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JP5122855B2 - ガラス繊維製造装置 - Google Patents
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Description

本発明は、溶融ガラスからガラス繊維を製造するための装置に関する。また、この装置を使用したガラス繊維の製造方法に関する。
ガラス繊維の製造法としては、図4のようなブッシングを適用する製造工程が一般的である。この工程においては、ガラス原料(カレット)を高温加熱して得られる溶融ガラスを清澄・均質化した後、流路を通過させて溶融ガラスをブッシングブロック及びブッシングに供給する。ブッシングは多数のノズルが形成されたベースプレートを底面に備える箱型の構造体であり、このノズルから繊維状の溶融ガラスが吐出される。ノズルから吐出されたガラス繊維は冷却されつつ巻き取られる(ブッシングブロックを使用したガラス繊維の製造工程の例としては、特許文献1がある。)。
特表2001−513478号公報
ブッシングブロック及びブッシングは、高温の溶融ガラスと接するものであるから、溶融ガラスを汚染することがないよう高い安定性、強度を有する材料からなる。ここで、従来のブッシングブロックは、電鋳煉瓦やデンスジルコン等の緻密質の耐火物材料が用いられている。電鋳煉瓦とは、電気溶融鋳造(電鋳)により製造される煉瓦であり、電気炉にて溶融したレンガ原料(Al2 3 −ZrO2 −SiO2 質セラミックやAl2 3 −SiO2 質セラミック等)を鋳型に流し込んで冷却させたものである。電鋳煉瓦は、セラミック故に硬度及び融点が高く、その上、緻密であることから、高温の溶融ガラスを取り扱うのに好適である(電鋳煉瓦の製法の例として、特許文献2がある。)。
特開平05−8210号公報
また、ブッシングの構成材料としては、白金、白金合金等の貴金属材料が用いられる。貴金属及びその合金は、化学的安定性、高温強度に優れ、特に高温クリープ特性が良好であり、ガラス製造装置のような高温下で応力負荷を受ける構造体の構成材料として適格である(高温クリープ特性の改善を目的とした貴金属材料の例として特許文献3がある。)。
特開平11−172349号公報
ところで、従来のガラス繊維製造装置においては、いくつかの問題がある。第1に、使用に伴うブッシングの変形がある。この変形の要因としては、ブッシングが高温の溶融ガラスの加重を絶えず受けるものであることから、高温クリープ変形が主であると考えられてきた。そのため、ブッシングの変形の問題については、上記のような、高温クリープ特性等を改善するといった材料面での対応が重要とされてきたが、実際にはそれのみでは不十分であり、ブッシングの変形による定期的な交換を余儀なくされていた。
従来のガラス繊維製造装置における第2の問題としては、溶融ガラス中への異物(ストーン)の混入である。かかる混入物の存在は、溶融ガラスの汚染に加えて、ガラス繊維紡糸の際に断線の要因にもなり、製品の品質を低下させることとなる。
更に、従来技術においては、第3の問題として、ガラス繊維製造中において溶融ガラスの温度分布が不均一となり、特に、ブッシングの四隅の温度が中央部よりも低くなる傾向がある。このような場合、ブッシング内の溶融ガラスの粘度が不均一となって安定的な紡糸が困難となり、ガラス繊維の製造効率も低下する。
そこで、本発明は、上記の問題が改善されたガラス繊維の製造装置を提供するものである。
本発明者等は、ブッシングの変形の抑制、ストーン低減、温度分布の均一化を図るため、それぞれの問題の要因を再検討した。まず、ブッシングの変形について、その要因としてクリープ変形以外のものがあると考えた。図4のように、従来のブッシングは、箱型形状をしており、その周囲はモルタル等の耐火物で被覆・拘束されている。ブッシングを耐火物で被覆するのは、ブッシングの支持に加えて、高温に晒されるブッシングの断熱及び白金揮発の防止のためである。そして、ブッシングは、ガラス繊維製造に当たって昇温され熱膨張するが、このような拘束状態では、熱膨張の際のストレスを開放することができないため、変形によってストレスを吸収せざるを得ない。本発明者等によれば、このような熱膨張の影響は、ブッシングにかかる応力(ガラスのヘッド圧、ガラス繊維巻き取り時の下方からのトルク等)による影響(クリープ変形)よりも大きい。つまり、ブッシング変形の要因としては、その箱型形状及び周囲の拘束状態にあるといえる。
