JP5117769B2 - 反応器及び反応器の製造方法 - Google Patents
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このような燃料電池へ水素を供給するための小型の化学反応装置として、シリコンやガラスに代表される基板で微細な反応流路を形成し、流路内でメタノール水溶液等を元に小規模の化学反応を起こさせる改質器と呼ばれる装置がある。このような小型改質器を含め、容積当たりの大きな表面積をもつ微小空間で反応を行うことにより、従来よりも精密に濃度や温度を制御できる反応器をマイクロリアクターと呼んでいる。マイクロリアクターは、大量の反応生成物を得るために、従来の化学プラントのように反応容器をスケールアップするのではなく、その利点を活かして、複数並べることで生成物の量を稼ぐ発電システムが考えられている。
ここで、化学反応を進行させるための重要な機能物質である触媒を前述した微細な反応流路内に形成し、前述の化学反応を効率良く進行させている。例えば、メタノール燃料と水とを反応させて、水素と二酸化炭素を得る水蒸気改質反応(下記化学反応式(1)参照)のために使用される触媒として、Cu/ZnOやPd/ZnOなどが挙げられる。
CH3OH+H2O→3H2+CO2・・・(1)
また、プレート型触媒の触媒付着強度を高めるために、ゾルゲル法を用いて調整した酸化物前駆体を上述のスラリー液に混ぜておく方法がある。コーティング後に焼結処理によって形成された酸化物が触媒粉末と触媒支持体との付着強度を高める働きをする。ゾルゲル法の代表例としては、アルミニウムアルコキシドの加水分解によって生成したコロイドを含む溶液からアルミナを形成する方法がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、容易に支持体への付着強度の向上を図ることができる反応器及び反応器の製造方法を提供することを目的としている。
前記複合触媒層は多結晶であることが好ましい。
前記複合触媒層の前記触媒粒子の結晶格子径と前記多孔質触媒である前記素地膜の細孔径がほぼ等しいことが好ましい。
また反応器は、前記支持体と前記複合触媒層の間に、さらに中間層を形成し、前記中間層が前記素地膜と同じ材料で構成されてもよい。
これら反応器を製造する反応器の製造方法として、
前記素地膜となる材料の溶液に前記触媒の材料を分散した触媒溶液を前記支持体上に塗布し、その後、焼成処理を施すことによって前記複合触媒層を形成してもよい。
或いは、前記支持体上に中間層となる材料を有する溶液を塗布することによって中間層を形成し、前記中間層に前記触媒溶液を塗布し、その後焼成処理を施し、前記複合触媒層を前記中間層上に形成してもよい。
図1は、複合触媒層102が形成されたFe−Cr−Al系ステンレス等の支持体101の概略側断面図である。
《複合触媒層》
複合触媒層102は、支持体101上に形成されて、略粒子状の分散質であり、反応に寄与する触媒103と、分散媒である素地膜104とを含んでいる。触媒103は、Pdを含むことが好ましく、例えばPd/ZnO触媒が挙げられる。素地膜104は、亜鉛を含むことが好ましく、例えばZnO触媒が挙げられる。
膜状の酸化亜鉛素地膜104は、触媒103のバインダーとして使用される。Fe-Cr-Al系ステンレスに1000℃程度の温度での熱処理を施すことによって表面にアルミナの凹凸が形成されるが、触媒層102の形成時には液体である素地膜104を分散媒として用いることによって、Fe-Cr-Al系ステンレス上に形成されたアルミナの凹凸へのアンカー効果が期待できる。そのため、支持体101上にPd/ZnO触媒を直接形成した場合に比べて生じる剥がれやひび割れ等を防止できる。
このような触媒103と素地膜104からなる複合触媒層102は、多結晶であり、結晶子径が約17nm、細孔が約17〜20nm程度である。複合触媒層102は、多孔質体のため、微視的に見ると表面に細かい凹凸が形成されているので表面積が大きい。また、複合触媒層102の膜厚は、10μm〜150μmが好ましい。10μmよりも薄い場合には、触媒機能が低く、150μmよりも厚い場合には、複合触媒層102が支持体101から剥がれ易くなるためである。
支持体101としては、例えば、上述以外のステンレス、ガラス、或いはプラスチック等が挙げられる。
次に、複合触媒層102の作製方法について説明する。
(1)酢酸亜鉛溶液
