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JP5145657B2 - 電気化学デバイス - Google Patents
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本発明は、小型電子機器の電源として好適な燃料電池等の電気化学デバイスに関するものである。
現在、電子機器の電源として様々な1次電池および2次電池が用いられている。これらの電池の特性を判断する1つの方法にエネルギー密度がある。このエネルギー密度とは、電池の単位質量又は単位体積当りのエネルギー容量のことである。
近年、電子機器が小型化及び高性能化するにつれて、これに用いられる電源の高容量化及び高出力化、特に高容量化の必要性が大きくなってきており、従来の1次電池および2次電池では、電子機器の駆動に十分なエネルギーを供給することが困難になってきている。このような現状を打開する解決策として、よりエネルギー密度が高い電池の開発が急務とされており、燃料電池はその候補の1つとして注目されている。
燃料電池は、負極(アノード)、正極(カソード)及び電解質等からなり、負極側に燃料が供給され、正極側に空気又は酸素が供給される。そして、燃料の酸化還元反応が、負極及び正極上で起こり、燃料が持つ化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換されて取り出される。
既に、様々な種類の燃料電池が提案又は試作され、一部のものは実用的に製造され、利用されている。これ等の燃料電池は、用いられる電解質によって、例えば、アルカリ電解質型燃料電池(AFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)及び固体高分子型燃料電池(PEFC)等に分類される。
例えば図7に示す固体高分子形燃料電池62Aは、高分子イオン交換膜(陽イオン交換膜)からなる電解質膜(電解質)51を採用している。この電解質膜51の両側に、それぞれが、例えば、カーボンを主体とする基材に、貴金属系の電極触媒層を接合した負極52及び正極53を設けた膜・電極接合体(発電部)54を、2つの燃料供給部によって挟持した単位セル(燃料電池セル)を備えている。
通常、この単位セルは、単独で用いるにはその取り出せる電圧が低い(0.3V−0.8V)ため、所定数だけ単位セルが積層されることにより、燃料電池スタックとして使用されている。
この種の燃料電池62Aにおいては、負極52側に燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガスが供給されると、電極の触媒上で水素がイオン化され、電解質膜51を介して正極53側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路61に取り出され、直流の電気エネルギーとして利用される。なお、正極53には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガス又は空気が供給されるために、この正極53において、水素イオン、電子及び酸素が反応して水が生成される。
一方、モバイル用途向け等のダイレクトメタノール型燃料電池といった薄型構造が好まれる燃料電池では、複数の単位セルを平面状に1列または複数列に配置し、各単位セル同士を電気的に直列に接続した平面積層構造の燃料電池が採用されることが多い。
その場合、所定数だけ直列化するためには、必要とする単電池の数だけ、例えば、テフロン(登録商標)等の絶縁基板(ガスケット)に電極部分のみをはめ込むことのできる電極サイズの孔を複数設け、そこに単位セルをはめ込んで平面配列構造体とし、燃料電池を作製する。この時、単位セルの電極部分の大きさよりも大きめに切断された電解質膜をその絶縁基板で挟み込み、所定の手段によって圧力を掛けて物理的に密着させシール部分を形成することにより、絶縁性及びガスシール性を確保している。
しかしながら、電解質膜と絶縁基板との物理的な密着によりシール部分を形成しているため、そのシール性を向上させるためには、シール部分となる電解質膜の部分を大きくしたり、絶縁基板の電解質膜に対する押し付け圧力を高くしたりしなければならない。このため、単位セルの筐体は大きくかつ厚くなるという欠点がある。
