しかし、特許文献1に開示されている熱電変換装置では、高温側熱源の実用状況下にあっては、熱源の温度分布発生による熱膨張差が存在することにより、熱電変換装置に局所的な変形を与え、熱電気変換装置の破損または性能劣化が生じる等により、熱電変換装置が本来有する熱電変換効率を十分に発揮できないという不都合があった。
しかも、上記の熱電変換装置では、高温側熱源からの熱エネルギを、熱電半導体と網構造部材との接触面の表面に均一に伝達する対策が十分でないため、熟エネルギを電気エネルギに変換する際には、熱電素子に生じる起電力を十分に利用することができないという不都合であった。
また、特許文献2に開示されている熱電変換装置では、高温側の電極が、弾性部材、均熱部材そして電極部材と複数の部材によって構成されているため、製造時に複数の工程を経る必要があるため煩雑となる。
また、均熱部材が高温側の電極に用いられているため、熱電素子との接触面の表面に均一に熱は伝導するが、弾性部材が熱電素子デバイス内の熱応力を完全に緩和できるわけではなく、熱電変換装置に局所的な変形を与えることも考えられる。
本発明は、上記の不都合を解消し、熱電素子デバイス内の熱応力を緩和するとともに、高温側熱源の温度分布による局所的な変形に追従する構造とすることにより、熱電素子デバイスの性能を向上させ、熱電変換効率が向上した熱電素子デバイス及びこれを用いる熱電モジュールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の一実施例に係る熱電素子デバイスは、高温側基板部材の母材、補強材を例えば4分割にすることにより、熱電素子デバイスが高温側熱源の温度分布による局所的な変形を受ける高温側基板の範囲を1/4に小さくすることができる。温度分布による変形をうける領域を小さくすることにより、たとえば高温側基板に垂直方向の変位量も1/4に低減することができる。よって、高温側熱源の温度分布による局所的な変形によって生じる隙間量、内部構造物への応力を低減することができる。
しかしながら、これらの分割された高温基板部材は、熱電素子デバイスの組立ての際、分割した数だけ高温基板部材の設置を行うことが必要となり、組立て性が低下する。それとともに、分割した数だけ高温基板部材の設置をすることによる煩雑さが、ひいては不良品の熱電素子デバイスの発生率を上昇させる結果を招くことになる。
そこで、分割された母材、補強材より弾性が低い部材で接合することにより、高温側基板の設置を一回で行うことを可能とし、熱電素子デバイスの組立て性の向上を図ることができる。
熱電効果を有する材料は、ビスマスとテルルの化合物を主相とする物質、ビスマスとアンチモンの化合物を主相とする物質、スクッテルダイト型結晶構造を有するCoSb3基化合物結晶中の空隙に元素を充填したフィルドスクッテルダイト構造を有する化合物を主相とする物質、MgAgAs型結晶構造を有するハーフホイスラー化合物を主相とする物質、バリウムとガリウムを含むクラスレート化合物、もしくはこれらの混合物、又はこれらの接合体であると好適である。
熱電素子が、互いに離間するn型電導部及びp型電導部から構成される熱電素子対であり、第1及び第2の電極のいずれか一方が、n型電導部上に配置される第1の部分と、p型電導部上に配置される第2の部分とに離間すると、一層好ましい。
(1)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、熱電効果を有する材料から構成される熱電素子と、前記熱電素子の一端側に設置され、構造的不連続となるように分割された複数の高温側基板と、前記熱電素子と前記高温側基板との間に設置された第1の電極と、前記熱電素子の他端側に設置された低温側基板と、前記熱電素子と前記低温側基板との間に設置された第2の電極とを有する。
(2)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(1)であって、さらに前記高温側基板は、絶縁性を有し前記第1の電極と接する高温側基板母材と、前記高温側基板母材上に設けられた高温側基板補強材で構成されている。
(3)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(2)であって、さらに、前記複数の高温側基板は、隣り合う前記高温側基板部材同士を前記高温側基板母材または前記高温側補強材と比べて同等または低い弾性を有する接合部材で接合する。
(4)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(3)であって、前記複数の高温側基板部材は、前記接合部材により接合されることにより、物性的弾性または構造的弾性のいずれか一つ以上の弾性特性を有する。
(5)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(4)であって、前記接合部材は前記第1の電極であり、隣り合う前記高温側基板同士を少なくとも1つ以上の前記第1の電極で接合する。
