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JP5135799B2 - 熱可塑性樹脂組成物、光学フィルムおよび延伸フィルム - Google Patents
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熱可塑性樹脂組成物、光学フィルムおよび延伸フィルム Download PDF

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Description

本発明は、側鎖に脂肪族ヒドロキシル基を有するビニル系重合体と環状オレフィン系重合体とを含有する熱可塑性樹脂組成物およびその光学フィルムに関する。また、本発明は、前記光学フィルムを延伸配向して得られる延伸フィルム(位相差フィルム)に関する。
なお、本明細書において、「複屈折」という用語は通常の意味で用いられる。また、複屈折の値(これをΔnとする)とは、熱可塑性樹脂組成物から成形されたフィルムを一軸延伸し、重合体分子鎖を一方向に配向させた延伸フィルムにおいて、延伸方向をx軸、これに対して面内垂直方向をy軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をnyとして、下記式:
Δn=nx−ny
で定義される正〜負の値であり、その絶対値は入射光の波長によって異なる。
次に、位相差(Retardation、これをReとする)とは、下記式:
Re=Δn×d
(式中、dは、透過光の光路長であり、通常、上記延伸フィルムの厚さである)
で定義される正〜負の値であり、その絶対値は入射光の波長によって異なる。
そして、位相差の波長分散性とは、前記Reの値と入射光の波長との相関性を意味する。また、「位相差の波長分散性が大きい」とは、短波長の入射光に対するReの絶対値と、長波長の入射光に対するReの絶対値との差異が大きいことを意味する。
本明細書において、「重合体」という用語は単独重合体だけでなく共重合体を含む意味で用いられることがあり、「重合」という用語は単独重合だけでなく共重合を含む意味で用いられることがある。
環状オレフィン系開環重合体は、主鎖骨格に嵩高い脂環構造を有することから非晶性となり、優れた透明性、耐熱性を示し、かつ、光学歪が小さい(光弾性係数が小さい)、低吸水性、耐酸・アルカリ性および高い電気絶縁性を有するなどの特徴があることから、ディスプレイ用途(位相差フィルム、拡散フィルム、波長板、液晶基板、タッチパネル用フィルム、導光板等)、光学レンズ用途、光ディスク用途、光ファイバー用途、光学フィルム/シート用途、光半導体封止用途、プリント基板用途(硬質プリント基板、多層プリント基板)、透明導電性フィルム基板用途などに応用できる材料として検討がなされてきた。中でも位相差フィルム用途では、複屈折の均一性をより高めた延伸フィルムへの要求に対し、光弾性係数が比較的小さいノルボルネン系開環重合体のフィルムを精密に延伸することによって非常に均一性のよい位相差板を得る改善策が実施されてきた。
透過型液晶ディスプレイ(特にVA(vertically aligned)モード)を用いた液晶テレビは、ディスプレイの大型化に伴い、広視野角で高輝度といった高精細な表示がこれまで以上に要求されている。二枚の偏光板をクロスニコル状態(偏光板の透過軸が互いに直交している状態)で使用する透過型液晶ディスプレイにおいては、ディスプレイを観察する位置を、ディスプレイ正面から斜め方向に変化させると、見かけ上二枚の偏光板の透過軸が90度からずれるため、黒表示時の光漏れや色抜け(着色)といった問題が生じる。このような問題を解消するため、液晶セルと各偏光板との間に種々の位相差フィルムを介在させて、偏光板の視野角依存の補償を行っているが十分な品質にいたっていない。
このように液晶ディスプレイの高精細なカラーディスプレイ化が進むにつれ、位相差フィルムに使用される高分子には更に光学機能性を付与する事が望まれている。例えば、可視光の波長領域全域に渡って所望の位相差を発現するため、複屈折の絶対値および波長分散性を自在に制御する事が望まれるようになった。しかし、従来検討がなされてきたノルボルネン系開環重合体は400−800nmにおいて複屈折の波長分散性が非常に小さく、かつ、位相差が長波長になるほど小さくなる(Re400>Re550>Re800)分散性を示す
ものがほとんどであった。これに対し、環状オレフィン系開環重合体の側鎖に置換芳香族基を導入し、複屈折の絶対値および波長分散性を制御しようとする試みが数報開示されているが(特許文献1〜3参照)、その様な重合体は前躯体となる特殊な構造を有するノルボルネン系モノマーを新規に合成する必要があるため、製造工程が複雑になり、また重合体の低コスト化が困難であるという問題があり、未だ実用化されるに至っていない。
また、特殊な波長分散性(Re400<Re550<Re800)を得る為に、公知の環状オレフィン系開環重合体とポリスチレンを相溶化剤の存在下、ブレンドした熱可塑性樹脂組成物が開示されている(特許文献4)が、位相差フィルムに相溶化剤を含む樹脂組成物を用いると、相溶化剤が樹脂の配向緩和剤として作用し、位相差発現性および位相差安定性が悪化するという問題があった。更に、相溶化剤が必要ないブレンド系として、公知の環状オレフィン系開環重合体と、極性基含有ポリスチレン樹脂からなる樹脂組成物(特許文献5)および無水マレイン酸−スチレン共重合体からなる樹脂組成物(特許文献6)がそれぞれ開示されているが、前者はブレンド物の着色性(黄変)が問題となる場合があり、後者に関しては、無水マレイン酸ユニットは反応性が高い為に雰囲気中の水分等によって、使用中にカルボン酸等に変性される可能性が考えられ、光学フィルムとして用いるには信頼性が不十分である事が懸念されている。よって、公知の環状オレフィン系開環重合体に相溶し、かつ、より安定な構造を有する重合体の開発が待ち望まれていた。
特開2003−321535号公報 特開2004−176051号公報 特開2004−323489号公報 特開2001−194527号公報 特開平11−323098号公報 特開2001−337222号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、低複屈折性を保持しながら、良好な相溶性を示し、さらに耐候性、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的としている。また、このような熱可塑性樹脂組成物を含有する光学フィルムを提供することを目的としている。さらには、良好な位相差発現性を保持し、耐候性、耐熱性に優れ、特殊な波長分散性(Re400<Re550<Re800)を有する位相差フィルムを提供することを目的としている。
本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、側鎖に脂肪族ヒドロキシル基を有するビニル系重合体と、環状オレフィン系重合体とを含有する熱可塑性樹脂組成物が、低複屈折性および良好な相溶性を有し、かつ耐候性、耐熱性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。また、この熱可塑性樹脂組成物から得られた位相差フィルムが、良好な位相差発現性、耐候性、耐熱性を示し、しかも特殊な波長分散性(Re400<Re550<Re800)を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される単位を有するビニル系重合体(A)と、環状オレフィン系重合体(B)を含有することを特徴としている。
Figure 0005135799
(式中、R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示し、nは0または正の整数である。)。
本発明では、前記ビニル系重合体(A)が、さらに下記式(II)および式(III)から選ばれる少なくとも一種の単位を有する共重合体であることが好ましく、
Figure 0005135799
(式中、R4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示し、R5は全て同一の原子または基であっても、互いに異なる原子または基であってもよい。)
前記ビニル系重合体(A)が、下記式(1)で表される各繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 0005135799
(式中、R1〜R7は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示し、R5は全て同一の原子または基であっても、互いに異なる原子または基であってもよく、nは0または正の整数であり、x、yおよびzは、x+y+z=100重量%とした場合の各繰り返し単位の重量比を示し、1<x<20、かつ、80<y<99を満たす。)。
本発明では前記一般式(1)で表されるビニル系重合体(A)において、nが0≦n<4であり、かつR1〜R4が水素原子またはメチル基であることも好ましい。
また本発明では、前記環状オレフィン系重合体(B)が下記一般式(2)で表される単量体を重合したものであることが好ましく、
Figure 0005135799
(式中、fおよびgは、それぞれ独立に0または1であり、但し、これらの少なくとも一方は1であり、hおよびiは、それぞれ独立に0〜2の整数である。R8〜R17は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;および極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、R14とR15、および/またはR16とR17は、一体化して炭化水素基を形成してもよく、R14またはR15と、R16またはR17とは、相互に結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい)を形成してもよい。)。
前記環状オレフィン系重合体(B)が一般式(2)で表される単量体を開環重合して得られる、下記一般式(3)で表される構造単位を有する重合体であることも好ましく、
Figure 0005135799
(式中、fおよびgは、それぞれ独立に0または1であり、但し、これらの少なくとも一方は1であり、hおよびiは、それぞれ独立に0〜2の整数である。R8〜R17は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;および極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、R14とR15、および/またはR16とR17は、一体化して炭化水素基を形成してもよく、R14またはR15と、R16またはR17とは、相互に結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい)を形成してもよい。Aは式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、複数存在するAは同一または異なる。)。
環状オレフィン系重合体(B)が前記一般式(3)において、h=0であり、iが0または1であり、かつ、R14〜R17のうち少なくとも一つが、式:−(CH2)pCOOR18(式中、R18は炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、pは0〜10の整数である。)で表される基である構造単位を含む重合体であることも好ましい。
ビニル系重合体(A)と環状オレフィン系重合体(B)のブレンド比(A/B)が重量比で10/90〜50/50であることが好ましい。
本発明に係る光学フィルムは、上記熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴としている。
本発明に係る延伸フィルムは、上記光学フィルムを延伸配向することにより得られ、波長400nm、550nm、800nmにおけるレターデーション値を個々Re400、Re550、Re800とした時に、各値の関係がRe400<Re550<Re800となることを特徴