また、固体高分子電解質膜はその水分量によって伸び縮みする特性を有するため、発電時における水分量の変化等によりシール部分のシール性能が不安定となり、ガスシール性を維持することが難しい。このガスシール性の不良により、燃料電池セルが発熱し、燃料が無駄に消費されてしまう。
そこで、これ等の課題を解決する方法としては、図8に示すような構造の燃料電池62Bが提案されている(後述の特許文献1を参照)。
この構造においては、膜・電極接合体(MEA)54Bの電解質膜51(プロトン伝導部)の所定部分において、金属イオンやアンモニウムイオンによりスルホン酸基のプロトンを置換して、絶縁層(プロトン絶縁部)63を形成し、これをゴムパッキン64で挟持している。
特許公報第2894378号(2頁右欄34行目〜3頁左欄28行目、図2)
しかし、図8に示す構造の燃料電池62Bでは、長期の発電時において、絶縁層(プロトン絶縁部)63に導入したイオンが電解質膜(プロトン伝導部)51へ移動してしまうので、燃料電池62Bの出力が低下し易い。更には、絶縁層(プロトン絶縁部)63を形成するための処理が煩雑である。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、発電効率が良好であり、平面配列構造を簡易に作製することができる燃料電池等の電気化学デバイスを提供することにある。
即ち、本発明は、電解質膜と、この電解質膜を挟持する第1極及び第2極電極とからなる膜・電極接合体の複数個が、所定の間隔を置いて面方向に沿って配置されている電気化学デバイスにおいて、互いに隣接する複数の前記膜・電極接合体間で前記第1極及び第2極電極から対向して突出した前記電解質膜の露出部がガスバリア性の接着層に埋設され、これによって複数の前記膜・電極接合体が連結されていることを特徴とする電気化学デバイスに係わるものである。
本発明によれば、互いに隣接する複数の前記膜・電極接合体間で前記第1極及び第2極電極から対向して突出した前記電解質膜の露出部が絶縁性でかつガスバリア性の接着層に埋設され、複数の前記膜・電極接合体が連結されているために、前記接着層から前記膜・電極接合体への不所望な物質の移動もなくなることから、電極間の短絡がなく、ガスシール性が良好となり、これによってデバイスとしての信頼性が高く、例えば発電効率の良好な電気化学デバイスを得ることができる。
しかも、対向した前記電解質膜の露出部を前記接着層に埋設して連結することによって、複数の膜・電極接合体を面方向に沿って高密度に配置した高出力で薄型の構造を簡易に作製することができる。
本発明においては、前記複数の膜・電極接合体が配置されてなる電気化学デバイスを有利な平坦形状とするために、前記複数の膜・電極接合体が同一面上に配置され、前記接着層の両面が平坦になっているのが好ましい。
或いは、前記複数の膜・電極接合体が厚み方向にずれた位置に配置された状態(即ち、前記電解質膜の露出部が前記接着層を介して重なった位置に配列された状態)で前記接着層の両面が平坦になっていても、電解質間における短絡無しで、デバイスをほぼ平坦形状とすることができる。
また、前記電解質膜と前記接着層との接着性を良好にするために、フィルム状樹脂が少なくとも2層接着されることにより、前記接着層が形成されるのが好ましいが、この場合に、前記フィルム状樹脂が熱可塑性樹脂からなり、前記フィルム状樹脂が加熱されることにより前記電解質膜の露出部と前記接着層とが接着されるのが望ましい。
或いは、前記電解質膜と前記接着層との接着性を良好にするために、前記フィルム状樹脂が、前記電解質膜の露出部との接着面において、酸、酸無水物、酸エステル、メタロセン及び水酸基(又はそのエステル化物)などからなる群から選ばれた少なくとも1種により変性されているのが好ましい。
また、前記電解質膜の露出部と前記接着層との接着性を良好にするために、前記フィルム状樹脂が、電解質のスルホン酸基と静電相互作用などの相互作用によって結合可能な水酸基やイミダゾール、ピリジン、アミン等の塩基性置換基を有する分子が重合されてなるものがよい。
なお、本発明の電気化学デバイスは、負極又は燃料極(アノード)、電解質層、及び正極又は酸素極(カソード)からなる燃料電池として構成されているのが好ましい。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的かつ詳細に説明する。