図2に示すように、亜鉛の酢酸塩溶液を調整する。本実施例では、酸化亜鉛膜の形成のために、酢酸亜鉛の加水分解によって酸化亜鉛の前駆体である水酸化亜鉛を形成するゾルゲル法を用いる。酢酸亜鉛の加水分解は、水中のプロトンを引き抜く作用を持つ物質を添加することで開始するが、溶媒を水にすると、プロトン引き抜き作用をもつ物質(例えば、アンモニアなど)で添加した直後からゲル化が始まってしまい、溶液の安定性が悪いことから本実施例では溶媒をアルコール、具体的には2−メトキシエタノールとし、プロトン引き抜き材(反応開始材)としてモノエタノールアミンを使用する。
次に、共沈法を用いてPd/ZnO触媒を調整する。出発原料として、パラジウムと亜鉛の混合溶液を用いることができ、例えば硝酸パラジウムと硝酸亜鉛の混合溶液を用いることができる。なお、触媒中のパラジムの含有量(担持量)は、出発原料により調整することができる。触媒中のパラジウムが3重量%程度存在すれば十分に水素を生成する水蒸気改質反応を起こすことができるが、8〜22重量%程度含有することによってより効果的に水素を生成することができる。
沈殿剤としては、炭酸ナトリウム水溶液を用いることができ、他に炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アンモニア等の塩基性水溶液を用いることができる。
そして、出発原料に沈殿剤を混合することで、パラジウムが共沈担体である亜鉛水酸化物とともに沈殿する。この方法として、図3に示すように、蒸留水等の溶媒中に出発原料と沈殿剤とを同時に滴下する同時滴下方法と、図4に示すように、出発原料中に沈殿剤を直接滴下する沈殿剤滴下方法の二つの方法がある。
(a)同時滴下法
蒸留水中に、出発原料の溶液と、沈殿剤の溶液とを同時に滴下する。出発原料の溶液は酸性であり、沈殿剤の溶液は塩基性であるため、混合した溶液のpHは2つの溶液が滴下されることにより変動する。このとき、混合した溶液のpHを6.5〜8.5に維持しながら沈殿物を形成することが好ましい。
(b)沈殿剤滴下法
出発原料の溶液に沈殿剤の溶液を徐々に滴下する。出発原料の溶液と沈殿剤の溶液を混合することによって中和熱が発生する。このとき、混合した溶液の温度を20〜60℃に保つことが好ましく、30〜50℃に保つことがより好ましい。
同時滴下法、沈殿剤滴下法のいずれかの方法により形成した沈殿をろ過し、沈殿を得る。沈殿に蒸留水を加えて攪拌し、再びろ過を行う洗浄過程を数回繰り返し、最後のろ過後の沈殿物を乾燥させる。
乾燥させた沈殿物に対して焼成処理を行う。焼成により亜鉛水酸化物は亜鉛酸化物となる。焼成は、例えば窒素等の不活性ガス雰囲気に沈殿物を500℃以上、1時間おくことにより行うことができる。
以上のようにして、Pd/ZnO触媒が得られる。
次に、図5に示すように、Pd/ZnO触媒と増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース(HEC)を混合して混合粉体とした上で、この混合粉体を母液の酢酸亜鉛溶液に分散させ、粘度調整のため酢酸亜鉛溶液を適宜滴下する。さらに、分散剤としてポリエチレングリコール(PEG)を混合して触媒溶液を調整する。
次に、上述の支持体101及び複合触媒層102を利用した反応器1について説明する。図6は反応器1の正面、側面、及び平面を示す斜視図であり、図7は図6の切断線VII-VIIに沿って切断した際の矢視断面図である。
反応器1は、流路基板10と、流路基板10の上部に設けられた蓋基板20と、を備えている。
また、流路基板10の下面には、葛折り状の電気抵抗体からなる薄膜ヒータ13が形成されている。薄膜ヒータ13は電圧が印加されることによって吸熱反応である改質反応時に熱源となるとともに、複合触媒層102や後述する担持層の焼成時に用いられる。
蓋基板20としては、例えば、ステンレス基板、ガラス基板、シリコン基板、またはセラミック基板等を用いることができる。
<第1の製造方法>
図13に示すように、予めサンドブラスト等で所定の形状に溝11が形成された流路基板10(図13(a))の溝11が設けられている面に、ドライフィルムフォトレジスト30を貼り付ける(図13(b))。次に、フォトリソグラフィー法により、ドライフィルムフォトレジスト30の溝11に対応する部分を除去する(図13(c))。
その後、流路基板10の上面に蓋基板20を接合させる(図13(f))。流路基板10と蓋基板20との接合は、例えば陽極接合や蝋付け等の接合方法により行うことができる。
図14に示すように、まだ溝11が形成されていない流路基板10の上面に、ドライフィルムフォトレジスト30を貼り付ける(図14(a))。次に、フォトリソグラフィー法により、流路基板10の溝11を形成する部分に対応する位置のドライフィルムフォトレジスト30を除去する(図14(b))。次いで、サンドブラスト法、ケミカルエッチング法等により流路基板10に溝11を形成する。
