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JP5140930B2 - 金属酸化物粒子複合体、それを用いた樹脂複合材、及びそれらの製造方法 - Google Patents
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金属酸化物粒子複合体、それを用いた樹脂複合材、及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高い機械物性と透明性を両立する材料及びその材料を用いた無機ガラス代替物に関するものである。
自動車における樹脂適用の増加を代表的な例として、樹脂材料が軽量化に寄与することは広く知られている。最近では、これまで鋼板が用いられていた自動車外板パネルにおいても、軽量化を主たる目的としてポリアミド系材料が適用されるなど、軽量化に果たす樹脂化の役割は大きい。外板パネル以外においても、燃料タンクがこれまでの鋼板製のものから、ポリエチレンを主たる材料にした樹脂製の中空容器に変わるなど、金属材料から樹脂材料への代替は増加の傾向にある。
しかしながら、その一方でウインドシールドをはじめとするガラス部材においては、樹脂化は殆ど進んでいないのが現状である。ガラスが有する透明性、耐衝撃性は、すでにポリカーボネート樹脂によって得られているものの、熱に対する樹脂の膨張量(例えば、線膨張係数)が、ガラスのそれに比べてきわめて大きいこと、曲げ剛性(たとえば、曲げ弾性率)でガラスに劣ることから、ガラスに代わる樹脂は一般的には得られていない。
熱膨張量の低減には、ガラス繊維等による補強が知られているが、透明性確保の為には、非強化樹脂を選択せざるを得ない。すなわち、透明性を有し、且つ熱膨張量が小さく、剛性が高い、という樹脂は得られていないというのが実情である。
一方、樹脂の諸物性を向上させる手法として、樹脂の特徴である柔軟性、低密度や成形性などを保持しつつ、無機化合物の特徴である高強度、高弾性率、耐熱性、電気特性などを併せ持つ材料の開発が盛んに行われており、このような物性改良手法として、従来のガラス繊維やタルクなどによる強化樹脂に代わり、ナノオーダーレベルの無機微粒子を用いた複合材料、いわゆるポリマーナノコンポジットが注目されてきている。このような複合材料の例としては、「複合材料及びその製造方法(特許第2519045号/豊田中研)」や「ポリアミド複合材料及びその製造方法(特公平7−47644/宇部興産他)」、「ポリオレフイン系複合材料およびその製造方法(特開平10−30039/昭和電工)」などが挙げられる。
上記のようなナノオーダーレベルの無機微粒子を用いたポリマーナノコンポジットでは、いずれの場合も、微細な無機微粒子の分散性向上が物性向上の大きなポイントのひとつであり、無機微粒子の分散性を高効率、低コストで向上させるため、様々な分散方法が検討、提案されている。
このような分散方法の一手段として混練法が挙げられる。前述の特公平7−47644や特開平10−30039がこれにあたり、溶融状態のポリマーとナノオーダーレベルの無機微粒子を混練機などを用いて溶融混練するものである。また混練法において分散性を更に向上させる方法として、層状クレーを極性溶媒に分散しておきこれをポリマーの溶融状態で接触させる「樹脂複合材料の製造方法(特開平11−310643/豊田中研)」や、混練する際に無機微粒子とポリマーに超臨界流体を接触させる「樹脂組成物およびその製造方法(特開2000−53871/東レ)」が提案されている。
これらの方法では、無機微粒子やポリマーの改質、混練時の溶媒や超臨界流体の添加などの工夫により、比較的低コストでありながら分散性はある程度向上するものの、未だ十分な分散性が得られているとは言い難く、物性の改良代も十分とは言い難い。
このような理由から、「樹脂ウィンドウおよびその製法(特開平11-343349号)」においては、ポリマーを溶剤に溶解し、このポリマー溶液と溶剤に分散した無機微粒子とを十分混合した後、コンポジットを析出させる手法が述べられているが、この手法においても無機微粒子の一部が凝集することは避けられず、高い透明性を得るには至っていない。これは無機微粒子の表面改質が不十分であるためと推察される。また、得られた樹脂組成物の機械物性はある程度まで向上するものの、前記無機微粒子の低アスペクト比に起因して、十分なレベルにまで到達していない。
アスペクト比の高い無機微粒子としてはカーボンナノチューブが挙げられ、例えばハイペリオンの「熱可塑性エラストマー組成物および樹脂組成物」(特開平7-102112号)では、カーボンナノチューブを樹脂に添加した樹脂組成物を開示している。この場合、カーボンナノチューブの高いアスペクト比から高機械物性が期待される。しかしながら、カーボンナノチューブの可視光域の吸収係数はきわめて大きく、数%の添加量でコンポジットは黒く着色してしまい、十分な光線透過量は得られない。
また、他の高アスペクト比無機粒子を用いた例としては、岐阜県他の「針状ベーマイト及び針状アルミナ並びにそれらを含有する樹脂組成物」(特開2003-54941号)が挙げられる。かかる技術では、長軸長さ1〜10μm、アスペクト比が40〜70の針状ベーマイト及び針状アルミナを混練機で溶融混練することにより樹脂組成物を作製し、これまでのアスペクト比の低いフィラーを含有する樹脂組成物よりも高い機械物性を実現している。しかしながら、粒子サイズが可視光線波長に比べ相当に大きく、また分散性も十分でないため、十分な透明性を得るには至っていない。
さらにまた、同様に高アスペクト比のアルミナ粒子を用いた例として、帝人の「被覆繊維状酸化アルミナフィラー及びこれを含む熱可塑性樹脂組成物」(特開2004-149687)が挙げられる。かかる技術では、ナノオーダーレベルの粒子を用い、これをシランカップリング剤で表面処理し、分散性を向上し、フィルム等コンポジット材の表面性や弾性率、軟化温度の向上を図っている。しかしながら、シランカップリング材処理ではその反応性の点から十分な分散性が期待できず、表面性の改善は期待できても透明性の点では未だ不充分である。
