常腎に比べてClear cell RCCでTLR3遺伝子の発現亢進を認めた。
TLR3のコーディング領域に対してプライマーを設計し、上記実施例2で得られたcDNAを鋳型としてPCR反応を行った。DNAポリメラーゼとしては、KOD−plus−ver.2(TOYOBO)を用いた。尚、PCR条件は以下のとおりである。Foward primer として配列番号5、Reverse primer として配列番号6を用い、PCR条件:94℃2分、(94℃15秒、55℃30秒、68℃3分)×25サイクルにておこなった。得られたPCR産物をアガロースゲルにて電気泳動して切り出し、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用いて回収した。回収したDNAおよびZero Blunt TOPO PCR Cloning Reagents(Invitrogen)を用いてベクターへの組み込みを行った。コンピテント細胞としてTOPO10(Invitrogen)を用い、クローニングを行った。コロニーPCRおよびシークエンシングにより、正しいTLR3 cDNAの配列が組み込まれていることが確認されたコンストラクトを、EcoRIおよびSmaI(TaKaRa Bio)により制限酵素処理して、TLR3のコーディング領域をプラスミドから切り出し、QIAquick Gel Extraction Kitを用いてDNAフラグメントを回収した。同様に制限酵素処理した動物細胞発現用ベクターであるphCMV vector(Genlantis)に、得られたTLR3のコーディング領域を組み込んだ。ライゲーション試薬としてはT4 DNA Ligase(Promega)を用いた。得られたコンストラクトを、TOP10へトランスフォーメーションした。QIAGENのMidPrep kitを用いてプラスミドDNAを精製回収した。
TLR3の細胞外領域(1−700aa)に対してC末端側にヒスチジンタグを付加したプライマーを設計し、上記実施例3で得られたTLR3のコーディング領域のDNAを鋳型としてPCR反応を行った。DNAポリメーラーゼとしては、KOD−plus−ver.2(TOYOBO)を用いた。尚、PCR条件は以下のとおりである。Foward primerとして配列番号7、Reverse primerとして配列番号8を用い、PCR条件:94℃2分、(94℃15秒、55℃30秒、68℃3分)×25サイクルにておこなった。得られたPCR産物をアガロースゲルにて電気泳動して切り出し、QIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN)を用いて回収した。回収したDNAおよびZero Blunt TOPO PCR Cloning Reagents(Invitrogen)を用いてベクターへの組み込みを行った。コンピテント細胞としてTOPO10(Invitrogen)を用い、クローニングを行った。コロニーPCRおよびシークエンシングにより、正しいTLR3 cDNAの配列が組み込まれていることが確認されたコンストラクトを、NotIおよびXbaI(TaKaRa Bio)により制限酵素処理して、TLR3の細胞外領域をプラスミドから切り出し、QIAquick Gel Extraction Kitを用いてDNAフラグメントを回収した。同様に制限酵素処理した動物細胞発現用ベクターであるpNOWベクター(イムノ・ジャパン)に、得られたTLR3の細胞外領域を組み込んだ。ライゲーション試薬としてはT4 DNA Ligase(Promega)を用いた。得られたコンストラクトを、TOP10へトランスフォーメーションした。QIAGENのMidPrep kitを用いてプラスミドDNAを精製回収した。
PBSに溶解した50μgのTLR3の細胞外領域(1−700aa)−His tag融合タンパク質とTiter−MAX(TiterMax USA,Inc.)を等量混合してMRL/Iprマウス(三共ラボサービス)に腹腔内注射することにより初回免疫を行った。2回目以降の免疫は同様に調製した25μgタンパク質量相当のTLR3の細胞外領域(1−700aa)−His tag融合タンパク質とTiter−MAXを混合して腹腔内注射することにより実施した。最終免疫から3日後にマウスから脾臓細胞を無菌的に調製し、ポリエチレングリコール法によってマウスミエローマ細胞NS1との細胞融合を行った。
