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JP5124482B2 - 生体高分子炭化物 - Google Patents
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JP5124482B2 - 生体高分子炭化物 - Google Patents

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Description

本発明は電気化学キャパシタにおける電極材料として適した、生体高分子炭化物および海藻炭化物に関連する。
電気化学キャパシタとは、電極/電解質界面の電気二重層内における荷電化学種の分離によって電気エネルギーを貯蔵する素子である。そのようなキャパシタの電極は、広い電位範囲にわたって、導電性を有し、且つ電気化学的には不活性でなければならない。さらには、多数回の充電/放電サイクルの後にも、キャパシタとしての挙動が著しく劣化してはならない。容量が前記の電極/電解質界面の面積に比例するために、広い表面積を有する電極材料が望まれている。活性炭は、表面積が広く、高い導電性を有するので、電気化学キャパシタ用電極材料として最も広く用いられている。炭素とともに、活性炭はヒドロキシ、カルボニル、カルボキシル、キノン、およびエーテル基等の官能基中の化学的に結合した少量の酸素と水素を含んでいる。
一般に、活性炭は炭質材料のガス活性化によって得られる。前記材料は、酸化ガス、あるいは酸化ガス、例えば水蒸気もしくは二酸化炭素の混合物を含む雰囲気中で800℃から1000℃の温度範囲で処理される。前記の活性化工程は、非常に吸熱性である。活性化の間に、前記の炭質材料の一部は分解され、多数の微細な孔もしくは亀裂を生じる。もう一つの方法は、一般に化学活性化として知られ、苛性カリ溶液、リン酸、もしくは塩化亜鉛などの脱水剤を使用し、前記脱水剤が、おがくず、ピート、セルロース、もしくは植物由来のバイオマス(EP0329251号参照) 等の炭素前駆体に添加される。温度範囲400℃から1000℃での炭化の後、活性剤を除去し、多孔質炭素材料が得られる。
活性炭の広い表面積は、直径数ナノメートルの多数の孔に付随するものであり、全てが電解質に接することができるわけではない。それゆえに、電極の表面積を広くすることによって得られる容量を増加するのには限度がある。さらには、電極材料に孔が多いと、その導電性と密度が減少する。体積比容量は電極材料の密度に直接比例するため、小型で高集積のエネルギー貯蔵素子の実現には、密度を高めることが前提条件である。
電気化学的二重層全域での純粋な静電引力に伴ってさらなるファラデー電極反応が生じれば、電気化学キャパシタ内に貯蔵できる電荷の量が著しく増加する。ファラデー電極反応に起因する全容量への寄与は、一般に疑似容量として参照される。典型的な疑似容量性(即ち、ファラデー)電極反応は、たとえば水素または金属吸着原子の電子吸収、あるいは電気活性種の酸化還元反応である。この効果に基づく電気化学キャパシタは一般にスーパーキャパシタ、又は疑似容量キャパシタとして参照される。
一般に、導電性高分子または遷移金属酸化物などの電気活性種の添加によって炭素電極の容量を増加することは可能である。しかしながら、導電性高分子の電気化学的挙動はしばしば充電と放電の繰り返しでの著しい劣化を引き起こし、二酸化ルテニウムなどの大きな疑似容量をもたらす遷移金属酸化物は高価である。
疑似容量を増加させた炭素ベースの電極材料を得る代替手段は、電極表面での電気活性種(表面官能基)の形成である。一例を挙げると、酸素原子または窒素などの他のヘテロ原子を含む官能基(例えばヒドロキシ、キノン、カルボニル、カルボキシルおよびエーテル)は、ファラデー酸化還元反応を受けることができ、結果として疑似容量が得られる。そのような表面改質は、炭素電極表面の酸またはプラズマ処理で引き起こすことができる。しかしながら、この手法で得られる表面改質は、充電/放電サイクルに対して不安定である。酸素を含む幾つかの表面官能基を有する炭素材料を得るためのもう一つの方法は、上記の活性化プロセスである。
