以下、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るネットワークの構成を示す図である。
第1の実施形態に係るネットワークは、無線装置1と、無線装置2と、無線装置3とを備える。無線装置1、2、3は、互いに無線信号を送受信して通信する。無線装置3は、無線装置2から無線装置1へ送信される無線信号を中継する。
以下では、無線装置2から無線装置1へ送信される無線信号を、無線装置3が中継する際の動作の概略を説明する。
まず、無線装置2は、無線装置3に対して、無線装置2から無線装置1へ送信される無線信号を中継するように要求するための信号(以下では、協調要求信号と呼ぶ)を送信する。無線装置3は、協調要求信号を受信すると、協調要求信号によって指定される無線信号を、今後中継する可能性がある無線信号と判定し、一時記憶する。
ここで、例えば、協調要求信号は、無線装置2を送信元とし無線装置1を宛先とする無線信号を、今後中継する可能性がある無線信号と判定する。
次に、協調要求信号を送信したあと、無線装置2は、無線装置1へ無線信号を送信する。なお、無線装置2から送信された無線信号は、無線装置1のみならず、無線装置3にも受信される。
次に、無線装置3は、無線装置2から無線装置1へ送信された無線信号が、協調要求信号によって指定される無線信号であるため、その無線信号を一時記憶する。
次に、無線装置1は、無線装置2からの無線信号のうち受信に成功した無線信号を通知するための信号(以下では、送達確認信号と呼ぶ)を、無線装置2へ返信する。なお、無線装置1から送信された送達確認信号は、無線装置2のみならず、無線装置3にも受信される。
次に、無線装置2は、送達確認信号によって受信が成功したと通知されていない無線信号を、無線装置1へ再送する。また同時に、無線装置3は、送達確認信号によって受信が成功したと通知されていない無線信号のうち、一時記憶している無線信号を、無線装置1へ送信する。無線装置2と無線装置3は、空間多重方式によって、同時に、かつ同一周波数チャネルを使用して、無線信号を無線装置1へ送信する。
このようにして、無線装置3は、協調要求信号によって指定される無線信号を、無線装置2から無線装置1へ中継する。
なお、上記では、無線装置2から無線装置1へ送信された無線信号を、1台の無線装置3が中継するものとした。
しかし、無線装置2から無線装置1へ送信された無線信号を、2台以上の無線装置3−1〜3−n(nは2以上の整数とする)が中継することとしても良い。このとき、無線装置2は、無線装置3−1〜3−nへ協調要求信号を送信する。無線装置3−1〜3−nの動作は、上記の無線装置3の動作と同様である。送達確認信号を受信した無線装置2、3−1〜3−nは、空間多重方式によって、同時に、かつ同一周波数チャネルを使用して、無線信号を無線装置1へ送信することとなる。
以下では、無線装置2から無線装置3へ送信される協調要求信号について説明する。
協調要求信号とは、無線信号の中継を要求するための信号であって、“中継処理を行う無線装置”の指定、“中継処理を行う無線信号”の指定、および“中継先”の指定が可能である信号であれば、どのようなものであっても良い。
上記の例では、協調要求信号は、“中継処理を行う無線装置”を無線装置3と指定し、“中継処理を行う無線信号”を無線装置1を送信元とし無線装置2を宛先とする無線信号と指定し、“中継先”を無線装置2と指定する信号である。
協調要求信号は、協調識別子を含む。協調識別子は、“中継処理を行う無線信号”(どのような無線信号の中継を要求するか)を指定する情報である。なお、無線装置3が協調要求信号を受信すると、協調要求信号に含まれる協調識別子によって指定される無線信号を、今後中継する可能性がある無線信号と判定する。
協調要求信号を受信した無線装置(例えば、無線装置3)は、協調識別子に指定される無線信号を正しく受信した場合は、その無線信号の宛先アドレスが自無線装置でなくても、その無線信号を一時記憶する。
次に、協調識別子の例を列挙する。
(1)協調識別子は、2つの無線装置の端末識別子(例えば、MACアドレスなど)の組であっても良い。協調要求信号を受信した無線装置は、受信した無線信号の送信元アドレスと宛先アドレスとが、協調識別子(2つの無線装置のMACアドレスの組)と一致する場合に、受信した無線信号を一時記憶する。
(2)協調識別子は、2つの無線装置の端末識別子の組と、無線信号のフレームタイプ(例えば、データフレーム)を指定するものであっても良い。協調要求信号を受信した無線装置は、受信した無線信号の送信元アドレスと宛先アドレスとが協調識別子(2つの無線装置のMACアドレスの組)と一致する場合であって、受信した無線信号のフレームタイプが協調識別子によって指定されるものである場合に、受信した無線信号を一時記憶する。
(3)協調識別子は、2つの無線装置の端末識別子の組と、QoS情報であっても良い。協調要求信号を受信した無線装置は、受信した無線信号の送信元アドレスと宛先アドレスとが協調識別子(2つの無線装置のMACアドレスの組)と一致する場合であって、受信した無線信号のQoS情報が協調識別子の指定と一致する場合に、受信した無線信号を一時記憶する。
(4)協調識別子は、特定の番号を定義するものであっても良い。このとき、無線信号のフレームに、協調識別子フィールドを設けるものとする。協調要求信号を受信した無線装置は、受信した無線信号の協調識別子フィールドに記載された番号と、協調識別子で指定された番号とが一致する場合に受信した無線信号を一時記憶する。
無線信号に含まれる協調識別子は、無線信号のPHYのヘッダ情報あるいはMACのヘッダ情報として付加してもよく、プリアンブル情報の一部として付加しても良い。
協調識別子をMACヘッダ情報に付加した場合は、無線装置3は、MACフレームを受信し、MACヘッダ情報を解釈した後で、無線信号の一時記憶を行うか否かを判定する。
協調識別子をPHYヘッダ情報に付加した場合は、無線装置3は、PHYレベル(PHYのヘッダ情報を解釈すること)で、一時記憶を行うか否かを判定できる。そのため、無線装置3は、MAC層の処理部を起動することなく、無線信号の一時記憶を行うか否かを判定できるため、電力浪費を防止することができる。
協調識別子をプリアンブル情報の一部に付加した場合は、無線装置3は、さらに早い段階で、一時保存の必要性が判定できるため、さらなる低消費電力化が可能になる。
なお、第1の実施形態において、協調識別子は、(1)〜(4)に限るものではなく、(1)〜(4)あるいはその他の方法を組み合わせたものであっても良い。
以下では、無線装置2から無線装置1へ送信される無線信号と、無線装置2が無線装置1へ返信する送達確認信号とについて説明する。
送達確認信号とは、無線装置1が受信に成功した無線信号を通知するための信号である。送達確認信号とは、無線装置2が無線装置1への無線信号の送達に成功した無線信号を通知するための信号でもある。
(伝送方式1)
図2は、無線装置2がアグリゲートされたMACフレームを送信した場合に、無線装置1が返信する送達確認信号を示す図である。
まず、無線装置2は、無線装置1へ、複数のMACフレーム(情報フレーム)を集約(アグリゲート)したPHYフレーム(以下、アグリゲーション信号)を送信する。なお、情報フレームとは、MACヘッダと、情報(データ)と、CRC(Cyclic Redundancy Check)とを有するMACフレームである。
次に、無線装置1は、アグリゲーション信号を受信する。
次に、無線装置1は、アグリゲーション信号に含まれる複数の情報(情報1、情報2、情報3)のうち、受信に成功した情報(情報1、情報3)を、送達確認信号によって一括して返信する。
送達確認信号には、受信に成功したMACフレーム(情報)のシーケンス番号(SN:Sequence Number)が記載されていても良い。送達確認信号には、アグリゲーション信号に含まれる複数のMACフレーム(情報)のそれぞれに対応するビットマップのうち、受信に成功したMACフレーム(情報)に対応するビットマップのみに“1”が記載されていても良い。
(伝送方式2)
図3は、無線装置2がアグリゲート信号を送信し、送達確認信号を送信した場合に、無線装置1が返信する送達確認信号を示す図である。
まず、無線装置2は、無線装置1へ、アグリゲーション信号を送信する。
次に、無線装置1は、アグリゲーション信号を受信する。
次に、無線装置2は、無線装置1へ、送達確認要求信号を送信する。送達確認要求信号とは、宛先の無線装置(無線装置1)に、送達確認信号の返信を要求する信号である。
次に、無線装置1は、送達確認要求信号を受信する。
次に、無線装置1は、アグリゲーション信号に含まれる複数の情報(情報1、情報2、情報3)のうち、受信に成功した情報(情報1、情報3)を、送達確認信号によって一括して返信する。
(伝送方式3)
図4は、無線装置2が複数のPHYフレームを連続して送信した場合に、無線装置1が返信する送達確認信号を示す図である。
まず、無線装置2は、無線装置1へ、1つのMACフレーム(情報フレーム)を含むPHYフレームを複数個、連続して送信する。
次に、無線装置1は、無線装置2から送信された複数のPHYフレームを受信する。
次に、無線装置2は、無線装置1へ送達確認要求信号を送信する。
次に、無線装置1は、無線装置2へ、受信に成功した情報(情報1、情報3)を通知するための送達確認信号を返信する。
(伝送方式4)
図5は、無線装置2がフレームの誤りチェックを行う単位の1つ分を含む無線信号を送信した場合に、無線装置1が返信する送達確認信号を示す図である。
