JP5116388B2 - クロマトグラフィー用キラル固定相の光学異性体分離能の評価方法および評価装置 - Google Patents
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請求項1に記載の発明は、検出対象の光学異性体を分離して検出するためのキラル固定相の、光学異性体分離能の評価方法であって、圧電素子の一方または双方の電極に、検出対象の光学異性体と相互作用する、キラル固定相用の作用物質が固定され、一方の末端で前記電極に固定され、他方の末端にカルボキシル基を有する主鎖が直鎖状の連結物質が、アビジンと結合され、アミノ基を有する前記作用物質がビオチンと結合され、さらにビオチン−アビジン複合体を形成することで、前記作用物質は非共有結合を介して前記電極に固定されており、前記非共有結合の形成および解消によって、前記作用物質は電極への固定および電極からの除去が可能とされており、前記電極が、該電極間に電圧を印加するための回路および周波数測定装置に電気的に接続可能とされたセンサ部と、該センサ部を液体中に浸漬する溶液槽とを備える評価用セルを用い、前記溶液槽内の、検出対象の光学異性体を含有する溶液中で、前記センサ部の電極間に電圧を印加して圧電素子を振動させながら、検出対象の光学異性体および作用物質の相互作用に起因する圧電素子の周波数変動を測定し、さらに前記溶液に代わり、検出対象外の光学異性体を含有する溶液を用いて周波数変動を測定して、得られた測定結果を比較することを特徴とする光学異性体分離能の評価方法である。
請求項2に記載の発明は、検出対象の光学異性体を分離して検出するためのキラル固定相の、光学異性体分離能の評価方法であって、圧電素子の一方または双方の電極に、検出対象の光学異性体と相互作用する、キラル固定相用の作用物質が固定され、一方の末端で前記電極に固定され、他方の末端にアミノ基を有する主鎖が直鎖状の連結物質が、ビオチンと結合され、カルボキシル基を有する前記作用物質がアビジンと結合され、さらにビオチン−アビジン複合体を形成することで、前記作用物質は非共有結合を介して前記電極に固定されており、前記非共有結合の形成および解消によって、前記作用物質は電極への固定および電極からの除去が可能とされており、前記電極が、該電極間に電圧を印加するための回路および周波数測定装置に電気的に接続可能とされたセンサ部と、該センサ部を液体中に浸漬する溶液槽とを備える評価用セルを用い、前記溶液槽内の、検出対象の光学異性体を含有する溶液中で、前記センサ部の電極間に電圧を印加して圧電素子を振動させながら、検出対象の光学異性体および作用物質の相互作用に起因する圧電素子の周波数変動を測定し、さらに前記溶液に代わり、検出対象外の光学異性体を含有する溶液を用いて周波数変動を測定して、得られた測定結果を比較することを特徴とする光学異性体分離能の評価方法である。
請求項3に記載の発明は、前記電極が金電極であり、前記連結物質が直鎖状のカルボキシアルカンチオール、カルボキシアルケンチオールまたはカルボキシアルキンチオールであり、前記連結物質はその硫黄原子が前記金電極表面に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の光学異性体分離能の評価方法である。
請求項4に記載の発明は、前記電極が金電極であり、前記連結物質が直鎖状のアミノアルカンチオール、アミノアルケンチオールまたはアミノアルキンチオールであり、前記連結物質はその硫黄原子が前記金電極表面に結合されていることを特徴とする請求項2に記載の光学異性体分離能の評価方法である。
請求項5に記載の発明は、前記圧電素子が水晶振動子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学異性体分離能の評価方法である。
請求項6に記載の発明は、前記アミノアルカンチオールの炭素数が1〜4であることを特徴とする請求項4または5に記載の光学異性体分離能の評価方法である。
