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JP5158652B2 - 土間床の施工方法 - Google Patents
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本発明は建物の施工法に係わり、特に軟弱地盤上に土間床を施工するための方法に関する。
周知のように、地盤上に直接施工されて直接支持される土間床は、梁や杭により支持されて構築される一般的な構造床に比べて構造が簡略であって施工も簡便であり、したがって建設コストや工期の点で大きなメリットがあるが、地盤が軟弱な場合には不同沈下障害の懸念があることから少なくとも表層地盤が充分に安定な良質地盤であることが条件であり、そのような場合に限って採用されるに留まる。
すなわち、表層地盤が軟弱地盤であるにも拘わらず土間床を施工した場合には、土間床に不同沈下が生じて建物使用に不具合を生じる懸念がある。また、表層地盤が砂地盤の場合において常時荷重に対しては充分な支持力が見込める場合であっても、地震時に砂地盤に液状化が生じた場合には支持力喪失や過剰間隙水圧消散に伴う地盤沈下が生じる懸念があり、それに起因して土間床に不同沈下が生じることも想定される。
そのため、従来一般には不同沈下が生じない土間床を施工可能な地盤の目安として、砂質土地盤ではN値=10〜15以上、粘性土ではN値=3〜5以上であるとされ、そのような良質地盤でなければ構造床とするか、あるいは敢えて土間床とする場合にはたとえば特許文献1〜3に示すような対策が必要とされる。
すなわち、特許文献1に示されるように軟弱地盤と土間コンクリートスラブとの間に低密度、高圧縮強度の充填物を介装したり、特許文献2に示されるように軟弱地盤上に気泡モルタルの層を設けたうえでその上に土間を設けるようにしたり、特許文献3に示すように小径のソイルセメントコラムにより土間コンクリートスラブを支持することにより土間床(土間コンクリートスラブ)の不同沈下を防止する必要があるとされる。
特開昭64−71924号公報 特開平4−185808号公報 特開2003−119798号公報
しかし、土間床に対して特許文献1〜3に示されるような格別の対策を施すことは、土間床の本来的なメリットである構造の簡略性と施工の簡便性、つまりは構造床に対する優位性を損なうから好ましくないし、現実的ではない。
そして、近年においては上述のように構造上および施工上のメリットの大きい土間床をそのメリットを損なうことなくより積極的かつ広範に採用したいという要請も多く、そのような要請に応えるためには、軟弱地盤に対しても不同沈下の懸念のない安定な土間床を施工することを可能とする有効適切な手段の開発が必要であるとされている。
上記事情に鑑み、本発明は軟弱地盤に対して土間床を施工するに際して、土間床自体の構造には格別の対策を講じることなく、それを施工する段階で工程上の工夫を加えることによって施工後における不同沈下を防止防止し得る有効適切な土間床の施工方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、表層部が軟弱な地盤に土間床を施工するに際し、土間床の施工に先立ってその施工範囲を取り囲む遮水壁を施工し、該遮水壁の内側から地下水を揚水して、遮水壁の内側の地下水位を自然地下水位から低下させることにより有効土被り圧を増加させ、施工後の土間床の土間荷重に相当する先行荷重を地盤に作用させて予め沈下を生じさせておき、しかる後に、土間床の施工を開始して、施工進捗に伴う土間荷重の増加に対応させて地下水位を徐々に回復させていくことにより、施工途中における土間荷重の増加と地下水位の回復による有効地中応力の低下とをバランスさせることによって、施工後の土間床の沈下を抑止することを特徴とする。
本発明においては、地盤の表層部に確保するべき非液状化層の層厚を想定地震の最大加速度との関係に基づいて求め、前記遮水壁の内側の地下水位を低下させる際にその地下水位を前記非液状化層以深まで低下させることが好適である。
本発明によれば、土間床の施工に先立って地下水位を低下させ、土間床の施工に際しては土間荷重の増加にバランスさせつつ地下水位を徐々に回復させていくことのみで、土間床の施工後における不同沈下を有効に防止することが可能である。
したがって本発明によれば、土間床自体の構造に対しては格別の対策は不要であり、またその施工に際しても地下水位を一時的に低下させれば良く、そのためにはさしたる工費を必要としないから、従来においては土間床とすることができないとされていた軟弱地盤に対しても不同沈下を生じることのない安定な土間床を支障なく施工することが可能となる。
また、本発明によれば、地下水位を一時的に低下させることに伴う地盤の不飽和化により自ずと液状化が生じ難いものとなり、したがって地盤の液状化に起因して土間床が不同沈下を生じることも有効に防止することができる。
