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JP5164537B2 - エンジン制振システム - Google Patents
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Description

本発明は、車両に搭載されたエンジンの所定方向の振動の、車体への伝搬を抑制するエンジン制振システムに関し、特に、乗り心地を犠牲にすることなく、車両の操縦安定性を向上させるようエンジンを制振できるものに関する。
出願人は、特願2007−117150において、車両に搭載されたエンジンの所定方向の振動の、車体への伝搬を抑制するため、エンジンに加速度センサを固定し、エンジンを制振する複数個のアクティブコントロールマウント(以下「ACM」という)でエンジンを支持し、前記加速度センサからの加速度信号に基づいて、前記ACMの制振力を制御するエンジン制振システムを提案しており、このシステムによると、エンジンの固有振動数を含む所定の周波数帯域において効果的に制振効果を得ることができる。
上記従来技術においては、エンジン上の1点に設置された加速度センサにおける加速度情報だけに基づいてそれぞれのACMを制御していて、この加速度センサはロール回転方向成分、すなわち、ドライブシャフト軸線を中心とする円周の接線方向成分の加速度を検出するよう設定されているが、実際には、このように設置された加速度センサは、ロール回転方向成分の加速度に、ドライブシャフト軸線自体が並進移動した場合の並進成分の加速度が重畳されたものを検出することになり、したがって、この加速度センサからの信号に基づいて制御をかけると、純粋にロール回転成分だけを検出していないことに起因してうまくフィードック制御ができず、車両の操縦安定性を向上させるのに十分なようにエンジンを制振することができなかった。
本発明は、このような問題を鑑みてなされたものであり、車両の操縦安定性を向上させるようエンジンを確実に制振することのできるエンジン制振システムを提供することを目的とする。
本発明は、車両に搭載されたエンジンのロール回転方向の振動の、車体への伝搬を抑制するエンジン制振システムにおいて、エンジン上に固定され、前記ロール回転方向の加速度を検知する1対もしくは複数対の加速度センサと、エンジンを支持するとともにこれを制振する複数個のアクティブコントロールマウント(以下「ACM」という)と、前記加速度センサからの加速度信号に基づいて、前記ACMの制振力をリアルタイムに制御する制御部とを具え、前記対をなす加速度センサのそれぞれは、エンジンのドライブシャフトの軸線に関して互いに対称に配置されてなり、前記制御部は、予め設定された固定のフィードバックフィルタマトリックスと、車両の走行に伴って変動する、前記対をなす加速度センサからの10〜20Hzにおける加速度信号の差とに基づいて、前記複数個のACMのそれぞれの制振力を制御する信号をリアルタイムに算出する高速演算装置を具えて構成され、前記フィードバックフィルタマトリックスは、前記加速度信号の差を入力して前記ACMへの制御信号を出力するよう設定されてなるエンジン制振システムである。
また、本発明は、車両に搭載されたエンジンのロール回転方向の振動の、車体への伝搬を抑制するエンジン制振システムにおいて、エンジン上に固定され、前記ロール回転方向の加速度を検知する1対もしくは複数対の加速度センサと、エンジンを支持するとともにこれを制振する複数個のアクティブコントロールマウント(以下「ACM」という)と、前記加速度センサからの加速度信号に基づいて、前記ACMの制振力をリアルタイムに制御する制御部とを具え、前記対をなす加速度センサのそれぞれは、エンジンのドライブシャフトの軸線に関して互いに対称に配置されてなり、前記制御部は、予め設定された固定のフィードバックフィルタマトリックスと、車両の走行に伴って変動する、前記対をなす加速度センサからの加速度信号の差とに基づいて、前記複数個のACMのそれぞれの制振力を制御する信号をリアルタイムに算出する高速演算装置を具えて構成され、前記フィードバックフィルタマトリックスは、前記加速度信号の差を入力して前記複数個のACMへのそれぞれの制御信号を出力するよう設定されてなるエンジン制振システムである。
本発明によれば、エンジンの固有モードの振動を車体に伝搬するのを効果的に防止することができる。
また、本発明によれば、ドライブシャフトの軸線に関して互いに対称に配置された一対の加速度センサで検出された加速度の差は、加速度センサが検出するロール回転方向成分と並進成分のうち並進成分を互いにキャンセルさせロール回転方向成分を2倍にしたものとなり、よって、ロール回転方向成分だけを抽出することができ、この差に基づいたロール回転成分の制御を精度の高いものにすることができる。
