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JP5119141B2 - エンジンを搭載している車両 - Google Patents
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JP5119141B2 - エンジンを搭載している車両 - Google Patents

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Description

本願発明はエンジンを搭載している車両及びそのエンジンに関し、より詳しくは、クランクケースのトランスミッション室の下端部にオイルパンを有しているオイル循環経路を備えたエンジンを搭載している車両に関する。
トランスミッション室の下端部にオイルパンを有する車両用エンジンにおいて、オイル循環経路の一例を簡単に説明すると、オイルパンからオイルポンプにより吸い込まれたオイルは、オイル供給用のオイル通路を介してエンジンの各給油箇所、たとえばクランク軸の軸受、クランクピン、ピストン、クラッチ、ジェネレータ、シリンダヘッドのカム軸及び変速軸等に供給され、該給油箇所において潤滑及び/又は冷却等に利用される。そして、供給(使用)後のオイルは、各所の戻り用のオイル通路、クランク室、クラッチ室あるいはジェネレータ室等を介して、前記トランスミッション室のオイルパンに戻される(特許文献1)。
車両走行中、オイルポンプによりエアかみを生じることなくオイルを吸い込み、各給油箇所に正常にオイルを供給するために、オイルパンには、常時、所定のオイルレベル範囲内に、オイルを維持しておく必要がある。そのため、従来、前記オイルポンプとは別に、エンジン内にスカベンジングポンプを設けたエンジンがある。すなわち、各給油箇所からクランク室、ジェネレータ室及びクラッチ室等に戻るオイルを、スカベンジングポンプにより強制的に汲み上げて、トランスミッション室のオイルパンに戻すようにしている。
特開2003−14094号公報
前記従来技術のように、スカベンジングポンプを備えている場合には、部品点数が増えると共にコストが高くなり、また、エンジンのクランク軸の回転を利用してスカベンジングを駆動するために、エンジンの出力も低下する。
一方、スカベンジングポンプを備えていない場合には、部品コストを低減できると共に、エンジンの出力の損失もない。しかし、車両の運転状況によって、たとえば、斜面等を走行する際に、車両が前方、後方あるいは左右に傾斜した場合に、オイルパン内のオイルの移動により、オイルパン内のオイル量が不足したり、オイルパン以外の室にオイルが溜まり過ぎたりすることがある。
(発明の目的)
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、車両の運転状況、たとえば下り坂の走行中、アイドリング時又は登り坂の走行中等の運転状況に拘わらず、オイルパンには、常に、所定レベル範囲内にオイルを維持し、かつ、オイルパン以外の室には、過度にオイルが貯留されないように維持し、それにより、オイル循環を良好な状態に保てる車両を提供することである。
本願発明は、次のような構成のエンジンを搭載していることを特徴とする車両である。(a)クランク軸を収納するクランク室と、トランスミッションを収納すると共に下端部にオイルパンを含むトランスミッション室と、を有するクランクケースと、(b)前記クランクケースに締結されるシリンダであって、シリンダ中心線が鉛直方向に対して60°以上の角度で傾斜しているシリンダと、(c)前記クランクケースのクランク軸方向の一端側に取り付けられたカバー部材であって、回転体を収納する回転体収納室を有するカバー部材と、(d)前記クランク室と前記回転体収納室との間のクランクケース側壁に形成されて両室間をオイル流通可能に連通する第1のオイル連通孔と、(e)前記回転体収納室と前記トランスミッション室との間のクランクケース側壁に形成されて両室間をオイル流通可能に連通する第2のオイル連通孔と、(f)前記オイルパンに形成されたオイル取入口に連通するオイルポンプと、を備えており、(g)前記第2のオイル連通孔は、前記オイル取入口よりも上方で前記回転体収納室の下端部に略対応する位置であって、車両が、略水平に対して、前記シリンダ傾斜角の余角に略対応する所定角度だけ傾斜したときに、前記オイルパン内のオイルを残留させうる位置に配置されている。前記回転体収納室は、たとえばジェネレータを収納するジェネレータ室又はクラッチを収納するクラッチ室である。
上記構成によると、車両走行中、クランク室のオイルは、第1の連通孔、回転体収納室(ジェネレータ室等)及び第2のオイル連通孔を通して、速やかにトランスミッション室のオイルパンに戻すことができ、しかも、車両がシリンダ傾斜側(たとえば前方)に傾斜した状態で走行している時でも、オイルパン内のオイルを所定量に保持しうるので、オイルポンプによるエア噛みを防止することができる。