さらに、本発明では、建物の周囲を遮水壁により取り囲むことから、地震時には遮水壁の外部地盤からの間隙水の移動や地盤側方流動をも防止でき、それによっても建物基礎被害や土間被害を防止することができる効果が得られる。
本発明の実施形態を示すもので、本発明方法の概要を示す図である。 同、施工中における地下水位、土間荷重、地中有効応力、地盤沈下の推移をそれぞれ示す図である。 同、表層部の非液状化層の層厚と最大加速度との関係を示す図である。
図1〜図2を参照して本発明方法の実施形態を説明する。
本実施形態は、図1に示すように良質地盤1上に軟弱地盤2があり、そこでの自然地下水位w1が比較的浅いような地盤に建物を施工するに際して、その地盤に直接支持されるコンクリート造の土間床3を施工する場合の適用例である。施工するべき土間床3の単位面積当たりの土間荷重は最終的にL(kN/m2)とする(死荷重および生荷重の合計)。
なお、図1における符号4は上部構造としての柱、5は良質地盤1まで打ち込まれて柱4を支持する支持杭であり、これらは構造的には土間床3とは切り離され、それらの施工も基本的には以下で説明する土間床3の施工工程とは関わりなく独立にあるいは相前後して適宜行えば良い。
本実施形態では、土間床3の施工に先立ってまずその施工範囲を取り囲む遮水壁6を施工する。遮水壁6の深さGL-d1(m)は、少なくとも後段において低下させる地下水位GL-w2(m)以深に達するものとする(すなわちd1≧w2とする)。
そして、遮水壁6の内側に揚水井戸7を設置し、土間床3の施工に先だって揚水井戸7から地下水を揚水し、図2(a)に示すように遮水壁6の内側の地下水位を自然地下水位GL-w1(m)から上記の水位GL-w2(m)まで低下させる。これにより(c)に示すように水位低下に伴って有効土被り圧が増加して先行荷重が地盤に作用したことと等価になり、それにより(d)に示すように地盤には予め沈下が生じる。
ここで、地下水位低下により地盤に作用する先行荷重は、1mAq≒10kN/m2の関係から、(c)に示すように10×(w2−w1)(kN/m2)となるので、基本的にはそれを土間荷重L(kN/m2)と同等とすれば良い(すなわち 10×(w2−w1)=Lとなるように設定する)が、図示例のようにそれよりもやや大きく設定することが好ましい。
すなわち、(c)に示すように、地下水位の低下による先行荷重10×(w2−w1)を最終的な土間荷重Lよりもやや大きくして10×(w2−w1)≧Lとなるように設定し、その差分10×(w2−w1)−Lをプレロード荷重として地盤に作用させれば良い。これにより(d)に示すようにそのプレロード荷重相当分だけ地盤が余分に沈下するので、後段の土間床の施工を開始する時点でプレロード荷重を解消させて余分な沈下を回復させるように調整すれば良い。
なお、地下水位の低下による先行荷重は、水頭を単位とすれば(w2−w1)(mAq)として表すことができ、その場合、最終的な土間荷重は0.1×L(mAq)として対比すれば良い。
その後、図2(a)に示すように土間床の工事を開始する。これにより(b)に示すように土間荷重は徐々に増大していくから、それに対応させて(a)に示すように地下水位を徐々に回復させていき、それにより有効土被り圧(地中有効応力)を徐々に低下させていく。すなわち、土間床の施工前後で有効地中応力を一定に保つように地下水位をコントロールしつつ、土間床の施工を行う。
このようにして、施工進捗に伴う土間荷重の増加と、地下水位の回復による有効地中応力低下とをバランスさせつつ土間床の施工を行っていき、有効地中応力を一定に維持しつつ土間床の施工を行うことにより、(d)に示すように施工中および施工後における地盤の沈下を防止することができ、したがって施工後の土間床の不同沈下も有効に防止することができる。
なお、上記のようにプレロード荷重をかけた場合には、(a)および(c)に示すように土間床の施工開始時点でプレロード荷重を解消させるように調整し、それにより(d)に示すように開始時点で若干の沈下回復が生じるが、余分なプレロード荷重をかけない場合( 10×(w2−w1)−L=0 の場合)には沈下が回復しないままで安定する。
以上のように、本発明では土間荷重による土間床の沈下を防止するための条件として、土間床の施工に先立ってw2−w1≧0.1×L(mAq) あるいは10×(w2−w1)≧L(kN/m2) なる関係を満たすように設定した水位w2まで予め地下水位を低下させ、土間床の施工に際しては土間荷重の増加にバランスさせつつ地下水位を徐々に回復させていって有効地中応力を低下させていくような操作を行うことのみで、土間床の施工後における不同沈下を防止することが可能である。