図1は、この発明の実施形態に係るエンジンの平面配置を示す模式図であり、図2は、図1のA−A矢視に対応するエンジンの側面を示す模式図であり、エンジン1は、車体2に対して、2個のACM3a、3bおよび2個のエンジンマウント5(アクティブコントロールなし)によって支持され、複数個(図示の場合は2個)のACM3a、3bはエンジンを支持するともに、制振力を能動的にエンジン1に加えてその振動が車体に伝達されるのを抑制するよう機能する。
また、エンジン1には、その表面(図示の場合はエンジンの上面)上に一対もしくは複数対(図示の場合は1対)の加速度センサ4a、4bが固定されて設けられ、エンジン1のそれらの点における加速度をリアルタイムに検知するよう機能する。対をなす加速度センサ4a、4bは、ドライブシャフト軸線STの周りに互いに対称に配置されドラブシャフト軸線STの周りの円周の接線方向成分、すなわちエンジン1のロール回転方向成分の加速度を検知するよう設定されている。
図3は,この実施形態のエンジン制振システムの構成を示すブロック線図であり、エンジン制振システム10は、車体2に対してエンジン1を支持するとともにこれを制振する複数個のACM3a、3bと、エンジン1表面上の、ドライブシャフト軸線STに関し互いに対称に配置された一対の加速度センサ4a、4bと、加速度センサ4a、4bからの加速度信号に基づいて、ACM3a、3bの制振力を制御する制御部11とを具える。
制御部11は、加速度センサ4a、4bからの加速度信号α1、α2の差αを算出する加速度差算出部12と、予め設定された固定のフィードバックフィルタマトリックス、および、加速度信号α1、α2の差αに基づいて、複数個のACM3a、3bのそれぞれの制振力を制御する信号β1、β2をリアルタイムに算出する高速演算装置9とを具える。
ここで、加速度センサ4a、4bが検出する加速度信号の成分の内、ロール回転成分をr、並進成分をtとすると、加速度センサ4a、4bが検知する加速度信号α1、α2は、図4に模式図で示すように、式(1)、(2)のように表すことができ、したがって、加速度信号α1、α2の差αは、式(3)で示すように、ロール回転成分rの2倍の値となり、このことによって、並進成分を取り除き、ロール回転成分だけを取り出すことができる。

α1=r+t (1)
α2=r−t (2)
α=α1−α2=2r (3)
本発明は、このように、並進成分tを取り除いたあとの、加速度信号α1、α2の差αをフィードバックしてACM3a、3bの制振力を制御するので、高精度にロール回転成分の振動を抑えることができる。
制御部11には、また、加速度信号α1、α2を得るために、加速度センサ4a、4bからの信号を増幅するアンプ7が設けられるとともに、高速演算装置9からの出力信号をβ1、β2を増幅してACM3a、3bに入力するアンプ6が配設される。
本発明においては、エンジンのロール共振モードを制振することを主たる目的としており、その場合、フィルタ8は,一般的なエンジンの共振周波数を含む10〜15Hzの周波数だけを通過させるものとするのが好ましい。
出力信号をβ1、β2は、加速度信号α1、α2の差αを基に、フィードバックフィルタマトリックスを用いて式(1)により求めることができる。
Figure 0005164537
ここで、A(s)、B1(s)、B2(s)は、それぞれ、α、β1、β2をラプラス変換したものである。
また、フィードバックフィルタマトリックスを構成するK1、K2は、例えば、次のようにして設計することができる。すなわち、この設計を、入力端外乱を用いたH∞制御における混合感度問題として捉え、図5に示した系において、外乱w1、w2から制御量z1、z2までの伝達関数WsMのH∞ノルム、および、外乱w1、w2から制御量z3、z4までの伝達関数WtTのH∞ノルムを求め、これらの伝達関数WsM、WtTにおけるM、Tが、それぞれコントローラKの関数であるので、これらの伝達関数WsM、WtTのH∞ノルムを小さくするように全体の系を設計することによってコントローラKを求めることができる。
ここで、図5において、Pは、ACMから加速度センサまでの、実際の系の伝達関数を計測しモデリングしたもの、Kは、設計しようとするコントローラで、式(1)のK1、K2よりなるフィードバックマトリックスであり、また、w1、w2は外乱入力、w3は観測ノイズ、また、Ws、Wt、および、Wnは重み関数で、Ws、Wtを試行錯誤で修正しながら上記伝達関数を小さくするようにしてコントローラKを設計するのである。ただし、実際にシステムを制御する際には、これを状態方程式に変換し時間領域でリアルタイムに制御を行う。
