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JP5117769B2 - 反応器及び反応器の製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、反応器及び反応器の製造方法に関する。
近年では、エネルギー変換効率の高いクリーンな電源として、水素の電気化学反応により電気エネルギーを生成する燃料電池が自動車や携帯電子機器などに応用され始めている。燃料となる水素は、常温、常圧で気体であるためにそのまま貯留すると単位体積あたりの貯蔵量が充分でなく、また貯蔵方法に問題があることから、水素分子として貯留するのではなく、メタノール等のアルコールや炭化水素等の組成に水素原子を含む化合物として貯留し、貯留したアルコール又は炭化水素等を触媒の存在下で反応させることにより水素を主成分としたガスを生成し、水素を主成分としたガスを燃料電池に供給することが好ましい。
このような燃料電池へ水素を供給するための小型の化学反応装置として、シリコンやガラスに代表される基板で微細な反応流路を形成し、流路内でメタノール水溶液等を元に小規模の化学反応を起こさせる改質器と呼ばれる装置がある。このような小型改質器を含め、容積当たりの大きな表面積をもつ微小空間で反応を行うことにより、従来よりも精密に濃度や温度を制御できる反応器をマイクロリアクターと呼んでいる。マイクロリアクターは、大量の反応生成物を得るために、従来の化学プラントのように反応容器をスケールアップするのではなく、その利点を活かして、複数並べることで生成物の量を稼ぐ発電システムが考えられている。
発電システムの一例として、例えば、燃料容器内のメタノール等の発電用燃料を気化器により気化し、気化された発電用燃料を改質器により水素ガスの他、二酸化炭素、一酸化炭素を含む改質ガスに改質し、その改質された改質ガス中の一酸化炭素を一酸化炭素除去器により除去(濃度を下げ)し、一酸化炭素除去後の水素ガスを燃料電池(発電セル)に供給する。燃料電池では水素と酸素を電気エネルギーに変換するが、水素が導入される水素極内に全ての水素が電気化学反応を引き起こすまで滞留させておくと、水素濃度が著しく低い状態が長く続き発電効率の低下を招くため、改質ガス中の水素のうち70%程度を電気エネルギーに変換し、残りの水素を触媒燃焼器にて空気中の酸素との反応により燃焼させて熱エネルギーに変換し、改質器及び一酸化炭素除去器を加熱して所定の化学反応が進行するように改質させるための反応熱に充てている。
ここで、化学反応を進行させるための重要な機能物質である触媒を前述した微細な反応流路内に形成し、前述の化学反応を効率良く進行させている。例えば、メタノール燃料と水とを反応させて、水素と二酸化炭素を得る水蒸気改質反応(下記化学反応式(1)参照)のために使用される触媒として、Cu/ZnOやPd/ZnOなどが挙げられる。
CHOH+HO→3H+CO・・・(1)
ところで、前述した触媒を用いてメタノール燃料から水素を製造するために300℃程度の高温が必要であるが、このために真空断熱容器中に改質器、一酸化炭素除去器及び触媒燃焼器を収容することで熱損失を低減するとともに、改質のための反応熱は前述の通り触媒燃焼による発熱によって補っている。このとき、触媒燃焼器から改質器への伝熱性は、効率良く水素を製造するための重要な要素であり、加えて微細な反応流路を反応物が通過する際に生じる圧力損失を低減するためにも、反応流路上の触媒形態として、一般的な粒状充填型よりもチャンネル壁面に直接固定化するプレート型の方が適している。このようなプレート型触媒は、限られた空間に、より反応効率の高い触媒をできるだけ表面積を大きくし、しかも強固に固定化する必要がある。
