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JP5140968B2 - ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いたフィルム - Google Patents
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JP5140968B2 - ポリエステル樹脂組成物およびそれを用いたフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、特定の化合物を共重合し、重合活性の高いチタン化合物を用いて低温で効率よく重縮合することで、光弾性係数、屈折率、ゲル化率が低く、また、重縮合反応中の低分子量化合物の飛散が抑えられ、光学等方性に優れたポリエステル樹脂組成物に関し、特に光学等方性や光反射性に優れた光学ポリエステルフィルムに関する。
屈折率の異なるポリマーを交互に積層したフィルムは、特定の波長の光を効率良く反射させることができ、光フィルターや反射体として利用されている。また光学等方性に優れたフィルムは、液晶ディスプレイ等において位相差フィルムなどとして利用されている。
例えば、特許文献1では、ポリエチレンナフタレート樹脂組成物(以下PEN)に共重合ポリエステル樹脂組成物を積層した光反射性フィルムが、特許文献2ではポリエステル樹脂組成物にナイロン樹脂組成物やアクリル樹脂組成物を積層した光反射性繊維が、特許文献3ではPENと共重合ポリエステル樹脂組成物を積層した多層光学フィルムが、特許文献4では透明性に優れたPEN共重合ポリエステル樹脂組成物からなる写真用フィルムが提案されている。
しかしながら、特許文献1、3に記載のポリエステル樹脂組成物はTgが異なるポリエステル同士を積層しているために加工性に劣り、特許文献2のポリマーの組み合わせはポリマー同士の接着性が劣るために積層フィルムに転用することは不適であり、さらに特許文献1、3、4に記載のポリエステルは光弾性係数が大きく、液晶ディスプレイ等には使用することができない。
また、特許文献5、6には、耐熱性を向上させるために、環状アセタール骨格を有するジカルボン酸、ジオール等を共重合することが記載されており、例えば剛直な分子鎖を有するスピログリコール等を共重合することでガラス転移点を高くすることが例示されている。しかし、仮に、該樹脂組成物を多層積層フィルムに使用した場合も、Tgが通常のポリエチレンテレフタレート樹脂組成物に対して高いためフィルム化する際にそれぞれ結晶性が異なることから積層ムラの発生等、加工性に劣ることが予想される。また、スピログリコールだけでは、十分に屈折率を下げることができず、多層積層フィルムとした際に、反射率が低くなることが予想される。
特開2000−141567号公報(第2項) WO98/46815号パンフレット(第2〜5項) 特表平9−506837号公報(第2〜6項) 特開平6−295014号公報(第2項) 特開2005−314643号公報 特開2004−67829号公報
本発明の目的は、上記した従来の課題を解決し、ゲル化率や光弾性係数が低く、積層フィルムとした際に優れた光反射性を示すポリエステル樹脂組成物およびそれを用いたポリエステルフィルムを提供することにある。
前記した本発明の目的は、少なくともシクロへキサンジカルボン酸成分およびスピログリコール成分を含むポリエステル樹脂であり、重縮合触媒として、チタン化合物を含有し、下記式(1)、(2)、(3)、(4)を満足するポリエステル樹脂組成物によって達成される。
65℃≦示差走査熱量測定によるガラス転移点温度≦90℃・・・(1)
1.500≦ナトリウムD線での屈折率≦1.570・・・(2)
0.5≦チタン原子≦50ppm・・・(3)
ゲル化率≦50%・・・(4)
(ゲル化率とは、ポリエステル樹脂組成物を、大気下、300℃×2.5hrの条件で加熱処理した後のオルト−クロロフェノール不溶分重量の全体に対する割合である。)
本発明によれば、重合触媒としてチタン触媒を用いることで低温で効率良く重合することができ、ゲル化率が低く、重縮合中に低分子量物の真空回路への飛沫が少なく、かつ、液晶ディスプレイに好適な低光弾性係数を有したポリエステル樹脂組成物を得ることができ、また光反射性に優れた積層ポリエステルフィルムを得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、少なくとも脂環族ジカルボン酸成分および脂環族ジオールを含むポリエステル樹脂組成物であり、重縮合触媒として、チタン化合物を含有し、ガラス転移点温度(以下Tg)が65〜90℃の範囲であり、かつナトリウムD線での屈折率が1.500〜1.570であり、チタン原子含有量が0.5〜50ppmであり、ゲル化率が50%以下の範囲を有するものである。
Tgが65℃未満の場合、耐熱性が不足するために光学特性が経時変化しやすく、またポリエチレンテレフタレート(以下PET)等と積層製膜する際には積層樹脂間のTg差が大きくなるために積層ムラ等発生し、製膜安定性が損なわれる。積層フィルムとする場合、本発明のポリエステル樹脂のTgを積層ポリマーのTgと合致させることが好ましく、積層ポリマーのTg(Tg1)と本発明のポリエステル樹脂のTg(Tg2)の差(|Tg1−Tg2|)が10℃以内、さらには5℃以内であることが好ましい。