(6)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(4)であって、前記複数の高温側基板は、隣り合う前記高温側基板部材同士について、前記第1の電極と接する側を前記接合部材で接合する。
(7)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(6)であって、前記接合部材は、前記第1の電極と接する。
(8)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(6)であって、前記接合部材は、前記第1の電極と接しない。
(9)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(4)であって、隣り合う前記高温側基板の前記高温側基板補強材同士と前記接合部材は一体の材料であり、隣り合う前記高温側基板の前記高温側基板補強材同士が構造的連続となるように設けられている。
(10)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(9)であって、隣り合う前記高温側基板補強材同士は、少なくとも一箇所以上で構造的連続性を有する。
(11)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(3)であって、前記第1の電極、前記第2の電極および前記熱電素子が外気から遮断する枠を有する。
(12)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(1)であって、前記第1の電極は、電極部材と、導電性を有し前記電極部材上に設けられる弾性部材と、導電性を有し前記弾性部材上に設けられ、前記熱電素子と接するように設けられた均熱部材とを備える。
(13)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(1)であって、前記第2の電極が、電極部材と、導電性を有し前記電極部材上に設けられる弾性部材と、導電性を有し前記弾性部材上に設けられ、前記熱電素子と接するように設けられた均熱部材とを備える。
(14)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(1)から(13)のいずれか1つであって、前記熱電素子における熱電効果を有する材料は、ビスマスとテルルの化合物を主相とする物質、ビスマスとアンチモンの化合物を主相とする物質、スクッテルダイト型結晶構造を有するCoSb3基化合物結晶中の空隙に元素を充填したフィルドスクッテルダイト構造を有する化合物を主相とする物質、MgAgAs型結晶構造を有するハーフホイスラー化合物を主相とする物質、バリウムとガリウムを含むクラスレート化合物、もしくはこれらの混合物、又はこれらの接合体である。
(15)本実施形態に係る熱電素子デバイスは、上記(1)から(14)のいずれか1つであって、前記熱電素子が、互いに離間するn型電導部及びp型電導部から構成される熱電素子対であり、前記第1の電極及び前記第2の電極のいずれか一方が、前記n型電導部上に配置される第1の部分と、前記p型電導部上に配置される第2の部分とに離間する。
(16)本実施形態に係る熱電モジュールは、上記(1)から(15)のいずれか1つに記載されている、複数個の熱電素子デバイスが、該複数個の熱電素子デバイスのいずれもが該複数個の熱電素子デバイスのいずれもが隣の熱電モジュールと電気的に接続されるように構成されている。
本発明に係る熱電素子デバイス及びこれを用いる熱電モジュールは、熱電素子デバイス内に生じる応力を緩和できるとともに、高温側熱源の局所的変形によって生じる隙間量の低減、内部構造物への応力緩和する構造であるため、熱電素子デバイスの熱電変換効率の劣化を防止しすることができる。これらの分割された部材を接合することにより、高温側基板の設置を一回で行うことを可能とし、熱電素子デバイスの組立て性、信頼性並びに生産性の向上を図ることができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付す。また、添付図面は、実施形態に係る熱電素子デバイス100及び熱電モジュールを模式的に示しているに過ぎない。このため、厚さと平面寸法との関係や各部材の厚さの比率等が、現実の設計通りに現されているとは限らないことに留意すべきである。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る熱電素子デバイス100および熱電モジュールの構成を示す側面断面図の概略図である。
図示の通り、熱電素子デバイス100は、低温側系統1、高温側系統2、低温側電極3、熱電素子4、低温側基板5、ケース6、高温側基板7、高温側電極10を有している。