一方、アルミナ粒子の分散性向上表面処理としては、サゾルの「有機溶媒中で分散可能な金属酸化物の製造方法」(特表2003-517418)が挙げられる。かかる技術ではアルキルベンゼンスルホン酸をアルミナなどに処方し、分散性を向上させるというものである。しかしながら、かかる技術では分散性は向上できるものの、含ベンゼン化合物では屈折率が1.56以上であり、アルミナなどが持つ値に対してほとんど変化をさせることができない。このため、高分子材料など他の材料と組合わせた場合には、屈折率差を低減することができず、白濁し、光学材料としては未だ不十分なものである。
以上のように、様々な検討がなされているが、これらの無機微粒子を用いたポリマーナノコンポジット(樹脂組成物)では、機械物性と透明性の双方を十分なレベルで両立することは未だできていない。この理由のひとつとしては、この目的を達成するための無機微粒子が得られていないためである。
特許第2519045号 特公平7−47644号 特開平10−30039号 特開平11−310643号 特開2000−53871号 特開平11−343349号 特開平7−102112号 特開2003−54941号 特開2004−149687号 特表2003−517418号
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、樹脂への分散性が優れるナノオーダーレベルの無機微粒子およびそれを用いた高弾性率、低線膨張係数の樹脂複合体を得ることを課題とする。
上記課題を達成すべく、本発明は、
リン酸又はリン酸エステル、及び芳香族スルホン酸類が、金属酸化物粒子に対して化学的に結合した金属酸化物粒子複合体であって、
さらには前記金属酸化物粒子複合体、樹脂から成ることを特徴とする樹脂複合材に関する。
上述したように、従来では機械的な特性と透明性を始めとする光学的特性とを向上させようとして、無機充填材と共にシランカップリング剤などの処理剤を添加していたが、この場合において機械的物性の向上は見られるものの、十分な分散性が得られないことから、光学的特性を損ねてしまい、両者を同時に達成することは不可能と考えられていた。
本発明では、所定の金属酸化物粒子に対して粒子表面処理剤となる芳香族スルホン酸類を分散剤として機能させ、併せてリン酸又はリン酸エステル類を屈折率の調整剤として機能させる。
芳香族スルホン酸類は、金属酸化物粒子に対して、イオン結合で強固に結びつき、一方スルホン酸基が結合している芳香環が強い疎水性を帯びているため、疎水性の溶媒、ひいては樹脂に対して金属酸化物粒子を分散させる。しかしながら、芳香族スルホン酸類は、芳香環を含有するがゆえに、屈折率が高く、ポリカーボネート系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、非晶性オレフィン樹脂に対しては、金属酸化物粒子との屈折率差を低減することが困難である。
一方、本発明が見出した、芳香族スルホン酸類に加えて添加する屈折率の低い酸類は、この屈折率コントロールを成すために添加するもので、リン酸もしくは脂肪族リン酸エステル類を用いれば、前記芳香族スルホン酸類で疎水性溶媒や疎水性樹脂への分散を得ながらにして、溶媒、樹脂との屈折率差をコントロール(低減)し、光の散乱による失透を著しく抑制することができる。リン酸、リン酸エステル類もまたイオン結合や、加熱によっては共有結合によって、金属酸化物粒子に対して強固に結びつくものである。
以上説明したように、本発明によれば、屈折率を調整した金属酸化物粒子により樹脂との屈折率差を低減することが可能となり、さらに該金属酸化物粒子を用いることで透明性を維持しながら機械的強度の優れる、樹脂複合材を得ることができるようになる。その結果、機械強度の面から不可能であった、例えば、自動車の有機ガラスとして用いることができ、従来の無機ガラスに比べ、大幅な軽量化に貢献することができる。
<金属酸化物粒子>
本発明の金属酸化物粒子としては、例えばケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、鉄酸化物、亜鉛酸化物、カルシウム酸化物、チタン酸化物、すず酸化物、ジルコニウム酸化物、マグネシウム酸化物、などを例示することができるが、機械的特性及び光学的特性を高い次元で両立させるには、シリカ、アルミナ、ヘマタイト、チタニア、カルシアが良く、中でも結晶性が良く、ナノサイズでありながらアスペクト比の高い粒子を作ることができるアルミナが好ましい。
なお、アルミナ粒子は下記一般式で表され、式中のnが0のときは酸化アルミニウムを表し、α、γ、δ、θアルミナを示し、nが1のときはベーマイト表す。またnが1を超えて3未満である場合は、ベーマイトと非晶構造のアルミナ水和物を表す。熱的安定性、市場入手性から前記アルミナ粒子の中でも、特に好ましくは針状などにも形状制御が容易なベーマイトである。
A1203・nH20
前記アルミナ粒子の形状は、繊維状、紡錘状、棒状、針状、筒状、柱状などの異方性を示すことが好ましく、特には、短軸長さが1〜10nmであり、長軸長さが20〜700nmであり、アスペクト比が5〜500であるような高異方性を示すものが好ましい。前記アルミナ粒子を含有させて高透明性の樹脂組成物を得ようとする場合は、特に粒子サイズは短軸長さが10nm以下であり、長軸長さが50〜500nmであることが好ましい。
なお、上記アルミナ粒子は、本発明者らによって研究開発されたものであり、一般には以下に示すような方法で製造することができる。
(反応混合物の生成)
上記アルミナ粒子を製造するに際しては、最初にアルミニウム金属塩水溶液中にアルカリ水溶液を添加し、得られた反応混合物中に水酸化アルミニウムのゲル状物質を生成する。