第1の実施の形態
図1〜図5に、本発明の第1の実施の形態を示す。
本実施の形態による電気化学デバイスとしての燃料電池セル11Aを図1の断面図及び図2の斜視図に示す製造工程に基づいて説明する。
まず、図1(a)に示すように、個々の発電部1を複数箇所(図では断面内3箇所、2列:以下、同様)でそれぞれ嵌めこんで収容するための開口部13aを熱可塑性樹脂シート2a(フィルム状樹脂)に形成する。これらの開口部は切り取りによって形成可能である(以下、同様)。
次に、図1(b)に示すように、各開口部13aに、電解質膜3、正極4(ガス拡散電極)及び負極5(ガス拡散電極)からなる膜・電極接合体1をそれぞれ嵌めこむが、発電部としての接合体1(MEA)は電解質膜3の一部3aが各電極の周囲に突出して露出しており、この露出部を開口部13aの周囲で受けると共に、開口部13a内に負極5を嵌め入れる。
こうして、各発電部1を各開口部13aに収容保持した後、図1(c)及び図2に示すように、正極4の側でシート2aの上から、電解質膜3の上記の突出した露出部3aを被覆し、正極4を嵌め込むための開口部13bを有する熱可塑性樹脂シート2b(フィルム状樹脂)を被せ、上記シート2aとの間に電解質膜3の露出部3aを挟み込む。この時に、複数の発電部1が同一面上に配置され、シート2a及び2bの両面は平坦になっている。
次に、図1(d)に示すように、シート2a及び2bのみを加熱して互いに熱圧着して一体化させ、これによってガスバリア性の十分な接着層2(即ち、シール)を形成する。この接着層2は、電極から露出した電解質膜3及び電極の一部に被着することにより、電解質膜3の突出した露出部3aを埋設すると共に、複数の発電部1間を強固に連結した平面形の平面配列構造体11Aを作製する。
次に、図1(e)に示すように、平面配列構造体11Aを、集電体6又は7と絶縁層8からなるカソードプレート及びアノードプレートに挟み込み、メタノール9を例えば水溶液として収容するメタノールタンク10を設けて燃料電池12を完成する。ここで、集電体6及び7には金メッキしたSUS等のパンチングメタルやメッシュを用いることができ、絶縁層8にはPPS(ポリフェニレンスルフィド)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の強度及び耐熱性に優れた硬質プラスチックやセラミックスを用いることができる。燃料電池12として実際に用いる場合には、各発電部1は直列に接続されてよいが、ここではその結線状態は図示省略する。
なお、本実施の形態においては、発電部1が6箇所に配置された状態を図示したが、その個数や配置パターンは必要に応じて変化させてよいことは勿論である。
上述のシート2a及び2bの材質は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル及びPETなどのポリエステル等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
そして、これらのシート2a及び2bは、電解質膜3との接着面において、酸、酸無水物、酸エステル、メタロセン及び水酸基(又はそのエステル化物)などからなる群から選ばれた少なくとも1種により変性(表面処理)されたものを用いると、接着性が良好となる。
また、シート2a及び2bは、電解質のスルホン酸基と静電相互作用によって結合可能な水酸基やイミダゾール、ピリジン、アミン等の塩基性置換基を共重合体として有すると、接着性が良好となる。
図3には、シート2a及び2bが電解質膜3と接着するメカニズムの1例が示されている。
例えば、水酸基を共重合させたビニル系熱可塑性樹脂からなるシート2aと、スルホン酸基を有する固体電界質膜3とを接触させ、熱を加えることにより、シート2a及び2bの水酸基が電解質膜3のスルホン酸基と反応して、両者間がエステル結合によって強固に結合すると推察される。これは、後述のシート2c、2d及び2eの接着においても同様である。
次に、図4に示した表について、上述のシート(又はフィルム)2a及び2bの材質として、例えば、酸素遮断性が良好なポリビニルアルコール(ポバール:PVA)系の各種樹脂を用いたときの接着特性等を説明する。この表は、各樹脂の低温接着性、水浸漬時、MeOH(メタノール)浸漬時及び熱水浸漬時の接着性、及び寸法安定性についてのフィルム引き剥がし時の状況を示し、◎はフィルム破断:接着性非常に良好、○は接着面の剥離:接着性良好、△は接着面の剥離:接着性不十分、及び×は非接着又は剥離:接着不良、をそれぞれ意味する。