熱電素子4は、p型熱電素子およびn型熱電素子の対で構成されている。そして、熱電素子4が配列される位置に対応して配列された低温側に設けられた低温側電極3は、低温側基板5にアレイ状に配列されている。そして、低温側基板5と接するように熱電素子デバイス100を冷却するための低温側系統1が設けられている。
低温側基板5は、熱電素子4と接続されている低温側電極3を電気的に絶縁するために電気的絶縁性を有する材料が用いられている。そして、熱電素子4の低温側基板5側は、低温側系統1と熱的に接続している。
また、熱電素子デバイス100は、複数の熱電素子4を外気から遮断するように筐体であるケース6を有している。ケース6は、複数の熱電素子4の周囲を取り囲む金属枠で構成され、低温側基板と接続することで、複数の熱電素子4を密封している。ケース6は、複数の熱電素子4等からなる内部構成品を外気から遮断するとともに、ケース6の内部を真空もしくは不活性ガス雰囲気に保持する。
不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンおよびキセノンから選択されるガスからなることが好ましい。或いはこれらの混合ガスでもよい。これらの非酸化性の気体をケース6内に封入し、内部雰囲気を非活性とすることにより、半導体チップ等の構成部品が酸化等により劣化することが効果的に防止でき長期にわたって高い変換効率を維持できる熱電素子デバイス100が得られる。
また、熱電素子デバイス100において、不活性ガス雰囲気の圧力が、常温で外気圧より低く設定されていることが好ましい。ケース6内の不活性ガス雰囲気の圧力を外気圧より低く設定することにより、高温時の内圧の上昇に伴う破損を防止するとともにケース6内の不活性ガス雰囲気中に水分が残留することが効果的に防止でき、水分による半導体チップの劣化損傷を効果的に抑止できる。さらに、ケース6内のガス雰囲気における熱伝導性が低下するために、熱電素子4から金属枠方向に熱が放散することが防止でき、熱−電気変換効率を高めることができる。
ケース6を構成する金属は、例えばニッケル基合金のような耐熱合金もしくは耐熱金属から形成される。耐熱合金もしくは耐熱金属としては、高温度使用環境における耐久性の点から、ニッケル基合金の他、ニッケル、炭素鋼、ステンレス鋼、クロムを含む鉄基合金、シリコンを含む鉄基合金、コバルトを含有する合金又はニッケル若しくは銅を含有する合金のいずれかより選択されることが好ましい。
熱電素子4は、低温側電極3との接触する側と逆側に高温側電極10が接触している。そして、高温側電極10と接触するように高温側基板7が設けられている。高温側基板7は、ケース6と接触して設けられ、高温側基板7と対向するように熱電素子デバイス100を熱するための高温側系統2が設けられている。
熱電素子4を構成するp型熱電素子およびn型熱電素子は、図1に示すように高温側電極10および低温側電極4によって直列接続されている。
次に、本発明にかかる高温側基板7について、図2を用いて説明する。図2(a)は、図1に示す熱電モジュールについて、X側からY側に向かって見た高温側基板7のI−I断面図である。図2(b)および図2(c)は、高温側基板7および高温側電極10の側面断面図の拡大図である。図2(d)は、Y側からX側に向かって見た高温側基板7および高温側電極10のII−II断面図である。
高温側基板7は、高温側基板母材8と高温側基板補強材9を有している。高温側基板7は、熱電素子4と接続された高温側電極10とケース6の間に設けられている。
高温側基板母材7は、高温側電極10を電気的に絶縁するため、電気的絶縁性を有し熱伝導性の高い材料(例えばセラミック)で構成されている。高温側基板補強材9は、高温側基板母材7とケース6の間に設けられている。高温側基板補強材9は、破損し易い高温側基板母材7を保護するために、例えば、弾性を有する金属が設けられている。熱電素子4の高温側基板7側は、ケース6および高温側系統2と熱的に接続している。ここでは、高温側基板7は、高温側基板母材8と高温側基板補強材9を有している場合ついて説明するが、高温側基板7が高温側基板補強材9を有さず、高温側基板母材8のみであっても同様である。
図2(d)に示すように、高温側電極10は、高温側基板7の高温側基板母材8に複数配列されている。
また、図3(a)は、図1に示す熱電モジュールについて、X側からY側に向かって見た高温側基板7のI−I断面図である。図3(b)および図3(c)は、高温側基板7および高温側電極10の側面断面図の拡大図である。図3(d)は、Y側からX側に向かって見た高温側基板7および高温側電極10のII−II断面図である。
本発明にかかる高温側基板7は、図3に示す状態から図2に示すように分割溝11を設けたものである。従来は、図3に示すように高温側基板7には分割溝11は設けられていない。