そこで、プレート型触媒の一例として、自動車の排気ガスの浄化等に使用するハニカム状の孔をもつ円筒形の触媒支持体に触媒活性種を担持したモノリス触媒などがある。このようなプレート型触媒に対して密着性の向上を検討した例として、三次元網目構造を有する多孔質金属基板表面にスラリー液をコーティングし、その後に焼結処理を施すことによって触媒粉末を固着担持する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、プレート型触媒の触媒付着強度を高めるために、ゾルゲル法を用いて調整した酸化物前駆体を上述のスラリー液に混ぜておく方法がある。コーティング後に焼結処理によって形成された酸化物が触媒粉末と触媒支持体との付着強度を高める働きをする。ゾルゲル法の代表例としては、アルミニウムアルコキシドの加水分解によって生成したコロイドを含む溶液からアルミナを形成する方法がある。
特開2005−007298号公報
しかしながら、上記従来のプレート型触媒及びその製造方法においては、次のような問題があった。まず、触媒層と触媒支持体との付着強度を確保するために、三次元網目構造のような特殊な処理を施した触媒支持体を必要とし、このような処理をするための工数とコストを要するという問題がある。或いは、予め触媒支持体に、触媒材料と親和性が高い金属酸化物薄膜などの層を設けて付着強度の向上を図る必要がある。具体的には、プレート支持体上へのコージェライトやムライトなどのセラミックスの形成や、アルコキシドの加水分解法による酸化物ゾル膜形成等の方法があるが、これらにおいても、この層形成のための工数やコストを要する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、容易に支持体への付着強度の向上を図ることができる反応器及び反応器の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、請求項1の発明の反応器は、アルコールの改質反応を起こす反応器であって、支持体と、前記支持体上に形成され、ZnOを含み、多孔質触媒である素地膜と、前記素地膜に分散して配置され前記改質反応に寄与するPd/ZnOを含む触媒粒子と、を含む複合触媒層と、を備えことを特徴とする
記複合触媒層は多結晶であることが好ましい。
前記複合触媒層の前記触媒粒子の結晶格子径と前記多孔質触媒である前記素地膜の細孔径がほぼ等しいことが好ましい。
また反応器は、前記支持体と前記複合触媒層の間に、さらに中間層を形成し、前記中間層が前記素地膜と同じ材料で構成されてもよい。
これら反応器を製造する反応器の製造方法として、
前記素地膜となる材料の溶液に前記触媒の材料を分散した触媒溶液を前記支持体上に塗布し、その後、焼成処理を施すことによって前記複合触媒層を形成してもよい。
或いは、前記支持体上に中間層となる材料を有する溶液を塗布することによって中間層を形成し、前記中間層に前記触媒溶液を塗布し、その後焼成処理を施し、前記複合触媒層を前記中間層上に形成してもよい。
本発明によれば、粒子状の触媒の特性を損なうことなく、支持体への付着強度を向上させることができる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されないものとする。
図1は、複合触媒層102が形成されたFe−Cr−Al系ステンレス等の支持体101の概略側断面図である。
《複合触媒層》
複合触媒層102は、支持体101上に形成されて、略粒子状の分散質であり、反応に寄与する触媒103と、分散媒である素地膜104とを含んでいる。触媒103は、Pdを含むことが好ましく、例えばPd/ZnO触媒が挙げられる。素地膜104は、亜鉛を含むことが好ましく、例えばZnO触媒が挙げられる。
膜状の酸化亜鉛素地膜104は、触媒103のバインダーとして使用される。Fe-Cr-Al系ステンレスに1000℃程度の温度での熱処理を施すことによって表面にアルミナの凹凸が形成されるが、触媒層102の形成時には液体である素地膜104を分散媒として用いることによって、Fe-Cr-Al系ステンレス上に形成されたアルミナの凹凸へのアンカー効果が期待できる。そのため、支持体101上にPd/ZnO触媒を直接形成した場合に比べて生じる剥がれやひび割れ等を防止できる。
