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JP5144766B2 - Cu−Ga焼結体スパッタリングターゲット及び同ターゲットの製造方法 - Google Patents
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JP5144766B2 - Cu−Ga焼結体スパッタリングターゲット及び同ターゲットの製造方法 - Google Patents

Cu−Ga焼結体スパッタリングターゲット及び同ターゲットの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は薄膜太陽電池層の光吸収層であるCu-In-Ga-Se(以下、CIGSと記載する)四元系合金薄膜を形成する時に使用されるCu-Ga焼結体スパッタリングターゲット及び同ターゲットの製造方法に関する。
近年、薄膜系太陽電池として高効率であるCIGS系太陽電池の量産が進展してきており、その光吸収層製造方法としては、蒸着法とセレン化法が知られている。蒸着法で製造された太陽電池は高変換効率の利点はあるが、低成膜速度、高コスト、低生産性の欠点があり、セレン化法の方が産業的大量生産には適している。
セレン化法の概要プロセスは以下の通りである。まず、ソーダライムガラス基板上にモリブデン電極層を形成し、その上にCu-Ga層とIn層をスパッタ成膜後、水素化セレンガス中の高温処理によりCIGS層を形成する。このセレン化法によるCIGS層形成プロセス中のCu-Ga層のスパッタ成膜時に、Cu-Gaターゲットが使用される。
Cu-Gaターゲットの製造方法としては、溶解法と粉末法がある。一般的には、溶解法で製造されたCu-Gaターゲットは、不純物汚染が比較的少ないが、組成偏析が大きく、引け巣による歩留まり低下等の問題があり、粉末法で製造されたターゲットは焼結密度が低く、割れ易い等の問題があった。
CIGS系太陽電池の変換効率には各種要素が影響を与えるが、CIGS膜特性も大きな影響を与え、CIGS膜を形成する前段階であるCu-Ga膜の特性も、太陽電池の変換効率に大きな影響を与える。粉末を焼結して得られたターゲットは、溶解品に比べて成分偏析が少なく、製造が容易であり、また必要に応じて成分調整が容易であるという特徴があり、溶解品に比べて大きな利点がある。
しかし、焼結により得たターゲットはCu-Gaターゲットは脆性が高く、割れ易いという問題がある。ターゲットの加工中に割れるとターゲット製造歩留まりが低下するが、スパッタリング中に割れると、CIGS太陽電池製造の歩留まりの低下となるという問題が生ずる。いずれにしても最終的にはCIGS系太陽電池製造コストの上昇に繋がってしまう。
これまでCu-Gaターゲットに関する文献の一つとして、下記の特許文献1を挙げることができるが、この特許文献1はCu-Gaターゲットを溶解法で作製されている。そして、この特許文献1の特徴は、Cu-GaターゲットにInを注入することである。この特許文献1では、異常放電等がなかった旨の記載と、相対密度が95%以上であることの記載があるが、得られたターゲットの割れについては、特段の記載がない。
一般に、溶解品は焼結品よりも、当然密度が高くなり、通常100%未満の密度となるのは稀である。しかし、特許文献1の段落[0010]に、「相対密度が95%以上の高密度である」と記載し、この程度の密度が実現しているような記載がある。
このように相対密度95%程度では、決して高密度とは言えない。実際、この特許文献1では、溶解品に密度を低下させる巣や、好ましくない空孔(空隙)が発生していると考えられる。
また、組成偏析が観察されなかった旨の記載はあるものの、分析結果等は一切示されていない。上記のレベルの相対密度の記載から、認識したレベルの程度の偏析の向上を述べているだけである。
一般に、溶解法は組成偏析が大きいのが普通であり、偏析を無くすための特別な工程を経ていないことから、通常レベルの偏析が残存しているものと考えられる。
このような溶解品特有の偏析は、スパッタリング中に膜組成が変化してしまう不具合がある。また、スパッタリング条件も不明である。
このように、溶解品に密度を低下させる巣や、好ましくない空孔(空隙)、あるいは偏析が発生しているターゲットは、粉末焼結体よりも、割れが発生し易くなる虞が多分にある。