Tgが90℃を超える場合には、PET等を積層する際にTg差が大きくなりすぎるために、上記同様、積層ムラ等発生し、製膜安定性が損なわれ、またポリエステル樹脂の屈折率を低くすることが困難になってくる。よって本発明のポリエステル樹脂のTgは、70〜87℃の範囲が好ましく、さらには75〜85℃の範囲が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂の屈折率については、1.500未満とすることはポリエステル樹脂では困難であり、1.570を超える場合には、積層ポリマーとの屈折率差が小さくなるため、得られた積層フィルムの光反射性が小さくなる。本発明のポリエステル樹脂の屈折率は、1.510〜1.560の範囲であることが好ましい。なお、本発明における屈折率は、23℃の条件にてナトリウムD線を用いて測定した屈折率を指す。
前記した特性を与えるためには、ポリエステル樹脂は少なくとも脂環族ジカルボン酸成分および脂環族ジオール成分を含むことが必要である。ポリエステル樹脂に含まれる芳香環はTgを高める効果があるが、同時に屈折率を高め、光弾性係数を高める効果がある。
光弾性係数が大きい場合、フィルムに応力が作用した際に位相差が大きく変化するため、液晶ディスプレイ用途のフィルムには不適である。
そこで、本発明のポリエステル樹脂は、この芳香環成分を脂環族ジカルボン酸成分や脂環族ジオールで置換することにより、屈折率や光弾性係数を低減させている。本発明における脂環族ジカルボン酸成分としては、シクロヘキサンジカルボン酸成分を挙げることができる。特に入手の容易性や重合反応性の観点からはシクロヘキサンジカルボン酸成分が好ましい。シクロヘキサンジカルボン酸成分は、シクロヘキサンジカルボン酸やそのエステルを原料として用いることができる。
なお、シクロヘキサンジカルボン酸成分など脂環族成分には立体異性体として、シス体、トランス体が存在するが、本発明ではトランス体比率が40%以下であることが好ましい。トランス体比率が高いと光弾性係数が大きくなるため劣る傾向にある。また、トランス体は、シス体に比べ、融点が高いため、トランス体比率が高くなると、室温程度で保管、または、輸送中等に、容易に凝固し、沈降してしまい、不均一となり反応性が悪くなるだけでなく、取り扱い上においても作業性が悪くなる。よって、トランス体比率は、好ましくは、35%以下、より好ましくは、30%以下である。
本発明における脂環族ジオールとしては、スピログリコール成分が好ましく、特に得られるポリエステルの色調の観点からスピログリコール成分が好ましい。ここでスピログリコールとは3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを指す。
本発明において、例えばPETの場合、テレフタル酸成分(芳香環成分)をシクロヘキサンジカルボン酸等で置換するとTgが低下する。そこでスピログリコール成分やイソソルビド成分など脂環族ジオール成分をエチレングリコール成分に置換することでTgが上昇し、結果として本発明の積層するPETと同程度のTgに調整することができる。Tgを上昇させる効果はスピログリコール成分やイソソルビド成分において顕著である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ゲル化率が50%以下である必要があり、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。ゲル化率とは、ポリエステル樹脂組成物を大気下、300℃×2.5hrの条件で加熱処理後、オルト―クロロフェノール不溶物重量の全体に対する割合である。スピログリコールを共重合したポリエステル樹脂組成物は、スピロ環を有することから、酸性、水分含有下、熱により分解しゲル化する特徴がある。よって、このゲル化率が50%以上の場合、ポリエステル樹脂組成物が著しくゲル化しやすいポリマーであることを意味し、例えば、重縮合後、ストランド状に吐出する際に、形状がフシ糸状となりカッターでカッティングできなくなることや製膜する際のフィルター濾過工程で多量のゲルにより濾圧が異常に上昇したり、積層フィルムの表面欠点が増加したり、多層積層フィルムの積層厚みが変動する等の問題を生じることがある。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ゲル化の抑制の観点から、活性の高いチタン化合物を用いて重縮合反応することが好ましく、チタン原子として0.5〜50ppm含有することが必要である。50ppmを越える場合は、含有する金属量が増えることからゲル化が促進され、また、0.5ppm未満の場合は、重合活性が十分でないため重合時間が結果として遅延してしまい、高温下での滞留時間が長くなることでゲル化が促進されるため好ましくない。よって、チタン原子の含有量は、好ましくは3〜40ppm、より好ましくは5〜30ppmである。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、重縮合用触媒としてのチタン化合物の置換基がアルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基、水酸基の少なくとも1種であるチタン化合物が好ましく用いられる。