請求項7に記載の発明は、請求項1及び3〜6のいずれか一項に記載の光学異性体分離能の評価方法に用いる評価装置であって、圧電素子の一方または双方の電極に、検出対象の光学異性体と相互作用する、キラル固定相用の作用物質が固定されたセンサ部と、該センサ部を液体中に浸漬する溶液槽とを備える評価用セルを具備し、該評価用セルは作用物質が互いに異なる複数種類の前記センサ部を備え、前記電極は該電極間に電圧を印加するための回路および周波数測定装置に電気的に接続されており、さらに、前記評価用セルに溶液を供給する溶液供給手段を備え、一方の末端で前記電極に固定され、他方の末端にカルボキシル基を有する主鎖が直鎖状の連結物質が、アビジンと結合され、アミノ基を有する前記作用物質がビオチンと結合され、さらにビオチン−アビジン複合体を形成することで、前記作用物質は非共有結合を介して前記電極に固定されており、前記非共有結合の形成および解消によって、前記作用物質は電極への固定および電極からの除去が可能とされていることを特徴とする光学異性体分離能の評価装置である。
請求項8に記載の発明は、請求項2〜6のいずれか一項に記載の光学異性体分離能の評価方法に用いる評価装置であって、圧電素子の一方または双方の電極に、検出対象の光学異性体と相互作用する、キラル固定相用の作用物質が固定されたセンサ部と、該センサ部を液体中に浸漬する溶液槽とを備える評価用セルを具備し、該評価用セルは作用物質が互いに異なる複数種類の前記センサ部を備え、前記電極は該電極間に電圧を印加するための回路および周波数測定装置に電気的に接続されており、さらに、前記評価用セルに溶液を供給する溶液供給手段を備え、一方の末端で前記電極に固定され、他方の末端にアミノ基を有する主鎖が直鎖状の連結物質が、ビオチンと結合され、カルボキシル基を有する前記作用物質がアビジンと結合され、さらにビオチン−アビジン複合体を形成することで、前記作用物質は非共有結合を介して前記電極に固定されており、前記非共有結合の形成および解消によって、前記作用物質は電極への固定および電極からの除去が可能とされていることを特徴とする光学異性体分離能の評価装置である。
圧電素子は、圧電体の結晶をごく薄いプレート状に切り出した切片の両面に金属薄膜を設けたものであり、水晶の結晶を用いた水晶振動子などが知られている。
圧電素子の金属薄膜に電圧を印加すると、ある一定の振動数(共鳴振動数)で振動する性質を有する。そして、金属薄膜上に数ng程度というごく微量の物質が吸着しただけでも、その質量に応じて共鳴振動数が減少することから、微量天秤として利用することが可能である。
本発明においては、この圧電素子の電極上にキラル固定相を構築することにより、擬似的なキラルカラムを作製し、標的であるキラル分子の光学異性体間における相互作用の差を測定して、キラル固定相の光学異性体分離能の評価を行う。
図1は、本発明で用いる測定用セルを例示する図であり、(a)はセンサ部が溶液槽中の溶液に浸漬された状態の斜視図、(b)は正面図であり、(c)は、A−A線における断面図である。
評価用セル7は、水晶振動子をセンサとするセンサ部5と、測定対象の光学異性体を含有する溶液中に該センサ部5を浸漬するための溶液槽6とを備える。
センサ部5は、その溶液槽6内での配置位置を調節可能な保持手段(図示略)により保持されており、測定時には溶液槽6内に、測定時以外には溶液槽6外に配置可能とされている。
通常は、作用物質と光学異性体との相互作用の強さが強いほど、該作用物質をキラル固定相に用いたキラルカラムにおける前記光学異性体の保持力が高くなる。
また、固定する作用物質の種類は、第一電極3a一つにつき一種類であることが好ましい。第一電極3a一つにつき複数種類の作用物質が固定されていると、評価精度が低下することがある。
すなわち、電極の固定面上に連結物質として、金属と容易に反応する官能基を好ましくは分子の一方の末端に有し、さらにカルボキシル基を好ましくは分子の他方の末端に有する、主鎖が直鎖状の第一の有機化合物を固定し、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドおよび1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドによってカルボキシル基を活性化して、この活性化したカルボキシル基に、作用物質のアミノ基を結合させる方法が例示できる(以下、方法(1)と略記する)。
すなわち、電極の固定面上に連結物質として、金属と容易に反応する官能基を好ましくは分子の一方の末端に有し、さらにアミノ基を好ましくは分子の他方の末端に有する、主鎖が直鎖状の第二の有機化合物を固定し、上記の方法(1)の場合と同様の方法で作用物質のカルボキシル基を活性化し、この活性化したカルボキシル基に、前記第二の有機化合物のアミノ基を結合させる方法が例示できる。
