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JP5162415B2 - 斜突検知装置及び乗員保護システム - Google Patents
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JP5162415B2 - 斜突検知装置及び乗員保護システム - Google Patents

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本発明は、車両の斜突(斜め衝突)を検知する斜突検知装置及びその斜突検知装置を備える乗員保護システムに関する。
一般的に、車両衝突時に乗員を保護するためのシステムとして、SRS(Supplemental Restraint System)エアバッグシステムが知られている。このSRSエアバッグシステムとは、車両の各部に設置された加速度センサ(サテライトセンサ)から得られる加速度データを基に衝突が発生したことを検知し、エアバッグやシートベルトプリテンショナ(以下、プリテンショナと略す)等の乗員保護装置を起動するものである。
例えば、下記特許文献1には、乗員移動速度変化ΔVと乗員移動量ΔSとの相関関係を示す2次元マップ(S−Vマップ)上において、車両のフロントバンパー内に設置された加速度センサ(フロントクラッシュセンサ:FCS)から得られる加速度データを基に衝突判定閾値を設定し、車両中央部に設置された加速度センサ(具体的にはSRSエアバッグシステムを統括制御するSRSユニット内に設置された加速度センサ)から得られる加速度データを1回積分して算出される乗員移動速度変化ΔVと2回積分して算出される乗員移動量ΔSとの交点が上記S−Vマップ上の衝突判定閾値を超えたか否かを判定することにより衝突判定を行う技術が開示されている。
また、下記特許文献2には、車両中央部に設置された加速度センサの出力信号と、車両前部に設置された加速度センサの出力信号との位相差に基づいて衝突の態様を判定し(具体的には位相差が大きい場合には斜突及びオフセット衝突と判定し、位相差が小さい場合にはアンダーライド衝突及びポール衝突と判定する)、その判定結果に応じて乗員保護装置の起動タイミングを制御する技術が開示されている。
特開2006−88913号公報 特開平11−194137号公報
上記従来技術では、斜突(斜め衝突)とオフセット衝突(片側正面衝突)とを区別することなく、同一のアルゴリズムによって包括的な衝突判定を行い、その判定結果に応じて乗員保護装置の起動制御を行っていた。しかしながら、斜突発生時には乗員は車両Aピラー方向へ前方移動し、また、オフセット衝突発生時には乗員は車両前方(正面方向)へ移動するため、乗員保護性能の観点から、乗員保護装置の起動タイミング(特にエアバッグの展開タイミング)を斜突とオフセット衝突とでそれぞれに適したタイミングとすることが望ましい。そのため、斜突とその他の衝突とを区別して検知する技術が要望されていた。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、斜突とその他の衝突とを区別して検知し、乗員保護性能の向上を図ることの可能な斜突検知装置及び乗員保護システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、斜突検知装置に係る第1の解決手段として、装置内に設置され、車両の長さ方向に作用する加速度を検出する内部加速度センサと、前記内部加速度センサにて検出された加速度を基に乗員の移動量を算出する移動量算出手段と、外部入力される車両前部で検出された車両の長さ方向に作用する加速度を基に乗員の速度変化を算出する速度変化算出手段と、前記移動量及び前記速度変化に基づいて斜突が発生したか否かを判定する斜突判定手段とを備えることを特徴とする。
また、斜突検知装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記斜突判定手段は、前記移動量を第1の軸とし、前記速度変化を第2の軸とする2次元マップ上に設定された斜突検知領域に、前記移動量算出手段にて算出された移動量と前記速度変化算出手段にて算出された速度変化との交点が含まれるか否かを判定することによって、前記斜突が発生したか否かを判定することを特徴とする。
また、斜突検知装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記内部加速度センサにて検出された加速度を基に衝突判定を行い、その衝突判結果を基に乗員保護装置の起動を制御する起動制御手段をさらに備え、前記起動制御手段は、前記斜突判定手段による斜突判定結果に応じて前記衝突判定に関する処理内容の変更と、前記乗員保護装置の起動タイミングの変更との少なくとも1つを実施することを特徴とする。