また、Cu-Gaターゲットに関する別の文献(特許文献2)では、焼結体ターゲットが記載されているが、これはターゲットを切削する際に割れや欠損が発生し易いという脆性に関する従来技術の説明があり、これを解決しようとして、二種類の粉末を製造し、これを混合して焼結したとしている。そして、二種類の粉末の、一方はGa含有量を高くした粉末で、他方はGa含有量を少なくした粉末であり、粒界相で包囲した二相共存組織にするというものである。
この工程は、二種類の粉末を事前に製造するものであるから、当然工程が複雑であり、またそれぞれの粉末は、硬さ等の物性値や組織が異なるので、単に混合焼結するだけでは均一な焼結体にすることは難しく、密度の向上は期待できない。密度が低くなるターゲットは、当然ながら割れの原因となるものである。
この特許文献2では、切削時の割れの評価を良いとしているが、スパッタリング時の割れの問題については不明である。ターゲットの組織構造は表面ではなく、内部的な問題であるから、二相共存組織のスパッタリング時の割れの問題は、表面の切削性とは別の問題と考えられるのである。たとえ、スパッタリング時の割れの問題が解決できるとしても、ターゲットの組織が二相共存組織になっていることから、不均一なスパッタ膜を生ずる可能性がある。いずれにしても、二種類の粉末を作製することによるコスト増と上記の問題を内包していると言える。
特許文献3には、光記録媒体の記録層の材料の1つとして、CuGa2を例示した上で、AuZn記録層をスパッタ法で積層した旨の記載がある。しかし、CuGa2をスパッタした旨の記載は無く、単にCuGa2のスパッタを示唆したに過ぎない。
特許文献4には、光記録媒体の記録層の材料の1つとして、CuGa2を例示した上で、AuSn記録層をスパッタ法で積層した旨の記載がある。CuGa2をスパッタした旨の記載は無く、単にCuGa2のスパッタを示唆したに過ぎない。
特許文献5には、Gaを100ppm以上10重量%未満で含み、1から20μmの平均結晶粒度を持ち、ターゲット全体の結晶粒度均一性が15%未満の標準偏差を有する銅合金ターゲットが請求項29に記されている。Ga濃度が低く、鍛造・圧延によって作られたターゲットが所定の集合組織を有するようにすることを目的としている。
特許文献6には、Gaを含む添加元素が0.1〜20.0at%の固溶限の範囲で添加された銅合金がクレームされている。しかし、実施例で示されているのはCu-Mn合金だけであり、ターゲットの製法については、具体的に記されていないが、溶解法で作られたものと考えられる。用途は表示装置用である。
特許文献7には、粉末の原料成分を冷間静水圧圧縮して作られた銅合金ターゲットであり、実施例3にインジウム粉末とCu-Ga合金粉末からなる混合物を原料とするターゲットの製法が記されている。本願発明と比べ、焼結を行っておらず、組成も異なり、関連する要素は無い。
特許文献8には、Gaを1〜20at%含有したCu合金記録層用スパッタリングターゲットの記載があるが、実施例に記されているのは、CuにZn又はMnを添加した材料をアーク溶解炉で溶製し、インゴットとして得るものであって、Gaを添加した銅合金ターゲットに関する具体的な記載は何も無い。
特許文献9には、CIGS型薄膜太陽電池製造に用いる為の10、20、30重量%のGaのCuGa合金ターゲットの使用例が実施例に記載されているが、CuGa合金ターゲット自体の製法については、何ら記載がない。また、ターゲットの諸特性についても同様に記載がない。
特許文献10には、25〜67at%のGaを含むCuGa合金ターゲットを鍛造急冷法で製造する方法が記載されている。本願発明と同じ薄膜太陽電池用途であるが、鍛造特有の欠点を有しており、本願発明で解決された課題が依然として残っている。
特許文献11には、20〜96重量%のGaを含有するCuGa合金ターゲットが規定され、実施例でGa25,Cu75重量%が、特に有効と記載されている。しかしながら、CuGa合金ターゲット自体の製法については、何ら記載がなく、ターゲットの諸特性についても同様に記載がない。上記いずれの特許文献にも、本願発明の課題及びそれを解決手段に対して、参考となる技術の開示を見出すことができなかった。
特開2000−73163号公報 特開2008−138232号公報 特開昭63−37834号公報 特開昭62−379533号公報 特表2005−533187号公報 国際公開WO2006−025347号公報 国際公開WO2007−137824号公報 国際公開WO2007−004344号公報 特開平10−135498号公報 中華人民共和国特開1719626号公報 特開平11−260724号公報