EP0490317号は、1〜5質量%の窒素と、3〜30質量%の酸素と、40〜95質量%の炭素を含み、1.5〜3.0nmの平均孔径を有するが、但し、間孔が孔の体積の合計の少なくとも50体積%を占める活性炭材料を開示している。前記の材料は、過酸化水素、ヒドラジン、または4級アンモニウム塩、有機酸、硫黄を含む化合物や同種類の物のような、水汚染物質分解用の触媒として有用である。電気化学キャパシタへの応用は開示されていない。
EP0490317号による活性炭材料は、蛋白質または蛋白質含有スラッジまたは蛋白質を含む屑材料に、炭化およびそれに続く活性化を含む処理を行うことで製造することができる。活性炭材料の製造に用いられる蛋白質および蛋白質含有スラッジまたは屑材料の例としては、イーストなどの酵母、クロレラおよび同種類のもの、バクテリアなどの微生物の蛋白質、藻類、ビールもしくは薬剤を作るための酵母発酵段階で得られる微生物の屑材料、アミノ酸発酵作業などで得られる発酵残渣、産業排水、排泄物、一般排水の処理に使われる生物活性化スラッジの残りとして得られるスラッジが挙げられている。さらには、魚、動物の肉および血液などの動物性蛋白質、マメ、たとえばダイズおよびダイズ脂肪、小麦や米の胚芽などの植物性蛋白質が使用可能である。そのような安価な出発原料の使用は、経済的に非常に優位性がある。
炭化処理は、空気、窒素、ガス状の二酸化炭素あるいはそれらの混合ガスが導入され、150℃から600℃の温度範囲で数分から数時間行われる。炭化の間、粉末化された出発材料の融着を避けるように気をつけなければならない。なぜならば、その場合、そこに設計されたとおりの所望の孔が形成された生成物を得ることが難しくなるからである。本炭化処理の後、主に水蒸気、ガス状の二酸化炭素、酸素を含む雰囲気中で、700℃から1100℃の温度範囲で数分から数時間の活性化処理が行われる。
EP0490317号では、炭素材料の特許請求された組成と孔組織は、炭化とその後の活性化工程の結果として得られることが指摘されている。それゆえに、EP0490317号に開示されている炭素材料を製造するにあたり活性化工程が不可避である。
活性化はエネルギーと時間を消費する工程であるため、EP0490317号で特定される範囲で酸素および窒素を含有する炭素材料を活性化なしで得ることが望まれる。
驚くべきことに、ヘテロ原子の豊富な一定の生体高分子は、追加の活性化なしに一段の炭化工程で、大量のヘテロ原子含有表面官能基を有する炭素材料に変換できることが判明した。それらの生体高分子炭化物の比表面積は比較的小さいものの、それらは高い重量比容量と体積比容量を示し、それゆえに水性あるいは有機電解質を用いる電気化学キャパシタの電極材料として非常に適している。
したがって本発明は、少なくとも6原子%のヘテロ原子(即ち、炭素と水素以外の原子)の含有率を含む、ファラデー電極反応に関連する生体高分子炭化物を提供する。
好ましくは、前記の生体高分子炭化物は少なくとも6原子%の酸素含有率を有するか、窒素と酸素の含有率の合計が少なくとも8原子%を有する。それらの生体高分子炭化物の重量比容量は、100F/gより上に達してよい。好ましくは、体積比容量は少なくとも100F/cm3である。
さらには、本発明はそれらの生体高分子炭化物を得るための製造方法を提供する。
本発明によれば、前記生体高分子炭化物の前駆体は、ヘテロ原子の含有率の高い生体高分子であって、炭化材料の中に残っている大量のヘテロ原子を伴って、一段の工程で、比較的低い温度(800℃以下)で炭化させることができる生体高分子である。本発明に適した生体高分子では、炭化は通常、重量損失と関連する異なる温度水準でのいくつかの分解段階によって広い温度範囲にわたっている。低い温度水準では、熱誘起性の脱水および脱カルボキシル化のような分裂プロセスが生じ、高い温度水準では、前記高分子のさらなる熱分解が起きる。所望のヘテロ原子含有率を有する生体高分子炭化物を実現するためには、生体高分子の熱誘起性の重量損失が起きる最高温度水準より低い温度で炭化が行われることが重要である。前記の適した温度範囲は、熱重量分析で見積もることができる。通常、本発明の前駆体は、不活性雰囲気中、550℃から800℃の間の温度で、数時間、たいていは3時間前後で炭化される。