としている。
本発明によると、低複屈折性および良好な相溶性を示し、かつ耐候性、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物ならびに光学フィルムを得ることができる。また、前記光学フィルムを延伸することによって、良好な位相差発現性を有し、かつ耐候性、耐熱性に優れ、逆波長分散性を有する位相差フィルムを得ることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物および光学フィルムは、(A)ビニル系重合体、および(B)環状オレフィン系重合体を含有する。
(A)ビニル系重合体:
本発明に用いられるビニル系重合体(A)は、下記式(I)で表される構造単位を有する重合体であり、さらに下記式(II)および式(III)から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する共重合体であることが好ましい。
Figure 0005135799
式中、R1〜R7は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。R5は全て同一の原子または基であっても、個々異なる原子または基であってもよい。nは0または正の整数である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;エチリデン基、プロピリデン基等のアルキリデン基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基;式:−(CH2)m−R'(式中、R'は前記シクロアルキル基または前記アリール基であり、mは1〜10の整数である)で表される基、例えば、ベンジル基、2−フェニルエチル基等のアラルキル基等;等が挙げられる。これらの基中の炭素原子に結合した水素原子は、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;フェニルスルホニル基;シアノ基等で置換されていてもよい。
また、上記の置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、たとえば、炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(たとえば、−(CH2m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはケイ素原子を含む連結基(たとえば、カルボニル基(−CO−)、カルボニルオキシ基(−COO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホニル基(−SO2−)、スルホニルオキシ基(−SO2O−)、オキシスルホニル基(−OSO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−、−CONH−)、式:−Si(R)2−、式:−Si(OR)2O−、式:−OSi(R)2−、または式:−OSi(OR)2−(前記各式中、Rは炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、好ましくは、メチル基、エチル基等のアルキル基である)で表されるケイ素原子を含む結合等が挙げられ、これらを複数含む連結基であってもよい。
上記の置換または非置換の炭化水素基が上記連結基を介して環構造に結合している場合の構造としては、例えば、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、トリオルガノシリル基、トリオルガノシロキシ基等が挙げられる。
更に具体的には、上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられ;アシル基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基等が挙げられ;アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等が挙げられ;アリールカルボニルオキシ基としては、例えば、ベンゾイルオキシ基等が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等が挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては、例えば、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等のトリアルキルシロキシ基や、トリメトキシシロキシ基、トリエトキシシロキシ基等のトリアルコキシシロキシ基が挙げられ;トリオルガノシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等のトリアルキルシリル基やトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基等が挙げられる。
次に、極性基としては、例えば、水酸基;シアノ基;アミド基;イミノ基(=NH);第1級アミノ基(−NH2)等のアミノ基;スルホン酸基(−SO3H);スルフィノ基(−SO2H);カルボキシル基(−COOH)等が挙げられる。
ビニル系重合体(A)は、下記式(1)で表される各繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 0005135799
式中、R1〜R7およびnは、上記式(I)〜(III)中のR1〜R7のおよびnの定義と同義である。
x、yおよびzは、x+y+z=100重量%とした場合の各繰り返し単位の重量比を示し、好ましくは1<x<20、かつ、80<y<99を満たす。
また、0≦n<4であり、かつR1〜R4が水素原子またはメチル基であることがさらに好ましく、特にR1がメチル基、R2〜R4が水素原子であることが好ましい。
このようなビニル系重合体(A)は、上記式(I)で表される構造単位となりうるヒドロキシ(メタ)アクリレート単量体と、上記式(II)で表される構造単位となりうる芳香族ビニル系単量体と、上記式(III)で表される構造単位となりうるビニル系単量体とを共重合させることにより得ることができる。
<ヒドロキシ(メタ)アクリレート単量体>
上記式(I)で表される構造単位となりうるヒドロキシ(メタ)アクリレート単量体としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−n−プロピルアクリレート、3−ヒドロキシ−n−プロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、グリセリンモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−n−プロピルメタクリレート、3−ヒドロキシ−n−プロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレートを用いると、前記環状オレフィン系樹脂と良好な相溶性を示すビニル系重合体が得られる点で好ましい。
<芳香族ビニル系単量体>
上記式(II)で表される構造単位となりうる芳香族ビニル系単量体としては、
スチレン;α−メチルスチレン;p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン類;4−クロロスチレン、4−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン類;クロロメチルスチレン;p−ヒドロキシスチレン、イソプロペニルフェノール、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類;ビニルベンジルアルコール類;p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレンなどのアルコキシ置換スチレン類;3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸類;メチル 4−ビニルベンゾエート、エチル 4−ビニルベンゾエートなどのビニル安息香酸エステル類;
4−ビニルベンジルアセテート;4−アセトキシスチレン;p−スルホンアミドスチレンなどのアミドスチレン類;3−アミノスチレン、4−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニルベンジルジメチルアミンなどのアミノスチレン類;3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレンなどのニトロスチレン類;3−シアノスチレン、4−シアノスチレンなどのシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;4−ビニルビフェニル、3−ビニルビフェニル、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、9−ビニルフルオレン、2−ビニルフルオレン、9−ビニルアントラセンなどのビニル多環芳香族化合物;1,1−ジフェニルエチレンなどが挙げられる。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
<ビニル系単量体>
上記式(III)で表される構造単位となりうるビニル系単量体としては、
アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレートなどの脂肪族アルキルアクリレート類;ベンジルアクリレート;フェニルアクリレートなどの芳香族アクリレート類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートなどの脂肪族アルキルメタクリレート類;ベンジルメタクリレート;フェニルメタクリレートなどの芳香族メタクリレート類;アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;メタクリルアミド、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリルアミド類;メタクリル酸グリシジル;メタクリル酸テトラヒドロフルフリル;アクロレイン;メタクロレイン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのビニルピリジン類などが挙げられる。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、アクリロニトリル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレートを用いる事が好ましく、更に高分子量のビニル系重合体が得られる為、アクリロニトリルを用いる事が特に好ましい。
<ラジカル重合開始剤>
本発明に用いられるビニル系重合体(A)をラジカル重合で合成する場合、フリーラジカルを発生する公知の有機過酸化物、またはアゾビス系のラジカル重合開始剤を用いることができる。
有機過酸化物としては、
ジアセチルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジイソブチロイルパーオキサイド、ジ(2,4−ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジオクタノイルパーオキサオド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ビス{4−(m−トルオイル)ベンゾイル}パーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;
過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α−クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド類;
