JP5170625B2 - 赤外光眼底撮影方法および装置 - Google Patents
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Description
なお、「眼底」とは、瞳孔から見ることのできる目の中のことを言う。
蛍光眼底撮影法は、蛍光を発する造影剤を被検眼者(患者)に注射することで、血管内に造影剤を循環させ、造影剤に応じた波長の照明光を眼底に照射することにより、血管中で循環している造影剤を励起させて蛍光(励起光)を発生させ、血管を造影することにより行われる。この際、瞳孔を強制的に散瞳させるための散瞳剤を点眼するのが通常である。
蛍光眼底撮影法による撮影装置としては、特許文献2ないし4に記載のものが例示される。
特に、検診等の事前の眼病検知手段としての実用を考えると、造影剤が不要なだけでなく、高度な画像処理等を要しない簡易簡便な手段であることが望ましい。
(ロ)蛍光色素を用いての眼底造影には2つの方法がある。1つはインドシアニグリーン造影法であり、赤外線励起光(790〜805nm)で励起し蛍光(835nm)を観察することにより、主に脈絡膜血管網の病変を見つけるために利用される。もう1つは、フルオレセイン造影法(励起490nm蛍光520nm)である。
両者とも、蛍光色素を静脈注射することで、異常血管から漏れを観察したり、また血管そのものを観察しやすくするために用いるのであるが、大きな相違点は利用する波長域にある。その違いを理解するためには、網膜の層構造に起因する。赤外光(インドシアニグリーン造影方で利用)は、網膜色素上皮を通り抜けることができるため、色素上皮下にある脈絡膜血管の病変を観察できるのに対し、可視光(フルオレセイン造影法で利用)は色素上皮より上しか観察できない。そのため、種々の病変でその初期変化がまず現れてくると考えられる脈絡膜血管の変化を見るには、インドシアニグリーン造影検査の実施が有用であるが、造影検査は、侵襲度が高い検査であるため、スクリーニング的におこなうことができなかった。
ところが、発明者は鋭意工夫の結果、赤外波長をうまく選択して観察すると造影剤を用いずに脈絡膜血管がはっきりと観察できることを見いだし、また、色素上皮下に生じている微細な変化の一部を可視化できことを見いだして、本発明を創作した。
ところが、発明者は、可視光線では微妙な色(波長)の違いから、身の回りの物質の素材を見分けられるように、眼球にも波長依存性があるとの仮説のもと、赤外領域の波長を適当に可視光線の3原色に置き換えることにより、従来は確認ないしは区別できなかった変化をとらえ、一歩進んだ診断と治療の実現を支援する新しい手段を発明した。
(1)赤外光焦点調整手段により焦点を合わせ、赤外光照射手段により特定波長の赤外光を被検眼者の眼に照射し、被検眼者の眼からの反射光である特定波長の赤外光を撮像素子により受光することで網膜上から網膜下の血管を選択的に撮影し、撮影した画像を画像表示手段に表示させることにより、黒い影が撮影された場合において、網膜上の血管によるものか網膜下の血管によるものかを判定可能とする眼底撮影方法であって、赤外光照射手段により被検眼者の眼に概ね710〜750nmの波長の赤外光を照射し、その反射光を撮像素子により受光することで脈絡膜血管を撮影し、撮影した画像を画像表示手段に表示させる工程、赤外光照射手段により被検眼者の眼に概ね900〜1000nmの波長の赤外光を照射し、その反射光を撮像素子により受光することで網膜上の血管を撮影し、撮影した画像を画像表示手段に表示させる工程を有することを特徴とする赤外光眼底撮影方法。
(2)赤外光照射手段により被検眼者の眼に概ね800〜830nmの波長の赤外光を照射し、その反射光を撮像素子により受光することで脈絡膜血管の構造を撮影し、撮影した画像を画像表示手段に表示させる工程を有することを特徴とする(1)の赤外光眼底撮影方法。
(3)赤外光照射手段が、概ね680〜1100nmの範囲で選択された赤外光を照射することができる赤外LEDを備えることを特徴とする(1)または(2)の赤外光眼底撮影方法。
(4)赤外光により焦点を合わせる赤外光焦点調整手段と、被検眼者の眼に特定波長の赤外光を照射する光源を有する赤外光照射手段と、被検眼者の眼からの反射光である特定波長の赤外光を撮影する撮像素子を有する赤外光撮影手段と、撮影した被検眼者の眼底画像を表示する画像表示手段と、制御部とを備え、制御部が、赤外光照射手段に被検眼者の眼に概ね710〜750nmの波長の赤外光を照射させ、その反射光を赤外光撮影手段に撮影させ、撮影した眼底画像を画像表示手段に表示させる手段と、赤外光照射手段に被検眼者の眼に概ね900〜1000nmの波長の赤外光を照射させ、その反射光を赤外光撮影手段に撮影させ、撮影した眼底画像を画像表示手段に表示させる手段とを備えることを特徴とする赤外光眼底撮影装置。