本発明に適した生体高分子の炭化挙動と比べて、セルロースのような酸素を多く含む他の生体高分子があるが、それは炭化によって、本発明による酸素を多く含む(即ちヘテロ原子を多く含む)生体高分子炭化物を形成しない。なぜならば、それらは狭い温度範囲で分解するからである。たとえばセルロースは300℃から350℃の狭い温度範囲で分解し、セルロース前駆体が40から50原子%の酸素含有量を有していたにもかかわらず、最終的には酸素含有量の少ない(5原子%以下)木炭になる。それらの生体高分子は本発明の前駆体には適さない。
本発明による生体高分子の炭化は一段の工程で行われ、前記の先行技術から知られるガスによる次の活性化を必要とせず、いかなる化学的な活性剤も必要としない。それゆえに、EP0329251号とEP0490317号に開示される炭素材料とは異なり、本発明の生体高分子炭化物は活性炭材料の類に属さない。
海藻、特に紅藻、褐海藻あるいは寒天植物に含まれるいくつかの生体高分子が本発明の炭素材料用の前駆体に非常に適していることが判明した。そのような生体高分子の例は、アルギン酸、アルギン酸塩、寒天、カラギーナン(イオータおよびカッパ)であり、それらは市販である。
前記の高分子は炭化の前に海藻から抽出される。選択的に、そのような高分子を含む生の海藻は、生体高分子を先に抽出せずに、前駆体として直接使うことができる。したがって、カラギーナンを多く含むハイプネア・マスシフォーム(Hypnea Musciforme)などの紅藻、またはアルギン酸塩を多く含むレッソニア・ナイグレセント(Lessonia Nigrescents)などの褐海藻、または寒天を多く含む海藻の炭化によって、電気化学キャパシタの電極材料として適した生体高分子炭化物が作製される。本発明の生体高分子炭化物に至る経路で、抽出工程が省略されているため、経済的な理由から非常に好ましい。
生体高分子の他の適した前駆体はキチンである。
前記の生体高分子炭化物あるいは海藻炭化物は、前記の生体高分子炭化物あるいは海藻炭化物と適した結合剤との混合物から前記混合物を集電極上でキャスティングするか、前記混合物を所望の形状に加圧成形して集電極に組み合わせることによって電極に成形することができる。しかしながら、活性炭からの電極作製と、そのような電極を含む電気化学キャパシタの組み合わせは、当技術分野で知られており、同一の技術が本発明の生体高分子炭化物と海藻炭化物に用いられる。したがって電極作製に関するさらなる詳細は必要とされない。
本発明の生体高分子炭化物あるいは海藻炭化物の重量比容量は少なくとも100F/gであり、好ましくは180F/gより高い。通常、電気化学キャパシタ内で使用される市販の活性炭では一般に200F/g未満が得られている。それにもかかわらず、重量比容量が技術水準の活性炭をいくらか下回る本発明の生体高分子炭化物あるいは海藻炭化物についてさえも、エネルギーと時間がかかる活性化工程を避けられるという、より容易な作製上の大きな利点がある。
活性炭を超える他の有意な利点は、本発明の生体高分子炭化物および海藻炭化物の孔の体積がより低いことであり、これは高密度につながり、それゆえに高い体積比容量が得られる。
有意な疑似容量は、本発明の生体高分子炭化物あるいは海藻炭化物で作られる電極の大きな全容量に寄与することが想定される。酸素または他のヘテロ原子を含む表面官能基の量が多いことは、電気化学的挙動の疑似容量(ファラデー)特性の原因であると想定されている。XPS法で検知された前記の生体高分子炭化物と海藻炭化物のヘテロ原子含有率は少なくとも6原子%である。いくつかの好ましい生体高分子炭化物は、酸素含有率が少なくとも6原子%、または窒素と酸素含有率の合計が少なくとも8原子%である。好ましくは、酸素含有率は少なくとも8原子%である。