まず、無線装置2は、無線装置1へ、フレームの誤りチェックを行う単位の1つ分を含む無線信号を送信する。フレームの誤りチェックを行う単位の1つ分を含む無線信号とは、1つのシーケンス番号によって指定される無線信号である。図5に示す無線装置2から無線装置1へ送信される無線信号は、IEEE802.11n規格で規定されるAggregated−MSDUに相当する。
次に、無線装置1は、無線装置2から受信したPHYフレームに含まれる情報(情報1(情報1_1、情報1_2、情報1_3を含む))について、受信に成功した情報(情報1)を、送達確認信号によって返信する。
図6は、第1の実施形態に係る無線装置3の構成を示すブロック図である。
無線装置3は、受信部10と、送信部20と、制御部30と、協調管理部40と、識別子記憶部50と、協調フレーム記憶部60とを備える。
識別子記憶部50は、協調要求信号に記載された協調識別子を記憶する。
協調フレーム記憶部60は、他の無線装置宛ての無線信号であって、協調識別子によって指定される無線信号を記憶する。
図7は、無線信号を受信したときの無線装置3の動作の概略を示すフローチャートである。
まず、無線装置3の受信部10は、受信した無線信号の宛先が、自無線装置宛てか(以下、自局宛て)か、他の無線装置宛てか(以下、他局宛て)かを、判定する(ステップS101)。
受信した無線信号が自局宛ての場合(ステップS101の“自局宛”)、次に、受信部10は、受信した無線信号が協調要求信号か否かを判定する(ステップS102)。
受信した無線信号が協調要求信号以外の無線信号である場合(ステップS102の“いいえ”)、受信部10は、通常の受信処理を行う。受信部10は、自局宛ての無線信号を制御部30へ出力する。制御部30は、無線信号が情報フレームである場合には、情報フレームを上位層へ出力する。制御部30は、無線信号が制御信号である場合には、制御信号に応じた処理を行う。
一方、受信した無線信号が協調要求信号である場合(ステップS102の“はい”)、受信部10は、協調要求信号に記載された協調識別子を、識別子記憶部50へ書き込む(ステップS104)。
受信した無線信号が他局宛ての場合(ステップS101の“他局宛”)、次に、受信部10は、受信した無線信号が、識別子記憶部50に記憶された協調識別子に指定されるか否かを判定する(ステップS105)。
無線信号が協調識別子に指定されないと判定した場合(ステップS105の“いいえ”)、受信部10は、その無線信号を廃棄する(ステップS106)。
一方、無線信号が協調識別子に指定されると判定した場合(ステップS105の“いいえ”)、受信部10は、さらに、送達確認信号か否かを判定する(ステップS107)。
送達確認信号でないと判定された場合(ステップS107の“いいえ”)、受信部10は、無線信号を、協調フレーム記憶部60へ書き込む(ステップS108)。ここで、受信部10は、誤りが検出された無線信号を協調フレーム記憶部60へ書き込まず、誤りが検出されなかった無線信号のみ(MACフレームのみであってもよい)を協調フレーム記憶部60へ書き込んでも良い。なお、MACフレームを協調フレーム記憶部60へ書き込む際に、無線装置2が付加したシーケンス番号、宛先アドレス、送信元アドレス等を含むMACヘッダを協調フレーム記憶部60へ書き込んでおけば、空間多重方式によって送信する無線信号の生成が容易となる。
一方、空間多重方式ではなく、後述の図9(b)で示すように通常の伝送方式によって無線信号を送信する場合は、誤って受信したフレームの時間長(送信待機する時間)に関する時間情報も保持しておくか、誤って受信したフレームも一緒に保持しておく。そして、送信する無線信号を生成する場合に、保持しておいた時間情報を用いて、その間の送信を待機する。もしくは、無線信号を生成する際に、保持しておいた誤りフレームに基づいて、送信を待機すべき時間を算出して、送信する無線信号を生成する。なお、保持の方法として、メモリ量に十分余裕がある場合は、誤って受信したフレームを含め、受信した無線信号をアナログ信号として全て保持しておけば、フレーム生成処理を省略することができる。
一方、送達確認信号であると判定された場合(ステップS107の“はい”)、無線装置3は協調伝送を行う(ステップS109)。受信部10は、識別子記憶部50に記憶されている協調識別子と、送達確認信号の情報(例えば、送達確認信号の送信元アドレスと宛先アドレス)とから、協調伝送を行うか否かを判定する。受信部10は、協調伝送を行うと判定する場合は、送達確認信号を協調管理部40に出力する。協調管理部40は、送達確認信号の送信元の無線装置が受信に失敗した無線信号であって、協調フレーム記憶部60に記憶されている無線信号を出力するように、協調フレーム記憶部60へ指示する。協調フレーム記憶部60は、協調管理部40からの指示に従い、無線信号を送信部20へ出力する。協調管理部40は、その無線信号を空間多重方式によって送信するのに必要な情報(空間多重情報)を、送信部20へ出力する。送信部20は、協調管理部40から出力された空間多重情報に従い、協調フレーム記憶部60から出力された無線信号を、空間多重方式によって送信する。このようにして、無線装置3は、協調伝送を行う。
以下では、無線装置1と無線装置2との通信が、上記の伝送方式1〜4のそれぞれの場合において、無線装置3が、無線装置2から無線装置1へ送信される無線信号の中継(協調伝送)を行うときの動作を説明する。なお、無線装置3は、無線装置2が送信元アドレスであり無線装置1が宛先アドレスである無線信号の中継(協調伝送)を行うものとする。
(伝送方式1)
図8は、伝送方式1において協調伝送が行われる際の、無線装置1、2、3で送受信される無線信号を示す図である。
まず、無線装置2は、5つのMACフレーム(情報フレーム)を含むPHYフレームを送信する。各情報フレームのヘッダ部には、それぞれシーケンス番号(SN=1、2、3、4、5)が含まれる。各情報フレームには、その情報フレームを正しく受信できたか否かを判定するためのCRCが含まれる。
無線装置2から送信されたPHYフレーム(送信元が無線装置2であり宛先が無線装置1である無線信号)は、無線装置3に受信され、一時記憶される。なお、無線装置3は、SN=1、2、3、4、5である情報フレームの受信に成功したものとする。
次に、無線装置1は、無線装置2から送信されたPHYフレームを受信する。
次に、無線装置1は、受信したPHYフレームに含まれる5つの情報フレームごとに、各情報フレームに含まれるCRCを用いて、受信の成否を判定する。
次に、無線装置1は、受信に成功した各情報フレームを記載した送達確認信号を、無線装置2へ送信する。無線装置1は、受信に失敗した情報フレームの数が判別できないため、受信に失敗した情報フレームを無線装置2へ通知するのではなく、受信に成功した情報フレームを無線装置2へ通知する。図8は、無線装置2がSN=1、3、5である情報フレームの受信に成功し、SN=2、4である情報フレームを受信していない場合の送達確認信号を示す。
無線装置1は、無線装置2から無線信号を受信したあと固定時間(SIFS(Short Inter Frame Space)後に、送達確認信号を返信する。なお、無線装置1は、受信した無線信号に、送達確認信号の返信を行うタイミングが記載されていた場合に、そのタイミングに従って、送達確認信号を返信してもよい。
次に、無線装置2は、受信した送達確認信号によって、SN=2、4の情報フレームが正しく送達されなかったと判定し、SN=2、4の情報フレームを再送する。
一方、無線装置3も、受信した送達信号によって、SN=2、4の情報フレームが正しく送達されなかったと判定し、正しく送達されなかったと判定された情報フレームのうち、一時記憶している情報フレームを、無線装置1へ送信(協調伝送)する。
以下では、無線装置1が送信する送達確認信号の詳細と、送達確認信号に応じた無線装置2、3の動作について説明する。
まず、図8(a)、(b)を用いて、無線装置1が受信に成功した情報フレームを通知する方法を説明する。なお、無線装置1が無線装置2へ返信する送達確認信号は、無線装置1が受信に成功した情報フレームを通知できるものであればどのようなものであっても良い。また、システムの環境、種類などに応じて、送達確認信号に付加される情報は多様である。図8(a)、(b)で示す送達確認信号には、受信に成功した情報フレームについての情報(以下、送達確認情報)の通知に必要な情報(シーケンス番号に関連する情報)が記載されているものとした。
図8(a)は、送達確認信号に、無線装置1が受信に成功した情報フレームのシーケンス番号(SN=1、3、5)を記載することによって、無線装置1が無線装置2へ受信に成功した情報フレームを通知する様子を示す図である。
送達確認信号に記載するシーケンス番号の数を可変とする場合は、送達確認信号に記載されているシーケンス番号の数を通知するためのフィールドを送達確認信号に新たに設ける。送達確認信号に記載するシーケンス番号の数を固定(一定数)とする場合は、送達確認信号に記載されているシーケンス番号の数を通知するためのフィールドは不要となる。
図8(b)は、送達確認信号に、無線装置1が受信に成功した情報フレームを通知するためのビットマップを記載することによって、無線装置1が無線装置2へ受信に成功した情報フレームを通知する様子を示す図である。なお、図8(b)では、無線装置1が、“1”に対応する情報フレームの受信に成功し、“0”に対応する情報フレームを受信していないことを示す。
Bi(iは、1以上の整数)=“1”とは、無線装置1が、シーケンス番号“SSN+i−1”(SSN:Starting Sequence Number)の情報フレームの受信に成功したことを示す。Bi(iは、1以上の整数)=“0”とは、無線装置1が、シーケンス番号“SSN+i−1”の情報フレームを受信していないことを示す。