(5)前記制御部が、赤外光照射手段により被検眼者の眼に概ね800〜830nmの波長の赤外光を照射し、その反射光を赤外光撮影手段により受光することで脈絡膜血管の構造を撮影し、撮影した画像を画像表示手段に表示させる手段を備えることを特徴とする(4)の眼底撮影装置。
(6)前記赤外光照射手段ないしは前記赤外光撮影手段は、概ね710〜750nmの範囲、概ね800〜830nmの範囲、および、概ね900〜1000nmの範囲で選択された赤外光を抽出する光学バンドパスフィルタを備えることを特徴とする(4)または(5)の眼底撮影装置。
(7)前記赤外光焦点調整手段は、前記赤外光照射手段から照射する赤外光により焦点調整することを特徴とする(4)、(5)または(6)の赤外光眼底撮影装置。
(8)前記制御部が、前記特定波長の赤外光の帯域において、RGBに対応する波長領域を設定し、前記赤外光撮影手段からの眼底画像データを設定した波長領域に基づき色分解し、公知の画像処理を施し、前記画像表示手段に重畳表示することでカラー画像を表示させる手段を備えることを特徴とする(4)ないし(7)のいずれかの赤外光眼底撮影装置。
また、本発明の装置は、廉価な汎用部品を使用することができ、複雑な画像処理も不要であるため、従来装置と比べ、小型化・低コスト化をはかることが可能である。
赤外光照射手段は、ハロゲンランプ、LED、レーザー等の公知の光源、若しくは、これらと特定波長の赤外光のみを透過する光学バンドパスフィルタとの組み合わせ、または、波長を自由に選択可能な赤外LED光源から構成される。
赤外光撮影手段は、赤外光対応CCDカメラ等の公知の撮影素子と、被検眼者の眼球からの反射光を撮影素子に導くレンズ光学系と、特定波長の赤外光のみを通過する光学バンドパスフィルタ(赤外光照射手段側に設ける場合もある)と、赤外光によりピントを調整する赤外光焦点調整手段(ピント調整手段)とから構成される。
撮像素子には、いわゆる無散瞳型の眼底カメラを利用することができるが、散瞳型の眼底カメラも利用可能である。
なお、赤外光焦点調整手段は、上記の赤外光照射手段を兼用してもよい。
また、赤外光では白内障があっても網膜の観察が可能である。さらに、750nm〜900nmの波長帯においては、網膜内で出血があっても透過するため、出血に影響されずに撮影画像を得ることができる。
一般に波長400〜700nmが可視光とされるが、上記の範囲の波長を便宜上特定波長の赤外光と呼ぶものとする。
特定波長の赤外光は、撮影目的応じて最適な波長を選択する。具体的には、網膜下の脈絡膜血管を撮影したい場合には、概ね710〜750nmの波長が好適であり、網膜上の血管と網膜下の脈絡膜血管の両者を撮影したい場合には、概ね790〜830nmの波長が好適であり、また網膜上の血管を撮影したい時は概ね900〜1000nmの波長が好適である。
特定波長の赤外光による撮影は、可視光線によるフラッシュが不要であるため、縮瞳が生じず、被検眼者はまぶしさを感じることなく撮影が終了する。
また、眼底カラー画像を赤、緑、青の3色に分解したカラー画像の画像処理としては、例えば、赤、緑、青に色分解してデジタル化された原画像に対し、エッジ強調等のデジタルフィルタ処理をしたデジタル画像を作成し、この画像をD/A変換器を介し、モニタ上で重畳表示し、カラー画像として出力する手法がある。
本発明に係る眼底画像においてもこれらの技術を応用することができ、赤外光領域にRGBに対応する波長領域を設定し、RGBカラーに置き換えて表示することにより、可視光では見えなかった赤外光の波長依存性病変を可視化することができる。これにより、微妙な色の変化を視認することが可能となり、医師による一歩進んだ診断や治療の実現を支援することができる。
可視光像に調整した赤外光像を重畳表示することにより、微妙な色の変化を視認することが可能となり、医師による一歩進んだ診断や治療の実現を支援することができる。
以下では、本実施例の眼底撮影装置およびそれを用いて、網脈絡膜疾患の患者の眼底を撮影する際の手順について説明する。
本実施例の眼底撮影装置は、図1に示すように、赤外光照射手段10と、赤外光撮影手段20と、制御手段30と、画像表示手段40とから構成される。
赤外光照射手段10と、赤外光撮影手段20は、支持枠1(図示せず)により固定されている。支持枠1は、公知の無散瞳眼底カメラ装置と同様に被検眼者の顔面部を固視票3(図示せず)の対向位置に固定するための、額受けと顎受を有する。