疑似容量の寄与は、電極表面面積があまり広くない、即ち多孔性があまり進展していないときでも、大きな全容量をもたらす。本発明での生体高分子炭化物と海藻炭化物のほとんどは、窒素吸着測定から得られたBET比表面積は技術水準の活性炭のBET比表面積の1/10から半分の間である。孔は主に0.7nm以下の径の超ミクロ細孔である。
低い比表面積にもかかわらず、ほとんどの生体高分子炭化物と海藻炭化物の重量比容量は、技術水準の活性炭の大きさと同じオーダーである。
活性炭と比較して孔の体積が小さいので、本発明の生体高分子炭化物と海藻炭化物はより高い密度を有しており、それゆえに体積比容量が高く、より小型で高集積のエネルギー貯蔵素子を可能にする。本発明の生体高分子炭化物あるいは海藻炭化物を用いて、少なくとも100F/cm3の体積比容量が得られた。技術水準の活性炭での体積比容量は100F/cm3未満であり、それは活性炭の孔の体積が大きいことに起因する低密度のためである。
本発明の生体高分子炭化物あるいは海藻炭化物を含む電極を用いたキャパシタの反転充電の電池の電圧の最大値は、水性の酸性電解質中で1.0Vである。それに対し、市販の活性炭電極では最高電位は0.6から0.7Vの間しかない。高い最高電圧の結果として、本発明の生体高分子炭化物あるいは海藻炭化物に基づく電気化学キャパシタに蓄積され得るエネルギーの量は、技術水準の活性炭よりも高い。実際に、本発明の生体高分子炭化物と海藻炭化物を用いて、8Wh/kgより高い重量比エネルギー密度が達成された。
本発明の生体高分子炭化物と海藻炭化物のほとんどでは、数千回の充電/放電サイクルによって、容量は著しく劣化せず、したがって電気化学キャパシタにおける応用への他の重要な前提条件に適合している。
本発明の生体高分子炭化物と海藻炭化物は、有機(即ち非水性の)電解質を用いた電気化学キャパシタにも用いることができる。
電気化学キャパシタへの応用の他に、技術水準の活性炭の少なくとも45%のBET比表面積を示すこれらの生体高分子炭化物と海藻炭化物は、少なくとも、活性炭の典型的な他の技術応用に適している。それらの応用は、ガス吸着、ガス貯蔵、ガス(例えば空気)の分離あるいは浄化、水の浄化などに関連している。
本発明のさらなる特徴、詳細、利点、別形は、以下の図を参照して、下記の好ましい実施態様の記述内で説明される:
図1は、本発明によって炭化され得る生体高分子の典型的な前駆体の熱重量分析結果を示す
図2は、本発明による生体高分子炭化物から作製される2つの電極を有するキャパシタのサイクリックボルタモグラムを示す
好ましい実施態様
生体高分子前駆体
海藻から抽出された、酸素を多く含む複数の市販の生体高分子(アルギン酸塩、カラギーナン、表1参照)を炭化させた。アルギン酸は褐海藻から生成された。カラギーナンは紅藻のアルカリ抽出(および改質)から生成する多糖類の集合名である。
さらには、それらの生体高分子を多く含有する複数種の海藻を直接炭化させた。レッソニア・ナイグレセント(Lessonia Nigrescents)はアルギン酸を多く含む海藻であり、ハイプネア・マスシフォーム(Hypnea Musciforme)とメリストテカ・セネガレンシス(Meristotheca Senegalensis)はカラギーナンを多く含んでいる。
他の有望な生体高分子の前駆体はキチンである。キチンは、N−アセチル−D−グルコサミンの非分枝の高分子である。それは菌類と海藻内に見られ、節足動物と下位動物の外骨格、たとえば昆虫、カニ、エビの外殻の主成分である。それはセルロース誘導体とみなされており、それぞれのグルコース単位の2番目の炭素のヒドロキシル基がアセトアミド基(−NH(C=O)CH3)で置き換えられている。
比較材料
比較のために、日本企業カンサイの市販の活性剤マックスソーブ(Maxsorb)が調査された。マックスソーブは、2500m2/gという高いBET比表面積を有するミクロ細孔質で、一般に電気化学キャパシタ用として最も高性能な活性炭材料のひとつであるとみなされている。
炭化挙動