このような触媒103と素地膜104からなる複合触媒層102は、多結晶であり、結晶子径が約17nm、細孔が約17〜20nm程度である。複合触媒層102は、多孔質体のため、微視的に見ると表面に細かい凹凸が形成されているので表面積が大きい。また、複合触媒層102の膜厚は、10μm〜150μmが好ましい。10μmよりも薄い場合には、触媒機能が低く、150μmよりも厚い場合には、複合触媒層102が支持体101から剥がれ易くなるためである。
支持体101としては、例えば、上述以外のステンレス、ガラス、或いはプラスチック等が挙げられる。
図2は、酢酸亜鉛溶液の調整方法を示したフローチャート、図3及び図4は、触媒103となるPd/ZnO触媒の調整方法を示したフローチャート、図5は、触媒溶液の調整方法を示したフローチャートである。
次に、複合触媒層102の作製方法について説明する。
(1)酢酸亜鉛溶液
図2に示すように、亜鉛の酢酸塩溶液を調整する。本実施例では、酸化亜鉛膜の形成のために、酢酸亜鉛の加水分解によって酸化亜鉛の前駆体である水酸化亜鉛を形成するゾルゲル法を用いる。酢酸亜鉛の加水分解は、水中のプロトンを引き抜く作用を持つ物質を添加することで開始するが、溶媒を水にすると、プロトン引き抜き作用をもつ物質(例えば、アンモニアなど)で添加した直後からゲル化が始まってしまい、溶液の安定性が悪いことから本実施例では溶媒をアルコール、具体的には2−メトキシエタノールとし、プロトン引き抜き材(反応開始材)としてモノエタノールアミンを使用する。
(2)Pd/ZnO触媒
次に、共沈法を用いてPd/ZnO触媒を調整する。出発原料として、パラジウムと亜鉛の混合溶液を用いることができ、例えば硝酸パラジウムと硝酸亜鉛の混合溶液を用いることができる。なお、触媒中のパラジムの含有量(担持量)は、出発原料により調整することができる。触媒中のパラジウムが3重量%程度存在すれば十分に水素を生成する水蒸気改質反応を起こすことができるが、8〜22重量%程度含有することによってより効果的に水素を生成することができる。
沈殿剤としては、炭酸ナトリウム水溶液を用いることができ、他に炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アンモニア等の塩基性水溶液を用いることができる。
そして、出発原料に沈殿剤を混合することで、パラジウムが共沈担体である亜鉛水酸化物とともに沈殿する。この方法として、図3に示すように、蒸留水等の溶媒中に出発原料と沈殿剤とを同時に滴下する同時滴下方法と、図4に示すように、出発原料中に沈殿剤を直接滴下する沈殿剤滴下方法の二つの方法がある。
(a)同時滴下法
蒸留水中に、出発原料の溶液と、沈殿剤の溶液とを同時に滴下する。出発原料の溶液は酸性であり、沈殿剤の溶液は塩基性であるため、混合した溶液のpHは2つの溶液が滴下されることにより変動する。このとき、混合した溶液のpHを6.5〜8.5に維持しながら沈殿物を形成することが好ましい。
(b)沈殿剤滴下法
出発原料の溶液に沈殿剤の溶液を徐々に滴下する。出発原料の溶液と沈殿剤の溶液を混合することによって中和熱が発生する。このとき、混合した溶液の温度を20〜60℃に保つことが好ましく、30〜50℃に保つことがより好ましい。
同時滴下法、沈殿剤滴下法のいずれかの方法により形成した沈殿をろ過し、沈殿を得る。沈殿に蒸留水を加えて攪拌し、再びろ過を行う洗浄過程を数回繰り返し、最後のろ過後の沈殿物を乾燥させる。
乾燥させた沈殿物に対して焼成処理を行う。焼成により亜鉛水酸化物は亜鉛酸化物となる。焼成は、例えば窒素等の不活性ガス雰囲気に沈殿物を500℃以上、1時間おくことにより行うことができる。
以上のようにして、Pd/ZnO触媒が得られる。
(3)触媒溶液
次に、図5に示すように、Pd/ZnO触媒と増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース(HEC)を混合して混合粉体とした上で、この混合粉体を母液の酢酸亜鉛溶液に分散させ、粘度調整のため酢酸亜鉛溶液を適宜滴下する。さらに、分散剤としてポリエチレングリコール(PEG)を混合して触媒溶液を調整する。