本願発明は、前記車両において、好ましくは、前記第1のオイル連通孔は、クランク軸の軸方向に見て、前記クランク室の下端部近傍位置であって、車両が前記所定角度で傾斜したときに、前記クランク室内のオイルが前記シリンダ内へ流入しない程度にクランク室内のオイルレベルを保つ位置に配置されている。
上記構成によると、車両が前記所定角度で、シリンダ傾斜方向に傾斜した状態で走行している時に、クランク室内からシリンダ内へのオイルの流れを抑制するので、オイルによりシリンダ内のピストンの動きを妨げることがなく、円滑なピストンの摺動を維持できる。
本願発明は、前記車両において、好ましくは、前記クランク室の底壁は、クランク軸の回転によりクランク室内のオイルを前記トランスミッション室に排出するオイル排出孔を有している。この場合、前記クランク室の周壁には、前記クランク室の内外を気体流通可能に連通する換気孔を有することができる。
上記構成によると、クランク室内のオイルを、前記第1の連通孔からの排出に加え、クランク軸の回転を利用して、積極的に、オイル排出孔から速やかに排出することができる。また、換気孔を形成することにより、クランク室内の圧力変動を吸収し、クランク室内にオイルの出入りを、促進することができる。
本願発明は、前記シリンダの少なくとも一つは、鉛直線に対して車両の進行方向側に傾斜させることができる。
上記構成によると、下り坂等で車両が前傾姿勢で走行している時に、前述の作用効果を得ることができる。
本願発明は、前記車両において、好ましくは、前記オイル連通孔及び第2のオイル連通孔の少なくとも一方は、円形断面を有する。
円形断面を有する。
上記構成によると、第1のオイル連通孔及び又は第2のオイル連通孔の加工が容易である。
[第1の実施の形態]
図1〜図8は本発明にかかる車両用エンジンの第1の実施形態を示しており、これらの図面に基づいて本発明の一実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る車両用エンジンを搭載した小形の不整地用四輪走行車(いわゆる、Utility vehicle) の一部破断した左側面図である。この図1において、四輪走行車は、車体フレーム1の前部に左右一対の前車輪2を備え、車体フレーム1の後部に左右一対の後車輪3を備え、前車輪2と後車輪3との間に、キャビンフレーム5で囲まれたキャビン6を備え、キャビン6の後方に荷台7を備え、キャビン6の前方にボンネット8及びバンパー9等を備え、各車輪2,3の上にそれぞれフェンダー(図示せず)を備えている。
キャビン6内の前半部にはベンチ形の前シート10が設置され、キャビン6内の後半部には折り畳み式のベンチ形の後シート11が設置され、キャビン6の前端部にはダッシュボード(操作部)12が設けられている。なお、前後のシート10,11は、ベンチ形のシートには限定されず、セパレート形のボックスシートが設置されることもある。
エンジンルーム14は、前シート10の下側空間から後シート11の下側空間に亘るように形成されると共に、車両の車幅方向の略中央部に位置しており、このエンジンルーム14内にエンジン20が収納され、車体フレーム1に支持されている。エンジン20は単気筒エンジンであり、前傾した単一のシリンダ21を有している。特に、エンジン20の全高を低くするために、前記シリンダ21の傾斜角度α1を、鉛直方向に対して略60°又はそれ以上の傾斜角度に設定しており、該実施の形態では、α=70°で前方に傾斜している。車体フレーム1の前側で、ボンネット8内には、ラジエータ19が配置されている。なお、仮想線で示すように、エンジン20の前側にラジエータ19aが配置されている場合もある。エンジン20としては、V型又はその他の形式の気筒を有するエンジンを備えることもでき、V型エンジンの場合は、複数のシリンダが前後に開くように配置された形式と、複数のシリンダが左右に開くように配置された形式と、のいずれの形式のものも採用することができる。
エンジン用のエアクリーナ24等の吸気装置は、エンジン20の後のスペースに配置されている。エンジン20の排気ポート(図示せず)に接続された排気管25は、後方に延び、荷台7の下側に配置された排気マフラー26に接続している。なお、仮想線で示すように、ハンドル前方のボンネット8内にエアクリーナ24aが配置されている場合もある。この場合は、前記エアクリーナ24aは、図示しない通路を介してエンジルーム14内のエンジンの吸気経路に接続している。
図2は、図1のエンジン20のII-II断面拡大図であり、この図2において、円筒状のシリンダライナ22がシリンダ21内に設けられ、ピストン23が前記シリンダライナ22の内周面に摺動自在に嵌合している。