前記アルミニウム金属塩水溶液を構成するアルミニウム塩としては、塩化アルミニウム無水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化アルミニウム、臭化アルミニウム六水和物、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、乳酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物(ナトリウムミョウバン)、過塩素酸アルミニウム九水和物、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムs-ブトキシド、アルミニウムt-ブトキシドなどから選ばれる少なくとも1種類のアルミニウム金属塩が使用される。上記に挙げた中でも市場の入手のし易さ、取り扱いの容易さ、価格が安価な、塩化アルミニウム六水和物、硝酸アルミニウム九水和物、臭化アルミニウム六水和物、硫酸ナトリウムアルミニウム12水和物(ナトリウムミョウバン)、アルミニウムイソプロポキシドが好ましい。
また、前記アルカリ水溶液は前記アルミニウム金属塩の加水分解を促進するために反応系に添加するものである。前記アルカリ水溶液を構成するアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化バリウムなどから選ばれる少なくとも1種を例示することができる。特には、水酸化ナトリウムが好ましい。
なお、反応混合物中に副産物として、水に不溶な塩が生成するアルカリは適宜取り除く。
アルカリ化合物の使用量は、アルミニウム金属塩に対し、モル比で2〜4倍であることが好ましい。2倍未満では反応原料が熱処理して反応生成物を生成するのに不十分であり、反応溶液のゲル化も起きず、収率良く粒子を得ることができない場合がある。4倍以上では逆にpHが高すぎ、アルカリがゲルを溶かしてしまい、癒着や凝集する粒子が増す場合がある。
また、アルミニウム金属塩水溶液の濃度が1.0M−3.0Mであり、アルカリ水溶液の濃度が4.0M−10.0Mであることが好ましい。これによって、アルミニウム金属塩水溶液とアルカリ水溶液との反応混合物中のゲル状物質の生成を簡易に実現できるようになる。なお、前記アルミニウム金属塩水溶液における金属塩の濃度としては、前述したように、1.0M〜3.0Mで行なうことが好ましいが、生産性からそれぞれのアルミニウム金属塩溶解度上限の濃度がより好ましい。
さらに、本発明においては、前記反応混合物の濃度を変化させることによって、目的とするアルミナ粒子の形態を制御することができる。例えば、前記アルミニウム金属塩水溶液に対して前記アルカリ水溶液を総て滴下し、10分間撹拌して得た前記反応混合物のpHが4〜8となるように、前記アルカリ水溶液のpHを制御することにより、前記アルミナ粒子の形態を針状とすることができる。この場合、pH値の低下とともに、アスペクト比は増大する傾向にある。
なお、前記反応混合物のpHが4未満、若しくは12より大きくなってしまう場合、アルミナ粒子の形状が不定形となったり、針状や板状などの形状が混在してしまったりする場合がある。
前記反応混合物のpH値は、添加するアルカリ水溶液の濃度、容量を変更することで制御することができる。
一方、前記アルミニウム金属塩水溶液と前記アルカリ水溶液との容量は等しいか、前記アルカリ水溶液が少ないことが好ましい。前記アルカリ水溶液の濃度が薄く、溶液の量が多すぎるとゲル化が難しくなる。前記アルミニウム金属塩の濃度と、前記アルミニウム金属塩及び前記アルカリ水溶液の容量を固定すれば、後の形態制御は前記アルカリ水溶液の濃度を変えれば良いだけとなるので、合成条件項目を少なくするために容量は等しいことがより好ましい。
また、本発明では、前記アルミニウム金属塩水溶液の種類、すなわち前記アルミニウム塩の種類を適宜変化させることにより、前記アルミナ粒子の形態を制御することができる。例えば、前記アルミニウム金属塩水溶液を塩化アルミニウム六水和物の水溶液又は硝酸アルミニウムの水溶液から構成した場合、アルミナ粒子の形態を針状化することが容易となる。但し、前記塩化アルミニウム六水和物の水溶液を用いた場合に、アスペクト比のより高い針状のベーマイト粒子をより簡易に製造することができる。
以上のような工程を経ることにより、前記反応混合物中に前記ゲル状物質を生成することができる。この結果、以下に示す熱処理によるアルミナ粒子の成長過程において、成長過程にあるベーマイト粒子が前記ゲル状物質中で固定され、粒子同士の癒着や凝集が抑制されて、粒度分布幅が狭小化されたナノサイズレベルのアルミナ粒子を得ることができるようになる。
(熱処理)
上述のようにして反応混合物を生成させた後は、以下のようにして熱処理を行う。この熱処理は合計第4段階で行う。
第1の熱処理は、前記反応混合物を室温以上の第1の温度に加熱することによって行う。第1の熱処理は、主として、前記反応混合物内に生じた前記アルカリ金属塩の加水分解を促進し、前記反応混合物内における前記ゲル状物質の生成を促進させるためのものである。
前記第1の温度としては、室温(25℃)〜140℃で行なうことが好ましいが、反応時間を考慮すると120℃から140℃であることが好ましい。140℃を越える温度で第1の熱処理を行なうと、長さが不揃いのアルミナ粒子が生成してしまい、以降の熱処理を施行しても前記アルミナ粒子の粒度分布幅(標準偏差)を狭小化できない場合がある。なお、熱処理時間は24時間以上が好ましく、24時間未満では標準偏差の小さくなる効果が見られない。
第1の熱処理の後、第2の熱処理を行う。この第2の熱処理では、前記反応混合物を前記第1の熱処理における第1の温度よりも高い第2の温度に加熱することによって行う。この第2の熱処理は、主として高アスペクト比のアルミナ粒子を得るために行う。
前記第2の温度は前記第1の温度よりも高い温度で行う必要があり、具体的には140℃〜250℃の温度で行なうことができるが、特には170℃〜250℃であることが好ましい。140℃未満であると粒子生成に時間がかかるばかりでなく、標準偏差が大きくなる(粒度分布幅が広い)。また、250℃以上ではアスペクト比の小さな粒子を製造するには有利であるが、市販の通常グレードのオートクレーブの耐熱、耐圧容器が250℃で限界を迎えること、250℃のために大量のエネルギーを必要とすることから本製造方法では250℃以上を推奨しない。
第2の熱処理における熱処理時間は、昇温段階を含め10〜30分以内が好ましく、前記第2の温度の値に依存して変化する。また、上記規定時間を越える加熱は著しく平均粒子径の標準偏差を悪化させるばかりか、針状粒子は紡錘形状に、板状粒子は粒状となり、アスペクト比を損失する。