その後、支持体を触媒溶液に浸積し、次いで浸積した支持体を引き上げて、常温で乾燥した後、Air気流中で焼成処理を行う。焼成温度としては500℃程度が好ましい。このようにして支持体上に複合触媒層が形成される。また、複合触媒層の形成は、後述するように支持体上への触媒溶液の塗布や流入によっても行うことができる。
《反応器》
次に、上述の支持体101及び複合触媒層102を利用した反応器1について説明する。図6は反応器1の正面、側面、及び平面を示す斜視図であり、図7は図6の切断線VII-VIIに沿って切断した際の矢視断面図である。
反応器1は、流路基板10と、流路基板10の上部に設けられた蓋基板20と、を備えている。
図8は流路基板10の上面図、図9は図8の切断線VIIII-VIIIIに沿って切断した際の矢視断面図、図10は流路基板10の下面図である。流路基板10としては、例えば、ステンレス基板、ガラス基板、シリコン基板、またはセラミック基板等を用いることができる。流路基板10の上面には、蛇行した溝11が形成されている。溝11の内壁面には、本発明のPd/ZnOからなる略粒子状の反応触媒103と、この反応触媒103を内部に覆う膜状の酸化亜鉛からなる素地膜104とを有する複合触媒層102が被膜されている。このとき素地膜104は多孔質であるため、反応触媒103は一部の表面が外部に露出されている。この溝11は、蓋基板20により蓋されることにより反応流路となる。なお、蓋基板20にも流路基板10と同様に、溝が形成されていても良い。
また、流路基板10の下面には、葛折り状の電気抵抗体からなる薄膜ヒータ13が形成されている。薄膜ヒータ13は電圧が印加されることによって吸熱反応である改質反応時に熱源となるとともに、複合触媒層102や後述する担持層の焼成時に用いられる。
図11は蓋基板20の上面図、図12は図11の切断線XII-XIIに沿って切断した際の矢視断面図である。蓋基板20には、流路基板10の溝11の両端部と対応する位置に、厚さ方向に貫通する導入孔21、排出孔22が設けられている。導入孔21は気化器203から反応物を反応流路へ案内し、排出孔22は、溝11とそれに対向する蓋基板20の対向する反応流路から生成物を排出し、一酸化炭素除去器205へ案内する。
蓋基板20としては、例えば、ステンレス基板、ガラス基板、シリコン基板、またはセラミック基板等を用いることができる。
次に、反応器1の製造方法について説明する。反応器1は、例えば以下の3種類の製造方法により製造することができる。以下、図13〜図15により3種類の製造方法について説明する。
<第1の製造方法>
図13に示すように、予めサンドブラスト等で所定の形状に溝11が形成された流路基板10(図13(a))の溝11が設けられている面に、ドライフィルムフォトレジスト30を貼り付ける(図13(b))。次に、フォトリソグラフィー法により、ドライフィルムフォトレジスト30の溝11に対応する部分を除去する(図13(c))。
次に、Pd/ZnO触媒及び膜状の酸化亜鉛からなる複合触媒層102となる触媒溶液102aを流路基板10の上面にコーティングする(図13(d))。
コーティングした触媒溶液102aが乾燥したら、ピーリング(引き剥がし)法を用いて、ドライフィルムフォトレジスト30を流路基板10から剥離する(図13(e))。ドライフィルムフォトレジスト30上の乾燥した触媒層は、溝11表面に付着した触媒層を残し、ドライフィルムフォトレジスト30とともにリフトオフされる。剥離後は必要があればピーリング法により残ったドライフィルムフォトレジスト30の僅かな残渣(スカム)をプラズマアッシングにより除去する(ディスカム)後、触媒層の焼成処理を行なう。
その後、流路基板10の上面に蓋基板20を接合させる(図13(f))。流路基板10と蓋基板20との接合は、例えば陽極接合や蝋付け等の接合方法により行うことができる。