図8(b)は、無線装置1がSN=1、3、5の情報フレームの受信に成功し、SN=2、4、6、7の情報フレームを受信していないことを示す。無線装置1は、シーケンス番号が6以上の情報フレームをまだ受信していないので、B6、B7・・・については“0”に設定する。
なお、無線装置1は、すべての(SN=1〜5)情報フレームの受信に成功した場合には、送達確認信号に協調伝送が不要な旨を記載することとしても良い。
次に、送達確認信号に付加される情報であって、送達確認信号を受信した無線装置2と無線装置3とが空間多重方式によって無線信号を送信する際に必要な情報(以下、空間多重情報)について説明する。
第1の実施形態に係る無線装置2、3が無線装置1へ無線信号を送信する際に用いる空間多重方式は、どのようなものであっても良い。以下では、特許文献2(特開2007−208522)で開示される方法を例として説明する。
まず、無線装置1は、送達確認信号に、無線装置1がトレーニングシンボルを送信する際の送信方法と、無線装置3がトレーニングシンボルを送信する際の送信方法とを、空間多重情報として付加する。なお、送達確認信号には、協調伝送を要求する無線装置(例えば、無線装置3)の端末識別子が付加されていても良い。
トレーニングシンボルとは、無線装置1が、無線装置1と無線装置3との間の伝搬路推定を行うための情報である。
無線装置2が送信するトレーニングシンボルと、無線装置3が送信するトレーニングシンボルとが直行するように、無線装置2、3がトレーニングシンボルを送信する際の送信方法が指定される。
無線装置3の端末識別子とは、無線装置3が特定できる情報であれば良く、例えば、無線装置3のMACアドレスや、事前のネゴシエーションで決定した仮の識別子、事前のネゴシエーション中に割り当てられた一時的な識別子(例えば、AID(Association ID))であってもよい。
次に、無線装置1は、空間多重情報を付加した送達確認信号を、無線装置2へ返信する。空間多重情報が付加された送達確認信号は、無線装置3にも受信される。
次に、無線装置2、3は、送達確認信号に記載されたトレーニングシンボルの送信方法に従い、トレーニングシンボルを送信し、その後、データを送信する。無線装置1は、無線装置2から送信されたトレーニングシンボルによって、無線装置1と無線装置2との間の伝搬路推定を行う。無線装置1は、無線装置3から送信されたトレーニングシンボルによって、無線装置1と無線装置3との間の伝搬路推定を行う。
無線装置1は、無線装置1と無線装置2との間の伝搬路推定結果と、無線装置1と無線装置3との間の伝搬路推定結果とを用いて、無線装置2および無線装置3から空間多重方式によって送信された無線信号を、空間的に分離して受信する。
さらに、無線装置2、3から無線装置1への無線信号の送信が、MIMO(Multi Input Multi Output)方式に従って行われていても良い。
この場合、1つの無線装置が複数のストリーミングを送信することがあるため、送達確認信号には、無線装置2および無線装置3が無線信号を無線装置1へ送信する際のストリーミング数が記載される。
送達確認信号に、協調伝送を要求する無線装置3の識別子と、各無線装置2、3が無線信号を送信する際のストリーミング数とが記載された場合、無線装置2および無線装置3は、送達確認信号の指定に従い、トレーニングシンボルを送信する。
このように送達確認信号に空間多重情報を付加することによって、無線装置2、3が送信する無線信号は、無線装置1で受信されたときに空間分離することが可能となる。
次に、送達確認信号を受信したあと、無線装置2、3が空間多重方式によって無線信号を送信するタイミングについて、説明する。
送達確認信号の空間多重情報には、無線装置2と無線装置3とが無線信号を送信するタイミングが一致するように、空間多重のためのタイミングに係る情報を付加することとしても良い。
例えば、送達確認信号を受信した後、無線装置2、3が無線信号を送信するタイミングを可変とするシステムでは、送達確認信号を受信した後、無線信号を送信するまでの待ち時間を、送達確認信号に記載することとしても良い。
また例えば、無線装置1が、無線装置2、3から送信される無線信号の伝搬遅延時間を把握し、伝搬遅延時間の差分(補正量)だけ、無線装置2と無線装置3の無線信号を送信するタイミングを変化させることができる。このようにすることで、無線装置1が受信した無線信号を空間分離しやすいように、無線装置2、3の送信タイミングを補正(同期)することが可能となる。このように、無線装置2、3による無線信号の送信タイミングをより精度良く同期させることで、ガードインターバルのようなオーバヘッドを減らすことができ、通信効率を向上できる。
また、送信タイミングを精度良く制御するために、GPS(Global Positioning System)などの位置測位システムによる各無線装置1、2、3の位置情報にしたがって、無線装置1は、補正量を算出しても良い。
さらにまた、各無線装置1、2、3が原子時計などの非常に精度の高い時計を備えていて、それらの時刻情報に従って、無線装置1は、補正量を算出しても良い。
また、無線装置2および無線装置3が、送達確認信号を受信したあと、固定時間(SIFS)経過後、無線信号を送信することとあらかじめ規定しておけば、無線装置2および無線装置3が、無線信号を空間多重方式によって送信する際に、無線信号を送信するタイミングについての情報は必ずしも必要ではない。このようにすることで、送達確認信号の情報量を減少させることができるため、通信効率を向上できる。
さらに、空間多重方式によって無線装置2、3から送信された無線信号を、無線装置1が空間分離しやすいように、送達確認信号に付加される空間多重情報には、無線装置2に対しての送信電力制御のための情報、および無線装置3に対しての送信電力制御のための情報が付加されていても良い。
このとき、無線装置2、3は、送達確認信号に記載された送信電力制御のための情報に従って、空間多重方式によって無線信号を送信する。
このようにすることで、無線装置1は、無線装置2、3から送信された無線信号を、それぞれ等電力で受信することが可能になるため、空間分離特性を向上させることができる。このとき、送達確認信号に送信電力制御のための情報を付加することで、トレーニングシンボルの送信方法についての情報を付加しなくても良い。
さらに、無線装置1は、自ら指向性ビームを形成することにより、無線装置2と無線装置3とから送信された無線信号を空間分離することができる。
さらにまた、空間分離特性を向上させるために、無線装置2、3に対して、無線信号を指向性ビーム(指向性を有する電波)によって送信させることもできる。
このとき、さらに空間分離特定を向上させるために、送達確認信号に付加される空間多重情報に、無線装置1と無線装置2との間のチャネル情報(CSI:Channel State Information)、および無線装置1と無線装置2との間のチャネル情報を付加しても良い。
例えば、無線装置1と無線装置2との間のチャネル情報が付加された送達確認信号を受信することによって、協調伝送を行う無線装置3は、無線装置1における空間分離特性が向上するように、無線信号を制御することできる。
また例えば、送達確認信号に、各無線装置2、3が送信する際のビーム制御情報(例えば、重み係数)を付加することが可能となる。このようにすることで、無線装置1は、無線装置2、3に対して、所望の指向性ビームによって無線信号を送信させることが可能になる。
以上で、無線装置1が送信する送達確認信号の詳細と、送達確認信号に応じた無線装置2、3の動作についての説明を終える。
なお、上記では、無線装置3は、無線装置2から送信された5つの情報フレーム(SN=1〜5)すべての受信に成功したものとして説明した。次に、無線装置3が、5つの情報フレームのうち、SN=4の情報フレームのみの受信に成功した場合について説明する。
まず、無線装置3は、上記と同様に、無線装置1から送達確認信号を受信したものとする。また、送達確認信号には、無線装置1がSN=1、3、5の情報フレームの受信に成功し、SN=2、4の情報フレームを受信していないと示されているものとする。
次に、無線装置3は、無線装置1に受信されていない情報フレーム(SN=2、4)のうち、一時記憶している情報フレーム(SN=4)を無線装置1へ送信する。
図9は、無線装置3が無線装置1に受信されていない情報フレームの一部しか一時記憶していない場合に、無線装置3が情報フレームを送信する方法を示す図である。
まず、無線装置2と無線装置3とは、無線装置1から送達確認信号を受信する。
次に、無線装置2は、SN=2、4の情報フレームを再送する。
一方、無線装置3は、SN=4の情報フレームを送信(協調伝送)する。無線装置3は、図9(a)あるいは図9(b)に示すように無線信号を送信する。
図9(a)は、無線装置3が空間多重方式によって送信するSN=4の情報フレームを示す図である。
図9(b)は、無線装置3が通常の伝送方式(空間多重方式以外)によって送信するSN=4の情報フレームを示す図である。図9(b)に示す、“PHYヘッダ”、“MACヘッダ4”、“情報4”、および“CRC4”は、無線装置1が送信する“PHYヘッダ”、“MACヘッダ4”、“情報4”、および“CRC4”と、完全に同一である。
無線装置3は、“PHYヘッダ”を送信したあと、無線装置2がSN=2の情報フレームを送信するのに要する時間だけ待機し、その後、“MACヘッダ4”、“情報4”、および“CRC4”を送信する。