第2の熱処理の後、第3の熱処理を行う。この第3の熱処理では、前記第2の熱処理における第2の温度よりも低い第3の温度で熱処理を行う。この第3の熱処理は、主として前記アルミナ粒子の粒度分布幅(標準偏差)を狭小化するために行う。
前記第3の温度は、例えば130℃以下、好ましくは室温以下に設定する。そして、好ましくは前記第2の熱処理における前記第2の温度から急速に冷却して、前記第3の温度に設定する。この場合、冷却装置の費用、容器の耐温度差を考慮すると、前記熱処理を実施している容器を流水中に入れて行うことができる。なお、前記冷却に要する時間は短いほど好ましく、具体的には10分以内であることが好ましい。また、第3の熱処理時間は、前記冷却に要した時間も含め10分以上であることが好ましい。これによって、目的とするアルミナ粒子の粒度分布幅(標準偏差)をより狭小化することができるようになる。
前記第3の熱処理の後、第4の熱処理を行う。この第4の熱処理では、室温以上の第4の温度で熱処理を行う。この第4の熱処理は、主として前記高アスペクト比のアルミナ粒子の成長を行う。
前記第4の温度は室温以上に設定することが必要であり、好ましくは室温〜180℃の温度、特に好ましくは100℃〜180度の温度範囲に設定する。前記第4の温度が180℃よりも高いと、粒度分布幅を拡大させ、標準偏差を悪化させるばかりでなく、針状粒子は紡錘形状に、板状粒子は粒状となり、アスペクト比を損失する場合がある。詳しく述べると、第4の熱処理において、180℃以上の温度で熱処理を行なうと、生成していた粒子が再溶解、再結晶化(オストワルド熟成)し、粒子の形状、粒度分布幅が制御不能になる場合があり、これによって前記粒度分布幅を劣化させてしまう場合がある。また、前記第4の温度が100℃未満であると収率が悪化する場合がある。処理時間は4時間〜1週間であり、設定温度に応じて加熱時間が相違する。
上記の熱処理後、前記反応生成物が入った容器を放冷し、遠心分離機を用いて生成したベーマイト粒子と溶液とを分離する。その後、副生成物の塩を除くために硝酸ナトリウム水溶液(0.5M)で遠心洗浄(3回)し、遠心水洗(1回)し、水メタノール混合溶液(体積比 水:メタノール=0.5:9.5)で遠心洗浄を1回行った後、乾燥させることにより、目的とするアルミナ粒子を得る。
<樹脂>
本発明の樹脂複合材は透明性を目的としているので、透明性を有する樹脂を選択する必要がある。透明性を有する樹脂には種々あるが、市場での入手性や後述の添加剤に対する耐分解性から、ポリカーボネート樹脂、メタクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート)、非晶性ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、非晶性ポリオレフィン(例えば、シクロオレフィンポリマー)が望ましく、特に自動車用途としては、耐衝撃性の点からポリカーボネート樹脂、非晶性ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
<芳香族スルホン酸類>
本発明の樹脂複合材は、上述した金属酸化物粒子に対してイオン的に結合した芳香族スルホン酸類を含んでいる。芳香族スルホン酸化合物は特に限定されないが、粒子表面への反応性、化合物としての安定性、入手の容易さなどの理由から、ベンゼンスルホン酸、フェニルスルホン酸、トルエンスルホン酸、エタンベンゼンスルホン酸などのアリルスルホン酸の誘導体が好ましく、この内、トルエンスルホン酸、エタンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸が疎水性樹脂との相溶性の点から好ましい。なお、誘導体における置換部位には特に限定はなく、例えば、トルエンスルホン酸であれば、パラ位を置換したパラトルエンスルホン酸を相応しい例の1つとして挙げることができる。
上記芳香族スルホン酸類は、金属酸化物粒子に対して、イオン結合で強固に結びつき、一方スルホン酸基が結合している芳香環が強い疎水性を帯びているため、疎水性の溶媒、ひいては樹脂に対して金属酸化物粒子を分散させる作用効果を有する。
また、金属酸化物粒子を水中で合成した場合、得られるものは水分散の物となり、これを疎水性の溶媒に分散させる場合、かかる芳香族スルホン酸を水分散物に添加し、溶媒置換を通して、有機溶媒に金属酸化物粒子を分散させることができる。発明者らが検討した結果では、金属酸化物がベーマイトの場合では、特にパラトルエンスルホン酸、パラエタンベンゼンスルホン酸、パラフェノールスルホン酸の分散能が優れていることが確認できている。
<リン酸又はリン酸エステル酸類>
前述のとおり、上述した金属酸化物粒子に対してスルホン酸を作用させてだけでは、透明性に寄与させ得る屈折率のコントロールは困難である。例えば、ポリカーボネート樹脂とアルミナ粒子の複合体を考えると、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の23℃における波長589nmの屈折率は、1.585であり、アルミナ粒子の同じ条件での屈折率は、1.61以上である。一方、パラトルエンスルホン酸の同じ条件での屈折率は1.595であり、パラトルエンスルホン酸を添加しても、アルミナ粒子とポリカーボネート樹脂の屈折率差は、依然大きな差を残してしまい、アルミナのわずかな凝集によって容易に失透しやすい。そこで、この屈折率差を小さくする方法として、屈折率の低い酸をさらに添加することで解決を図ることができる。
リン酸類、リン酸エステル類の簡便な選定には、使用する量を混合しその合成屈折率を計測する手法を用いることができる。具体的には、芳香族スルホン酸類とリン酸類もしくはリン酸エステル類とを混合し、23℃、測定波長589nmでの屈折率を1.40〜1.60とすることである。かかる混合屈折率は、樹脂複合材の透明性の点では好ましくは1.43〜1.58、更に好ましくは1.45〜1.56である。これらの屈折率測定には、汎用のアッペ式屈折率計によって計測される。かかる混合屈折率は、前記アルミナ粒子を被覆した状態の該粒子の屈折率を支配するものなので、樹脂複合材の透明性に影響を与える因子である。