赤外光照射手段10は、近赤外光を被検眼者の眼球に照射するための機器であり、特定波長の赤外光のみを通過させる光学バンドパスフィルタ11と、特定波長の赤外光を照射する光源12により構成される。本実施例の光源12は、特定波長の赤外光を照射するものであるため、被検眼者がまぶしさを感じることはなく、赤外光の照射時も縮瞳が生じない。
光学バンドパスフィルタ11は、切り換え可能な三枚のフィルタであり、約650nm〜1200nmの範囲で選択された波長を透過し、バンド幅は±50nmのものを用いる。好ましい組み合わせとしては、それぞれ約735nm、800nm、970nmに透過波長中心を有するものを挙げることができる。
赤外光照射手段10に光学バンドパスフィルタ11を設置する場合には、後述する光学バンドパスフィルタ21を赤外光撮影手段20に設置しなくともよい。
光源12は、650nm〜1200nmの波長の赤外光を照射できるハロゲンランプであるが、これに限定されず、キセノンランプ、赤外LED、赤外レーザー等を用いてもよい。
レンズ22は、市販のカラーカメラ用レンズであり、キャノン社製眼底カメラ(CR4−45NM)用のレンズを用いた。
カラーカメラ24は、赤外領域に感度を有する市販のカラーカメラであり、有限会社トリニティ社製200万画素CMOSカメラ(IUCM−200FO2)を用いた。カラーカメラ24と制御手段30は、USB2.0ケーブルにより接続される。
光学バンドパスフィルタ21は、約650nm〜1200nmの範囲で選択された波長を透過し、バンド幅は±50nmのものを用いる。ここで、上述のとおり、光学バンドパスフィルタ11,21は、いずれかを一方を設置すればよく、両方を設置する必要はない。光学バンドパスフィルタ21をレンズ22の前方部に設置した方が外乱光の影響を排除することができるが、光源の種類によっては被検眼者が眩しくないように光学バンドパスフィルタ11を設置した方がよい場合もある。
焦点(ピント)を合わせるための赤外光は、赤外光照射手段10を兼用する構成である。
制御手段30は、通常のWindows(登録商標)が稼動するパーソナルコンピュータである。
制御プログラム31は、赤外光照射手段10による発光のタイミングと、赤外光撮影手段20による撮影のタイミングを制御するソフトウェアである。
画像表示プログラム32は、C言語によりプログラムされた専用のプログラムであり、動画表示機能と、静止画保存(各種フォーマット)機能、カラーカメラコントロール機能を有している。
なお、制御手段30をネットワーク接続することで、サーバー上でデータを管理したり、遠隔診断に利用することも可能である。
画像表示手段40は、市販のカラー液晶ディスプレイである。表示した眼底写真を医師が診断するのに適したサイズであればよく、特別に必要とされる仕様はない。
(1)支持枠1に設けられた額受けと顎受により、被検眼者の顔面部を固定する。
(2)被検眼者が固視標3を注視することで、眼球を固定する。
(3)赤外光焦点調整手段23(赤外光照射手段10で兼用)により、赤外光を照射してカラーカメラ24のピントを合わせる。
(4)赤外光照射手段10により、特定波長の赤外光を照射し、特定波長の反射赤外光をカラーカメラ24により撮影する。
本実施例の眼底撮影装置による撮影画像の精度を検証するため、従来の無散瞳眼底カメラ(キャノン社製眼底カメラCR4−45NM)による撮影画像との比較を行った。
図2が従来の無散瞳眼底カメラにより、連続撮影した眼底の可視光像である。図2を見ると分かるように、従来の無散瞳眼底カメラにおいては、網脈絡膜疾患の患者の眼底の左下部分に黒い影を撮影することができていない。すなわち、病変があること自体も確認することができない。
一方、本実施例の眼底撮影装置により図2と同一の患者に対して、連続撮影した眼底の赤外光像を示したものが図3である。図3においては、眼底の左下部分に黒い影があることを確認することができる。この黒い影は、色素上皮下において血管の透過性が変化することにより、何らかの浸出物が貯留していることに起因するものと推測される。このように、本実施例の眼底撮影装置によれば、可視光では撮影できない色素上皮下の変化を、撮影することが可能となる。
フィルタ(a)〜(c)は、IGAD(Ion−Gun Assist Deposition)仕様の干渉フィルタであり、その仕様は下記表1の通りである。
(a)網膜下の脈絡膜血管が撮影されている。
(b)網膜上の血管と網膜下の脈絡膜血管の両方が撮影されている。