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、α,α'−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオドデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシm−トルオイルベンゾエート、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのパーオキシエステル類;
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ピバレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどのパーオキシケタール類;
t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネートなどのパーオキシモノカーボネート類;
ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;
その他、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイドなどが挙げられるが、本発明に用いられる有機過酸化物はこれらの例示化合物に限定されるものではない。
これらの有機過酸化物のうち、多官能性のパーオキシケタールが容易に高分子量の重合体を得ることができる点で好ましい。特に、4官能性の2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンが好ましい。
アゾビス系ラジカル重合開始剤としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−{1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル}プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−{2−(1−ヒドロキシブチル)}プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェート・ジハイドレート、2,2'−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−{1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル}プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)、ジメチル2,2'−アゾビスブチレート、4,4'−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)などが挙げられるが、本発明に用いられるアゾビス系ラジカル重合開始剤はこれらの例示化合物に限定されるものではない。これらのアゾビス系ラジカル重合開始剤のうち、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)は高分子量の重合体を得ることができる点で特に好ましい。
<触媒>
上記ヒドロキシ(メタ)アクリレート単量体と、必要に応じて上記芳香族ビニル系単量体および/または上記ビニル系単量体との共重合反応には、触媒を用いてもよい。この触媒は、特に限定されず、たとえば、公知のアニオン重合触媒、配位アニオン重合触媒、カチオン重合触媒などが挙げられる。
<ビニル系重合体(A)>
本発明に用いられるビニル系重合体(A)は、上記重合開始剤や触媒の存在下で、上記ヒドロキシ(メタ)アクリレート単量体と、上記芳香族ビニル系単量体と、上記ビニル系単量体とを、塊状重合法、溶液重合法、沈殿重合法、乳化重合法、懸濁重合法または塊状−懸濁重合法などの従来公知の方法で重合させることによって得られる。
このようにして得られるビニル系重合体(A)において、上記式(I)で表される構造単位と、上記式(II)で表される構造単位と、上記式(III)で表される構造単位は、これらの合計100重量%に対して、上記式(I)で表される構造単位の割合(上記式(1)におけるxに相当する)が1重量%を超えて20重量%以下、好ましくは2〜10重量%、上記式(II)で表される構造単位の割合(上記式(1)におけるyに相当する)が80重量%を超えて99重量%未満、好ましくは90〜98重量%の割合で含まれることが望ましい。上記式(I)で表される構造単位の割合が上記範囲にあると、ビニル系重合体(A)と環状オレフィン系重合体(B)とが良好に相溶するとともに、得られる熱可塑性樹脂組成物や光学フィルムは、優れた低複屈折性を示し、耐侯性、耐熱性が向上する。
上記ビニル系重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、通常1,000〜500,000、好ましくは2,500〜300,000、さらに好ましくは5,000〜150,000であり、重量平均分子量(Mw)は、通常5,000〜800,000、好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは20,000〜250,000であることが望ましい。
分子量が小さすぎると、得られる成形品やフィルムの強度が低くなることがある。分子量が大きすぎると、溶液粘度が高くなりすぎて本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の生産性や加工性が悪化することがある。
また、上記ビニル系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜10、好ましくは1.2〜5、さらに好ましくは1.2〜3であることが望ましい。
(B)環状オレフィン系重合体:
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体(B)としては、下記(i)〜(v)に示す重合体が挙げられる。
(i)下記一般式(2)で表される単量体(以下「特定単量体」ともいう)の開環重合体(ii)特定単量体と共重合性単量体との開環共重合体、
(iii)前記(i)または(ii)の開環重合体の水素添加重合体、
(iv)前記(i)または(ii)の開環重合体をフリーデルクラフト反応により環化した後、水素添加した重合体、
(v)上記特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体
が挙げられる。
これらの中では、(iii)の開環重合体の水素添加物が好ましい。
Figure 0005135799
(式中、fおよびgは、それぞれ独立に0または1であり、但し、これらの少なくとも一方は1であり、hおよびiは、それぞれ独立に0〜2の整数である。R8〜R17は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;および極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、R14とR15、および/またはR16とR17は、一体化して炭化水素基を形成してもよく、R14またはR15と、R16またはR17とは、相互に結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい)を形成してもよい。)。
上記ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;および極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基、および極性基としては、上記式(I)〜(III)中のR1〜R7と同様の原子もしくは基が挙げられる。
上記環状オレフィン系重合体(B)は、ビニル系重合体(A)との相溶性の観点から極性基を有することが好ましい。
上記一般式(2)で表わされる特定単量体の具体例としては、次のような化合物が挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
7−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
2,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−〈4−フェニルフェノキシ〉カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−〈4−フェニルフェノキシ〉カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニル−5―メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フェニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−n-ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−n-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(3−シクロヘキセニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−n-オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−n-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−イソプロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(1−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(1−ナフチル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(ビフェニル−4−イル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(ビフェニル−4−イル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−アミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリn-プロポキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリn-ブトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シクロヘセニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン。
これらの化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの特定単量体のうち、上記式(2)におけるR14〜R17のうちの少なくとも1つが、下記式(a)
−(CH2pCOOR18 (a)
(式中、pは通常、0〜10の整数、R18は炭素数1〜20の炭化水素基である。
)で表される特定の極性基である上記特定単量体を用いると、前記ビニル系重合体と良好な相溶性を示す環状オレフィン重合体が得られる点で好ましい。
上記式(a)において、pの値が小さいほど、また、Rの炭素数が小さいほど、得られる熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度が高くなり、耐熱性が向上する点で好ましい。すなわち、pは通常、0〜10の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、R18は通常、炭素数1〜20の炭化水素基であるが、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基が望ましい。
さらに、上記式(2)において、上記式(a)で表される極性基が結合した炭素原子にさらにアルキル基が結合している上記特定単量体は、得られる熱可塑性樹脂組成物および光学フィルムの耐熱性と耐湿(水)性とが良好なバランスを保つ点で好ましい。このアルキル基の炭素数は1〜5であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