詳細には、上述したリン酸類、リン酸エステル類は、その屈折率が1.55以下であることが好ましい。リン酸エステルにおいては、アルコキシアルキルリン酸エステルを選択すると、屈折率1.55以下を達成しやすいだけでなく、後述の金属酸化物粒子複合体の製造における水分散工程での分散安定性の確保の点から特に好ましい。またこの範囲にすることでポリカーボネート系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、及び非晶性オレフィン系樹脂といった樹脂との組合せで屈折率差を低減して透明性の向上に寄与するものである。
以上によって、上述した樹脂と前記芳香族スルホン酸が結合したアルミナ粒子(複合体)との屈折率差を効果的に上記の混合屈折率範囲に低減することができ、目的とする樹脂複合材の失透を抑制することができる。
リン酸エステル化合物については、特に酸性リン酸エステル類、つまり酸性基(P−OH)を有するリン酸エステル類が好適である。特にアルミナ粒子表面への反応の場合、表面のAl-OHは求核攻撃性を有する塩基性であり、有機リン酸は低温ではAl-OHに水素結合で配位し、室温〜やや高温で脱水、脱エステル反応が進み、アニオンとなってアルミナ表面のルイス酸点(Al+部位)に吸着することになる。したがって、有機リン酸は酸性基(OH基)を有する方が粒子表面への反応性が高く、また前述の芳香族スルホン酸ほどでないにしろ解膠能力が高い。これは有機酸全般にも当てはまるが、特に有機リン化合物でその傾向が顕著である。
なお、前記酸類の屈折率の下限は特に限定されるものではないが、汎用の酸類においては約1.4程度である。
上記の特性を包含する具体的な例として、リン酸類としては例えば、モノフェニルリン酸(1.543)、リン酸エステル類としては、ブトキシエチルアシッドホスフェート(1.4412)、テトラコシルアシッドホスフェート(1.4361)、エチルアシッドホスフェート(1.425)、モノエチルホスフェート(1.419)をあげることができる。( )内は、23℃、測定波長589nmでの屈折率である。これらは、いずれも市場での入手性もよく、好ましいものである。
<金属酸化物粒子複合体の製造方法>
本発明において、目的とする樹脂複合材を製造するに際しては、上述した樹脂に対して配合すべき、金属酸化物粒子に対し上記芳香族スルホン酸類及び上記低屈折率酸類を結合させた金属酸化物粒子複合体を作製する。
このような複合体を作製するに際しては、最初に、上述の金属酸化物粒子を所定の有機溶媒中に分散させるとともに上述の芳香族スルホン酸類を加え、所定の分散溶液を作製する。この分散溶液中で、前記芳香族スルホン酸類は金属酸化物粒子の表面に結合する。なお、前記有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、シクロヘキサンノン、シクロペンタノンを例示することができる。
また、前記金属酸化物粒子及び/又は前記芳香族スルホン酸類を有機溶剤中へ分散させるに際しては、好ましくは超音波、マイクロビーズミル、攪拌、及び高圧乳化から選ばれる少なくとも一種の手法を用いる。これによって、分散を効率的かつ簡易に行うことができるようになる。
芳香族スルホン酸類の添加量には特に限定はないが、金属酸化物に対して数〜50phr程度が好ましい範囲である。
続いて、リン酸又はリン酸エステル類の添加について説明する。前述のようにして芳香族スルホン酸類が結合した金属酸化物粒子を含む分散溶液中に前記酸類を添加し、前記金属酸化物粒子と反応させ、上記芳香族スルホン酸類と同様にその表面に結合させる。この結果、目的とする上記金属酸化物粒子複合体を作製することができる。
この際、前記酸類の種類によっては、上述した分散溶液中に溶解せず、前記金属酸化物粒子と反応しない場合がある。このような場合においては、前記酸類を一端水に分散させた後、上述した分散溶液と混合することによって、前記酸類が均一に分散した分散溶液を得ることができ、前記金属酸化物粒子の表面に対して前記酸類を結合させ、目的とする上記金属酸化物粒子複合体を得ることができる。この際、前記水は、遠心分離、蒸留などを行って最終的には除去する必要がある。
また、芳香族スルホン酸類の場合と同様に、分散性を良くする手段として、超音波、マイクロビーズミル、攪拌、及び高圧乳化から選ばれる少なくとも一種の手法を用いることも可能である。
リン酸又はリン酸エステル類の添加量にも特に限定はなく、金属酸化物に対して数〜50phr程度が好ましい範囲である。大まかな目安としては、マトリクスとなる樹脂と酸で処理した金属酸化物との屈折率差が小さくなるように酸の添加量を調整することである。
上記有機溶媒中における金属酸化物の濃度は特に限定しない。分散を優先する場合は、5〜10wt%程度にすればよく、経済性を優先する場合は、10〜20wt%あるいは、それ以上を選択することが可能である。本発明の目安としては、有機溶媒分散の状態で平行光線透過率が30%以上であることが好ましいが、特に限定はない。平行光線透過率は、ASTMD1003によるものである。
<樹脂組成物の作成方法>
上述したようにして、金属酸化物粒子と芳香族スルホン酸及びリン酸又はリン酸エステル類からなる添加剤とが複合(結合)してなる金属酸化物粒子複合体が分散した金属酸化物粒子複合体分散溶液を得た後は、この分散溶液を用いて、前記金属酸化物粒子複合体を上述したような樹脂中に配合分散させ、目的とする樹脂複合材を得る。前記配合分散方法、すなわち目的とする樹脂複合材の製造方法としては、以下に示すように3つの方法を例示することができる。
第1の製造方法は、上記有機溶媒分散物と樹脂のモノマーとを混合し、その後、樹脂モノマーを重合させることにより、樹脂組成物を得る手法である。樹脂モノマーとしては、例えばポリカーボネートの場合、2価のフェノール化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応を例示できる。