ハイブリドーマ培養上清中の抗TLR3抗体のスクリーニングは、TLR3の細胞外領域(1−700aa)−His tag融合タンパク質を固相化したELISAによって実施した。
凍結組織およびTLR3強制発現CHO細胞を液体窒素で満たした乳鉢の中ですり棒を用いてすり潰し、プロテアーゼ阻害剤(SIGMA)を加えたRIPAバッファー(10mM Tris−HCl,pH7.4、150mM NaCl、5mM EDTA、1%Triton X−100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1% SDS)を加えた。30分間氷上に静置し、4℃、10分、10,000rpmで遠心して上清をチューブに回収し、等量のサンプルバッファー(2×SDSバッファー、10%メルカプトエタノール)を加えて、95℃で15分加熱した。加熱後遠心上清を12%アクリルアミドゲル上に電気泳動した。電気泳動は100Vで10分間、200Vで50分間行った。2%スキムミルク/TBS−T(Triton X−100)にてブロッキングを60分間行った後、一次抗体と室温で60分間反応させた。一次抗体としては抗TLR3モノクローナル抗体(2.5μg/mL,IMGENEX)および抗β−actinモノクローナル抗体(0.3μg/mL,Sigma)を用いた。TBS−Tによる洗浄を行った後、二次抗体と室温で45分間反応させた。二次抗体としてはHRPラベルされた抗マウスIgG抗体(Amersham Biosciences)を1/10,000に希釈したものを用いた。TBS−Tによる洗浄を行った後に、化学発光検出試薬であるECL−PLUS(Amersham Biosciences)によってHRPの発光を行い、LAS 3000イメージアナライザー(富士フィルム)でバンドを検出した。
(7−1)TMAブロックの作製
1993年から2004年にかけて東京大学医学部附属病院にて手術的に切除された腎腫瘍216例のパラフィンブロックからTissue micro array(TMA)ブロックを作製した。まず、各症例のスライドガラスを鏡検し、組織型の評価を行うとともに、腫瘍の代表的な部分2箇所に印をつけた。次いで、印をつけたスライドガラスと照らし合わせながら、各症例のパラフィンブロックから2箇所を直径2mmの針で打ち抜き、TMAブロックに移植した。1ブロックにつき24症例48箇所の組織を移植したTMAブロックを9個作成した。TMAブロックを4μmの厚さに薄切し、シランコートガラスに貼り付け、免疫染色用の標本とした。なお、連続切片の1枚に対してはHE(ヘマトキシリン・エオジン)染色を行い、組織型の評価を行った。
まず、4μmに薄切された切片に対し、キシレン・エタノール系列で脱パラフィン化と親水化を行った。次に、切片をpH6.0クエン酸バッファーに浸した状態で10分間オートクレーブ処理(121℃)することにより抗原賦活化を行った。一次抗体として、抗TLR3モノクローナル抗体(IMGENEX)を抗体希釈液(ChemMate Antibody Diluent,DakoCytomation)で10倍に希釈し(希釈後濃度2.5μg/mL)、室温で60分間反応させた。TBSで洗浄した後、二次抗体として、ENVISION+/HRP(DAKO)を室温で30分間反応させ、TBSで洗浄した。Diaminobenzidine tetrahydrochloride(DAB)で発色を行い、最後にヘマトキシリンで核染色を行い、エタノール、キシレン系列で脱水、透徹して封入した。陰性コントロールとして、全ての切片に対して一次抗体のみを省いて同様の染色工程を行った。陰性コントロール切片では、陽性シグナルは認められなかった。
Papillary RCCではClear cell RCCと同様に高頻度に発現を認めたが(図6(A)、表7)、Chromophobe RCCでは、8例中全てが完全に陰性だった(図6(B)、表7)。
Clear cell RCC 189例についての、TLR3染色強度と臨床病理学的因子との相関を表8に示す。TLR3高発現群では、低発現群に比べて静脈侵襲が少ない傾向があったものの、TLR3の染色強度と、年齢・性別・核異型度・pT・静脈侵襲との間に有意差は見られなかった。