以下、第1の製造方法と同様にして反応器1が形成される(図14(d),(e),(f))。
図15に示すように、予め溝11が形成された流路基板10(図15(a))の溝11が設けられている面に、蓋基板20を接合させる(図15(b))。流路基板10と蓋基板20との接合は、例えば陽極接合等の接合方法により行うことができる。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 ・・・(2)
CH3OH+1/2・O2→2H2+CO2 ・・・(3)
次に、反応器1を用いた発電装置200について説明する。
図16は、発電装置200のブロック図である。この発電装置200は、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、電子手帳、腕時計、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、ゲーム機器、遊技機、その他の電子機器に備え付けられたものであり、電子機器本体210を動作させるための電源として用いられる。
2CO+O2→2CO2 ・・・(4)
H2→2H++2e-・・・(5)
2H++1/2O2+2e-→H2O・・・(6)
DC/DCコンバータ207は発電セル205により生成された電気エネルギーを適切な電圧に変換したのちに電子機器本体210に供給する機能の他に、発電セル205により生成された電気エネルギーを2次電池208に充電し、発電セル205側が運転されていない時に、電子機器本体220に2次電池208側から電気エネルギーを供給する機能も果たせるようになっている。制御部209は気化器202、改質器203、一酸化炭素除去器204、触媒燃焼器206、発電セル205を運転するために必要な図示しないポンプやバルブ類、そして、ヒータ類、DC/DCコンバータ207等を制御し、電子機器本体210に安定して電気エネルギーが供給されるような制御を行う。
また、付着強度の向上のために、従来の述のゾルゲル法を用いて、メタノール改質のためのプレート型触媒を形成する場合に、アルコキシド法で容易に調整可能であるアルミナを用いると、触媒層内に形成されたアルミナの酸性質が作用してメタノールの脱水反応によるエーテルが生成し、このエーテルがメタノール改質反応を阻害するというおそれがあった。これに対し複合触媒層102の材料の構成では、担持体としてアルミナを用いることないのでアルミナを使用した場合に想定される触媒反応の阻害が生じることもなく、Pd/ZnO触媒の性能を発揮でき、反応効率にも優れる。
特に、触媒溶液として、酢酸亜鉛を出発原料としたゾルゲル法において、溶媒をアルコールとすることによって触媒溶液の保存安定性が高く、工業的に安定した触媒層の形成が可能であることに加えて、増粘剤や分散剤などの添加剤を加えることによって触媒層の厚さを制御することができる。
図17は、支持体101と複合触媒層102との間に中間層107が形成された変形例を示した概略側面図である。
図17に示すように、支持体101と複合触媒層102との間に中間層107としてZnO膜を設けることによって、複合触媒層102の支持体101への付着強度をさらに高めることができる。中間層107のZnO膜は、亜鉛塩溶液、例えば上述した酢酸亜鉛溶液を、上述の支持体101と同様の支持体101上にコーティングして焼成することによって得られ、このZnO膜上にさらに、上述の触媒溶液をコーティングして焼成することによって上述した複合触媒層102を形成する。
また反応器1は、溝11を備えた構造になっているがこれに限らず反応器1内部空間に流路を仕切る壁を形成し、この壁の表面に複合触媒層102を形成してもよい。
図2に示したフローチャートによって、酢酸亜鉛二水和物1gにプロトン引き抜き材としてモノエタノールアミン0.2〜0.3ml、溶媒として2−メトキシエタノール8〜10mlを添加して酢酸亜鉛の加水分解によって酢酸亜鉛溶液を調整した。
次に、上述の共沈法を用いてPd/ZnO触媒を調整した。パラジウム含有量が50g/Lの硝酸パラジウム水溶液と硝酸亜鉛・六水和物を100mlの蒸留水に混合してなる混合溶液を得た。なお、得られる触媒中のパラジウムの含有率が15重量%となるように、硝酸亜鉛・六水和物及び硝酸パラジウムの混合溶液を調整した。また、沈殿剤として0.76mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液を作製した。そして、40℃に維持しながら、硝酸亜鉛六水和物及び硝酸パラジウムの混合溶液と沈殿剤とを同時に滴下して沈殿物を生成した。滴下後の混合溶液のpHを7.3〜7.7に維持しながら沈殿物を形成した。その後、1時間攪拌を継続し、さらに12時間静置した後、ろ過を行った。