本発明は上記状況に鑑み、Cu-Ga焼結体ターゲットにおいて、抗折強度を高め、ターゲット製造時及びスパッタリング成膜時のターゲットの割れを抑制して、歩留まりを向上させ、CIGS層形成プロセス及びCIGS太陽電池製造のコストを低減することが可能であるCu-Ga焼結体ターゲット及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題の解決のため、本発明者らは鋭意研究を行った結果、組成偏析防止のためには、溶解法では限界があり、粉末法で組成の揃った原料を用いる必要があること、脆性を少なくするためには、ターゲット密度を高くすること、平均粒径を所定の範囲内とすること等が有効であることを見出し、本発明を完成させた。
すなはち、本発明は、
1)Ga濃度が20〜60at%、残部がCu及び不可避的不純物であるCu-Ga合金粉末の焼結体からなり、該焼結体の相対密度が97%以上、平均結晶粒径が5〜30μmであり、さらに抗折力が150Mpa以上であることを特徴とするCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲット
2)ターゲットの抗折力をF(MPa)、Ga濃度をN(at%)とした時、F>-10×N+600の関係を満足することを特徴とする上記1)記載のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲット
3)Cu-Ga合金が単一組成からなることを特徴とする上記1)又は2)記載のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲット
4)Cu-Ga合金のX線回折による主ピーク以外のピーク強度が、主ピーク強度に対して5%以下であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一項に記載のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲット
5)Cu-Ga合金組成が実質的にγ相であるか又は主要相がγ相であることを特徴とする上記1)〜4)のいずれか一項に記載のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲット、を提供する。
また、本発明は、
6)Cu及びGa原料を溶解、冷却後、粉砕した混合原料粉をホットプレス法で請求項1〜5のいずれか一項に記載のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲットを製造する方法であって、ホットプレス時の保持温度を混合原料粉の融点より50〜200℃低温とし、保持時間を1〜3時間、冷却速度を5℃/min以上、混合原料粉への加圧圧力を30〜40MPaとして、ホットプレスすることを特徴とするCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲットの製造方法
7)Cu及びGa原料の溶解、冷却後の粉砕を、機械的粉砕法、ガスアトマイズ法又は水アトマイズ法で行うことを特徴とする上記6)記載のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲットの製造方法、を提供する。
本発明によれば、Cu-Ga焼結体ターゲットにおいて、抗折強度を高め、ターゲット製造時及びスパッタリング成膜時のターゲットの割れを抑制して、歩留まりを向上させることができるので、CIGS層形成プロセス及びCIGS太陽電池製造のコストを低減することが可能であるという優れた効果を有する。
実施例及び比較例での、Ga濃度とCu-Ga系ターゲットの抗折力との関係を示すグラフである。
次に、発明を実施するための形態、すなわち本発明の構成要件の定義、範囲規定の理由や意義、調整方法、測定方法等について記す。
本発明のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲットのGa濃度範囲は20〜60at%とし、残部はCu及び不可避的不純物とする。これは、実際のCIGS系太陽電池を作製する際の適切かつ好適なGa濃度範囲であるからである。但し、本発明の技術的思想自体は、この範囲外の組成に対しても適用可能である。
本発明のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲットは、焼結体の相対密度を97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上とする。相対密度は、焼結体ターゲットの実際の絶対密度を、その組成のターゲットの理論密度で除した値の比である。