以上により、反応器1が形成される。なお、薄膜ヒータは、図13(e)の工程の後、或いは図13(f)の工程の後に、流路基板10又は蓋基板20の外面に設けてもよい。また、蓋基板20における溝11との対向面に溝を設けてもよく、蓋基板20における溝11との対向面に担持層を形成してもよく、蓋基板20における溝11との対向面に複合触媒層102を形成してもよい。
<第2の製造方法>
図14に示すように、まだ溝11が形成されていない流路基板10の上面に、ドライフィルムフォトレジスト30を貼り付ける(図14(a))。次に、フォトリソグラフィー法により、流路基板10の溝11を形成する部分に対応する位置のドライフィルムフォトレジスト30を除去する(図14(b))。次いで、サンドブラスト法、ケミカルエッチング法等により流路基板10に溝11を形成する。
以下、第1の製造方法と同様にして反応器1が形成される(図14(d),(e),(f))。
<第3の製造方法>
図15に示すように、予め溝11が形成された流路基板10(図15(a))の溝11が設けられている面に、蓋基板20を接合させる(図15(b))。流路基板10と蓋基板20との接合は、例えば陽極接合等の接合方法により行うことができる。
次に、流路基板10と蓋基板20との接合により形成された流路に、導入孔21または排出孔22から上述の触媒溶液102aを流入させる(図15(c))。
次いで、製造装置炉内に流路基板10及び蓋基板20を配置し、炉内を加熱するか或いは薄膜ヒータ13の発熱による熱処理を行い、金属酸化物前駆体を焼成して金属酸化物を形成する。
流路に触媒溶液102aを流入させたら、触媒溶液102aを乾燥・焼成する(図15(d))。上記乾燥、焼成の少なくともいずれか一方は、製造装置炉内に流路基板10及び蓋基板20を配置して炉内を加熱するか或いは薄膜ヒータ13の発熱による熱処理を行うことによって達成される。以上により複合触媒層102が形成され、反応器1が形成される。
この反応器1を薄膜ヒータ13により250〜400℃に加熱し、導入孔21からメタノール等の燃料、水、及び酸素や過酸化水素等の酸化剤の混合物を流入させると、反応器1内で下記化学反応式(2)、(3)で示される反応が生じ、水素ガスと、二酸化炭素ガス等が排出孔22から排出される。
CH3OH+H2O→3H2+CO2 ・・・(2)
CH3OH+1/2・O2→2H2+CO2 ・・・(3)
なお、反応器1と隣接して、反応器1を加熱するための燃焼器を設けてもよい。燃焼器は、流路に例えばPt/Al23のような燃焼触媒の層を形成して反応器1と同様に設けることができる。この場合、反応器1で生成された水素を燃料電池に供給した後に残存している水素を燃焼器の燃料として導入することにより、効率的に発熱することができる。
《発電装置》
次に、反応器1を用いた発電装置200について説明する。
図16は、発電装置200のブロック図である。この発電装置200は、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、電子手帳、腕時計、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、ゲーム機器、遊技機、その他の電子機器に備え付けられたものであり、電子機器本体210を動作させるための電源として用いられる。
発電装置200は、メタノール等の燃料と水を別々に又は混合した状態で貯留した燃料容器201と、燃料容器201から供給された燃料と水を気化させる気化器202と、気化器202から供給された燃料と水の混合気から上記化学反応式(3)によって水素を生成する改質器(反応器)203と、改質器203から供給された混合気中の副生成物の一酸化炭素を下記化学反応式(4)のように酸化させることで混合気から一酸化炭素を除去する一酸化炭素除去器204と、一酸化炭素除去器204から供給された混合気のうち水素ガスと外気の酸素ガスとの電気化学反応により電気エネルギーを生成する発電セル205と、改質器203を加熱して上記化学反応式(3)の反応を良好に行うために必要な温度に設定する燃焼触媒が設けられた触媒燃焼器206と、外気の空気を吸引するとともに吸引した空気を一酸化炭素除去器204及び燃料電池型発電セル205に供給する空気ポンプ(図示しない)等を備える。