それぞれの前駆体の炭化温度を表1に示す。炭化はアルゴン或いは窒素雰囲気中で3時間行われた。炭化の後、前記の炭化材料を、最初に5 mol/lの塩酸で、次に蒸留水で洗浄した。
本発明の炭化工程用前駆体として適した生体高分子の典型的な炭化挙動の一例を示すために、アルギン酸ナトリウムの熱重量分析結果を図1に表す。不活性ガスフロー中の熱重量分析(TGA)器を質量分析器と接続した。温度の関数としての異なる質量損失プロセスは、揮発性成分の発生に関連している。200℃までの小さな質量損失は、吸着水の脱離と関連付けられる。250℃付近の顕著な質量損失は水蒸気および二酸化炭素の発生に付随し、それぞれ材料の脱水と脱カルボキシル化に対応している。350℃から500℃、そして700℃から900℃の間の、次の2つの熱誘起性質量損失は、高分子のさらなる熱分解によるものである。熱誘起性質量損失の最終段階内で、一酸化炭素の著しい放出が起き、これはキノン基の分解に関連するものである可能性がある。キノン基は、疑似容量のためのファラデー酸化還元反応に必要とされるので、それらの分解は避けなければならない。それゆえに、アルギン酸ナトリウムとアルギン酸を多く含む海藻の炭化を、アルゴンガスフローを用い、チューブ炉で600℃にて実施した。
カラギーナンの炭化挙動は定性的に、似たパターンではあるが、多少高温側にシフトしている。それゆえに、カラギーナンおよびカラギーナンを多く含む海藻の炭化は750℃で実施した。
比表面積と多孔性
表1に示されるBET比表面積から結論づけられるように、本発明の生体高分子炭化物と海藻炭化物の多孔性は、技術水準の活性炭ほど進展していない。それというのも、BET法で測定された比表面積の値は活性炭の10から15%の間しかないからである。
生体高分子炭化物と海藻炭化物は、自然界で超ミクロ細孔質である。
多孔性に関しては、IUPACによって開発された定義が適用される、即ち、直径2nmより小さい孔がミクロ細孔、直径2nmから50nmの孔がメソ細孔、50nm以上の孔がマクロ細孔とされる。
孔組織の評価は、77Kでの窒素と273Kでの二酸化炭素の2つの異なるガス吸着を用いて行われた。窒素吸着等温線は、大きい範囲のミクロ細孔(直径0.7nmより上)とメソ細孔(すべての範囲)と関連づけられ、二酸化炭素の等温線は超ミクロ細孔(直径0.7nm以下)と関連づけられる。概して、窒素吸着から得られた孔の体積は、全体のミクロおよびメソ細孔の多孔性に対応し、二酸化炭素吸着等温線から得られた孔の体積は超ミクロ細孔の多孔性に対応する。
ほとんどの場合において、二酸化炭素吸着等温線から得られた値はBET等温線から得られた値と近いか、それより大きい。したがって、ほとんどの孔は直径0.7nmぐらいかそれより下の超ミクロ細孔に属している。
生体高分子炭化物のいくつか(カラギーナン炭化物、カラギーナンを多く含む海藻の炭化物)では、BET比表面積は技術水準の活性炭の45%より大きい範囲であった。顕著な超ミクロ細孔と合わさって、この高い比表面積は、これらの材料に他の典型的な活性炭用途に対する適性を与える。それらの用途は、ガス吸着、ガス貯蔵、ガス(たとえば空気)の分離と浄化、水の浄化の分野と関連する。
酸素と窒素の含有率
XPS分析によって検出された、酸素と窒素の含有率の値を表1に示す。著しい量の窒素を含まないこれらの生体高分子炭化物(アルギン酸とカラギーナン)では、酸素含有量は6原子%より多い。両方の種類のヘテロ原子を含む生体高分子炭化物と海藻炭化物では、それらの含有量の合計は8原子%より多い。したがって、すべての生体高分子炭化物と海藻炭化物は、技術水準の活性炭であるマックスソーブより高いヘテロ原子含有率を示している。マックスソーブは、4.2%の酸素のみを含み、窒素は含んでいない。
ヘテロ原子の含有率がより高い結果、下記に示されるように、疑似容量が全容量へ著しく寄与する。しかしながら、その容量は酸素および窒素の含有量と直接的には相関しない。疑似容量の寄与と関連するヘテロ原子の数の影響の他に、比電極面積に大きな変化が生じることで、全容量への純粋に静電気的な寄与の相応する広いバリエーションをもたらす。全容量はヘテロ原子の数に関連する疑似容量の寄与と、電極表面積に影響される純粋に静電気的な寄与の両方から決定される。