一方、溶融ガラスへのストーン混入の要因は比較的明確であり、ブッシングブロックとして用いられる耐火物の磨耗・溶解によるものが考えられる。電鋳煉瓦やデンスジルコンのような緻密質の耐火物であっても溶融ガラスによる侵食が全く生じないわけではなく、長時間の使用により溶解するからである。従って、この問題は、ブッシングブロックの材料に要因があるといえる。
また、溶融ガラスの温度分布については、その流れに伴って生じる放熱のバランスによるものである。溶融ガラスは、ブッシングブロックやブッシングを構成する耐火物、金属との接触により放熱され温度低下するが、例えば、ブッシングブロックの四隅を流れる溶融ガラスは、他の部分よりも接触面積が大きいため放熱も大きくなるため、より温度が低下する。
本発明者等は、以上のような検討を前提に、ガラス繊維製造装置の構造として、箱型形状のブッシングに替えて板状のベースプレートのみを用い、これを適宜の数のブッシングブロックに直接固定することとした。また、ブッシングブロックの溶融ガラスとの接触面(内面)に、貴金属の被覆層を備えるものとした。そして、以上の構成を有するガラス製造装置においては、溶融ガラスは、ガラス繊維として吐出されるまでの間、貴金属と接触状態にある。そこで、本発明は、ブッシングブロックの被覆層、ベースプレート等の構造物を通電加熱することで、装置内を通過する溶融ガラスの温度低下を防止し、粘度低下や凝固を抑制し、ガラス繊維製造の安定化を図ることとした。
即ち、本発明は、 溶融ガラスを流通させてガラス繊維を製造する装置において、溶融ガラスとの接触面に白金又はその合金からなる被覆層を備える少なくとも一つのブッシングブロックと、前記ブッシングブロックの下端に固定され、複数のノズルを有する白金又はその合金からなる板状のベースプレートと、前記ブッシングブロック及び前記ベースプレートのいずれか又は全てを通電加熱する少なくとも一つの通電手段と、を備えるガラス繊維の製造装置である。
以下、本発明における構成について詳細に説明する。本発明では、板状のベースプレートをブッシングブロックに固定してガラス繊維の紡糸を行う。これは、ブッシングブロックとベースプレートとの組み合わせにより箱型形状を得るものである。従来の一体化された箱型形状のブッシングにおいては、その周囲が拘束されており、熱応力による変形が生じる。これに対し、本発明においては、従来から拘束を行わないブッシングブロックを利用することで、このような問題を生じさせることがない。
ベースプレートは、ガラス紡糸用の複数のノズルを備える板状の部材である。ノズルは、内径0.5〜3.0mmの筒体であり、通常、200〜8000個のノズルを備える。ベースプレートの材質は、白金及びその合金からなり、好ましくは、白金、白金−ロジウム合金(ロジウム濃度:5〜20wt%)の他、強度向上の目的で分散型強化白金合金、分散型強化白金−ロジウム合金が適用される。ベースプレートの厚さは、1.0〜2.0mmである。また、ノズルを除くプレート部分の板厚分布は均一なものでも良いが、通電加熱の際に溶融ガラスを均一に加熱するために部分的に板厚を変化させても良い。また、ベースプレートは、完全な平板であっても良いが、ブッシングブロックの開口部分において平坦であればよいのであって、ブッシングブロックへの固定状況、通電のための電極の配置等に合わせて、適宜の加工、例えば、端部の曲げ加工等を行っていても良い。
本発明においてブッシングブロックは、従来のガラス繊維製造装置での機能である、流通する溶融ガラスの整流に加えて、ベースプレートと組み合わせにより箱型形状を形成し溶融ガラスを滞留させるという機能が期待されている。従って、それぞれの機能を発揮させるため、本発明では、複数のブッシングブロックを積層して用いることが好ましい。本発明で用いられるブッシングブロックは、溶融ガラスと接触する内面に白金又はその合金からなる被覆層を備える肉厚の筒体である。
この被覆層は、好ましくは、白金や白金合金(白金−ロジウム合金、白金−イリジウム合金、白金−金合金)等からなり、その厚さは、100〜500μmのものが好ましい。被覆の形態は、ライニングのような薄板を張り合わせたものでも良く、溶射により形成されたものでも良い。特に、溶射による被覆は、厚さ制御を容易にしつつ均質な被覆を行う点で有利である。被覆層は、所定の基材上に形成されるものであるが、基材としては従来から適用されている電鋳煉瓦やデンスジルコン等の耐火物でもよいが、本発明においては、このような緻密質の耐火物を用いる必要はない。被覆層により溶融ガラスの侵食が抑制されているからである。そこで、基材としては、安価で入手が容易な焼結煉瓦を用いることができる。焼結煉瓦とは、アルミナ、シリカ、ジルコニアを主成分とするセラミック原料と適宜の結合材とを混練し成形した後、焼成することによって得られる煉瓦材料であり、電鋳煉瓦等よりも緻密性には欠けるが、高温での強度においては十分なものがある。また、緻密性が低いため熱伝導性も低くなり、溶融ガラスの熱を放出しにくいという利点もある。