図2(a)は、図3(a)に示す高温側基板7を構成する高温側基板母材8および高温側基板補強材9に対して、X側からY側に向かう方向に、高温側基板母材8および高温側基板補強材9を分断するように分割溝11が設けられている。分割溝11は、分割溝11によって分割された複数の高温側基板7が連続とならないように、複数の高温側基板7を分割している。
ここでは、高温側基板7の中心線沿って、分割溝11が2つ設けられている。これによって、高温側基板7は、構造的連続性を有しない4つの分割された高温側基板7に分割されている。高温側基板7の分割数は2以上であれば、十分に効果を得ることが可能である。本実施形態においては、高温側基板7を4分割にした場合を例に説明する。
高温側系統2には温度分布が生じるため、高温側系統2を構成する部材は温度分布に対応した熱膨張を起こす。よって、高温側系統2を構成する部材は変形を生じ、熱電素子デバイス100は、その変形の影響を受けて、隙間の発生、内部構造物への応力の発生を招く。構造に生じた隙間は、熱伝導の低下並びに電気抵抗の増加を生じせしめ、熱電素子デバイス100の性能を低下させる。
ここで、高温側基板7を分割した構造とすることにより、分割された高温側基板7の各々を構造的に独立させることにより、高温側系統2を構成する部材は、高温側系統2を構成する部材のうち変形した箇所と対向する位置に設けられた分割された高温側基板7のそれぞれの部位の変形に追従して移動することが可能となる。
すなわち、高温側基板7の高温側基板母材8および高温側基板補強材9を図2に示すように、例えば高温側基板7を4分割にすることにより、熱電素子デバイス100が高温側系統7の温度分布による局所的な変形を受ける高温側基板7の範囲を1/4に小さくすることができる。つまり、高温側系統3の温度分布による局所的な変形が生じたとき、変形した箇所と対向する位置に設けられた分割された高温側基板7のみが影響を受けるのみで、残りの分割された高温側基板7は影響を受けない。
そのため、高温側系統3の温度分布により変形を受ける高温側基板7の領域を小さくすることにより、例えば、高温側基板7のX側からY側に沿った垂直方向の変位量も低減することができる。よって、高温側系統3(熱源)の温度分布による局所的な変形によって生じる隙間量、内部構造物(熱電素子4)への応力を低減することを可能とする。
ここでは、高温側基板7に分割溝11を設けたが、低温側基板5にも分割溝11を設けて低温側基板5を分割することもできる。
上記説明したように、高温側電極10は、電極部材のみで構成された例を示したが、図4に示すように、高温側電極10が、高温側電極10は、電極部材101と、この電極部材101の下面と接するよう設けられる弾性部材102と、この弾性部材102に接するよう設けられる均熱効果を有する均熱部材103を用いてもよい。均熱部材103は、熱電素子4と接続している。
弾性部材102は、高温側電極10の一部を構成しており、導電性を有している。また、弾性部材102は、所定の弾性を有し、特に、熱電素子4に比べて変形し易くなるように構成されると好ましい。
均熱部材103は、高温側電極10の一部を構成し、導電性を有している。また、均熱部材103は、熱電素子4に比べて、高い熱伝導性を有するよう構成される。具体的には、均熱部材13は、金属箔などの薄い板材から構成される。また、均熱部材103は、弾性部材102が有する熱伝導性よりも高い熱伝導性を全体として有すると好ましい。
ここで、均熱部材103は、均熱効果があると説明したが、材料の拡散を防止する機能を有するものであってもよい。
熱電素子4は、図1に示す通り、互いに離間した対により構成されている。熱電素子4、ペルチェ効果、ゼーベック効果、又はトムソン効果といった熱電効果を有する熱電材料からそれぞれ構成される。このような材料の典型的なものとして、以下の熱電半導体、すなわち、ビスマスとテルルの化合物を主相とする物質、ビスマスとアンチモンの化合物を主相とする物質、スクッテルダイト型結晶構造を有するCoSb3基化合物結晶中の空隙に元素を充填したフィルドスクッテルダイト構造を有する化合物を主相とする物質、MgAgAs型結晶構造を有するハーフホイスラー化合物を主相とする物質、バリウムとガリウムを含むクラスレート化合物がある。
また、これらの混合物から熱電素子4を構成することもできる。さらに、これらの物質、化合物、又は混合物の接合体により、熱電素子4を構成してもよい。これらは、熱伝導率が比較的小さいという性質を有している。このため、これらの物質等から熱電素子4が構成される場合には、熱電素子4内での温度勾配が維持され易いため、熱電素子デバイス100の性能が向上される。
また、これらの熱電半導体には、p型電導及びn型電導といった2つの電導型がある。本実施形態のように、熱電素子4が対として構成される場合は、典型的には、この対の一方がn型電導性であり、他方がp型電導性である。
