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JP5116291B2 - 発光素子及び照明装置 - Google Patents
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本発明は、窒化物ガリウム系化合物半導体を利用した発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の発光素子及び照明装置に関するものである。
近年、紫外光領域から青色光までの光を発光する発光素子として、AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表される窒化ガリウム系化合物半導体や窒化物系半導体を用いた発光素子が注目されている。
このような窒化ガリウム系化合物半導体を用いた発光素子は、蛍光体と組み合わせることにより白色の光を発光することが可能であり、また省エネルギーかつ長寿命であることから、白熱電球や蛍光ランプの代替品として有望視されると共に実用化が始まっている。しかしながら、窒化ガリウム系化合物半導体を用いた発光素子の発光効率は、蛍光灯に比較すると低いため、更なる高効率化が求められており、そのための様々な研究が行われている。
ところで、発光素子の発光効率である外部量子効率は、発光層で電気エネルギーが光エネルギーに変換される割合を示す内部量子効率と、変換された光エネルギーが外部へ放出される割合を示す光取り出し効率との積によって決定される。
内部量子効率は、発光素子を形成する窒化ガリウム系化合物半導体の結晶性に大きく影響を受ける。内部量子効率を向上させる方策として、サファイア等から成る基板上に非晶質または多結晶のAlN系またはAlGaN系の材料のバッファ層を形成し、このバッファ層上に窒化ガリウム系化合物半導体層を成長させることにより、基板と窒化ガリウム系化合物半導体層との格子不整合を緩和させ、窒化ガリウム系化合物半導体層の結晶性を向上させるという方法が、公知の技術として知られている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
一方、光取り出し効率の向上に関しても種々の技術が公開されており、発光素子または電極の表面に凹凸構造を形成することによって外部との屈折率差を緩和し、内部全反射を抑制する方法がある(例えば、特許文献2、非特許文献1を参照)。
従来の発光素子の一例の断面図を図4に示す。基板1上にn型窒化ガリウム系化合物半導体層2a、窒化ガリウム系化合物半導体層からなる発光層2b及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層2cより成る半導体層2が形成されていると共に、n型窒化ガリウム系化合物半導体層2a上とp型窒化ガリウム系化合物半導体層2c上に、それぞれn型電極3及びp型電極4が形成されている。p型電極4としては発光した光に対して透明な導電層が用いられ、p型窒化ガリウム系化合物半導体層2cに電流を均一に拡散させるためp型窒化ガリウム系化合物半導体層2cの上面の全面に形成される。n型電極3及びp型電極4の一部には、外部から電流を注入するために、それぞれn型パッド電極5、p型パッド電極6が設けられており、ワイヤーボンディングによってパッケージの配線等と接続される。窒化ガリウム系化合物半導体層の形成に使用される基板1としては、一般的にサファイア基板が使用されている。
特許第3026087号公報 特開平17−259970号公報 アプライド.フィジックス.レターズ.86.221101(2005)(APPLIED.PHYSICS.LETTERS.86.221101 (2005))
図4の従来の発光素子においては、サファイア基板の屈折率は発光層2bで発光した光の波長を400nmとした場合に約1.78であるのに対し、窒化ガリウム系化合物半導体の屈折率は約2.55と高い。そのため、発光層2bで発光した光のうち、サファイア基板への入射角が臨界角θの約44°(θ=arcsin(1.78/2.55))を超える角度で入射する光は、各窒化ガリウム系化合物半導体層を積層してなる半導体層2の内部で全反射を繰り返す。従って、光は半導体層2で全反射を繰り返す過程で大部分が半導体層2に吸収され、残った光が半導体層2の端部から外部へ向かって放射されるため、発光量が低下するという問題点がある。
さらに、半導体層2との境界が空気(屈折率≒1)である場合は、これらの媒質間の屈折率差がさらに大きくなり、境界で半導体層2側に反射される光の量が一層増えるため、光取り出し効率はさらに悪くなる。
上記の問題点を解決するために、特許文献2の方法を用いて発光素子の光取り出し効率を向上させる場合では、p型窒化ガリウム系化合物半導体層の一方主面に形成された凹凸構造により、p型窒化ガリウム系化合物半導体層とp型電極としての透明導電層との界面における反射を抑制することによって光取り出し効率を向上させているが、透明導電層と空気の屈折率差が大きいため、これらの界面で反射する光の量が多く、反射した光は再び透明導電層内あるいは半導体層内に戻って吸収されるため、光取り出し効率を高めるには限界がある。