次いで、ろ過物に蒸留水を加えて40℃で20分間攪拌し、再びろ過を行う洗浄過程を3回繰り返した。4回目のろ過後に得られた沈殿物を100℃で12時間乾燥させた後、N2気流中で500℃、1時間の焼成処理を行い、Pd/ZnO触媒を得た。
次いで、Pd/ZnO触媒1gに増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース(HEC)0.1gを添加して混合粉体とし、母液である酢酸亜鉛溶液15〜20gに混合粉体を加え、さらに酢酸亜鉛溶液を3〜5gを滴下した。このとき分散剤としてポリエチレングリコール(PEG)0.5gを添加して混合し、触媒溶液を調整した。
その後、ステンレス基板を触媒溶液に浸積し、浸積したステンレス基板を引き上げて常温で乾燥した後、Air気流中で500℃の焼成処理を行った。このようにして厚さ約50μmの複合触媒層を形成した。
比較例として、上述した本発明と同様に共沈法を用いて調製したPd/ZnO触媒を0.5mm〜1.0mmの大きさにペレット化したものを使用した。
(付着強度)
作製した触媒層の付着強度を評価するために、エアブロー試験を行った。Pd/ZnO触媒膜の片面にエアノズルを用いて5cmの高さから約0.5MPaの圧縮空気を10秒間ブロー後、ブロー前後の触媒の重量を測定した。
その結果、比較例では触媒層の欠落が目視できるのに対して、本発明例1の複合触媒層の重量減少率は1.36〜1.87%とほとんど減少しなかった。
(触媒活性)
作製した複合触媒層と、比較例の触媒とを用いてメタノールと水と酸素を原料とした酸化的水蒸気改質反応を行った。具体的には作製した触媒に、メタノールと水の混合液をGHSV(Gas Hourly Space Velocity)=100000/hの条件で通した。メタノールと水の混合比は1:2(モル比)とした。反応温度を250℃、300℃、350℃、400℃に保持し、反応器の出口のメタノール流量を計測し、触媒重量あたりのメタノール転化率を計算した。メタノール転化反応温度と、メタノール転化率の関係を表1及び図18に示す。
上述の本発明例1と同様に酢酸亜鉛溶液、Pd/ZnO触媒を調整し、さらに、酢酸亜鉛溶液、Pd/ZnO触媒、増粘剤及び分散材から触媒溶液を調整した。次いで、ステンレス基板を酢酸亜鉛溶液に浸積し、乾燥、焼成処理後、さらに触媒溶液に浸積し、乾燥、焼成処理を行った。このようにして中間層及び複合触媒層を支持体上に形成した。このようにして厚さ約50μmの複合触媒層及び厚さ約2μmの中間層を形成した。
中間層を設けない本発明例1と、中間層を設けた本発明例2において、それぞれ複合触媒層の表面を走査型電子顕微鏡にて評価した結果、中間層を設けない複合触媒層(本発明例1)には、所々に複合触媒層の剥離にはならない程度のひび割れが生じていたのに対して、中間層を設けた複合触媒層(本発明例2)では、ひび割れの発生が抑制されていることが確認できた。
101 支持体
102 複合触媒層
103 触媒
104 素地膜
107 中間層
Claims (6)
- アルコールの改質反応を起こす反応器であって、
支持体と、
前記支持体上に形成され、ZnOを含み、多孔質触媒である素地膜と、前記素地膜に分散して配置され前記改質反応に寄与するPd/ZnOを含む触媒粒子と、を含む複合触媒層と、
を備えることを特徴とする反応器。 - 前記複合触媒層は多結晶であることを特徴とする請求項1に記載の反応器。
- 前記複合触媒層の前記触媒粒子の結晶格子径と前記多孔質触媒である前記素地膜の細孔径がほぼ等しいことを特徴とする請求項1または2に記載の反応器。
- 前記支持体と前記複合触媒層の間に、さらに中間層を形成し、前記中間層が前記素地膜と同じ材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の反応器。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の反応器を製造する反応器の製造方法において、
前記素地膜となる材料の溶液に前記触媒の材料を分散した触媒溶液を前記支持体上に塗布し、その後、焼成処理を施すことによって前記複合触媒層を形成することを特徴とする反応器の製造方法。 - 前記支持体上に中間層となる材料を有する溶液を塗布することによって中間層を形成し、
前記中間層に前記触媒溶液を塗布し、その後焼成処理を施し、前記複合触媒層を前記中間層上に形成することを特徴とする請求項5に記載の反応器の製造方法。
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