Clear cell RCCの肺転移巣8例のパラフィン包埋検体を用いて実施例7と同様に免疫染色を行った。
Clear cell RCC の肺転移巣では、8例中6例(75%)で、50%以上の癌細胞に中等度(2+)以上の陽性像を認めた(図6(C,D))。なお、正常肺胞上皮や終末細気管支上皮では殆どTLR3の発現はみられなかった。
腎癌細胞株8種を東北大学加齢研(Caki−1、ACHN、SW839、VMRC−RCW)、理研セルバンク(OS−RC−2、TUHR10−TKB、TUHR14−TKB)およびAmerican Type Culture Collection(Caki−2)より入手した。細胞は10%FBSおよび抗生物質(ペニシリン・ストレプトマイシン)を含む培地を培養液として、5% CO2通気下、37℃にて培養した。使用した培地は、ACHN、SW839、VMRC−RCW、OS−RC−2、TUHR10−TKB、TUHR14−TKBについてはRPMI1640 medium(SIGMA)、Caki−1、Caki−2についてはMacoy 5A modified medium(Invitrogen)である。各細胞をそれぞれ10cm dishで培養し、70〜80%のコンフルエントになった時点でRNAを回収した。1μgのRNAをテンプレートとしてcDNA合成を行い、定量的RT−PCRで目的遺伝子の発現量を測定した。TLR3遺伝子の発現は全ての細胞株で認められた(図7(A))。発現量には細胞株によってばらつきがあり、最も高発現していたTUHR10−TKBでは、最も発現が低かったCaki−2の9.9倍の発現量を示した。それら腎癌細胞株8種に対してPoly I:C(Invitrogen)を投与し、細胞増殖の程度を測定した。各細胞を96−well plateに1ウェルあたり2×103個あるいは4×103個となるように播種した(播種細胞の個数は増殖速度に応じて調整した)。24時間後、培地を除去し、各種濃度のPoly I:Cを含む培地を添加し、さらに培養を行った。Poly I:Cを添加してから一定時間経過後に、WST−8 assay Kit(同仁)を用いて生細胞数の比較を行った。プレートリーダーにて450nmの吸光度を測定し、その値からバックグラウンドとして630nmの吸光度を差し引いた値を結果として用いた。それぞれ同じ条件について4ウェルの測定を行い、その平均の値を結果として使用した。10μg/mLのPoly I:Cを投与し、72時間後に吸光度を測定した場合、8個中5個の細胞株(TUHR10−TKB、OS−RC−2、TUHR14−TKB、SW839、VMRC−RCW)で有意(p<0.01)な増殖抑制効果が観察された(図7(B))。そして、TLR3遺伝子の発現が高い細胞株ほどより強い増殖抑制効果を示す傾向があった。すなわち、10μg/mLのPoly I:C投与では、TLR3遺伝子の発現が最も高いTUHR10−TKBに対して最大の増殖抑制効果を示した。そして、10μg/mLのPoly I:C添加で有意な増殖抑制効果を示さなかった3株(ACHN、Caki−1、Caki−2)ではTLR3遺伝子の発現は低かった(図7(A))。
Poly I:Cによる増殖抑制効果は用量依存性であった。すなわち、TLR3遺伝子の発現が最も高かったTUHR10−TKBに各種濃度のPoly I:Cを投与したところ、Poly I:Cの濃度が高いほど強い増殖抑制効果を示した(図7(C))。
Poly I:Cによる増殖抑制効果にアポトーシスが寄与しているかどうかを、Annexin−V染色にて検討した。腎癌細胞株TUHR10−TKBを、4−well組織培養用カルチャースライド(BDbiosciences)に1ウェルあたり5×104個となるように播種した。24時間後、培地を除去し、0または50μg/mLのPoly I:Cを含む培地を添加し、5時間培養を行った。その後、Annexin−V−FLUOS Staining Kit(Roche)のプロトコールに従い、アポトーシスに陥った細胞の観察を行った。すなわち、培養終了後、培地を除去し、HEPESバッファーで2回洗浄した。次に、Annexin−V−FLUOS labeling solutionを1ウェルあたり100μL添加し、室温で15分間反応させた。カバーガラスで封入し、蛍光顕微鏡にて488nmの波長で観察した。Poly I:C添加群では約10%の細胞が陽性を示したのに対し、対照のPoly I:C非添加群では、陽性細胞は稀(1%程度)であった(図8)。すなわち、Poly I:C添加によって細胞アポトーシスが誘導されることがわかった。