このようにすることで、無線装置1が無線装置2、3から送信された無線信号を受信することが、無線装置1が単一の無線装置からマルチパスで伝送された無線信号を受信(合成)することと等価になる。そのため、無線装置2、3は、空間多重方式によって、無線信号を送信する必要はない。ただし、無線装置2は、SN=2、4の情報フレームを送信する際に、新たな情報フレームを追加して送信しないものとし、SN=2、4の情報フレームの再送時にヘッダ等の情報を変更しないものとする必要(制約)がある。
なお、無線装置1は、無線装置1と無線装置2との間の通信品質が良好の場合など、協調伝送を要求する無線装置の端末識別子を送達確認信号に記載せず、無線装置3に協調送信をさせないことで、無線装置2に、SN=2、4の情報フレームのみならず、SN=6、7、8等の情報フレームを新たに追加して、送信を要求することができる。
(伝送方式2)
図10は、伝送方式2において協調伝送が行われる際の、無線装置1、2、3で送受信される無線信号を示す図である。
まず、無線装置2は、SN=1〜5の情報フレームを含むPHYフレームを無線装置1へ送信する。
次に、無線装置2は、SN=6〜10の情報フレームを含むPHYフレームを無線装置1へ送信する。
次に、無線装置2は、SN=11〜15の情報フレームを含むPHYフレームを無線装置1へ送信する。
ここで、無線装置3は、SN=1〜15の情報フレームすべての受信に成功し、それらすべての情報フレームを一時記憶したものとする。
次に、無線装置2は、送達確認要求信号を無線装置1へ送信する。
次に、無線装置1は、送達確認要求信号を受信したあと、送達確認信号を無線装置2へ返信する。図10に示す送達確認信号は、SN=1〜15の情報フレームのうち、無線装置1がSN=1、3、5、8、12、15の情報フレームの受信に成功したことを示す。無線装置1から送信された送達確認信号は、無線装置3にも受信される。
送達確認信号には、無線装置2と無線装置3とが空間多重方式によって無線信号を送信する際に必要な情報(空間多重情報)と、協調伝送を要求する無線装置の端末識別子(無線装置3の端末識別子)とが、記載されている。
次に、無線装置2は、送達確認信号に記載された空間多重情報に従い、SN=2、4、6、7、9の情報フレームを含むPHYフレームを、空間多重方式によって無線装置1へ送信する。
一方、無線装置3も、送達確認信号によって協調伝送が要求されたため、送達確認信号に記載された空間多重情報に従い、SN=2、4、6、7、9の情報フレームを含むPHYフレームを、空間多重方式によって無線装置1へ送信する。
なお、無線装置3は、協調伝送を行うための事前のネゴシエーション時に送信する無線信号(例えば、協調要求信号)や、無線装置2から送信される送達確認要求信号などに記載された、1つのアグリゲーション信号に含まれるMACフレームの数(以下、アグリゲーション数)の上限に従って、アグリゲーション数を決定する。
次に、無線装置2は、送達確認信号に記載された空間多重情報に従い、SN=10、11、13、14、16の情報フレームを含むPHYフレームを、空間多重方式によって無線装置1へ送信する。
一方、無線装置3は、送達確認信号に記載された空間多重情報に従い、SN=10、11、13、14の情報フレームを含むPHYフレームを、空間多重方式によって無線装置1へ送信する。
以上で、無線装置2、3は、送達確認信号に応じた情報フレームの再送を終了する。
さらに、次に、無線装置2は、SN=17〜21の情報フレームを含むPHYフレームを無線装置1へ送信する。
次に、無線装置2は、送達確認要求信号を無線装置1へ送信する。
以降の無線装置1、2、3の動作は、上記と同様に継続されるため省略する。このようにして、無線装置2は無線信号を無線装置1へ送信するとともに、無線装置3は無線信号を無線装置1へ送信(協調伝送)する。
伝送方式1と伝送方式2とで相異する点は、無線装置1が、無線装置2から無線信号を受信した直後に送達確認信号を送信するのではなく、無線装置2からの送達確認要求信号を受信した後に、送達確認信号を送信する点である。
伝送方式2では、無線装置2は、送達確認信号を送信する前であれば、複数のアグリゲーション信号を無線装置1へ連続して送信することが可能である。
無線装置2が、数多くの情報フレームを含むPHYフレーム(アグリゲーション信号)を生成し、無線装置1へ送信するものとすると、1つのPHYフレームのデータ量(信号長)が大きくなる。そのため、1つのPHYフレームの送信に要する時間が長くなり、その間に無線装置2と無線装置1との間のチャネル環境が変更するなどして、PHYフレームの後半部分のエラーレートが増大してしまうという欠点がある。従って、無線装置2は、1つのPHYフレームのデータ量(信号長)を極端に大きくしない方が良い。
一方で、無線装置2がアグリゲーション信号を送信するたびに、送達確認信号を受信するものとすると、送達確認信号の送受がオーバヘッドになり、伝送効率が低下するという問題がある。
伝送方式2では、無線装置2は、複数のアグリゲーション信号を送信した後に、送達確認要求信号を送信して、無線装置1への情報フレームの送達が成功しているかを確認する。
なお、無線装置2は、送達確認要求信号を1つのPHYフレームとして送信するものとしたが、アグリゲーション信号に送達確認信号を要求する情報を付加しても良く、アグリゲーション信号に含まれる複数のMACフレームのうちの1つを送達要求信号としても良い。上記いずれの場合であっても、無線装置1は、無線装置2から送達確認要求信号(あるいは送達確認要求信号に相当する情報)を受信したあと、送達確認信号を返信する。
このようにすることで、無線装置2は、無線装置3が協調伝送を行う場合であっても、情報フレームの再送中に、新たな情報フレームを追加して送信することが可能となるため、通信効率を向上できる。
なお、伝送方式2では、無線装置1から送達確認信号を受信したあと、無線装置2、3が空間多重方式によって無線信号を複数回連続して送信することがある。そのため、無線装置2、3は、無線信号の連続送信を行う際の、1回ごとの時間間隔を、送達確認要求信号や送達確認信号などによって、把握する必要がある。
(伝送方式3)
伝送方式2では無線装置2が無線装置1へ連続して送信するPHYフレームに複数のMACフレームが含まれる。しかし、伝送方式3では、無線装置2が無線装置1へ連続して送信するPHYフレームに1つのMACフレームが含まれる。
図4に示すように、伝送方式3では、無線装置2は、1つの情報フレームごとのPHYフレームを連続して送信し、それらのPHYフレームに対する送達確認信号を一括して受信する。
まず、無線装置2は、無線装置1へ、1つのMACフレーム(情報フレーム)を含むPHYフレームを複数連続して送信したあと、送達確認要求信号を送信する。なお、無線装置2が送達確認信号を要求する方法は、伝送方式2で説明した様々な方法をとりうる。
次に、無線装置1は、無線装置2から連続して受信した複数のPHYフレームに含まれる情報のうち、受信に成功した情報を通知するための送達確認信号を返信する。この送達確認信号は、無線装置3にも受信される。
次に、無線装置2は、送達確認信号によって無線装置1に受信されていないとされた情報フレームを再送する。
一方、無線装置3は、送達確認信号によって無線装置1に受信されていないとされた情報フレームであって、一時記憶している情報フレームを、無線装置1へ送信(協調伝送)する。
このようにすることで、無線装置2と無線装置1とが伝送方式3によって通信を行っている際にも、無線装置3は、協調伝送を行うことができる。
(伝送方式4)
図5に示すように、伝送方式4では、無線装置2が無線信号を1つ送信するたびに、その送信した無線信号に対応する送達確認信号を受信する。
しかし、無線装置1は、無線装置2から送信された情報フレームの受信に成功すれば送達確認信号を返信するが、無線装置2から送信された情報フレームの受信に失敗した場合は送達確認信号を送信しない。なぜなら、無線装置1は、受信した情報フレームに誤りがある場合は、その情報フレームに対する送達確認信号を返信すべきであるか否かの判定ができないからである。
ここで、無線装置2が無線装置1へ情報フレームを送信したものの、無線装置1が受信に失敗した場合を検討する。
伝送方式4では、無線装置2は、無線装置1へ情報フレームを送信したのにも関わらず、無線装置1から送達確認信号が返信されなかった場合は、情報フレームの再送を行う。
このような情報フレームの再送時においても、無線装置3からの協調伝送を可能とするため、無線装置2が再送するタイミングと、無線装置3が協調伝送するタイミングとを同期させるために、以下に示す処理を行うこととする。
図11は、伝送方式4において、無線装置1が無線装置2からの無線信号の受信に失敗した場合に、無線装置1、2、3で送受信される無線信号を示す図である。
まず、無線装置2は、SN=1の情報フレームを無線装置1へ送信する。無線装置2から送信された情報フレームは、無線装置1のみならず、無線装置3にも受信される。
ここで、無線装置1は、無線装置2からの情報フレームの受信に失敗したものとする。無線装置3は、無線装置2からの情報フレームの受信に成功したものとする。
このとき、無線装置1は送達確認信号を返信することはない。一方、無線装置2、3は、無線装置1から返信される送達確認信号の返信を待つ。
次に、無線装置2は、無線装置1からの送達確認信号を受信することなく、予め定めた所定時間が経過した場合に、SN=1の情報フレームを再送する。
一方、無線装置3も、無線装置1と同様に予め定めた所定時間が経過した場合に、SN=1の情報フレームを送信(協調伝送)する。
ここで、無線装置1と無線装置3とは、無線装置1から無線信号が送信されたあと、送達確認信号の返信がない場合に、どの程度の時間が経過したら再送/協調伝送を行うかを、記憶している。