電気化学的挙動
前記の生体高分子炭化物あるいは海藻炭化物と結合剤(PVDF 10質量%)の混合物を面積1cm2の平坦なペレットに加圧成形し、電極を製造した。2つの電極が対称になったキャパシタを、電解質としての1mol/lのH2SO4を用いて、ガラス繊維から成るセパレータ、金から成る集電極とともに組み立て、一般に電気化学キャパシタの試験に適用されるいくつかの電気化学的技術を用いて調査した。
図2は、アルギン酸ナトリウム炭化物から作製した2つの電極を有するキャパシタを、1mol/lのH2SO4内でスキャン速度2mV/sおよび100mV/sで測定したサイクリックボルタモグラムを示す。前記のサイクリックボルタモグラムは2電極法で記録された。0から1.0Vの間の電圧領域における、2mV/sでの基本的に矩形のサイクリックボルタモグラム曲線が典型的な容量性および反転性の挙動である。0.4Vより低い電圧での還元掃引中の小さい隆起の存在は、前記材料の電気化学的挙動に寄与する複数のファラデー電流の酸化還元プロセスを表している。XPSで検出された多量の酸素は、疑似容量(ファラデー電流)挙動の原因とみなされる。図2は、前記材料の容量性の挙動が100mV/sの速い掃引でも再現されることも示しており、これは速い電荷移動を確信するのに十分な高い導電性を表している。導電性が高いために、導電性の添加剤なしで前記の電極を作製することができる。
0Vから最高電圧1.0Vの間での同じキャパシタの定電流サイクリングは、ほぼ対称性の充電/放電曲線(図2の挿入図)で容量性の挙動を実証している。線形性からのわずかなずれは、疑似容量寄与の典型である。
表1に与えられる、他の生体高分子炭化物あるいは海藻炭化物を含むキャパシタのサイクリックボルタモグラムと定電流サイクリング曲線は、図2に示されるアルギン酸ナトリウム炭化物を含むキャパシタのものと非常に類似している。
容量Cは、以下の式によってサイクリックボルタモグラムより計算された
Figure 0005124482
ここで、iは矩形領域での電流であり、νはサイクリックボルタモグラムが記録されたときの掃引速度(電圧の時間に伴う変動値dE/dt)である。
しかしながら、疑似容量挙動がサイクリックボルタモグラムの矩形の形状から著しくずれている場合においては、ファラデー反応に関連する隆起が存在する。したがって、高精度化のため、以下の式により、容量Cが定電流サイクリングの実験から計算された
Figure 0005124482
ここで、iは電極を充電する電流であり(生体高分子炭化物または海藻炭化物1gあたり)、dEは充電している間の電圧変化であり、dtは充電の継続時間である。定電流サイクリングの実験で、200mA/gの電流iが印加され、0から1.0Vの間の電圧Eが繰り返された。
重量比容量は、アルギン酸炭化物での102F/gと、レッソニア・ナイグレセント(Lessonia Nigrescents)の炭化物での255 F/gとの間であった。技術水準の活性炭の重量比容量は180F/gであり、これは同じ範囲内であるが、前記の活性化工程の結果として得られたものであり、本発明ではこの活性化工程は省略される。
表1より、生体高分子炭化物と海藻炭化物の容量は比表面積に相関していないことがわかる。最も低い重量比容量を有する生体高分子炭化物であるアルギン酸炭化物はマックスソーブの10%の比表面積しか有していないが、マックスソーブの50%以上の重量比容量に達する。最も高い体積比容量(マックスソーブの約40%)を有するレッソニア・ナイグレセント(Lessonia Nigrescents)の炭化物は、マックスソーブの約1/3程度の比表面積しか有さない。最も大きい比表面積を有する生体高分子炭化物と海藻炭化物(カラギーナン炭化物とカラギーナンを多く含む海藻の炭化物)は、比表面積が活性炭の半分しかないにもかかわらず、マックスソーブの少なくとも2/3の前記の容量に達する。