さらに、本発明では、乗員保護システムに係る解決手段として、車両前部の少なくとも一方の片側に配置され、車両の長さ方向に作用する加速度を検出する前部加速度検出手段と、車両の衝突発生時に乗員を保護するための乗員保護装置と、前記前部加速度検出手段にて検出された加速度を入力とし、当該入力された加速度と前記内部加速度センサにて検出された加速度に基づく斜突判定結果と、前記内部加速度センサにて検出された加速度に基づく衝突判結果とに基づいて、前記乗員保護装置の起動を制御する斜突検知装置とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、斜突とその他の衝突とを区別して検知することができると共に、それぞれの衝突態様に応じた乗員保護装置の起動制御が行うことができ、乗員保護性能の向上を図ることが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る斜突検知装置を備える乗員保護システムの構成概略図である。なお、以下では、本実施形態に係る乗員保護システムとして、車両の衝突発生時において、各種エアバッグやプリテンショナ等の乗員保護装置を起動するSRSエアバッグシステムを例示して説明する。
この図1に示すように、本実施形態に係る乗員保護システムは、車両100のフロント部の右側に設置されたフロントクラッシュセンサ(以下、R−FCSと称す)10と、車両100のフロント部の左側に設置されたフロントクラッシュセンサ(以下、L−FCSと称す)20と、車両100のセンターフロアトンネル内に設置されたSRSユニット30と、運転席側に設置された運転席エアバッグ40と、助手席側に設置された助手席エアバッグ50と、運転席側及び助手席側に設置されたプリテンショナ60及び70とから概略構成されている。
R−FCS10及びL−FCS20(前部加速度検出手段)は、バスを介してSRSユニット30と接続されたサテライトセンサであり、それぞれ車両100の長さ方向(図中のX軸方向)に作用する加速度を検出する加速度センサと、この加速度センサの出力信号をデジタルデータである加速度データに変換してSRSユニット30に送信する制御回路とがユニット化された構成となっている。
SRSユニット30(斜突検知装置)は、上記のR−FCS10及びL−FCS20から受信した加速度データと、後述する内部に設置されたユニットセンサ31から得られる加速度データとに基づいて、衝突発生時に乗員保護装置、つまり運転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50と、プリテンショナ60及び70の起動制御を行う。
運転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50は、乗員保護装置として設けられたエアバッグであり、SRSユニット30による制御の下、衝突発生時に展開して衝突の衝撃から乗員を保護するものである。プリテンショナ60及び70は、SRSユニット30による制御の下、衝突発生時に運転席側及び助手席側シートベルトを巻き取って、乗員に対するシートベルトの拘束力を増大させるものである。
なお、本実施形態では、各エアバッグを多段階的に起動(展開)する場合を例示して説明する。ここで、エアバッグの多段階的な起動制御とは、インフレータによってガスを発生させてエアバックを展開させる際に、一度に最高出力でガスを発生させるのではなく、複数のスクイブを順次段階的に点火してガスを発生させるものである。本実施形態では、各エアバッグを2段階で展開させるものとする。つまり、運転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50のインフレータ内部には、段階的に点火してガスを発生させるための複数(ここでは2段階なので2個)のスクイブが設けられている。
続いて、図2を参照してSRSユニット30について詳細に説明する。図2は、SRSユニット30の機能ブロック図である。この図2に示すように、SRSユニット30は、ユニットセンサ31と、例えばCPU(Central Processing Unit)等の信号処理部31Aとを内蔵している。また、信号処理部31Aは、斜突検知処理部32、33と、起動制御部34とを備えている。なお、上記の斜突検知処理部32、33と起動制御部34とは、CPUが所定のプログラムを実行することで実現される機能をブロック化して表したものであり、実際には各ブロックの動作はCPUによるソフトウェア演算処理で実現されるものである。
ユニットセンサ31(内部加速度検出手段)は、SRSユニット30の内部に設置されていると共に、車両100の長さ方向(X軸方向)に作用する加速度を検出する加速度センサであり、検出結果をデジタルデータ(加速度データ)に変換して信号処理部31A(斜突検知処理部32、33と起動制御部34)に出力する。