この表によれば、PVA樹脂シート(30μm厚)、PVA樹脂シート(50μm厚)、PVA樹脂シート(40μm厚)(以上、いずれもクラレ社製)は、低温接着性が良好であり、また水浸漬、MeOH浸漬及び熱水浸漬においてはフィルム破断が生じる程に接着強度が十分であるが、吸湿によって寸法安定性が不十分となり易い。
これに対し、エチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂シート(エチレン含有量約30モル%又は約45モル%)(いずれもクラレ社製)は、低温接着性が非常に良好であり、また水浸漬、MeOH浸漬及び熱水浸漬においても接着強度が十分であり、更に寸法安定性も良好である。
また、出光LLフィルム(出光興産社製)は、低温接着性においては接着強度が良好であり、寸法安定性も非常に良いが、水浸漬において接着強度が低下し、MeOH浸漬及び熱水浸漬において接着強度が不良となって非接着又は剥離状態となる。
これらの結果から、PVA系接着剤は、全体的に接着強度が概ね高い材質であるといえる。但し、ポバールは、吸湿により寸法安定性が乏しくなるのに対し、エバール樹脂又はエバール樹脂の複合膜(例えばポリプロピレンフィルムとの複合膜)は、低温接着性、水浸漬、MeOH浸漬及び熱水浸漬、更には寸法安定性のいずれもが優れていてシート2a及び2bの材質として好ましいといえる。
上記したPVA系樹脂やポリアクリロニトリルなどはガス透過速度が樹脂フィルムの中では比較的小さく、高いガスシール性を有しているので、上記のシート2a、2bの材質として優れている。
上記した如き、電解質膜3と密着性の高い樹脂をシート2a及び2bに用いることにより、電解質膜3とシートa及び2bによる接着層2との接着性が向上し、吸湿によっても両者間に隙間が生じ難くなり、ガス漏れが激減し、ガスシール性を向上させることができる。
上記したように、本実施の形態によれば、互いに隣接する複数の発電部1間で正極4及び負極5から対向して突出した電解質膜3の露出部3aが、熱可塑性樹脂シート2a及び2bの熱圧着体からなるガスバリア性の接着層2に埋設され、複数の発電部1が連結されているために、電解質膜3の突出した露出部3aと接着層2との接着面におけるガスシール性(即ち、メタノール等の燃料や酸素の透過の防止性)が良好となると同時に、隣り合う電解質膜3間の不所望なイオン等の移動もなく、デバイスとしての信頼性が高く、燃費の向上と共に発電効率の向上を実現した平面配列構造体11Aを得ることができる。
しかも、対向した電解質膜3の露出部3aを接着層2で連結することによって、複数の発電部1を面方向に沿って同一面上に高密度に配置した高出力で薄型の構造を簡易に作製することができる。
第2の実施の形態
図5〜図6に、本発明の第2の実施の形態を示す。
本実施の形態による燃料電池では、図5に示すように、3枚の熱可塑性樹脂シート2c、2d及び2eを積層して熱圧着により接着層2を形成すると共に、隣接し合う発電部1A及び1Bを厚み方向に僅かにずらして配置し、かつそれぞれの発電部1A及び1Bの電解質膜3の露出部3aを厚さ方向で部分的に重なるように各発電部間の間隔を詰めて配置していること以外は、上述した第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態による平面配列構造体11Bを図5の断面図及び図6の斜視図に示す製造工程に基づいて説明する。
まず、図5(a)に示すように、各発電部1A及び1Bをそれぞれ収容するための開口部13c及び13dを熱可塑性樹脂シート2cに形成する。
次に、図5(b)に示すように、これらの開口部のうち開口部13cに、電解質膜3、正極4及び負極5からなる発電部(MEA)1Aの負極5を嵌め込み、電解質膜3の露出部3aがシート2cと同一面をなすように密着させる。
次に、図5(c)及び図6に示すように、各発電部1Bを収容するための開口部13eと開口部13fを有する熱可塑性樹脂シート2dを配置し、その開口部13eに、発電部1Bの負極5を嵌め込むと共に電解質膜3の露出部3aを載置し、かつ発電部1Aの正極4を開口部13fに嵌め込む。