2価のフェノール化合物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシジフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンが好ましく、より好ましくは2,2-ビス(4-ヒドロキシジフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
また、炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートや、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネートが挙げられる。上述の2価のフェノールと同様に、これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
第2の製造方法は、前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と、樹脂を溶解した有機溶媒とを混合攪拌し、高温減圧下において溶媒のみを留去し、前記金属酸化物粒子複合体が均一に分散した樹脂組成物を得る手法である。溶媒減量とともに溶液の粘度が上昇する為、攪拌出来なくなるまで攪拌を継続する。これによって、前記樹脂組成物中における前記金属酸化物粒子複合体を、凝集させることなくより均一に分散させることができるようになる。得られたものは、一般に使われる2軸の混練押し出し機などを用いて再度、溶融混練し、分散性をより向上させるようにすることもできる。
上記のいずれの手法を用いても本発明の樹脂複合材を得ることができる。得られた樹脂複合材は機械強度の面から不可能であった自動車の有機ガラスとして用いることができ、従来の無機ガラスに比べ、大幅な軽量化に貢献することができる。また、建築用板材として用いることもできる。
上述した部材への成形方法については特に限定はなく、一般の射出成形法やこれとプレスを合わせた射出プレス法など適宜選択可能である。
樹脂複合材中における金属粒子複合体の配合量は、5〜50wt%であることが好ましい。この範囲にあることで透明性、靭性を確保しながら一層の耐衝撃性の向上が図れるためである。
以下、実施例および比較例により本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明において採用した分析方法および分析機器は下記の通りである。
(1)粒子形状、粒子径
透過型電子顕微鏡(TEM)にて、粒子形状を観察した。
<観察方法(粒子形状)>
試料を純水(2段蒸留水)にて希釈後、超音波洗浄器にて15分間かけた。その後銅メッシュ上の親水処理済カーボン被覆コロジオン膜に試料を塗布し、乾燥させ観察試料を準備した。透過型電子顕微鏡にてその試料の電子顕微鏡像を120KV、70mA、10万倍にて撮影して、観察した。
・TEM用銅メッシュ:マイクログリット150−Bメッシュ、カーボン補強済み 応研商事株式会社
・透過型電子顕徹鏡:JEOLJEM−1200EXII 日本電子株式会社
<観察方法(粒子径)>
透過型電子顕微鏡にて撮影した写真を市販のスキャナーで電子データとして取り込み、市販のパソコン上で長さを測るソフトを用いて粒子径を測定した。短軸径、長軸径、厚さ、一辺の長さ共にそれぞれ無作為に100個体選び、測定した。
ソフト名:Scion Image for Whindows(登録商標)Scion corp.
(2)アルミナの同定
粉末X線回折装置を用いた。
<観察方法>
試料を測定用無反射板に圧粉することにより、これを観察試料とし、X線解析装置にて測定し、アルミナのJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)と比較することにより同定した。
・X線解析装置:RINT−2000理学電機
(3)機械的物性、光学的物性測定
得られた樹脂組成物を乾燥して粒状にし、加熱プレス成形して厚さ2mmの試験片フィルムを得る。得られたシートについて平行光線透過率、曲げ弾性率、線膨張係数を測定した。
・平行光線透過率、ヘイズ値は、へイズメーター(村上色彩研究所製 HM−65)で計測した。
・曲げ弾性率は、オートグラフ(島津製作所(株)製 DSC−10T)で計測した。
・線膨張係数は、熱機械測定装置(セイコー電子工業(株)製 TMA120C)で計測した。
・屈折率は、多波長アッペ屈折計((株)アタゴ製DR-M2)で計測した。
(4)アルミナ粒子の合成
(A-1)ベーマイト粒子
機械攪拌機を備えたテフロン(登録商標)製ビーカーに塩化アルミニウム六水和物(2.0M,40ml,25℃)を入れ、恒温槽で10℃に保ちつつ、攪拌(700rpm)しながら水酸化ナトリウム(5.10M,40ml,25℃)を約6分かけて滴下した。滴下終了後さらに10分間攪拌を続け、攪拌終了後、溶液のpHを測定した(pH=7.08)。溶液をテフロンライナーを備えたオートクレーブに代え密栓し、オーブンで120℃、24時間経時させた(第1の熱処理)。第1の熱処理の終了後、前記オートクレーブをオイルバスヘ移し、180℃、30分間加熱した(第2の熱処理)。第2の熱処理終了後、前記オートクレーブを流水へ入れ、急速冷却(約10℃)をした(第3の熱処理)。第3の熱処理終了後、前記オートクレーブを再びオーブンヘ入れ150℃で、1日加熱を続けた(第4の熱処理)。
その後、前記オートクレーブを流水で冷やし、遠心分離(30000rpm,30min)で上澄み除去後、遠心水洗3回、水メタノール混合溶液(体積比 水:メタノール、0.5:9.5)遠心洗浄を1回行った。その後、凍結乾燥機を用いて乾燥させることにより無色結晶(A)を得た。この無色結晶(A)はX線回折の結果、ベーマイトであることが判明した。また、TEMを用いて粒子のサイズを調べたところ、長軸長さ125±13nm、短軸長さ(径)5.2±0.6nm、アスペクト比が約20の針状であることが判明した。
(A-2)ベーマイト粒子
(A−1)において、塩化アルミニウム六水和物(2.0M,40ml,25℃)を塩化アルミニウム六水和物(4.0M,40ml,25℃)に変えてベーマイトを合成した。TEMを用いて粒子のサイズを調べたところ、長軸長さ50±10nm、短軸長さ(径)10±1.5nm、アスペクト比が約5の針状であることが判明した。
(A-3)ベーマイト粒子