ただし、無線装置1から送達確認信号が返信されておらず、無線装置2、3は、空間多重方式によって無線信号を送信するために必要な情報(空間多重情報)を受信していない。
そのため、無線装置3は、伝送方式1の図9(b)で説明したように、無線装置2がさ移送する無線信号と、同一、あるいは一部が欠如した無線信号を送信する。
このようにすることで、無線装置1は、無線装置2および無線装置3から送信された信号がマルチパスで伝送されてきたものとして、合成して受信することができ、通信品質を向上させることができる。
図12は、伝送方式4において、無線装置1が無線装置2からの無線信号の受信に失敗した場合に、無線装置1、2、3で送受信される無線信号を示す図である。
無線装置2が情報フレームを無線装置1へ送信したあと、無線装置1が情報フレームの受信に失敗し、無線装置2、3が待機状態になるまでは、図11と同様である。
次に、無線装置2は、無線装置1から送達確認信号が返信されないと判定した場合には、送信に失敗した無線信号の空間多重方式による送信を要求する空間多重要求信号を無線装置3へ送信する。
次に、無線装置2は、無線装置1への送信に失敗したSN=1の情報フレームの再送を行う。
一方、無線装置3は、無線装置2から受信した空間多重要求信号に応じて、SN=1の情報フレームを空間多重方式によって送信(協調伝送)する。空間多重要求信号には、無線装置3が空間多重方式によって無線信号を送信するために必要な情報や、無線装置3が無線信号を送信するタイミングについての情報が記載される。
このようにすることで、無線装置2、3は、無線装置1からの送達確認信号を受信しない場合であっても、空間多重方式による無線信号の再送/協調伝送を行うことができる。
以上、伝送方式1〜4のそれぞれにおける無線装置3の協調伝送について説明したように、協調伝送時には、無線装置2と無線装置3とは、無線信号を空間多重方式によって送信するか、あるいは同一の無線信号を同時に送信する。そして、無線装置1は、無線装置2あるいは無線装置3のいずれから情報フレームを受信した場合であっても、その情報フレームの受信に成功したと判定する。
このようにすることで、特に、無線装置1と無線装置2との間の通信品質よりも、無線装置1と無線装置3との間の通信品質が良い場合など、無線装置1と無線装置2との間のみで通信していた場合よりも、無線信号の再送回数を減らすことができ、スループット特性、遅延特性を向上させることができる。
また、仮に、無線装置1と無線装置3の通信品質が良好な場合であっても、無線装置2の動作が、無線装置1と無線装置3との間の通信のオーバヘッドとなっていないため、無線装置1と無線装置2との間のみで通信する場合と同等程度のスループット特性、遅延特性を実現できる。
さらにまた、無線装置1と無線装置3は、物理的に離れているため、無線装置1と無線装置2との間の通信路と、無線装置2と無線装置3との間の通信路とは、相関が小さいか無相関であるため、いずれかの通信路が一時的に劣化したとしても、他の通信路がそれを補うことができ、通信環境の変化を受けにくい、安定した通信を実現できる。
次に、無線装置3が一時記憶をした情報フレームの廃棄方法について説明する。
(第1の廃棄方法)無線装置2から送信される協調要求信号には、協調伝送を行う期間についての情報が付加される。無線装置3は、無線装置2から協調要求信号を受信することによって、協調伝送を行う期間を把握する。
無線装置3は、協調伝送を行う期間、協調識別子によって指定されるフレームを、協調フレーム記憶部60に一時記憶する。無線装置3は、協調伝送を行う期間が経過したら、協調フレーム記憶部60に一時記憶しているフレームを全て廃棄する。
このようにすることで、無線装置3は、協調伝送を行う期間内であれば、いつでも一時記憶した情報フレームを協調伝送することができる。ただし、協調伝送を行う期間を長く設定する場合などには、無線装置3は、膨大なメモリリソースを消費する。
(第2の廃棄方法)無線装置3は、協調フレーム記憶部60に一時記憶した情報フレームの中から、無線装置1が受信に成功した情報フレームを順次廃棄する。なお、無線装置3は、送達確認信号によって、無線装置1がどの情報フレームの受信に成功したかを把握する。
このようにすることで、情報フレームの協調伝送を実現させながら、無線装置3が使用するメモリリソースの量を抑えることができる。
(第3の廃棄方法)まず、無線装置1は、送達確認信号に、送達が成功したかの通知が必要な情報フレームのシーケンス番号のうちの最小値(SSN:Starting Sequence Number)を記載する。
このため、無線装置2、3は、SSNが記載された送達確認信号を受信することで、無線装置1がSSNよりも小さいシーケンス番号に対応する情報フレームの受信に成功したことを把握できる。
無線装置3は、受信装置1が受信に成功した情報フレームのみならず、シーケンス番号がSSNよりも小さい情報フレームをも廃棄する。
このようにすることで、情報フレームの協調伝送を実現させながら、無線装置3が使用するメモリリソースの量をより効果的に抑えることができる。
(第4の廃棄方法)無線装置3は、情報フレームを協調伝送したものの、再度、その情報フレームの協調伝送が要求されることを考慮し、一度協調伝送した情報フレームであっても廃棄しないこととする。
しかし、無線装置3は、ある情報フレームを協調伝送した回数が、所定回数(協調伝送の上限回数)を超過した場合に、その情報フレームを廃棄する。
これは、所定の回数の再送をしても伝送できなかったことから、何らかの原因で、無線装置3と無線装置1との間の通信環境(品質)が悪化したと予想されるためである。
なお、協調伝送の上限回数は、無線装置3が自ら決定しても良く、無線装置2が決定した値を協調要求信号などに付加して無線装置3へ通知しても良い。
(第5の廃棄方法)協調要求信号の送信元である無線装置2が、無線装置3の協調伝送を終了させるための終了信号を、無線装置3へ送信する。無線装置3は、無線装置2から終了信号を受信した場合には、協調フレーム記憶部60に記憶されている情報フレームを廃棄する。
このようにすることで、協調伝送を要求した無線装置2が、無線装置3が協調伝送を行うか否かを制御することができる。
なお、上記では無線装置2が終了信号を送信するものとしたが、無線装置1が終了信号を送信しても良い。また、無線装置1は、無線装置3の協調伝送を終了させるための情報を、送達確認信号に付加して無線装置3へ送信しても良い。
このようにすることで、無線装置1は、無線装置2および無線装置3から送信される無線信号、あるいは無線装置2および無線装置3との通信状況の観測結果に基づいて、無線装置3による協調伝送を継続するか、終了するかを制御することができる。
さらに、無線装置1は、無線装置3の協調伝送を終了させるための終了信号を送信するのみならず、新たに協調伝送を要求する無線装置を通知するための信号を送信することができる。このとき、新たに協調伝送を要求する無線装置として指定された無線装置は協調伝送を行うことになり、今まで協調伝送を行っていた無線装置3は協調伝送を終了する。
次に、無線装置2が協調伝送を要求する無線装置を選択する方法を説明する。これまでの説明では、無線装置2は、無線装置1へ無線信号を送信する際に、1つの無線装置3に対して協調伝送を要求するものとした。
しかし、無線装置2は、まず、周囲にどのような無線装置が存在するのかを探索する必要がある。次に、無線装置2は、周囲に存在する複数の無線装置のうちいずれの無線装置に対して、協調伝送を要求するかを選択する必要がある。
まず、無線装置2が、周囲にどのような無線装置が存在するのかを探索する方法について説明する。
(第1の探索方法)無線装置2は、他の無線装置から送信された無線信号から、周囲にどのような無線装置が存在するのかを把握することができる。例えば、無線装置2は、受信する無線信号の送信元の無線装置が、無線装置2の周囲に存在すると把握することができる。
(第2の探索方法)無線装置2は、周囲に存在する無線装置を探索するための探索信号をブロードキャスト送信する。探索信号を受信した無線装置は、応答信号を返信することとする。このようにすることによって、無線装置2は、探索信号に対して応答信号を返信した無線装置を、無線装置2の周囲に存在すると把握することができる。
無線装置2は、探索信号を、無指向性の電波によって送信してもよい。無線装置2は、探索信号を、指向性を有する電波(指向性ビーム)によって送信することとし、順次、指向性ビームの送信方向を切り替えることとしても良い。
まず、無線装置2が、探索信号を、無指向性ビームで送信する場合について説明する。
無線装置2は、探索信号に対する応答信号を受信した際の通信品質(例えば受信電力)に基づいて、協調伝送を要求する(協調要求信号を送信する)無線装置を選択する。
例えば、無線装置2が無線装置A、B、Cから受信したそれぞれ応答信号の受信電力が、Ra>Rb>Rcであるものする(Ra:無線装置Aからの応答信号の受信電力、Rb:無線装置Bからの応答信号の受信電力、Rc:無線装置Cからの応答信号の受信電力)。
無線装置2は、無線装置Cへ無線信号を送信する場合には、無線装置A、Bの少なくとも一方を、協調伝送を要求する無線装置として選択する。
ただし、上記の方法では、無線装置2は、無線装置Aと無線装置Cとの間の通信品質、および無線装置Bと無線装置Cとの間の通信品質を把握することはできない。
無線装置2から無線装置Cへ無線信号を送信する場合に、無線装置A、Bが協調伝送を要求する無線装置として適切であるか否かの判定は、無線装置Cが行う。