容量と比表面積の間の相関がないことは、容量の著しい寄与が純粋に静電気的な二重層の充電に起因しているわけではなく、含まれているヘテロ原子のファラデー酸化還元反応に起因しているというさらなる指標である。
前記の体積比容量は、重量比容量と電極密度との乗算で得られた。前記の密度は電極の質量と電極の幾何学的寸法によって定義された体積から計算された。孔の体積が小さいので、本発明の生体高分子炭化物あるいは海藻炭化物から成る電極の密度は、活性炭の密度より大きい。たとえば、アルギン酸ナトリウムの炭化物から成る電極の密度は0.91g/cm3であり、一方でマックスソーブから成る電極の密度は0.47g/cm3しかない。
技術水準の活性炭を下回る重量比容量の生体高分子炭化物と海藻炭化物でさえも、活性炭のそれよりも非常に高い体積比容量を示していることに気づくことが重要である。体積比容量は、ある一定量の電荷、ゆえにエネルギーの蓄積用に設計された容量素子の寸法に対して決定的な要因であるため、これは主要な利点である。したがって本発明の生体高分子炭化物あるいは海藻炭化物によるマックスソーブの置き換えにより、同一量のエネルギー貯蔵に対して、より小さい容量素子が可能になるか、あるいは寸法を大きくしないでより多くの量のエネルギーを素子に貯蔵することが可能になる。
本キャパシタの反転充電のための最大セル電圧は、試験されたすべての生体高分子炭化物と海藻炭化物で1.0Vに達した。それに対して、マックスソーブでは0.7Vの最高電圧しか印加できなかった(表1)。動作電圧の最高値は電解質の領域の安定性によって決定され、水性の電解質では理論的には1.23Vである。しかしながら、電極の性質に応じて、実験的な値は多かれ少なかれ、1.23Vとは異なることもある。活性炭では、それは一般的に水性媒体内において0.6から0.7Vの間である。
キャパシタに蓄積された電極材料の単位重量あたりの電気エネルギーの量E(重量比エネルギー密度)は、以下の式によって容量Cと電圧Vに比例する:
Figure 0005124482
より高い最高電圧の結果として、本発明の生体高分子炭化物を含むキャパシタ内に蓄積され得るエネルギーの量は、技術水準の活性炭よりも高い(表1参照)。
充電/放電サイクルの繰り返し(10000サイクルまで)で、生体高分子炭化物あるいは海藻炭化物のキャパシタは、著しい容量損失を示さなかった。たとえば、アルギン酸ナトリウム炭化物のキャパシタでは、10000サイクルの後で、最大でも初期容量の15%の損失であり、本キャパシタが長寿命であることを表している。
Figure 0005124482
本発明によって炭化され得る生体高分子の典型的な前駆体の熱重量分析結果を示す図である。 本発明による生体高分子炭化物から作製される2つの電極を有するキャパシタのサイクリックボルタモグラムを示す図である。

Claims (29)

  1. アルギン酸、アルギン酸塩、寒天、イオータカラギーナン、カッパカラギーナン、およびキチンからなる群から選ばれた少なくとも1種の生体高分子をいかなる活性化処理をも行わないで炭化することにより得られ、かつ生体高分子炭化物内でのヘテロ原子の含有率が少なくとも6原子%であることを特徴とする、導電性を有する生体高分子炭化物。
  2. 生体高分子炭化物内の酸素含有率が少なくとも6原子%であることを特徴とする、請求項1に記載の生体高分子炭化物。
  3. 生体高分子炭化物内の窒素および酸素含有率の合計が少なくとも8原子%であることを特徴とする、請求項1に記載の生体高分子炭化物。
  4. 生体高分子炭化物の重量比容量が少なくとも100F/gであることを特徴とする、請求項1に記載の生体高分子炭化物。
  5. 生体高分子炭化物の体積比容量が少なくとも100F/cm3であることを特徴とする、請求項1に記載の生体高分子炭化物。
  6. 生体高分子が海藻内に含まれる生体高分子であることを特徴とする、請求項1に記載の生体高分子炭化物。
  7. 海藻が、紅藻、褐海藻あるいは高寒天の海藻(寒天植物)である、請求項6に記載の生体高分子炭化物。