このような特定単量体のうち、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンおよび5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンは、比較的製造が容易であり、かつ、得られる熱可塑性樹脂組成物および光学フィルムが耐熱性・耐候性に優れる点で好ましい。
このような特定単量体を開環重合して得られる環状オレフィン系重合体としては、例えば下記一般式(3)で表される構造単位を有する重合体が挙げられる。
Figure 0005135799
(式中、f、g、h、i、R8〜R17は、それぞれ上記式(2)におけるf、g、h、i、R8〜R17の定義と同義である。Aは式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、複数存在するAは同一または異なる。)。
本発明では、前記一般式(3)において、h=0であり、iが0または1であり、かつ、R14〜R17のうち少なくとも一つが、式:−(CH2)pCOOR18(式中、R18は炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、pは0〜10の整数である。)で表される基である構造単位を含む重合体であることが好ましい。
<共重合性単量体>
上記特定単量体は単独で開環重合してもよいが、さらに、上記特定単量体と他の共重合性単量体と開環共重合させてもよい。
上記共重合性単量体として、具体的には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。シクロオレフィンの炭素数は、4〜20が好ましく、さらに好ましくは5〜12である。前記、共重合可能な単量体は、1種単独でも、2種以上を組み合わせても使用することができる。
また、上記特定単量体の開環重合を、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン重合体、ノルボルネン系単量体の開環重合体の未水素添加物(即ち、水素添加されていないもの)の存在下で行ってもよい。この場合、得られる開環共重合体およびその水素添加共重合体は、耐衝撃性の大きい熱可塑性樹脂組成物の原料として有用である。
以下、本発明の環状オレフィン開環重合体の製造方法における重合条件を更に説明する。
<開環重合触媒>
本発明に用いられる開環重合において用いられる触媒(以下、「開環重合触媒」ともいう。)としては、メタセシス触媒が挙げられる。このメタセシス触媒としては、例えば、(I)"Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization"(K.J.IVIN, J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒が好ましく用いられる。このような触媒としては、例えば、(a)W、Mo、Re、VおよびTiの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)アルカリ金属元素(例えば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属元素(例えば、Mg、Ca)、デミングの周期表第12族元素(例えば、Zn、Cd、Hg)、第13族元素(例えば、B、Al)、第14族元素(例えば、Si、Sn、Pb)等の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組み合わせからなるメタセシス触媒が挙げられる。この触媒は、触媒活性を高めるために、後述の(c)添加剤が添加されたものであってもよい。
上記(a)成分の具体例としては、例えば、WCl6、MoCl5、ReOCl3、VOCl3、TiCl4等の特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(b)成分の具体例としては、例えば、n−C49Li、(C25)3Al、(C25)2AlCl、(C25)1.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサン(MAO)、LiH等の特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(c)成分の添加剤としては、例えば、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類等を好適に用いることができ、更に特開平1−240517号公報に示される化合物を使用することができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(a)成分等を組み合わせてなるメタセシス触媒の使用量は、上記(a)成分と、全単量体(特定単量体および他の共重合可能な単量体。以下、同じ)との、「(a)成分:全単量体」のモル比が、通常、1:500〜1:500,000となる範囲、好ましくは1:1,000〜1:100,000となる範囲である。更に、上記(a)成分と(b)成分との割合は、「(a):(b)」の金属原子(モル)比が、通常、1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲である。このメタセシス触媒に上記(c)添加剤を添加する場合、(a)成分と(c)成分との割合は、「(c):(a)」のモル比が、通常、0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲である。
また、その他の触媒として、
(II)周期表第4族〜第8族の遷移金属−カルベン錯体やメタラシクロブタン錯体等からなるメタセシス触媒を用いることができ、例えば、T.M.Trnka et.al, Acc.Chem.Res.2001,34,18-29およびR.R.Schrock, Chem.Rev.2002,102,145-179などの公知の文献に記載されているメタセシス触媒が好ましく用いられる。上記触媒(II)の具体例としては、W(=N−2,6−C63 iPr2)(=CHtBu)(OtBu)2、Mo(=N−2,6−C63 iPr2)(=CHtBu)(OtBu)2、Ru(=CHCH=CPh2)(PPh3)2Cl2、Ru(=CHPh)(PC611)2Cl2等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記触媒(II)の使用量は、「触媒(II):全単量体」のモル比が、通常、1:50〜1:50,000となる範囲、好ましくは1:100〜1:10,000となる範囲である。なお、上記触媒(I)と(II)とを組み合わせて用いても差し支えない。
<分子量調節剤>
開環重合体の分子量の調節は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によって行うことができるが、本発明では、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。分子量調節剤としては、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレン、4−ビニルビフェニル、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン等のビニル芳香族化合物が好ましく用いられる。これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。分子量調節剤の使用量は、開環重合に使用される全単量体1モルに対して、通常0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルである。
<開環重合用溶媒>
上記開環重合では、上記特定単量体、開環重合触媒および分子量調節剤を溶解するために溶媒を使用することが好ましい。開環重合に用いられる溶媒としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロモヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン類;クロロベンゼンなどのハロゲン化アリール類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチルなどの飽和カルボン酸エステル類;ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を挙げることができる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。溶媒の使用量は、「溶媒:上記全単量体(重量比)」が、通常1:1〜10:1となる量、好ましくは1:1〜5:1となる量である。
<開環重合反応>
上記開環重合体は、開環重合触媒の存在下、必要に応じて分子量調節剤および開環重合用溶媒を用いて、上記特定単量体、および必要に応じて共重合性単量体を、従来公知の方法で開環重合させることにより得ることができる。
また、上記特定単量体と上記共重合性単量体とを共重合させる場合、上記特定単量体と上記共重合性単量体との合計100重量%に対して、上記特定単量体を通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、かつ100重量%未満、上記共重合性単量体を0重量%を超えて、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下の割合で共重合させることが望ましい。
本発明で用いる開環重合体としては、特定単量体の単独重合体、または2種以上の特定単量体の共重合体が最も好ましい。
<水素添加反応>
上記開環重合反応により得られた開環重合体は、そのまま、環状オレフィン系重合体(B)として使用することもできるが、この開環重合体は、分子内にオレフィン性不飽和結合を有しており、加熱着色などの問題が発生することがある。このため、上記オレフィン性不飽和結合に水素添加した水素添加重合体を用いることが好ましい。
この水素添加反応は、上記特定単量体中に芳香族基が存在する際は、芳香環骨格中の環内共役二重結合が実質的に水素添加されない条件で実施される必要がある。たとえば、上記開環重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに大気圧〜30MPa、好ましくは3〜20MPaの水素ガスを加えて、通常、0〜220℃、好ましくは20〜200℃で反応させることによって実施することができる。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるもの、たとえば、公知の不均一系触媒や均一系触媒を使用することができる。不均一系触媒としては、例えば、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。均一系触媒としては、例えば、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。このような触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。また、これらの水素添加触媒は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。これらの水素添加触媒は、開環重合体:水素添加触媒が、通常1:1×10-6〜1:2(重量比)となる量で使用される。
オレフィン性不飽和結合の水素添加率(一般式(3)におけるAが、式:−CH2CH2−で表される基に変換される割合)は、通常50%以上、好ましく70%以上、さらに好ましくは90%以上である。この水素添加率が高いほど、高温条件下における環状オレフィン系重合体の着色や劣化の発生が抑制されるので好ましい。
