JP5126840B2 - 帯電防止性樹脂組成物およびそれからなるフィルム - Google Patents
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Description
本発明におけるポリステル重縮合体(A)は、主たる繰り返し単位の90モル%以上がエチレンテレフタレートである。すなわち、カルボン酸成分の90モル%以上がテレフタル酸あるいはそのアルキルエステルからなり、またグリコール成分の90モル%以上がエチレングリコールからなる。エチレンテレフタレート単位が90モル%以上であれば特に制限されることなく用いることができ、フィルム成形品の特性を維持できる範囲で他のカルボン酸成分やグリコール成分を用いて改質することができる。エチレンテレフタレート単位が90モル%以上であると、特にフィルムなどの成形品では延伸による配向結晶化が維持できるので、寸法安定性に優れかつ耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
本発明の組成物における最も重要な成分であるポリエステル重縮合体(B)は、少なくとも一成分として脂環式炭化水素基を有するモノマー成分を含有するものである。従来より、帯電防止性能を付与するためには親水性を持ったポリオキシアルキレン基を含有させること等が一般的であったが、本発明においては、それ自体全く親水性も帯電防止性能も持たない脂環式炭化水素基を有するモノマー成分を含有したポリエステル重縮合体(B)を、後述するイオン液体(C)と併用することにより、帯電防止性能、特に表面抵抗率を大きく向上させることができる。
イオン液体(C)とは、カチオンと、アニオンとから構成される塩であって、800℃程度の融点を有する一般的な無機塩に比べて比較的低温で液体状態になり、融点が−90℃〜100℃の塩をいう。かかるイオン液体は、不揮発性、低粘度という特徴に加えて、非プロトン性のイオン構造に基づく高い極性により有機化合物及び無機化合物に対して優れた溶解力を有するという特徴がある。
イオン液体の合成方法としては、アニオン交換法や酸エステル法、中和法等の方法を採用することができる。
炭素数1〜25のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられ、また炭素数1〜25のアルコキシ基としては、上記アルキル基に酸素原子が結合して形成されるアルコキシ基(例えば、メトキシ基)が例示できる。炭素数6〜25のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、p位がフッ素原子又は塩素原子で置換されたフェニル基、3,4位が塩素原子で置換されたフェニル基、m位がトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基等が挙げられる。炭素数6〜25のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、芳香環の3,4位が塩素原子で置換されたベンジル基等が挙げられる。
R1としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。R3としては、炭素数2〜18のアルキル基が好ましく、炭素数2〜12のアルキル基がより好ましい。R2、R4及びR5としては、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
(1)ポリエステル重縮合体(A)、ポリエステル重縮合体(B)のペレットをヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ロッキングミキサー等の混合機で混合した後、単軸あるいは二軸混練機にて溶融混合し、イオン液体(C)を投入口より適当な配合比で添加して混練する方法。
(2)ポリエステル重縮合体(A)の重縮合工程の途中あるいは重縮合終了後に、イオン液体(C)を添加してペレット状樹脂組成物を得た後、別に重縮合にて得られたポリエステル重縮合体(B)のペレット状樹脂組成物と該樹脂組成物を混合機で混合した後に、溶融混合して帯電防止性樹脂組成物を得る方法。或いは、成形物の成形段階で両ペレットを溶融混合して成形物を得る方法。