ターゲットの相対密度が低いということは、ターゲット中に内部空孔が多数存在することを意味するので、Cu-Ga合金焼結体ターゲットの脆化の要因となる。後述する実施例及び比較例に示すように、Cu-Ga合金焼結体ターゲットは、Ga含有量が増加すると急速に脆化する。したがって、ターゲットの密度を高めることはCu-Ga合金焼結体ターゲットの脆化を抑制し、抗折力を高める機能を有する。
さらに、本願発明のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲットは平均結晶粒径を5〜30μmとする。平均粒径はターゲット表面を必要に応じて軽くエッチングをして、粒界を明確にしてからプラニメトリック法で求めることができる。
平均粒径が小さいと高密度化し易く、上記の高密度の特徴を介して、割れの発生を抑制できる。また、逆に、平均粒径が大きいと、各結晶粒はランダム配向をしているために、割れの進展が進み易い。
上記の様なメカニズムから、平均粒径を小さくすることで、割れを抑制することができる。平均粒径が増加するにつれて抗折力が小さくなっていくが、平均粒径が30μmを超えるあたりから、ターゲットへ加わる加工時及びスパッタ時の力との関係で、割れやひびが入りやすくなる。また、平均粒径は小さい方が好ましいが、平均粒径を5μm未満とすることは、製造上追加の工程が必要となるために実用的に劣る。
平均粒径は、ホットプレス時の保持温度によって調整することができ、より高温にする程、粒径は大きくなる。
一般的に、加工時やスパッタ時の割れやひびはターゲットの抗折力が小さい方が発生し易い傾向があるが、抗折力の値のみと1対1の対応をしているわけではなく、ある程度の範囲の幅があり、同一抗折力であっても、密度や粒径が異なれば、割れ易さには多少の違いが生じる。本発明では、加工時やスパッタ時の割れやひびが発生しない程度の抗折力として150Mpa以上と規定した。
Cu-Ga系合金はGa濃度が増加すると抗折力が低下する傾向を有する。本発明では、ターゲットの抗折力をF(MPa)、Ga濃度をN(at%)とした時、F>-10×N+600の関係を満足する程度に抗折力の高いターゲットを規定する。
これまでの先行文献等ではCu-Ga系ターゲットの抗折力を記載したものはなく、本発明による抗折力は各濃度において高いものであるために、Cu-Ga系ターゲットの割れ抑制に効果があるものである。抗折力は3点曲げ法によって求めることができる。
本願発明のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲットの、好ましい条件の一つとして、Cu-Ga合金が単一組成からなるCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲットを提供する。
本発明で単一組成の語は、通常の物理的手段等では他の組成の存在を検出できない組成のみで構成されている組成の意味で使用する。また、ミクロ的には他の組成が微量含まれていても、諸特性に悪影響等が認められない場合は、実質的に単一組成と同様な効果を示す。
本願発明のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲットの、好ましい条件の一つとして、Cu-Ga合金のX線回折による主ピーク以外のピーク強度が、主ピーク強度に対して5%以下であるCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲットを提供する。
上記単一性の基準をX線ピーク強度比で規定することができる。主組成のピークと比較して、他組成のピーク強度が5%以下であれば、実質的に単一組成と同様の効果を示す。
ガスアトマイズ又は水アトマイズ法で作製された混合原料粉の組成は、ほぼ均一であり、その混合原料をホットプレスして得られるターゲット組成も均一に近いものとなり得る。なお、ホットプレス冷却中に冷却速度が小さいと、冷却中に異相が析出してしまうことがある。この様な異相は、その量が多いとX線回折ピークで検出することができる。
Cu-Ga合金はGa組成が約30〜43at%の場合は、ガンマ(γ)相を有する。この相は脆性があり、割れやすいという特徴がある。CIGS系太陽電池に使用されるCu-Ga組成は、特にこのGa濃度範囲であることが多い。このようなCu-Ga合金の脆性を回避するために、特に密度を向上させ、抗折力を向上させることが有効となる。
次に、本発明のターゲットの製造方法について、その範囲規定の理由や意義、そのターゲット諸特性へ与える影響等について記す。