斜突検知処理部32は、ユニットセンサ31から得られる加速度データと、R−FCS10から外部入力される加速度データとに基づいて、斜突(斜め衝突)が発生したか否かを判定するものであり、第1速度変化算出部32a(速度変化算出手段)と、第1移動量算出部32b(移動量算出手段)と、斜突判定部32c(斜突判定手段)とから構成されている。
第1速度変化算出部32aは、R−FCS10から外部入力される加速度データを基に乗員の速度変化を算出して斜突判定部32cに出力する。具体的には、第1速度変化算出部32aは、R−FCS10から外部入力される加速度データG(t)を下記(1)式に基づいて1次区間積分することにより、速度変化ΔVを算出する。なお、以下では、第1速度変化算出部32aにて算出された速度変化を第1速度変化ΔV1Rと称する。
Figure 0005162415
第1移動量算出部32bは、ユニットセンサ31から得られる加速度データを基に乗員の移動量を算出して斜突判定部32cに出力する。具体的には、第1移動量算出部32bは、ユニットセンサ31から得られる加速度データG(t)を、下記(2)式または(3)式に基づいて2次区間積分することにより、移動量ΔSを算出する。なお、以下では、第1移動量算出部32bにて算出された移動量を第1移動量ΔS1Rと称する。
Figure 0005162415
斜突判定部32cは、上記の第1速度変化ΔV1R及び第1移動量ΔS1Rに基づいて斜突が発生したか否かを判定する。具体的には、この斜突判定部32cは、移動量を第1の軸とし、速度変化を第2の軸とする2次元マップ(以下、斜突判定用S−Vマップと称す)上に設定された斜突検知領域に、第1速度変化ΔV1Rと第1移動量ΔS1Rとの交点が含まれるか否かを判定することによって、斜突が発生したか否かを判定し、その判定結果を示す斜突検知結果R1を起動制御部34(詳細にはメイン衝突判定部34c)に出力する。
また、詳細は後述するが、この斜突判定部32cは、上記の斜突判定用S−Vマップ上に設定されたFCS−ON領域と、FCS−OFF領域とのいずれかに第1速度変化ΔV1Rと第1移動量ΔS1Rとの交点が含まれるか否かを判定し、その判定結果(FCS−ON/OFF判定結果R2)を起動制御部34(詳細にはメイン衝突判定部34c)に出力する機能を有している。ここで、FCS−ON領域とFCS−OFF領域とは、斜突以外の衝突(例えば、正面衝突やオフセット衝突)が発生したか否かを判断するための領域であり、第1速度変化ΔV1Rと第1移動量ΔS1Rとの交点がFCS−ON領域に含まれている場合には、斜突以外の衝突が発生したと判定することになる。
斜突検知処理部33は、ユニットセンサ31から得られる加速度データと、L−FCS20から外部入力される加速度データとに基づいて、斜突が発生したか否かを判定するものであり、第1速度変化算出部33a(速度変化算出手段)と、第1移動量算出部33b(移動量算出手段)と、斜突判定部33c(斜突判定手段)とから構成されている。
第1速度変化算出部33aは、L−FCS20から外部入力される加速度データを基に乗員の速度変化を算出して斜突判定部33cに出力する。この速度変化の算出手法は、上記の第1速度変化算出部32aと同様である。なお、以下では、第1速度変化算出部33aにて算出された速度変化を第1速度変化ΔV1Lと称する。
第1移動量算出部33bは、ユニットセンサ31から得られる加速度データを基に乗員の移動量を算出して斜突判定部33cに出力する。この移動量の算出手法は、上記の第1移動量算出部32bと同様である。なお、以下では、第1移動量算出部33bにて算出された移動量を第1移動量ΔS1Lと称する。
斜突判定部33cは、上記の第1速度変化ΔV1L及び第1移動量ΔS1Lに基づいて斜突が発生したか否かを判定し、その判定結果を示す斜突検知結果L1を起動制御部34(詳細にはメイン衝突判定部34c)に出力する。この斜突判定手法は、上記の斜突判定部32cと同様である。また、この斜突判定部33cは、上記の斜突判定部32cと同様に、斜突以外の衝突が発生したか否かを判定し、その判定結果(FCS−ON/OFF判定結果L2)を起動制御部34(詳細にはメイン衝突判定部34c)に出力する機能を有している。
起動制御部34(起動制御手段)は、ユニットセンサ31から得られる加速度データを基に衝突判定を行い、その衝突判結果を基に乗員保護装置(つまり運転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50と、プリテンショナ60及び70)の起動を制御するものであり、第2速度変化算出部34aと、第2移動量算出部34bと、メイン衝突判定部34cと、遅延制御部34dと、AND処理部34e、34f、34gとから構成されている。