このように、開環重合体に水素添加することにより、得られる水素添加重合体は優れた熱安定性を有し、成形加工時や製品使用時の加熱によってその特性が劣化することを防止できる。
<飽和共重合体>
本発明では、環状オレフィン系重合体(B)として、上記開環重合体およびその水素添加重合体の他に、上記特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体を使用することができる。上記特定単量体と不飽和二重結合含有化合物とは、これらの合計量100重量%に対して、上記特定単量体を通常60〜90重量%、好ましくは70〜90重量%、より好ましくは80〜90重量%、不飽和二重結合含有化合物を通常10〜40重量%、好ましくは10〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%の割合で共重合させることが望ましい。
上記不飽和二重結合含有化合物としては、たとえば、エチレン、プロピレン、ブテンなどの炭素数2〜12、好ましくは2〜8のオレフィン系化合物を挙げることができる。
上記特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との共重合反応に用いられる触媒としては、例えば、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が挙げられる。バナジウム化合物としては、VO(OR)abまたはV(OR)cd(ただし、Rは炭化水素基、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4)で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与体付加物が挙げられる。電子供与体としてはアルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物、アルコキシシラン等の含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアナート等の含窒素電子供与体などが挙げられる。上記有機アルミニウム化合物としては、アルミニウム−炭素結合またはアルミニウム−水素結合を少なくとも1つ有する化合物から選ばれた少なくとも1種の有機アルミニウム化合物が挙げられる。上記触媒におけるバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物との割合は、バナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)で、通常2以上、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20である。
上記共重合反応に用いられる溶媒としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素およびそのハロゲン誘導体を挙げることができる。これらのうち、シクロヘキサンが好ましい。
<環状オレフィン系重合体(B)>
本発明に用いられる環状オレフィン系重合体(B)は、30℃のクロロベンゼン溶液(濃度0.5g/100ml)中で測定した固有粘度[η]が0.2〜5.0、好ましくは0.3〜4.0、更に好ましくは0.35〜1.5dl/gであることが好ましい。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常1,000〜1,000,000、好ましくは3,000〜500,000、さらに好ましくは5,000〜250,000であり、重量平均分子量(Mw)は、通常10,000〜2,000,000、好ましくは20,000〜1,000,000、さらに好ましくは30,000〜500,000であることが望ましい。
分子量が小さすぎると、得られる成形品やフィルムの強度が低くなることがある。分子量が大きすぎると、溶液粘度が高くなりすぎて本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の生産性や加工性が悪化することがある。
また、環状オレフィン系重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは2.2〜5であることが望ましい。
環状オレフィン系重合体(B)のガラス転移温度(Tg)は、通常110〜250℃であり、好ましくは115〜220℃、さらに好ましくは120〜200℃である。Tgが低すぎると、熱変形温度が低くなるため、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られる成形品やフィルムの温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じることがある。一方、Tgが高すぎると、加工温度を高くする必要があり、これにより熱可塑性樹脂組成物が熱劣化することがある。
<熱可塑性樹脂組成物および光学フィルム>
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物および光学フィルムは、上記ビニル系重合体(A)と上記環状オレフィン系重合体(B)とを、環状オレフィン系重合体(B)100重量部に対して、ビニル系重合体(A)が通常0.01〜300重量部、好ましくは10〜300重量部、より好ましくは40〜150重量部の割合で含有する。ビニル系重合体(A)の配合量が上記範囲にあると、低複屈折性を有し、耐侯性、耐熱性に優れた熱可塑性樹脂組成物や光学フィルムを得ることができる。ビニル系重合体(B)の配合量が上記下限未満になると、得られる熱可塑性樹脂組成物や光学フィルムの複屈折値が十分に小さくならないことがある。また、ビニル系重合体(B)の配合量が上記上限を超えると、得られる熱可塑性樹脂組成物や光学フィルムの耐熱性が低下したり、光学フィルムの透明性が低下したりすることがある。
また、このような光学フィルムから位相差フィルムを形成する場合には、環状オレフィン系重合体(B)100重量部に対して、ビニル系重合体(A)が好ましくは10〜100重量部、より好ましくは15〜75重量部、特に好ましくは20〜65重量部の割合で含有する熱可塑性樹脂組成物が望ましい。このような熱可塑性樹脂組成物を用いると、優れた位相差発現性を有する位相差フィルムを得ることができる。
一方、上記熱可塑性樹脂組成物を射出成形品に適用する場合、環状オレフィン系重合体(B)100重量部に対して、ビニル系重合体(A)が好ましくは10〜300重量部、より好ましくは30〜150重量部、特に好ましくは40〜100重量部の割合である。
上記熱可塑性樹脂組成物および光学フィルムは、さらに炭化水素樹脂を含有していてもよい。この炭化水素樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5系/C9系混合樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、オレフィン/ビニル置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、シクロペンタジエン系化合物/ビニル置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、これらの樹脂の水素添加物およびビニル置換芳香族系樹脂の水素添加物などを挙げることができる。炭化水素樹脂の含有量は、環状オレフィン系重合体(B)100重量部に対して、通常0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜25重量部である。
また、上記熱可塑性樹脂組成物および光学フィルムは、耐熱劣化性や耐光性の改良のために、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等の公知のフェノール系、ヒドロキノン系酸化防止剤;トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等の公知のリン系酸化防止剤を含有しても良い。これらの酸化防止剤は1種または2種以上を含有することができる。更に、上記熱可塑性樹脂組成物および光学フィルムは耐光性の改良のために、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]等の公知の紫外線吸収剤を含有していてもよい。更に、加工性を向上させる滑剤の他、必要に応じて難燃剤、抗菌剤、着色剤、離型剤、発泡剤等の公知の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、たとえば、
(i)ビニル系重合体(A)と環状オレフィン系重合体(B)と任意成分とを、二軸押出機またはロール混練機などを用いて混合する方法、
(ii)環状オレフィン系重合体(B)を適当な溶媒に溶解した溶液に、ビニル系重合体(A)を添加、混合する方法
により製造することができる。
<光学フィルムの製造方法>
本発明に係る光学フィルムは、上記熱可塑性樹脂組成物を、公知の成形方法、たとえば、射出成形法、圧縮成形法または押出成形法などを用いてフィルム状に成形することによって製造できる。
また、ビニル系重合体(A)および環状オレフィン系重合体(B)を適当な溶媒に溶解または分散した後、溶剤キャスト法によってフィルムを形成して製造することもできる。このとき用いられる溶媒は、溶剤キャスト法に通常用いられ、ビニル系重合体(A)および環状オレフィン系重合体(B)を十分に溶解できるものであれば特に制限されないが、たとえば、極性溶媒、非極性溶媒を用いることができる。ここで、極性溶媒とは、20℃での誘電率が4以上から80未満のもの、非極性溶媒とは1以上4未満のものである。
このような極性溶媒としては、水(78.5)、ジメチルスルホキシド(46.7)、アセトニトリル(37.5)、N,N−ジメチルアセトアミド(37.8)、γ−ブチロラクトン(39.0)、ジメチルホルムアミド(36.7)、メタノール(32.6)、N−メチル−2−ピロリドン(32.0)、テトラメチル尿素(23.0)、アセトン(20.7)、1−プロパノール(20.1)、メチルエチルケトン(18.5)、2−プロパノール(18.3)、1−ブタノール(17.8)、2−メトキシエタノール(16.9)、2−ブタノール(15.8)、イソブチルアルコール(15.8)、2−エトキシエタノール(13.0)、ピリジン(12.3)、o−ジクロロベンゼン(9.9)、塩化メチレン(9.1)、テトラヒドロフラン(7.6)、酢酸(6.2)、エチルアセテート(6.0)、クロロベンゼン(5.7)、クロロホルム(4.8)、ジエチルエーテル(4.3)などを挙げることができる。
また、非極性溶媒としては、o−キシレン(2.6)、トルエン(2.4)、p−キシレン(2.3)、ベンゼン(2.3)、四塩化炭素(2.2)、シクロヘキサン(2.0)、シクロペンタン(2.0)、ヘプタン(1.9)、ヘキサン(1.9)、ノナン(2.0)、ペンタン(1.8)、トリクロロエチレン(3.4)、2,2,4−トリメチルペンタン(1.9)、などをあげることができる。なお、上記括弧内の数字は、各溶媒の誘電率を示す。
上記溶媒は単独でまたは複数を混合して使用することができる。上記溶媒を混合して使用する場合、混合溶媒の20℃での誘電率は2〜15、好ましくは2〜10の範囲にあることが好ましい。このとき、混合溶媒の20℃での誘電率の値は、溶媒の混合比(重量比)で予測することができ、たとえば、溶媒aと溶媒bとを混合した場合、それぞれの重量分率をWaおよびWb、20℃での誘電率をεa、εbとすると混合溶媒の誘電率(ε値)は下記式:
ε値=Wa・εa+Wb・εb
により計算した値として求めることができる。
これらの溶媒のうち、ビニル系重合体(A)および環状オレフィン系重合体(B)が均一に相溶したフィルムを製造できる条件幅が広いことから、トルエンを用いることが特に好ましい。