クランク軸35はクランクケース36のクランク室33内に収納されている。クランクケース36は、右クランクケース部材36aと左クランクケース部材36bとに分割されており、両クランクケース部材36a、36bは、エンジン20のクランク軸方向幅(左右幅)の略中央部で結合されている。前記シリンダ21は、クランクケース36の前上端部に形成されたボア部36cに結合されている。
左クランクケース部材36bの左端面には、クラッチカバー40aを一体に有するベルトコンバータケース40が複数のボルト44により結合されており、前記クラッチカバー40aと左クランクケース部材36bとにより、遠心クラッチ39を収納するためのクラッチ室41を形成している。前記ベルトコンバータケース40の左端面にはベルトコンバータカバー42が複数のボルト45(図3)により締着されており、ベルトコンバータケース40とベルトコンバータカバー42とにより、ベルトコンバータ(Vベルト式無段変速機)46を収納するベルトコンバータ室43を形成している。
右クランクケース部材36aの右端面には、ジェネレータカバー(回転体収納室カバー)47が複数のボルト(図示せず)により締着されており、右クランクケース部材36aと前記ジェネレータカバー47によりジェネレータ48を収納するためのジェネレータ室(回転体収納室の一例)49を形成している。
クランク軸35は、クランク軸方向に間隔を於いて位置する右ジャーナル部35a及び左ジャーナル部35bと、両ジャーナル部35a、35b間に形成された一対のクランクアーム35c、35cと、両クランクアーム35c、35cを連結するクランクピン35dと、前記クランクアーム35c、35cとウエイト部35e、35eと、を有している。前記クランクピン35dは、コンロッド51の大端部51aの内周面に複数のローラベアリング(又は軸受メタル)38を介して嵌合しており、コンロッド51は前記シリンダライナ22内に延び、コンロッド51の小端部51bが、ピストンピン52を介してピストン23に連結している。
クランク軸35の左ジャーナル部35bは、左クランクケース部材36bに形成された軸受孔53に、ボールベアリング54を介して回転自在に嵌合している。該ボールベアリング54は、図4に示すように、ボルト54aで固着された係止部材54bにより、軸方向に係止されている。図2において、前記左ジャーナル部35bには、前記クラッチ室41内に突出するクラッチ軸55が一体に形成されている。該クラッチ軸55の外周面には、遠心クラッチ39のインナー部材56のボス部56aがクラッチ軸55と一体回転するようにスプライン嵌合し、前記ボス部56aの外周面には、ワンウエイクラッチ58を介してクラッチハウジング60のボス部60aが嵌合している。該ボス部60aはベルトコンバータ46のドライブ軸59と一体に形成されると共に、ボールベアリング61を介してクラッチカバー40aの内周面に回転自在に嵌合している。
ベルトコンバータ46のドライブ軸59はベルトコンバータ室43内に突出しており、前記ドライブ軸59の外周面にはベルトコンバータ46のドライブプーリ57が取り付けられている。
クランク軸35の右ジャーナル部35aは、右クランクケース部材36aに形成された軸受孔64の内周面に軸受メタル65を介して回転自在に嵌合している。前記右ジャーナル部35aには、前記ジェネレータ室49内に突出するジェネレータ軸66が一体に形成されており、該ジェネレータ軸66には、ジェネレータ48のロータ67が固着されている。
ジェネレータ軸66には、さらに、カム駆動用のチェーンスプロケット(チェーンギヤ)70と、ポンプ駆動用のチェーンスプロケット(チェーンギヤ)71とが形成されており、カム駆動用のチェーンスプロケット70にはカムチェーン70aが巻き掛けられ、ポンプ駆動用のチェーンスプロケット71にはオイルポンプ駆動用チェーン71aが巻き掛けられている。
図7は一部破断して示す図1のエンジン20の右側面図である。右クランクケース部材36aのボア部36cの右端部分と、シリンダ21の右端部分及びシリンダヘッド27の右端部分には、シリンダヘッド27の前面のロッカーアーム室27aからジェネレータ室49に至るカムチェーントンネル28が形成されている。前記カムチェーン70aは、ジェネレータ室49から前記カムチェーントンネル28を通って前記ロッカーアーム室27aに至っている。カムチェーン70aの前端部は、シリンダヘッド27の前面部に設けられた吸、排気弁駆動用のカム軸29のスプロケット34に巻き掛けられている。
図3は、図1のIII-III断面拡大図であり、クランク軸芯O1より同図面の上側の部分は内部構造物を略して示している。この図3において、ギヤ式トランスミッション72を収納するためのトランスミッション室73が、クランクケース36の後部に形成されており、前記トランスミッション室73と、前部のクランク室33とは、隔壁74により隔離されている。ギヤ式トランスミッション72は、クランク軸35と平行な、変速入力軸76、カウンタ軸77、後進用アイドル軸78及び図示しない出力軸を備えており、周知のギヤ式変速機と同様、各軸76,77,78に設けられた各変速ギヤが互いに噛み合い、ギヤ同士の噛み合い列を選択することにより、変速するようになっている。なお、前記出力軸78は、カウンタ軸77の出力ギヤに噛み合うギヤを有しており、出力軸78から、ベベルギヤ機構(図示せず)、二駆四駆切換装置(図示せず)、前進用ドライブ軸83及び後進用ドライブ軸(図示せず)等を介して、前車輪2及び後車輪3(図1)に、動力を伝達するようになっている。