第2速度変化算出部34aは、ユニットセンサ31から得られる加速度データを基に乗員の速度変化(以下、第2速度変化ΔV2と称する)を算出してメイン衝突判定部34cに出力する。この速度変化の算出手法は、上記の第1速度変化算出部32aと同様の手法を採用できる。第2移動量算出部34bは、ユニットセンサ31から得られる加速度データを基に乗員の移動量(以下、第2移動量ΔS2と称する)を算出してメイン衝突判定部34cに出力する。この移動量の算出手法は、上記の第1移動量算出部32bと同様の手法を採用できる。
メイン衝突判定部34cは、上記の第2速度変化ΔV2及び第2移動量ΔS2を基に衝突判定を行うが、この際、斜突判定部32c、33cの斜突検知結果R1、L1に応じて衝突判定に関する処理内容の変更を行う機能を有している。詳細は後述するが、このメイン衝突判定部34cは、斜突検知結果R1、L1の両方が「斜突未検知」を示す場合、FCS−ON/OFF判定結果R2、L2を用いる通常衝突判定処理を行い、斜突検知結果R1、L1の少なくとも1つが「斜突検知」を示す場合、斜突専用衝突判定処理を行う。
このメイン衝突判定部34cは、その衝突判定結果に応じてプリテンショナ60及び70を起動させるためのP/T起動要求信号PTをAND処理部34eに出力し、運転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50の1段階目の展開を行うための第1A/B起動要求信号AB1を遅延制御部34d及びAND処理部34fに出力し、また、運転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50の2段階目の展開を行うための第2A/B起動要求信号AB2を遅延制御部34dに出力する。
遅延制御部34dは、第2A/B起動要求信号AB2を第1A/B起動要求信号AB1に対して所定時間だけ遅延させてAND処理部34gに出力する。つまり、この遅延制御部34dによって、運転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50の1段階目の展開タイミングと、2段階目の展開タイミングとの時間差が制御される。また、この遅延制御部34dは、斜突検知結果R1、L1に応じて、第2A/B起動要求信号AB2の第1A/B起動要求信号AB1に対する遅延時間を変更する機能(つまり、運転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50の展開タイミングを変更する機能)を有している。
AND処理部34eは、P/T起動要求信号PTと、例えば所定値以上の加速度を検出した際に真値「1」のセーフィング信号を出力する機械式または電子式等のセーフィングセンサ10aから出力されるセーフィング信号SFとの論理積処理を行い、その処理結果をプリテンショナ60及び70の起動/非起動を指示するためのP/T起動信号PT’として出力する。
AND処理部34fは、第1A/B起動要求信号AB1と、セーフィングセンサ10aから出力されるセーフィング信号SFとの論理積処理を行い、その処理結果を運転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50のインフレータに設けられた1段階目の展開用スクイブの点火/非点火を指示するための第1A/B起動信号AB1’として出力する。
AND処理部34gは、遅延制御部34dによって遅延された第2A/B起動要求信号AB2と、セーフィングセンサ10aから出力されるセーフィング信号SFとの論理積処理を行い、その処理結果を運転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50のインフレータに設けられた2段階目の展開用スクイブの点火/非点火を指示するための第2A/B起動信号AB2’として出力する。
なお、上記のAND処理部34e、34f、34gから出力されるP/T起動信号PT’、第1A/B起動信号AB1’、第2A/B起動信号AB2’は、信号処理部31Aから出力される信号である。図2では図示を省略しているが、SRSユニット30には、信号処理部31Aからプリテンショナ60及び70の起動を指示するP/T起動信号PT’が出力された場合に、プリテンショナ60及び70を起動(作動)させるための駆動回路と、展開用スクイブの点火を指示する第1A/B起動信号AB1’、第2A/B起動信号AB2’が出力された場合に、1段階目、2段階目のそれぞれの展開用スクイブを点火するための電流を生成する点火回路が内蔵されている。
次に、上記のように構成された本実施形態に係る乗員保護システムの動作、特にSRSユニット30の信号処理部31Aによる衝突判定動作について説明する。
図3は、信号処理部31Aによる衝突判定動作を表すフローチャートである。この図3に示すように、信号処理部31Aは、まず、斜突検知処理を実行する(ステップS1)。以下では、図4〜図7を参照して斜突検知処理の詳細について説明する。