2CO+O2→2CO2 ・・・(4)
上記化学反応式(3)で示される反応が生じる改質器203として、上述の反応器1を用いることができる。
なお、燃料容器201に貯留された燃料は、メタノールの代わりに、エタノール等のアルコール類やジメチルエーテル等のエーテル類やガソリン等の組成に水素原子を含む有機化合物が適用可能である。
発電セル205は、図示しないが、触媒微細粒子を担持した燃料極と、触媒微粒子を担持した空気極と、燃料極と空気極との間に介在されたフィルム状の固体高分子電解質膜と、を備えている。発電セル205の燃料極には、一酸化炭素除去器204から生成物の混合気が供給されており、発電セル205の空気極には、空気ポンプから空気が供給されている。燃料極において、電気化学反応式(5)に示すように、混合気中の水素は、燃料極の触媒粒子の作用を受けて水素イオンと電子とに分離される。水素イオンは、固体高分子電解質膜を通じて酸素極に伝導し、電子は燃料極により取り出される。酸素極において、電気化学反応式(6)に示すように、固体高分子電解質膜を通過した水素イオンと、外部回路を通って燃料極から酸素極に移動した電子と、空気中の酸素とが反応して水が生成される。このときの電子の移動が電気エネルギーとなる。なお、燃料極側では未反応の多くの水素はオフガスとして触媒燃焼器206に送られて燃焼され、改質反応のエネルギーとして利用される。
2→2H++2e-・・・(5)
2H++1/2O2+2e-→H2O・・・(6)
そして、図16に示すように、発電装置200は、発電セル205により生成された電気エネルギーを適切な電圧に変換するDC/DCコンバータ207と、DC/DCコンバータ207に接続される2次電池208と、それらを制御する制御部209も備える。
DC/DCコンバータ207は発電セル205により生成された電気エネルギーを適切な電圧に変換したのちに電子機器本体210に供給する機能の他に、発電セル205により生成された電気エネルギーを2次電池208に充電し、発電セル205側が運転されていない時に、電子機器本体220に2次電池208側から電気エネルギーを供給する機能も果たせるようになっている。制御部209は気化器202、改質器203、一酸化炭素除去器204、触媒燃焼器206、発電セル205を運転するために必要な図示しないポンプやバルブ類、そして、ヒータ類、DC/DCコンバータ207等を制御し、電子機器本体210に安定して電気エネルギーが供給されるような制御を行う。
以上のように、複合触媒層102が、略粒子状の触媒103と、層状の多孔質体である素地膜104とを含むので、素地膜104が触媒103のバインダーとして作用することによって、触媒103単身よりも付着強度が向上し、平滑な面である支持体上にも確実に密着させることができる。また、素地膜104である単身と比べても素地膜104の材料であるZnO膜よりも触媒特性に優れたPd/ZnO触媒である触媒103を含有させているので、反応速度を向上することが可能となる。
また、付着強度の向上のために、従来の述のゾルゲル法を用いて、メタノール改質のためのプレート型触媒を形成する場合に、アルコキシド法で容易に調整可能であるアルミナを用いると、触媒層内に形成されたアルミナの酸性質が作用してメタノールの脱水反応によるエーテルが生成し、このエーテルがメタノール改質反応を阻害するというおそれがあった。これに対し複合触媒層102の材料の構成では、担持体としてアルミナを用いることないのでアルミナを使用した場合に想定される触媒反応の阻害が生じることもなく、Pd/ZnO触媒の性能を発揮でき、反応効率にも優れる。
特に、触媒溶液として、酢酸亜鉛を出発原料としたゾルゲル法において、溶媒をアルコールとすることによって触媒溶液の保存安定性が高く、工業的に安定した触媒層の形成が可能であることに加えて、増粘剤や分散剤などの添加剤を加えることによって触媒層の厚さを制御することができる。
[変形例]
図17は、支持体101と複合触媒層102との間に中間層107が形成された変形例を示した概略側面図である。