Cu及びGa原料を所定の組成比となるように秤量後、カーボン製坩堝に入れ、約0.5 MPa気圧に加圧した加熱炉内で融点より約50〜200℃高温として、混合原料を溶解させる。約1時間以上保持して、溶解原料が充分に混合した後に、加熱を停止して冷却した後に、1次合成原料を取り出す。
この1次合成原料を粉砕して微粉原料を得る。粉砕方法としては、機械的粉砕法、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法などがあり、いずれの方法でも可能であるが、比較的低コストで大量処理が可能なものが、水アトマイズ法である。
水アトマイズの場合、1次合成原料を再度、坩堝内で溶解させて液状となった原料液を滴下させ、その滴下液に約10Mpa程度の高圧水を噴射して、微粉を得る方法である。得られた微粉はその後、フィルタープレスや乾燥等を経て混合微粉原料として使用される。
混合微粉原料を所定目開きの篩にかけて、粒度分布を調整してから、ホットプレスを行う。ホットプレス条件は、Ga濃度によって適切条件は異なるが、例えば、Ga濃度が30at%の場合、温度600〜700℃、圧力30〜40MPa程度である。
すなわち、このホットプレスの好適な条件として、ホットプレス時の保持温度を混合原料粉の融点より50〜200℃低温とすること、保持時間を1〜3時間とすること、冷却速度を5℃/min以上とすること、混合原料粉への加圧圧力を30〜40MPaとすることが有効である。このホットプレスの条件を適宜選択して、Cu-Ga合金ターゲットの密度向上、さらには抗折力の向上を図ることが可能である。
温度上昇速度や保持時間等の温度プロファイルと圧力印加プロファイルとの関係では、温度を設定最高温度にしてから圧力を加える後圧方式よりも、先に圧力を加える先圧方式の方が、焼結前に原料粉がより微細に砕けるために、焼結密度を高くするのに有効である。
また、ホットプレスの冷却速度がゆっくりであると、その間に異相が発生するので、冷却速度は5℃/min以上の速い温度とすることが有効である。
上記方法で作製したCu-Ga焼結体の密度はアルキメデス法で、平均粒径は表面エッチング後にプラニメトリック法で、組成はX線回折法でそれぞれ求めることができる。
上記Cu-Ga焼結体を、例えば直径6インチ、厚み6mmに加工して、バッキングプレートにインジウムをロウ材として貼り付けて、スパッタリングターゲットとし、成膜を行い、膜へのパーティクル発生状況、ノジュール、異常放電等の状況を調べることができる。
次に、本願発明の実施例及び比較例について説明する。なお、以下の実施例は、あくまで代表的な例を示しているもので、本願発明は、これらの実施例に制限される必要はなく、明細書の記載される技術思想の範囲で解釈されるべきものである。
(実施例1)
Cu原料とGa原料を組成がGa濃度30at%となるように秤量し、カーボン製坩堝に入れ、0.5Mpaのアルゴンを印加した加熱炉内で、1000℃で溶解させた後、冷却速度5〜10℃/minで冷却してから合成原料を取り出した。
次に、この合成原料を水アトマイズ装置のカーボン坩堝に入れ、1000℃で融解させた後に、融解液を滴下しつつ、滴下液に10Mpaの高圧水を噴射して、Cu-Ga混合微粉を得た。混合微粉をフィルタープレス後、120℃で乾燥させて、混合微粉原料を得た。
この混合微粉を、5℃/minの昇温速度で室温から650℃まで昇温した後、650℃で2時間保持すると共に35Mpaの圧力を印加した。その後、5℃/minの降温速度で冷却を行ってから焼結体を取り出した。
得られたCu-Ga焼結体の相対密度は99.9%、平均粒径は11μm、主相と異相とのX線回折ピーク強度比は0.2%であった。この焼結体を直径6インチ、厚み6mmの円板状に加工して、スパッタリングターゲットとし、スパッタを行った。
スパッタ条件としては、雰囲気ガスはアルゴンでガス流量は50sccm、スパッタ時圧力は0.5Paとして、特に、ターゲット割れに関して重要な条件であるスパッタパワーは直流(DC)1000Wと大きくした。スパッタ時間にして20時間後、総スパッタ量にして20kWhr後、ターゲット表面を観察したが、割れは確認されなかった。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0005144766
(実施例2〜実施例6)
実施例1と同様な方法で、Ga組成と平均粒径とを変化させたターゲットをそれぞれ作製し、スパッタ評価を行った結果を表1にまとめて記す。この結果からGa組成、平均粒径、抗折力が所定の範囲内であるターゲットは、加工時やスパッタ時に割れがないという良好な結果であった。
(比較例1〜比較例2)