図4(a)は、車両100の前部右側でオフセット衝突が発生した状況と、そのオフセット衝突発生の際に、R−FCS10で検出される加速度の時間的変化とを示したものである。図4(b)は、車両100の前部右側で斜め衝突(斜突)が発生した状況と、その斜突発生の際に、R−FCS10で検出される加速度の時間的変化とを示したものである。図4(a)に示すように、オフセット衝突の場合、衝突初期段階では車両100のフレームが潰れながら衝撃を吸収するので、R−FCS10で検出される加速度は比較的小さな値を示す。一方、図4(b)に示すように、斜め衝突の場合、衝突初期段階において衝突側のフレームが内側に折れ曲がってしまうため、R−FCS10で検出される加速度は比較的大きな値を示す。
本実施形態における斜突検知処理は、上記のような斜め衝突とオフセット衝突(斜め衝突以外の衝突)とで異なる衝突初期段階での加速度の特徴を、フロントクラッシュセンサ(R−FCS10及びL−FCS20)とSRSユニット30内のユニットセンサ31とを用いて抽出することにより、斜め衝突とそれ以外の衝突とを区別して検知するものである。
図5(a)は、斜め衝突発生時にR−FCS10で検出される加速度の時間変化と、オフセット衝突発生時にR−FCS10で検出される加速度の時間変化とを同一時間軸上で表したものである。図5(b)は、斜め衝突発生時にユニットセンサ31で検出される加速度の時間変化と、オフセット衝突発生時にユニットセンサ31で検出される加速度の時間変化とを同一時間軸上で表したものである。図5(c)は、図5(a)に示す加速度を1次区間積分して得られる速度変化ΔVを縦軸、図5(b)に示す加速度を2次区間積分して得られる移動量ΔSを横軸とする2次元マップ上において、同一時刻での速度変化ΔVと移動量ΔSとの交点をプロットしたものである。
図5(c)に示すように、斜め衝突では、衝突初期段階において、ある移動量の範囲内で大きな速度変化が発生することがわかる。すなわち、これら2つのデータ(R−FCS10及びL−FCS20にて検出される加速度を1次区間積分して得られる速度変化と、ユニットセンサ31にて検出される加速度を2次区間積分して得られる移動量)を同一時間軸上で観察し、衝突初期段階において車両前部に大きな衝撃(減速度)が発生したか否かを判定することにより、斜め衝突とその他の衝突とを区別することができる。
本実施形態では、図6に示すように、上述した2次元マップを斜突判定用S−Vマップとし、その斜突判定用S−Vマップ上に斜め衝突判定用の斜突検知領域W1を設定し、この斜突検知領域W1に、第1速度変化算出部32aにて算出される第1速度変化ΔV1Rと、第2速度変化算出部32bにて算出される第1移動量ΔS1Rとの交点が含まれるか否か、また、第1速度変化算出部33aにて算出される第1速度変化ΔV1Lと、第2速度変化算出部33bにて算出される第1移動量ΔS1Lとの交点が含まれるか否か、を確認することにより、斜突が発生したか否かを判定するものとした。
ここで、斜突検知領域W1は、移動量側の斜突検知閾値DSTHと速度変化側の斜突検知閾値DVTHとで規定されるものである。また、斜突判定用S−Vマップ上には、斜突以外の衝突(例えば、正面衝突やオフセット衝突)が発生したか否かを判断するための領域であるFCS−ON領域W2とFCS−OFF領域W3が設定されており、第1速度変化ΔV1Rと第1移動量ΔS1Rとの交点(または第1速度変化ΔV1Lと第1移動量ΔS1Lとの交点)がFCS−ON領域W2に含まれている場合には、斜突以外の衝突が発生したと判定するものとした。
これら斜突検知領域W1、FCS−ON領域W2及びFCS−OFF領域W3は、図7に示すように、ある車種について、斜め衝突やその他の衝突(オフセット衝突、正面衝突等)の各種の衝突実験を繰り返すことでマップデータを採取し、その採取したマップデータに基づいて統計的に最も確実に斜め衝突とその他の衝突とを区別することが可能となるように、予め決定されたものである。なお、図7(a)は、斜め衝突実験から採取されたマップデータを示し、図7(b)は、オフセット衝突実験から採取されたマップデータを示し、図7(c)は、正面衝突実験から採取されたマップデータを示している。
以上が本実施形態における斜突検知処理の原理説明であり、以下では図8のフローチャートを参照して斜突検知処理の具体的な流れについて説明する。
図8に示すように、斜突検知処理において、信号処理部31Aは、まず、斜突判定部32c、33cの斜突検知結果R1、L1を基に斜突検知済みか否かを判定する(ステップS10)。このステップS10において、「No」の場合、つまり斜突検知結果R1、L1の両方が「斜突未検知」を示している場合、信号処理部31Aは、ユニットセンサ31から得られる加速度データを基に乗員の移動量を算出する(ステップS11)。つまり、第1移動量算出部32bによって第1移動量ΔS1Rが算出されると共に、第2移動量算出部33bによって第1移動量ΔS1Lが算出される。