上記溶剤キャスト法に用いられる溶液(以下、「フィルム形成液」ともいう。)において、上記熱可塑性樹脂組成物の濃度は、通常0.1〜70重量%であり、好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは10〜35重量%である。この濃度が低すぎると、所望の厚みを有するフィルムを得ることが困難となるとともに、乾燥により溶媒を除去する際に溶媒の蒸発に伴って発泡等が生じやすく、表面平滑性が良好なフィルムを得ることが困難となることがある。一方、上記濃度が高すぎると、フィルム形成液の粘度が高くなりすぎるため、厚みや表面状態が均一なフィルムを得ることが困難となることがある。
フィルム形成液の粘度は、室温で、通常1〜1,000,000(mPa・s)、好ましくは10〜100,000(mPa・s)、さらに好ましくは100〜80,000(mPa・s)、特に好ましくは1000〜60,000(mPa・s)である。
上記フィルム形成液を調製する際の温度は、室温でもそれより高温でもよく、十分に撹拌することにより、環状オレフィン系重合体(A)およびビニル系重合体(B)が均一に溶解または分散する温度であればよい。
上記フィルム形成液には、必要に応じて、染料、顔料等の着色剤を適宜添加することができ、これにより、着色されたフィルムを得ることができる。
また、得られるフィルムの表面平滑性を向上させるために、フィルム形成液にレベリング剤を添加してもよい。レベリング剤としては、一般的なものであれば種々のものを用いることができ、たとえば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
このようにして調製されたフィルム形成液を適当なキャリヤー上に注ぐか、または塗布することによって流延し、これによりキャリヤー上にフィルム形成液の液層を形成する。上記キャリヤーとしては、金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等よりなるポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン製ベルトなどを用いることができる。
キャリヤーとしてポリエステルフィルムを使用する場合、表面処理されたフィルムを使用してもよい。表面処理の方法としては、一般的に行われている親水化処理方法、たとえば、ポリエステルフィルムの表面に、アクリル系樹脂やスルホン酸塩基含有樹脂をコーティングまたはラミネートすることにより、これらの樹脂よりなる層を形成する方法、あるいは、コロナ放電処理等によりフィルム表面の親水性を向上させる方法等が挙げられる。
また、キャリヤーとして、たとえば、金属ドラム、スチールベルト、ポリエステルフィルム等の表面にサンドマット処理やエンボス処理を施して凹凸を形成したものを用いることにより、得られるフィルムの表面に、キャリヤーの表面の凹凸が転写され、これにより、光拡散機能を有するフィルムを製造することができる。もちろん、フィルムに直接サンドマット処理を施すことにより、当該フィルムに光拡散機能を付与することも可能である。
フィルム形成液を塗布する方法としては、ダイスやコーターを使用する方法、スプレー法、刷毛塗り法、ロールコート法、スピンコート法、ディッピング法などが挙げられる。
また、フィルム形成液を繰り返し塗布することにより、得られるフィルムの厚みや表面平滑性を制御することができる。
このようにしてキャリヤー上に形成した液層に対して、乾燥等による溶媒の除去処理を行う。乾燥方法としては、一般的に用いられる乾燥処理法、たとえば、多数のローラーによって乾燥炉中を通過させる方法を利用することができるが、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴って気泡が発生すると、得られるフィルムの特性を著しく低下させるので、これを回避するために、乾燥工程を2段以上の複数工程とし、各工程における温度あるいは風量を制御することが好ましい。
その後、乾燥して得られる膜をキャリヤーから剥離させることにより、本発明に係る光学フィルムを得ることができる。
このようにして得られた光学フィルムは、残留溶媒量が、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。フィルム中の残留溶媒量が上記上限を超えると、フィルム使用時において寸法の経時変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒によりガラス転移温度が低くなり、耐熱性も低下することがあるため好ましくない。
この光学フィルムを本発明に係る位相差フィルムの原反フィルムとして用いる場合には、フィルム中の残留溶媒量を上記範囲内で適宜調節することが特に必要となる場合がある。具体的には、延伸配向処理によってフィルムに位相差を安定して均一に発現させるために、フィルム中の残留溶媒量を通常10〜0.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、さらに好ましくは1〜0.1重量%にすることが望ましい。フィルム中に微量の溶媒を残留させることにより、延伸配向処理が容易になる、あるいは位相差発現性の制御が容易になることがある。
上記光学フィルムの厚みは、通常0.1〜3,000μm、好ましくは0.1〜1,000μm、さらに好ましくは1〜500μm、最も好ましくは5〜300μmである。フィルムが薄すぎると、フィルムの取扱い性が低下することがあり、厚すぎると、ロール状に巻き取ることが困難になることがある。
上記光学フィルムの厚み分布は、平均値に対して通常±20%以内、好ましくは±10%以内、さらに好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動率は、通常10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。フィルムの厚み分布を上記の範囲内に制御することにより、上記光学フィルムを延伸配向したフィルムにおいて、位相差ムラの発生を防止することができる。
<位相差フィルム>
本発明に係る位相差フィルムは、上記光学フィルムに延伸加工(延伸配向処理)を施すことにより製造することができる。上記延伸加工により、フィルムを形成する重合体の分子鎖が一定の方向に規則的に配向して、透過光に位相差を与える機能が発現される。ここで、「規則的に配向」とは、通常の高分子化合物(ポリマー)を溶融押し出し法やキャスト法等によりフィルム状に成形した場合には、工程中で発生するフィルムの歪みの大小にもよるが、当該高分子化合物の分子鎖は特定な方向を向かずにランダムな状態であるのに対し、高分子化合物の分子鎖がフィルムの平面の一軸方向または二軸方向あるいは厚み方向に規則的に配向していることを意味する。高分子化合物の配向の規則性の程度はさまざまであり、延伸条件により制御することができる。
延伸加工法として、具体的には、公知の一軸延伸法または二軸延伸法を挙げることができる。すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、円周の異なる二組のロールを利用する縦一軸延伸法、あるいは横一軸と縦一軸を組み合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法等が挙げられる。
一軸延伸法を用いる場合には、延伸速度は通常1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
二軸延伸法としては、同時に互いに交わる2方向に延伸を行う方法や一軸延伸した後に最初の延伸方向と異なる方向に延伸を行う方法が挙げられる。これらの方法において、2つの延伸軸の交わり角度は、所望する特性に応じて決定されるため特に限定はされないが、通常120〜60度の範囲である。また、延伸速度は各延伸方向で同じであっても、異なっていてもよく、通常1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、さらに好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
延伸加工における加工温度は、特に限定されるものではないが、用いられる光学フィルム(熱可塑性樹脂組成物)のガラス転移温度をTgとしたとき、通常Tg以上Tg+30℃以下、好ましくはTg以上Tg+20℃以下、より好ましくはTg以上Tg+10℃以下であることが望ましい。延伸温度が上記範囲内にあると、高い位相差を発現でき、かつ位相差ムラの発生を抑制することが可能となり、また、屈折率楕円体の制御が容易になることから好ましい。
延伸倍率は、所望の位相差など種々の特性に応じて決定されるため、特に限定はされないが、通常1.01〜10倍、好ましくは1.03〜5倍、さらに好ましくは1.03〜3倍である。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の場合、Tg近傍で延伸加工できるため、低倍率の延伸でもフィルムに高い応力をかけることが可能であり、高い位相差を得ることができる。また、上記のように比較的小さい延伸倍率であると、透明性、光軸のずれのない位相差フィルムを容易に製造することができる。なお、延伸倍率が大きすぎると、位相差の制御が困難となることがある。
上記のようにして延伸したフィルムは、そのまま室温で冷却してもよいが、Tg−100℃以上Tg以下程度の温度雰囲気下に少なくとも10秒間以上、好ましくは30秒間〜60分間、さらに好ましくは1分間〜60分間保持してヒートセットし、その後、室温まで冷却することが好ましく、これにより、透過光の位相差の経時変化が少なく、安定した位相差特性を有する位相差フィルムが得られる。
上記のようにして得られる位相差フィルムは、延伸により分子が配向することにより、透過光に位相差を付与しているが、この位相差の絶対値は、延伸倍率あるいは延伸前のフィルムの厚み等を調整することにより制御することができる。たとえば、延伸前の厚みが同じフィルムであっても、延伸倍率が大きいフィルムほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更することによって所望の位相差を透過光に付与する位相差フィルムを得ることができる。また、延伸倍率が同じであっても、延伸前のフィルムの厚みが大きいほど透過光に付与する位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸前のフィルムの厚みを変更することによって所望の位相差を透過光に付与する位相差フィルムを得ることができる。
上記のようにして得られる位相差フィルムにおいて、透過光に付与する位相差の値は、その用途により決定されるものであり一義的に決定されるものではないが、液晶表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子あるいはレーザー光学系の波長板に使用する場合には、通常1〜10,000nm、好ましくは10〜2,000nm、さらに好ましくは15〜1,000nmであることが望ましい。
また、フィルムを透過した光の位相差は、その均一性が高いことが好ましく、具体的には、光線波長550nmにおけるバラツキが通常±20%以下であり、好ましくは10%以下、さらに好ましくは±5%以下であるのが望ましい。位相差のバラツキが±20%の範囲を超える場合には、液晶表示素子等に使用したときに、色ムラ等が発生し、ディスプレイ本体の性能が低下するという問題が生じることがある。
また、フィルムを透過した光の位相差は、透過光の波長に依存する。本発明に係る位相差フィルムは逆波長分散性を有することが好ましい。具体的には、波長400nm、550nm、660nm、800nmにおけるレターデーション値をそれぞれRe400、Re550、Re660、Re800とした時に、各値の関係がRe400<Re550<Re660<Re800であることが好ましい。更に、波長660nmにおける位相差(Re660)と波長550nmにおける位相差(Re550)との比(Re660/Re550)で表される波長分散性は、1.02以上となることが好ましく、1.03以上である事が特に好ましい。Re660/Re550が上記下限未満にある位相差フィルムを用いると液晶ディスプレイが鮮明さに欠けることがある。