また、非特許文献1の方法では、p型電極としての透明導電層上に凹凸構造を形成することによって、透明導電層と空気との界面での反射を抑制し、光取り出し効率を改善しているが、透明導電層に凹凸構造を形成する場合は、凹凸構造を形成する分だけ透明導電層の厚みが増えるため、外部へ取り出される前に透明導電層内で吸収される光の量が多くなるという問題点があった。
従って、本発明は上記従来の技術における問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、光取り出し効率を飛躍的に向上させることが可能な発光素子を提供することである。
本発明の発光素子は、n型窒化ガリウム系化合物半導体層、窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光層及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層で構成される積層体を含む半導体層を有し、前記半導体層の面に透明導電層と透明層とが順次形成されており、前記透明層の屈折率が前記透明導電層の屈折率以上であって、前記透明層の表面に凹凸構造が形成されている。また、前記透明導電層の上面にp側パッド電極が形成されている。そして、前記凹凸構造における凸部の表面が前記p側パッド電極の上面よりも上方に位置している。
本発明の発光素子は好ましくは、前記半導体層と前記透明導電層が接する界面に凹凸構造が形成されていることを特徴とする。
本発明の発光素子は好ましくは、前記半導体層は、基板上に形成した反射層上にエピタキシャル成長されていることを特徴とする。
本発明の照明装置は、本発明の発光素子と、前記発光素子からの発光を受けて光を発する蛍光体及び燐光体の少なくとも一方とを具備していることを特徴とする。
本発明の発光素子は、n型窒化ガリウム系化合物半導体層、窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光層及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層で構成される積層体を含む半導体層を有し、半導体層の一方主面に透明導電層と透明層とが順次形成されており、透明層の屈折率が透明導電層の屈折率以上であることによって、透明導電層と透明層との界面における光の反射が大幅に抑制されるため、透明導電層内に戻る光が減少する。その結果、光吸収係数が比較的大きいITO層等から成る透明導電層内での光の吸収量が低減し、光取り出し効率を大幅に向上させることが可能になる。
また、本発明の発光素子は好ましくは、透明層の表面に凹凸構造が形成されていることから、透明層と空気との界面における屈折率差が緩和されて、光の反射量が減少するため、透明導電層から透明層へ入った光を外部へと有効に取り出すことが可能となり、光取り出し効率をさらに高めることができる。
また、本発明の発光素子は好ましくは、半導体層と透明導電層が接する界面に凹凸構造が形成されていることにより、半導体層と透明導電層との界面における屈折率差が緩和されて、光の反射量が減少する。そのため、半導体層から透明導電層へと入射する光の量を増加させることが可能となり、光取り出し効率が一層向上する。
また、本発明の発光素子は好ましくは、半導体層は、基板上に形成した反射層上にエピタキシャル成長されていることによって、基板側へ向かう光は反射層によって光取り出し方向となる透明層側へと反射され、光取り出し方向へと効果的に光を集めることが可能となるため、光取り出し効率が向上する。
本発明の照明装置は、本発明の発光素子と、発光素子からの発光を受けて光を発する蛍光体及び燐光体の少なくとも一方とを具備していることから、従来の蛍光灯等よりも消費電力が小さく、小型であることから、小型で高輝度の照明装置となる。
以下、本発明の発光素子の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の発光素子について実施の形態の一例を示す模式的な断面図である。図1において、8は窒化ガリウム系化合物半導体層を複数層積層して成る半導体層(積層体)であり、8aはn型窒化ガリウム系化合物半導体層、8bは窒化ガリウム系化合物半導体層からなる発光層、8cはp型窒化ガリウム系化合物半導体層、9はn側電極としての、あるいはn側電極を形成するためのn側導電層、10はp側電極としての、あるいはp側電極を形成するためのp側導電層である。
本発明の発光素子は、n型窒化ガリウム系化合物半導体層8a、窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光層8b及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層8cで構成される積層体を含む半導体層8を有し、半導体層8の一方主面(図1では基板7と逆側の面)に透明導電層10と透明層13とが順次形成されており、透明層13の屈折率が透明導電層10の屈折率以上である構成である。