ギヤ式トランスミッション72の入力軸76の左端部には、ベルトコンバータ室43内に突出するベルトコンバータ用のドリブン軸79が一体に形成され、該ドリブン軸79にはベルトコンバータ46のドリブンプーリ80が取り付けられている。該ドリブンプーリと80前記ドライブプーリ57とに亘り、Vベルト82が巻き掛けられている。
(オイル循環経路の構成)
図5は右クランクケース部材36aの左側面図(内側図)であり、エンジンのオイル循環経路は、トランスミッション室73のオイルパン100から二次オイルフィルタ104を介してクランク軸用の軸受孔64に至るメインオイル経路と、該メインオイル経路からエンジン内の各給油箇所に至る複数のサブオイル経路と、各給油箇所からトランスミッション室73のオイルパン100に戻る複数のオイル戻り経路と、を備えている。前記サブオイル経路としては、後で詳しく説明するが、図2に示すクランク軸35のクランクピン35d及び遠心クラッチ39等にオイルを供給するためのサブオイル経路と、ピストン23にオイルを供給するためのサブオイル経路と、図3に示すギヤ式トランスミッション72にオイルを供給するためのサブオイル経路と、図7に示すカム軸29及び図示しないロッカーアーム等にオイルを供給するためのサブオイル経路と、その他のサブオイル経路がある。
前記メインオイル経路について説明する。図5において、メインオイル経路は、前記オイルパン100と、該オイルパン100に開口するオイル取入口106aを有すると共に上方に延びるオイル吸い込み通路106と、該オイル吸い込み通路106の上端部に連通するオイルポンプ102と、該オイルポンプ102の吐出部102aに連通すると共に右クランクケース部材36a内を前方に延びる第1のメインオイル通路103と、右クランクケース36aの前端面37に取り付けられた前記二次オイルフィルタ104と、該二次オイルフィルタ104から右クランクケース部材36a内を後方に延びてクランク軸用の軸受孔64の近傍位置に至る第2のメインオイル通路105と、その他のオイル通路等を備えている。前記オイル吸い込み通路106の上端部はオイルポンプ102の吸い込み部102bに連通している。
前記オイルパン100は、トランスミッション室73の前下端部に位置している。前記第2のメインオイル通路105は、前記第1のメインオイル通路103の上側に配置され、かつ、第1のメインオイル通路103と略平行に延びている。前記第1のオイル通路103の前端部103aは前記二次オイルフィルタ104のオイル入口104aに連通し、二次オイルフィルタ104のオイル出口104bは、前記第2のメインオイル通路105の前端部105aに連通している。また、オイル吸い込み通路106の途中には、板状の一次オイルフィルタ101が配置されている。
図8は、図6のVIII- VIII断面図(下方から見た図)であり、オイルポンプ102は、たとえばトロコイドポンプであり、右クランクケース部材36aの右端に取り付けられたポンプケーシング108と、該ケーシング108内に配置された内外の歯付きロータ109a、109bと、内側ロータ109aが固着されたオイルポンプ軸107と、を備えている。該ポンプ軸107に設けられたスプロケット69は、前記オイルポンプ駆動用チェーン71aを介して前記ジェネレータ軸66のポンプ駆動用チェーンスプロケット71に動力伝達可能に連結されている。
なお、ジェネレータカバー47には、ウォータポンプケーシング212が取り付けられており、該ウォータポンプケーシング212内にウォータポンプ210が設けられている。ウォータポンプ210のインペラ213が固着されたポンプ軸214は、前記オイルポンプ102のポンプ軸107と、同一軸芯上に一体に形成され、前記スプロケット69及びオイルポンプ駆動用チェーン71aを介して動力が伝達されるようになっている。ポンプケーシング212は吸込通路215と吐出通路216とを有している。吸込通路215はラジエータ19の冷却液出口に連通し、吐出通路216はジェネレータカバー47内の冷却液通路217に連通している。
図3において、第2のメインオイル通路105の後端部には、ジェネレータ室49に配置された第1のオイル管(メインオイル管)111の前端部が、第1のオイル継手111aを介して接続されている。この第1のオイル管111は、ジェネレータ室49内を後方に延びてクランク軸35の略下方位置に至り、第2のオイル継手112aを介して、図4に示すように、右クランクケース部材36aの壁内に形成されたオイル通路114に連通している。このオイル通路114は、クランク軸35内の右側オイル通路(上流側オイル通路)135に連通している。