具体的なアルコキシ基には、テトラエトキシド、テトラプロポキシド、テトライソプロポキシド、テトラブトキシド、テトラ−2−エチルヘキソキシド等のチタンテトラアルコキシド、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系官能基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系官能基、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系官能基が挙げられ、特に脂肪族アルコキシ基が好ましい。また、フェノキシ基には、フェノキシ、クレシレイト等が挙げられる。また、アシレート基には、ラクテート、ステアレート等のテトラアシレート基、フタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸またはそれらの無水物等の多価カルボン酸系官能基、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸系官能基が挙げられ、特に脂肪族アシレート基が好ましい。また、アミノ基には、アニリン、フェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。また、これらの置換基を2種含んでなるジイソプロポキシビスアセチルアセトンやトリエタノールアミネートイソプロポキシド等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、ゲル化抑制の観点から重縮合温度を260〜280℃の出来るだけ低温で実施することが好ましい。重縮合温度とは、通常、230〜240℃から徐々に温度を上げていき、ある目標の温度に到達した後は一定の温度で重縮合するため、その最終の一定温度のことである。280℃より高い場合は、重合は促進されるものの、同様に高温下でゲル化も促進され、また、260℃より低い場合は、重合活性が落ち、重合時間が遅延することで同様にゲル化が促進されるため好ましくない。従って、重縮合温度は、好ましくは、265〜275℃、より好ましくは268〜272℃である。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、固有粘度が0.65〜1.0の範囲であることが好ましい。固有粘度が0.65未満の場合、ポリエステル樹脂組成物が脆くなるために好ましくなく、固有粘度が1.0を超える場合にはその溶融粘度が高くなるため、精度の良い積層が困難になる。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、屈折率や光弾性係数を低下させるために、ポリエステル樹脂組成物1kg中に含有される芳香環モル数を4.8モル以下とすることが好ましい。4.8モルを超える場合には屈折率や光弾性係数が増大する傾向にあるため好ましくない。なお、本発明における芳香環モル数とはベンゼン環モル数を基本単位としている。本発明における定義をPETとPENを例にして説明する。
PETの場合、基本繰り返し単位の分子量は192であるため、ポリマー1kg当たりの基本繰り返し単位数は5.2となる。基本繰り返し単位中にテレフタル酸成分(ベンゼン環1個相当)は1モル含まれるため、PETの芳香環モル数は5.2と計算される。一方、PENの場合、基本繰り返し単位の分子量は242であり、ポリマー1kg当たりの基本繰り返し単位数は4.1である。基本繰り返し単位中にナフタレンジカルボン酸成分は1モル含まれるが、ナフタレン環はベンゼン環2個に相当するため、PENの芳香環モル数は8.2モルと計算する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、少なくとも脂環族ジカルボン酸成分および脂環族ジオール成分を含むが、その他ジカルボン酸成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分から選択される少なくとも一種のジカルボン酸成分を全ジカルボン酸成分に対して20〜95モル%含有することが好ましい。またグリコール成分については、エチレングリコール成分をグリコール成分として20〜95モル%含有することが好ましい。前記した芳香族ジカルボン酸成分が20モル%未満の場合、Tgを65℃以上にすることが難しくなったり、例えばPETやPENと積層する際にはこれらの樹脂との層間接着性が悪化してくる。同様にエチレングリコール成分が20モル%未満の場合、PETやPENと積層した際、これらの樹脂との層間接着性が悪化してくる。一方、芳香族ジカルボン酸成分が95モル%を超える場合、屈折率や光弾性係数を低減することが難しくなり、エチレングリコール成分が95モル%を超える場合にはTgを65℃以上にすることが難しくなる。
本発明のポリエステル樹脂組成物において、脂環族ジカルボン酸成分、脂環族ジオールの含有量は、前記記載よりそれぞれ5〜80モル%の範囲が好ましく、さらに8〜50モル%が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、非晶性であることが好ましく、また前記した共重合範囲では実質的に非晶性である。本発明における非晶性とは、DSC測定において融解熱量が4J/g以下であることをいう。このような非晶性のポリエステル樹脂組成物はフィルム製造においてその光学特性が変化しにくく、好ましい。
一方、このような非晶性ポリエステル樹脂組成物は乾燥によって熱融着し、塊を作りやすい傾向がある。そこで、結晶性ポリエステル樹脂組成物を5〜50重量%含ませることで乾燥による塊形成を抑制することができる。そのような結晶性ポリエステル樹脂組成物としては、示差走査熱量測定における結晶融解熱量が4J/g以上であることが好ましい。