このように電極の固定面を平坦にするためには、例えば、該固定面を酸で処理すれば良い。
これら酸で電極の固定面を処理する方法としては、例えば、該固定面に酸をマウントして好ましくは2〜10分間静置した後、蒸留水で洗浄する操作を2回繰り返す方法が挙げられる。
処理に用いる酸は、一種類でも良いし、異なる種類の酸を用いて順次処理を繰り返しても良い。
そしてその固定量は、前記チオール化合物等の、作用物質と第一電極3aとを連結する連結物質の、第一電極3aへの固定量を調整することで調整できる。そして、前記連結物質の第一電極3aへの固定量は、第一電極3aとの反応に供する前記連結物質の使用量を調整すれば良い。
作用物質と光学異性体との相互作用を検出する場合は、通常、水晶振動子1の振動時の周波数は、5〜40MHzであることが好ましく、感度や水晶の取扱いを考慮すると27〜40MHzであることがより好ましい。
そして、水晶板2、第一電極3aおよび第二電極3bのサイズおよび形状は、このような振動を可能とするものが好ましい。具体的には、水晶板2は、直径3〜15mm、厚さ50〜200μmの円板状であることが好ましく、直径7〜10mm、厚さ50〜70μmの円板状であることがより好ましい。第一電極3aおよび第二電極3bは、直径1〜5mm、厚さ150〜300nmの円板状であることが好ましく、直径1〜3mm、厚さ240〜280nmの円板状であることがより好ましい。
なお、ここでは水晶振動子として円板状のものを例示しているが、形状はこれに限定されず、プレート状であれば、その径方向断面の形状は多角形状などいずれでも良い。
以上のような観点から、溶液槽6の材質としては、無色ガラスが最も好ましい。
また、溶液槽6の容量は、水晶振動子1のサイズに応じて適宜調整すれば良いが、通常は0.5〜20mLであることが好ましく、0.5〜11mLであることがより好ましい。
上記評価用セル7を用いた、キラル固定相の光学異性体分離能の評価は、以下のように行うことができる。
溶液槽6内に測定対象の光学異性体を含有する溶液を充填し、該溶液中にセンサ部5の水晶振動子1を浸漬させて、第一電極3aおよび第二電極3bから水晶板2に電圧を印加すると、水晶板2に変形が生じ、水晶板2の形状およびサイズによって決まる周波数で水晶振動子1が振動する。この時、第一電極3a上の作用物質との相互作用により光学異性体が該作用物質に結合すると、時間経過と共に結合した光学異性体の量、すなわち光学異性体の質量に応じて、該水晶振動子1の振動の周波数が低下する。結合する光学異性体の量は、作用物質と光学異性体との相互作用の強さに依存するので、キラル分子の内、検出対象の光学異性体が、検出対象外である他の光学異性体よりも強く相互作用する作用物質を用いれば、検出対象の光学異性体が結合した場合の周波数の低下幅は、他の光学異性体が結合した場合の周波数の低下幅よりも大きくなる。
このように、光学異性体および作用物質の相互作用に起因する圧電素子の周波数変動を測定することで、作用物質のキラル固定相としての光学異性体分離能を評価できる。
また、測定時の溶液の温度は、15〜40℃が好ましく、25〜37℃がより好ましい。
そして、測定に供する光学異性体の溶液中における濃度は、0.1〜10mg/mLであることが好ましい。
また、光学異性体を含有する溶液の溶媒は、光学異性体を溶解させるものであれば良く、光学異性体の種類に応じて適宜選択すれば良い。なかでも好ましいものとして、メタノール、エタノール等のアルコール類や、キラルカラムによる分離時の移動相として使用可能な緩衝液が例示でき、エタノールが特に好ましい。
すなわち、複数種類の作用物質を同時に測定に供することで、キラル固定相用として最適な作用物質をより短時間で選定できる。
一方、複数のセンサ部5の第一電極3aに固定されている作用物質がすべて同じである場合には、観測される周波数低下幅のばらつきの度合いを調べることで、キラル固定相用として使用した場合の、作用物質の光学異性体分離の再現性を確認できる。
第一電極3aの洗浄は、先に述べた、電極の固定面から異物を除去して、該固定面を平坦にする方法で行えば良い。
非共有結合の解消は、例えば、センサ部5を浸漬させた溶液のpHを調整することで可能である。