次に、図5(d)に示すように、発電部1Aの正極4と、発電部1Bの正極4及び電解質膜3の露出部3aとをそれぞれ嵌め込む開口部13g及び開口部13hを有する熱可塑性樹脂シート2eを被せる。
次に、図56(e)に示すように、各シート2c、2d及び2eのみを加熱し、熱圧着して一体化し、両面が平坦な接着層2を形成する。これによって、接着層2が電解質膜3の露出部3aを埋設して互いに接着してなる平面配列構造体11Bを作製する。
最後に、図1(e)に示した構造と同様に、平面配列構造体11Bに、集電体、絶縁層、メタノール収容のメタノールタンクを設けて燃料電池を完成する。
本実施の形態によれば、隣接する発電部1A及び1Bが厚み方向に僅かにずれて配置され、かつそれぞれの発電部1A及び1Bの電解質膜3の露出部3aが厚さ方向で部分的に重なるようにして接着層2に埋設されているために、平面配列構造体11Bの全体の大きさを縮小することができ、かつ部分的に重なる電解質膜2の露出部3a間での連結強度も大きくなって平面配列構造体自体の強度が向上する。
なお、図5(e)において、隣接し合う電極同士の高さが異なるように図示されているが、実際には、シール部分を加熱してシールするため、電解質膜が曲がってその厚みを補正し、これによって隣接し合う電極同士はフラットになる。
その他、本実施の形態においては、上述した第1の実施の形態で述べたのと同様の作用及び効果が得られる。
以下、本発明の実施例を比較例と共に具体的に説明する。
実施例1
図1(d)に示した平面配列構造体11Aを作製するために、まず、電解質膜3(サイズ:14mm×14mm、厚さ25μm)に対して、触媒インクをカーボンペーパーに塗布して形成したガス拡散電極(正極4及び負極5)(それぞれのサイズ:10mm×10mm)を、130℃で15分間、0.5kNの圧力で接合して、各発電部(MEA)1を作製した。
他方、上記の各ガス拡散電極のサイズ:10mm×10mmと同等サイズの各開口部13aを、5mm間隔で直列数(例えば6箇所)切り取りによりポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂シート(厚さ:30μm)2aに形成した。これらの各開口部に各電極5を嵌め込み、更に、同サイズのポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂シート2bで挟み込んだ。
次に、各電極4及び5の電極面を水平に保ちながら、ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂シート2a及び2bの部分のみを、150℃で1分間、1kNの圧力で熱圧着させ、シート2a及び2bの一体化による接着層(シール)2を形成した。これによって、図1(d)及び図2に示したような平面配置で、各MEA1の電解質膜3の露出部3aが接着層2に埋設され、各MEA1間がプロトン絶縁された平面配列構造体11Aを得た。
この実施例1では、電解質膜3をシールしたポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂シート2は全体として、6箇所に電極4及び5の組を配置したものであり、全体のサイズは50mm×35mmとなった。
実施例2
図5(e)に示した平面配列構造体11Bを作製するために、まず、各電極4及び5のサイズ:10mm×10mmと同等サイズの開口部13c及び13dを3mm間隔で直列数(例えば6箇所)切り取りによりポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂シート(厚さ:30μm)2cに形成した。これらの各開口部のうち開口部13cに発電部1Aの電極5を嵌め込んだ。
次に、同サイズの変性ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂シート2dに切り取りにより形成した開口部13eに発電部1Bの電極5を嵌め込み、更にこれをシート2cの開口部13dに嵌め込んだ。しかる後に、同サイズのポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂シート2eに切り取りにより形成した開口部13g及び13hに各電極を嵌め込んだ。