腎癌細胞株TUHR10−TKBおよびCaki−1の培養後、50μg/mLのPoly I:Cを投与し、0、2、6、12、24時間後に細胞をPBSで2回洗浄した後、Trizolを加えホモジナイズした。回収した1μgのRNAをテンプレートとしてcDNA合成を行い、定量的RT−PCRで目的遺伝子の発現変化を測定した。cDNA合成および定量的RT−PCRは前述の通り行った。内部標準遺伝子としてACTBの初期鋳型cDNA量を求め、その値で目的遺伝子の初期鋳型cDNA量を割って補正を行い、得られた数値を目的遺伝子のmRNAの相対量とした。それぞれ同じサンプルについて50μLの系を3本用意して行い、その平均の値を結果として使用した。使用した各サイトカインおよびケモカインのForward primer(F)およびReverse primer(R)を以下に示す。各PCR条件はサイクル数を除きIFNβと同条件である。
<IL6>:F(配列番号11)、R(配列番号12);×40サイクル
<IL8>:F(配列番号13)、R(配列番号14);×40サイクル
<IP10(CXCL10)>:F(配列番号15)、R(配列番号16);×35サイクル
<RANTES(CCL5)>:F(配列番号17)、R(配列番号18);×35サイクル
腎癌細胞株OS−RC−2について、TLR3を標的としたsiRNAによるTLR3の発現抑制解析を行った。siRNAの導入はHiPerFect(QIAGEN)のプロトコールに従い、リバーストランスフェクション法を用いて行った。OptiMEM培地(Invitrogen)に、HiPerFectおよびsiRNAを最終濃度20nMとなるように混合し、抗生物質を含まない細胞懸濁液を添加した。6−well plateで48時間培養した後RNAを回収した。1μgのRNAをテンプレートとしてcDNA合成を行い、定量的RT−PCRで目的遺伝子の発現変化を測定した。siRNAの配列は配列番号19に示した。陰性コントロールとして、Stealth RNAi Negative Control Kit with Medium GC(GC 48%)(Invitrogen)を使用した。さらに、上記と同様に、腎癌細胞株OS−RC−2に対して最終濃度20nMのsiRNAを導入し、96−well plateで72時間培養した。その後、0または50μg/mLのpoly I:C溶液(抗生物質を含む)を添加し、さらに48時間培養した後、前述の通り、WST−8 assay Kitを用いて生細胞数の比較を行った。それぞれ同じ条件について4ウェルの測定を行い、その平均の値を結果として使用した。その結果、TLR3を標的としたsiRNAによって、陰性コントロールと比較してTLR3遺伝子の著明な発現抑制がみられた(図10(A))。次いで、siRNAによってTLR3遺伝子の発現を抑制したときの細胞増殖に与える変化およびpoly I:Cによる増殖抑制効果ならびにIFNβ遺伝子発現の変化を検討した。まず、TLR3遺伝子の発現を抑制すること自体は細胞増殖に変化を与えなかった(図10(B))。しかし、TLR3遺伝子の発現を抑制することにより、poly I:Cによる増殖抑制効果は有意に減弱した。すなわち、コントロール株ではpoly I:C添加によって37%の増殖抑制効果(poly I:C非投与群の吸光度に対する投与群の吸光度の減少割合を示す)を示したのに対し、TLR3遺伝子の発現を抑制したものでは増殖抑制効果が17%に半減した(図10(B))。すなわち、poly I:Cによる増殖抑制効果はTLR3の発現に依存しているということが示された。また、TLR3遺伝子の発現を抑制することにより、poly I:CによるIFNβの発現誘導が抑制された(図10(C))。すなわち、poly I:CによるIFNβの発現誘導もTLR3の発現に依存しているということが示された。