このような逆波長分散性を有する位相差フィルムは、上記熱可塑性樹脂組成物から得られた厚み0.1〜3,000μmの光学フィルムを、延伸速度1〜5,000%/分で、1.01〜10倍に一軸または二軸延伸することにより製造することができる。
また、本発明に係る位相差フィルムは、位相差発現性(複屈折値)Δnが、波長550nmにおいて、通常0.0005以上、好ましくは0.0010以上、特に好ましくは0.0015以上である。Δnが上記下限未満になると、透過光に位相差を付与するためにはフィルムの膜厚を厚くする必要があり、膜厚が厚いフィルムでは光透過率が低下したり、フィルム製造時の乾燥時間が長くなり、フィルムの生産性低下が問題になる場合がある。
本発明に係る位相差フィルムは、1枚単独でまたは2枚以上を積層して、あるいは透明基板等に貼り合わせて用いることができる。また、その他のフィルム、シート、基板に積層して使用することもできる。
フィルム等を積層する場合には、粘着剤や接着剤を用いることができる。粘着剤や接着剤としては、透明性に優れたものを用いることが好ましく、具体例には、天然ゴム、合成ゴム、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、ポリビニルエーテル、アクリル系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂等の粘着剤や、水酸基、アミノ基等の官能基を有する前記樹脂等にイソシアナート基含有化合物などの硬化剤を添加した硬化型粘着剤、ポリウレタン系のドライラミネート用接着剤、合成ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。
また、その他のフィルム、シート、基板などと積層する際の作業性を向上させるために、上記の位相差フィルムには、予め、粘着剤層または接着剤層を積層することができる。粘着剤層または接着剤層を積層する場合、粘着剤や接着剤としては、前述の粘着剤あるいは接着剤を用いることができる。
本発明に係る光学フィルムや延伸フィルム(位相差フィルム)は、携帯電話、ディジタル情報端末機、ポケットベル、ナビゲーション、車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイなどの各種液晶表示素子や、エレクトロルミネッセンス表示素子あるいはタッチパネルなどに用いることができる。また、CD、CD−R、MD、MO、DVD等の光ディスクの記録・再生装置に使用される波長板としても有用である。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。
<測定・評価方法>
(1)固有粘度:
濃度0.5g/100mlのクロロベンゼン溶液を調製し、30℃の条件で測定した。
(2)分子量:
東ソー(株)製HLC−8020ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、カラム:東ソー(株)製TSKgelGMXXL、TSKgelG7000HXL)を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒で、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
(3)ガラス転移温度:
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度を毎分20℃、窒素気流下で測定した。Tgは、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)および最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。
(4)透明性(全光線透過率の測定):
作製したフィルムの全光線透過率をJIS K7105(測定法A)に準じて、HAZEメーター(スガ試験機(株)製、HGM−2DP)を用いて測定した。
(5)HAZE:
作製したフィルムのHAZEをJIS K7105に準じて、HAZEメーター(スガ試験機(株)製、HGM−2DP)を用いて測定した。
(6)フィルムの透明性
キャストフィルム(未延伸)について、透明性を目視にて以下の評価基準で評価した。
○:フィルムを蛍光灯にかざして観察しても全く曇り(白濁)が見られない
△:一見透明であるが、フィルムを蛍光灯にかざして観察すると若干曇り(白濁)が見える
×:一見してフィルムに曇り(白濁)が見える
(7)位相差フィルムの位相差、複屈折値、波長分散性:
延伸後のフィルムについて、550nmおよび660nmにおける位相差(レターデーション)を自動複屈折計(王子計測機器(株)製、KOBRA−21ADH)を用いて測定した。位相差フィルムの複屈折値、波長分散性は次式により求めた。
複屈折値(Δn)=R550/d
波長分散性=R660/R550
(R550、R660:波長550nmおよび660nmにおける位相差、d:膜厚)
[調製例1]
特定単量体として下記式
Figure 0005135799
で表される8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10.]−3−ドデセン50g、分子量調整剤として1−ヘキセン3.5g、および溶媒としてトルエン100gを、窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウムのトルエン溶液(濃度:0.6mol/l)0.09ml、メタノール変性六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度:0.025mol/l)0.29mlを加え、80℃で1時間反応させることにより開環重合させた。
次いで得られた開環重合体のトルエン溶液をオートクレーブに仕込み、さらにトルエンを加えて全量を500mlとした。これに水素添加触媒としてRuHCl(CO)[P(C65)3]3を50mg添加した後、水素ガス圧を9.5〜10MPaとし、160〜165℃にて3時間反応させた。反応終了後、多量のメタノール溶液に再沈殿させることにより、開環重合体の水素添加物である環状オレフィン重合体(1)を得た(固有粘度[η]=0.78dl/g、重量平均分子量(Mw)=11.5×104、分子量分布(Mw/Mn)=3.20、ガラス転移温度(Tg)=167℃)。NMR測定の結果、この環状オレフィン重合体(1)の水素添加率は99.6%であった。
[調製例2]
反応容器にスチレン9.8g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.2g、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.033g、トルエン5mlを仕込んだ(仕込比に基づく共重合比;スチレン由来の構造単位/2−ヒドロキシエチルメタクリレート由来の構造単位=98/2(重量比))。これを窒素気流で10分間バブリングした後、80℃で7時間反応させた。反応終了後、多量のメタノール中に再沈殿させることにより、スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(1)を得た。当該スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(1)は重量平均分子量(Mw)=79,800、分子量分布(Mw/Mn)=2.11、ガラス転移温度(Tg)=103℃であった。
[調製例3]
反応容器にスチレン9.6g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.4g、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.06g、トルエン5mlを仕込んだ(仕込比に基づく共重合比;スチレン由来の構造単位/2−ヒドロキシエチルメタクリレート由来の構造単位=96/4(重量比))。これを窒素気流で10分間バブリングした後、80℃で6時間反応させた。反応終了後、多量のメタノール中に再沈殿させることにより、スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(2)を得た。当該スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(2)は重量平均分子量(Mw)=80400、分子量分布(Mw/Mn)=2.13、ガラス転移温度(Tg)=103℃であった。
[調製例4]
反応容器にスチレン9.2g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.8g、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.033g、トルエン5mlを仕込んだ(仕込比に基づく共重合比;スチレン由来の構造単位/2−ヒドロキシエチルメタクリレート由来の構造単位=92/8(重量比))。これを窒素気流で10分間バブリングした後、80℃で7時間反応させた。反応終了後、多量のメタノール中に再沈殿させることにより、スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(3)を得た。当該スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(3)は重量平均分子量(Mw)=80900、分子量分布(Mw/Mn)=1.92、ガラス転移温度(Tg)=103℃であった。
[調製例5]
反応容器にスチレン9.9g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.1g、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.033g、トルエン5mlを仕込んだ(仕込比に基づく共重合比;スチレン由来の構造単位/2−ヒドロキシエチルメタクリレート由来の構造単位=99/1(重量比))。これを窒素気流で10分間バブリングした後、80℃で7時間反応させた。反応終了後、多量のメタノール中に再沈殿させることにより、スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(4)を得た。当該スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(4)は重量平均分子量(Mw)=65300、分子量分布(Mw/Mn)=1.77、ガラス転移温度(Tg)=103℃であった。
環状オレフィン重合体(1)とスチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(1)を、環状オレフィン重合体(1):スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(1)=65:35の配合比(重量比)でトルエンに溶解して濃度30重量%の溶液を調整した後、溶液キャスト法により製膜、100℃で72時間真空乾燥して膜厚135μmの透明フィルム(HAZE値=1.1)を得た。示差走査熱量測定(DSC測定)を実施したところ、この透明フィルムは単一のTg=106℃を示した。これらの結果から、環状オレフィン重合体(1)とスチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(1)とは完全に相溶化している事が確認された。
上記透明フィルムを10mm×80mmに切断し、これを恒温槽付きインストロン引張り試験機(5567型)を使用し、延伸温度121℃(Tg+15℃)および延伸速度60mm/s、チャック間距離50mmの条件で自由端一軸延伸法にて、2.0倍に延伸して93μmの位相差測定用試料を得た。
環状オレフィン重合体(1)とスチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(2)を、環状オレフィン重合体(1):スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(2)=65:35の配合比(重量比)でトルエンに溶解して濃度30重量%の溶液を調整した後、溶液キャスト法により製膜、100℃で72時間真空乾燥して膜厚112μmの透明フィルム(HAZE値=0.5)を得た。示差走査熱量測定(DSC測定)を実施したところ、この透明フィルムは単一のTg=105℃を示した。これらの結果から、環状オレフィン重合体(1)とスチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(2)とは完全に相溶化している事が確認された。