  8. 海藻がレッソニア・ナイグレセント、メリストテカ・セネガレンシス、ハイプネア・マスシフォームを含む群の一つであることを特徴とする、請求項6に記載の生体高分子炭化物。
  9. アルギン酸、アルギン酸塩、寒天、イオータカラギーナン、カッパカラギーナン、およびキチンからなる群から選ばれた少なくとも1種の生体高分子を含む海藻をいかなる活性化処理をも行わないで炭化することにより得られ、かつ海藻炭化物内のヘテロ原子の含有率が少なくとも6原子%であることを特徴とする、導電性を有する海藻炭化物。
  10. 海藻炭化物内の酸素の含有率が少なくとも6原子%であることを特徴とする、請求項に記載の海藻炭化物。
  11. 海藻炭化物内の窒素と酸素の含有率の合計が少なくとも8原子%であることを特徴とする、請求項に記載の海藻炭化物。
  12. 海藻炭化物の重量比容量が少なくとも120F/gであることを特徴とする、請求項に記載の海藻炭化物。
  13. 海藻炭化物の体積比容量が少なくとも100F/cm3であることを特徴とする、請求項に記載の海藻炭化物。
  14. 海藻が、紅藻、褐海藻あるいは高寒天の海藻(寒天植物)である、請求項に記載の海藻炭化物。
  15. 海藻がレッソニア・ナイグレセント、メリストテカ・セネガレンシス、およびハイプネア・マスシフォームを含む群の一つであることを特徴とする、請求項に記載の海藻炭化物。
  16. 2つの電極と、それらの電極の間にセパレータによって区切られた水性又は非水の電解質を含む電気化学キャパシタであって、電極の少なくとも一つが請求項1からまでのいずれか1項に記載の生体高分子炭化物、又は請求項10から1までのいずれか1項に記載の海藻炭化物を含有することを特徴とする電気化学キャパシタ。
  17. 両方の電極が、請求項1からまでのいずれか1項に記載の生体高分子炭化物、又は請求項10から15までのいずれか1項に記載の海藻炭化物を含有する、請求項16に記載の電気化学キャパシタ。
  18. 電解質が水性の電解質であり、且つ水性電解質内でキャパシタを可逆的に充電するための最大電圧が1Vであることを特徴とする、請求項17に記載の電気化学キャパシタ。
  19. 請求項1に記載される生体高分子炭化物の製造方法において、最高800℃の温度での不活性雰囲気中での一段炭化工程において、アルギン酸、アルギン酸塩、寒天、イオータカラギーナン、カッパカラギーナン、およびキチンを含む群から選ばれた少なくとも1種の生体高分子の炭化を含む方法。
  20. 熱重量分析によって検出される生体高分子の熱誘起性質量損失の最高温度水準より低い温度で炭化を行う、請求項19の方法。
  21. 炭化を550℃から800℃の間で行う、請求項19の方法。
  22. 生体高分子が海藻から抽出される生体高分子である、請求項19の方法。
  23. 海藻が、紅藻、褐海藻あるいは高寒天の海藻(寒天植物)である、請求項22の方法。
  24. 海藻がレッソニア・ナイグレセント、メリストテカ・セネガレンシス、およびハイプネア・マスシフォームを含む群の一つである、請求項22の方法。
  25. 請求項に記載の海藻炭化物の製造方法において、最高800℃の温度での不活性雰囲気中での一段炭化工程において、アルギン酸、アルギン酸塩、寒天、イオータカラギーナン、カッパカラギーナン、およびキチンを含む群から選ばれた少なくとも1種の生体高分子を含む海藻の炭化を含む方法。
  26. 熱重量分析によって検出される海藻の熱誘起性質量損失の最高温度水準より低い温度で炭化を行う、請求項25の方法。
  27. 炭化を550℃から800℃の間の温度で行う、請求項25の製造方法。
  28. 海藻が、紅藻、褐海藻あるいは高寒天の海藻(寒天植物)である、請求項25の方法。
  29. 海藻がレッソニア・ナイグレセント、メリストテカ・セネガレンシス、ハイプネア・マスシフォームを含む群の一つである、請求項28の方法。
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