結晶性ポリエステルを含ませる方法としては、ベント式押出機による溶融混練が好ましい。すなわち、結晶性ポリエステルと本発明のポリエステル樹脂組成物をベント式押出機で溶融混練してペレットを得る方法である。結晶性ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートやこれらの共重合体を挙げることができるが、ポリエチレンテレフタレートが一番好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物に含有される芳香族ジカルボン酸成分は、前記した種類から少なくとも選択されるが、屈折率や光弾性係数の観点からテレフタル酸成分やイソフタル酸成分が好ましく、これらは同時に使用してもかわまない。特にテレフタル酸成分はその他ポリエステル樹脂組成物との接着性等の観点から主に使用することが好ましい。その他ジカルボン酸成分としては、特性の許す限り従来公知のものを共重合しても構わない、グリコール成分についても同様である。このような成分としては、例えばアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸やそのエステル、4,4’−ビスフェニレンジカルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸やそのエステル、ジエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のグリコール成分を挙げることができる。さらに無機粒子、有機粒子、染料、顔料、帯電防止剤、酸化防止剤、ワックス等を含有させても構わない。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、金属成分としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、Zn、Co、Mnから選択される元素を含有することが好ましい。これらの金属元素を含有することでポリエステル樹脂組成物をフィルム成形する際の静電印加性が向上する。なおアルカリ金属の場合、Naはポリエステル樹脂組成物を黄色く着色しやすく、Kがよい。アルカリ土類金属ではCaは異物を形成し易く、Mgがよい。Zn、Co、MnではMnが異物や色調の点から好ましい。このなかでもMgとMnが樹脂の透明性の観点から好ましく、特にMnが好ましい。
前記した金属化合物は、エステル交換反応触媒で兼ねても構わない。特にマンガン化合物はエステル交換反応での活性が強く、好ましい。金属化合物はポリエステルに可溶なものが好ましく、水酸化物や塩化物、酢酸塩が好ましく、特に酢酸塩が好ましい。
これら金属化合物をポリエステル樹脂組成物に含有させる場合、リン化合物を併用することが好ましい。リン化合物については、特に限定されないが、例えばリン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系化合物等を挙げることができ、中でもこれらのエステル化合物が異物形成抑制の観点から好ましい。
さらに、本発明のポリエステル組成物は、耐熱安定剤を含有していることが好ましく、特に3価のリンを含む耐熱安定剤を0.01〜2.0重量%含有することが好ましい。該耐熱安定剤の含有量が0.01重量%未満である場合、耐熱性の向上効果が小さく、2.0重量%を超える場合には効果の顕著な向上が見られず、経済的に不利である。
前記した3価のリンを含む耐熱安定剤としては、市販の耐熱安定剤を適用することができ、例えばトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4―ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1―ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4―ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト等を挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明のポリエステルフィルムは、前記したポリエステル樹脂組成を含むものであり、ゲル化率が低く、光弾性係数、屈折率が小さく、液晶ディスプレイ用途等に好適に使用できる。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、屈折率の異なるポリエステル樹脂組成物と積層することで優れた光反射性を発揮するものである。本発明の積層ポリエステルフィルムは、本発明のポリエステル樹脂組成物を少なくとも1層含むポリエステルフィルムであるが、優れた光反射性を得るためには、本発明のポリエステル樹脂組成物とPET樹脂組成物とを交互に積層することが好ましい。本発明のポリエステル樹脂組成物は屈折率がPET樹脂組成物よりも低く、非晶性であるためにフィルムを延伸しても屈折率はほとんど変化しない。そのため本発明のポリエステル樹脂組成物層とPET層との界面で光を効率良く反射するのである。
光反射率は高い方がもちろん好ましいが、90%であれば光反射性フィルムとして好ましい。優れた光反射性を得るためには、総積層数を250層以上とすることが好ましい。
このような積層フィルムを得る方法は、2台以上の押出機を用いて、異なる流路から送り出されたポリマーを多層積層装置に送り込むことで実現する。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を挙げることができる。特に積層厚みの精度から、マルチマニホールドダイやフィードブロックを用いることが好ましい。このようにして積層されたポリマーは口金からシート状に押し出され、冷却ドラムなどによって冷却され、未延伸シートを得ることができる。厚み斑や表面状態の良好な未延伸シートを得るには、静電印加法によることが好ましい。