ブッシングブロックの内面形状は、入口側面積と出口側面積とが等しいストレート形状のものでも良いが、出口側面積を大きくしたラッパ形状又は台形状としたものでも良い。出口側面積を増加させることで、ベースプレートのノズル設置数を増加させることができ、従来と同様の製造量を確保することができる。
ブッシングブロックへのベースプレートの固定方法については、特に限定されるものはないが、ブッシングブロック内面とベースプレートとで形成され、溶融ガラスを収容する空間の密閉性を維持できるようにすることが好ましい。また、ボルト等によりベースプレートをブッシングブロックへ直接固定しても良いが、フレーム等の締結部材を用いても良い。
本発明のブッシングブロック及びベースプレートは、通電加熱のための電極(ターミナル)を備える。ベースプレートへの通電加熱については、ブッシングへの通電加熱が従来から行われているところであり、電極の構成も同様のものが適用できる。一方、ブッシングブロックへの電極の形態としては、ブッシングブロックの表面(裏面)上を横断するもの、ブロックの内部貫通するもの等いずれでも良いが、貴金属皮膜に接触し、皮膜全体に通電できるものであれば良い。電極の材質としては、ガラス繊維製造装置が高温となることを考慮して、白金がより好ましい。各部の通電の方法としては、ブッシングブロック、ベースプレートのいずれかの1箇所の電極のみから装置全体に一括しても良い。この場合、ベースプレートとブッシングブロック(の被覆層)とが電気的に接続された状態で取り付ける必要がある。但し、このような通電方法では、各部の通電量に偏りが生じ温度制御が困難となるおそれがある。また、ベースプレート、ブッシングブロックに別々の通電用ターミナルを設置し、それぞれを通電することで高精度の温度制御が可能となる。このとき、ベースプレートとブッシングブロックとを電気的に絶縁状態で接続して通電することにより、各部の温度制御を行うことで制御精度を更に良好にすることができる。
本発明に係るガラス繊維製造装置は、スクリーンプレートを少なくとも1枚備えていても良い。スクリーンプレートとは、溶融ガラスの供給口からベースプレートまでの間に設けられ、溶融ガラスが通過する孔を多数備えた板体であって、溶融ガラスをろ過するものである。また、スクリーンプレートを通電加熱することで、通過する溶融ガラスの温度低下の抑制にも寄与することができる。スクリーンプレートは、その断面形状が平坦なストレート形状のものや、略V字形状、略W字形状をしたものが用いられる。また、その材質は、ベースプレート同様の白金、白金合金からなる。本発明でのスクリーンプレートの設置位置は、ベースプレートが固定されたブッシングブロックの上部分とするのが好ましく、構成によりその上にブッシングブロックを重ねることができる。また、その上に更にスクリーンプレートを設置しても良い。
以上説明したように、本発明は、ベースプレートとブッシングブロックとの組み合わせにより箱型形状を得るものである。これにより、従来のブッシングのような拘束が不要となり、これに基づく変形が抑制されている。また、本発明で適用されるブッシングブロックは、内面に耐久性の高い被覆層を備えることから、溶融ガラスへの異物混入が抑制されている。更に、本発明では、ブッシングブロック及びベースプレートを通電加熱することにより、溶融ガラスの温度低下を抑制し、ガラス繊維の効率的・安定的製造を可能とする。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るガラス繊維製造装置の構成を概略的に示すものである。図1においてガラス繊維製造装置は、2つのブッシングブロックと、ベースプレートを備える。そして、下段のブッシングブロックにベースプレートを固定することで箱型形状を形成する。
ベースプレートは、白金製の板材であり(寸法:750mm×300mm×1.5mm)、内径0.15mmのノズルを5000個備えるものである。その端部は曲げ加工されており、その先端に通電用のターミナルを備える。