熱電素子4は、高温側電極10の均熱部材103と接するように配置され、均熱部材103に対しては、接合も接着もされない。すなわち、熱電素子4は均熱部材103と接触するに留まる。低温側電極3は、半田などの接合材により、熱電素子4に対して接合されている。
このように、熱電素子デバイス100が動作中には、熱電素子デバイス100内は、温度分布が生じている。この温度分布により、熱電素子デバイス100内には、熱膨張係数の差による熱応力が生じている。
本実施形態においては、弾性部材102が金属細線網などの編込線により構成され、熱電素子4が有する弾性よりも高く、電極部材101が有する弾性と同等か高い弾性を有しているため、熱応力を緩和することができる。言い換えると、弾性部材102は、電極部材101と熱電素子3との間の熱膨張係数の差により生じる熱応力を緩和する機能を有する。このため、熱応力により熱電素子デバイス100内に生じ得る破損や、熱電素子4の劣化といった問題を解消することができる。なお、熱応力は、均熱部材103は熱電素子4に接触しているに過ぎず、両者は互いに偏倚することができるため、より緩和される。
均熱部材103は、弾性部材102に接合又は接触し、かつ熱電素子4に接触し、しかも、これらよりも熱伝導性に優れるため、弾性部材102からの熱エネルギを均熱部材103の平面内で均熱化した上で、熱電素子4に伝達することができる。
ここでは、高温側電極10が、電極部材101、弾性部材102、均熱部材103を有するとしたが、低温側電極3のみに、電極部材101、弾性部材102、均熱部材103を有するようにしても、高温側電極10と低温側電極3の両方が、電極部材101、弾性部材102、均熱部材103を有するようにしてもよい。高温側電極10と低温側電極3の両方が電極部材101、弾性部材102、及び均熱部材103を有することで、熱電素子4は、その上下端において均熱部材103と接している。したがって、その上下端において、熱膨張差により発生する熱応力がより緩和されるとともに、均熱性が向上するため、より大きな熱電変換効率が得られる。
均熱部材103の形状として、板状を例示したが、熱電素子4と接する部分のみが平板状であれば、熱電素子4間に撓み部分を有するようにすることができる。このよう形状であっても、均熱部材103は、弾性部材102からの熱を均一にしてから熱電素子4へ伝達することができる。加えて、撓み部分が変形可能なため、均熱部材103は熱応力の緩和にも資する。
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態で説明した構造を持った高温側基板7は、高温側基板7が構造的不連続となるように複数に分割されているため、熱電素子デバイス100を組立てる際、分割した数だけ高温側基板7の設置を行うことが必要となり、組立て性が低下する。
そこで、分割された高温側基板母材8または高温側基板補強材9を接合部材12により接合することにより、高温側基板7の設置を一回で行うことを可能とし、熱電素子デバイス100の組立て性の向上を図ることができる。
構造的不連続となるように複数に分割された高温側基板7の接合部材12による接合について、図5から図8を用いて説明する。図5から図7では、熱電素子デバイス100の組立て途中の図を示しており、説明の都合上、高温側基板母材8と高温側電極10は離れた状態で示している。熱電素子デバイス100を組み立てると、実線で示した高温側電極10は、破線で示した位置に高温側基板母材8と接触するように設置される。
接合部材12としては、分割された高温側基板母材8、高温側基板補強材9と比べて同等または低い弾性を有する材料で構成されている。複数に分割された高温側基板7は、この接合部材12によってそれぞれを接合することで構造的に連続性を有する。そのため、熱電素子デバイス100を組立てる際の組立て性が向上する。さらに、接合部材12の材質、複数に分割された高温側基板7の接合の仕方によって、高温側基板部材7は、物性的弾性または構造的弾性のいずれか一つ以上の弾性特性を有することとなる。つまり、分割された高温側基板部材7同士は、接合部材12によって接合されているが、高温側基板部材7が複数に分割された状態と上記第1の実施例で説明した機能と変わらない機能を有する。
図5は、図1に示す高温側基板7および高温側電極10の側面断面図の拡大図である。ここでは、接合部材12が高温側電極10aの場合について説明する。図5に示すように、高温側基板7を分割する分割溝11が、熱電素子デバイス100を組立てる際に、高温側電極10aと対向する位置に設けられている場合、隣り合う分割された高温側基板7同士を高温側電極10aで接合することで、複数に分割された高温側基板7は、構造的連続性を有するようになる。高温側電極10aが接合部材12の替わりとなる。隣り合う分割された高温側基板7同士は、少なくとも1つ以上の高温側電極10aで接合すればよい。以上により、分割された高温側基板7の全てが高温側電極10aによって構造的連続性を有するようになるため、分割された高温側基板7の設置を一回で行うことを可能とし、設置精度並びに熱電素子デバイス100の組立て性の向上を図ることができる。