図1、図2に示したエンジン配置において、このエンジンを搭載した車両をドライアスファルトの路面を時速100km/hで走行させた状態からABSの作動下でフルブレーキングをかけて停止させ、この間の加速度センサ4a、4bが固定されている点の加速度の時間変化をグラフ化し、結果を図6に示した。太線が加速度センサ4aの加速度データを、細線が加速度センサ4bの加速度データを表す。そして、これらの加速度センサ4a、4bで検出した加速度の差、すなわち、図6における太線と細線との差を図7に示した。
図6、図7において、ブレーキングは1.5s付近で始まり、5s付近で車両は完全に停止しており、図7の1.5s〜5sの間のデータを見て明らかなように、図6における各加速度センサ単体の加速度単体では、十分捉えることのできなかったロール共振方向の振動成分を、それらの差をとることによって、精度良く捉えられることが分かる。さらに並進成分が除去されていることも分かる。
なお、試験に用いた車両は、2500ccのディーゼルエンジンを搭載した車重約2トンのミニバンであった。また、図6、図7に示したデータは、グラフを見やすくするため、元の信号を30Hzのローパスフィルタでフィルタリングしたものを用いている。
本発明の実施形態に係るエンジンの平面配置を示す模式図である。 図1のA−A矢視に対応するエンジンの側面を示す模式図である。 本発明の実施形態のエンジン制振システムの構成を示すブロック線図である。 加速度センサの取得する加速度の成分の構成を示す模式図である。 フィードバックマトリックスを設計する際に用いる系を示すブロック線図である。 加速度センサで検出した加速度の時間変化を示すグラフである。 対をなす加速度センサで検出した加速度の互いの差の時間変化を示すグラフである。
符号の説明
1 エンジン
2 車体
3a、3b ACM
4a、4b 加速度センサ
5 エンジンマウント
6、7 アンプ
9 高速演算装置
10 エンジン制振システム
11 制御部
12 加速度差算出部
ST ドライブシャフト軸線

Claims (2)

  1. 車両に搭載されたエンジンのロール回転方向の振動の、車体への伝搬を抑制するエンジン制振システムにおいて、
    エンジン上に固定され、前記ロール回転方向の加速度を検知する1対もしくは複数対の加速度センサと、エンジンを支持するとともにこれを制振する複数個のアクティブコントロールマウント(以下「ACM」という)と、前記加速度センサからの加速度信号に基づいて、前記ACMの制振力をリアルタイムに制御する制御部とを具え、
    前記対をなす加速度センサのそれぞれは、エンジンのドライブシャフトの軸線に関して互いに対称に配置されてなり、前記制御部は、予め設定された固定のフィードバックフィルタマトリックスと、車両の走行に伴って変動する、前記対をなす加速度センサからの10〜20Hzにおける加速度信号の差とに基づいて、前記複数個のACMのそれぞれの制振力を制御する信号をリアルタイムに算出する高速演算装置を具えて構成され、
    前記フィードバックフィルタマトリックスは、前記加速度信号の差を入力して前記ACMへの制御信号を出力するよう設定されてなることを特徴とするエンジン制振システム。
  2. 車両に搭載されたエンジンのロール回転方向の振動の、車体への伝搬を抑制するエンジン制振システムにおいて、
    エンジン上に固定され、前記ロール回転方向の加速度を検知する1対もしくは複数対の加速度センサと、エンジンを支持するとともにこれを制振する複数個のアクティブコントロールマウント(以下「ACM」という)と、前記加速度センサからの加速度信号に基づいて、前記ACMの制振力をリアルタイムに制御する制御部とを具え、
    前記対をなす加速度センサのそれぞれは、エンジンのドライブシャフトの軸線に関して互いに対称に配置されてなり、前記制御部は、予め設定された固定のフィードバックフィルタマトリックスと、車両の走行に伴って変動する、前記対をなす加速度センサからの加速度信号の差とに基づいて、前記複数個のACMのそれぞれの制振力を制御する信号をリアルタイムに算出する高速演算装置を具えて構成され、
    前記フィードバックフィルタマトリックスは、前記加速度信号の差を入力して前記複数個のACMへのそれぞれの制御信号を出力するよう設定されてなることを特徴とするエンジン制振システム。
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