次に、各電極4及び5の電極面を水平に保ちながら、ポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂シート2c、2d及び2eの部分のみを、150℃で1分間、1kNの圧力で熱圧着させ、シート2c、2d及び2eの一体化による接着層(シール)2を形成した。これによって、図5(e)及び図6に示したような平面配置で、各MEA1A、1Bの電解質膜3の露出部3aが接着層2に埋設され、各MEA間がプロトン絶縁された平面配列構造体11Bを得た。
この実施例2では、電解質膜3をシールしたポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂シート2は全体として、6箇所に電極4及び5の組を配置したものであり、全体のサイズは42mm×29mmとなった。
実施例3
実施例1で述べたと同様にして各MEAを作製した後、各電極4及び5のサイズ:10mm×10mmと同等の開口部を3mm間隔で直列数切り取りによりポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂フィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルム(厚さ:50μm)に形成した。これらの開口部に各電極を嵌め込み、更に、同サイズのポリエチレン−ポリビニルアルコール共重合樹脂フィルムとポリプロピレンフィルムとの多層フィルムで挟み込んだ。そして、実施例2で述べたと同様に各フィルム間を熱圧着して全体のサイズが42mm×29mmの平面配列構造体を作製した。
比較例1
発電部(MEA)は、電解質膜のサイズが16mm×16mmであり、シール性を高めるために、樹脂シートに挟み込まれる電解質膜の厚さを3mmとした発電部(MEA)を作製した。各電極サイズと同等の10mm×10mmの開口部を7mm間隔で直列数テフロン(登録商標)のガスケット(厚さ:400μm)に形成し、これらの開口部に各電極を嵌め込み、更に、同サイズのテフロン(登録商標)のガスケットで挟み込み、全体のサイズが58mm×41mmの平面配列構造体を作製した。しかしながら、このセルでは、ガスケットでシールしているだけであるため、各発電部が位置ずれし易く、作業性が悪かった。
上述の実施例1〜3及び比較例1で作製した各平面配列構造体を、集電体、絶縁層、メタノールを収容したメタノールタンクを含む図1(e)に示した如き構造物に組み込み、各発電部間を直列に接続した。この時、実施例1〜3の各発電部は一体化(連結)構造をとっているため、組み込みが非常に容易であった。また、内部で各MEAの電解質膜がシールされているため、特に平面配列構造体の周辺部分を重点的にシールするのが望ましいが、ここでは簡易的にシリコンゴムで周辺部をシールした。比較例1では、テフロン(登録商標)のガスケットがそのまま周辺シールを兼ねるため、各発電部が位置ずれしないように慎重に組み込んだ。
そして、実施例1〜3及び比較例1の平面配列構造体を用いた燃料電池について性能評価を行った。
具体的には、80重量%のメタノール水溶液を燃料として用いた時の1時間後の開回路電圧(OCV:オープンサーキットボルテージ)と各燃料電池セルの温度とを測定した。結果を下記の表1に示す。また、燃料を3cc用いて、200mWの定電力で発電した場合の各燃料電池セルの温度と発電時間とを測定した。結果を下記の表2に示す。
Figure 0005145657
Figure 0005145657
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜3の各燃料電池において、開回路電圧(OCV)が3V程度得られ、電解質膜間のプロトン絶縁部が接着層(樹脂)により正常に作製されていることが確認された。
また、開回路状態での発熱は、シール不良の目安と考えられるが、実施例1〜3の各燃料電池セルにおいては40℃程度であって、比較例1の燃料電池においては53℃であった。これも通常のシール方法(比較例1)における温度と比較して低い温度であることから、シール性も良好であることが明らかであった。
また、表2に示す結果から明らかなように、発電1時間後の温度は、実施例1〜3の各燃料電池セルにおいては45℃程度であって、比較例1の燃料電池においては57℃であった。発電1時間後の温度が低いことが確認された。