続いて、信号処理部31Aは、R−FCS10及びL−FCS20から外部入力される加速度データを基に乗員の速度変化を算出する(ステップS12)。つまり、第1速度変化算出部32aによって、R−FCS10から外部入力される加速度データに基づく第1速度変化ΔV1Rが算出されると共に、第1速度変化算出部33aによって、L−FCS20から外部入力される加速度データに基づく第1速度変化ΔV1Lが算出される。
そして、信号処理部31A(斜突判定部32c)は、第1移動量ΔS1Rが斜突検知領域W1を規定する移動量側の斜突検知閾値DSTHより小さいか否かを判定し(ステップS13)、「Yes」の場合には、速度変化側の斜突検知閾値DVTHを算出する(ステップS14)。ここで、図6に示すように、斜突検知閾値DVTHが移動量ΔSに対して一定であれば算出する必要はなく、予め設定された固定値を用いれば良いが、必ずしも斜突検知閾値DVTHが一定となるわけではない。例えば、上記のように衝突実験を行った結果、斜突検知閾値DVTHを移動量ΔSに対して変化させた方が精度良く斜突検知を行うことができる場合もあり得る。
このように斜突検知閾値DVTHを一定ではなく、移動量ΔSに対して変化するように設定する場合には、この斜突検知閾値DVTHを格子点データ(格子点数は任意)として予め記憶しておき、格子点間は移動量ΔSの2点補間処理等を用いて算出すれば良い。また、処理時間を短縮するために、例えばイニシャル処理において格子点間の傾きを算出するようにしても良い。
そして、斜突判定部32cは、第1速度変化ΔV1Rが斜突検知閾値DVTHより大きいか否かを判定し(ステップS15)、「Yes」の場合、つまり斜突判定用S−Vマップ上の斜突検知領域W1に、第1速度変化ΔV1Rと第1移動量ΔS1Rとの交点が含まれる場合、斜突が発生したと判断して、「斜突検知」を示す斜突検知結果R1を起動制御部34に出力する(ステップS16)。
一方、上記ステップS13において「No」の場合、斜突検知処理は終了して図3のステップS2に移行し、また、上記ステップS15において「No」の場合、斜突判定部32cから「斜突未検知」を示す斜突検知結果R1が起動制御部34に出力され(ステップS17)、その後、斜突検知処理は終了して図3のステップS2に移行する。
上述したステップS13〜S17の動作は、斜突判定部33cによっても同様に平行して行われる。つまり、斜突判定部33cは、斜突判定用S−Vマップ上の斜突検知領域W1に、第1速度変化ΔV1Lと第1移動量ΔS1Lとの交点が含まれる場合、斜突が発生したと判断して、「斜突検知」を示す斜突検知結果L1を起動制御部34に出力する。
また、上記のステップS10において「Yes」の場合、つまり斜突検知結果R1、L1の少なくとも1つが「斜突検知」を示している場合、信号処理部31Aは、斜突検知後に所定時間が経過したか否かを判定し(ステップS18)、「Yes」の場合に、斜突検知結果R1、L1のリセット(「斜突検知」の解除)を行った後、斜突検知処理を終了して図3のステップS2に移行する(ステップS19)。また、上記ステップS18において、「No」の場合、信号処理部31Aは、斜突検知処理を終了して図3のステップS2に移行する。
以上が斜突検知処理の詳細な説明であり、以下では図3に戻って衝突判定動作の説明を続ける。図3に示すように、信号処理部31Aは、上記のような斜突検知処理が終了すると、斜突の発生が検知されたか否かを判定し(ステップS2)、「No」の場合には通常衝突判定処理を行い(ステップS3)、また、「Yes」の場合には斜突専用衝突判定処理を行う(ステップS4)。
つまり、起動制御部34のメイン衝突判定部34cは、斜突検知結果R1、L1の両方が「斜突未検知」を示している場合に、FCS−ON/OFF判定結果R2、L2を用いる通常衝突判定処理を行い、斜突検知結果R1、L1の少なくとも1つが「斜突検知」を示す場合、斜突専用衝突判定処理を行う。
ここで、本実施形態では、通常衝突判定処理の一例として、特開2006−88913号公報に記載された衝突判定手法を採用するものとする。この特開2006−88913号公報に記載された衝突判定手法とは、SRSユニットに内蔵された加速度センサにて検出された加速度を基に算出した速度変化を縦軸、移動量を横軸とする2次元マップ(以下、通常衝突判定用S−Vマップと称す)上において、速度変化V及び移動量Sの算出値が、プリテンショナ起動判断用の衝突判定閾値を超えた場合にはプリテンショナを起動させ、エアバッグの1段階目の展開判断用の衝突判定閾値を超えた場合にはエアバッグの1段階目の展開を行い、2段階目の展開判断用の衝突判定閾値を超えた場合にはエアバッグの2段階目の展開を行うものである(詳細は特開2006−88913号公報参照)。