透明導電層10としては、酸化インジウム錫(ITO),酸化錫(SnO),酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物系のものが使用されるが、これらの中では特に酸化インジウム錫(ITO)は紫外光から青色光に対して高い透過率を有するだけでなく、p型窒化ガリウム系化合物半導体層8cと良好なオーミック接触が取れるために好適である。
透明層13としては、透明導電層10の屈折率が、紫外光から青色光に対して約2.0であることから、この値以上の屈折率を有するとともに、光の吸収係数の小さいものを用いることが好ましい。そのような材質のものとしては、酸化ジルコニウム(ZrO),酸化チタン(TiO),酸化タンタル(Ta),炭化ケイ素(SiC)等がよく、これらの屈折率は2.2〜2.8である。
透明層13の屈折率と透明導電層10の屈折率との差は、0〜1であることが好ましい。屈折率の差が1を超えると、透明層13と空気との界面における光の反射が大きくなり、また屈折率差が増加するために凹凸構造14による屈折率差の緩和の効果が十分に得られない。
透明導電層10の厚みは250nm〜500nmがよい。250nm未満では、p型窒化ガリウム系化合物半導体8cと良好なオーミック接触が形成できない傾向があり、500nmを超えると、透明導電層10での光吸収量が増加し、光取り出し効率が低下し易くなる。
透明層13の厚みは500nm〜5μmがよい。500nm未満では、光の透過率を向上させるために十分な高さを有する凹凸構造14が形成できない傾向がある。5μmを超えると、透明層13での光吸収量が増加するだけでなく、透明層13の材質と成膜方法に依るが、蒸着法やスパッタリング法などの一般的な成膜方法を用いる場合において、成膜時間が非常に長くなり、生産性が低下する。
透明層13の表面に凹凸構造14が形成されていること、即ち透明層13と空気との界面に凹凸構造14が形成されていることが好ましい。
また、半導体層8と透明導電層10が接する界面に凹凸構造14が形成されていること、即ちp型窒化ガリウム系化合物半導体層8cと透明導電層10の界面に凹凸構造14が形成されていることが好ましい。
勿論、図1に示すように、透明層13の表面に凹凸構造14が形成されているとともに、半導体層8と透明導電層10が接する界面に凹凸構造14が形成されていてもよい。
凹凸構造14の大きさは、凹凸の突起同士の平均間隔が媒質(透明層13、p型窒化ガリウム系化合物半導体層8c)中の実効波長と同程度かそれ以下、また高さについても媒質中の実効波長と同程度かそれ以上のものであることが好ましい。この場合、界面の上下層間の屈折率差がより緩和されて光の反射が抑制されるとともに、光散乱の効果が得られる。その結果、凹凸構造14がない場合には、臨界角を超えて界面で全反射し、透明層や半導体層の内部に閉じ込められていた光も、光の進行方向が変化するために、臨界角以内に入る割合が増加することによって光取り出し量が向上する。
凹凸構造14は、基板7上にn型窒化ガリウム系化合物半導体層8a、発光層8b及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層8cをこれらの順で形成した後、p型窒化ガリウム系化合物半導体層8aの表面上にレジスト層や金属層等から成るマスクを形成し、反応性イオンエッチング(RIE:Riactive Ion Ettching)法のドライエッチング法等を用いることによって、容易に形成することができる。また、透明層13上の凹凸構造14も同様の方法で形成することが可能である。
本発明の半導体層8は、基板7上に形成された反射層15上にエピタキシャル成長されていることが好ましい。反射層15により、基板7側へ向かう光は光取り出し方向である透明層13側に反射されるために、光取り出し方向へと有効に光が集めることが可能になる。
反射層15としては、例えば、高屈折率層と低屈折率層を交互に複数層重ねることによって、光の干渉効果によるブラッグ反射により高屈折率層と低屈折率層の反射が強め合う効果を有する分布型ブラッグ反射鏡(DBR:Distributed Bragg Reflectors)を用いることがよい。具体的には、厚みが41.5nmのGaN層と、厚みが38.5nmのAl0.52Ga0.48N層を20組積層した、DBR周期構造を形成することによって、発光波長400nmの光に対して非常に良好な反射率を有する反射層15が得られる。
本発明の半導体層8は、発光層8bを、n型窒化ガリウム系化合物半導体層8aとp型窒化ガリウム系化合物半導体層8cとで挟んだ構成であるが、例えば、n型窒化ガリウム系化合物半導体層8aは、第1のn型クラッド層としてのGaN層、第2のn型クラッド層としてのIn0.02Ga0.98N層の積層体等からなる。このn型窒化ガリウム系化合物半導体層8aの厚みは2μm〜3μm程度である。