無線装置Cは、実際に、無線装置A、Bから協調伝送された無線信号を受信する。無線装置Cは、無線装置Aと無線装置Cとの間の通信品質、および無線装置Bと無線装置Cと間の通信品質との観測結果に従って、無線装置A、Bが協調伝送を要求する無線装置として適切であるか否かの判定を行う。
具体的には、無線装置Cは、無線装置Aから空間多重方式によって送信された無線信号の受信成功数や受信成功率、および無線装置Bから空間多重方式によって送信された無線信号の受信成功数や受信成功率と、予め定めた閾値(スレッショルド)と比較する。
例えば、無線装置Bから空間多重方式によって送信された無線信号の受信成功数や受信成功率が予め定めた閾値よりも小さい場合、無線装置Cは、無線装置Bと無線装置Cと間の通信品質が悪化していると判定し、無線装置Cは、無線装置Bが協調伝送を要求する無線装置として適切でないと判定する。
なお、受信成功数についての閾値とは、無線装置Cが送達確認信号で協調伝送を要求した情報フレーム数を考慮して、定められる。
例えば、無線装置Cが協調伝送を要求した情報フレームの数が10フレームである場合は、受信成功数についての閾値は“5”と定められ、無線装置Cが協調伝送を要求した情報フレームの数が1フレームである場合は、受信成功数についての閾値は“1”と定められることとしても良い。即ち、受信成功数についての閾値は、無線装置Cが協調伝送を要求した情報フレームの数に応じて、変更されるものであっても良い。
このように無線装置Bが協調伝送を要求する無線装置として適切でないと無線装置Cによって判定された場合には、無線装置A、Bが無線装置2によって協調伝送が要求された無線装置であっても、協調伝送を終了させるための信号が無線装置Bに送信される。
なお、協調伝送を終了させるための信号は、無線装置Cが直接無線装置Bへ送信してもよい。また、無線装置Cが、協調伝送を要求する無線装置として無線装置Bが適切でない旨を通知する信号を無線装置2へ送信し、無線装置2が協調伝送を終了させるための信号を無線装置Bへ送信することとしても良い。
また、無線装置Cが、事前に、上記の探索信号を送信し、無線装置A、Bから応答信号を受信することで、無線装置Aと無線装置Cとの間の通信品質、および無線装置Bと無線装置Cとの間の通信品質を、把握し、その情報を、無線装置2へ通知することができる。
このようにすることで、無線装置2は、無線装置2と他無線装置との間の通信品質のみならず、無線信号の宛先である無線装置Cと他無線装置との間の通信品質をも把握することができる。そのため、無線装置2は、自局周辺の通信環境だけでなく、無線装置C周辺の通信環境も把握することができるので、双方の通信環境を考慮して、無線装置Cへ無線信号を送信する際に、協調伝送を要求する無線装置を選択することができる。
次に、無線装置2が、探索信号を、指向性ビームで送信する場合について説明する。
無線装置2は、指向性ビームで特定の方向に探索信号を送信し、その結果受信した応答信号の到来した方向を推定することで、応答信号を返信した無線装置と、通信相手(無線信号の宛先)である無線装置Cとのおよその位置関係を把握することができる。
図13は、無線装置3が、応答信号を返信した無線装置A、Bと、通信相手である無線装置Cとのおよその位置関係を把握した結果の例を示す図である。
無線装置2は、無線装置Cからの応答信号が到来した方向と、無線装置Aからの応答信号が到来した方向とがほぼ同様であって、無線装置Cからの応答信号の受信電力よりも無線装置Aからの応答信号の受信電力が大きいとする。
また、無線装置Cからの応答信号が到来した方向と、無線装置Bからの応答信号が到来した方向とが全く逆の方向であって、無線装置Cからの応答信号の受信電力よりも無線装置Bからの応答信号の受信電力が大きいとする。
無線装置2は、無線装置A、B、Cから送信された応答信号が上記のようである場合、無線装置2、A、B、Cの位置関係を図13と推定できる。
無線装置2は、無線装置Cを通信相手とする場合であって、無線装置2、A、B、Cの位置関係を図13と推定した場合、無線装置Aを、協調伝送を要求する無線装置として選択する。即ち、無線装置2は、通信相手の無線装置Cと、他の無線装置A、Bと、自無線装置2との位置関係に従って、協調伝送を要求する無線装置を選択する。
なお、無線装置2は、無線装置A、B、C、2の位置関係に従って協調伝送を要求する無線装置を選択する方法と、無線装置Cが無線装置A、Bから受信した無線信号の受信成功数(あるいは受信成功率)に従って協調伝送を要求する無線装置を選択する方法等とを併用することができる。
上記の説明では、無線装置2が協調要求信号を送信する無線装置と、実際に協調伝送を行う無線装置との関係が1対1に対応付けられた場合について説明した。
しかし、第1の実施形態に係る無線装置では、上記に限定することなく、無線装置2が協調要求信号を送信する複数の無線装置の中から、実際に協調伝送を行う無線装置を随時選択することができる。
具体的には、無線装置Cは、無線装置A、Bから受信した無線信号の通信品質(受信成功数あるいは受信成功率)を観測することにより、協調要求信号を受信した複数の無線装置の中から、実際に協調伝送を行う無線装置を随時選択する。
例えば、無線装置Cは、無線装置2に対して返信する送達確認信号に、実際に協調伝送を行う無線装置の識別子を付加する。無線装置A、Bが無線装置2からの協調要求信号を既に受信している場合、無線装置Cは、無線装置Aの識別子を送達確認信号に付加する。このとき、無線装置Aは、その送達確認信号を受信したあとに協調伝送を行う。一方、無線装置Bは、無線装置Cが送信したフレームを一時記憶しているものの、協調伝送は行わない。
このように、無線装置Cは、無線装置A、Bから受信した無線信号の通信品質に応じて、無線装置Aや無線装置Bに協調伝送を要求することで、最適な無線装置に協調伝送させることができる。
なお、上記方法は、無線装置Cに対して無線信号を空間多重方式によって送信可能な無線装置の数(多重数)よりも多くの無線装置に対して、無線装置2が協調要求信号を送信することで実現できる。
また、無線装置2は、協調要求信号の宛先アドレスに、特定の無線装置のアドレスではなく、ブロードキャストアドレスを設定することもできる。この場合、無線装置2からの協調要求信号を受信したすべての無線装置が、無線装置2から送信されたフレームを一時記憶する。無線装置Cは、無線装置2からの協調要求信号を受信したすべての無線装置のうち、実際に協調伝送を行う無線装置を選択する。
このようにすることで、無線装置2が自無線装置の周囲に存在する無線装置のうち、いずれの無線装置に協調要求信号を送信するかの判定処理を行わなくとも、無線装置Cは、協調伝送された無線信号の通信品質に応じて、最適な無線装置に協調伝送させることができる。
次に、無線装置2が無線装置Cへ無線信号を送信するに当たって、協調伝送を行う無線装置として適切な無線装置の数が非常に多い場合を説明する。例えば、無線装置2と無線装置Cとの間に無線装置A、B、D、Eが存在し、無線装置A、B、D、Eから協調伝送された無線信号のすべてについて、無線装置Cの通信品質が高いとする。
この場合、無線装置A、B、D、Eは、協調伝送を行う無線装置として適切であるものの、無線装置2が無線装置Cへ無線信号を送信するに当たって、無線装置A、B、D、Eのすべてに協調伝送を要求する必要はなく、無線装置A、B、D、Eのすべてが無線装置2から送信された無線信号を一時記憶する必要はない。
無線装置Cは、協調伝送を要求する無線装置として十分な特性(通信品質)を有する無線装置が所定数以上ある場合は、それらの無線装置のうち一部の無線装置に対して協調伝送の終了を通知する。
このようにすることで、協調伝送のために無線装置2から送信された無線信号を一時記憶する無線装置のリソースを解放することができる。
このように、第1の実施形態に係る無線装置3(無線装置A、B)によれば、無線装置2から無線装置1(無線装置C)への通信環境が悪化した場合であっても、無線装置3(無線装置A、B)が、無線装置1(無線装置C)が受信に失敗した無線信号の送信(協調伝送)を行うため、スループットの低下を抑制することができる。
また、第1の実施形態に係る無線装置3(無線装置A、B)は、無線装置2から無線装置1(無線装置C)への通信環境が好転し、無線装置1(無線装置C)が無線信号の受信に失敗しなくなった場合には、無線装置2から送信される無線信号を一時記憶するのみで、無線装置2から無線装置1(無線装置C)への通信する際のオーバヘッドを発生させることはないため、スループットを速やかに向上できる。
なお、上記第1の実施形態の説明では、無線装置2が、協調要求信号を送信するものとして説明した。しかし、無線装置1(無線装置C)が協調要求信号を送信することができる。
無線装置1(無線装置C)が送信する協調要求信号は、上記に説明したとおりである。
無線装置1(無線装置C)は、無線装置2から無線信号の送信が開始される前に、無線装置3に、予め協調要求信号を送信することができる。
無線装置1(無線装置C)は、無線装置2から送信された無線信号の通信品質が所定値未満である場合に、無線装置3に、協調要求信号を送信することができる。
ただし、無線装置1は、無線装置2が無線信号を送信するタイミングを正確に予測することが難しいため、無線装置2が無線信号を送信するタイミングに関わらず、協調要求信号を送信することとしても良い。
例えば、HDDレコーダーに無線装置2が搭載されていて、大型TVの左端に無線装置1(無線装置C)が固定され、大型TVの右端に無線装置3(無線装置A、B)が固定されているとする。