(3)ポリエステル重縮合体(B)の重縮合工程の途中あるいは重縮合終了後に、イオン液体(C)を添加してペレット状樹脂組成物を得た後、別に重縮合にて得られたポリエステル重縮合体(A)のペレット状樹脂組成物と該樹脂組成物を混合機で混合した後に、溶融混合して帯電防止性樹脂組成物を得る方法。或いは、成形物の成形段階で両ペレットを溶融混合して成形物を得る方法。
(1)本発明の帯電防止性樹脂組成物ペレットを押出機にて溶融し、別の押出機にて溶融したポリエステル系樹脂とをT−ダイに供給して2層以上の多層フィルムを得る方法。
(2)本発明の帯電防止性樹脂組成物ペレットを押出機にて溶融し、T−ダイへ導入して単層フィルムを得る方法。
(3)上記多層フィルムまたは単層フィルムを一軸あるいは二軸延伸機にて延伸して、延伸フィルムを得る方法。
これらのフィルムは、コロナ放電処理等により表面活性化を行い印刷加工や防汚加工などを付与することができる。
帯電防止性樹脂組成物よりフィルムを作製し、温度23℃相対湿度50%の恒温恒湿条件下に24時間以上放置したのち、高抵抗率計ハイレスターUP(三菱化学株式会社製)にて、MCC−A法により直流電圧500Vを30秒間印加して表面抵抗率(Ω/sq.)を測定した。数値が小さい程、帯電防止性が優れていることを示す。表面抵抗率は以下の基準で評価した。
1010Ω/sq.以下 ・・・ ○(優)
1010〜1011Ω/sq.以下 ・・・ △(良)
1011Ω/sq.を超える ・・・ ×(不良)
帯電防止性評価に供したフィルム試料を用い、曇度計(日本電色工業株式会社製)を使用して、JIS−K−7105−1981に準じて測定した。ヘーズの数値が小さい程、透明性が優れていることを示す。ヘーズは以下の基準で評価し、○、△で評価されたものは透明性がある。
5%未満 ・・・ ○(優)
5%〜7%未満 ・・・ △(良)
7%以上 ・・・ ×(不良)
帯電防止性樹脂組成物よりフィルムを作製し、一般片面処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学製 #12 FE2001)のコロナ処理面と重ね、これらの上から0.01MPaの荷重を掛け40℃の条件下、2週間経過後に、接触角計DropMaster DM500(協和界面科学株式会社製)を用いて、一般片面処理ポリエチレンテレフタレートフィルムのコロナ処理面と水(1μmL)との表面接触角を測定し、初期の表面接触角と2週間経過後の接触角の角度変化より、表面汚染性を下記の基準で評価した。角度変化が大きい場合は、帯電防止剤が移行して汚染している。
角度変化0〜5° ・・・ ○(優)
角度変化5〜10° ・・・ △(良)
角度変化10°以上 ・・・ ×(不良)
テレフタル酸254部、エチレングリコール100部と熱安定剤としてトリエチルリン酸0.02部によりスラリーを作製し、第1エステル化槽へ逐次導入して窒素加圧下270℃でエステル化反応を行い、第2エステル化槽へ導入して窒素雰囲気下常圧にて追加エステル化反応を行い、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.07部を添加し、第1重縮合槽、第2重縮合槽、第3重縮合槽へ逐次導入して、最終の槽内圧力が200Pa以下の高真空下で重縮合反応を行いポリエステル重縮合体(A)を製造し、ペレット試料を得た。該ポリエステル重縮合体(A)のフェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)混合溶媒中23℃での、ウベローデ法による極限粘度は0.64であった。
<重縮合体B−Iの製造>
精留塔を備えたエステル化反応槽へ、テレフタル酸(以後、TPAと呼称)202部に対してエチレングリコール(以後、EGと呼称)100部と、80℃に加熱溶融した1,4−シクロヘキサンジメタノール(以後、1,4−CHDMと呼称)57.9部のスラリーを投入して、窒素雰囲気下250℃の内温にて、反応により溜出する水を取り除きエステル化率95.5%までエステル化反応を進めた。その後、重合槽にて熱安定剤としてトリエチルリン酸を0.04部、重縮合触媒として三酸化アンチモンを0.07部添加し、275℃にて常圧から徐々に減圧を進めて、最終槽内圧力が200Pa以下の高真空下で攪拌機が所定のトルクに達するまで4時間の重縮合反応を行い、重縮合体B−Iを製造し、水中へ策を押し出してカッティング後にペレット状試料を得た。NMR分析による1,4−CHDMに基づくピークの積分値より算定した共重合率は全グリコール成分に対して、30.1モル%であった。