腎癌細胞株Caki−1に対して、poly I:CおよびIFNαを併用することによる増殖の変化を測定した。まず、96−well plateに1ウェルあたり2×103個となるように細胞を播種した。播種後24時間で培地を除去し、IFNα(0、100、1000、10000U/mL)を含む培地を添加した。IFNα添加24時間後、培地を除去し、poly I:C(0、10、50μg/mL)を含む培地を添加した。さらに48時間培養を行った後、WST−8 assay Kitを用いて生細胞数の比較を行った。それぞれ同じ条件について4ウェルの測定を行い、その平均の値を結果として使用した。
Caki−1に対して、IFNαとpoly I:Cは相乗的な増殖抑制効果を示した(図11(A))。すなわち、IFNαを加えなかった場合、poly I:Cのみによる増殖抑制効果は乏しかったが(poly I:C 50μg/mLのものは、poly I:Cなしのものに比べて17%の増殖抑制効果)、IFNαの投与により、poly I:Cによる増殖抑制効果が著明に増強した。具体的には、IFNαを100、1000、10000U/mL加えた場合(それぞれ単独では11、19、23%の増殖抑制効果を示すにすぎない)、さらにpoly I:C 50μg/mLを加えたときの増殖抑制効果(poly I:C、IFNαのいずれも添加しなかった群の吸光度に対する目的群の吸光度の減少割合を示す。以下同じ。)はそれぞれ50、71、76%に増強した。また、IFNα単独の場合増殖抑制効果は乏しかったが(IFNα 10000U/mLのものは、IFNαなしのものに比べて23%の増殖抑制効果)、IFNα添加培養のpoly I:Cを加えた場合、IFNαによる増殖抑制効果が著明に増強した。具体的には、poly I:Cを10あるいは50μg/mL加えた場合(それぞれ単独では9、17%の増殖抑制効果を示すにすぎない)、IFNα 10000U/mLを加えたものの増殖抑制効果はそれぞれ57、76%に増強した。
実施例13と同様に腎癌細胞株Caki−1に、IFNα(0,100,1000,10000U/mL)を添加し、6時間後にRNAを回収した。1μgのRNAをテンプレートとしてcDNA合成を行い、定量的RT−PCRでTLR3遺伝子の発現変化を測定した。IFNα投与により、TLR3遺伝子の発現上昇がみられた。定常状態と比較し、TLR3遺伝子の発現量はIFNα 100U/mL添加により3.4倍、10000U/mL添加により4.8倍に増加した(図11(B))。
実施例13と同様に、腎癌細胞株Caki−1に、0、100、1000、10000U/mLのIFNαを投与して24時間培養した後、0あるいは50μg/mLのpoly I:Cを投与し、6時間後にRNAを回収した。1μgのRNAをテンプレートとしてcDNA合成を行い、定量的RT−PCRで目的遺伝子の発現変化を測定した。IFNβ、IL6、IL8、IP10、RANTESのいずれも、poly I:Cを添加しなかった場合は、プレインキュベートしたIFNαの濃度に関わらず、発現はほとんどみられなかった(IFNβ、IL6、IL8、RANTESについて図10(D−F)に示す。IP10については省略)。poly I:C添加により、全ての遺伝子の発現が上昇した。そして、遺伝子発現上昇の程度はIFNαの濃度に依存していた。すなわち、同じ濃度(50μg/mL)のpoly I:Cを添加した場合、プレインキュベートしたIFNαの濃度が高いほど、TLR3下流遺伝子の発現量は高くなった(図10(C−F))。
Claims (8)
- 抗TLR3抗体を含有する腎癌診断薬。
- 腎癌がClear cell RCCである請求項1記載の腎癌診断薬。
- 腎癌がClear cell RCC転移癌である請求項1または2記載の腎癌診断薬。
- 抗TLR3抗体がTLR3タンパク質と結合する抗体である請求項1〜3のいずれか1項記載の腎癌診断薬。
- 臓器組織に抗TLR3抗体を反応させてTLR3タンパク質を検出することにより使用されるものである請求項1〜4のいずれか1項記載の腎癌診断薬。
- 腎癌患者のうち、Clear cell RCCまたはClear Cell RCC転移癌を選択するための診断薬である請求項1〜5のいずれか1項記載の腎癌診断薬。
- 被験者から採取された試料に抗TLR3抗体を反応させ、当該試料中のTLR3タンパク質を検出することを特徴とする腎癌の指標とするための方法。
- 被験者から採取された試料が臓器組織である請求項6記載の腎癌の指標とするための方法。
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