上記透明フィルムを10mm×80mmに切断し、これを恒温槽付きインストロン引張り試験機(5567型)を使用し、延伸温度120℃(Tg+15℃)および延伸速度60mm/s、チャック間距離50mmの条件で自由端一軸延伸法にて、2.0倍に延伸して81μmの位相差測定用試料を得た。
環状オレフィン重合体(1)とスチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(3)を環状オレフィン重合体(1):スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(3)=65:35の配合比(重量比)でトルエンに溶解して濃度30重量%の溶液を調整した後、溶液キャスト法により製膜、100℃で72時間真空乾燥して膜厚147μmのほぼ透明なフィルム(HAZE値=7.0)を得た。示差走査熱量測定(DSC測定)を実施したところ、この透明フィルムは単一のTg=105℃を示した。これらの結果から、環状オレフィン重合体(1)とスチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(3)とは相溶化している事が確認された。
上記透明フィルムを10mm×80mmに切断し、これを恒温槽付きインストロン引張り試験機(5567型)を使用し、延伸温度120℃(Tg+15℃)および延伸速度60mm/s、チャック間距離50mmの条件で自由端一軸延伸法にて、2.0倍に延伸して104μmの位相差測定用試料を得た。
[比較例1]
環状オレフィン重合体(1)のみをトルエンに溶解して濃度30重量%の溶液を調整した後、溶液キャスト法により製膜、100℃で72時間真空乾燥して膜厚100μmの透明なフィルム(HAZE値=0.4)を得た。示差走査熱量測定(DSC測定)を実施したところ、この透明フィルムは単一のTg=167℃を示した。
上記透明フィルムを10mm×80mmに切断し、これを恒温槽付きインストロン引張り試験機(5567型)を使用し、延伸温度182℃(Tg+15℃)および延伸速度60mm/s、チャック間距離50mmの条件で自由端一軸延伸法にて、2.0倍に延伸して70μmの位相差測定用試料を得た。
[比較例2]
環状オレフィン重合体(1)とスチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(4)を環状オレフィン重合体(1):スチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(4)=65:35の配合比(重量比)でトルエンに溶解して濃度30重量%の溶液を調整した後、溶液キャスト法により製膜、100℃で72時間真空乾燥して膜厚100μmのフィルム(HAZE値=87.4)を得た。このフィルムは不透明であり、更に示差走査熱量測定(DSC測定)の結果、環状オレフィン重合体(1)およびスチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(4)にそれぞれ起因するTgが観測され、環状オレフィン重合体(1)とスチレン/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(4)とは相溶化しない事が確認された。よって、このフィルムの延伸評価をするには至らなかった。
[比較例3]
環状オレフィン重合体(1)と市販ポリスチレン(PSJ−ジャパン製ポリスチレン:Mw=219000、Mw/Mn=2.69、Tg=101℃)を環状オレフィン重合体(1)/ポリスチレン=65/35の配合比(重量比)でトルエンに溶解して濃度30重量%の溶液を調整した後、溶液キャスト法により製膜、100℃で72時間真空乾燥して膜厚175μmのフィルム(HAZE値=89.0)を得た。このフィルムは不透明であり、更に示差走査熱量測定(DSC測定)の結果、環状オレフィン重合体(1)およびポリスチレンにそれぞれ起因するTgが観測され、環状オレフィン重合体(1)とポリスチレンとは相溶化しない事が確認された。よって、このフィルムの延伸評価をするには至らなかった。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0005135799
上記表から明らかなように、実施例1〜3で得られた樹脂組成物の延伸フィルムは、比較例1で得られたものに比べ、小さな複屈折値を示し、本発明の樹脂組成物が従来の環状オレフィン系重合体よりも低複屈折材料であることが明らかである。また、表に記載の数値から見て、本発明の樹脂組成物の複屈折の絶対値の大きさは、ビニル系重合体の組成、および環状オレフィン系重合体とビニル系重合体のブレンド比により調整できる事が明らかであり、本発明によって延伸フィルム(位相差フィルム)などの成形品に要求される所望の複屈折値を発現する材料、特に低複屈折材料およびその光学フィルムを提供できる。
また、ASV方式低反射ブラックTFT液晶を採用しているシャープ株式会社製液晶テレビ(LC−13B1−S)の液晶パネルの観察者側の前面に貼付している偏光板および位相差フィルムを剥離し、この剥離した箇所に元々貼付されていた偏光板の透過軸と同一にして、剥離した偏光板および実施例2で得た延伸フィルムと同等の位相差の波長依存性を有したRe(550)が137nm±5nmの延伸フィルムを液晶セル側になるように貼付した。
この実施例2で得られた延伸フィルムを有する液晶テレビの方位角45度で極角60度方向での黒表示における着色が少なくコントラストが良好で視認性に優れることが確認できた。
また、表に記載の数値に示す様に、実施例1〜3で得られた樹脂組成物の延伸フィルムは、比較例の波長分散性(Re400>Re550>Re800)と異なり、Re400<Re550<Re800となる、特異な波長分散性(逆波長分散性)を示すことが明らかである。本発明の樹脂組成物の波長分散の大きさは、ビニル系重合体の組成、および環状オレフィン系重合体とビニル系重合体のブレンド比により調整できる事が明らかであり、本発明によって延伸フィルムなどの成形品に要求される所望の複屈折(または位相差)の波長分散を発現する材料およびその光学フィルムを提供することができる。
特開2001−337222号公報に開示されている無水マレイン酸無水物/スチレン共重合体中の無水物ユニットは反応性が高く、雰囲気中の水分と反応して変性する可能性が懸念されるため、当該樹脂組成物からなる位相差フィルムは長期安定性が懸念されるが、本発明による樹脂組成物は雰囲気中の水分等で変性する官能基を有さない為、より信頼性の高い延伸フィルム(位相差フィルム)を提供する事が可能である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で表される単位を有するビニル系重合体(A)と、環状オレフィン系重合体(B)を含有し、かつ、
    該ビニル系重合体(A)が、下記式(1)で表される各繰り返し単位を有する重合体である
    ことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物;
    Figure 0005135799
    上記(I)中、R1〜R3はそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示し、nは0または正の整数である。)
    Figure 0005135799
    (上記式(1)中、R 1 〜R 7 は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示し、R 5 は全て同一の原子または基であっても、互いに異なる原子または基であってもよく、nは0または正の整数であり、x、yおよびzは、x+y+z=100重量%とした場合の各繰り返し単位の重量比を示し、1<x<20、かつ、80<y<99を満たす。)
  2. 前記ビニル系重合体(A)が、一般式(1)においてnが0≦n<4であり、かつR1〜R4が水素原子またはメチル基であることを特徴とする請求項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記環状オレフィン系重合体(B)が下記一般式(2)で表される単量体を重合したものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物;
    Figure 0005135799
    (式中、fおよびgは、それぞれ独立に0または1であり、但し、これらの少なくとも一方は1であり、hおよびiは、それぞれ独立に0〜2の整数である。R8〜R17は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;および極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、R14とR15、および/またはR16とR17は、一体化して炭化水素基を形成してもよく、R14またはR15と、R16またはR17とは、相互に結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい)を形成してもよい。)。
  4. 前記環状オレフィン系重合体(B)が一般式(2)で表される単量体を開環重合して得られる、下記一般式(3)で表される構造単位を有する重合体であることを特徴とする請求項に記載の熱可塑性樹脂組成物;
    Figure 0005135799
    (式中、fおよびgは、それぞれ独立に0または1であり、但し、これらの少なくとも一方は1であり、hおよびiは、それぞれ独立に0〜2の整数である。R8〜R17は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、硫黄原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;および極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を表し、R14とR15、および/またはR16とR17は、一体化して炭化水素基を形成してもよく、R14またはR15と、R16またはR17とは、相互に結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい)を形成してもよい。Aは式:−CH=CH−で表される基または式:−CH2CH2−で表される基であり、複数存在するAは同一または異なる。)。
  5. 環状オレフィン系重合体(B)が前記一般式(3)において、h=0であり、iが0または1であり、かつ、R14〜R17のうち少なくとも一つが、式:−(CH2)pCOOR18(式中、R18は炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、pは0〜10の整数である。)で表される基である構造単位を含むことを特徴とする請求項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. ビニル系重合体(A)と環状オレフィン系重合体(B)のブレンド比(A/B)が重量比で10/90〜50/50であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする光学フィルム。
  8. 請求項に記載の光学フィルムを延伸配向することにより得られ、波長400nm、550nm、800nmにおけるレターデーション値をそれぞれRe400、Re550、Re800とした時に、各値の関係がRe400<Re550<Re800であることを特徴とする延伸フィルム。
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