得られた未延伸シートは、次いで一軸または二軸延伸することができる。二軸延伸では同時二軸延伸や逐次二軸延伸をおこなうことができる。
次に本発明のポリエステル樹脂組成物およびフィルムの製造方法について詳しく説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、ジカルボン酸とジオールとをエステル化させて低重合体を合成し、次いでこれを重縮合する方法とジカルボン酸エステルとジオールとをエステル交換反応させて低重合体を合成し、次いでこれを重縮合する方法を用いることができる。スピログリコールは酸成分によって分解しやすいため、これを用いる場合には、その分解を避けるためにエステル交換反応によって重合することが好ましい。
エステル交換法の場合、原料として例えばテレフタル酸ジメチル、シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、スピログリコールを所定のポリマー組成となるように反応缶へ仕込む。この際には、エチレングリコールを全ジカルボン酸成分に対して1.7〜2.3モル倍添加すれば反応性が良好となる。これらを150℃程度で溶融したのち酢酸マンガンおよびチタン化合物をそれぞれエステル交換反応、重合触媒として添加する。150℃では、これらのモノマー成分は均一な溶融液体となる。次いで反応容器内を235℃まで昇温しながらメタノールを留出させ、エステル交換反応を実施する。このようにしてエステル交換反応が終了した後トリメチルリン酸等のエステル交換反応触媒失活剤を添加する。
触媒の添加が終了したら反応物を重合装置へ仕込み、装置内温度をゆっくり270℃まで昇温しながら装置内圧力を常圧から133Pa以下まで減圧する。重合反応の進行に従って反応物の粘度が上昇する。所定の撹拌トルクとなった時点で反応を終了し、重合装置からポリエステルを水槽へ吐出する。吐出されたポリエステルは水槽で急冷され、カッターでチップとする。
このようにしてポリエステル樹脂組成物を得ることができるが、上記は一例であって、モノマーや触媒および重合条件はこれに限定されるわけではない。
つぎにポリエステルフィルムの製膜について説明する。
製膜方法には、厚み斑が良好なT−ダイ法を好ましく用いることができる。
ポリエステル樹脂組成物の溶融押し出しには単軸あるいは二軸押出スクリューのついたエクストルーダ型溶融押出装置等が使用できる。積層フィルムとするには、2台以上の押出機を用い、マルチマニホールドダイやフィードブロック等で溶融ポリエステルを積層し、押し出すことで製造することができる。
キャスト方法は溶融したポリエステル樹脂組成物をギアーポンプで計量した後にTダイ口金から吐出させ、冷却されたドラム上に、それ自体公知の密着手段である静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などでドラムなどの冷却媒体に密着冷却固化させて室温まで急冷し、未延伸のフィルムを得ることが好ましい。特に平面性や均一な厚みを得るには、静電印加法が好ましく用いられる。
得られた未延伸フィルムは、さらに一軸延伸または二軸延伸することができる。
二軸延伸の延伸方式は特には限定されず、逐次二軸延伸方式、同時二軸延伸方式などの方法を用いることができる。
逐次二軸延伸により延伸する場合は、得られた未延伸フィルムをポリエステル樹脂組成物の(ガラス転移温度Tg−30℃)以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)以下に加熱されたロール群上で接触昇温させて、長手方向に1.1〜4.0倍延伸し、これをいったん冷却した後に、テンタークリップに該フィルムの端部を噛ませて幅方向にポリエステル樹脂組成物の(ガラス転移温度Tg+5℃)以上、(ガラス転移温度Tg+50℃)以下の温度雰囲気下の中で1.1〜4.0倍延伸し、二軸配向したポリエステル樹脂組成物フィルムを得るのである。
延伸の終了した二軸配向フィルムはさらにTg+50℃〜Tg+150℃の範囲の温度で熱処理すると寸法安定性が向上する。
このようにして得られたポリエステルフィルムは、光弾性係数が低く、液晶ディスプレイ用フィルムとして好適である。またPET等を交互に積層したフィルムは光反射性に優れ、反射材用途に好適である。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法に従って行った。
(1)ポリエステルの熱特性(ガラス転移点、結晶融解熱量)
測定するサンプルを約10mg秤量し、アルミニウム製パン、パンカバーを用いて封入し、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製 DSC7型)によって測定した。測定においては窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温した後液体窒素を用いて急冷し、再び窒素雰囲気中で20℃から285℃まで16℃/分の速度で昇温する。この2度目の昇温過程でガラス転移点を測定した。
また、結晶融解熱量は、2度目の昇温過程で現れる結晶融解ピークの面積から算出した。
(2)ポリエステルの屈折率
ポリエステル樹脂組成物を溶融押し出しすることで厚さ100μmの未延伸シートを得る。ついで光源としてナトリウムD線を用い23℃の温度条件にて株式会社アタゴ製 「アッベ式屈折率計 NAR−4T」で屈折率を測定した。