図2は、上記評価用セルを具備した評価装置を例示する概略構成図であり、図3は、評価用セルを例示する斜視図である。
ここに示す評価装置20は、評価用セルを洗浄しながら、光学異性体と作用物質との相互作用に起因する周波数変動を繰返し測定できるものである。
符号21は、先に説明した評価用セルである。そして、図3(a)に示すように、溶液槽211は、溶液を流入させるための流入口211aおよび排出させるための排出口211bが別々に設けられた、直方体状のフローセル型である。該溶液槽211中においては、作用物質がいずれも異なる三つのセンサ部5a、5bおよび5cが樹脂プレートの同一面上に配設されたセンサユニット8が浸漬されている。すなわち、ここに示すセンサユニット8は、検出対象の光学異性体を含有する溶液の一回の供給で、水晶振動子の周波数変動を、三つのセンサ部5a、5bおよび5cについて同時に測定できるものである。
また、センサユニット8は、そのセンサ部5a、5bおよび5cが配設された面と反対側の面(以下、非センサ面と略記する)が、溶液槽211の底面211c上に接して、着脱可能に設置されている。
そして、センサユニット8において三つのセンサ部5a、5bおよび5cは、図中矢印で示す溶液の移動方向とほぼ同じ方向に直列に配置されている。
また、センサユニット8の樹脂プレートは、ガラスプレートなど、絶縁性を有する他の材質からなるものでも良い。
(b)では、センサユニット8は、溶液槽211の底面211c上に側面と接することなく直立して設置されている。三つのセンサ部5a、5bおよび5cにおいて、作用物質が固定された電極面は、いずれも同一方向を向くようにかつ溶液槽211の底面211cからの高さが同じとなるように露出されている。そして、これらセンサ部は、矢印で示す溶液の移動方向とほぼ同じ方向に直列に配置されている。
なお、ここでは図示を省略するが、例えば、作用物質が固定された電極面の向く方向が図3(b)の場合と同じで、非センサ面が溶液槽211の側面211e上に接して設置されていても良い。この場合、センサユニット8は、さらに溶液槽211の底面211c上に直立していても良いし、していなくても良い。また、底面211cに代わり、上面211dから直立して設けられていても良い。
このようにして、作用物質の除去および固定を自動で行うことができるので、例えば、共有結合を介して電極へ作用物質を固定したセンサ部と、非共有結合を介して電極へ作用物質を固定したセンサ部とを併用した評価用セルを用いる場合、あるいは、非共有結合が互いに異なる条件下で形成および解消可能な複数種のセンサ部を併用した評価用セルを用いる場合には、非共有結合を介して固定する作用物質の種類を順次変えることで、評価用セル21内のセンサ部の組み合わせを連続的に切り替えることも可能である。この場合、評価をより一層効率的に行うことができる。
[実施例1]
(光学異性体として(S)−ナプロキセンおよび(R)−ナプロキセンを、作用物質として下記化学式(1)で表される化合物(シクロマルトヘプトシル−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシル−(4→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸)を用いた評価)
図1に示す評価用セルを用いて、以下の手順に従って作用物質を電極に固定し、センサ部を作製した。水晶振動子としては、直径8.7mmおよび厚さ60μmの水晶板、直径2.5mmおよび厚さ260nmの金電極を備えるものを用いた。
5.0mMのアミノエタンチオール水溶液をセンサ部の金電極部分に40μL滴下し、室温・湿潤下で30分間静置し、SAM形成を行った。その間を利用して、3.0mg/mLの下記式(1)で表される作用物質のジメチルスルホキシド溶液400μLに、100mg/mLのN−ヒドロキシスクシンイミド40μLと100mg/mLの1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド40μLを加え、室温・湿潤下で30分間静置した。これにより活性化させた作用物質をセンサ部の金電極部分に40μL滴下し、室温・湿潤下で1時間静置した。