図17に示すように、支持体101と複合触媒層102との間に中間層107としてZnO膜を設けることによって、複合触媒層102の支持体101への付着強度をさらに高めることができる。中間層107のZnO膜は、亜鉛塩溶液、例えば上述した酢酸亜鉛溶液を、上述の支持体101と同様の支持体101上にコーティングして焼成することによって得られ、このZnO膜上にさらに、上述の触媒溶液をコーティングして焼成することによって上述した複合触媒層102を形成する。
また反応器1は、溝11を備えた構造になっているがこれに限らず反応器1内部空間に流路を仕切る壁を形成し、この壁の表面に複合触媒層102を形成してもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(本発明例1)
図2に示したフローチャートによって、酢酸亜鉛二水和物1gにプロトン引き抜き材としてモノエタノールアミン0.2〜0.3ml、溶媒として2−メトキシエタノール8〜10mlを添加して酢酸亜鉛の加水分解によって酢酸亜鉛溶液を調整した。
次に、上述の共沈法を用いてPd/ZnO触媒を調整した。パラジウム含有量が50g/Lの硝酸パラジウム水溶液と硝酸亜鉛・六水和物を100mlの蒸留水に混合してなる混合溶液を得た。なお、得られる触媒中のパラジウムの含有率が15重量%となるように、硝酸亜鉛・六水和物及び硝酸パラジウムの混合溶液を調整した。また、沈殿剤として0.76mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液を作製した。そして、40℃に維持しながら、硝酸亜鉛六水和物及び硝酸パラジウムの混合溶液と沈殿剤とを同時に滴下して沈殿物を生成した。滴下後の混合溶液のpHを7.3〜7.7に維持しながら沈殿物を形成した。その後、1時間攪拌を継続し、さらに12時間静置した後、ろ過を行った。
次いで、ろ過物に蒸留水を加えて40℃で20分間攪拌し、再びろ過を行う洗浄過程を3回繰り返した。4回目のろ過後に得られた沈殿物を100℃で12時間乾燥させた後、N気流中で500℃、1時間の焼成処理を行い、Pd/ZnO触媒を得た。
次いで、Pd/ZnO触媒1gに増粘剤としてヒドロキシエチルセルロース(HEC)0.1gを添加して混合粉体とし、母液である酢酸亜鉛溶液15〜20gに混合粉体を加え、さらに酢酸亜鉛溶液を3〜5gを滴下した。このとき分散剤としてポリエチレングリコール(PEG)0.5gを添加して混合し、触媒溶液を調整した。
その後、ステンレス基板を触媒溶液に浸積し、浸積したステンレス基板を引き上げて常温で乾燥した後、Air気流中で500℃の焼成処理を行った。このようにして厚さ約50μmの複合触媒層を形成した。
(比較例)
比較例として、上述した本発明と同様に共沈法を用いて調製したPd/ZnO触媒を0.5mm〜1.0mmの大きさにペレット化したものを使用した。
次に、支持体上に形成した触媒層の付着強度及び触媒活性を、以下の方法によって評価した。
(付着強度)
作製した触媒層の付着強度を評価するために、エアブロー試験を行った。Pd/ZnO触媒膜の片面にエアノズルを用いて5cmの高さから約0.5MPaの圧縮空気を10秒間ブロー後、ブロー前後の触媒の重量を測定した。
その結果、比較例では触媒層の欠落が目視できるのに対して、本発明例1の複合触媒層の重量減少率は1.36〜1.87%とほとんど減少しなかった。
(触媒活性)
作製した複合触媒層と、比較例の触媒とを用いてメタノールと水と酸素を原料とした酸化的水蒸気改質反応を行った。具体的には作製した触媒に、メタノールと水の混合液をGHSV(Gas Hourly Space Velocity)=100000/hの条件で通した。メタノールと水の混合比は1:2(モル比)とした。反応温度を250℃、300℃、350℃、400℃に保持し、反応器の出口のメタノール流量を計測し、触媒重量あたりのメタノール転化率を計算した。メタノール転化反応温度と、メタノール転化率の関係を表1及び図18に示す。
Figure 0005117769