(c)網膜上の血管のみが撮影されている。
このように、本実施例の装置によれば、撮影波長を変化させることで網膜上から網膜下の血管を選択的に撮影することができる。すなわち、黒い影が撮影された場合において、着用したフィルタにより網膜上の血管によるものか網膜下の血管によるものか判定することが可能である。
また、これらの赤外光画像の特定に公知の画像処理を施し、特定の色成分を着色して強調したり、画像処理を施した画像を可視光画像に重畳表示して出力してもよい。
従来の無散瞳眼底カメラにおいては、血管造影する必要があるため、ある程度症状が現れてから撮影を行うのが通常であり、検診等の事前の眼病検知手段としての実用には適していなかったが、本実施例の眼底撮影装置は事前の眼病検知手段としても好適である。
フィルタ(d)〜(f)は、IGAD(Ion−Gun Assist Deposition)仕様の干渉フィルタであり、その仕様は下記表2の通りである。
図6(イ)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(d)を装着し、図6(ア)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。同図の中心から少し右上に可視光では確認できなかった円形低輝度領域の所見が鮮明に可視化されており、脈絡膜血管も鮮明に可視化できている。
図6(ウ)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(e)を装着し、図6(ア)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。同図の上方、中心から少し右にずれた位置可視光では確認できなかった円形低輝度領域の所見が鮮明に可視化されている。この画像では透過波長中心が800nm台のフィルタと比べると脈絡膜血管は鮮明ではないが逆に網膜表層の状態が可視化できている。
図6(エ)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(f)を装着し、図6(ア)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。従来の可視光では確認できなかった円形低輝度領域の所見が鮮明に可視化されており、脈絡膜血管も図6(イ)の波長以上に鮮明に可視化できている。
フィルタ(g)〜(j)は、IGAD(Ion−Gun Assist Deposition)仕様の干渉フィルタであり、その仕様は下記表3の通りである。
図7(イ)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(h)を装着し、図7(ア)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。透過波長中心が800nmのフィルタにおいてバンド幅を狭帯域にすることにより脈絡膜血管の構造がより鮮明に可視化できることが確認できる。
図7(ウ)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(i)を装着し、図7(ア)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。可視光では確認できなかった円形低輝度領域の所見がわずかに可視化されているが、透過波長中心が800nm台のフィルタよりはコントラストがかなり低くなっている。一方、透過波長中心が800nm台のフィルタでは可視化できなかった円形低輝度領域の奥(深部)の脈絡膜血管を可視化できることが確認できる。円形低輝度領域の奥の脈絡膜血管は、周辺の脈絡膜血管とほぼ同様の構造であることが分かる。
図7(エ)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(j)を装着し、図7(ア)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。円形低輝度領域の所見を同図の略中心から少し上方の位置に確認することができる。透過波長中心が830nmのフィルタにおいてバンド幅を狭帯域にすることにより、脈絡膜血管の構造が図7(イ)と同様に鮮明に可視化でき、さらに脈絡膜血管近辺の状態も可視化できることが確認できる。
図8(ア)は、従来の無散瞳眼底カメラにより、脈絡膜疾患の患者の眼底を撮影した可視光画像である。