HDDレコーダーは、内蔵する記憶部に記憶する動画、音声などのメディア情報を、無線装置2を介して、大型TVへ送信する。この場合、HDDレコーダーは、無線装置2によって、無線装置1(無線装置C)を宛先とし、無線装置3(無線装置A、B)に協調伝送を要求する。このとき、無線装置3(無線装置A、B)は常に協調伝送を行うと事前に設定されていてもよい
このようにすることで、無線装置2から無線装置1(無線装置C)への通信品質が悪化した場合であっても、無線装置2から無線装置3(無線装置A、B)への通信品質が良好である場合には、HDDレコーダーから大型TVへのメディア情報の伝送におけるスループットの低下を抑制することができる。
なお、この無線装置3(無線装置A、B)は、例えば、汎用のコンピュータ装置を基本ハードウェアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、受信部10、送信部20、制御部30、および協調管理部40は、上記のコンピュータ装置に搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、無線装置3は、上記のプログラムをコンピュータ装置にあらかじめインストールすることで実現してもよいし、CD−ROMなどの記憶媒体に記憶して、あるいはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に適宜インストールすることで実現してもよい。また、識別子記憶部50および協調フレーム記憶部60は、上記のコンピュータ装置に内蔵あるいは外付けされたメモリ、ハードディスクもしくはCD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−Rなどの記憶媒体などを適宜利用して実現することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、無線信号の送信を許可するための信号(以下、ポーリング信号)を受信した無線装置が、無線信号の送信権を獲得し、無線信号を送信できるネットワークについて説明する。
図14は、第2の実施形態に係る無線装置1、2、3_1、3_2の位置関係を示す図である。第2の実施形態に係る無線装置3_1、3_2の構成は、第1の実施形態に係る無線装置3と同様である。第2の実施形態に係る無線装置1、2の構成は、第1の実施形態に係る無線装置1、2と同様である。
図15は、無線装置3_1、3_2が協調伝送を行う際に、無線装置1、2、3_1、3_2が送受信するフレームを示す図である。
まず、無線装置1は、ポーリング信号を送信する。ポーリング信号には、第1の実施例で説明した協調要求信号に含まれる情報と同様の情報が付加される。ポーリング信号は、無線装置2のみならず、無線装置3_1、3_2にも受信される。
無線装置1は、無線装置2との通信を開始するたびに、ポーリング信号を送信する。無線装置2が無線装置1以外の無線装置と通信を継続していたとしても、無線装置1が無線装置2との通信を開始する際には、ポーリング信号を送信する。
次に、無線装置2は、無線装置1からポーリング信号を受信すると、自無線装置に無線信号の送信権が付与されたとして、無線装置1へ複数の情報フレームを送信する。無線装置2から送信された複数の情報フレームは、無線装置1のみならず、無線装置3_1、3_2にも受信される。
次に、無線装置1は送達確認信号(Block Ack)を無線装置2へ返信する。送達確認信号は、無線装置2のみならず、無線装置3_1、3_2にも受信される。送達確認信号には、送達確認信号を受信した無線装置2と無線装置3_1、3_2とが空間多重方式によって無線信号を送信する際に必要な情報(空間多重情報)が付加される。
次に、無線装置1から返信された送達確認信号(空間多重情報を含む)にしたがって、無線装置2は情報フレームの再送を行い、無線装置3_1、3_2は無線信号の協調伝送を行う。
以上のようにして、無線装置3_1、3_2は協調伝送を行う。
次に、無線装置3_1、3_2が無線信号の協調伝送を終了する4つの方法について説明する。
(第1の終了方法)無線装置2と無線装置1との間で送受信される無線信号によって、連続して設定され、あるいは延長されるNAV(Network Allocation Vector)(無線チャネルを排他的に使用できる期間)が途切れたときに、無線装置3_1、3_2は、協調伝送を終了する。
(第2の終了方法)ポーリング信号に協調伝送を行う期間が記載されていて、無線装置3_1、3_2は、ポーリング信号を受信したあと、そのポーリング信号に記載された協調伝送を行う期間が経過したときに、協調伝送を終了する。
(第3の終了方法)無線装置3_1、3_2は、ポーリング信号をトリガーとして通信が開始されたあと、次のポーリング信号を受信したときに、協調伝送を終了する。
(第4の終了方法)無線装置3_1、3_2は、ポーリング信号をトリガーとして通信が開始されたあと、宛先に自無線装置が含まれていないポーリング信号を、受信したときに、協調伝送を終了する。
なお、第2の実施形態において、協調伝送を終了する方法は、上記の4つの方法に限られず、また、上記4つの方法あるいは他の方法を組み合わせることができる。
無線装置3_1、3_2は、協調伝送を終了する場合、協調フレーム記憶部60に一時記憶しているフレームを削除する。
無線装置3_1、3_2は、一度協調伝送を終了したあと再度ポーリング信号を受信するまでは、一時記憶が必要とされるフレームを受信したとしても、一時記憶はしない。
無線装置3は、一度協調伝送を終了し、再度ポーリング信号を受信したときは、再度、協調伝送のための処理を開始する。
上記では、無線装置1が、ポーリング信号を送信(協調伝送を要求)のみならず、送達確認信号を送信(実際に協調伝送を行う無線装置を指定)をも行う。
このようにすることで、無線装置1は、無線装置3_1、3_2から協調伝送された無線信号の通信品質を直接把握して、実際に協調伝送を行う無線装置を適切に選択できる。
即ち、無線装置3_1、3_2から協調伝送された無線信号の通信品質についての情報を用いて、次に、協調伝送を要求する無線装置を選択することができる。このため、無線装置1は、協調要求信号が送信され、協調伝送のために無線信号の一時記憶をしなければいけない無線装置の数を、必要以上に大きくすることなく、最適な数に設定することができる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態と第2の実施形態では、無線装置2が無線装置1に対して無線信号を送信する際に、無線装置3が無線信号を協調伝送する例を示した。
第3の実施形態では、無線装置2が無線装置1に対して無線信号を送信する際に、無線信号3が無線信号を無線装置1と協調して受信する例を示す。
図16は、第3の実施形態に係るネットワークの構成を示す図である。
第3の実施形態に係るネットワークは、無線装置1と、無線装置2と、無線装置3とを備える。無線装置1と無線装置3とは、互いに連携して、無線装置2から送信された無線信号を受信する。
無線装置2と無線装置1は無線信号を送受信することによって通信する。無線装置2と無線装置3は、無線信号を送受信することによって通信する。無線装置1と無線装置3とは、無線装置1−2間あるいは無線装置2−3間で用いる通信方式と無相関の通信方式(以下、特定通信方式)で通信する。
特定通信方式の例は、有線による通信であってもよく、無線装置1−2間、無線装置2−3間で使用されていない周波数チャネルを使用した無線通信であっても良い。
無線装置1は、主の受信装置として動作する。無線装置3は、従の受信装置として動作する。無線装置3は、無線装置2から送信された情報フレームを、無線装置1と協調して受信する。即ち、無線装置3は、無線装置2から無線装置1へ送信された情報フレームを受信し、受信した情報フレームを特定通信方式で無線装置1へ転送する。
このように、無線装置3が無線装置1と協調して情報フレームを受信することで、無線装置1は、無線装置2から送信された情報フレームのうち、無線装置1あるいは無線装置3の少なくとも一方で受信に成功した情報フレームについて、受信に成功することになる。
図17は、無線装置3が情報フレームを協調して受信する際に、無線装置1、2、3で送受信される無線信号を示す図である。
まず、無線装置1は、無線装置2に対して、無線装置3が協調して受信処理を行う無線装置であることを通知するための信号(以下、通知信号)を送信する(図示せず)。なお、無線装置1は、無線装置2から無線信号が送信される前に、予め通知信号を送信するものとする。また、無線装置2から無線装置1へ無線信号を送信する場合に、無線装置3が協調して受信処理を行うことを、無線装置2に、予め記憶させていても良い。このようにして、無線装置2は、無線装置1へ無線信号を送信する場合に、無線装置3が協調して受信処理を行うことを把握する。
次に、無線装置2は、複数の情報フレームを、無線装置1および無線装置3へ送信する。無線装置2は、複数の情報フレームを送信する際に、送信する無線信号に空間多重情報を付加する。この空間多重情報は、第1の実施形態で説明したものであって、無線装置1と無線装置3とが空間多重方式で無線装置2へ無線信号を送信するために必要な情報である。なお、無線装置2は、第1の実施形態で説明した伝送方式1〜4のいずれを用いても良い。
次に、無線装置1および無線装置3は、受信に成功した情報フレームを通知するための送達確認信号(BLOCK ACK)を、空間多重方式によって、無線装置2へ返信する。なお、無線装置3が返信する送達確認信号の送信元アドレスは、無線装置3の端末識別子(例えばMACアドレス)であってもよく、無線装置1の端末識別子であっても良く、通知信号で指定する特定の識別子であっても良い。