したがって本発明によれば、従来のように土間床自体の構造に対して格別の対策は不要であり、またその施工に際しても地下水位を一時的に低下させて徐々に回復させるだけで良く、そのためには低下させるべき水位w2以深に達するような遮水壁6と揚水井戸7とを施工するだけで良いから、そのためにさしたる工費を必要としない。
以上のことから本発明によれば、従来においては土間床とすることができないとされていた軟弱地盤に対しても、不同沈下を生じることのない安定な土間床を支障なく施工することが可能となる。
以上で説明した基本的な効果に加えて、本発明によれば、遮水壁6の内側での地下水位を一時的に低下させた後に回復させることから、地盤の表層部での液状化が自ずと生じ難いものとなり、したがって地震時に表層地盤が液状化することに起因する土間床3の変状や不同沈下もを有効に防止することができる効果が得られる。
すなわち、本発明において地下水位を一時的に低下させた後に再び回復させることは、特許第3374224号(特開平8−3975号)の「地盤の液状化防止方法」における地下水位の操作と実質的に同様であり、したがって本発明においても同特許のように地下水位の一時的な低下による表層地盤の不飽和化が地下水位を回復させた後にも長く維持され、それにより地盤の液状化強度が自ずと高められるという効果が得られる。
したがって本発明においては、そのような液状化防止効果を充分に得るために、低下させるべき地下水位w2を、表層部に確保するべき非液状化層8の層厚h1よりも大きくなるように設定することが好ましく、以下、その点について図3を参照して説明する。
図3(a)は、地中の砂地盤が液状化したときに表層地盤に変状が生じないための「液状化層厚H2と表層の非液状化層厚H1との関係」を最大加速度をパラメータとして示すものである(吉見・福武(2005):地盤液状化の物理と評価・対策技術、技報堂出版、p.192から引用)。この図から、たとえば最大加速度が200Galの場合において、表層の非液状化層の層厚が3m以上あれば液状化による地震被害が発生しないことが分かる。同様に、最大加速度が300Galの場合には非液状化層の層厚が6m以上、最大加速度が400Gal以上の場合には非液状化層の層厚が9m以上あれば、それぞれ液状化による地震被害が発生しないことが分かる。
図3(b)は上記の関係を直接に示すグラフとしたもので、地中の砂地盤が液状化したときに表層地盤に変状が生じないための「最大加速度αと表層の非液状化層層厚h1との関係」を示すものであり、この図から想定する最大加速度αに対応する非液状化層の層厚h1(最大加速度αの地震時においても液状化被害を防止するために表層部に確保するべき非液状化層の層厚)を直ちに求めることができる。
したがって本発明では、想定される最大加速度αに対応する非液状化層8の層厚h1を図3(b)により求めて、図1に示すように地下水位w2を少なくともその層厚h1以深まで低下させることにより、つまりw2≧h1なる関係で地下水位w2を設定することにより、その水位w2までの範囲が液状化が生じ難い非液状化層8となる。したがって、仮に想定規模の地震により仮に地盤の深部で液状化が生じても、表層部に充分な層厚の非液状化層8が確保されていることからそこでは変状をきたすことがなく、それ故に地盤の液状化に起因して土間床3が不同沈下を生じるようなことを防止することができる。
さらに、本発明では、建物の周囲を遮水壁6により取り囲むことから、地震時には遮水壁6の外部地盤からの間隙水の移動や、遮水壁内の地盤の側方流動をも防止でき、それによっても建物基礎被害や土間被害を防止することができる効果が得られる。
1 良質地盤
2 軟弱位地盤
3 土間床
4 柱
5 杭
6 遮水壁
7 揚水井戸
8 非液状化層

Claims (2)

  1. 表層部が軟弱な地盤に土間床を施工するに際し、
    土間床の施工に先立ってその施工範囲を取り囲む遮水壁を施工し、
    該遮水壁の内側から地下水を揚水して、遮水壁の内側の地下水位を自然地下水位から低下させることにより有効土被り圧を増加させ、施工後の土間床の土間荷重に相当する先行荷重を地盤に作用させて予め沈下を生じさせておき、
    しかる後に、土間床の施工を開始して、施工進捗に伴う土間荷重の増加に対応させて地下水位を徐々に回復させていくことにより、施工途中における土間荷重の増加と地下水位の回復による有効地中応力の低下とをバランスさせることによって、施工後の土間床の沈下を抑止することを特徴とする土間床の施工方法。
  2. 請求項1記載の土間床の施工方法であって、
    地盤の表層部に確保するべき非液状化層の層厚を想定地震の最大加速度との関係に基づいて求め、前記遮水壁の内側の地下水位を低下させる際にその地下水位を前記非液状化層以深まで低下させることを特徴とする土間床の施工方法。
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