(3)固有粘度
固有粘度はオルトクロロフェノールを溶媒とし、25℃で測定した。
(4)ゲル化率
ポリエステル樹脂組成物1gを凍結粉砕して直径300μm以下の粉体状とし真空乾燥する。この試料を、オーブン中で、大気下、300℃で2.5時間熱処理する。これを、50mlのオルトクロロフェノール(OCP)中、80〜150℃の温度で0.5時間溶解させる。続いて、ブフナー型ガラス濾過器(最大細孔の大きさ20〜30μm)で濾過し、洗浄・真空乾燥する。濾過前後の濾過器の重量の増分より、フィルターに残留したOCP不溶物の重量を算出し、OCP不溶物のポリエステル樹脂組成物重量(1g)に対する重量分率を求め、ゲル化率(%)とした。
(5)シクロヘキサンジカルボン酸のシス、トランス体比率
試料をメタノールで5〜6倍に希釈し、その希釈溶液を0.4μlを液体クロマトグラフィーで下記条件にて測定した。
装置:島津製LC−10ADvp
カラム:キャピラリーカラム Agilent Technologies社製DB−17(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)
昇温条件:初期温度110℃、初期時間25分、昇温速度6℃/min、最終温度200℃
(6)光弾性係数(×10−12Pa−1
短辺1cm長辺7cmのサンプルを切り出した。このサンプルの厚みをd(μm)とする。このサンプルを(株)島津製作所社製TRANSDUCER U3C1−5Kを用いて、上下1cmずつをチェックに挟み長辺方向に1kg/mm(9.81×10Pa)の張力(F)をかけた。この状態で、ニコン(株)社製偏光顕微鏡5892を用いて位相差R(nm)を測定した。光源としてはナトリウムD線(589nm)を用いた。これらの数値を光弾性係数=R/(d×F)にあてはめて光弾性係数を計算した。
光弾性係数が100未満の場合を合格とした。
(7)反射率
日立製作所製 分光光度計(U−3410 Spectrophotometer)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10°傾斜スペーサーを取り付け反射率のピーク値を測定した。なお、バンドパラメーターは2/servoとし、ゲインは3と設定し、187nm〜2600nmの範囲を120nm/min.の検出速度で測定した。また、反射率を基準化するため、標準反射板として付属のBaSO板を用いた。なお、本評価法では相対反射率となるため、反射率は100%以上となる場合もある。
(8)剥離性
JIS K5600(2002年)に従って試験を行った。なお、フィルムを硬い素地とみなし、2mm間隔で25個の格子状パターンを切り込んだ。また、約75mmの長さに切ったテープを格子の部分に接着し、テープを60°に近い角度で0.5〜1.0秒の時間で引き剥がした。ここで、テープにはセキスイ製セロテープ(登録商標)No.252(幅18mm)を用いた。評価結果は、格子1つ分が完全に剥離した格子の数で表した。また、試験フィルムの厚みが100μmより薄い場合には、厚さ100μmの二軸延伸PETフィルム(東レ製“ルミラー”T60)に試験フィルムを接着剤で強固に貼りあわせしたサンプルを剥離試験に用いた。この際には、試験サンプルを貫通しないように試験サンプルの面に格子を切り込んでテストを実施した。剥離個数が4個以下を合格とした。
なお、以下に触媒の合成方法を記す。
参考例1(触媒A.クエン酸キレートチタン化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
参考例2(触媒B.乳酸キレートチタン化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。
参考例3(触媒C.チタンアルコキシド化合物の合成方法)
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた2Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(496g、8.00モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応フラスコに、NaOH(125g、1.00モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えて透明な黄色の液体を得た(Ti含有量4.44重量%)。
実施例1
(ポリエステルの合成)
テレフタル酸ジメチルを67.6重量部、シス/トランス体比率が75/25である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを17.4重量部、エチレングリコールを54重量部、スピログリコールを20重量部、酢酸マンガン四水塩を0.04重量部、チタン触媒Aをチタン原子として10ppmとなるようにそれぞれ計量し、エステル交換反応装置に仕込んだ。内容物を150℃で溶解させて撹拌した。
撹拌しながら反応内容物の温度を235℃までゆっくり昇温しながらメタノールを留出させた。所定量のメタノールが留出したのち、トリメチルリン酸を0.02重量部含んだエチレングリコール溶液および旭電化工業(株)製ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)0.05重量部を添加した。トリメチルリン酸を添加した後10分間撹拌してエステル交換反応を終了した。その後エステル交換反応物を重合装置に移行した。