次に、無線装置2は、無線装置および無線装置3から送達確認信号を受信する。
次に、無線装置2は、無線装置1あるいは無線装置3のいずれか少なくとも一方が受信に成功した情報フレームについては、無線装置1への情報フレームの送達に成功したと判定する。
例えば、無線装置2が5つの情報フレーム(シーケンス番号:SN=1、2、3、4、5)を送信したものとする。このとき、無線装置1からの送達確認信号の結果が“SN1=OK、SN2=NG、SN3=NG、SN4=OK、SN5=OK”であって、無線装置3からの送達確認信号の結果が“SN1=OK、SN2=OK、SN3=OK、SN4=OK、SN5=NG”であったとする。
即ち、無線装置1が受信に失敗したSN=2、3の情報フレームは、無線装置3が受信に成功している。無線装置3が受信に失敗したSN=5の情報フレームは、無線装置1が受信に成功している。
この場合、無線装置2は、SN=1〜5の5つのフレームすべてについて、無線装置1あるいは無線装置3のいずれか少なくとも一方で受信に成功しているため、無線装置1への送達が成功したと判定する。
この判定結果に従い、無線装置2は、次に、SN=1〜5の情報フレームを再送することはせずに、次のシーケンス番号(SN=6〜10)の情報フレームを送信する。
このように、第3の実施形態に係る無線装置によれば、無線装置3が無線装置2から無線装置1へ送信された無線信号を受信するとともに、受信に成功した無線信号を無線装置1へ転送すること(無線装置3の協調受信)によって、無線装置2の再送回数を削減でき、かつ、無線装置1と無線装置3とが空間多重方式によって送達確認信号を無線装置2へ返信することで、無線装置3が協調受信を行うことによって発生するオーバヘッドを削減できるため、無線装置1と無線装置2間のスループット特性、遅延特性を向上させることができる。
上記第3の実施形態では、無線装置3が無線装置2から無線信号を受信したあと、無線装置1へその無線信号を転送するまでに要する時間(無線装置1と無線装置3との間の特定通信方式による処理遅延)が十分に小さいものとして説明した。
しかし、無線装置1と無線装置3との間の特定通信方式による処理遅延が大きい場合であっても、無線装置3の協調受信を行うことができる。
例えば、無線装置2が5つの情報フレーム(シーケンス番号:SN=1、2、3、4、5)を送信したものとする。このとき、無線装置1からの送達確認信号の結果が“SN1=OK、SN2=NG、SN3=NG、SN4=OK、SN5=OK”であって、無線装置3からの送達確認信号の結果が“SN1=OK、SN2=OK、SN3=OK、SN4=OK、SN5=NG”であったとする。
この場合、無線装置2は、SN=1〜5の5つの情報フレームすべてについて、無線装置1あるいは無線装置3のいずれか少なくとも一方で受信に成功しているため、無線装置1への送達が成功したと判定する。
この判定結果に従い、無線装置2は、次に、SN=1〜5の情報フレームを再送することはせずに、次のシーケンス番号(SN=6〜10)の情報フレームを送信する。
ここで、無線装置1と無線装置3との間の特定通信方式による処理遅延が大きく、無線装置3が無線装置1へ無線信号を転送する前に、無線装置1が、次のシーケンス番号(SN=6〜10)の情報フレームを無線装置2から受信したとする。
この場合、無線装置1は、SN=2、3の情報フレームをまだ受信していないにも関わらず、SN=6〜10の情報フレームを受信することになる。そのため、無線装置1は、SN=2、3の情報フレームの再送を要求する送達確認信号を無線装置2へ返信することがある。
ここで、無線装置2は、SN=2、3の情報フレームの再送を要求する送達確認信号を無線装置1から受信した場合であって、無線装置2からの送達確認信号によってSN=2、3の情報フレームの送達に成功していると判定している場合には、SN=2、3の情報フレームの再送要求を無視する。
そして、無線装置2は、SN=2、3の情報フレーム以外の情報フレーム、例えば、SN=6〜10の情報フレームの再送や、SNが11以上の情報フレームを送信する。
このようにすることで、無線装置1と無線装置3との間の特定通信方式による処理遅延が大きい場合であっても、無線装置3は協調受信を行い、無線装置1と無線装置2間のスループット特性、遅延特性を向上させることができる。
次に、なんらかの原因によって、無線装置1と無線装置3との間の特定通信方式による処理遅延が長期間となった場合を説明する。
上記の例において、無線装置2が送信したSN=6〜10の情報フレームのすべてについて、無線装置1または無線装置3が受信に成功したものとする。
例えば、無線装置1からの送達確認信号の結果が“SN6=NG、SN7=NG、SN8=NG、SN9=NG、SN10=OK”であって、無線装置3からの送達確認信号の結果が“SN6=OK、SN7=OK、SN8=OK、SN9=OK、SN10=NG”であったとする。
そして、無線装置2が、SN=11〜15の情報フレームを新たに送信したとする。
無線装置3から無線装置1へ情報フレームの転送がまったく行われていない場合、無線装置1は、SN=2、3、6、7、8、9の情報フレームをまだ受信していないと判定する。
ここで、送達確認信号の送達確認情報フィールド(ビットマップ)は、例えば、SNの連続した5つの情報フレームの受信の成否しか記載できないという制約があるとする。
このような制約下では、無線装置1は、まだ受信していないと判定する情報フレームのうち、SNの小さい順に、SN=2、3、4、5、6の情報フレームの再送を要求する送達確認信号を送信する。
一方、無線装置2は、SN=1〜10の情報フレームの送達は成功していると判定済みである。無線装置2がさらに新たな情報フレームを送信するためには、SN=11〜16の情報フレームの送達が成功したのか否かについての情報が必要となる。
このとき、無線装置1はSN=2、3、4、5、6の情報フレームの再送を要求する送達確認信号を送信しつづけるため、無線装置2はSN=11〜15の情報フレームの送達が成功したかどうかを把握できない状況が発生しうる。
さらに例えば、送達確認信号の送達確認情報フィールドに、再送を要求する情報フレームのシーケンス番号を5つしか記載できないという制約があるとする。
このような制約下においても、上記例では、無線装置1は、SN=2、3、6、7、8の情報フレームの再送を要求する送達確認信号を送信しつづけ、無線装置2はSN=11〜15の情報フレームの送達が成功したかどうかを把握できない状況が発生しうる。
上記のような状況に陥った場合、無線装置2は、SN=1〜10までの情報フレームの送達に成功したと判定して、新たにSN=11〜15の情報フレームを送信することとしても、SN=11〜15の情報フレームの送達に成功したか否かを判定することができない。
このような課題を解決するために、無線装置2は、送信する無線信号(情報フレーム)に、送達確認が必要なシーケンス番号の最小値(SSN:Startig Sequence Number)の情報を付加する。
このように、先ほどの例において、無線装置2がSN=6〜10の情報フレームを送信する際にSSN“6”を付加することによって、無線装置1は、SNが“6”未満の情報フレームについては再送を要求する必要がない(無線装置1が受信に成功したかを送達確認信号によって無線装置2へ通知する必要がない)と判定できる。
即ち、無線装置1はSN=2、3の情報フレームについては、再送を要求する必要がない(無線装置1が受信に成功したかを送達確認信号によって無線装置2へ通知する必要がない)と判定する。無線装置3は、SN=5の情報フレームについては、再送を要求する必要がない(無線装置1が受信に成功したかを送達確認信号によって無線装置2へ通知する必要がない)と判定する。
無線装置2は、情報フレームを送信する際にSSNを付加することで、無線装置2が送信した情報フレームのうち、どの無線信号についての送達確認信号の返信が必要であるかを、無線装置1へ通知することができる。
なお、無線装置2が送信する無線信号にSSNを付加する方法については、無線装置1へ通知可能な方法であればどのような方法であってもよく、明示的にSSNを通知するためのフィールドを新たに設けても良く、無線装置2が送信する無線信号に含まれる情報フレームの最小のシーケンス番号がSSNであるという取り決めとしても良い。
明示的にSSNを通知するためのフィールドを新たに設ける方法では、無線信号にSSNを通知するための新たなフィールドが必要となるが、送信する情報フレームのSNに関わらず送達確認信号を要求することができる、
無線装置2が送信する無線信号に含まれる情報フレームの最小のシーケンス番号がSSNであるという取り決めをする方法では、送達確認信号を要求する情報フレームのSNと、送信する情報フレームのSNとを連携させる必要があるため、スループットが劣化する要因となりえるが、無線信号にSSNを通知するためのフィールドを設ける必要がなくオーバヘッドを削減できる。
また、無線装置2は、無線装置1、3から受信した送達確認信号から、無線装置1、3の通信品質を定め、無線信号の送信先を変更しても良い。
例えば、無線装置2は、無線装置1の通信品質が閾値以上で、無線装置3の通信品質が閾値未満の場合、無線装置1のみに対して無線信号を送信しても良い。
また、例えば、無線装置2は、無線装置1、3の通信品質が閾値以上である場合、無線装置1のみに対して無線信号を送信しても良い。
さらにまた、例えば、無線装置2は、無線装置1、3の通信品質が閾値未満である場合、無線装置1および無線装置3の双方へ無線信号を送信する。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。