そして、容量11mLの容器型溶液槽に充填された8.0mL精製水中にセンサ部を浸漬し、25℃で15〜20分間安定化させた。次いで、27MHzで金電極を振動させ、測定対象の(S)−ナプロキセンを5mg/mLの濃度で含有するエタノール溶液8.0μLを注入し、周波数の変化を測定した。また同様に、(R)−ナプロキセンについても測定を行った。結果を図4に示す。
図4から明らかなように、測定開始4分後における周波数変化の平均値は、(S)−ナプロキセンが−50.5Hzであり、(R)−ナプロキセンが−70.1Hzであって、(S)−ナプロキセンおよび(R)−ナプロキセンとの間に有意な差が確認された。
実際に、ナプロキセンと作用物質との相互作用の強さは、(R)−体の方が(S)−体よりも大きく、同様の作用物質をキラル固定相に用いた市販のHPLC用キラルカラムを用いて分離を行った際に、(R)−体の方が(S)−体よりも遅く溶出したことと良く整合した。
(光学異性体としてD−アセチルフェニルアラニンおよびL−アセチルフェニルアラニンを、作用物質として下記化学式(2)で表される化合物(N−[(R)−1−(α−ナフチル)エチルアミノカルボニル]−L−tert−ロイシン)を用いた評価)
光学異性体および作用物質として上記化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を図5に示す。
図5から明らかなように、測定開始4分後における周波数変化の平均値は、D−アセチルフェニルアラニンが−59.5Hzであり、L−アセチルフェニルアラニンが−73.4Hzであって、D−アセチルフェニルアラニンおよびL−アセチルフェニルアラニンとの間に有意な差が確認された。
実際に、フェニルアラニンと作用物質との相互作用の強さは、L−体の方がD−体よりも大きく、同様の作用物質をキラル固定相に用いた市販のHPLC用キラルカラムを用いて分離を行った際に、L−体の方がD−体よりも遅く溶出したことと良く整合した。
(光学異性体として(R)−1,1’−ビ−2−ナフトールおよび(S)−1,1’−ビ−2−ナフトールを、作用物質として下記化学式(3)で表される化合物(N−(3,5−ジニトロフェニルアミノカルボニル)−D−フェニルグリシン)を用いた評価)
光学異性体および作用物質として上記化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を図6に示す。
図6から明らかなように、測定開始2分後における周波数変化の平均値は、(R)−1,1’−ビ−2−ナフトールが−27.9Hzであり、(S)−1,1’−ビ−2−ナフトールが−59.5Hzであって、(R)−1,1’−ビ−2−ナフトールおよび(S)−1,1’−ビ−2−ナフトールとの間に有意な差が確認された。
実際に、1,1’−ビ−2−ナフトールと作用物質との相互作用の強さは、(S)−体の方が(R)−体よりも大きく、同様の作用物質をキラル固定相に用いた市販のHPLC用キラルカラムを用いて分離を行った際に、(S)−体の方が(R)−体よりも遅く溶出したことと良く整合した。
Claims (8)
- 検出対象の光学異性体を分離して検出するためのキラル固定相の、光学異性体分離能の評価方法であって、
圧電素子の一方または双方の電極に、検出対象の光学異性体と相互作用する、キラル固定相用の作用物質が固定され、
一方の末端で前記電極に固定され、他方の末端にカルボキシル基を有する主鎖が直鎖状の連結物質が、アビジンと結合され、アミノ基を有する前記作用物質がビオチンと結合され、さらにビオチン−アビジン複合体を形成することで、前記作用物質は非共有結合を介して前記電極に固定されており、前記非共有結合の形成および解消によって、前記作用物質は電極への固定および電極からの除去が可能とされており、
前記電極が、該電極間に電圧を印加するための回路および周波数測定装置に電気的に接続可能とされたセンサ部と、該センサ部を液体中に浸漬する溶液槽とを備える評価用セルを用い、
前記溶液槽内の、検出対象の光学異性体を含有する溶液中で、前記センサ部の電極間に電圧を印加して圧電素子を振動させながら、検出対象の光学異性体および作用物質の相互作用に起因する圧電素子の周波数変動を測定し、さらに前記溶液に代わり、検出対象外の光学異性体を含有する溶液を用いて周波数変動を測定して、得られた測定結果を比較することを特徴とする光学異性体分離能の評価方法。 - 検出対象の光学異性体を分離して検出するためのキラル固定相の、光学異性体分離能の評価方法であって、