実施例1とほぼ同様条件で、ターゲットを作製したが、ホットプレス時の温度をそれぞれ、600℃、550℃と低くすることで、密度の低いターゲットを作製した。
ターゲットの特性や割れ等の有無の結果を表1にまとめて記す。加工時の割れの欄中に記載の「少し」とは、ターゲットが割れて分離してしまうまではいかなかったが、僅かでもひびが入った状態を示す。この結果から、ターゲットの密度が所定値より低いと、加工時にひびが認められた。但し、スパッタ後のターゲット表面のひびは確認されなかった。
(比較例3〜比較例5)
実施例1とほぼ同様条件で、ターゲットを作製したが、冷却速度をそれぞれ、1℃/min、2℃/min、0.5℃/minと小さくすることで、平均粒径が大きく、また、X線強度比が大きく異相が認められるターゲットを作製した。
ターゲットの特性や割れ等の有無の結果を表1にまとめて記す。この結果から、スパッタ時にひびは認められなかったが、加工時に僅かながらひびが認められた。
(比較例6〜比較例8)
溶解法でCu-Gaターゲットを作製した。Ga組成が所定の濃度となるようにCuとGa原料を秤量しカーボン製坩堝に入れ、0.5Mpaのアルゴンを印加した加熱炉内で、比較例の6場合は1000℃で、比較例7及び8の場合はそれぞれの材料の融点より約200℃高温として融解させた後、約5℃/minの冷却速度で冷却して取り出したターゲットの特性や割れ等の有無の結果を表1にまとめて記す。
この結果から、溶解法で作製したターゲットは、平均粒径が非常に大きく、抗折力が非常に小さく、加工時やスパッタ時の割れが確認された。
図1に本発明での実施例及び比較例でのGa濃度とCu-Ga系ターゲットの抗折力との関係を示すグラフを記す。この図から本発明の実施例でのターゲットの抗折力は大きいので、加工時やスパッタ時の割れがなく、歩留まり良くCu-Ga系ターゲットや膜を製造することができる。
本発明によれば、組成偏析がなく、脆性が少ないGa濃度が25〜45at%の高Ga濃度のCu-Gaターゲット及びその製造方法を提供することができ、ターゲット製造及びCIGS系太陽電池製造の歩留まりが向上し、製造コストが低減できるので、セレン化法によるCIGS系太陽電池の製造用材料として有用である。

Claims (7)

  1. Ga濃度が20〜60at%、残部がCu及び不可避的不純物であるCu-Ga合金粉末の焼結体からなり、該焼結体の相対密度が97%以上、平均結晶粒径が5〜30μmであり、さらに抗折力が150Mpa以上であることを特徴とするCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲット。
  2. ターゲットの抗折力をF(MPa)、Ga濃度をN(at%)とした時、F>-10×N+600の関係を満足することを特徴とする請求項1記載のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲット。
  3. Cu-Ga合金が単一組成からなることを特徴とする請求項1又は2記載のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲット。
  4. Cu-Ga合金のX線回折による主ピーク以外のピーク強度が、主ピーク強度に対して5%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲット。
  5. Cu-Ga合金組成が実質的にγ相であるか又は主要相がγ相であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲット。
  6. Cu及びGa原料を溶解、冷却後、粉砕した混合原料粉をホットプレス法によりホットプレスして、請求項1〜5のいずれか一項に記載のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲットを製造する方法であって、ホットプレス時の保持温度を混合原料粉の融点より50〜200℃低温とし、保持時間を1〜3時間、冷却速度を5℃/min以上、混合原料粉への加圧圧力を30〜40MPaとして、ホットプレスすることを特徴とするCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲットの製造方法。
  7. Cu及びGa原料の溶解、冷却後の粉砕を、機械的粉砕法、ガスアトマイズ法又は水アトマイズ法で行うことを特徴とする請求項6記載のCu-Ga合金焼結体スパッタリングターゲットの製造方法。
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