次いで重合装置内容物を撹拌しながら減圧および昇温し、エチレングリコールを留出させながら重合をおこなった。なお、減圧は90分かけて常圧から133Pa以下に減圧し、昇温は90分かけて235℃から270℃まで昇温した。
重合装置の撹拌トルクが所定の値に達したら重合装置内を窒素ガスにて常圧へ戻し、重合装置下部のバルブを開けてガット状のポリマーを水槽へ吐出した。水槽で冷却されたポリエステルガットはカッターにてカッティングし、チップとした。
このようにしてポリエステルAを得た。得られたポリエステルAの固有粘度は0.78、ゲル化率は20%であった。
同様にテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを64重量部用いる以外は前記と同様にしてPET樹脂を重合した。得られたPET樹脂の固有粘度は0.65でありTgは80℃であり、結晶融解熱ピークは観察されなかった。
(単層2軸延伸フィルムの製膜)
ポリエステルを真空乾燥したが、一部に塊状物が見られたため、これを崩してから、押出機に供給した。押出機に供給されたポリエステルは280℃で溶融されて金属不織布フィルターによって濾過されたのち、Tダイから溶融シートとして押し出した。溶融シートは静電印加法(電極は直径0.15ミリのタングステンワイヤーを使用)によって表面温度が25℃に制御された鏡面ドラム上で冷却固化され、未延伸シートとなった。該未延伸シートを用いて光弾性係数を測定した。
光弾性係数は85×10−12Pa−1であった。
(積層ポリエステルフィルムの製膜)
前記ポリエステルAおよびPET樹脂をそれぞれ真空乾燥した後、2台の押出機にそれぞれ供給した。
ポリエステルAおよびPET樹脂は、それぞれ、押出機にて280℃の溶融状態とし、ギヤポンプおよびフィルタを介した後、101層のフィードブロックにて合流させた。このとき、積層フィルムの両表層がPET樹脂層となるようにし、積層厚みはポリエステルA層/PET樹脂層が1/2となるように交互に積層した。すなわちポリエステルA層は50層、PET層は51層となるように交互に積層した。
このようにして得られた101層からなる積層体を、ダイに供給し、シート状に押し出し、静電印加(直流電圧8kV)にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化した。
得られたキャストフィルムは、ロール式縦延伸機に導き、90℃に加熱されたロール群によって加熱し、周速の異なるロール間で長手方向に3倍に延伸した。縦方向に延伸が終了したフィルムは、次いでテンター式横延伸機に導いた。フィルムはテンター内で100℃の熱風で予熱し、横方向に3.3倍に延伸した。延伸されたフィルムはそのままテンター内で200℃の熱風にて熱処理した。このようにして厚さ50μmのフィルムを得ることができた。得られたフィルムの特性を表1に示す。本発明のポリエステル樹脂組成物は光弾性係数が100未満であり、屈折率も低いために積層フィルムとした際には優れた光反射性を有していた。
実施例2〜3
テレフタル酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、スピログリコールの量比およびチタン触媒の種類を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。得られたポリエステル樹脂組成物からは結晶融解熱ピークは観察されなかった。さらに実施例1で重合したPET樹脂を用い、同様の条件で積層フィルムを得た。結果を表1に示す。実施例2,3はTgがPETよりもそれぞれ10℃以上異なるために積層フィルムを2軸延伸する際に若干のムラが発生したが本発明の範囲であったので満足すべき特性を示した。
実施例4〜7
テレフタル酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコール、スピログリコールの量比を変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルを重合した。得られたポリエステル樹脂組成物からは結晶融解熱ピークは観察されなかった。さらに実施例1で重合したPET樹脂を用い、同様の条件で積層フィルムを得た。
結果を表1に示す。実施例4も満足すべき特性を示したが、芳香環モル数が大きいために光弾性率が若干増加した。また実施例5は屈折率が十分低いために優れた光反射性を示したが、共重合成分量が増加したためにPETとの相溶性が低下し、層間剥離性が弱くなった。実施例6は固有粘度が0.65であり、製膜時の積層性に若干のムラが見られ、屈折率の割に反射率は大きくはなかった。実施例7は固有粘度が0.95と高いために製膜時の積層性に若干のムラが見られ、屈折率の割に反射率は大きくなかった。
実施例8
実施例1で用いたポリエステルAおよびPET樹脂を用い、積層総数を251層とする以外は同様にして積層ポリエステルフィルムを製膜した。得られた積層ポリエステルフィルムの厚みは50μmであった。結果を表1に示す。積層数を実施例1の101層から251層と増加させたため光反射層が増え、優れた光反射性を示した。
実施例9
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルのシス/トランス比率が50/50である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルを用いる以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。結果を表1に示す。実施例1に比較して1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルのトランス比率が高いため、光弾性係数は実施例1よりも高い値となった。なお、該ポリマーの結晶融解ピークは観察されなかった。