表1及び図18の結果より、比較例の触媒(Pd/ZnO触媒単身)の性能と比較して本発明例1の複合触媒層は、触媒重量当たりのメタノール反応速度がほぼ同じ値であり、特に350℃〜400℃では若干転化率が向上した。したがって、本発明例1で用いた複合触媒層中のZnO膜はPd/ZnO触媒の性能を阻害することなく触媒付着強度を向上させる効果があることが認められる。
(本発明例2)
上述の本発明例1と同様に酢酸亜鉛溶液、Pd/ZnO触媒を調整し、さらに、酢酸亜鉛溶液、Pd/ZnO触媒、増粘剤及び分散材から触媒溶液を調整した。次いで、ステンレス基板を酢酸亜鉛溶液に浸積し、乾燥、焼成処理後、さらに触媒溶液に浸積し、乾燥、焼成処理を行った。このようにして中間層及び複合触媒層を支持体上に形成した。このようにして厚さ約50μmの複合触媒層及び厚さ約2μmの中間層を形成した。
中間層を設けない本発明例1と、中間層を設けた本発明例2において、それぞれ複合触媒層の表面を走査型電子顕微鏡にて評価した結果、中間層を設けない複合触媒層(本発明例1)には、所々に複合触媒層の剥離にはならない程度のひび割れが生じていたのに対して、中間層を設けた複合触媒層(本発明例2)では、ひび割れの発生が抑制されていることが確認できた。
複合触媒層102が形成された支持体101の概略側断面図である。 酢酸亜鉛溶液の調整方法を示したフローチャートである。 Pd/ZnO触媒の調整方法を示したフローチャートである。 Pd/ZnO触媒の調整方法を示したフローチャートである。 触媒溶液の調整方法を示したフローチャートである。 反応器1の正面、側面、及び平面を示す斜視図である。 図6の切断線VII-VIIに沿って切断した際の矢視断面図である。 流路基板10の上面図である。 図8の切断線VIIII-VIIIIに沿って切断した際の矢視断面図である。 流路基板10の下面図である。 蓋基板20の上面図である。 図11の切断線XII-XIIに沿って切断した際の矢視断面図である。 反応器1の第1の製造方法を示す模式図である。 反応器1の第2の製造方法を示す模式図である。 反応器1の第3の製造方法を示す模式図である。 発電装置200のブロック図である。 支持体101と複合触媒層102との間に中間層107が形成された変形例を示した概略側面図である。 本発明例1と比較例におけるメタノール添加率と反応温度の関係を示した図である。
符号の説明
1 反応器
101 支持体
102 複合触媒層
103 触媒
104 素地膜
107 中間層

Claims (6)

  1. アルコールの改質反応を起こす反応器であって、
    支持体と
    前記支持体上に形成され、ZnOを含み、多孔質触媒である素地膜と、前記素地膜に分散して配置され前記改質反応に寄与するPd/ZnOを含む触媒粒子と、を含む複合触媒層と、
    を備えことを特徴とする反応器
  2. 前記複合触媒層は多結晶であることを特徴とする請求項1に記載の反応器。
  3. 前記複合触媒層の前記触媒粒子の結晶格子径と前記多孔質触媒である前記素地膜の細孔径がほぼ等しいことを特徴とする請求項1または2に記載の反応器。
  4. 前記支持体と前記複合触媒層の間に、さらに中間層を形成し、前記中間層が前記素地膜と同じ材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の反応器。
  5. 請求項1〜の何れか一項に記載の反応器を製造する反応器の製造方法において、
    前記素地膜となる材料の溶液に前記触媒の材料を分散した触媒溶液を前記支持体上に塗布し、その後、焼成処理を施すことによって前記複合触媒層を形成することを特徴とする反応器の製造方法。
  6. 前記支持体上に中間層となる材料を有する溶液を塗布することによって中間層を形成し、
    前記中間層に前記触媒溶液を塗布し、その後焼成処理を施し、前記複合触媒層を前記中間層上に形成することを特徴とする請求項に記載の反応器の製造方法。
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