遠心クラッチ冷却用のサブオイル経路の一つを説明する。図3において、前記第2のオイル継手112aには、更に後方に延びる第2のオイル管112が接続され、該第2のオイル管112の後端部は、クランク室33とトランスミッション室73との間の隔壁74内に形成されオイル通路120に、オイル継手121を介して接続されている。
前記隔壁74内には、更に、前記オイル通路120の後上方位置に後側オイル通路122が形成されており、該後側オイル通路122は、隔壁74内の連通室124を介して前記前側のオイル通路120に連通すると共に、クランク軸35と略平行に左右方向に延びている。
後側オイル通路122の左端部は、左クランクケース部材36bに形成されたオイル室130及びオイル通路129を介して遠心クラッチ冷却用のオイルノズル131に連通している。一方、後側オイル通路122の右端部は、ギヤ式トランスミッション72にオイルを供給するためのサブオイル経路に連通している。
ギヤ式トランスミッション用のサブオイル経路について説明する。図3において、前記隔壁74内の後側オイル通路122の右端部は、第4のオイル継手116を介して外部の第3のオイル管117に接続し、該第3のオイル管117は後方に延び、トランスミッション室73の右側壁(右クランクケース部材36aの右側壁)に取り付けられた第5のオイル継手118に連通している。この第5のオイル継手118は、ギヤ式トランスミッション72のカウンタ軸77のニードル軸受81に連通している。さらに、前記第5のオイル継手118には、後方に延びる第4のオイル管125等が接続され、該第4のオイル管125の後端部は、トランスミッション室73の右側壁(右クランクケース部材36aの右側壁)に取り付けられた第6のオイル継手126に連通している。この第6のオイル継手126は、ギヤ式トランスミッション72の入力軸76内に形成されたオイル通路127に連通している。該オイル通路127は、入力軸76内を左方に延びており、該オイル通路127には径方向に延びる複数の枝通路128が連通し、各枝通路128は入力軸76上の変速ギヤ75の嵌合部分に連通している。
クランク軸35内のサブオイル経路、遠心クラッチ用のサブオイル経路の別の一つ及びピストン用のサブオイル経路について説明する。図4において、前記第2の継手112aに連通する右クランクケース部材36a内のオイル通路114は、上方に延びて、右クランクケース部材36aの軸受孔64の内周面に形成された環状オイル通路132に連通している。該環状オイル通路132は、前記軸受メタル65に形成された径方向のオイル孔134及び軸受メタル65の内周面に形成された環状溝133を介して、クランク軸35内の前記右側オイル通路135に連通している。
クランク軸35内の前記右側オイル通路135は、クランクピン35d側へ延び、クランクピン35dの右側部分に形成された右側オイル孔136、クランクピン35d内のオイル室138及びクランクピン35dの軸方向の中央部に形成された中間オイル孔139を介して、コンロッド51の大端部51aとクランクピン35dとの間の嵌合部分(ローラベアリング38配置部分)に連通している。
クランクピン35d内のオイル室138は、更に、クランクピン35dの左側に形成された左側オイル孔140を介して、クランク軸35内の左側オイル通路141に連通し、この左側オイル通路141は、さらに、クランク軸35の軸芯部に形成された遠心クラッチ用オイル通路142に連通している。図2において、遠心クラッチ用オイル通路142の左端部に設けられた第1のオイルノズル145は、遠心クラッチ39のクラッチハウジング60のボス部60aの端面(ドライブ軸59の右端面)に向けて、オイルを噴射するようになっている。
カム軸用のサブオイル経路について説明する。図4において、前記軸受孔64の環状オイル通路132には、ピストン冷却用のオイルノズル150に至るピストン冷却用のオイル通路151が連通すると共に、図6に示すように、右クランクケース部材36a内に形成されたカム軸給油用のオイル通路170が連通している。該カム軸給油用のオイル通路170は、右クランクケース部材36aのボア部36cの前端まで延び、図示しないがオイル管及びオイル通路を介して、図7に示すカム軸29の給油部分に連通し、カム軸29に給油するようになっている。