つまり、メイン衝突判定部34cは、通常衝突判定処理を行う場合、第2速度変化算出部34aにて算出された第2速度変化ΔV2と、第2移動量算出部34bにて算出された第2移動量ΔS2との交点が、通常衝突判定用S−Vマップ上に設定された各衝突判定閾値を超えたか否かを判定することにより、斜突以外の衝突の発生を判定する。また、このメイン衝突判定部34cは、FCS−ON/OFF判定結果R2、L2に応じて、通常衝突判定用S−Vマップ上の各衝突判定閾値を変更する機能を有している。
具体的には、斜突判定用S−Vマップにおいて、第1速度変化ΔV1R(若しくはΔV1L)と第1移動量ΔS1R(若しくはΔS1L)との交点がFCS−ON領域W2に含まれていた場合、ある程度大きな衝撃がオフセット衝突や正面衝突等によって検知されたことを指すので、通常衝突判定用S−Vマップ上の各衝突判定閾値を低い値に変更することにより、各乗員保護装置を起動しやすくする(詳細は特開2006−88913号公報参照)。
メイン衝突判定部34cは、このような通常衝突判定処理を行うことによって、第2速度変化ΔV2と第2移動量ΔS2との交点が、プリテンショナ起動判断用の衝突判定閾値を超えた場合には、プリテンショナ60及び70を起動させるためのP/T起動要求信号PTを出力し、エアバッグの1段階目の展開判断用の衝突判定閾値を超えた場合には、運転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50の1段階目の展開を行うための第1A/B起動要求信号AB1を出力し、2段階目の展開判断用の衝突判定閾値を超えた場合には、転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50の2段階目の展開を行うための第2A/B起動要求信号AB2を出力する。
また、通常衝突判定処理においては、遅延制御部34dによって、第2A/B起動要求信号AB2の第1A/B起動要求信号AB1に対する遅延時間が通常判定用の遅延時間に設定される。ここで、通常判定用の遅延時間とは、斜突以外の衝突、つまりオフセット衝突や正面衝突に適したエアバッグの2段階目の展開タイミングとすることが可能な遅延時間を指す。
一方、斜突専用衝突判定処理とは、例えば、上記の通常衝突判定処理で使用する各衝突判定閾値を斜突専用の衝突判定閾値に変更したり、第2A/B起動要求信号AB2の第1A/B起動要求信号AB1に対する遅延時間を斜突に適したエアバッグの2段階目の展開タイミングとすることが可能な遅延時間に変更することを指す。また、特開2006−88913号公報の衝突判定手法を利用せずに、全く別の手法で斜突専用の衝突判定を行うようにしても良い。
そして、信号処理部31Aは、上述した通常衝突判定処理または斜突専用衝突判定処理による衝突判定結果に応じて、各乗員保護装置毎に起動を指示する(ステップS5)。つまり、AND処理部34e、34f、34gによってP/T起動要求信号PT、第1A/B起動要求信号AB1、第2A/B起動要求信号AB2のぞれぞれと、セーフィング信号SFとの論理積処理が行われ、P/T起動要求信号PTとセーフィング信号SFの両方が真値「1」であれば、プリテンショナ60及び70の起動を指示するためのP/T起動信号PT’が出力され、第1A/B起動要求信号AB1とセーフィング信号SFの両方が真値「1」であれば、運転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50の1段階目の展開用スクイブの点火を指示するための第1A/B起動信号AB1’が出力され、また、第2A/B起動要求信号AB2とセーフィング信号SFの両方が真値「1」であれば、2段階目の展開用スクイブの点火を指示するための第2A/B起動信号AB2’が出力される。
以上のようなステップS1〜S5の衝突判定動作が所定周期で繰り返されることにより、斜め衝突とそれ以外の衝突とが区別されて検知され、それぞれの衝突態様に応じた各乗員保護装置の起動制御が行われることになる。
このように、本実施形態によれば、斜突とその他の衝突とを区別して検知することができると共に、それぞれの衝突態様に応じた各乗員保護装置の起動制御が行われることにより、乗員保護性能の向上を図ることが可能となる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が考えられる。