重縮合体B−Iと同様にして、B−IIでは1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(以後、1,4−CHDAと呼称)、B−IIIでは平均分子量が1,000のポリエチレングリコール(以後、PEG#1000と呼称)を、B−IV〜VIでは1,4−CHDMを、重縮合体の成分組成が下記(表1)となるように添加してエステル化反応および重縮合反応を行い、それぞれペレット状試料を得た。
N−メチルイミダゾール214.8gに臭化エチル342.2gを加えて0℃に冷却し、アセトニトリル中で一昼夜撹拌した。アセトニトリル中を減圧留去した後、ジエチルエーテル中に滴下した。析出した結晶を濾別し、結晶を室温で48時間減圧乾燥した。1−メチル−3−エチルイミダゾリウムブロミドの結晶494.2gを得た。
1−メチル−3−エチルイミダゾリウムブロミド水溶液(66%)442.9gを、撹拌しながら、カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド489.5gをイオン交換水600mlに希釈したものを、60℃に加熱下で滴下し、50分間撹拌した。この反応液を静置した後、上層の水層を分離除去した。下層の油層部分をイオン交換水で3回洗浄した後、減圧下、70℃で脱水し、NMR分析した結果、得られた液体は1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(以下、EMI−TFSIと略す)593.7gであった。収率は99%であった。又、液体の水分を測定した結果200ppmであった。
以上のようにして調製したポリエステル重縮合体(B)の含有量を以下に示す(表2)の配合量となるようにポリエステル重縮合体(A)とドライブレンドを行い、スクリューフィーダーを備えた重量フィーダー(クボタ製)にて10kg/時間の吐出量で排出し、同方向回転の二軸押出混練機TEM−35B(東芝機械製)へ供して、溶融温度280〜270℃で溶融混練した。なお、二軸押出混練機の第1排気口よりイオン液体(C)として、EMI−TFSIをプランジャー式ポンプにて(表2)に示す配合量となるように供して、ポリエステル重縮合体(A)及び(B)とスクリュー回転数100rpmで混練して、水中へ該樹脂組成物を策状に水中へ押し出し、カッターにてペレット状態にカットし、(表2)記載の本発明実施例および比較例に記載の帯電防止性樹脂組成物を得た。
以上のようにして得られた帯電防止性樹脂組成物を真空乾燥機で120℃にて10時間以上乾燥後、ヘッド部分に一軸押出機およびT−ダイを備えたラボプラストミル(東洋精機製)へ該帯電防止樹脂組成物を供給して、スクリュー回転数60〜65rpmにて280℃でシート状に押し出しして、冷却ローラー、引き取りローラーを経て巻き取り機にてシート幅120mm、厚み約250μmのポリエステルシートを得た。その後、バッチ式二軸延伸機を用いて、該シートを90℃で30秒の予熱後に延伸倍率が経方向3.4倍、緯方向3.4倍となるように同時二軸延伸して厚み約20μmの延伸フィルムを得た。該フィルムは、235℃、10秒の熱セットを行い、帯電防止性ポリエステルフィルムを得た。該フィルムを用いて、(表2)記載の物性評価を行った。
Claims (5)
- 主たる繰り返し単位の90モル%以上がエチレンテレフタレートからなるポリエステル重縮合体(A)と、少なくとも一成分として脂環式炭化水素基を有するモノマー成分を含有するポリエステル重縮合体(B)3〜60質量%と、カチオンとしてイミダゾリウムイオンを含有するイオン液体(C)0.1〜10質量%とを含有することを特徴とする帯電防止性樹脂組成物。
- ポリエステル重縮合体(B)における脂環式炭化水素基を有するモノマー成分が、脂環式グリコール成分であって、全グリコール成分に対して3〜50モル%含有することを特徴とする請求項1記載の帯電防止性樹脂組成物。
- ポリエステル重縮合体(B)における脂環式炭化水素基を有するモノマー成分が、脂環式ジカルボン酸成分であって、全酸成分に対して3〜50モル%含有することを特徴とする請求項1記載の帯電防止性樹脂組成物。
- 少なくとも一つの層が請求項1〜3のいずれか記載の帯電防止性樹脂組成物からなることを特徴とするポリエステルフィルム。
- 帯電防止性樹脂組成物からなる少なくとも一つの層が表面抵抗率1010Ω/sq.以下であることを特徴とする請求項4記載のポリエステルフィルム。
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