シリンダヘッド27からのオイル戻り通路について説明する。図7において、前記カムチェーントンネル28内には、前記カムチェーン70aと共に、該カムチェーン70aの上端縁をガイドする上側チェーンガイド30aと、カムチェーン70aの下端縁をガイドする下側チェーンガイド30bと、が配置されており、上側チェーンガイド30aにはカムチェーンテンショナ31が設けられている。下側チェーンガイド30bは、カムチェーントンネル28の底面から所定距離をおいた上方に配置されており、これにより、カムチェーントンネル28の下端部に、戻り用オイル通路32を設けている。すなわち、このオイル戻り通路32は、シリンダヘッド27の前面部のロッカーアーム室27aからカムチェーントンネル28の底面に沿って後方に延び、ジェネレータ室49に至っている。なお、符号71aは、前述のように、オイルポンプ102を回転(駆動)させるためのオイルポンプ駆動用チェーンである。
(ジェネレータ室49の詳細構造)
図6において、ジェネレータ室49は、側方から見て、クランクケース36の前半部の大部分を占めるように広がっており、ジェネレータ室49の底壁49aは、前記オイルパン100の底面より高く、オイルポンプ102の下端部に概ね対応する位置に、概ね水平に形成されている。
ジェネレータ室49とクランク室33(図2)の間の右クランクケース部材36aの壁部分には、側方から見て、クランク軸用の軸受孔64とオイルポンプ102との略中間位置に、ジェネレータ室49とクランク室33(図2)とを連通する第1のオイル連通孔96が明けられている。さらに、右クランクケース部材36aの壁部分には、ジェネレータ室49の後下端部に略対応する位置に、トランスミッション室73とジェネレータ室49とを連通する第2のオイル連通孔95が明けられている。前記第1の連通孔96及び第2の連通孔95を利用することにより、クランク室33のオイルの一部がジェネレータ室49を介してトランスミッション室73のオイルパン100に排出される(戻される)ようになっている。
前記第1のオイル連通孔96及び第2のオイル連通孔95の位置を、詳しく説明する。前記第2のオイル連通孔95は、前述のように、ジェネレータ室49の後下端部に略対応する位置に配置されているが、図5に示すように、オイルポンプ102の前記オイル取入口106aの上端縁よりも上方に位置しており、車両が、略水平に対して、前記シリンダ傾斜角α1の余角β1に略対応する角度だけ前方に傾斜した時に、少なくともオイルパン100の全域に亘ってオイルを残留させうる位置に配置されている。
該実施の形態では、鉛直方向(鉛直線V)に対するシリンダ中心線C1の傾斜角α1は、略70°に設定されており、その余角β1は略20°となっている。したがって、前記第2の連通孔95の位置は、車両が略水平方向(水平線H)に対して前方に前記余角β1(=略20°)に対応する角度だけ傾斜して、トランスミッション室73から第2のオイル連通孔95を介してジェネレータ室49(図6)にオイルが逆流しても、トランスミッション室73には、少なくとも最低限L1のオイルベルが保たれるようになっている。これにより、オイルパン100内のオイルは、少なくともオイルパン100の全域に亘ってオイルが残留しうる。
なお、符号L2で示すオイルレベルは、略水平方向(水平線H)に対して車両が前方へ略30°(β2)傾斜した時におけるジェネレータ室49内の最低のオイルレベルを示しており、該実施の形態では、車両がβ2だけ前方に傾斜した状態でも、トランスミッション室73には、少なくともオイルパン100の全域に亘ってオイルが残留しうるようになっている。
図5において、第1の連通孔96は、クランク室33の下端壁近傍であって、前後方向の位置は、クランク軸中心O1よりも若干後方である。さらに、クランクケース36の前端ボア部36cの下端よりも下方に位置し、オイルポンプ102の上端よりは上方に位置している。
第1のオイル連通孔96を上記位置に設定することにより、前述のように、車両が略水平方向に対して、所定角度β1だけ車両が前方に傾斜した時には、クランク室33内のオイルレベルはL3となり、クランク室33内からシリンダ21内へはオイルが流出しない。さらに、前述のように、車両が傾斜角度β2(略30°)まで大きく傾斜した時でも、クランク室33内のオイルがシリンダ21内に殆ど流出しない。
(作用)
オイル循環経路のオイルの流れを簡単に説明する。図5において、オイルパン100内のオイルは、オイル取り入れ口106a、オイル通路106及び一次オイルフィルタ101を介してオイル吸い込み部102bからオイルポンプ102内に吸い込まれ、吐出部102aから第1のメインオイル通路103内へ吐出され、第1のメインオイル通路103内をクランクケース36の前端面37まで圧送される。
第1のメインオイル通路103の前端部103aからオイル入口104aを通って二次オイルフィルタ104に供給されたオイルは、濾過された後、オイル出口104bを通って第2のメインオイル通路105に供給され、第2のメインオイル通路105内をクランク軸用の軸受64の下方の位置まで圧送される。