(1)図9に衝突判定動作の変形例を示す。この図9において、ステップS101、S102は、図3のステップS1、S2と同様である。ステップS101で斜突以外の衝突が検知された場合には、ステップS103において、衝突判定閾値を通常判定用の衝突判定閾値に設定し、ステップS104において、第2A/B起動要求信号AB2の第1A/B起動要求信号AB1に対する遅延時間を通常判定用の遅延時間に設定する。一方、ステップS101で斜突が検知された場合には、ステップS105において、衝突判定閾値を斜突判定用の衝突判定閾値に設定し、ステップS106において、第2A/B起動要求信号AB2の第1A/B起動要求信号AB1に対する遅延時間を斜突判定用の遅延時間に設定する。そして、ステップS107において、上記のように設定した衝突判定閾値及び遅延時間を用いて衝突判定を行う。この衝突判定手法としては、特開2006−88913号公報の手法を用いても良いし、別の公知手法を用いても良い。ステップS108は、図3のステップS5と同様である。
(2)上記実施形態では、通常衝突判定処理で使用する衝突判定手法として、特開2006−88913号公報の手法を用いた場合を例示したが、これに限らず、他の公知手法を採用しても良い。
(3)上記実施形態では、エアバッグを多段階的に展開する場合を例示したが、エアバッグを1段階で展開するような場合にも当然適用することができる。この場合、遅延制御部34dは不要となるため、斜突専用衝突判定処理を行う場合には、衝突判定閾値のみを斜突専用の閾値に変更すれば良い。
(4)上記実施形態では、乗員保護装置として運転席エアバッグ40及び助手席エアバッグ50と、プリテンショナ60及び70とを備える乗員保護システムを例示したが、その他の種類の乗員保護装置(例えば、サイドエアバッグやカーテンエアバッグ等)を用いるシステムにも適用することができる。
本発明の一実施形態に係る斜突検知装置(SRSユニット30)を備える乗員保護システムの構成概略図である。 本実施形態におけるSRSユニット30の詳細説明図である。 本実施形態における衝突判定動作を表すフローチャートである。 本実施形態における斜突検知処理に関する第1説明図である。 本実施形態における斜突検知処理に関する第2説明図である。 本実施形態における斜突検知処理に関する第3説明図である。 本実施形態における斜突検知処理に関する第4説明図である。 本実施形態における斜突検知処理を表すフローチャートである。 本実施形態における衝突判定動作の変形例を表すフローチャートである。
符号の説明
100…車両、10…R−FCS(前部加速度検出手段)、20…L−FCS20(前部加速度検出手段)、30…SRSユニット(斜突検知装置)、40…運転席エアバッグ、50…助手席エアバッグ、60、70…プリテンショナ、31…ユニットセンサ(内部加速度検出手段)、31A…信号処理部、32、33…斜突検知処理部、34…起動制御部(起動制御手段)、32a、33a…第1速度変化算出部(速度変化算出手段)、32b、33b…第1移動量算出部(移動量算出手段)、32c、33c…斜突判定部(斜突判定手段)、34a…第2速度変化算出部、34b…第2移動量算出部、34c…メイン衝突判定部、34d…遅延制御部、34e、34f、34g…AND処理部

Claims (3)

  1. 車両中央部に設置され、車両の長さ方向に作用する加速度を検出する加速度センサと、前記加速度センサにて検出された加速度を基に乗員の移動量を算出する移動量算出手段と、
    外部入力される車両前部で検出された車両の長さ方向に作用する加速度を基に車両前部の速度変化を算出する速度変化算出手段と、
    前記移動量及び前記速度変化に基づいて斜突が発生したか否かを判定する斜突判定手段と、を備え
    前記斜突判定手段は、前記移動量を第1の軸とし、前記速度変化を第2の軸とする2次元マップ上に設定された斜突検知領域に、前記移動量算出手段にて算出された移動量と前記速度変化算出手段にて算出された速度変化との交点が含まれるか否かを判定することによって、前記斜突が発生したか否かを判定することを特徴とする斜突検知装置。
  2. 前記加速度センサにて検出された加速度を基に衝突判定を行い、その衝突判定結果を基に乗員保護装置の起動を制御する起動制御手段をさらに備え、
    前記起動制御手段は、前記斜突判定手段による斜突判定結果に応じて前記衝突判定に関する処理内容の変更と、前記乗員保護装置の起動タイミングの変更との少なくとも1つを実施することを特徴とする請求項1に記載の斜突検知装置。
  3. 車両前部の少なくとも一方の片側に配置され、車両の長さ方向に作用する加速度を検出する前部加速度検出手段と、
    車両の衝突発生時に乗員を保護するための乗員保護装置と、
    前記前部加速度検出手段にて検出された加速度を入力とし、当該入力された加速度と前記加速度センサにて検出された加速度に基づく斜突判定結果と、前記加速度センサにて検出された加速度に基づく衝突判結果とに基づいて、前記乗員保護装置の起動を制御する請求項2に記載の斜突検知装置と、
    を備えることを特徴とする乗員保護システム。



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