また、発電時間は、実施例1〜3においては6時間程度であって、比較例1の4時間よりも長くなり、発電時においてもシール性が高いために、燃料漏洩による燃料消費が減り、発電時間も延びた。
以上、本発明を実施の形態及び実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
例えば、上述の樹脂シート又は接着層、更には周辺シール材の材質として、上述したもの以外の熱可塑性樹脂を用いてよく、或いは、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂及びウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、シリコンゴム並びにゴム状の液体シール材等を用いることができる。
また、上述の接着層の形成方法は、各シートの積層後の熱圧着だけでなく、接着材料のポッティング方法、塗布方法、又は型枠を用いた注入方法としてもよい。
また、必要に応じて、各発電部の配置は、面方向だけでなく発電部の厚み方向にも積層されていてもよい。各発電部は直列に接続するのが高出力化の点で望ましいが、並列接続でもよく、直並列が混在してもよい。
また、燃料としてメタノールガスを直接供給してもよいが、この場合には電池の動作開始時に水を適量添加して負極側の反応を促進させるようにしてもよい。燃料電池として、水素型燃料電池等、メタノール型以外の他の燃料を用いる燃料電池であってよい。
また、上述の第1の実施の形態と第2の実施の形態とを統合した構成の燃料電池とすることもできる。
本発明の電気化学デバイスは、高発電効率で作製容易な燃料電池等に適用することができる。
本発明の第1の実施の形態による燃料電池の作製工程を順次示す断面図である。 同、燃料電池の作製工程を示す斜視図である。 同、接着メカニズムを示す化学式である。 同、各種樹脂の接着性能を示す表である。 本発明の第2の実施の形態による燃料電池の作製工程を順次示す断面図である。 同、燃料電池の作製工程を示す斜視図である。 従来例による燃料電池の概略断面図。 同、別の燃料電池の断面図である。
符号の説明
1A、1B…発電部(MEA)、2…接着層(シール)、
2a、2b、2c、2d、2e…熱可塑性樹脂シート、3…電解質膜、
4…正極(カソード)、5…負極(アノード)、6、7…集電体、8…絶縁層、
9…メタノール、10…メタノールタンク、11A、11B…平面配列構造体、
12…燃料電池、
13a、13b、13c、13d、13e、13f、13g、13h…開口部

Claims (5)

  1. 電解質膜と、この電解質膜を挟持する第1極及び第2極電極とからなる膜・電極接合体の複数個が所定の間隔を置いて面方向に沿って配置され、互いに隣接する複数の前記膜・電極接合体間で前記第1極及び第2極電極から対向して突出した前記電解質膜の露出部がガスバリア性の接着層に埋設され、これによって複数の前記膜・電極接合体が連結されており、
    フィルム状樹脂が少なくとも2層接合されることにより、前記接着層が形成され、
    前記フィルム状樹脂が、前記電解質膜の露出部との接着面において、酸、酸無水物、 酸エステル、メタロセン及び水酸基(又はそのエステル化物)からなる群から選ばれた 少なくとも1種により変性されているか、或いは、前記フィルム状樹脂が、電解質のス ルホン酸基と相互作用によって結合可能な水酸基またはイミダゾール、ピリジン、アミ ン等の塩基性の置換基を有する分子が重合されてなる、
    電気化学デバイス。
  2. 前記複数の膜・電極接合体が同一面上に配置され、前記接着層の両面が平坦になっている、請求項1に記載した電気化学デバイス。
  3. 前記複数の膜・電極接合体の第1極及び第2極電極から対向して突出した前記電解質膜の露出部が前記接着層を介して重なった位置に配列された状態で前記接着層の両面が平坦になっている、請求項1に記載した電気化学デバイス。
  4. 前記フィルム状樹脂が熱可塑性樹脂からなり、前記フィルム状樹脂が加熱されることにより前記電解質膜の露出部と前記接着層とが接着される、請求項に記載した電気化学デバイス。
  5. 燃料電池として構成された、請求項1に記載した電気化学デバイス。
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