図8(イ)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(e)を装着し、図8(ア)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。この画像から、色素上皮下にできた疾患(脈絡膜血管の構造異常)がA地点およびB地点にあることを識別することができる。これにより検眼では検知することのできない、加齢性黄斑変性の初期の変化もしくは脈絡膜血管異常を識別することができる。
図8(ウ)は、図8(ア)と同じ患者のOCTによる分光分析断層像である。この分析結果から、図8(イ)と同じA地点およびB地点において疾患があることが確認できる。
以上のとおり、本実施例の撮影画像により、色素上皮下にできた疾患を識別できることを、OCTによる分析結果から検証することができた。
図9(イ)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(f)を装着し、図9(ア)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。
図9(ウ)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(h)を装着し、図9(ウ)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。
図9(エ)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(e)を装着し、図9(ア)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。
図9(オ)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(g)を装着し、図9(ア)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。
図9(カ)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(j)を装着し、図9(ア)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。
図9(キ)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(d)を装着し、図9(ア)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。
図9(ク)は、実施例1に係る眼底撮影装置にフィルタ(i)を装着し、図9(ア)と同じ患者の眼底を撮影した赤外光画像である。
実施例2で得られた実験データに加え、表4の非着色箇所のデータ等が得られたことで、より踏み込んだ以下の所見を得ることができた。
[一]フィルタ(b)<フィルタ(f)<フィルタ(h)の順で脈絡膜の血管構造をより鮮明に捉えることができた。バンド幅を絞ることにより外乱の影響を抑えられることなどが原因であると推測される。以上より、脈絡膜の血管構造を詳細に把握したい場合には、バンド幅を絞った方がよいことが分かる。バンド幅(全幅値)は、好ましくは40nm以下、より好ましくは10nm以下とする。
[二]脈絡膜血管の構造を把握するのには、透過波長中心が800nm台のフィルタを用いるのが最も良好であった。フィルタ(h)とフィルタ(j)では撮影画像の鮮明さの差異を認識することはできなかった。フィルタ(f)とフィルタ(d)では、前者の方が鮮明であった。以上より、実験データの範囲においては、脈絡膜血管の構造を把握するのに最も好ましい波長域は、800nm〜830nmであると言うことができる。
[三]脈絡膜血管を捉えることができるフィルタの中では、フィルタ(e)がコントラストの変化を把握するのには一番よかった。色素上皮下の疾患は白っぽくうつる。透過波長中心が800nm台のフィルタでもコントラストを把握することはできるが、コントラストの濃淡はフィルタ(e)に劣る。一方、フィルタ(c)によっては、脈絡膜血管を捉えることができなかった。以上より、透過波長中心が概ね800nmから900nmのフィルタによりスクリーニング検査を行い、より詳細な脈絡膜の血管構造を把握したい場合には、透過波長中心が800nm台のフィルタを用いるのがよいと言うことができる。
本実施例の眼底検査装置は、図10に示す如く、検査者が被検眼者の眼底を観察するための観察光学手段50と、観察光学手段50の鏡筒本体51に連接された赤外光撮像手段20と、観察光学手段50に対し被検眼に対峙させるプリズム13に関して直交配置とした赤外光照射手段10と、赤外光照射手段10のプリズム13の近傍側に配置した背景光照射手段60とを有している。