(A−1)において、塩化アルミニウム六水和物(2.0M,40ml,25℃)を塩化アルミニウム六水和物(1.0M,40ml,25℃)に変えてベーマイトを合成した。TEMを用いて粒子のサイズを調べたところ、500±50nm、短軸長さ(径)5±0.6nm、アスペクト比が約100の針状であることが判明した。
(5)金属酸化物粒子分散溶液の作製
(D)ベーマイト分散液
上記(A-1)にて得たベーマイト粒子にパラトルエンスルホン酸(和光純薬製)をベーマイト粒子に対して15phr添加し、シクロヘキサノンに分散させた。続いて、ブトキシエチルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP506H)をベーマイト粒子に対して5phr添加し、よく攪拌した後、超音波分散機に90分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、シクロヘキサノンに分散したベーマイト粒子複合体分散溶液(D)を得ることができた。この分散溶液の平行光線透過率は60%であった。
(E)ベーマイト分散液
上記(A-1)にて得たベーマイト粒子にパラトルエンスルホン酸(和光純薬製)をベーマイト粒子に対して15phr添加し、シクロヘキサノンに分散させた。続いて、モノフェニルリン酸(和光純薬)をベーマイト粒子に対して5phr添加し、よく攪拌した後、超音波分散機に90分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、シクロヘキサノンに分散したベーマイト粒子複合体分散溶液(E)を得ることができた。この分散溶液の平行光線透過率は60%であった。
(F)ベーマイト分散液
上記(A-2)にて得たベーマイト粒子をパラトルエンスルホン酸(和光純薬製)をベーマイト粒子に対して15phr添加し、シクロヘキサノンに分散させた。続いて、ブトキシエチルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP506H)をベーマイト粒子に対して5phr添加し、よく攪拌した後、超音波分散機に90分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、シクロヘキサノンに分散したベーマイト粒子複合体分散溶液(F)を得ることができた。この分散溶液の平行光線透過率は60%であった。
(G)ベーマイト分散液
上記(A-3)にて得たベーマイト粒子をパラトルエンスルホン酸(和光純薬製)をベーマイト粒子に対して15phr添加し、シクロヘキサノンに分散させた。続いて、ブトキシエチルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP506H)をベーマイト粒子に対して5phr添加し、よく攪拌した後、超音波分散機に90分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、シクロヘキサノンに分散したベーマイト粒子複合体分散溶液(G)を得ることができた。この分散溶液の平行光線透過率は60%であった。
(H)ベーマイト分散液
上記(A−1)にて得たベーマイト粒子にパラトルエンスルホン酸(和光純薬製)をベーマイト粒子に対して15phr添加し、シクロヘキサノンに分散させた。よく攪拌した後、超音波分散機に90分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、シクロヘキサノンに分散したベーマイト粒子複合体分散溶液(J)を得ることができた。この分散溶液の平行光線透過率は60%であった。
(I)ベーマイト分散液
上記(A-1)にて得たベーマイト粒子にブトキシエチルアッシドホスフェート(城北化学工業製、JP506H)をベーマイト粒子に対して20phr添加し、よく攪拌した後、超音波分散機に90分間かけた。その後、得られた溶液をさらに高圧乳化装置で50MPaの圧力で処理することにより、シクロヘキサノンに分散したベーマイト粒子複合体分散溶液(D)を得ることができた。この分散溶液の平行光線透過率は60%であった。
なお、上記で得たアルミナ粒子及び上記で使用した芳香族スルホン酸類、低屈折率酸類それぞれの常温、589nmでの屈折率は、ベーマイトが1.615、パラトルエンスルホン酸が1.578、ブトキシアシッドホスフェートが1.441、モノフェニルリン酸が1.543であった。
(6)樹脂複合材の製造
(実施例1)
上記ベーマイト分散液(D)とポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック製 ノバレックス7030A)とを、得ようとする樹脂複合材中の金属酸化物粒子複合体が5wt%になるように、混合した後、減圧装置、機械攪拌機、還流器を備えた反応容器投入し、シクロヘキサノンを追加溶媒として加え、攪拌した。次いで、減圧ラインを用いて、系内を徐々に減圧し溶媒を留去し、この後さらに反応容器温度を上げ完全に溶媒を除いて、ポリカーボネート樹脂複合材を得た。得られた樹脂複合材を乾燥して粒状にし、熱プレスによって、試料を得た。
(実施例2)
得ようとする樹脂複合材中の金属酸化物粒子複合体を25wt%となるようにした以外は、実施例1と同一の手順で試料を作成した。
(実施例3)
得ようとする樹脂複合材中の金属酸化物粒子複合体を50wt%になるようにした以外は、実施例1と同一の手順で試料を作成した。
(実施例4)
上記ベーマイト分散液(E)を用い、得ようとする樹脂複合材中の金属酸化物粒子複合体を25wt%となるようにした以外は、実施例1と同一の手順で試料を作成した。
(実施例5)
上記ベーマイト分散液(F)を用い、得ようとする樹脂複合材中の金属酸化物粒子複合体を25wt%となるようにした以外は、実施例1と同一の手順で試料を作成した。
(実施例6)
上記ベーマイト分散液(G)を用い、得ようとする樹脂複合材中の金属酸化物粒子複合体を25wt%となるようにした以外は、実施例1と同一の手順で試料を作成した。
(比較例1)
上記ベーマイト分散液(H)を用い、得ようとする樹脂複合材中の金属酸化物粒子複合体を25wt%となるようにした以外は、実施例1と同一の手順で試料を作成した。