図6および図7は、図1に示す高温側基板7および高温側電極10の側面断面図の拡大図である。ここでは、接合部材12を用いることで、分割された高温側基板母材8を接合した例を示す。ここで用いる接合部材12は、例えば、0.1mm以下の厚さの薄箔材など、分割された高温側基板母材8、高温側基板補強材9より弾性が低い部材である必要がある。
接合部材12は、高温側基板母材8を分割した分割溝11を隠すように全面に渡って設けられている。例えば、図2(a)に示すように、高温側基板7の中心線沿って分割溝11を2つ設けている場合、接合部材12は、高温側基板母材8の外面に分割溝11の全てを埋めるように設けられることになる。つまり、Y側からX側に向かって高温側基板7を見たとき、高温側基板母材8に設けた分割溝11の全てを覆うように接合部材12を設けることができる。また、隣り合う分割された高温側基板7同士が、少なくとも1箇所以上で接合部材12によって接合されている場合であってもよい。
図6に示すように、高温側基板7を分割する分割溝11に設けられた接合部材12が、熱電素子デバイス100を組立てる際に、高温側電極10と対向する位置に設けてもよい。また、図7に示すように、高温側基板7を分割する分割溝11に設けられた接合部材12が、熱電素子デバイス100を組立てる際に、高温側電極10と対向しない位置に設けてあってもよい。
以上により、分割された高温側基板7の全てが接合部材12によって構造的連続性を有するようになるため、分割された高温側基板7の設置を一回で行うことを可能とし、設置精度並びに熱電素子デバイス100の組立て性の向上を図ることができる。
図8は、図1に示す高温側基板7および高温側電極10の側面断面図の拡大図である。ここでは、高温側基板補強材9が、隣り合う高温側基板補強材同士が構造的連続となるように設けられている例である。
図8(a)は、図1に示す熱電モジュールについて、X側からY側に向かって見た高温側基板7のI−I断面図である。図8(b)および図8(c)は、高温側基板7および高温側電極10の側面断面図の拡大図である。
高温側基板7の高温側基板母材8は、中心線に沿って分割溝11が2つ設けられている。これによって、高温側基板7のうち高温側基板母材8は4つに分割されている。高温側基板母材8の分割数は2以上であれば、十分に効果を得ることが可能である。本実施形態においては、高温側基板母材8を4分割にした場合を例に説明する。ここで、高温側基板7を構成する高温側基板補強材9は、高温側基板母材8と同様に分割せずに、高温側基板7が高温側基板補強材9によって構造的連続性を有するように高温側基板母材8の上面一帯に配置する。このとき、図8に示すX側からY側に向かって高温側基板7を見たとき、高温側基板母材8に設けた分割溝11の全てを覆うように高温側基板補強材9を設けることができる。
図8(a)は、隣り合う高温側基板補強材9が、高温側基板母材8に設けた分割溝11に沿って等間隔で空孔を設けた例である。この場合、高温側基板7は、高温側基板補強材9によって、構造的連続性を有しているが、部分的にしか接続されていないため、分割された高温側基板母材8は、それぞれ独立したものと同等である。つまり、隣り合う高温側基板補強材9同士が、少なくとも一箇所以上で構造的連続性を有するようにしてもよい。これにより、高温側基板母材8に設けた分割溝11の全てを覆うように高温側基板補強材9を設けた場合に比べ、分割された高温側基板母材8の内の1つが、高温側系統2を構成する部材の変形に追従して移動した場合であっても、他の高温側基板母材8に及ぼす影響が少ない。
隣り合った高温側基板母材8上に設けられた高温側基板補強材9同士は、上記説明したように一体となった高温側基板補強材9であっても、高温側基板補強材9に用いられている材料、材質と同一もしくは同等の材料、材質であり、高温側基板母材8、高温側基板補強材9と比べて同等または低い弾性を有する別の接合部材12で接合してもよい。
上記説明したように、複数に分割された高温側基板7は、構造的に連続性を有する。そのため、熱電素子デバイス100を組立てる際の組立て性が向上する。さらに、高温側基板部材7は、物性的弾性または構造的弾性のいずれか一つ以上の弾性特性を有することとなる。つまり、分割された高温側基板部材7同士は、高温側基板部材7が複数に分割された状態と上記第1の実施例で説明した機能と変わらない機能を有する。
本発明は、前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
1…低温側系統、2…高温側系統、4…熱電気素子、5…低温側基板、6…ケース、7…高温側基板、8…高温側基板母材、9…高温側基板補強材、10…高温側基板電極材、11…分割溝、12…接合部。