第2のメインオイル通路105の後端部からは、前述のように、図2に示すクランク軸35のクランクピン35d及び遠心クラッチ39等にオイルを供給するためのサブオイル経路と、ピストン23にオイルを供給するためのサブオイル経路と、図3に示すギヤ式トランスミッション72にオイルを供給するためのサブオイル経路と、図7に示すシリンダヘッド27のカム軸29及び(図示しない)ロッカーアーム等にオイルを供給するためのサブオイル経路と、その他のサブオイル経路に、それぞれオイルが供給される。
図2のクランクピン35d及びピストン23等に供給されたオイルは、クランク室33内に流下あるいは落下し、クランク室33から、図6の第1の連通孔96、ジェネレータ室49及び第2の連通孔95を介してトランスミッション室73(オイルパン100)に戻される。図3のギヤ式トランスミッション72に供給されたオイルは、直接トランスミッション室73に戻される。図7のカム軸29等に供給されたオイルは、カムチェーントンネル28内の戻り用オイル通路32に排出され、該戻り用オイル通路32内を後方に流れ、ジェネレータ室49に排出される。ジェネレータ室49に排出されたオイルは、クランク室33からのオイルと合流し、前記第2の連通孔95を通ってトランスミッション室73に戻される。
図5において、車両走行中、下り坂等で車両が前方に傾斜した場合、トランスミッション室73内のオイルの一部は、第2のオイル連通孔95を通ってジェネレータ室49(図6)に逆流するが、トランスミッション室73内のオイルレベルは、第2のオイル連通孔96の略下端位置に抑えられる。すなわち、車両の傾斜角がβ1(20°)であれば、オイルレベルL1までの減少に抑制でき、車両の傾斜角度がβ2(30°)であれば、オイルL2までの減少に抑制でき、いずれの場合でも、少なくともオイルパン100の全域に亘ってオイルが残留している。したがって、エアかみ現象が生じることなく、オイルポンプ102によりオイルを吸い上げ、吐出させることができ、良好なオイル循環を維持できる。
なお、オイルポンプ軸107は、水平状態でエンジンが停止していれば、オイル中に浸っているが、エンジン運転中は、オイルパン100内のオイルレベルが下がるので、オイルポンプ軸107はオイルに浸っていない状態となる。これにより、オイルポンプ駆動用チェーン71aがオイルに浸っている時間が少なくなり、オイル抵抗による出力ロスが減り、エンジンの運転が良好になる。
さらに、前述のように車両がβ1又はβ2の角度で傾斜した場合において、クランク室33内においては、オイルが前方に移動するが、少なくともシリンダ21内には侵入しない程度に移動が抑制される。したがって、ピストン23がオイル抵抗を受けることによるエネルギー効率の損失が防止される。
[第2の実施の形態]
図9及び図10は、本発明の第2の実施の形態を示しており、図9は左クランクケース部材36bの左側面図である。基本的構造は前記第1の実施の形態と同じ構造を備えており、これに加え、クランク室33の底壁33d及び側壁eに、オイル排出孔160と換気孔161と、を備えている。なお、前記第1の実施の形態と同じ部品及び部分には、同じ符号(番号)を附してある。また、図10でクロスハッチングを施してあり領域は、オイルの断面を示している。
図9は左クランクケース部材36bの左側面図であり、図10は、図9のX-X断面図である。図10において、クランク室33の底壁33dの後部に、クランク室33とクラッチ室41とを連通するオイル排出孔160が形成され、クランク室33の後壁の左端部に、クランク室33とクラッチ室41とを気体流通可能に連通する換気孔161が形成されている。前記オイル排出孔160は、クランク室33の底壁33dの略左半分(左クランクケース部材36b)に形成されている。
図9において、クラッチ室41の底壁には、堰154が形成されており、この堰の前側部分には遠心クラッチ39(図2)のハウジング60(仮想線)の下端部が浸漬するようにオイルが溜められている。前記堰154の後側の空間部は、連通孔155を介してトランスミッション室73に連通している。前記オイル排出孔160は、堰154の後側の空間部に連通している。前記換気孔161は、少なくともクランク軸芯O1よりも高い位置に形成されている。
オイル循環に関する基本的な作用は前記第1の実施の形態と同様であるので、省略する。図10において、車両運転中、クランク室33に戻るオイルの一部は、第1のオイル連通孔96からジェネレータ室49に排出されるが、該実施の形態では、第1のオイル連通孔96からのオイルの排出とは別に、オイルの大部分は、クランク軸35の回転を利用して、クランク室33の底壁33dのオイル排出孔160から、積極的にクラッチ室41内へ排出される。クラッチ室41に排出されたオイルは、図9の連通孔155を通ってトランスミッション室73に戻される。
また、クランク室33内では、前述のように、クランク軸35の回転により、オイル排出孔160からオイルが排出されたり、第1のオイル連通孔96からオイルが排出されることにより、クランク室33の内圧(気圧)が急激に変化するが、前記換気孔161を形成していることにより、クランク室33内に圧力変化を抑制できる。これにより、ピストン23(図2参照)の運動速度及びクランク軸35の回転速度の低下を防ぐことができる。