図2は、本実施形態で使用したブッシングブロックの外観を示すものである。このブッシングブロックは、焼結煉瓦(商品名:M−1066、東芝セラミックス社製)を所定形状に成形し(寸法:500mm×250mm×50mm、穴部:300mm×50mm×50mm)、その内面にフレーム溶射法にて白金を溶射したものである。白金皮膜の膜厚は、250μmとした。溶射後、白金皮膜を研磨ヤスリで表面粗さRが20μmとなるように研摩処理をしている。そして、通電加熱のための電極が、ブッシングブロックの表面に白金膜をフレーム溶射法で部分的に形成されている。この電極の膜厚は500μmである。そして、端部に外部リードと接続するための白金板電極を溶接している。
本実施形態において、下段のベースプレートの上端部にはスクリーンプレートが固定されている。スクリーンプレートは、底部が平坦な略V字形状の白金製の板材であり、φ5mmの孔を多数有するものである。
図3は、ベースプレートとブッシングブロックとの固定構造の概略を示すものである。この実施例においては、略H字形状のホルダーを用いてベースブロックを固定する。ホルダーはステンレス製であり、上下の端部を屈曲させてブッシングロックに取り付け可能としている。また、下側の端部のボルトa、bによりベースプレートを固定する。尚、ベースプレート(フレーム)とブッシングブロックとは、セラミック製の絶縁材で絶縁されており、別々に通電可能としている。
本実施形態に係るガラス繊維製造装置によるガラス繊維の製造は、基本的には従来の工程と相違はなく、予め調製された溶融ガラスを流通させるものである。本実施形態における工程で従来と相違するのは、ベースプレートの固定を所定温度になった段階で行うこと、及び、ブッシングブロックについて通電加熱を行うことである。
ベースプレートの固定については、装置組み上げ時においては、仮固定を行う。その後、通電加熱し、ベースプレートの温度が1000℃程度の溶融ガラスが流れ込まない温度領域において増締めして固定する。これは、加熱前に固定を行うと、ベースプレートに熱膨張によるストレスが生じるからである。
ブッシングブロックの通電加熱は、供給電力を7kW(被覆層の断面積当たりの電流密度:10A/mm)とした。また、ベースプレートの通電加熱については、供給電力を30kW(被覆層の断面積当たりの電流密度:10A/mm)とした。
そして、本実施形態に係るガラス繊維製造装置により、ガラス繊維製造を1年間行った。この間、装置の各部位における変形は殆ど見られなかった。そして、1年間の装置稼動後、装置をシャットダウンして内部検査を行ったところ、ブッシングブロックの白金溶射膜が形成された内面は清浄な面を呈していた。
装置稼動の間におけるガラス繊維の断線率を追跡したところ、平均した断線率は2%であった。これは、従来の装置による断線率60%改善されており、この改善は白金皮膜による不純物溶解の抑制と、通電加熱による溶融ガラスの温度維持により生じたものと考えられる。
本実施形態におけるガラス繊維製造装置の構成を示す図。 本実施形態で製造したブッシングブロックの外観を示す図。 ベースプレートのブッシングブロックへの固定構造を示す図。 従来のガラス繊維製造装置の構成を示す図。

Claims (3)

  1. 溶融ガラスを流通させてガラス繊維を製造する装置において、
    溶融ガラスとの接触面に、白金又はその合金からなる被覆層を備える少なくとも一つのブッシングブロックと、
    前記ブッシングブロックの下端に固定されるベースプレートと
    溶融ガラスの供給口からベースプレートまでの間に少なくとも1枚のスクリーンプレートと、
    前記ブッシングブロック及び前記ベースプレートのいずれか又は全てを通電加熱する少なくとも一つの通電手段とを備え、
    前記ベースプレートは、複数のノズルが形成された、白金又は白金合金からなる厚さ1.0〜2.0mmの板材のみからなるものであり、
    前記ベースプレートは、前記ブッシングブロックの少なくとも開口部分まで平坦であり、ブッシングブロックとの組み合わせにより箱型形状を形成するようになっている、ガラス繊維製造装置。
  2. 通電加熱手段は、スクリーンプレートを通電加熱可能である請求項1記載のガラス繊維製造装置。
  3. 被覆層の厚さが、100〜500μmである請求項1又は請求項2記載のガラス繊維製造装置。
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