(比較例2)
上記ベーマイト分散液(I)を用い、得ようとする樹脂複合材中の金属酸化物粒子複合体を25wt%となるようにした以外は、実施例1と同一の手順で試料を作成した。
(評価結果)
各実施例、比較例の仕様及び評価結果を表1及び2に示す。
Figure 0005140930
Figure 0005140930
さらに各実施例、比較例の混合屈折率を測定した結果を表3に示す。
Figure 0005140930
表2から明らかなように、スルホン酸とこれより屈折率の低い酸の2種の酸を含む本発明の試料は、透明性、曲げ弾性率、線膨張係数のいずれにおいても、比較例1〜2の試料より優れた物性を絞示していることが分かる。
以上、具体例を挙げながら本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
例えば、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、酸化防止剤及び熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、チオエーテル、及びこれらの置換体及びその組み合わせを含む)、紫外線吸収剤(例えばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等)、滑剤、離型剤(例えばシリコン樹脂、モンタン酸及びその塩、ステアリン酸及びその塩、ステアリルアルコール、ステアリルアミド等)、染料(例えばニトロシン等)、顔科(例えば硫化カドミウム、フタロシアニン等)を含む着色剤、添加剤添着液(例えばシリコンオイル等)、及び結晶核剤(例えばタルク、カオリン等)などを単独又は適宜組み合わせて添加することができる。

Claims (14)

  1. リン酸又はリン酸エステル、及び芳香族スルホン酸類が、金属酸化物粒子に対して化学的に結合した金属酸化物粒子複合体。
  2. 前記金属酸化物粒子が、短軸長さ1〜10nm、長軸長さ20〜700nm、アスペクト比5〜500であって、
    Al23・nH2
    なる一般式で表されるアルミナ粒子であることを特徴とする、請求項1に記載の金属酸化物粒子複合体。
  3. 前記一般式において、n=1であり、前記アルミナ粒子がベーマイト粒子であることを特徴とする、請求項2に記載の金属酸化物粒子複合体。
  4. 前記芳香族スルホン酸がアルキルベンゼンスルホン酸類であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体。
  5. 前記リン酸又はリン酸エステル類の、23℃、測定波長589nmでの屈折率が1.55以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体。
  6. 前記リン酸エステルが、アルコキシアルキルリン酸エステルであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体。
  7. 請求項1〜のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法であって、
    所定の有機溶媒中に前記金属酸化物粒子及び前記芳香族スルホン酸類を配合分散させ、所定の分散溶液を作製する工程と、
    前記分散溶液に対して前記リン酸又はリン酸エステル類を配合分散させ、前記金属酸化物粒子、前記芳香族スルホン酸類及び前記リン酸又はリン酸エステルが複合してなる前記金属酸化物粒子複合体を得る工程と、
    を具えることを特徴とする、金属酸化物粒子複合体の製造方法。
  8. 前記金属酸化物粒子、前記芳香族スルホン酸類及び前記リン酸又はリン酸エステル類の少なくとも一つを、超音波、マイクロビーズミル、攪拌、及び高圧乳化から選ばれる少なくとも一種の手法を用いて配合させることを特徴とする、請求項に記載の金属酸化物粒子複合体の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか一に記載の金属酸化物粒子複合体と樹脂とを含む樹脂複合材。
  10. 前記樹脂がポリカーボネート系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、及び非晶性オレフィン系樹脂から選択される少なくとも1種の、可塑性樹脂を含むことを特徴とする、請求項に記載の樹脂複合材。
  11. 樹脂複合材中における前記金属酸化物粒子複合体の配合量が5〜50wt%であることを特徴とする、請求項もしくは10に記載の樹脂複合材。
  12. 請求項11のいずれか一に記載の樹脂複合材の製造方法であって、
    所定の有機溶媒中に前記金属酸化物粒子と芳香族スルホン酸類及びリン酸又はリン酸エステル類とを配合して、前記金属酸化物粒子と前記芳香族スルホン酸類及び前記リン酸又は前記リン酸エステル類とが複合してなる金属酸化物粒子複合体が分散した金属酸化物粒子複合体分散溶液を調製する工程と、
    前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と樹脂モノマーとを混合し、前記樹脂モノマーを重合させることにより、前記樹脂複合材を得る工程と、
    を具えることを特徴とする、樹脂複合材の製造方法。
  13. 請求項11のいずれか一に記載の樹脂複合材の製造方法であって、
    所定の有機溶媒中に前記金属酸化物粒子と芳香族スルホン酸類及びリン酸又はリン酸エステル類とを配合して、前記金属酸化物粒子と前記芳香族スルホン酸類及び前記リン酸又は前記リン酸エステル類とが複合してなる金属酸化物粒子複合体が分散した金属酸化物粒子複合体分散溶液を調製する工程と、
    前記金属酸化物粒子複合体分散溶液と樹脂を含む有機溶媒とを混合攪拌し、高温減圧下において溶媒のみを留去し、前記樹脂複合材を得る工程と、
    を具えることを特徴とする、樹脂複合材の製造方法。
  14. 請求項11のいずれか一に記載された樹脂複合材を含むことを特徴とする、自動車用窓材。
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