比較例1
実施例1のPET樹脂の重合において、シクロヘキサンジカルボン酸成分の代わりにイソフタル酸を15mol共重合し、スピログリコールは共重合せず、重縮合触媒として通常の三酸化アンチモン0.02wt%を使用して285℃で重合する以外は同様にしてポリエステルを重合し、積層フィルムを得た。結果を表1に示すが、脂環族ジカルボン酸成分、脂環族ジオール成分のいずれも含有しないために屈折率、光弾性係数が大きく、積層フィルムの反射率も小さいものであった。
比較例2
実施例1のPET樹脂の重合において、シクロヘキサンジカルボン酸成分は共重合せず、スピログリコール成分の代わりにシクロヘキサンジメタノール成分を30mol共重合して、重縮合触媒として通常の三酸化アンチモン0.02wt%を使用して285℃で重合する以外は同様にしてポリエステルを重合し、積層フィルムを得た。結果を表1に示すが、屈折率は低下したものの、若干光弾性係数が大きく、積層フィルムの反射率も若干劣るものであった。
比較例3
実施例1のPET樹脂の重合において、シクロヘキサンジカルボン酸成分は共重合せず、スピログリコール成分を30mol共重合して、重縮合触媒として通常の三酸化アンチモン0.02wt%を使用して285℃で重合する以外は同様にしてポリエステルを重合し、積層フィルムを得た。結果を表1に示すが、Tg、ゲル化率が非常に高く、積層フィルムの剥離性も劣るものであった。また、重縮合中に低分子量物の飛沫が多く、真空回路を少し閉塞し、真空度不良が発生した。
比較例4
実施例1のPET樹脂の重合において、シクロヘキサンジカルボン酸成分を25mol共重合し、スピログリコールは共重合せず、重縮合触媒として通常の三酸化アンチモン0.02wt%を使用して285℃で重合する以外は同様にしてポリエステルを重合し、積層フィルムを得た。結果を表1に示すが、屈折率は目標範囲内であるが、Tgが下がり、積層フィルムの剥離性に劣り、反射率も小さいものであった。また、重縮合中に低分子量物の飛沫が多く、真空回路を少し閉塞し、真空度不良が発生した。
比較例5
チタン触媒をチタン原子として100ppm添加し、重合温度を285℃とする以外は、実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。チタン原子が多量で、かつ高温での重合を実施したため非常にゲル化が促進され、また、その異物によって、多層フィルムにおける剥離性が劣るものであった。
Figure 0005140968

Claims (10)

  1. 少なくともシクロへキサンジカルボン酸成分およびスピログリコール成分を含むポリエステル樹脂組成物であり、重縮合触媒としてチタン化合物を含有し、下記式(1)、(2)、(3)、(4)を満足するポリエステル樹脂組成物。
    65℃≦示差走査熱量測定によるガラス転移点温度≦90℃・・・(1)
    1.500≦ナトリウムD線での屈折率≦1.570・・・(2)
    0.5≦チタン原子≦50ppm・・・(3)
    ゲル化率≦50%・・・(4)
    (ゲル化率とは、ポリエステル樹脂組成物を、大気下、300℃×2.5hrの条件で加熱処理した後のオルト−クロロフェノール不溶分重量の全体に対する割合である。)
  2. チタン化合物がアルコキシ基、フェノキシ基、アシレート基、アミノ基および水酸基からなる群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有していることを特徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. チタン化合物のアルコキシ基がβ−ジケトン系官能基、ヒドロキシカルボン酸系官能基およびケトエステル系官能基からなる群から選ばれる少なくとも一種の官能基であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. クロヘキサンジカルボン酸成分全ジカルボン酸成分中5〜80モル%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. シクロへキサンジカルボン酸成分として立体異性体のシス、トランス体を含有し、トランス体の含有量が40%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. ピログリコール成分全ジオール成分中5〜80モル%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. ポリエステル繰り返し単位に含まれる芳香環モル数がポリエステル樹脂1kg当たりに換算して4.8モル以下である請求項1〜6のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物。
  8. 重縮合反応時、重縮合温度を260〜280℃で実施することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリエステル樹脂組成物とポリエチレンテレフタレート樹脂組成物とを交互に積層した積層ポリエステルフィルム。
  10. 光反射率が90%以上である請求項9に記載の積層ポリエステルフィルム。
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