また、例えば、p型窒化ガリウム系化合物半導体層8cは、第1のp型クラッド層としてのAl0.15Ga0.85N層、第2のp型クラッド層としてのAl0.2Ga0.8N層、p型コンタクト層としてのGaN層の積層体等からなる。このp型窒化ガリウム系化合物半導体層8cの厚みは200nm〜300nm程度である。
また、例えば、発光層8bは、禁制帯幅の広い障壁層としてのIn0.01Ga0.99N層と、禁制帯幅の狭い井戸層としてのIn0.11Ga0.89N層とを、交互に例えば3回繰り返し規則的に積層した多重量子井戸構造(MQW:Muliti Quantum Well)等からなる。この発光層8bの厚みは25nm〜150nm程度である。
本発明のn型窒化ガリウム系化合物半導体層8a、発光層8b、p型窒化ガリウム系化合物半導体層8cを含む半導体層8の成長方法は、有機金属気相成長法(MOVPE)法が用いられるが、その他分子線エピタキシー(MBE)法やハイドライド気相成長(HVPE)法、パルスレーザデポジション(PLD)法等が挙げられる。
n側導電層9の材質は、発光層8bが発生した光を損失なく反射し、かつn型窒化ガリウム系化合物半導体層8aと良好なオーミック接続がとれるものがよい。
そのような材質のものとしては、例えばアルミニウム(Al),チタン(Ti),ニッケル(Ni),クロム(Cr),インジウム(In),錫(Sn),モリブデン(Mo),銀(Ag),金(Au),ニオブ(Nb),タンタル(Ta),バナジウム(V),白金(Pt),鉛(Pb),ベリリウム(Be),酸化インジウム(In),金−シリコン合金(Au−Si合金),金−ゲルマニウム合金(Au−Ge合金),金−亜鉛合金(Au−Zn合金),金−ベリリウム合金(Au−Be合金)等を用いればよい。これらの中でも、アルミニウム(Al)または銀(Ag)は、発光層8bが発光する青色光(波長450nm)〜紫外光(波長350nm)の光に対して反射率が高いので好適である。また、アルミニウム(Al)はn型窒化ガリウム系化合物半導体層8aとのオーミック接合の点でも特に好適である。また、上記材料の中から選択した層を複数層積層したものとしても構わない。
また、n型電極9及びp側の透明導電層10上には、それぞれ外部との電気的接続をとるための導線等を接続するn側パッド電極11とp側パッド電極12が設けられている。両電極は、例えばチタン(Ti)層、またはチタン(Ti)層を下地層として金(Au)層を積層したものを用いればよい。
また、半導体層8は、サファイア,SiC等から成る基板7上に窒化ガリウム系化合物半導体から成るバッファ層を介して形成してもよく、また、化学式XB(ただし、XはZr,Ti及びHfのうち少なくとも1種を含む。)で表される二ホウ化物単結晶から成る基板7上に直接形成してもよい。
化学式XBで表される二硼化物単結晶から成る基板7を使用することによって、窒化ガリウム系化合物半導体との格子定数差が0.57%、熱膨張係数差が2.7×10−6/Kと小さい基板7となるため、転位密度が低く、残留歪の小さい窒化ガリウム系化合物半導体層を形成することが可能となる。
化学式XBで表される二硼化物単結晶から成る基板7は、ZrB単結晶,TiB単結晶,HfB単結晶等からなるが、窒化ガリウム系化合物半導体との格子整合性及び熱膨張係数の整合性の点で優れていることを考慮すると、ZrB単結晶からなるものを使用することが好ましい。また、ZrB単結晶において、Zrの一部がTiやHfに置換されているものであってもよい。また、ZrB単結晶において、その結晶性また格子定数が大きく変化しない程度に不純物としてTi,Hf,Mg,Al等を含んでいても構わない。
なお、本発明の窒化ガリウム系化合物半導体を適用した発光素子は、発光ダイオード(LED)として使用することができる。
また、本発明の上記の発光素子(LED)は次のように動作する。即ち、発光層8bを含む半導体層8にバイアス電流を流して、発光層8bで波長350〜400nm程度の紫外光〜近紫外光や紫光を発生させ、発光素子の外側にその紫外光〜近紫外光や紫光を取り出すように動作する。
また、本発明の発光素子は照明装置に適用できるものであり、その照明装置は、本発明の発光素子と、発光素子からの発光を受けて光を発する蛍光体及び燐光体の少なくとも一方とを具備している構成である。この構成により、輝度及び照度の高い照明装置を得ることができる。この照明装置は、本発明の発光素子を透明樹脂等で覆うか内包するようにし、その透明樹脂等に蛍光体や燐光体を混入させた構成とすればよく、蛍光体や燐光体によって発光素子の紫外光〜近紫外光を白色光等に変換するものとすることができる。また、集光性を高めるために透明樹脂等に凹面鏡等の光反射部材を設けることもできる。このような照明装置は、従来の蛍光灯等よりも消費電力が小さく、小型であることから、小型で高輝度の照明装置として有効である。