圧電素子の一方または双方の電極に、検出対象の光学異性体と相互作用する、キラル固定相用の作用物質が固定され、
一方の末端で前記電極に固定され、他方の末端にアミノ基を有する主鎖が直鎖状の連結物質が、ビオチンと結合され、カルボキシル基を有する前記作用物質がアビジンと結合され、さらにビオチン−アビジン複合体を形成することで、前記作用物質は非共有結合を介して前記電極に固定されており、前記非共有結合の形成および解消によって、前記作用物質は電極への固定および電極からの除去が可能とされており、
前記電極が、該電極間に電圧を印加するための回路および周波数測定装置に電気的に接続可能とされたセンサ部と、該センサ部を液体中に浸漬する溶液槽とを備える評価用セルを用い、
前記溶液槽内の、検出対象の光学異性体を含有する溶液中で、前記センサ部の電極間に電圧を印加して圧電素子を振動させながら、検出対象の光学異性体および作用物質の相互作用に起因する圧電素子の周波数変動を測定し、さらに前記溶液に代わり、検出対象外の光学異性体を含有する溶液を用いて周波数変動を測定して、得られた測定結果を比較することを特徴とする光学異性体分離能の評価方法。 - 前記電極が金電極であり、前記連結物質が直鎖状のカルボキシアルカンチオール、カルボキシアルケンチオールまたはカルボキシアルキンチオールであり、前記連結物質はその硫黄原子が前記金電極表面に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の光学異性体分離能の評価方法。
- 前記電極が金電極であり、前記連結物質が直鎖状のアミノアルカンチオール、アミノアルケンチオールまたはアミノアルキンチオールであり、前記連結物質はその硫黄原子が前記金電極表面に結合されていることを特徴とする請求項2に記載の光学異性体分離能の評価方法。
- 前記圧電素子が水晶振動子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学異性体分離能の評価方法。
- 前記アミノアルカンチオールの炭素数が1〜4であることを特徴とする請求項4または5に記載の光学異性体分離能の評価方法。
- 請求項1及び3〜6のいずれか一項に記載の光学異性体分離能の評価方法に用いる評価装置であって、
圧電素子の一方または双方の電極に、検出対象の光学異性体と相互作用する、キラル固定相用の作用物質が固定されたセンサ部と、該センサ部を液体中に浸漬する溶液槽とを備える評価用セルを具備し、該評価用セルは作用物質が互いに異なる複数種類の前記センサ部を備え、前記電極は該電極間に電圧を印加するための回路および周波数測定装置に電気的に接続されており、さらに、前記評価用セルに溶液を供給する溶液供給手段を備え、
一方の末端で前記電極に固定され、他方の末端にカルボキシル基を有する主鎖が直鎖状の連結物質が、アビジンと結合され、アミノ基を有する前記作用物質がビオチンと結合され、さらにビオチン−アビジン複合体を形成することで、前記作用物質は非共有結合を介して前記電極に固定されており、前記非共有結合の形成および解消によって、前記作用物質は電極への固定および電極からの除去が可能とされていることを特徴とする光学異性体分離能の評価装置。 - 請求項2〜6のいずれか一項に記載の光学異性体分離能の評価方法に用いる評価装置であって、
圧電素子の一方または双方の電極に、検出対象の光学異性体と相互作用する、キラル固定相用の作用物質が固定されたセンサ部と、該センサ部を液体中に浸漬する溶液槽とを備える評価用セルを具備し、該評価用セルは作用物質が互いに異なる複数種類の前記センサ部を備え、前記電極は該電極間に電圧を印加するための回路および周波数測定装置に電気的に接続されており、さらに、前記評価用セルに溶液を供給する溶液供給手段を備え、
一方の末端で前記電極に固定され、他方の末端にアミノ基を有する主鎖が直鎖状の連結物質が、ビオチンと結合され、カルボキシル基を有する前記作用物質がアビジンと結合され、さらにビオチン−アビジン複合体を形成することで、前記作用物質は非共有結合を介して前記電極に固定されており、前記非共有結合の形成および解消によって、前記作用物質は電極への固定および電極からの除去が可能とされていることを特徴とする光学異性体分離能の評価装置。
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