[その他の実施の形態]
(1)前記各実施の形態では、シリンダの中心C1が鉛直方向に対して70°の傾斜角度で前方に傾斜している車両用エンジンに適用しているが、本発明は、シリンダ中心線C1が鉛直方向に対して60°以上の適宜の傾斜角となるように傾斜しているシリンダに適用できる。
(2)第1のオイル連通孔及び第2のオイル連通孔に連通する回転体収納室は、前記実施の形態では、クランク室33の右側方のジェネレータ室49であるが、クランク室33の左側方のクラッチ室41とすることも可能である。すなわち、第1のオイル連通孔により、クランク室33とクラッチ室41とを連通し、第2のオイル連通孔により、クラッチ室とトランスミッション室とを連通する構造とすることもできる。
(3)本発明は、図1のような不整地用四輪走行車に搭載されるエンジンに限定されるものではなく、自動二輪車及び三輪車等の各種車両に搭載される車両用エンジンに適用でき、また、複数気筒のエンジンにも適用することもできる。
(4)本発明は、前記実施の形態の構造に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱しない範囲で考えられる各種の変形例が含まれる。
本発明の一実施の形態による車両用エンジンを搭載した四輪走行車を一部破断して示す左側面図である。 図1のエンジンのII-II断面拡大図である。 図1のエンジンのIII-III断面拡大図であって、同図の上部分は内部構造が省略されている。 図1のエンジンのクランク軸の拡大断面図である。 図1のエンジンの右クランクケース部材の左側面図(内側面図)である。 図1のエンジンの右クランクケース部材の右側面図(外側面図)である。 図1のエンジンを一部破断して示す右側面図である。 図6のVIII-VIII断面図である。 本発明の別に実施の形態であって、左クランクケース部材の左側面図である。 図9のX-X断面図である。
符号の説明
21 シリンダ
33 クランク室
41 クラッチ室(回転体収納室の一例)
49 ジェネレータ室(回転体収納室の一例)
73 トランスミッション室
35 クランク軸
36 クランクケース
100 オイルパン
95 第2のオイル連通孔
96 第1のオイル連通孔
106a オイル取入口
102 オイルポンプ
160 オイル排出孔
161 換気孔

Claims (6)

  1. エンジンを搭載している車両であって、
    前記エンジンは、
    クランク軸を収納するクランク室と、トランスミッションを収納すると共に下端部にオイルパンを含むトランスミッション室と、を有するクランクケースと、
    前記クランクケースに締結されるシリンダであって、シリンダ中心線が鉛直方向に対して60°以上の角度で傾斜しているシリンダと、
    前記クランクケースのクランク軸方向の一端側に取り付けられたカバー部材であって、回転体を収納する回転体収納室を有するカバー部材と、
    前記クランク室と前記回転体収納室との間のクランクケース側壁に形成されて両室間をオイル流通可能に連通する第1のオイル連通孔と、
    前記回転体収納室と前記トランスミッション室との間のクランクケース側壁に形成されて両室間をオイル流通可能に連通する第2のオイル連通孔と、
    前記オイルパンに形成されたオイル取入口に連通するオイルポンプと、を備えており、
    前記第2のオイル連通孔は、前記オイル取入口よりも上方で前記回転体収納室の下端部に略対応する位置であって、車両が、略水平に対して、前記シリンダ傾斜角の余角に略対応する所定角度だけ傾斜したときに、前記オイルパン内のオイルを残留させうる位置に配置されている、車両。
  2. 請求項1に記載の車両において、
    前記第1のオイル連通孔は、クランク軸の軸方向に見て、前記クランク室の下端部近傍位置であって、車両が前記所定角度で傾斜したときに、前記クランク室内のオイルが前記シリンダ内へ流入しない程度にクランク室内のオイルレベルを保つ位置に配置されている、車両。
  3. 請求項1に記載の車両において、
    前記クランク室の底壁は、クランク軸の回転によりクランク室内のオイルを前記トランスミッション室に排出するオイル排出孔を有している、車両。
  4. 請求項3に記載の車両において、
    前記クランク室の周壁には、前記クランク室の内外を気体流通可能に連通する換気孔を有している、車両
  5. 請求項1に記載の車両において、
    前記シリンダの少なくとも一つは、鉛直線に対して車両の進行方向側に傾斜している、車両。
  6. 請求項1に記載の車両において、
    前記第1のオイル連通孔及び第2のオイル連通孔の少なくとも一方は、円形断面を有する、車両。
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