赤外光撮像手段20は、ビームスプリッタ56により分岐される光束を集光する集光レンズ27と、この集光レンズ27からの光束を90度(直角に)曲げるミラー28とにより、観察光学手段50に連接されている。
スリット板25には、Y方向に細長い角膜内皮細胞撮影用の幅の広いものと角膜厚さ測定用の幅の狭いスリットが設けられており、光束中に選択的に挿入できるよう切り換え可能となっている。なお、スリット板25の代わりに、スリット幅を連続的に変化させることができる可変スリットを用いてもよい。
光学バンドパスフィルタ11は、実施例1〜4のいずれのフィルタを用いてもよい。
また、それ以外にも、例えば、緑内障の視神経乳頭の形態を判別しやすい形に可視化することができる。
3 固視票
10 赤外光照射手段
11,21 光学バンドパスフィルタ
12 光源
20 赤外光撮影手段
22 レンズ
23 赤外光焦点調整手段(ピント調整手段)
24 カラーカメラ
30 制御手段
31 制御プログラム
32 画像表示プログラム
40 画像表示手段
Claims (8)
- 赤外光焦点調整手段により焦点を合わせ、赤外光照射手段により特定波長の赤外光を被検眼者の眼に照射し、被検眼者の眼からの反射光である特定波長の赤外光を撮像素子により受光することで網膜上から網膜下の血管を選択的に撮影し、撮影した画像を画像表示手段に表示させることにより、黒い影が撮影された場合において、網膜上の血管によるものか網膜下の血管によるものかを判定可能とする眼底撮影方法であって、
赤外光照射手段により被検眼者の眼に概ね710〜750nmの波長の赤外光を照射し、その反射光を撮像素子により受光することで脈絡膜血管を撮影し、撮影した画像を画像表示手段に表示させる工程、
赤外光照射手段により被検眼者の眼に概ね900〜1000nmの波長の赤外光を照射し、その反射光を撮像素子により受光することで網膜上の血管を撮影し、撮影した画像を画像表示手段に表示させる工程を有することを特徴とする赤外光眼底撮影方法。 - 赤外光照射手段により被検眼者の眼に概ね800〜830nmの波長の赤外光を照射し、その反射光を撮像素子により受光することで脈絡膜血管の構造を撮影し、撮影した画像を画像表示手段に表示させる工程を有することを特徴とする請求項1の赤外光眼底撮影方法。
- 赤外光照射手段が、概ね680〜1100nmの範囲で選択された赤外光を照射することができる赤外LEDを備えることを特徴とする請求項1または2の赤外光眼底撮影方法。
- 赤外光により焦点を合わせる赤外光焦点調整手段と、被検眼者の眼に特定波長の赤外光を照射する光源を有する赤外光照射手段と、被検眼者の眼からの反射光である特定波長の赤外光を撮影する撮像素子を有する赤外光撮影手段と、撮影した被検眼者の眼底画像を表示する画像表示手段と、制御部とを備え、
制御部が、
赤外光照射手段に被検眼者の眼に概ね710〜750nmの波長の赤外光を照射させ、その反射光を赤外光撮影手段に撮影させ、撮影した眼底画像を画像表示手段に表示させる手段と、
赤外光照射手段に被検眼者の眼に概ね900〜1000nmの波長の赤外光を照射させ、その反射光を赤外光撮影手段に撮影させ、撮影した眼底画像を画像表示手段に表示させる手段とを備えることを特徴とする赤外光眼底撮影装置。 - 前記制御部が、赤外光照射手段により被検眼者の眼に概ね800〜830nmの波長の赤外光を照射し、その反射光を赤外光撮影手段により受光することで脈絡膜血管の構造を撮影し、撮影した画像を画像表示手段に表示させる手段を備えることを特徴とする請求項4の眼底撮影装置。
- 前記赤外光照射手段ないしは前記赤外光撮影手段は、概ね710〜750nmの範囲、概ね800〜830nmの範囲、および、概ね900〜1000nmの範囲で選択された赤外光を抽出する光学バンドパスフィルタを備えることを特徴とする請求項4または5の眼底撮影装置。
- 前記赤外光焦点調整手段は、前記赤外光照射手段から照射する赤外光により焦点調整することを特徴とする請求項4、5または6の赤外光眼底撮影装置。
- 前記制御部が、前記特定波長の赤外光の帯域において、RGBに対応する波長領域を設定し、前記赤外光撮影手段からの眼底画像データを設定した波長領域に基づき色分解し、公知の画像処理を施し、前記画像表示手段に重畳表示することでカラー画像を画像表示手段に表示させる手段を備えることを特徴とする請求項4ないし7のいずれかの赤外光眼底撮影装置。
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