本発明の発光素子の実施例について以下に説明する。本発明の発光素子の効果を確認するために、有限差分時間領域(FDTD:Finite Difference Time Domain Method)法と光線追跡法を用いて、光散乱性及び光取り出し効率のコンピュータシミュレーションを実施した。
まず最初に、凹凸構造のみのモデルを用いてFDTD法による光散乱のシミュレーションを行い、散乱光の散乱角分布を求めた。次に、その分布を光線追跡法における凹凸構造の境界条件として適用し、本発明の発光素子(LED素子)における光取り出し効率のコンピュータシミュレーションを行った。
図2は従来の発光素子の一例についてのシミュレーションモデルの断面図であり、p型窒化ガリウム系化合物半導体層2cと透明導電層4との界面、及び透明導電層4と空気との界面に凹凸構造14が形成されている。なお、図2において、2は半導体層、2aはn型窒化ガリウム系化合物半導体層、2bは窒化ガリウム系化合物半導体から成る発光層、3はn側導電層、15は反射層である。
一方、図3は本発明の発光素子の一例についてのシミュレーションモデルの断面図であり、p型窒化ガリウム系化合物半導体層8cと透明導電層10の界面、及び透明導電層10上に形成された透明層13と空気との界面に凹凸構造14が形成されている。
両モデルにおいて、反射層15に向かう光は反射層15でほぼ完全に反射されるか、または一部透過吸収されて基板には到達しないため、基板はシミュレーションモデルに含めないものとする。
また、発光波長は400nmであるとして、発光層から等方的に光が放射されるものとする。
さらに、n型窒化ガリウム系化合物半導体層2a,8a、発光層2b,8b及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層2c,8cからなる厚み3.2μmの半導体層2,8の屈折率を2.5とした。このとき、n型窒化ガリウム系化合物半導体層2a,8a、発光層2b,8b及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層2c,8cについて、屈折率の変化はほとんどないため、全て同じ屈折率とした。
また、酸化インジウム錫(ITO)からなる厚み0.5μmの透明導電層4,10の屈折率を2.06、アルミニウム(Al)からなるn型電極3及び厚み0.5μmの反射層15の屈折率を0.49とした。
凹凸構造14の大きさは、凹凸の突起同士の間隔を320nm、突起の高さを960nmとする。
図5に、厚み1μmの透明層13の屈折率を1.5〜3まで変化させていったときの光取り出し効率をコンピューターシミュレーションによって求めた結果のグラフを示す。これより、透明層13の屈折率が酸化インジウム錫(ITO)からなる透明導電層10の屈折率2.06以上である場合において、従来の光取り出し効率(点線部)より大幅に向上しており、本発明の有効性が明確に示されていることが分かる。
本発明の発光素子について実施の形態の一例を示す断面図である。 従来の発光素子の一例についてのシミュレーションモデルを示す断面図である。 本発明の発光素子の一例についてのシミュレーションモデルを示す断面図である。 従来の発光素子の一例を示す断面図である。 本発明の実施例の発光素子と従来の発光素子について、光り取り出し効率をコンピュータシミュレーションにより求めた結果のグラフである。
符号の説明
7:基板
8:半導体層
8a:n型窒化ガリウム系化合物半導体層
8b:発光層
8c:p型窒化ガリウム系化合物半導体層
9:n側導電層
10:p側透明導電層
11:n側パッド電極
12:p側パッド電極
13:透明層
14:凹凸構造
15:反射層

Claims (4)

  1. n型窒化ガリウム系化合物半導体層、窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光層及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層で構成される積層体を含む半導体層と、前記n型窒化ガリウム系化合物半導体層に電気的に接続されたn側パッド電極と、前記半導体層の面に形成された透明導電層と、前記透明導電層の上面に形成された透明層と、前記透明導電層の上面に形成されたp側パッド電極とを有し、
    前記透明層の屈折率が前記透明導電層の屈折率以上であって、前記透明層の表面に凹凸構造が形成されているとともに、前記凹凸構造における凸部の表面が前記p側パッド電極の上面よりも上方に位置していることを特徴とする発光素子。
  2. 前記半導体層と前記透明導電層が接する界面に凹凸構造が形成されていることを特徴とする請求項1記載の発光素子。
  3. 前記半導体層は、基板上に形成した反射層上にエピタキシャル成長されていることを特徴とする請求項1または2記載の発光素子。
  4. 請求項1乃至のいずれかの発光素子と、前記発光素子からの発光を受けて光を発する蛍光体及び燐光体の少なくとも一方とを具備していることを特徴とする照明装置。
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